JP2001131126A - アダマンタン誘導体及びその製造法 - Google Patents

アダマンタン誘導体及びその製造法

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JP2001131126A
JP2001131126A JP31753899A JP31753899A JP2001131126A JP 2001131126 A JP2001131126 A JP 2001131126A JP 31753899 A JP31753899 A JP 31753899A JP 31753899 A JP31753899 A JP 31753899A JP 2001131126 A JP2001131126 A JP 2001131126A
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JP31753899A
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English (en)
Inventor
Keizo Inoue
慶三 井上
Shinya Nagano
慎哉 長野
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯科用材料の原料等として有用な新規なアダ
マンタン誘導体を得る。 【解決手段】 アダマンタン誘導体は、下記式(1) 【化1】 [式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2a及び
2bは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示
し、A1及びA2は、同一又は異なって、−C(=O)−
O−基又は−O−C(=O)−基(何れも右側をアダマ
ンタン環側とする)を示し、X1及びX2は、同一又は異
なって、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキ
レン基を示す]で表される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科材料若しくは
その原料、レンズなどの光学材料の原料等として有用な
新規なアダマンタン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】アダマンタン化合物は非芳香族性で且つ
リジッドであるという特殊な環構造により種々の機能を
有するため、様々な分野で注目されている。例えば、イ
ンレーやクラウンなどの歯冠用材料を窩洞や支台歯に装
着するために用いる合着材、歯又は修復物と接着して修
復物の保持に用いる接着材、歯の欠損部に填める充填
材、表面滑沢剤などの歯科用の材料として、アダマンタ
ン骨格を有する重合性単量体やその重合体を用いること
が提案されている。
【0003】特開昭63−233906号公報には、ア
ダマンタン骨格を有するアルコールの(メタ)アクリル
酸エステルを単量体とするアクリル系ポリマーを含む歯
科用材料が開示されている。また、特開昭63−233
907号公報には、アダマンタンのウレタン誘導体を含
む歯科用材料が開示されている。特開平4−80223
号公報及び特開平4−360809号公報には、アダマ
ンタン骨格を有する重合性ウレタン化合物と揮発性化合
物と重合開始剤とを含有する歯科用表面滑沢剤が開示さ
れている。しかし、これらの歯科用材料は、未だ耐水
性、安定性、光沢などの点で必ずしも充分満足できるも
のではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、歯科用材料の原料等として有用な新規なアダマンタ
ン誘導体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、アダマンタン環に2
つの(メタ)アクリロイルオキシアルキル基がエステル
基を介して結合している新規なアダマンタン誘導体を見
出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、下記式(1)
【化8】 [式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR
3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示
し、A1及びA2は、同一又は異なって、−C(=O)−
O−基又は−O−C(=O)−基(何れも右側をアダマ
ンタン環側とする)を示し、X1及びX2は、同一又は異
なって、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキ
レン基を示す]で表されるアダマンタン誘導体を提供す
る。
【0007】本発明は、また、下記式(2)
【化9】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す)で表され
るアダマンタンジカルボン酸又はその反応性誘導体と、
下記式(3a)及び(3b)
【化10】 (式中、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又
はメチル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、
炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を
示す)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステルとを反応させて、下記式(1a)
【化11】 (式中、R1、R2、R3、X1、X2は前記に同じ)で表
されるアダマンタン誘導体を生成させるアダマンタン誘
導体の製造法(以下、「製造法1」と略称する場合があ
る)を提供する。
【0008】本発明は、さらに、下記式(4)
【化12】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す)で表され
るアダマンタンジオールと、下記式(5a)及び(5b)
【化13】 (式中、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又
