JP2001131641A - 高加工性、高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

高加工性、高強度熱延鋼板の製造方法

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JP2001131641A
JP2001131641A JP31385099A JP31385099A JP2001131641A JP 2001131641 A JP2001131641 A JP 2001131641A JP 31385099 A JP31385099 A JP 31385099A JP 31385099 A JP31385099 A JP 31385099A JP 2001131641 A JP2001131641 A JP 2001131641A
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Tsutomu Kami
力 上
Akio Tosaka
章男 登坂
Osamu Furukimi
古君  修
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度で格段に優れた加工性を有する熱延鋼
板の製造方法を提案する。 【解決手段】 Ti、Nb及びCuを複合添加したスラブを熱
間圧延する際、A3変態点と圧延中に進行するオーステナ
イト−フェライト変態開始温度Ar3 変態点との差△T=
A3変態点−Ar3 変態点が△T≦100 ℃、かつオーステナ
イト−フェライト変態開始から終了までの所要時間が10
0 秒未満を満たすようにスラブ加熱温度及び粗圧延終了
温度を制御し、さらに粗圧延をAr3 変態点以上で行い、
仕上圧延開始温度をAr3 変態点未満とし、少なくとも50
0 〜750 ℃の温度域での合計圧下率が50%以上となる圧
延を行い、その後直ちにコイルに巻取ってから、750 〜
900℃の温度域にて再結晶焼鈍を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、加工性及び強度
に優れた熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のパネル等に使用される薄鋼板に
は、優れた深絞り性が要求される。この深絞り性を向上
させるためには、鋼板の機械的特性として、ランクフォ
ード値(平均r値、以下r値と略す。)及び延性(E
l)が良好であることが必要とされる。一方、近年、自
動車の車体軽量化及び安全性向上を目的として、引張強
度340 〜590 MPa というような、より高強度の鋼板を自
動車のパネル等に用いようとする機運が急速に高くなっ
てきている。このような高強度の鋼板であっても、プレ
ス成形の際には優れた深絞り性が要求されることはいう
までもない。そこで、高強度化と優れた深絞り性という
背反する特性を具備する鋼板の開発が要請されてきた。
【0003】また、最近では製造するのにエネルギー消
費量が少ない鋼(エコスチール)が要望される観点及び
製造コスト低減の観点から、自動車のパネル等に、冷延
鋼板に替えて熱延鋼板を適用することが検討されている
(例えば、特開平6−65641号公報、特開平7−1
88779号公報)。そこで、冷延鋼板と同等の優れた
強度と加工性を具備する熱延鋼板の開発が望まれている
ところである。
【0004】更に、自動車の車体を構成する構造部材の
分野において、チューブハイドロフォーミングという成
形方法が注目を浴び、適用が検討あるいは実際に行われ
つつある。この成形方法は、多くの部品を一体化できる
コストメリットのほか、軽量化と衝突変形安全性を両立
させ得る有力な手法である。かかる成形方法に使用され
る電縫管用薄鋼板には、いうまでもなく優れた加工性及
び高強度が要求される。
【0005】しかしながら、従来の高強度熱延鋼板で
は、強度が高くなるとr値が低下し、一方、r値が高く
なると強度の低下を余儀なくされるところに問題を残し
ていた。すなわち、上掲した特開平6−65641号公
報に開示の熱延鋼板は、r値が1.6 以上の場合には300
MPa 以下の引張強度しか得られず、一方引張強度が440M
Pa 以上の場合にはr値は1.5 以下に低下していた。こ
の点は特開平7−188779号公報に開示された鋼板
も同様で、優れたr値及び引張強度の両者を兼備させる
ことはできなかった。
【0006】これらの問題を解決する方法として特開平
