JP2000192191A - バ―リング性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents
バ―リング性に優れた高張力鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
する。 【解決手段】 重量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0
%以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、S:0.005
%以下、Ti:0.03〜0.3 %を含み、かつ平均粒径3.5 μ
m 以下のフェライトと、平均粒径3.5 μm 以下の第2相
とからなる組織を有し、第2相の硬さ(Hv )とフェラ
イト相の硬さ(Hv )の比が、1.3 〜2.5とする。
Description
用、機械構造用、建築用等の使途に適用して有利な熱延
鋼板に係り、とくに熱延のままで超微細粒を有し、延
性、靱性、さらにバーリング性に優れた熱延鋼板に関す
る。
の燃費向上対策の1つとして、車体の軽量化に対する要
求が高い。車体の軽量化のためには、薄肉化を可能とす
る、高強度化した高張力熱延鋼板の使用が指向されてい
る。しかし、一般的に、高強度化に伴い、延性等が低下
するため、加工性が劣化する。このため、高強度化に伴
う延性、靱性、耐疲労特性などの劣化を抑え、加工性に
優れた高張力熱延鋼板が要望されていた。
従来からTi、Nb等の特殊元素を添加し固溶強化および炭
窒化物による析出強化を利用した熱延鋼板が提案されて
いる。しかしながら、この種の鋼板は、添加元素が高価
であり、コスト高となり経済的に問題があった。また、
加工性に優れた高張力鋼板として、フェライトを主相と
し、マルテンサイト、ベイナイト等を第2相とする複合
組織鋼板(デュアルフェーズ鋼板)が提案されている。
このデュアルフェーズ鋼板は、強度−延性バランスが優
れ高加工性を有し、自動車用部品に好適であるが、穴拡
げ加工性に劣るという問題を残していた。例えば、この
デュアルフェーズ鋼板を自動車用部品であるホイールに
適用するに際しては、 伸びフランジ性が低く、例えば、ホイールディスク加
工に際し、バーリング加工によるハブ穴成形で割れを発
生しやすいこと、 溶接熱影響部が軟化し、ホイールリム、型矯正時に溶
接熱影響部の肉厚減少が大きく、耐疲労特性の向上が見
られないこと、 などの問題があった。
て、例えば、特開昭57-145965 号公報に、合金元素を低
減したC−Si−Mn鋼を用いて、熱間圧延を施し熱延鋼板
とするに際し、最終圧延パス後の冷却速度と巻き取り温
度を調整することにより、フェライトとベイナイトの複
合組織を有する高張力熱延鋼板とする安価な熱延鋼板の
製造方法が開示されている。また、特開昭60-181231 号
公報には、仕上圧延の全圧下率や圧延後の冷却速度を調
整してベイナイトを主体とする組織とした高張力熱延鋼
板が開示されている。
イトを相当量残留させることでバーリング加工性(穴拡
げ性)を含む加工性を向上させる方法が検討されてい
る。たとえば特開平10-8138 号公報にはフェライト結晶
粒径を3.6 〜10μm程度に細粒化するとともにオーステ
ナイトを5〜20%残留させることにより、穴拡げ性を向
上させる鋼板の製造方法が提案されている。
57-145965 号公報に記載されたフェライトとベイナイト
の複合組織を有する高張力熱延鋼板では、バーリング加
工によるハブ穴成形での割れ発生は軽減されているが、
自動車メーカーから要望されているより一層高レベルの
特性を満たすまでには至っていない。
た鋼板は、低コストで、従来より穴拡げ加工性が改善さ
れている。しかしながら、この鋼板の強度−穴拡げ加工
性バランスは、引張強さ(TS)×穴拡げ加工性(λ
値)でたかだか47000 MPa %程度である。さらに、強度
−延性バランスは、TS×伸び(El)が最高でも2000
0 MPa %程度で、自動車メーカーから要望されているよ
り一層高レベルの特性を満たすまでには至っていない。
方法で製造された鋼板では、バーリング加工性には優れ
るものの、延性等の機械的特性の異方性が大きくなる。
さらに、相当量の残留オーステナイトを鋼帯全体にわた
りほぼ同一比率で存在させることは、現状の技術ではま
だ困難であり、歩留りが低下するという問題が残されて
いた。
に解決し、加工性に優れ、とくにバーリング性に優れた
高張力熱延鋼板を提供することを目的とする。
課題を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、第2相と
フェライトとの硬さ比を適正範囲内とすることにより穴
拡げ加工性が顕著に向上することを知見した。そして、
フェライト粒径の微細化による高強度化と、第2相の適
正化による延性向上を合わせ利用し、さらに第2相とフ
ェライトとの硬さ比を適正範囲内とすることにより、T
S−ElバランスおよびTS−λバランスの良好な、加
工性に優れ、とくに穴拡げ加工性(バーリング性)に優
れた高張力熱延鋼板が製造できることを見いだした。
