JP2001129725A - 浸漬式ワイヤ放電加工機 - Google Patents

浸漬式ワイヤ放電加工機

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JP2001129725A
JP2001129725A JP31086299A JP31086299A JP2001129725A JP 2001129725 A JP2001129725 A JP 2001129725A JP 31086299 A JP31086299 A JP 31086299A JP 31086299 A JP31086299 A JP 31086299A JP 2001129725 A JP2001129725 A JP 2001129725A
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wire
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electric discharge
discharge machine
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Yuji Fukuzaki
裕二 福崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 工作物に切抜き加工を行って生じた切抜き片
を浮力体で支持することにより、切抜き片とワイヤ電極
との短絡を防止し、重量のある切抜き片を安全に支持す
る浸漬式ワイヤ放電加工機を提供する。 【構成】 ワークテーブル21に固定した工作物8の下
面39には、加工液の比重よりも小さい比重を有する浮
力体31が配置されており、加工液によって浮力体31
に生じる浮力によって、工作物8をワイヤ電極1で切り
抜いたときに生じる切抜き片30が加工液中に沈降しな
いように支持される。浮力体31は、切抜き片30が切
抜き直前に傾斜するのを防止して、切抜き片30とワイ
ヤ電極1との接触による短絡を防止すると共に、切抜き
片30が重量のある場合でも、磁力や接着剤によること
なく安全に支持することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、加工槽内の加工液中
に浸漬された状態の工作物をワイヤ電極と工作物との間
に発生される放電現象によって放電加工し、放電加工に
よって工作物から切り抜かれる切抜き片を支持可能な浸
漬式ワイヤ放電加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極と工作
物との間に放電現象を発生させて、超硬合金や焼入鋼等
の工作物を切抜き加工する工作機械である。放電加工を
開始する際には、ワイヤ電極は工作物に穿孔したスター
トホールに予め挿通され、ワイヤ放電加工中には、ワイ
ヤ電極は、常に工作物の放電加工部位に供給される。放
電加工される工作物は、加工槽内の加工液中に浸漬され
た状態で、ワークテーブル上にクランプによって固定さ
れている。ワイヤ電極を工作物の放電加工部位に挿通さ
せる形態の放電加工においては、放電加工経路が閉じて
いる場合には、工作物から、加工品又は加工スクラップ
としての切抜き片が切り抜かれる。
【0003】従来、図11に示すような浸漬式ワイヤ放
電加工機が知られている。図11に示した浸漬式ワイヤ
放電加工機は、工作物8に対してワイヤ電極1によって
所定の加工形状にワイヤ放電加工を行うものであり、ヘ
ッド10には自動ワイヤ供給装置等が設けられている。
工作物8は、サーボモータによってサーボ機能で作動さ
れるクロススライド(図示せず)上に取り付けられたワ
ークテーブル21上にクランプ22によって固定され
る。ワイヤ放電加工機のヘッド10の上部には、自動ワ
イヤ供給装置を構成する支持本体9が取り付けられ、ヘ
ッド10の下部には、上ワイヤヘッド6を取り付けた支
持体23、並びに供給パイプ5及びワイヤ電極1をガイ
ドするローラ18等を取り付けた支持体24が固定され
ている。支持本体9と支持体24との間には、一対のガ
イドロッド3が配設されている。ガイドロッド3には、
保持体20が上下方向に摺動可能に取り付けられてい
る。
【0004】保持体20には、ワイヤ電極1をガイドす
る供給パイプ5が固定され、給電ピン等が付設された一
対のアニールローラ4、パイプホルダ13等が取り付け
られている。一対のアニールローラ4は、保持体20に
送り込まれたワイヤ電極1を挟持して供給パイプ5、工
作物8に穿孔されたスタートホール26へと送り込む機
能を有している。支持本体9には方向変換ローラ7及び
