JP2001133599A - 輝尽性蛍光体シートおよびその製造方法 - Google Patents

輝尽性蛍光体シートおよびその製造方法

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JP2001133599A
JP2001133599A JP31769699A JP31769699A JP2001133599A JP 2001133599 A JP2001133599 A JP 2001133599A JP 31769699 A JP31769699 A JP 31769699A JP 31769699 A JP31769699 A JP 31769699A JP 2001133599 A JP2001133599 A JP 2001133599A
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phosphor sheet
light
film
sheet
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Seiji Tazaki
誠二 田崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が比較的容易で、画質、特に鮮鋭度の優
れた放射線画像を与える輝尽性蛍光体シート、およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 放射線像記録再生方法に用いる輝尽性蛍
光体シートであって、その輝尽性蛍光体シートを平面方
向に沿って一次元方向に細分区画するストライプ状の隔
壁と該隔壁により区画された輝尽性蛍光体充填領域とか
らなり、そして(1)隔壁の励起光に対する散乱長が
0.05〜20μmの範囲にあり、輝尽発光光に対する
吸収長が1000μm以上であり、(2)輝尽性蛍光体
充填領域の深さ方向の励起光に対する散乱長が20〜1
00μmの範囲にあり、平面方向であって隔壁に平行な
方向の励起光に対する散乱長が0.05〜20μmの範
囲にあり、かつ深さ方向の散乱長が平面方向の散乱長よ
りも大きいことを特徴とする輝尽性蛍光体シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の輝
尽発光を利用する放射線像記録再生方法に用いられる輝
尽性蛍光体シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線写真フィルムと増感スクリーンと
を組み合わせて用いる放射線写真法に代る方法として、
輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法(放射線像
変換方法ともいう)が知られている。この方法は、輝尽
性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体シート(放射線像変換
パネルともいう)を利用するもので、被写体を透過し
た、あるいは被検体から発せられた放射線をシートの輝
尽性蛍光体に吸収させ、その後、その輝尽性蛍光体に可
視光線あるいは赤外線などの電磁波(励起光)を照射し
て輝尽性蛍光体を励起することにより、該輝尽性蛍光体
中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光
光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電
気信号に変え、この電気信号から被写体あるいは被検体
の放射線画像を可視像として再生する方法である。読み
取りを終えた輝尽性蛍光体シートは、輝尽性蛍光体中に
残存する放射線エネルギーを消去した後、同様な放射線
像記録再生方法に繰り返し使用される。
【0003】上記の放射線像記録再生方法にて用いられ
る輝尽性蛍光体シートは一般に、その下側表面に支持体
が設けられ、上側表面に保護膜が設けられた基本構成を
有する。また、輝尽性蛍光体シート(放射線像変換パネ
ルにおいては輝尽性蛍光体層と称する)は通常、輝尽性
蛍光体粒子とこれを分散状態で含有支持する結合剤とか
らなる。ただし、輝尽性蛍光体シートとしては、蒸着法
や焼結法などによって形成される結合剤を含まないで輝
尽性蛍光体の凝集体からなるものや、この輝尽性蛍光体
の凝集体の間隙に高分子物質を浸透させたものも知られ
ている。これらの輝尽性蛍光体シートはいずれも、前記
の放射線像記録再生方法に使用することができる。
【0004】上記の輝尽性蛍光体シートは高感度であっ
て、かつ高画質の放射線画像を再生できることが望まし
い。すなわち、放射線像記録再生方法の代表的な用途と
して、X線を用いる医療診断用の放射線画像の形成があ
るが、この用途に於いては特に、少ないX線照射量で高
い画質(特に高い解像力に結びつく高い鮮鋭度)を持つ
放射線画像を得ることが望まれるからである。
【0005】放射線像記録再生方法において形成される
放射線画像の鮮鋭度は、主として輝尽性蛍光体シート中
での励起光の拡散に依存している。すなわち、輝尽性蛍
光体シートに記録された放射線エネルギーの潜像は、シ
ートの表面にビーム状の励起光を移動させながら時系列
的に照射し、その励起光の照射によって発せられる輝尽
発光光を順次集光することによって読み出されるが、照
射された励起光がシートの内部で拡散する(特に平面方
向に拡散する)と、その励起光は照射領域を越えて、そ
の周囲の放射線エネルギーを持つ蛍光体粒子をも励起す
る結果となり、そのような照射領域の外の蛍光体の持つ
放射線エネルギーもが照射領域内の蛍光体の持つ放射線
エネルギーと一緒に輝尽発光光として取り出されてしま
うためである。
【0006】この励起光の拡散を避けるために輝尽性蛍
光体シート(または放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体
層)に、そのシートを平面方向に沿って細分区画する励
起光反射性隔壁を設けること、すなわちセル化すること
は既に知られている。特開昭59−202100号公報
には、基板に輝尽性蛍光体層を設けた放射線画像変換パ
ネルに、隔壁部材によって多数個に区切った小房からな
るハニカム構造を設け、その各小房に輝尽性蛍光体を充
填することが記載されている。特開昭62−36599
号公報には、支持体の一方の面に、開口部の口径と深さ
との比率が1:3.5以上である凹部が規則的に多数個
設けられ、かつ該凹部に輝尽性蛍光体が充填された構造
を有する放射線画像変換パネルが記載されている。
【0007】また、本出願人による特願平11−689
63号明細書には、上記励起光反射性隔壁が格子状に設
けられた輝尽性蛍光体シートの製造法として、実質的に
輝尽性蛍光体からなるフィルムと輝尽性蛍光体を含有す
る隔壁形成用フィルムとを交互に多数枚積層して積層体
ブロックを形成した後、その積層体ブロックを積層面に
沿ってスライスしてストライプ状の蛍光体フィルムを
得、次いでこのストライプ蛍光体フィルムと隔壁形成用
フィルムとを再度、交互に多数枚積層して積層体ブロッ
クを形成した後積層面に沿ってスライスする方法が記載
されている。
【0008】上記のいずれの輝尽性蛍光体シート(ある
いは放射線像変換パネル)も、そのセル化構造の加工お
よび製造工程が煩雑となっている。その上、微細な孔ま
たは凹部に輝尽性蛍光体を充填する場合には、孔または
凹部ごとに蛍光体の充填量が異なってしまって一定にな
りにくいという問題がある。また、積層体ブロックをス
ライスする場合には、高い加工精度で薄膜のフィルムに
スライスするのに非常に高度な技術を必要とする。
【0009】一方、本出願人による特願平11−689
66号明細書には、励起光反射性隔壁と輝尽性蛍光体充
填領域とからなる輝尽性蛍光体シートであって、輝尽性
蛍光体充填領域および隔壁の励起光に対する散乱長がそ
れぞれ20〜100μmの範囲および0.05〜20μ
mの範囲にあって、その隔壁の散乱長に対する輝尽性蛍
光体充填領域の散乱長の比率が3.0以上であり、また
輝尽性蛍光体充填領域および隔壁の輝尽発光光に対する
吸収長がそれぞれ1000μm以上である輝尽性蛍光体
シートが記載されている。なお、この明細書には、積層
体ブロックのスライスを一度だけ行って、ストライプ状
に隔壁が設けられた輝尽性蛍光体シートを製造する方法
が記載されているが、この形態ではストライプに垂直な
方向にしか鮮鋭度を向上させることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、画質
の優れた放射線画像を与える輝尽性蛍光体シートを提供