はメチル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、
炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を
示す)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基を有す
るカルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させて、下
記式(1b)
【化14】 (式中、R1、R2、R3、X1、X2は前記に同じ)で表
されるアダマンタン誘導体を生成させるアダマンタン誘
導体の製造法(以下、「製造法2」と略称する場合があ
る)を提供する。なお、本明細書では、「アクリル」と
「メタクリル」とを「(メタ)アクリル」、「アクリロ
イル」と「メタクリロイル」とを「(メタ)アクリロイ
ル」と総称する場合がある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の前記式(1)で表される
アダマンタン誘導体において、X1及びX2は、同一又は
異なって、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアル
キレン基を示す。
【0010】前記炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状
のアルキレン基として、例えば、メチレン、エチレン、
メチルエチレン、トリメチレン、1−メチルトリメチレ
ン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメ
チレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチ
レン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレ
ン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン、デカメチ
レン、ドデカメチレン基などが挙げられる。これらの中
でも、炭素数2〜8程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキ
レン基、特に炭素数2〜6程度の直鎖状又は分岐鎖状の
アルキレン基が好ましい。
【0011】前記式(1)で表される化合物の代表的な
例として、ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル]1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビス
[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]5,7−ジ
メチル−1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビ
ス[3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]1,3
−アダマンタンジカルボキシレート、ビス[3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピル]5,7−ジメチル−
1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビス[2−
(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル]1,
3−アダマンタンジカルボキシレート、ビス[2−(メ
タ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル]5,7−
ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボキシレート、
ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルエ
チル]1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビス
[2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルエチ
ル]5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボ
キシレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシブ
チル]1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビス
[4−(メタ)アクリロイルオキシブチル]5,7−ジ
メチル−1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビ
ス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロ
ピル]1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビス
[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロピ
ル]5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボ
キシレート、ビス[5−(メタ)アクリロイルオキシペ
ンチル]1,3−アダマンタンジカルボキシレート、ビ
ス[5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル]5,7
−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボキシレー
ト、ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−
ジメチルプロピル]1,3−アダマンタンジカルボキシ
レート、ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,
2−ジメチルプロピル]5,7−ジメチル−1,3−ア