検討を加え完成されたものである。すなわち、本発明
は、重量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、M
n:3.0 %以下、P:0.5 %以下、S:0.005 %以下、T
i:0.03〜0.3 %、を含み、あるいはさらにAl:0.10%
以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組
成を有し、かつ組織が、主相である平均粒径3.5 μm 以
下のフェライトと、平均粒径3.5 μm 以下の第2相とか
らなり、該第2相の硬さ(Hv )が前記フェライト相の
硬さ(Hv )の1.3 〜2.5 倍であることを特徴とするバ
ーリング性に優れた高張力鋼板であり、前記第2相が、
該第2相全体に対する体積率で、3〜12%のパーライト
を含むのが好ましい。
で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以
下、P:0.5 %以下、S:0.005 %以下、Ti:0.03〜0.
3 %、あるいはさらにAl:0.10%以下を含み、さらにN
b:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2
種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成
とするのが好ましく、また、本発明では、前記組成を、
重量%で、C:0.01〜0.3%、Si:1.0 %以下、Mn:3.0
%以下、P:0.5 %以下、S:0.005 %以下、Ti:0.0
3〜0.3 %、あるいはさらにAl:0.10%以下を含み、さ
らにCu:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下
のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなる組成とするのが好ましく、また、
本発明では、前記組成を、重量%で、C:0.01〜0.3
%、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以
下、S:0.005 %以下、Ti:0.03〜0.3 %、あるいはさ
らにAl:0.10%以下を含み、さらにCa、REM 、Bのうち
の1種または2種以上を合計で0.005 %以下含有し、残
部Feおよび不可避的不純物からなる組成とするのが好ま
しい。
で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以
下、P:0.5 %以下、S:0.005 %以下、Ti:0.03〜0.
3 %、あるいはさらにAl:0.10%以下を含み、さらにN
b:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2
種を含有し、さらにCu:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、
Ni:1.0 %以下のうちの1種または2種以上を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とするのが好
ましく、また、本発明では、前記組成を、重量%で、
C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、
P:0.5 %以下、S:0.005 %以下、Ti:0.03〜0.3
%、あるいはさらにAl:0.10%以下を含み、さらにNb:
0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2種、
さらにCa、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計
で0.005 %以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなる組成とするのが好ましく、また、本発明では、前
記組成を、重量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以
下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以下、S:0.005 %以
下、Ti:0.03〜0.3 %、あるいはさらにAl:0.10%以下
を含み、さらにCu:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、Ni:
1.0 %以下のうちの1種または2種以上、さらにCa、RE
M 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005 %以
下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と
するのが好ましい。
で、C:0.01〜0.3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以
下、P:0.5 %以下、S:0.005 %以下、Ti:0.03〜0.