することにある。特に本発明は、製造が比較的容易であ
って、かつ鮮鋭度並びに感度の高い輝尽性蛍光体シート
を提供することを目的とする。また本発明は、高画質の
輝尽性蛍光体シートの簡便な製造方法を提供することを
もその目的とし、さらに、上記輝尽性蛍光体シートを用
いた放射線像記録再生方法および放射線像記録再生装置
を提供することをもその目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の隔壁
が設けられたセル化構造について検討した結果、隔壁を
ストライプ状にのみ設けることにより製造加工を従来よ
りも簡易にかつ高い精度で実施できると同時に、隔壁お
よび輝尽性蛍光体充填領域の散乱長、吸収長を特定の範
囲に設定することにより画質の優れた輝尽性蛍光体シー
トが得られることを見い出した。すなわち、ストライプ
状の隔壁に関しては、励起光に対する散乱長を短くして
高反射率とし、輝尽発光光に対する吸収長を長くして低
吸収率とすることにより、励起光の平面方向への拡散を
有効に防いで画像の鮮鋭度を高めるとともに、隔壁によ
る励起光および発光光の吸収を極力抑えて発光効率の低
下を防ぐことができる。また、輝尽性蛍光体充填領域に
関しては、輝尽性蛍光体シートの深さ方向には励起光に
対する散乱長を長くして高透過率とすることにより、励
起光が深部まで届くようにし、一方、隔壁に平行な平面
方向には励起光に対する散乱長を短くして低透過率とす
ることにより、隔壁の無い平面方向への励起光の広がり
を防ぐことができる。さらに、発光光に対する吸収長を
長くして低吸収率とすることによって、シート深部から
の発光光を効率良く取り出せるようにする。このように
することによって、隔壁の存在による感度の低下を抑え
ながら、高画質の放射線画像が得られることを見い出し
た。
【0012】また、本発明者は、積層スライス法を用い
て、隔壁をストライプ状にのみ設け、一方輝尽性蛍光体
充填領域には柱状または針状の輝尽性蛍光体粒子を一方
向に配向させるか、あるいは輝尽性蛍光体からなるファ
イバーを配列することにより、比較的簡便な方法で加工
精度の高い輝尽性蛍光体シートを製造できることも見い
出し、本発明に到達したものである。
【0013】本発明は、放射線画像を潜像として記録さ
せた後、励起光を照射することにより該潜像から輝尽発
光光を放出させ、次いで該輝尽発光光を電気的に処理す
ることにより放射線画像を再生することからなる放射線
像記録再生方法に用いる輝尽性蛍光体シートであって、
該輝尽性蛍光体シートを平面方向に沿って一次元方向に
細分区画するストライプ状の隔壁と該隔壁により区画さ
れた輝尽性蛍光体充填領域とからなり、そして(1)該
隔壁の励起光に対する散乱長が0.05〜20μmの範
囲にあり、輝尽発光光に対する吸収長が1000μm以
上であり、(2)該輝尽性蛍光体充填領域の深さ方向の
励起光に対する散乱長が20〜100μmの範囲にあ
り、平面方向であって隔壁に平行な方向の励起光に対す
る散乱長が0.05〜20μmの範囲にあり、かつ深さ
方向の散乱長が平面方向の散乱長よりも大きい、ことを
特徴とする輝尽性蛍光体シートにある。
【0014】本発明において、励起光に対する散乱長と
は、励起光が一回散乱するまでに直進する平均距離を意
味し、散乱長が短いほど光散乱性が高い。また、輝尽発
光光に対する吸収長とは、発光光が吸収されるまでの平
均自由距離を意味し、吸収長が長いほど光吸収性が低
い。この光散乱長および光吸収長は、下記の方法によっ
て測定した透過率の測定値から、クベルカ(Kubelka)
の理論に基づく計算方法により算出される値である。
【0015】まず、測定対象の輝尽性蛍光体シートの隔
壁および輝尽性蛍光体充填領域それぞれに関して、同一
の組成を持ち互いに厚さが相違する三枚以上のフィルム
試料を作製し、各々のフィルム試料の厚さ(μm)およ
び透過率(%)を測定する。この透過率の測定は、通常
の分光光度計により測定することができる。測定波長
は、輝尽性蛍光体シートに含まれる輝尽性蛍光体の励起
光の波長および輝尽発光光の波長とする必要がある。
【0016】次に、得られたフィルムの厚さ(μm)と
透過率(%)の測定値を用いて、光散乱長および光吸収
長をクベルカの理論に基づいて算出する。フィルムの厚
さをdμm、フィルムの散乱長を1/αμm、フィルム
の吸収長を1/βμmとする。深さZにおける光強度分
布I(Z)を考える。このI(Z)をフィルムの表から
裏に向かう成分i(Z)と裏から表に向かう成分j
(Z)とに分けて考える。すなわち、I(Z)=i
(Z)+j(Z)である。任意の深さZにおける微小厚
さdzの膜での散乱吸収による光強度の増減は、クベル
カの理論より下記の連立微分方程式(1)、(2)を解
けばよい。
【0017】 di/dz=−(β+α)i+αj …(1) dj/dz=(β+α)j−αi …(2)
【0018】γ2=β(β+2α)、ξ=(α+β−
γ)/α、η=(α+β+γ)/αとし、KおよびLを
積分定数とすると、上記連立微分方程式のiおよびjに
関する一般解はそれぞれ、次のようになる。
【0019】i(Z)=Ke-γZ+LeγZ j(Z)=Kξe-γZ+LηeγZ
【0020】厚さdのフィルムの透過率Tは、 T=i(d)/i(0) で与えられ、これにフィルム単独で透過率を測定する場
合に、戻り光がない(j(d)=0)と仮定すると、透
過率Tは厚さdの関数として下記式(3)で表すことが
できる。
【0021】 T(d)=(η−ξ)/(ηeγZ−ξe-γZ) …(3) 測定した透過率Tとフィルムの厚さdのデータを式
(3)に入れて最小二乗法などにより最適化することに
より、散乱長1/αおよび吸収長1/βを求めることが
できる。
【0022】本発明はまた、下記の工程からなる上記輝
尽性蛍光体シートの製造方法にもある: 1)アスペクト比が2/1以上の柱状または針状の輝尽
性蛍光体粒子および結合剤を含有する塗布液を一定速度
で塗布乾燥することにより、塗布方向に該粒子が配向し
た輝尽性蛍光体フィルムを多数枚形成する工程; 2)輝尽性蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを、
輝尽性蛍光体粒子の配向方向を同じにして交互に多数枚
積層して、隣接するフィルムが相互に密着した積層体ブ
ロックを形成する工程;そして 3)積層体ブロックを、積層面に沿って輝尽性蛍光体粒
子の配向方向に垂直な方向にスライスして、輝尽性蛍光
体フィルムの細片と隔壁形成用フィルムの細片とが交互
に並んだ構成の輝尽性蛍光体シートを得る工程。
【0023】本発明はまた、下記の工程からなる上記輝
尽性蛍光体シートの製造方法にもある: 1)輝尽性蛍光体および結着剤を含有する分散液を用い
て成形することより、輝尽性蛍光体ファイバーを多数本
形成する工程; 2)多数本の輝尽性蛍光体ファイバーを同じ方向に並べ
て相互に接合することにより、輝尽性蛍光体ファイバー
が一次元方向に配列された輝尽性蛍光体フィルムを多数
枚形成する工程; 3)輝尽性蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを、
輝尽性蛍光体ファイバーの配列方向を同じにして交互に
多数枚積層して、隣接するフィルムが相互に密着した積
層体ブロックを形成する工程;そして 4)積層体ブロックを、積層面に沿って輝尽性蛍光体フ
ァイバーの配列方向に垂直な方向にスライスして、輝尽
性蛍光体フィルムの細片と隔壁形成用フィルムの細片と
が交互に並んだ構成の輝尽性蛍光体シートを得る工程。
【0024】本発明はさらに、上記の輝尽性蛍光体シー
トであって、放射線画像情報が潜像として蓄積記録され
ている輝尽性蛍光体シートの片面に励起光を照射し、励
起光照射部分の潜像から放出される輝尽発光光を該輝尽
性蛍光体シートの片面もしくは両面から光電検出して、
該放射線画像情報を電気的画像信号として得ることから
なる放射線画像情報読取方法、およびこの読取方法に用
いられる放射線画像読取装置にもある。
【0025】本発明の輝尽性蛍光体シートおよびその製
造方法の好ましい態様を以下に記載する。 (1)輝尽性蛍光体充填領域に充填されている輝尽性蛍
光体が、アスペクト比が2/1以上の柱状または針状の
粒子状態にあって、かつシートの深さ方向に配向してい
る輝尽性蛍光体シート。 (2)輝尽性蛍光体充填領域が、輝尽性蛍光体と結着剤
とからなる輝尽性蛍光体ファイバーの集合体であって、
かつ該輝尽性蛍光体ファイバーがシートの深さ方向に配
列されている輝尽性蛍光体シート。 (3)隔壁が少なくとも低光吸収性微粒子と高分子物質