フェルトブレーキローラ11が取り付けられており、ワ
イヤ電極1に所定のテンションが付与された状態でワイ
ヤ電極1は供給パイプ5に送り込まれる。また、ヘッド
10に取り付けられた支持体24には、供給パイプ5の
摺動運動をスムースにするために、スライドレール14
が固定されている。支持体24において、該スライドレ
ール14の下方に近接してカッタ16が設置されてい
る。
【0005】ヘッド10に固定した支持体24におい
て、カッタ16の下方には、給電ピン及びワイヤ電極1
をガイドする一対のコモンローラ15が配設されてい
る。支持体24の下面に近接し且つヘッド10に固定さ
れた支持体23には、ワイヤ電極1のガイドを行うロー
ラ18、供給パイプ5の先端部が下方へ降下する場合に
必要以上降下するのを阻止するためのパイプストッパ1
7、及び上ワイヤヘッド6が取り付けられている。上ワ
イヤヘッド6については、詳細に示されていないが、従
来と同様に、ワイヤ送出口6A、ダイスガイド、噴流ノ
ズル、給電子、給電子押え等が組み込まれているもので
ある。上ワイヤヘッド6に対向して下ワイヤヘッド2が
設けられており、該下ワイヤヘッド2の下流側にワイヤ
電極1を引き出して該ワイヤ電極1を緊張状態にする一
対の引出しローラ29が設けられている。下ワイヤヘッ
ド2には、ワイヤ電極1が下ワイヤヘッド2に挿通され
ていることを検出するセンサー28が設けられている。
【0006】従来のワイヤ放電加工機において、保持体
20をガイドロッド3に沿って上方へ移動させ、支持体
24に取り付けたカッタ16の上方に供給パイプ5の下
端部を位置させた状態で、通常のワイヤ放電加工、即ち
工作物を所定の形状に切り抜くワイヤ放電加工が行われ
る。ワイヤ放電加工機を用いてワイヤ電極1と工作物8
との間に発生する放電エネルギーによって工作物8を放
電加工する時に、工作物8に対してワイヤ電極1で糸鋸
式に切断加工が行われる。ところで、ワイヤ放電加工の
最後の段階で工作物8から切抜き片を切り落とすと、切
抜き片が降下して下ワイヤヘッド2に衝突し、下ワイヤ
ヘッド2を損傷する可能性がある。従って、工作物8に
対する加工を加工終了直前で停止して加工形状の最後の
部分を切断せずに残すことによって工作物8から切抜き
片が降下するのを防止したり、切抜き片が軽量である場
合には、磁石又は接着剤を用いて工作物8から切り抜か
れた加工品から切抜き片が分離・降下しないようにした
り、切抜き片が重量である場合には、切抜き片を下方か
らジャッキで支持することが行われている。
【0007】しかしながら、加工形状の最後の部分を切
断することなく残す場合には、工作物に対する加工終了
直前には、工作物から切り抜かれようとする切抜き片が
クランプされている工作物に対して傾いて、ワイヤ電極
と切抜き片との間で短絡が発生し、加工が中断したり、
或いは異常放電を発生させて、切抜き片が加工品である
場合には、加工品の加工面に損傷を与えることがある。
加工形状の最後の部分まで切断することで切抜き片を完
全に切り抜く場合には、工作物は磁石で吸着できないと
きがあると共に、磁石で吸着可能であっても切抜き片の
重量の程度によっては、磁力によって支えきれないこと
もある。接着剤を用いて切抜き片を支える場合には、接
着剤は硬化するまでに相当の時間を要すると共に硬化し
た接着剤を加工品から除去する必要があるので、加工効
率が低下する。更に、切抜き片を下方からジャッキで支
持する場合には、下ワイヤヘッドとジャッキが干渉して
下ワイヤヘッドを損傷する虞がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、浸漬式ワイヤ
放電加工機によって加工形状の最後の部分まで切断する
放電加工においては、工作物は加工液中に浸漬状態で加
工されていることに着目して、磁石の磁力や接着剤、或
いは下方からのジャッキによる支持のどの支持形態でも
ない、加工液から受ける浮力を切抜き片を支持する支持
力として利用する新たな支持形態を提供する点で解決す
べき課題がある。
【0009】
【課題を解決するため手段】この発明の目的は、上記の
課題を解決することであり、工作物とワイヤ電極との間
に発生する放電現象によって工作物を放電加工する時、
工作物から切り抜かれた切抜き片を、加工液がもたらす
浮力を用いて降下しないように支持することにより、切
抜き直前の切抜き片が工作物に対して傾斜させることな
く、また、相当の重量を有する切抜き片であっても、工
作物に対して加工形状の最後の部分を残すことなく、或
いは磁石の磁力や接着剤、或いは下方からのジャッキを
用いることなく、簡単な構造で且つ高い作業効率で支持
することを可能にする浸漬式ワイヤ放電加工機における