10−310843号公報には、(1) スラブ加熱温度
(SRT)を低めに設定すること、(2) Nb、Ti及びCuを
複合添すること及び(3) 熱間圧延に際し、低温度域で高
圧下を付与すること、が所望の目的に対し有効であるこ
とが開示されている。また、この公報には、CuはTi、Nb
との複合添加及び低温スラブ加熱の下で、熱延板の結晶
粒を効果的に微細化し、これにより再結晶後の{11
1}集合組織の発達を促進して、r値を向上させること
ができることが記載されている。しかしながら、Cuはオ
ーステナイト形成成分であり、しかも鋼片の表面欠陥の
発生防止のために添加されるNiも同様にオーステナイト
形成成分であることから、Cu及びNiを含有する鋼板を熱
延する際には、オーステナイト−フェライト変態点の低
温化及び変態の進行速度の低下が起こる。つまり、熱延
温度範囲ではフェライト−オーステナイトの2相域が広
くなってしまう。その結果、仕上圧延中にオーステナイ
ト→フェライト変態が進行するので{100}集合組織
が形成され、先鋭な{111}集合組織の形成が阻害さ
れることから、必ずしも高r値を達成できなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決し、高強度で格段に優れた加工性を有す
る熱延鋼板の製造方法を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、高強度かつ
深絞り性を向上させた鋼板を得べく鋭意研究を重ねた結
果、鋼の成分組成と製造条件を特定することにより、優
れた加工性を有する高強度の鋼板が得られることを見い
だした。
【0009】より具体的には、フェライト域での熱間圧
延により熱延加工組織を形成させ、その後の再結晶焼鈍
により{111}集合組織を発達させる製造プロセスを
活用して、高強度かつ高r値の特性を有する熱延鋼板を
製造するにあたり、C:0.01wt%以下、Si:1.5 wt%以
下、Mn:1.0 wt%以下、Ti:0.01〜0.20wt%、Nb:0.00
5 〜0.07wt%、Cu:0.5 〜1.5 wt%、Ni:0.3 〜1.5 wt
%、Al:0.02〜0.10wt%、P:0.05wt%以下、S:0.01
wt%以下及びN:0.01wt%以下を含有し、残部は実質的
にFeの組成になるスラブを熱間圧延する際、A3変態点と
圧延中に進行するオーステナイト−フェライト変態開始
温度:Ar3 変態点との差:△T=A3−Ar 3 が△T≦100
℃、かつオーステナイト−フェライト変態開始から終了
までの所要時間が100 秒以下となるようにスラブ加熱温
度及び粗圧延終了温度を制御することがオーステナイト
形成元素を多く含有する鋼では重要であることを見い出
した。
【0010】すなわち、この発明の第1の態様は、C:
0.01wt%以下、Si:1.5 wt%以下、Mn:1.0 wt%以下、
Ti:0.01〜0.20wt%、Nb:0.005 〜0.07wt%、Cu:0.5
〜1.5 wt%、Ni:0.3 〜1.5 wt%、Al:0.02〜0.10wt
%、P:0.05wt%以下、S:0.01wt%以下及びN:0.01
wt%以下を含有し、残部は実質的にFeの組成になるスラ
ブを熱間圧延する際、A3変態点と圧延中に進行するオー
ステナイト−フェライト変態開始温度Ar3 変態点との差
△T=A3変態点−Ar3 変態点が△T≦100 ℃、かつオー
ステナイト−フェライト変態開始から終了までの所要時
間が100 秒以下を満たすようにスラブ加熱温度及び粗圧
延終了温度を制御し、さらに粗圧延をAr3 変態点以上で
行い、仕上圧延開始温度をAr3 変態点未満とし、少なく
とも500 〜750 ℃の温度域での合計圧下率が50%以上と
なる圧延を行い、その後コイルに巻取ってから、750 〜
900 ℃の温度域にて再結晶焼鈍を施すことを特徴とする
加工性に優れた熱延鋼板の製造方法である。また、この
発明の第2の態様は、第1の態様において再結晶焼鈍に
引き続き、400 〜650 ℃の温度範囲で熱処理を施すこと
を特徴とする、引張強度440 MPa 以上を有する加工性に
優れた高加工性、高強度熱延鋼板の製造方法である。
【0011】この発明に従い製造される熱延鋼板は、出
荷段階で最終特性を出現させておくものと、出荷段階で
は最終特性を出現させず、需要者側で最終加工後、熱処
理を施して所望特性を発現させるものの2種類を包含す
る。上記の第1の態様は後者の出荷段階では最終特性を