とからなる輝尽性蛍光体シート。 (4)積層体ブロックの形成を、輝尽性蛍光体フィルム
と隔壁形成用フィルムとを交互に多数枚積層して積層体
とした後、その積層体を加圧下に加熱することにより実
施する輝尽性蛍光体シートの製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の輝尽性蛍光体シートは、
前記の放射線像記録再生方法に用いる輝尽性蛍光体シー
トであって、そのシートを平面方向に沿って一次元方向
に細分区画する特定の光散乱長と光吸収長を有するスト
ライプ状の隔壁と、該隔壁により区画された特定の光散
乱長を有する輝尽性蛍光体充填領域とからなることを特
徴とするものである。
【0027】上記の隔壁と輝尽性蛍光体充填領域とから
なる輝尽性蛍光体シートの構成を添付図面を参照しなが
ら説明する。
【0028】図1は、本発明の輝尽性蛍光体シート10
の斜視図(1)、その表面の構成を明らかにするために
一部を拡大した拡大斜視図(2)、そして拡大斜視図
(2)におけるI−I線に沿った断面図(3)である。
図1の(2)と(3)における斜線部分が隔壁11であ
り、その斜線に囲まれた部分が輝尽性蛍光体充填領域1
2である。X線など放射線に対する吸収効率を高めるた
めには、輝尽性蛍光体シートの厚みは一般に50μm乃
至1500μmの範囲にある。好適な分解能特性および
画質を得るためには、輝尽性蛍光体充填領域の幅(平面
方向の幅の平均値)は5μm乃至300μmの範囲にあ
るのが望ましく、また隔壁の幅は0.5μm乃至50μ
mの範囲にあるのが望ましい。そして、輝尽性蛍光体シ
ートの全表面に対する輝尽性蛍光体充填領域の面積の比
率(開口率)は、40乃至98%の範囲にあるのが望ま
しい。
【0029】本発明において、上記の隔壁11は、輝尽
性蛍光体の励起光に対する散乱長が0.05乃至20μ
mの範囲にあり、輝尽発光光に対する吸収長が1000
μm以上である。輝尽性蛍光体充填領域12は、その深
さ方向(輝尽性蛍光体シートの厚み方向)には励起光に
対する散乱長が20乃至100μmの範囲にあり、一
方、平面方向であって隔壁11に平行な方向には励起光
に対する散乱長が0.05〜20μmの範囲にある。そ
して、深さ方向の散乱長は平面方向の散乱長よりも大き
く、好ましくは深さ方向の散乱長と平面方向の散乱長と
の比率は2/1以上である。また、輝尽性蛍光体充填領
域12の輝尽発光光に対する吸収長は深さ方向、平面方
向とも1000μm以上であることが好ましい。
【0030】図2は、図1の(3)の一部分を拡大した
拡大断面図である。輝尽性蛍光体充填領域12は柱状の
輝尽性蛍光体粒子13と結合剤14とから構成され、柱
状の輝尽性蛍光体粒子13が深さ方向に配向している。
柱状の輝尽性蛍光体粒子13は、アスペクト比(長さ/
直径)が2/1以上のものであり、通常は2/1〜5/
1の範囲にある。また、輝尽性蛍光体粒子13のメジア
ン径は1〜10μmの範囲にあるのが望ましい。輝尽性
蛍光体粒子13は針状であってもよい。
【0031】図3は、輝尽性蛍光体充填領域12の別の
態様を示す拡大斜視図である。輝尽性蛍光体充填領域1
2は輝尽性蛍光体ファイバー15の集合体から構成さ
れ、輝尽性蛍光体ファイバー15が深さ方向に配列され
ている。輝尽性蛍光体ファイバー15の間隙には高分子
物質16が充填されて、輝尽性蛍光体ファイバー15同
士を接合している。輝尽性蛍光体ファイバー15は一般
に輝尽性蛍光体粒子と結着剤とからなる。
【0032】図1〜3において、隔壁11は、少なくと
も低光吸収性微粒子とそれを分散含有する高分子物質と
からなるのが好ましく、特に好ましくは低光吸収性微粒
子、空隙および高分子物質からなる。
【0033】図1の輝尽性蛍光体シートでは、隔壁11
の頂部と底部はともにシートの両表面に露出していた
が、その頂部と底部の両方あるいはいずれか一方がシー
トに埋没していてもよい。ただし、隔壁の高さは輝尽性
蛍光体シートの厚みの1/3乃至1/1の範囲にあるの
が望ましい。
【0034】本発明の輝尽性蛍光体シートは、たとえば
以下に述べる添付図面の図4乃至図7に図示された積層
スライス法によって製造することができる。その方法
を、輝尽性蛍光体充填領域がシートの深さ方向に配向し
た柱状または針状の輝尽性蛍光体粒子と結合剤とからな
り、隔壁が低光吸収性微粒子と高分子物質とからなる場
合(図2参照)を例にとって説明する。
【0035】輝尽性蛍光体充填領域に用いる輝尽性蛍光
体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光
の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発
光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような輝尽性蛍
光体の例は、特開平2−193100号公報および特開
平4−310900号公報に詳しく記載されている。特
に好ましい輝尽性蛍光体としては、ユーロピウムあるい
はセリウムによって付活されているアルカリ土類金属ハ
ロゲン化物系蛍光体(例、BaFBr:Eu、およびB
aF(Br,I):Eu)、そしてセリウム付活希土類
オキシハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。
【0036】これらの内でも、希土類付活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系蛍光体は、 基本組成式: MIIFX:zLn ‥‥(I) で代表される特に好ましい輝尽性蛍光体である。ただ
し、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはC
e、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、E
r、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素を表す。XはCl、Br及びIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。zは
0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
【0037】上記基本組成式(I)中のMIIとしては、
Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとして
は、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基
本組成式(I)では表記上F:X=1:1のように見え
るが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すも
のであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すもの
ではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの
空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態
が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める
上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にある
ことが多い。
【0038】なお、基本組成式(I)では省略されてい
るが、必要に応じて下記のような添加物を基本組成式
(I)に加えてもよい。 bA,wNI,xNII,yNIII ただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属
酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上で
は、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子で
IIFXとの反応性が低いものを用いることが好まし
い。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を
表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土
類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、
Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選
ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これ
らの金属化合物としては、特開昭59−75200号公
報に記載のようなハロゲン化物を用いることが好ましい
が、それらに限定されるものではない。
【0039】また、b、w、x及びyはそれぞれ、MII
FXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0
≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦
0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成
やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては
最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけでは
ない。また、上記化合物には最終的な組成物において添
加されたままの化合物として残留するものもあれば、M
IIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものも
ある。
【0040】その他、上記基本組成式(I)には更に必
要に応じて、特開昭55−12145号公報に記載のZ
n及びCd化合物;特開昭55−160078号公報に
記載の金属酸化物であるTiO2、BeO、MgO、C
aO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、I
23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、Th
2;特開昭56−116777号公報に記載のZr及
びSc化合物;特開昭57−23673号公報に記載の
B化合物;特開昭57−23675号公報に記載のAs
及びSi化合物;特開昭59−27980号公報に記載
のテトラフルオロホウ酸化合物;特開昭59−4728
9号公報に記載のヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオ
ロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価
もしくは2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;特開
昭59−56480号公報に記載のV、Cr、Mn、F
e、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加し
てもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を
含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成
を有するものであれば如何なるものであってもよい。
【0041】上記基本組成式(I)で表される希土類付
活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体
は、通常は、アスペクト比が1/1〜5/1の範囲にあ
る。本発明の輝尽性蛍光体シートに用いる蛍光体粒子
は、アスペクト比が2/1〜5/1の範囲にある柱状又
は針状の蛍光体粒子である。そして、粒子サイズのメジ
アン径(Dm)が1〜10μm(好ましくは、2〜7μ
m)の範囲にあり、粒子サイズ分布の標準偏差をσとし
たときのσ/Dmが50%以下(好ましくは、40%以
下)のものである。また、粒子の形状としては直方体
型、八面体型、14面体型およびこれらの中間多面体型
などがあるが、それらのうちでも14面体型が好まし
い。
【0042】前述したアスペクト比が2/1以上の柱状
または針状の輝尽性蛍光体粒子は、たとえば上記希土類
付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体につい
ては特開平7−233369号公報に詳細に記載されて
いるように、ハロゲン化アンモニウムおよび希土類ハロ
ゲン化物等を含む水溶液に無機弗化物の水溶液とハロゲ
ン化バリウムの水溶液を添加して蛍光体前駆体結晶を沈
殿させた後、沈殿物を水溶液から分離し、次いで焼結を
避けながら焼成することにより、製造することができ
る。
【0043】結合剤としては、たとえばゼラチン等の蛋
白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラ
ビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニル
ブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチ
ルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマ
ー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・
酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセ
テートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエ
ステル、熱可塑性エラストマーなどのような合成高分子
物質を挙げることができる。なお、これらの結合剤は架
橋剤によって架橋されたものであってもよい。
【0044】上記の柱状または針状の輝尽性蛍光体粒子
および結合剤を溶剤に加え、これを充分に混合して、輝
尽性蛍光体充填領域形成用の塗布液を調製する。塗布液
調製用の溶剤の例としては、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、n−ブタノール等の低級アルコー
ル;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩
素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコー
ルとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル;そして、それ
らの混合物を挙げることができる。
【0045】塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との
混合比は、目的とする輝尽性蛍光体シートの特性、蛍光
体の種類などによっても異なるが、一般には1:1乃至
1:100(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に
1:3乃至1:20(重量比)の範囲から選ぶのが好ま
しい。なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の
分散性を向上させるための分散剤や、形成後における結
合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤
などの種々の添加剤が混合されていてもよい。
【0046】まず、上記の輝尽性蛍光体充填領域形成用
塗布液を塗布機を用いて塗布、乾燥して、図4に図示さ
れているような多数枚の薄膜状の輝尽性蛍光体フィルム
Aを得る。その際に、塗布機から押し出される塗布液の
押出速度に対して長尺状の支持体の搬送速度を充分に大
きくすることにより、柱状または針状の蛍光体粒子を塗
布方向に配向させる。蛍光体粒子の配向性を更に高める
ために、得られた輝尽性蛍光体フィルムをカレンダー処
理によって塗布方向に一軸延伸することが好ましい。
【0047】一方、隔壁内に導入する低光吸収性の微粒
子の例としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化
チタン、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム、酸化テ
ルル、酸化ジルコニウムなど無機物の微粒子を挙げるこ
とができる。また、上記輝尽性蛍光体粒子(球状または
板状であってもよい)を用いることもできる。これらの
うちで特に好ましいのはアルミナおよび酸化イットリウ
ムである。隔壁の光散乱長を前記範囲とするためには、
低光吸収性微粒子の粒子径は一般に0.01〜5.0μ
mの範囲にあるのが望ましく、0.4〜0.8μmmの
範囲にあることが特に好ましい。
【0048】高分子物質(結合剤樹脂)については、特
段の制限はなく、前記の輝尽性蛍光体充填領域の結合剤
として挙げたものの中から任意に選択して用いることが