3 %、あるいはさらにAl:0.10%以下を含み、さらにN
b:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2
種を含有し、さらにCu:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、
Ni:1.0 %以下のうちの1種または2種以上、さらにC
a、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005
%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
組成とするのが好ましい。
3 %、Si:1.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.5 %以
下、S:0.005 %以下、Ti:0.03〜0.3 %あるいはさら
にAl:0.10%以下を含む圧延用鋼素材を熱延鋼板とする
にあたり、1150℃以下に再加熱するか、あるいは1150℃
以下となってから熱間圧延を開始し、前記熱間圧延を、
動的再結晶低温域で少なくとも5パス以上の圧下を行な
うとともに、該動的再結晶低温域での最終圧下を圧下率
13〜30%で、最終圧下以外の圧下を圧下率4〜20%で行
い、圧延仕上げ温度(FDT)をAr3変態点以上とし、
熱間圧延後2sec 以内に冷却を開始し30℃/s 以上の冷
却速度で、(FDT−30℃)〜(FDT−180 ℃)の温
度域まで冷却し、好ましくは500 〜650 ℃の温度範囲で
コイルに巻き取ることを特徴とするバーリング性に優れ
た高張力鋼板の製造方法である。なお、本発明では、前
記圧延用鋼素材にさらに、Nb:0.3 %以下、V:0.3 %
以下のうちの1種または2種、Cu:1.0 %以下、Mo:1.
0 %以下、Ni:1.0 %以下のうちの1種または2種以
上、Ca、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で
0.005 %以下、を単独あるいは複合して含有してもよ
い。
組成の限定理由について説明する。 C:0.01〜0.3 % Cは、安価な強化成分であり、所望の鋼板強度に応じ必
要量を含有させる。C含有量が0.01%未満では、結晶粒
が粗大化し、本発明で目的とするフェライトの平均粒径
3.5 μm 以下を達成できなくなる。また、C含有量が0.
3 %を超えると、加工性が劣化するとともに溶接性も劣
化する。このため、Cは0.01〜0.3 %の範囲とする。よ
り好ましくは、0.05〜0.2 %の範囲である。
つつ強度上昇に有効に寄与する。また、フェライトの生
成を抑制し所望の第2相体積率を有する組織を得るうえ
で有効に作用するが、過剰な添加は、延性や表面性状を
劣化させる。このため、Siは1.0 %以下とする。なお、
好ましくは0.01〜0.7 %である。
化に寄与し、また、第2相の形成を進展させる作用を通
じ、強度−延性バランス、強度−疲労強度バランスを高
める作用を有する。さらに、有害な固溶SをMnS として
無害化する作用を有する。しかし、多量の添加は鋼を硬
質化し、却って強度−延性バランスを劣化させる。この
ようなことから、Mnは3.0 %以下とする。なお、より好
ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.5 〜2.0 %で
ある。
じ添加することができるが、過剰の添加は、粒界に偏析
し脆化の原因となる。このため、Pは0.5 %以下とす
る。なお、過剰な低減はコスト高となることもあり、好
ましくは0.001 〜0.2 %、より好ましくは0.005 〜0.2
%である。
せ、穴拡げ加工性(バーリング性)を劣化させるため、
できるだけ低減するのが望ましい。バーリング性の観点
からは0.005 %まで許容できる。このため、Sは0.005
%以下に限定した。なお、好ましくは0.0015%以下であ
る。
オーステナイト粒を微細化し、それ以降の熱間圧延過程
での動的再結晶を誘起させるために有効に作用する。こ
のような作用を発揮させるためには、少なくとも0.03%
以上の含有が必要であるが、0.3 %を超えて含有して
も、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できない。
このため、Tiは0.03〜0.3 %の範囲とするのが望まし
い。なお、より好ましくは、0.05〜0.20%である。
する元素であり、必要に応じ含有できる。0.10%を超え
る含有は、酸化物系介在物を増加させ清浄度が低下し、
表面欠陥を増加させる。このため、Alは0.10%以下に限
定するのが好ましい。なお、好ましくは0.005 〜0.07%
である。
れた1種または2種 Nb、Vは、いずれも炭窒化物を形成し、熱間圧延加熱段
階での初期オーステナイト粒を微細化する作用を有して
おり、必要に応じ、Tiと重畳して含有することにより、
さらに動的再結晶の発生に有効に作用する。しかし、0.