出現させない場合、一方上記第2の態様は、前者の出荷
段階で最終特性を出現させた場合に相当する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明をより具体的に説
明する。まず、この発明において、鋼板の成分組成を前
記の範囲に限定した理由は次のとおりである。 ●C:0.01wt%以下 Cは、r値の向上と密接な関係のある{111}方位の
再結晶集合組織の発達を阻害するので、極力低減するこ
とが好ましいが、0.01wt%以下であれば許容できる。
【0013】●Si:1.5 wt%以下 Siは、伸びの低下を抑制し、また、強度を向上させる有
用な成分であるが、Si量が1.5 wt%を超えると延性を低
下させるだけでなく、表面性状を悪化させてしまうので
上限を1.5 wt%とした。より好ましくは1.0wt %以下で
ある。また、オーステナイト形成元素を鋼の強化成分と
して添加した場合には、Siは熱延中のオーステナイト−
フェライト変態開始温度の低下を抑制するために有効な
成分であるため、0.2 wt%以上添加することが好まし
い。
【0014】●Mn:1.0 wt%以下 Mnは、鋼の強化成分として有効に働くが、Mn量が1.0 wt
%を超えると延性の低下を招くので、1.0 wt%以下に限
定した。より好ましくは0.5wt %以下である。なお、Mn
はオーステナイト形成成分であるため、多量の添加は熱
延中のオーステナイト→フェライト変態開始温度の低下
を招くので、好ましくは0.5 wt%以下とする。
【0015】●Ti:0.01〜0.20wt% Tiは鋼中のC、Nを析出物として固定し、{111}再
結晶集合組織の発達、ひいてはr値の向上に有効に寄与
するが、Ti量が0.01wt%未満ではその効果が乏しく、一
方、0.20wt%を超えるとむしろ延性を低下させるので、
含有量は0.01〜0.20wt%の範囲に限定した。なお、この
Ti添加によるr値の向上効果は、Cu、Nbの複合添加、更
には低温スラブ加熱との組合せにより一層高められる。
すなわち、Nbとの複合添加により熱間圧延の仕上圧延時
に好ましい熱延加工組織が形成され、かつ、Tiはオース
テナイト→フェライト変態の進行を阻害しないので、熱
間圧延の仕上圧延をフェライト域で実施し易い。
【0016】●Nb:0.005 〜0.07wt% NbもTi同様に、C、Nを析出物として固定し、{11
1}再結晶集合組織の発達、ひいてはr値の向上に有効
に寄与する。このNbの効果は上述のようにTi、Cuとの複
合添加により一層高まり、r値向上のために寄与する。
この効果は、Nb量が0.005 wt%未満では現れず、一方、
0.07wt%以上の添加は延性の低下を招くだけでなく、熱
間圧延時のオーステナイト→フェライト変態の進行を大
幅に遅滞させるために仕上圧延途中にオーステナイト→
フェライト変態が進行することから、高r値が得られ難
い。
【0017】●Cu:0.5 〜1.5 wt% Cuは、焼鈍後の加熱処理による強度上昇とともにTi、Nb
との複合添加及び熱延条件の適正化により、r値の向上
に有効な{111}再結晶集合組織を発達するのに有効
に寄与する。Cu添加量が0.5 wt%未満では十分な高強度
化が達成されず、1.5 wt%を超えると熱延後の低温変態
相が形成し易く、r値が低下するので、Cu含有量は0.5
〜1.5 wt%とした。
【0018】●Ni:0.3 〜1.5 wt% Niは、鋼片の表面欠陥の低減に有効な成分であり、また
強度の向上にも有効である。その効果は0.3 wt%以上の
添加で出現し、一方、1.5 wt%を超えると、むしろr値
を低下させるので、Ni含有量は0.3 〜1.5 wt%とした。
【0019】●Al:0.02〜0.10wt% Alは、脱酸を行うため及び炭窒化物形成成分の歩留り向
上のために添加されるが、含有量が0.02wt%未満では効
果がなく、0.10wt%以上では逆に延性の低下を招く。
【0020】●P:0.05wt%以下 Pは、固溶強化成分として鋼の強化に有効に寄与する
が、0.05wt%を超えて添加すると、熱間仕上圧延後の熱
処理中にFeTiP又はFeNbPなどの燐化合物を形成し、再
結晶後の組織中における{111}集合組織の先鋭性を
低下させるため、0.05wt%以下であることが望ましい。
【0021】●S:0.01wt%以下 Sが多量に含有されると介在物量が増加し、延性の低下
を招くので、S量は極力低減することが望ましいが、0.