できる。隔壁の光散乱長を短くするためには、上記低光
吸収性微粒子の屈折率と高分子物質の屈折率との比率は
1.1〜3.0の範囲にあることが望ましく、そのよう
な好ましい高分子物質の例としては、ポリウレタン、ポ
リアクリル、ポリエチレン、ポリスチレンおよびフッ素
系樹脂を挙げることができる。
【0049】上記の低光吸収性微粒子および高分子物質
を溶剤に加え、これを充分に混合して、隔壁形成用の塗
布液を調製する。塗布液調製用の溶剤としては、前述の
輝尽性蛍光体充填領域形成用塗布液に用いる溶剤の中か
ら任意に選択して用いることができる。塗布液における
高分子物質と低光吸収性微粒子との混合比は、目的とす
る輝尽性蛍光体シートの特性、低光吸収性微粒子の種類
などによっても異なるが、一般には1:80乃至1:3
(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:20乃至
1:10(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。この
隔壁形成用塗布液を塗布、乾燥して、図4に図示されて
いるような薄膜の隔壁形成用フィルムBを多数枚得る。
【0050】次いで、図5に示されているように、輝尽
性蛍光体フィルムAと隔壁形成用フィルムBとを交互に
多数枚積層して積層体を形成する。このとき、輝尽性蛍
光体フィルムAは、蛍光体粒子の配向が同じ方向に揃う
ようにして積層する。得られた積層体を、図6に示され
ているように、圧力をかけながら加熱して隣接するフィ
ルム間を密着させて、積層体ブロックを形成する。
【0051】次に、図7に示されているように、積層体
ブロックを積層面に沿って、蛍光体粒子の配向方向に直
交する方向にスライスすることにより、輝尽性蛍光体フ
ィルムAの細片と隔壁形成用フィルムBの細片とが交互
に並んだ構成の本発明の輝尽性蛍光体シートを得ること
ができる。
【0052】あるいは、輝尽性蛍光体充填領域が図3に
示されるように、輝尽性蛍光体と結着剤とからなる輝尽
性蛍光体ファイバーの集合体である場合には、まず輝尽
性蛍光体粒子と結着剤を適当な溶剤に加え混合して分散
液を調製する。輝尽性蛍光体としては、前記の各種の蛍
光体を用いることができ、直方体型、正六面体型、正八
面体型、14面体型、不定型粉砕粒子など任意の形状の
粒子状物を使用することができる。結着剤および溶剤と
しては、前記輝尽性蛍光体充填領域の結合剤および溶剤
として挙げたものの中から任意に選択して用いることが
できる。分散液における結着剤と輝尽性蛍光体との混合
比は、一般には1:1乃至1:100(重量比)の範囲
から選ばれ、そして特に1:3乃至1:20(重量比)
の範囲から選ぶのが好ましい。
【0053】この分散液を押出機を用いて押し出し、乾
燥することにより、直径が10〜300μmの範囲の輝
尽性蛍光体ファイバーを多数本形成する。次いで、得ら
れた多数本の輝尽性蛍光体ファイバーを再剥離可能な支
持体上に同一方向に互いに接するように並べた後、高分
子物質の溶液をその上から塗布、乾燥することにより、
多数本の輝尽性蛍光体ファイバーが一次元方向に配列さ
れた輝尽性蛍光体フィルムを多数枚得ることができる。
【0054】なお、前記散乱長および/または吸収長を
示す限りにおいて輝尽性蛍光体充填領域および隔壁には
空隙が存在していてもよい。輝尽性蛍光体充填領域の全
体積に対する輝尽性蛍光体の占める体積の比率は40〜
95%の範囲にあるのが望ましく、空隙の占める体積の
比率は0〜20%の範囲にあるのが望ましい。一方、隔
壁の全体積に対する低光吸収性微粒子の占める体積の比
率は30〜90%の範囲にあるのが望ましく、また空隙
の占める体積の比率は10〜70%の範囲にあるのが望
ましい。低光吸収性微粒子の屈折率と空隙の屈折率との
比率は1.1〜3.0の範囲にあるのが望ましい。輝尽
性蛍光体充填領域および隔壁中における空隙の比率は、
塗布液を塗布乾燥した後にカレンダー処理して加熱圧縮
することなどにより、所望の値に調整することができ
る。隔壁には、空隙の代わりに、シリコーンオイルやフ
ッ素化合物などの常温液体有機物質が含有されていても
よいし、あるいは更に感度向上の目的で輝尽性蛍光体が
含有されていてもよいし、またあるいは画像の鮮鋭度向
上の目的で励起光を吸収して輝尽発光光は吸収しないよ
うな着色剤によって着色されていてもよい。着色剤とし
ては、たとえば特公昭59−23400号公報に記載さ
れている着色剤など、輝尽性蛍光体シートの着色剤とし
て公知のものの中から任意に選んで用いることができ
る。
【0055】このようにして製造される輝尽性蛍光体シ
ートは、特に支持体や保護膜を備えている必要はない
が、輝尽性蛍光体シートの搬送や取扱い上の便宜や特性
変化の回避のために、支持体と保護膜とを備えていても
よい。また、感度を高めるために、輝尽性蛍光体シート
の片側(支持体を設ける場合にはシートと支持体の間)
に光反射層を備えていてもよい。さらに、支持体は透明
であってもよく、その場合には輝尽発光光の取り出しを
輝尽性蛍光体シートの両側から行う両面集光方式による
読取方法に適している。
【0056】支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚
さが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムであ
る。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、
励起光もしくは輝尽発光光を反射させるための光反射性
材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリ
ウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けても
よい。または、支持体に励起光もしくは輝尽発光光を吸
収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を
充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹
脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹
脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。必要に応
じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラス
シート、石英シートなどであってもよい。
【0057】保護膜は、励起光の入射や輝尽発光光の出
射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ま
しく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響
から輝尽性蛍光体シートを充分に保護することができる
ように、化学的に安定でかつ高い物理的強度を持つこと
が望ましい。保護膜としては、セルロース誘導体、ポリ
メチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂な
どのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解し
て調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成さ
れたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの
有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護膜形成
用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤
を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などに
よって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。ま
た、保護膜中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化
チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオ
レフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、お
よびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が