3 %を超えて多量に含有しても効果が飽和し含有量に見
合う効果が期待できない。このため、Nb、Vとも0.3 %
以下とするのが望ましい。
0 %以下、Cr:1.0 %以下から選ばれた1種または2種
以上 Cu、Mo、Ni、Crは、いずれも強化成分として、必要に応
じ、含有することができるが、多量の含有はかえって強
度−延性バランスを劣化させる。このため、Cu、Mo、N
i、Crは、いずれも1.0 %以下とするのが望ましい。な
お、上記した作用効果を十分に発揮するためには、少な
くとも0.01%以上含有させるのが好ましい。
を合計で0.005 %以下 Ca、REM 、Bは、いずれも硫化物の形状制御や粒界強度
の上昇を通じ加工性を改善する効果を有しており、必要
に応じ含有させることができる。しかし、過剰な含有
は、清浄度や再結晶性に悪影響を及ぼす恐れがあるた
め、合計で0.005 %以下とするのが望ましい。
は、残部Feおよび不可避的不純物からなる。本発明の熱
延鋼板の組織は、フェライトを主相とし、パーライト、
ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトから
選ばれた1種または2種以上からなる第2相を有してい
る。主相のフェライトの平均粒径を3.5 μm 以下、第2
相の平均粒径を3.5 μm 以下とする。フェライトの平均
粒径が3.5 μm を超えると、延性、靱性の向上が少なく
なる。このため、フェライトの平均粒径は3.5 μm を上
限とした。また、第2相の平均粒径が3.5 μm を超える
と、延性、靱性の向上が少なくなる。このため、第2相
の平均粒径は3.5 μm を上限とした。第2相は、パーラ
イトを第2相全体に対する体積率で3〜12%含むのが好
ましい。パーライトの体積率が3%未満では、引張強さ
(TS)−延性バランスが劣化し、12%を超えるとTS
─穴拡げ性バランスが低下する。
2相粒子の平均粒径は、常法に従い、圧延方向断面にお
ける平均粒径とする。さらに本発明では、第2相の硬さ
(Hv )2 を、フェライト相の硬さ(Hv ) F の1.3 〜
2.5 倍とする。第2相とフェライトとの硬さ比、(Hv
)2 /(Hv )F と引張強さTS×穴拡げ加工性(λ
値)の関係を図2に示す。(Hv )2 /(Hv )F を1.
3 〜2.5の範囲内とすることにより、穴拡げ加工性が顕
著に向上し、TS×λが60000MPa%以上と強度−穴拡げ
加工性バランスが顕著に向上する。なお、第2相に3〜
13%のパーライトが含まれると、TS×λがさらに増加
し強度−穴拡げ加工性バランスが格段に向上する。(H
v )2 /(Hv )F が1.3 未満では、フェライトの硬化
が著しく加工性が低下するとともに、穴拡げ加工性も低
下し、TS×λが60000MPa%未満となり、強度−穴拡げ
加工性バランスが低下する。また、(Hv ) 2 /(Hv
)F が2.5 を超えると、穴拡げ加工性が低下し、強度
−穴拡げ加工性バランスが低下する。
硬さは、微小硬さ試験機(ダイヤモンド圧子使用)を用
いて、荷重1g程度の荷重負荷でビッカース硬さを測定す
ることにより測定するものとする。つぎに、本発明の熱
延鋼板の製造方法について説明する。上記した成分組成
範囲に調整した溶鋼を、連続鋳造または造塊−分塊圧延
により圧延素材とし、この圧延素材に熱間圧延を施し熱
延鋼板とする。
ち再加熱する再加熱圧延としても、直送圧延やホットチ
ャージローリングとしてもよい。また、薄スラブ連続鋳