ダマンタンジカルボキシレート、ビス[6−(メタ)ア
クリロイルオキシヘキシル]1,3−アダマンタンジカ
ルボキシレート、ビス[6−(メタ)アクリロイルオキ
シヘキシル]5,7−ジメチル−1,3−アダマンタン
ジカルボキシレートなどの前記A1及びA2が共に−O−
C(=O)−基(右側をアダマンタン環側とする)であ
る化合物;1,3−ビス[2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルカルボニルオキシ]アダマンタン、5,7−
ジメチル−1,3−ビス[2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルカルボニルオキシ]アダマンタン、1,3−
ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルカルボ
ニルオキシ]アダマンタン、5,7−ジメチル−1,3
−ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルカル
ボニルオキシ]アダマンタン、1,3−ビス[2−(メ
タ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチルカルボニル
オキシ]アダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ビ
ス[2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチ
ルカルボニルオキシ]アダマンタン、1,3−ビス[2
−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルエチルカル
ボニルオキシ]アダマンタン、5,7−ジメチル−1,
3−ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチ
ルエチルカルボニルオキシ]アダマンタン、1,3−ビ
ス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルプロ
ピルカルボニルオキシ]アダマンタン、5,7−ジメチ
ル−1,3−ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−
2−メチルプロピルカルボニルオキシ]アダマンタン、
1,3−ビス[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2,
2−ジメチルプロピルカルボニルオキシ]アダマンタ
ン、5,7−ジメチル−1,3−ビス[3−(メタ)ア
クリロイルオキシ−2,2−ジメチルプロピルカルボニ
ルオキシ]アダマンタンなどの前記A1及びA2が共に−
C(=O)−O−基(右側をアダマンタン環側とする)
である化合物などが例示される。
【0012】本発明のアダマンタン誘導体は、(メタ)
アクリロイル基を有するため、例えば慣用のラジカル重
合により単独重合体又は共重合可能な他の単量体との共
重合体に誘導できる。こうして得られるポリマーは、非
芳香族性で且つリジッドなアダマンタン環を含んでいる
ため、透明性、光沢、硬度、耐水性などに優れる。その
ため、本発明のアダマンタン誘導体は、歯牙窩洞の充填
修復材、歯科用複合充填材料、義歯床用材料、歯冠用材
料、合着用材料、歯列矯正用接着剤、窩洞塗布用接着
剤、歯牙裂講封鎖材、歯科用表面滑沢剤などの歯科材料
の原料;レンズなどの光学材料の原料等として利用でき
る。
【0013】前記式(1)で表されるアダマンタン誘導
体は、4つのエステル結合を有しており、これらのエス
テル結合を慣用のエステル化反応を利用して形成するこ
とにより製造することができる。4つのエステル結合の
形成順序は、反応性や原料のコストなどを考慮して適宜
選択できる。
【0014】前記式(1)で表されるアダマンタン誘導
体のうち、前記A1及びA2が共に−O−C(=O)−基
(右側をアダマンタン環側とする)である化合物(1a)
は、本発明の製造法1により製造することができる。す
なわち、前記式(2)で表されるアダマンタンジカルボ
ン酸又はその反応性誘導体と、前記式(3a)及び(3b)
で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエス
テルとを反応させることにより、前記式(1a)で表され
るアダマンタン誘導体を得ることができる。この方法に
おいて、2つのエステル結合は同時に形成してもよく、
段階的に形成してもよい。
【0015】例えば、前記式(3a)で表される(メタ)
アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと式(3b)で表
される(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル
とが同一の化合物である場合には、該(メタ)アクリル
酸ヒドロキシアルキルエステルと前記式(2)で表され
るアダマンタンジカルボン酸又はその反応性誘導体とを
反応させることによりワンステップで、対応する式(1
a)で表されるアダマンタン誘導体を得ることができ
る。
【0016】また、前記式(3a)で表される(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシアルキルエステルと式(3b)で表さ
れる(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと
が異なる化合物である場合には、これらの化合物のうち
何れか一方の化合物と前記式(2)で表されるアダマン
タンジカルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させ、
前記式(2)で表されるアダマンタンジカルボン酸又は
その反応性誘導体をモノエステル化し、次いでこのモノ
エステル体と前記2つの化合物のうち他方の化合物とを
反応させることにより、対応する式(1a)で表されるア
ダマンタン誘導体を得ることができる。
【0017】式(2)で表されるアダマンタンジカルボ
ン酸の反応性誘導体としては、アルコールと反応して対
応するエステルを生成可能な誘導体、例えば、対応する