分散含有されていてもよい。保護膜の膜厚は一般に約
0.1〜20μmの範囲にある。
【0058】保護膜の表面にはさらに、保護膜の耐汚染
性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フ
ッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(また
は分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護膜の表面
に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹
脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。ま
た、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパー
フルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することも
できる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて
更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィ
ラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚
は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素
樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防
止剤などのような添加成分を用いることができる。特に
架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有
利である。
【0059】光反射層としては、例えば、アルミナ、二
酸化チタンあるいは硫酸バリウムなどの白色顔料、また
は輝尽発光を示さない蛍光体粒子を結合剤で分散支持さ
せて層状としたものを用いることができる。
【0060】さらに、輝尽性蛍光体シートと支持体との
間には、光吸収層、接着層、導電層などの補助機能層を
設けてもよく、また支持体表面には多数の凹部を形成し
てもよい。一方、支持体の輝尽性蛍光体シートを設けな
い側の表面には、搬送性を向上させたり、耐傷性を向上
させたりするために、摩擦低減層や耐傷層を設けてもよ
い。
【0061】本発明の輝尽性蛍光体シートを用いる放射
線像記録再生方法における記録画像の読取時に用いる集
光方式は、従来から一般的な片面集光方式(励起光入射
面から集光する方式あるいは励起光入射面とは反対側の
面から集光する方式の両方がある)であっても、または
両面集光方式であってもよいが、両面集光方式による放
射線画像の読取が、本発明の輝尽性蛍光体シートを用い
る場合には特に有利である。次に、本発明の輝尽性蛍光
体シートを用いる両面集光方式による放射線画像情報読
取方法について、添付図面の図8を参照しながら説明す
る。
【0062】放射線画像読取装置を用いて、輝尽性蛍光
体シートから被写体(もしくは被検体)の放射線画像を
読み取る。輝尽性蛍光体シートには、放射線撮影装置な
どを用いて、X線等の放射線源と輝尽性蛍光体シートと
の間に被写体を配置した後、放射線源から発せられた放
射線を被写体に照射して、この被写体を透過した放射線
を輝尽性蛍光体シートに入射させ、シートの輝尽性蛍光
体に該放射線のエネルギーを吸収蓄積させることによ
り、被写体の放射線画像が潜像として記録されている。
添付図面の図8は、本発明の両面集光方式の放射線画像
読取装置の構成の例を示す概略断面図である。
【0063】図8において、輝尽性蛍光体シート20
は、一対のニップローラ22a、22bにより装置内を
移動搬送される。レーザビーム等の励起光23は輝尽性
蛍光体シート20の上側表面より照射される。その際
に、励起光23の照射はストライプ状の隔壁11と蛍光
体充填領域12とを横切るような方向で走査させながら
行うことが有利である。シート20内から発せられた輝
尽発光光はその上下両表面に進み、このうちシート20
の下面側に進んだ輝尽発光光24aは、下方に設けられ
ている集光ガイド25aにより集光され、その集光ガイ
ド25aの基部に備えられた光電変換装置(フォトマル
チプライヤ)26aで電気信号に変換され、増幅器27
aで増幅され信号処理装置28に送られる。一方、シー
ト20の上面側に進んだ輝尽発光光24bは、直接、あ
るいはミラー29で反射されて、上方に設けられた集光
ガイド25bにより集光され、その集光ガイド25bの
基部に備えられた光電変換装置(フォトマルチプライ
ヤ)26bにて電気信号に変換され、増幅器27bで増
幅され信号処理装置28に送られる。信号処理装置28
では、増幅器27aと増幅器27bとから送られてきた
電気信号について、目的とする放射線画像の種類に基づ
いて予め決められている加算処理あるいは減算処理など
の演算処理を行い、処理後の信号を画像信号として送り
出す。
【0064】次いで、送り出された画像信号は画像再生
装置(図示なし)にて可視画像として再生される。再生
装置は、CRT等のディスプレイ手段でもよいし、感光
フィルムに光走査記録を行う記録装置であってもよい
し、あるいはまた、そのために画像信号を一旦光ディス
ク、磁気ディスク等の画像ファイルに記憶させる装置に
置き換えられてもよい。
【0065】一方、輝尽性蛍光体シート20は、ニップ
ローラ22a、22bにより矢印の方向に順次移動して
いき、読取工程に供された領域は次いで、ナトリウムラ
ンプや蛍光灯等の消去光源30を利用する消去工程に供
される。これにより、読取工程の後なおシートに残存し
ている放射線エネルギーが放出除去され、次回の放射線
画像の記録(撮影)工程において、残存放射線エネルギ
ーによる潜像が悪影響を及ぼすことがないようにされ
る。
【0066】あるいは、輝尽性蛍光体シートとして、励
起光照射側の表面に、該励起光に対する反射率がその入
射角増大に応じて増大し、一方では輝尽発光光に対する
反射率がその入射角に依存することない多層膜フィルタ
が付設されている輝尽性蛍光体シートを用いて、放射線
画像情報が潜像として蓄積記録された輝尽性蛍光体シー
トをその平面方向に移送しながら、もしくは励起光照射
装置を輝尽性蛍光体シートの平面方向に移動させなが
ら、輝尽性蛍光体シートに励起光を蛍光導光シート等を
用いて該移送方向と直交する方向に線状に照射し、輝尽
性蛍光体シートの励起光照射部分の潜像から放出される
輝尽発光光を多数の固体光電変換素子を線状に配置して
なるラインセンサ等を用いて逐次一次元的に光電検出し
て、該放射線画像情報を電気的画像信号として得る放射
線画像情報読取方法を利用することもできる。
【0067】
【実施例】[実施例1] 1)平均アスペクト比3/1、メジアン径5μmの柱状
の14面体型輝尽性蛍光体粒子(BaF(Br,I):
Eu)と、熱可塑性高分子量ポリエステル樹脂を重量比
5:1で有機溶剤中に分散させて塗布液を調製した。こ
の塗布液を剥離性表面を有する仮支持体上に塗布機を用
いて、仮支持体の搬送速度が塗布機への液供給速度より
も充分大きくなるようにして塗布し、乾燥して、柱状の
蛍光体粒子が塗布方向に配向した乾燥フィルム(厚み:
200μm)を形成した。この乾燥フィルムを仮支持体
より剥離した後、更にカレンダリングにより塗布方向と
同一方向に一軸延伸して蛍光体粒子の配向性を高め、厚
みが約100μmの輝尽性蛍光体フィルムAを得た。
【0068】2)粒子径0.6μmの酸化イットリウム
粒子と高分子量アクリル樹脂を重量比10:1で有機溶
剤中に分散させて、分散液を調製した。この分散液を塗
布機を用いて剥離性表面を有する仮支持体上に塗布し、
乾燥して、乾燥フィルムを形成した後、この乾燥フィル
ムを仮支持体より剥離して厚みが約10μmの隔壁形成
用フィルムBを得た。
【0069】3)輝尽性蛍光体フィルムAと隔壁形成用
フィルムBとを、輝尽性蛍光体フィルムAの配向方向が
同一となるようにして交互に合計400層積層して積層
体を得た後、その積層体を約1kg/cm2の圧力およ
び100℃の温度下に1時間置いて加圧加熱処理を行
い、積層体ブロックを形成した。
【0070】4)積層体ブロックを広幅ミクロトームを
用いて、積層断面に沿って輝尽性蛍光体フィルムAの配
向方向に直交するように、厚み1000μmでスライス
することにより、平面方向に一次元のストライプ構造を
有する輝尽性蛍光体シートを得た。