造法のような、連続鋳造されたスラブを直接熱間圧延し
てもよい。再加熱する場合には、初期オーステナイト粒
を微細化するために、1150℃以下に加熱するのが望まし
い。また、直送圧延する場合も、1150℃以下まで冷却し
たのち圧延を開始するのが動的再結晶を促進するために
好ましい。
際に、本発明では、動的再結晶低温域で少なくとも5パ
ス以上の繰り返し圧下を施すのが好ましい。動的再結晶
低温域で繰り返し圧下を施すことにより、オーステナイ
ト粒が微細化される。比較的低温で動的再結晶を起こさ
せる回数が多くなるほどオーステナイト粒の微細化が進
行するため、少なくとも5パス以上で、しかも連続する
5パス以上で圧下するのが好ましい。5パス未満では、
オーステナイト粒の微細化の程度が小さく、平均フェラ
イト粒径3.5 μm 以下の微細粒を達成しにくい。
的再結晶が生ずる範囲であれば特に限定されるものでは
ないが、動的再結晶低温域での最終圧下を除き、1パス
当たり4〜20%、好ましくは20%未満とするのが望まし
い。1パス当たりの圧下率が4%未満では、動的再結晶
が生じない。一方、1パス当たりの圧下率が20%を超え
ると、機械的特性、とくに伸びの異方性が高くなる。な
お、動的再結晶低温域での最終圧下は、第2相の微細化
を図るため、圧下率13〜30%とするのが好ましい。圧下
率が13%未満では、圧下による微細化の効果は少なく、
一方、30%を超えても微細化の増加程度は少なく、却っ
て圧延負荷が増大する。
度、歪が独立して制御できる測定装置(例えば、富士電
波工機製「加工フォーマスター」)により、圧延条件を
シミュレーションすることにより得られる歪−応力の関
係から予め測定した動的再結晶温度より決定するものと
する。動的再結晶温度は、鋼組成、加熱温度、圧下率、
圧下配分等で変化するが、850 〜1100℃の温度範囲内
で、通常250 〜100 ℃の幅で存在するといわれている。
なお、動的再結晶温度域の温度幅は、1パス当たりの圧
下率が高いほど、拡大する。
結晶温度域のできるだけ低い温度域での圧延が、γ→α
変態の変態サイトが増加し有利である。そこで、本発明
では、動的再結晶温度域での圧延に際し、動的再結晶低
温域において、5パス以上の圧下を行なう。ここで動的
再結晶低温域とは、(動的再結晶温度域の下限温度)+
80℃以下、好ましくは50℃以下とする。
質の異方性を低減する上で好ましくなく、島状(第2相
の粒径以下の間隔で他の第2相が存在する比率が20%以
下)に分布していることが好ましい。上記熱延条件によ
り、島状の第2相分布を得ることができる。動的再結晶
低温域における圧延中の被圧延材の温度低下を所定の範
囲内でできるだけ少なくするため、圧延スタンド間に加
熱手段を設置し、被圧延材またはロールを加熱してもよ
い。とくに、温度低下の著しい位置に加熱手段を設置す
るのが有効である。加熱手段の1例を図1に示す。図1
(a)に示す加熱手段は、高周波加熱装置であり、被圧
延材に交番磁場を印加することにより、誘導電流を生起
し被圧延材を加熱するものである。また、高周波加熱装
置に代えて、図1(b)に示すように、電熱ヒータを用
い、ロールを加熱してもよく、また直接通電加熱により
加熱しても良い。
つつ圧下を行ってもよいことは、いうまでもない。本発
明では、動的再結晶低温域での圧延以外の圧延条件はと
くに限定されないが、圧延仕上げ温度はAr3変態点以上
とする。圧延仕上げ温度(FDT)がAr3変態点未満で
は、鋼板の延性、靱性が劣化するためである。