酸クロリドなどの酸ハライド;酸無水物;メチルエステ
ル、エチルエステル、ビニルエステル、2−プロペニル
エステルなどのエステル(アルキルエステル、アルケニ
ルエステルなど)などが挙げられる。これらの反応性誘
導体は、式(2)で表されるアダマンタンジカルボン酸
から慣用の方法により誘導できる。
【0018】式(2)で表されるアダマンタンジカルボ
ン酸と式(3a)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シアルキルエステル及び/又は式(3b)で表される(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとの反応
(エステル化)は、通常、反応に不活性な溶媒中で行わ
れる。前記溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水
素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化
炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジ
エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエ
ーテル、アニソールなどのエーテル;及びこれらの混合
溶媒などが挙げられる。溶媒としては、副生する水と共
沸し且つ水と分液可能な溶媒(共沸脱水可能な溶媒)、
例えばトルエンなどが好ましい。
【0019】エステル化反応に用いる触媒としては、例
えば、硫酸、塩酸、リン酸、ヘテロポリ酸などの無機
酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナ
フタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、スルホン酸系強
酸性イオン交換樹脂などのスルホン酸類などが挙げられ
る。また、ルイス酸を触媒として用いることもできる。
これらは単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0020】上記エステル化反応は、常圧又は減圧下、
例えば50〜150℃程度の温度で行われる。式(2)
で表されるアダマンタンジカルボン酸の使用量は、式
(3a)及び(3b)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステルの総量1モルに対して、例えば
0.7〜1.5モル程度である。
【0021】一方、前記式(2)で表されるアダマンタ
ンジカルボン酸の反応性誘導体と式(3a)で表される
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び/
又は式(3b)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキシ
アルキルエステルとの反応(エステル化)は、該反応性
誘導体の種類に応じて、塩基やエステル交換触媒の存在
下で行うことができる。例えば、式(2)で表されるア
ダマンタンジカルボン酸の反応性誘導体として酸ハライ
ドや酸無水物を用いる場合には、トリエチルアミン、ピ
リジンなどの塩基(酸捕捉剤)の存在下、例えば前記溶
媒中、−78℃〜150℃程度の温度下で反応が行われ
る。
【0022】なお、上記の各エステル化反応では、重合
反応を抑制するため、ハイドロキノン、メトキシフェノ
ール、酸素含有ガスなどの重合禁止剤や重合抑制剤を反
応系に添加若しくは供給してもよい。
【0023】反応により生成した式(1a)で表されるア
ダマンタン誘導体は、慣用の分離精製手段、例えば、濃
縮、抽出、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフ
ィーなど、又はこれらの組み合わせにより分離精製する
ことができる。
【0024】なお、上記反応において原料として用いる
式(2)で表されるアダマンタンジカルボン酸は、対応
するアダマンタン化合物のアダマンタン環の橋頭位にカ
ルボキシル基を2つ導入することにより得られる。より
具体的には、アダマンタン化合物をN−ヒドロキシフタ
ルイミドなどのN−ヒドロキシイミド系触媒と、必要に
応じて、コバルト化合物(例えば、酢酸コバルト、コバ
ルトアセチルアセトナト、バナジウムアセチルアセトナ
ト、バナジルアセチルアセトナト等)などの金属系助触
媒の存在下、一酸化炭素及び酸素と接触させることによ
り、アダマンタン化合物のアダマンタン環にカルボキシ
ル基を導入できる。このカルボキシル化反応において、
N−ヒドロキシイミド系触媒の使用量は、アダマンタン
化合物1モルに対して、例えば0.0001〜1モル、
好ましくは0.001〜0.5モル程度である。また、
金属系助触媒の使用量は、アダマンタン化合物1モルに
対して、例えば0.0001〜0.7モル、好ましくは
0.001〜0.5モル程度である。一酸化炭素及び酸
素の使用量は、例えば、アダマンタン化合物1モルに対
して、それぞれ2モル以上及び1モル以上である。一酸
化炭素と酸素の割合は、例えば、前者/後者(モル比)
=1/99〜99/1程度、好ましくは50/50〜9
5/5程度である。カルボキシル化反応は、例えば、酢
酸などの有機酸、アセトニトリルなどのニトリル類、ジ
クロロエタンなどのハロゲン化炭化水素などの溶媒中、
常圧又は加圧下、0〜200℃程度、好ましくは10〜
150℃程度の温度で行われる。
【0025】前記式(1)で表されるアダマンタン誘導
体のうち、前記A1及びA2が共に−C(=O)−O−基
(右側をアダマンタン環側とする)である化合物(1b)
は、本発明の製造法2により製造することができる。す
なわち、前記式(4)で表されるアダマンタンジオール
と、前記式(5a)及び(5b)で表される(メタ)アクリ
ロイルオキシ基を有するカルボン酸又はその反応性誘導
体とを反応させることにより、前記式(1b)で表される
アダマンタン誘導体を得ることができる。この方法にお
いて、2つのエステル結合は同時に形成してもよく、段
階的に形成してもよい。
【0026】例えば、前記式(5a)で表される化合物又
はその反応性誘導体と式(5b)で表される化合物又はそ
の反応性誘導体とが同一の化合物である場合には、この