【0071】5)得られた輝尽性蛍光体シートをポリエ
チレンテレフタレートシート(支持体、厚さ:300μ
m)の上に接着剤を用いて接合して、支持体付き輝尽性
蛍光体シートを得た。
【0072】[実施例2] 1)メジアン径5μmの球状の14面体型輝尽性蛍光体
粒子(BaF(Br,I):Eu)と、熱可塑性高分子
量ポリエステル樹脂を重量比5:1で有機溶剤中に分散
させて分散液を調製した。この分散液を押出機を用いて
直径300μmのノズルから押し出し、乾燥して、直径
約100μmの輝尽性蛍光体ファイバーを形成した。こ
の輝尽性蛍光体ファイバーを剥離性表面を有する仮支持
体上に、同一方向に互いに接するように均一に並べた
後、有機溶剤で希釈した熱可塑性高分子量ポリエステル
樹脂をその上から塗布し、乾燥して、輝尽性蛍光体ファ
イバーが微量の熱可塑性高分子量ポリエステル樹脂を介
して一次元方向に配列接合されたフィルムを得た。この
フィルムを仮支持体より剥離して、厚みが約100μm
の輝尽性蛍光体フィルムCを得た。 2)輝尽性蛍光体フィルムAの代わりに上記の輝尽性蛍
光体フィルムCを用いたこと以外は実施例1と同様の方
法によって、平面方向に一次元のストライプ構造を有す
る支持体付き輝尽性蛍光体シートを得た。
【0073】[実施例3]実施例1において、得られた
輝尽性蛍光体シートを透明なポリエチレンテレフタレー
トシート(支持体、厚さ:300μm)の上に接着剤を
用いて接合したこと以外は実施例1と同様の方法によっ
て、平面方向に一次元のストライプ構造を有する透明支
持体付き輝尽性蛍光体シートを得た。
【0074】[比較例1]実施例1において、柱状の輝
尽性蛍光体粒子の代わりに球状の14面体型蛍光体粒子
(メジアン径:5μm)を用いたこと以外は実施例1と
同様の方法によって、平面方向に一次元のストライプ構
造を有する支持体付き輝尽性蛍光体シートを得た。
【0075】[比較例2] 1)実施例1において、柱状の輝尽性蛍光体粒子の代わ
りに球状の14面体型蛍光体粒子(メジアン径:5μ
m)を用いたこと以外は実施例1と同じ方法によって、
輝尽性蛍光体フィルムDを得た。
【0076】2)上記で得られた輝尽性蛍光体フィルム
Dと実施例1で得られた隔壁形成用フィルムBとを用い
て、実施例1と同様の方法によって積層体ブロック
(1)を形成した。 3)積層体ブロック(1)を広幅ミクロトームを用い
て、積層断面に沿って厚み100μmで繰り返しスライ
スすることにより、200枚の平面方向に一次元のスト
ライプ構造を有する輝尽性蛍光体フィルムEを得た。
【0077】4)上記で得られた輝尽性蛍光体フィルム
Eと前記の隔壁形成用フィルムBとを用いて、実施例1
と同様の方法によって合計400層の積層体ブロック
(2)を形成した。 5)積層体ブロック(2)を広幅ミクロトームを用い
て、ストライプの端面が現れている側の積層断面に沿っ
て厚み1000μmでスライスすることにより、平面方
向に二次元の格子構造を有する輝尽性蛍光体シートを得
た。
【0078】6)得られた輝尽性蛍光体シートをポリエ
チレンテレフタレートシート(支持体、厚さ:300μ
m)の上に接着剤を用いて接合して、平面方向に二次元
の格子構造を有する支持体付き輝尽性蛍光体シートを得
た。
【0079】[輝尽性蛍光体シートの性能評価]それぞ
れの実施例で用いた輝尽性蛍光体充填領域用の輝尽性蛍
光体フィルム(厚み:約100μm)および隔壁形成用
フィルム(厚み:約30μm)それぞれについて、分光
光度計を用いて励起波長として代表的な600nmおよ
び輝尽発光波長として代表的な400nmにおける透過
率を測定した。得られた透過率を前述のクベルカの理論
に基づく計算式(3)に代入して、光散乱長および光吸
収長を算出した。なお、蛍光体充填領域は深さ方向と隔
壁に平行な平面方向について算出した。得られた結果を
まとめて表1に示す。
【0080】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 輝尽性蛍光体充填領域 隔壁 深さ方向 平面方向 (μm) ──────────────────────────────────── 実施例1 光散乱長 39 16 4 光吸収長 >1000 >1000 >1000 実施例2 光散乱長 45 20 4 光吸収長 >1000 >1000 >1000 実施例3 光散乱長 39 16 4 光吸収長 >1000 >1000 >1000 ──────────────────────────────────── 比較例1 光散乱長 39 39 4 光吸収長 >1000 >1000 >1000 比較例2 光散乱長 39 −−− 4 光吸収長 >1000 >1000 >1000 ────────────────────────────────────
【0081】得られた各輝尽性蛍光体シートに、管電圧
80kVpのX線(線量10mR)を照射した後、シー
トのX線照射面をHe−Neレーザ光で走査してそのシ
ート表面より片面集光方式にて輝尽発光光を検出し、そ
の発光強度により感度を評価した。また、輝尽性蛍光体
シートに鮮鋭度チャートを介して上記X線を照射した後
同様にレーザ光で走査して画像データを得、得られた画
像データから鮮鋭度を評価した。その際に、鮮鋭度チャ
ートをシートの一次元ストライプ構造に垂直な方向と平
行な方向に置いた場合それぞれについて評価を行った。
各評価は、下記の5段階で行い、基準として市販の隔壁
が設けられていない放射線像変換パネル(ST−VN、
富士写真フィルム(株)製)の感度および鮮鋭度を2とし
た。なお、実施例3については両面集光方式により読み
取りを行った。 感度 : 高い ← 5、4、3、2、1 → 低い 鮮鋭度: 高い ← 5、4、3、2、1 → 低い 得られた結果を表2に示す。
【0082】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 鮮鋭度チャート 感度 鮮鋭度 総合画質 の配置方向 ──────────────────────────────────── 実施例1 垂直 4 4 4 平行 3 実施例2 垂直 3 4 3 平行 3 実施例3 垂直 5 4 5 平行 3 ──────────────────────────────────── 比較例1 垂直 4 4 2 平行 1 比較例2 垂直 3.5 4 4 平行 4 ────────────────────────────────────
【0083】表1および表2に示した結果から、一次元
のストライプ構造を有し、かつ輝尽性蛍光体充填領域の
光散乱率が異方性を示す本発明の輝尽性蛍光体シート
(実施例1〜3)は、従来より公知の一次元のストライ
プ構造を有する輝尽性蛍光体シート(比較例1)と比較
して、隔壁に垂直な方向のみならず平行な方向にも鮮鋭
度が高く、よって全体として画質の優れた放射線画像を
与えた。特に、実施例3の両面集光読取方式用の輝尽性
蛍光体シートでは、両面集光方式で読み取ることによ
り、高感度であってその結果より一層高画質の画像が得
られた。
【0084】また、前記特願平11−68966号明細
書に記載されている二次元の格子構造を有する輝尽性蛍
光体シート(比較例2)と比較しても、本発明の輝尽性
蛍光体シートは同等に高い感度および画質を示した。従
って、本発明の製造方法は、工程数が少なく、かつ塗
布、貼り合わせといった比較的平易な工程からなる製造
法であって、高画質の画像を与える輝尽性蛍光体シート
を供することが明らかである。
【0085】
【発明の効果】本発明の一次元のストライプ構造を有す
る輝尽性蛍光体シートによれば、従来よりも製造工程を
簡略化して、かつ高画質の放射線画像を実現することが
できる。すなわち、励起光に対して短散乱長で発光光に
対して長吸収長の隔壁と、励起光に対して深さ方向には
長散乱長、隔壁に平行な平面方向には短散乱長で発光光
に対して長吸収長の蛍光体充填領域とを組み合わせるこ
とによって、より簡単な構造で励起光の平面方向への拡
散を有効に抑制して高鮮鋭度の放射線画像を実現すると
ともに、隔壁による励起光および発光光の吸収を減ら
し、シート深部まで励起光を届かせ、同時にシート深部
からの発光光を効率良く取り出して、総合的に発光光の
取り出し効率を顕著に高めることができる。
【0086】さらに、シートの厚さを厚くすることによ
り、X線など放射線の吸収を高めてより一層高画質の画
像を実現することができる。このため、特に医療用ラジ
オグラフィーや電子顕微鏡用の記録媒体、あるいはその
他の放射線記録媒体として使用した場合に、本発明の輝