01wt%までは許容される。
【0022】●N:0.01wt%以下 NもCと同様に極力低減することが好ましいが、0.01wt
%以下であれば許容できる。
【0023】以上、この発明の成分組成範囲について説
明した。次に、この発明の製造条件について具体例を用
いて説明する。 C:0.002 wt%、Si:0.29wt%、Mn:0.1 wt%、P:0.
01wt%、S:0.01wt%、Al:0.049 wt%、Ti:0.068 wt
%、Nb:0.015 wt%、Cu:1.0 wt%、Ni:0.5wt%及び
N:0.002wt %を有するスラブを用い、実験室にてスラ
ブ加熱温度及び粗圧延終了温度(粗圧延終了温度は、ス
ラブ加熱温度−100 ℃とした)を変えて圧下率を実機粗
圧延相当の30%としてΔT(A3変態点と熱延中に進行す
るオーステナイト→フェライト変態開始温度Ar3 変態点
との差)及びオーステナイト−フェライト変態開始から
終了までの時間tを調べた。
【0024】ここに、△Tの測定方法について述べる。
ここでのA3変態点は、対象となる鋼のオーステナイト→
フェライト変態温度であり、変態による熱膨張変化測定
又は変態発熱測定により求められた温度、又は平衡状態
図計算から求められた温度を用いる。一方、熱延中に進
行するオーステナイト→フェライト変態開始温度Ar3
び変態開始から終了までの経過時間tは、対象鋼のスラ
ブを実験室にて実機をシミュレイトして圧延したときの
材温変化から評価される。A3変態点と熱延中に進行する
オーステナイト→フェライト変態開始点との乖離は、高
強度化のために添加されたオーステナイト形成元素であ
るCu及びNiによるオーステナイト→フェライト変態点の
低温化やNb添加等に起因する変態進行の遅滞化などによ
り起こると推定される。
【0025】上述の実験結果を、図2に示す。この図2
より、スラブ加熱温度の低下に従って、熱延中のオース
テナイト→フェライト変態開始温度Ar3 が高くなり、△
Tが小さくなるとともに、オーステナイト→フェライト
変態開始から終了までの時間tが短くなることがわか
る。
【0026】次に、前記のスラブをスラブ加熱温度及び
粗圧延終了温度を変えて、△T(A3変態点と熱延中に進
行するオーステナイト→フェライト変態開始温度:Ar3
変態点との差)及びオーステナイト→フェライト変態開
始から終了までの時間tを変化させ、引き続き500 〜75
0 ℃の温度域で 合計圧下率が60%となる圧延を行い、
コイルに巻取ってから、再結晶処理を施した後のr値を
図1に示す。図1に示すとおり、△T≦100 ℃かつオー
ステナイト→フェライト変態開始から終了までの所要時
間tが100 秒以下の場合に、r値≧1.8 が得られている
ことがわかる。特に、tが70秒以下の場合には、r値が
2.2 以上という、優れた特性が得られている。
【0027】●熱間圧延条件 以上の実験から、r値が1.8 以上を満足するような熱延
鋼板を製造するには、△Tが100 ℃以下、かつ オース
テナイト→フェライト変態開始から終了までの所要時間
tが100 秒未満になるようなスラブ加熱温度及び粗圧延
終了温度に制御する必要がある。粗圧延はAr3 変態点以
上で粗圧延を終了する。Ar3 変態点未満で粗圧延を終了
すると、オーステナイト→フェライト変態が進行し、仕
上圧延前のフェライト粒が粗大化しr値の低下を招く。
更に、仕上圧延開始温度がフェライト単相域にあること
が重要である。その理由は、仕上圧延開始温度がオース
テナイトとフェライトとの2相域にあると、オーステナ
イト相とフェライト相との変形抵抗の差からフェライト
粒が伸展粒となり、αファイバー組織が発達し易く、次
工程の焼鈍で{100}集合組織が形成され、高r値化
に有効な{111}集合組織の発達が阻害されるためで
ある。また、△Tが100 ℃を超える場合でも、仕上圧延
開始温度をフェライト域にすること自体は不可能ではな
いが、この場合は圧延開始温度が750 ℃以下といった低
温域になるため、圧延荷重が著しく高くなるという問題
が生じるので現実的でない。
【0028】オーステナイト→フェライト変態開始から