板においては、この時点でのオーステナイト粒はほぼ等
軸の結晶粒となっており、熱間圧延終了後直ちに冷却す
る直近急冷を行えば、γ→α変態の変態核が多く、フェ
ライト粒の粒成長が抑制され組織が微細化される。この
ため、圧延終了後2sec 以内、好ましくは1sec 以内に
冷却を開始するのが好ましい。冷却開始が圧延終了後2
sec を超えると、γ→α変態核のサイトが減少し、α粒
の粒成長が起こり、3.5 μm 以下のフェライト粒を得る
ことが困難となる。
が好ましい。冷却速度が30℃/sec未満では、フェライ
ト粒の粒成長が生じ、微細化が達成できないうえ、第2
相を微細にすることが難しくなる。本発明では、熱延板
は、熱間圧延終了後、2sec 以内に冷却を開始し、30℃
/s 以上の冷却速度で、(FDT−30℃)〜(FDT−
180 ℃)の温度域(急冷停止温度)まで冷却し、好まし
くは500 〜650 ℃の温度範囲でコイルに巻き取るものと
する。
−180 ℃)の温度域(急冷停止温度)まで急冷すること
により、巻き取りまでにTi系析出物の析出が促進されフ
ェライトが析出強化される。また、γ→α変態が促進さ
れフェライト粒の微細化が促進される。なお、急冷停止
後の平均冷却速度は25℃/s 以下とするのが好ましい。
硬さ比、(Hv )2 /(Hv )F との関係の1例を図3
に示す。急冷停止温度が(FDT−30℃)より高温の場
合には、その後の冷却で結晶粒が成長し、組織の微細化
が達成できなくなる。さらに第2相とフェライトとの硬
さ比、(Hv )2 /(Hv )F が2.5 を超えると、第2
相が硬化しすぎて、穴拡げ加工性が低下する。また、急
冷停止温度が(FDT−180 ℃)より低温の場合には、
第2相とフェライトとの硬さ比、(Hv )2 /(Hv )
F が2.5 を超え、第2相が硬くなりすぎ、穴拡げ加工性
が低下する。
き取るのが好適である。巻取温度は、500 〜650 ℃の温
度範囲とするのが好ましい。この範囲の温度で巻取るこ
とにより、第2相が3〜12%(第2相全体に対する体積
率)のパーライトを有するようになる。しかし、巻取温
度が高いと、第2相がパーライト主体の組織となりフェ
ライト粒の粒成長が起こりやすくなる。一方、巻取温度
が低すぎると、第2相がマルテンサイト主体の組織とな
る。このようなことから、巻き取り温度は500〜650 ℃
の温度範囲内とするのが望ましい。
によりスラブ(圧延素材)とした。これらスラブを表2
に示す種々の条件で加熱、熱間圧延、圧延後冷却を行っ
て熱延鋼板(板厚2.3 〜3.3 mm)とした。なお、鋼板N
o.2、No.6は、潤滑圧延を実施した。
張特性、穴拡げ加工性を調査し、表3に示す。組織は、
鋼板の圧延方向断面について、光学顕微鏡あるいは電子
顕微鏡を用いて、フェライトの体積率、粒径および第2
相の組織、体積率、粒径を測定した。また、引張特性
は、鋼板の圧延方向について、JIS 5号試験片により引
張特性(降伏点YS、引張強さTS、伸びEl)を測定
した。
0 )の打抜き穴を加工したのち、頂角60°の円錐ポンチ
で押し広げる加工を施し、割れが板厚を貫通した直後の
穴径Dを求め、λ= {(D−D0 )/D0 }×100 %か
ら求められるλ値で評価した。これらの結果を表3に示
す。
平均粒径が3.5 μm 以下で、かつ第2相の平均粒径が3.
5 μm 以下で、第2相の硬さ(Hv )2 と、フェライト
の硬さ(Hv )F との比、(Hv )2 /(Hv )F が1.