化合物と前記式(4)で表されるアダマンタンジオール
とを反応させることによりワンステップで、対応する式
(1b)で表されるアダマンタン誘導体を得ることができ
る。
【0027】また、前記式(5a)で表される化合物又は
その反応性誘導体と式(5b)で表される化合物又はその
反応性誘導体とが異なる化合物である場合には、これら
の化合物のうち何れか一方の化合物と前記式(4)で表
されるアダマンタンジオールとを反応させ、前記アダマ
ンタンジオールをモノエステル化し、次いでこのモノエ
ステル体と前記2つの化合物のうち他方の化合物とを反
応させることにより、対応する式(1b)で表されるアダ
マンタン誘導体を得ることができる。
【0028】式(5a)、(5b)で表される化合物の反応
性誘導体としては、アルコールと反応して対応するエス
テルを生成可能な誘導体、例えば、対応する酸クロリド
などの酸ハライド;酸無水物;メチルエステル、エチル
エステル、ビニルエステル、2−プロペニルエステルな
どのエステル(アルキルエステル、アルケニルエステル
など)などが挙げられる。
【0029】式(5a)で表される化合物及び/又は式
(5b)で表される化合物と式(4)で表されるアダマン
タンジオールとの反応(エステル化)は、前記式(2)
で表されるアダマンタンジカルボン酸と式(3a)及び/
又は(3b)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキシア
ルキルエステルとの反応(エステル化)に準じて行うこ
とができる。また、式(5a)で表される化合物の反応性
誘導体及び/又は式(5b)で表される化合物の反応性誘
導体と式(4)で表されるアダマンタンジオールとの反
応(エステル化)は、前記式(2)で表されるアダマン
タンジカルボン酸の反応性誘導体と式(3a)及び/又は
(3b)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステルとの反応(エステル化)に準じて行うことが
できる。
【0030】反応により生成した式(1b)で表されるア
ダマンタン誘導体は、慣用の分離精製手段、例えば、濃
縮、抽出、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフ
ィーなど、又はこれらの組み合わせにより分離精製する
ことができる。
【0031】なお、上記反応において原料として用いる
式(4)で表されるアダマンタンジオールは、対応する
アダマンタン化合物のアダマンタン環の橋頭位に2つの
ヒドロキシル基を導入することにより得ることができ
る。より具体的には、アダマンタン化合物をN−ヒドロ
キシフタルイミド等のN−ヒドロキシイミド系触媒と、
必要に応じてコバルト化合物(例えば、酢酸コバルト、
コバルトアセチルアセトナト等)などの金属系助触媒の
存在下、酸素と接触させることにより、アダマンタン環
にヒドロキシル基を導入できる。この方法において、N
−ヒドロキシイミド系触媒の使用量は、アダマンタン1
モルに対して、例えば0.0001〜1モル、好ましく
は0.001〜0.5モル程度である。また、金属系助
触媒の使用量は、アダマンタン化合物1モルに対して、
例えば0.0001〜0.7モル、好ましくは0.00
1〜0.5モル程度である。酸素はアダマンタンに対し
て過剰量用いる場合が多い。反応は、例えば、酢酸など
の有機酸、アセトニトリルなどのニトリル類、ジクロロ
エタンなどのハロゲン化炭化水素などの溶媒中、常圧又
は加圧下、0〜200℃程度、好ましくは30〜150
℃程度の温度で行われる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、透明性、光沢、硬度、
耐水性などに優れたポリマーを得る上で有用な新規なア
ダマンタン誘導体が提供される。この化合物は、歯科用
材料若しくはその原料、レンズなどの光学材料の原料等
として有用である。
【0033】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。
【0034】実施例1 [ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)1,3−ア
ダマンタンジカルボキシレートの製造]
【化15】 攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管、塩化カルシウム
管を備えた1Lの丸底フラスコに、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルエステル32.9g(252.73ミリ
モル)、ピリジン22.7g(287.19ミリモ
ル)、メトキシフェノール30mg(0.24ミリモ
ル)、及びトルエン200mlを入れ、室温で攪拌しな
がら、1,3−アダマンタンジカルボン酸クロリド30
g(114.88ミリモル)のトルエン溶液150ml
を30分かけて滴下した。次いで、100℃に加熱し2
時間攪拌した後、室温まで冷却し、0.5N塩酸水溶液
200ml、蒸留水200ml、飽和食塩水200ml
で順次洗浄し、さらに適量の硫酸ナトリウムにて乾燥し
た。乾燥剤をろ過し、減圧下に溶媒を留去して得られた
濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エ
チル/ヘキサン=5/1)にて精製することにより、標
記化合物43.8g(97.65ミリモル)を無色透明
の液体として得た。収率は85.0%(1,3−アダマ
ンタンジカルボン酸クロリド基準)であった。 [標記化合物のスペクトルデータ]1 H−NMR(CDCl3) δ:1.68(br.s,2H),1.80-1.92
(m,8H),1.94(br.s,6H),2.03(br.s,2H),2.15(m,2H),4.30
-4.37(m,8H),5.59(br.s,2H),6.12(br.s,2H)
【0035】実施例2 [ビス(4−メタクリロイルオキシブチル)1,3−ア
ダマンタンジカルボキシレートの製造]
【化16】 攪拌機、温度計、冷却管、dean-stark装置を備えた3L
の丸底フラスコに、メタクリル酸100g(1.162
モル)、1,4−ブタンジオール157.03g(1.