終了までの所要時間tは図1に示すとおり、100 秒以
下、より好ましくは70秒以下とする。tが長くなると仕
上圧延開始前にオーステナイト→フェライト変態を完了
させて、仕上圧延をフェライト域で開始することが困難
になり、その結果、仕上げ圧延中に変態が進行するため
好ましい再結晶集合組織が得られない。仕上圧延をフェ
ライト域で開始させるため、仕上圧延前に一旦コイル状
を巻取ることが好ましい。仕上圧延前にコイルを滞留さ
せることにより、オーステナイト→フェライト変態を十
分に完了させることができる。したがって、一旦コイル
状に巻取った後、先行コイルの後尾端と巻取りコイルの
先行端を溶接し、連続的に圧延を行うエンドレス圧延を
用いることは、コイル長手方向の材質安定性の面で、よ
り好適である。
【0029】更に、この発明では、熱延工程において少
なくとも500 〜750 ℃の温度域を合計圧下率が50%以上
となる圧延を行うことを必須とする。このように熱間圧
延において、低温域で高圧下圧延を施すと、鋼中に歪み
が蓄積されて、再結晶焼鈍後の{111}集合組織の発
達が促進される。この効果を得るためには、圧延温度は
750 ℃以下とする必要があるが、500 ℃を下回ると圧延
荷重が高くなるという問題が発生する。また、上記温度
範囲における合計圧下率が50%に満たないと、歪み蓄積
効果が得られない。したがって、この発明では、少なく
とも500 〜750℃の温度範囲を合計圧下率が50%以上の
高圧下率で圧延する。なお、かかる圧延を潤滑下で行う
と、鋼板表面に加えられる剪断歪みの蓄積が抑制され、
その結果、再結晶後の{111}方位結晶粒の発達が更
に促進されるので望ましい。具体的には、油潤滑下で上
記圧延を行う。
【0030】●焼鈍温度:750 〜900 ℃ 熱間圧延後の焼鈍により再結晶集合組織を形成させる
が、そのためには焼鈍温度を750 ℃以上にすることが必
要である。とはいえ、900 ℃を超えると結晶粒が粗大化
し、肌荒れの原因になるので、焼鈍温度は750 〜900 ℃
の範囲に限定する。例えば、バッチ焼鈍による場合は、
750 〜850 ℃の温度域で1 時間以上20時間以内の均熱処
理を行えばよいし、連続焼鈍で行う場合は、800 〜900
℃の温度域で30秒〜5 分の均熱処理を行えばよい。
【0031】●加熱温度:400 〜650 ℃ この加熱処理により、微細Cuを析出させて鋼板の強度を
加熱処理前の引張強度よりも増加させる。Cu含有量及び
加熱温度及び時間によるが、引張強度の増加量は50〜15
0 MPa となる。このような強度上昇を達成するために
は、鋼板を400 ℃以上に加熱する必要があるが、650 ℃
を超えると、十分な強度上昇が認められなくなるので、
加熱温度は400 〜650 ℃の範囲にした。この加熱時間は
30秒〜2 時間の均熱処理を行う。なお、この熱処理は、
溶融亜鉛メッキ等の焼鈍プロセスで兼用することができ
る。また、この加熱処理を需要家で行うことも可能であ
り、成形後の熱処理で実施することもできる。この場合
の鋼板特性は、出荷段階で最終特性を発現させていない
ので、r値は変わらないが、引張強さについてはまだ、
析出硬化がほとんど進行していないので成形時は軟質で
であり、成形性の面からはむしろ有利と言える。
【0032】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成になる連続
鋳造スラブを950 ℃に加熱し、△T=A3変態点−Ar3
態点が100 ℃以下かつオーステナイト−フェライト変態
開始から終了までの所要時間tが70秒以下になるように
粗圧延終了温度をAr3 変態点以上で調整し、仕上圧延開
始温度をAr3 変態点未満とし、500 〜750 ℃での圧下
率:60%の潤滑圧延を施し、板厚2 mmの熱延鋼板とし
た。次いで、800 ℃で焼鈍した後、更に500 ℃にて加熱
処理を行った。かくして得られた鋼板の機械的性質につ
いて調べた結果を表2に示す。表2から分かるように、
この発明の要件を満足する場合にはいずれも、引張強度
TSが440 MPa 以上で、かつr値が2.2 以上、さらにTS