3 〜2.5 であり、低降伏比で、TS×El値が22000MPa
・%以上と高く、さらにλ値が92%以上と高い穴拡げ加
工性を有し、TS×λ値が60000 MPa ・%以上と高く、
加工性に優れた高張力熱延鋼板となっている。なお、第
2相が、パーライトを3〜12%を含む場合は、TS×λ
値が70000MPa%以上となる。(鋼板No. 2〜No. 4、N
o. 6〜No.11 )。
再結晶の生起がなく、フェライト平均粒径が大きく、さ
らに第2相の粒径も大きく、本発明の範囲を外れる鋼板
No.1 、No. 5 は、伸び、TS×El値、TS×λ値が
低くなっている。また、動的再結晶低温域での圧延回数
が少なく、第2相とフェライトとの硬さ比が本発明の範
囲を外れる鋼板No.12 は、TS×El値、TS×λ値が
低くなっている。また、急冷停止温度が低く(Hv )2
/(Hv )F が大きく、本発明の範囲を外れる鋼板No.1
7 はTS×λ値が低くなっている。
No.13 、Tiが高く本発明範囲を外れる鋼板No.14 、Mnが
高く本発明範囲を外れる鋼板No.15 、Cが低く本発明範
囲を外れる鋼板No.16 では、TS×El値、TS×λ値
が低くなっている。
な機械的特性を具備し、かつ強度−伸びバランス、強度
−穴拡げ性バランスに優れ、プレス成形性に優れた高張
力熱延鋼板を安価に製造でき、産業上格段の効果を奏す
る。
式図である。
(Hv )2 /(Hv )F におよぼす熱間圧延終了後の急
冷停止温度の影響を示すグラフである。
さと第2相の硬さ比、(Hv ) 2 /(Hv )F の影響を
示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.01〜0.3 %、 Si:1.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.5 %以下、 S:0.005 %以下、 Ti:0.03〜0.3 %、 を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有
し、かつ組織が、主相である平均粒径3.5 μm 以下のフ
ェライトと、平均粒径3.5 μm 以下の第2相とからな
り、該第2相の硬さ(Hv )が前記フェライト相の硬さ
(Hv )の1.3 〜2.5 倍であることを特徴とするバーリ
ング性に優れた高張力鋼板。 - 【請求項2】 前記組成に加えて、さらに重量%で、N
b:0.3 %以下、V:0.3 %以下のうちの1種または2
種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記
載のバーリング性に優れた高張力鋼板。 - 【請求項3】 前記組成に加えて、さらに重量%で、C
u:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下のう
ちの1種または2種以上を含有する組成とすることを特
徴とする請求項1または2に記載のバーリング性に優れ
た高張力鋼板。 - 【請求項4】 前記組成に加えて、さらに重量%で、C
a、REM 、Bのうちの1種または2種以上を合計で0.005
%以下含有する組成とすることを特徴とする請求項1
ないし3のいずれかに記載のバーリング性に優れた高張
力鋼板。 - 【請求項5】 前記第2相が、該第2相全体に対する体
積率で、3〜12%のパーライトを含むことを特徴とする
請求項1ないし4のいずれかに記載のバーリング性に優
れた高張力鋼板。 - 【請求項6】 重量%で、 C:0.01〜0.3 %、 Si:1.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.5 %以下、 S:0.005 %以下、 Ti:0.03〜0.3 %、 を含む圧延用鋼素材を熱延鋼板とするにあたり、1150℃
以下に再加熱するか、あるいは1150℃以下となってから
熱間圧延を開始し、前記熱間圧延を、動的再結晶低温域
で少なくとも5パス以上の圧下を行なうとともに、該動
的再結晶低温域での最終圧下を圧下率13〜30%で、最終
圧下以外の圧下を圧下率4〜20%で行い、圧延仕上げ温
度(FDT)をAr3変態点以上とし、熱間圧延後2sec
以内に冷却を開始し30℃/sec 以上の冷却速度で、(F
DT−30℃)〜(FDT−180 ℃)の温度域まで冷却
し、コイルに巻き取ることを特徴とするバーリング性に
優れた高張力鋼板の製造方法。 - 【請求項7】 前記コイルに巻き取る温度を、500 〜65
0 ℃の温度範囲とすることを特徴とする請求項6に記載
のバーリング性に優れた高張力鋼板の製造方法。
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1998
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