742モル)、ハイドロキノン100mg(0.91ミ
リモル)、及びトルエン1.0Lを加え、室温で攪拌し
た。これに空気を200ml/分の流量で吹き込みなが
ら、硫酸1.59g(16.2ミリモル)を加え、加熱
により還流させながら3時間攪拌した後、室温まで冷却
した。反応混合液から減圧下に溶媒を留去し、ヘキサン
1.5Lを加えた後、蒸留水(1.0L×4)で抽出
し、得られた水層を減圧下2.0Lまで濃縮した。さら
にこれを酢酸エチル(1.0L×3)にて抽出し、得ら
れた有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液(500ml×
3)、飽和食塩水(500ml×1)で順次洗浄し、減
圧下に溶媒を留去することにより、メタクリル酸4−ヒ
ドロキシブチルエステル110.54g(0.699モ
ル)を黄色透明液体として得た(収率58.8%)。 [メタクリル酸4−ヒドロキシブチルエステルのスペク
トルデータ]1 H−NMR(CDCl3) δ:1.60-1.82(m,4H),1.94(br.
s,3H),2.34(br.s,1H),3.68(dd,J=6.5,10.8Hz,2H),4.18
(t,J=7.0Hz,2H),5.56(br.s,1H),6.10(br.s,1H) 攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管、塩化カルシウム
管を備えた1Lの丸底フラスコに、上記で得たメタクリ
ル酸2−ヒドロキシブチルエステル40.0g(25
2.73ミリモル)、ピリジン22.7g(287.1
9ミリモル)、メトキシフェノール30mg(0.24
ミリモル)、トルエン200mlを入れ、室温で攪拌し
ながら、1,3−アダマンタンジカルボン酸クロリド3
0g(114.88ミリモル)のトルエン溶液150m
lを30分かけて滴下した。次いで、100℃に加熱し
2時間攪拌した後、室温まで冷却し、0.5N塩酸水溶
液200ml、蒸留水200ml、飽和食塩水200m
lで順次洗浄し、さらに適量の硫酸ナトリウムにて乾燥
した。乾燥剤をろ過し、減圧下に溶媒を留去して得られ
た濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸
エチル/ヘキサン=5/1)にて精製することにより、
標記化合物48.0g(95.12ミリモル)を無色透
明の液体として得た。収率は82.8%(1,3−アダ
マンタンジカルボン酸クロリド基準)であった。 [標記化合物のスペクトルデータ]1 H−NMR(CDCl3) δ:1.66-1.91(m,18H),1.95(b
r.s,6H),2.02(br.s,2H),2.16(m,2H),4.12(t,J=6.0Hz,4
H),4.18(t,J=6.5Hz,4H),5.57(br.s,2H),6.11(br.s,2H)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 6/00 A61K 6/00 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 [式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR
    3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示
    し、A1及びA2は、同一又は異なって、−C(=O)−
    O−基又は−O−C(=O)−基(何れも右側をアダマ
    ンタン環側とする)を示し、X1及びX2は、同一又は異
    なって、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキ
    レン基を示す]で表されるアダマンタン誘導体。
  2. 【請求項2】 下記式(2) 【化2】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す)で表され
    るアダマンタンジカルボン酸又はその反応性誘導体と、
    下記式(3a)及び(3b) 【化3】 (式中、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又
    はメチル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、
    炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を
    示す)で表される(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキ
    ルエステルとを反応させて、下記式(1a) 【化4】 (式中、R1、R2、R3、X1、X2は前記に同じ)で表
    されるアダマンタン誘導体を生成させるアダマンタン誘
    導体の製造法。
  3. 【請求項3】 下記式(4) 【化5】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す)で表され
    るアダマンタンジオールと、下記式(5a)及び(5b) 【化6】 (式中、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又
    はメチル基を示し、X1及びX2は、同一又は異なって、
    炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を
    示す)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基を有す
    るカルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させて、下
    記式(1b) 【化7】 (式中、R1、R2、R3、X1、X2は前記に同じ)で表
    されるアダマンタン誘導体を生成させるアダマンタン誘
    導体の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009084221A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Kuraray Medical Inc 重合性アダマンタン誘導体及び歯科用組成物
WO2013038603A1 (ja) * 2011-09-12 2013-03-21 クラレノリタケデンタル株式会社 アダマンタン誘導体

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