×Elバランスが18000 以上の優れた機械的特性が得られ
た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】(実施例2)表1に示したA、B鋼を用
い、表3に示す各条件で熱延鋼板(板厚2 mm)を熱間潤
滑圧延により製造した。得られた鋼板の機械的性質につ
いて調べた結果を表4に示す。表4から明らかなよう
に、この発明に従う適正条件で製造された場合はいずれ
も、焼鈍ままの場合は条件4, 5, 6, 17, 18, 19 に示さ
れ、引張強度375MPa以上、焼鈍後の加熱処理を施し、最
終特性を出現させた1, 2, 3, 14, 15, 16 の場合には44
0 MPa 以上で、かつr値:1.8 以上、更にはTS×El
≧18000の高強度で加工性に優れた熱延鋼板を製造する
ことができた。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、高張力化
と優れた深絞り性を、高いバランスで兼ね備える熱延鋼
板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 △T=A3変態点−Ar3 変態点及びtが熱延−
焼鈍後のr値に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】 スラブ加熱温度及び粗圧延終了温度の熱延条
件が△T、t及びAr3 変態点に及ぼす影響を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA04 EA13 EA15 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EB03 EB06 EB07 EB08 EB09 EB11 FB03 FB04 FF01 FF02 FF03 HA04 JA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01wt%以下、 Si:1.5 wt%以下、 Mn:1.0 wt%以下、 Ti:0.01〜0.20wt%、 Nb:0.005 〜0.07wt%、 Cu:0.5 〜1.5 wt%、 Ni:0.3 〜1.5 wt%、 Al:0.02〜0.10wt%、 P:0.05wt%以下、 S:0.01wt%以下及び N:0.01wt%以下 を含有し、残部は実質的にFeの組成になるスラブを熱間
    圧延する際、 A3変態点と圧延中に進行するオーステナイト−フェライ
    ト変態開始温度Ar3 変態点との差△T=A3変態点−Ar3
    変態点が△T≦100 ℃、かつオーステナイト−フェライ
    ト変態開始から終了までの所要時間が100 秒以下を満た
    すようにスラブ加熱温度及び粗圧延終了温度を制御し、
    さらに粗圧延をAr3 変態点以上で行い、仕上圧延開始温
    度をAr3 変態点未満とし、少なくとも500 〜750 ℃の温
    度域での合計圧下率が50%以上となる圧延を行い、その
    後コイルに巻取ってから、750 〜900 ℃の温度域にて再
    結晶焼鈍を施すことを特徴とする高加工性、高強度熱延
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 再結晶焼鈍に引き続き、400 〜650 ℃の
    温度範囲で熱処理を施すことを特徴とする、請求項1記
    載の引張強度440 MPa 以上を有する高加工性、高強度熱
    延鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI485258B (zh) * 2013-08-12 2015-05-21 China Steel Corp 膨脹接頭及其熱處理方法
CN109881098A (zh) * 2019-03-18 2019-06-14 刘闪闪 一种用于食品加工机械的耐腐蚀合金材料

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