尽性蛍光体シートは有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)は、本発明の輝尽性蛍光体シートの構成
を示す斜視図である。そして、(2)は、(1)の輝尽
性蛍光体シートの部分拡大図であり、(3)は、(2)
のI−I線から見た部分断面図である。
【図2】図1の(3)の一部を拡大した拡大断面図であ
る。
【図3】本発明の輝尽性蛍光体シートの別の態様を示す
部分拡大斜視図である。
【図4】本発明の積層スライス法により輝尽性蛍光体シ
ートを製造する方法を説明する図で、それぞれ輝尽性蛍
光体充填領域材料と隔壁材料となる輝尽性蛍光体フィル
ムAと隔壁形成用フィルムBの形成工程を示す図であ
る。
【図5】図3のフィルムAとBとから積層体を形成する
工程を示す図である。
【図6】図4の積層体から積層体ブロックに加工する工
程を示す図である。
【図7】図5の積層体ブロックから、本発明に従う平面
方向にストライプ構造を有する輝尽性蛍光体シートを得
るスライス工程を示す図である。
【図8】本発明に用いる両面集光方式の放射線画像読取
装置の構成の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 輝尽性蛍光体シート 11 隔壁 12 輝尽性蛍光体充填領域 13 柱状の輝尽性蛍光体粒子 14 結合剤 15 輝尽性蛍光体ファイバー 16 高分子物質 20 輝尽性蛍光体シート 22a、22b ニップローラ 23 励起光 24a、24b 輝尽発光光 25a、25b 集光ガイド 26a、26b 光電変換装置 27a、27b 増幅器 28 信号処理装置 29 ミラー 30 消去光源

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線画像を潜像として記録させた後、
    励起光を照射することにより該潜像から輝尽発光光を放
    出させ、次いで該輝尽発光光を電気的に処理することに
    より放射線画像を再生することからなる放射線像記録再
    生方法に用いる輝尽性蛍光体シートであって、該輝尽性
    蛍光体シートを平面方向に沿って一次元方向に細分区画
    するストライプ状の隔壁と該隔壁により区画された輝尽
    性蛍光体充填領域とからなり、そして (1)該隔壁の励起光に対する散乱長が0.05〜20
    μmの範囲にあり、輝尽発光光に対する吸収長が100
    0μm以上であり、 (2)該輝尽性蛍光体充填領域の深さ方向の励起光に対
    する散乱長が20〜100μmの範囲にあり、平面方向
    であって隔壁に平行な方向の励起光に対する散乱長が
    0.05〜20μmの範囲にあり、かつ深さ方向の散乱
    長が平面方向の散乱長よりも大きい、 ことを特徴とする輝尽性蛍光体シート。
  2. 【請求項2】 輝尽性蛍光体充填領域の深さ方向および
    平面方向の輝尽発光光に対する吸収長がいずれも100
    0μm以上である請求項1に記載の輝尽性蛍光体シー
    ト。
  3. 【請求項3】 輝尽性蛍光体充填領域に充填されている
    輝尽性蛍光体が、アスペクト比が2/1以上の柱状また
    は針状の粒子形状にあって、かつシートの深さ方向に配
    向している請求項1または2に記載の輝尽性蛍光体シー
    ト。
  4. 【請求項4】 輝尽性蛍光体充填領域が、輝尽性蛍光体
    と結着剤とから形成された輝尽性蛍光体ファイバーの集
    合体であって、かつ該輝尽性蛍光体ファイバーがシート
    の深さ方向に配列されている請求項1または2に記載の
    輝尽性蛍光体シート。
  5. 【請求項5】 隔壁が少なくとも低光吸収性微粒子と高
    分子物質とからなる請求項1乃至4のうちのいずれかの
    項に記載の輝尽性蛍光体シート。
  6. 【請求項6】 下記の工程からなる請求項3に記載の輝
    尽性蛍光体シートの製造方法: 1)アスペクト比が2/1以上の柱状または針状の輝尽
    性蛍光体粒子および結合剤を含有する塗布液を一定速度
    で塗布乾燥することにより、塗布方向に該粒子が配向し
    た輝尽性蛍光体フィルムを多数枚形成する工程; 2)輝尽性蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを、
    輝尽性蛍光体粒子の配向方向を同じにして交互に多数枚
    積層して、隣接するフィルムが相互に密着した積層体ブ
    ロックを形成する工程;そして 3)積層体ブロックを、積層面に沿って輝尽性蛍光体粒
    子の配向方向に垂直な方向にスライスして、輝尽性蛍光
    体フィルムの細片と隔壁形成用フィルムの細片とが交互
    に並んだ構成の輝尽性蛍光体シートを得る工程。
  7. 【請求項7】 隔壁形成用フィルムが低光吸収性微粒子
    と高分子物質とからなり、かつ塗布により形成されたも
    のである請求項6に記載の輝尽性蛍光体シートの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 工程2)における積層体ブロックの形成
    を、輝尽性蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを交
    互に多数枚積層して積層体とした後、その積層体を加圧
    下に加熱することにより実施する請求項6に記載の輝尽
    性蛍光体シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 下記の工程からなる請求項4に記載の輝
    尽性蛍光体シートの製造方法: 1)輝尽性蛍光体および結着剤を含有する分散液を用い
    て成形することより、輝尽性蛍光体ファイバーを多数本
    形成する工程; 2)多数本の輝尽性蛍光体ファイバーを同じ方向に並べ
    て相互に接合することにより、輝尽性蛍光体ファイバー
    が一次元方向に配列された輝尽性蛍光体フィルムを多数
    枚形成する工程; 3)輝尽性蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを、
    輝尽性蛍光体ファイバーの配列方向を同じにして交互に
    多数枚積層して、隣接するフィルムが相互に密着した積
    層体ブロックを形成する工程;そして 4)積層体ブロックを、積層面に沿って輝尽性蛍光体フ
    ァイバーの配列方向に垂直な方向にスライスして、輝尽
    性蛍光体フィルムの細片と隔壁形成用フィルムの細片と
    が交互に並んだ構成の輝尽性蛍光体シートを得る工程。
  10. 【請求項10】 隔壁形成用フィルムが低光吸収性微粒
    子と高分子物質とからなり、かつ塗布により形成された
    ものである請求項9に記載の輝尽性蛍光体シートの製造
    方法。
  11. 【請求項11】 工程3)における積層体ブロックの形
    成を、輝尽性蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを
    交互に多数枚積層して積層体とした後、その積層体を加
    圧下に加熱することにより実施する請求項9に記載の輝
    尽性蛍光体シートの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至5のうちのいずれかの項
    に記載の輝尽性蛍光体シートであって、放射線画像情報
    が潜像として蓄積記録されている輝尽性蛍光体シートの
    片面に励起光を照射し、励起光照射部分の潜像から放出
    される輝尽発光光を該輝尽性蛍光体シートの片面もしく
    は両面から光電検出して、該放射線画像情報を電気的画
    像信号として得ることからなる放射線画像情報読取方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の放射線画像情報読
    取方法に用いられる放射線画像読取装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1394568A1 (en) * 2002-08-30 2004-03-03 Fuji Photo Film Co., Ltd. Radiation image storage panel
JP2006300947A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Siemens Ag X線またはガンマ線用の検出器モジュール

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