切抜き片支持装置を提供することである。
【0010】この発明は、上記目的を達成するため、次
のように構成されている。即ち、この発明は、上ワイヤ
ヘッドに対向して配設された下ワイヤヘッド、前記上ワ
イヤヘッドと前記下ワイヤヘッドとの間において加工槽
内の加工液中に浸漬された状態で工作物を固定するワー
クテーブル、及び前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘ
ッドとに通じて案内されると共に前記工作物との間で発
生される放電現象によって前記工作物に放電加工を施す
ワイヤ電極を具備し、前記工作物からワイヤ放電加工に
よって切り抜かれる切抜き片は、前記加工液よりも比重
の小さい浮力体が前記加工液から受ける浮力によって支
持されることから成る浸漬式ワイヤ放電加工機に関す
る。
【0011】この浸漬式ワイヤ放電加工機によれば、工
作物は上ワイヤヘッドと下ワイヤヘッドとの間において
加工槽内の加工液中に浸漬された状態にあり、ワイヤ放
電加工によって工作物から切抜き片が切り抜かれると
き、切抜き片は、加工液よりも比重が大きいので、重力
によって加工液中を降下しようとする。しかしながら、
切抜き片よりも下の加工液中の置かれている浮力体は、
加工液から受ける浮力に基づいて切抜き片を支持するの
で、切抜き直前に切抜き片が傾斜したり切抜き後に加工
液中へ沈降することなく、ワイヤ電極との短絡を生じる
ことがない。
【0012】前記浮力体には、前記ワイヤ電極が挿通可
能な挿通孔と外周部から前記挿通孔に至る前記ワイヤ電
極が通過可能なスリットとが形成されている。浮力体に
挿通孔とスリットとを形成することにより、ワイヤ電極
を工作物の放電加工部位に挿通させて加工準備が整った
後であっても、上下のワイヤヘッドに張り渡されたワイ
ヤ電極を浮力体の外周部から内部に向かって形成したス
リットを通過させるようにして、浮力体を工作物の下面
に装着させることができる。
【0013】前記浮力体は、前記下ワイヤヘッドに対し
て、前記ワイヤ電極の走行方向に移動可能であるが前記
ワイヤ電極の走行方向と交差する方向に移動不能である
ように案内されている。放電加工は、上ワイヤヘッドと
下ワイヤヘッドとに通じて案内されるワイヤ電極に対し
て、ワークテーブルに固定した工作物を相対的に横方向
に移動させることによって行われる。浮力体は、切抜き
片を支持するため、切抜き片に対して位置や姿勢が大き
く変化しない方が好ましい。浮力体は、切抜き片に対し
て横方向に移動したり回転することがないように、切抜
き片の下面に当接するようにワイヤ電極の走行方向にの
み移動可能に取り付けられる。
【0014】前記浮力体は、前記下ワイヤヘッドに立設
された案内ピンが前記浮力体に形成されている案内穴に
嵌入していることにより、前記下ワイヤヘッドに対して
案内されている。浮力体の下ワイヤヘッドに対する案内
は、下ワイヤヘッドに立設した案内ピンを浮力体に形成
されている案内穴に嵌入することで得られる。浮力体に
働く浮力で切抜き片を支持するため、浮力体は、案内ピ
ンによって浮揚する方向に案内される。
【0015】前記浮力体は、前記下ワイヤヘッドに対し
てフリーな状態に配設され、前記ワイヤ電極と共に前記
工作物に対して相対移動可能である。浮力体は、工作物
と共に切断されず、前記下ワイヤヘッドに対してフリー
な状態に配設されるので、浮力体のワイヤ電極と交差す
る方向の動きは、ワイヤ電極との係合によって拘束され
る。しかしながら、浮力体は、ワイヤ電極に対してその
走行方向に移動自由であり、且つワイヤ電極の回りに回
転してもかまわない。
【0016】前記浮力体は上側浮力体と下側浮力体とに
上下に分割されており、前記上側浮力体と前記下側浮力
体とには、それぞれ、整合状態で前記ワイヤ電極が挿通
可能な前記挿通孔となる上側挿通孔及び下側挿通孔と、
整合状態で前記ワイヤ電極が通過可能な前記スリットと
なる上側スリット及び下側スリットとが形成されてお
り、前記上側浮力体と前記下側浮力体とは、前記ワイヤ
電極を前記挿通孔に通した装着状態で前記挿通孔を中心
として、前記上側スリットと前記下側スリットとが捻ら
れた位置を取るように相対的に回動される。浮力体にワ
イヤ電極を挿通させた状態では、浮力体は、ワイヤ電極
がスリットを通じて抜け出ることにより、ワイヤ電極と
の挿通状態から外れる可能性がある。そこで、浮力体を
上側浮力体と下側浮力体とに分割し、浮力体にワイヤ電
極を挿通させた状態で上側浮力体と下側浮力体とを互い
に対して回動させて、上側スリットと下側スリットとを
互いに対して捻った位置を取らせることにより、ワイヤ
電極のスリットを通じた抜け出しを防止することができ
る。
【0017】前記上側浮力体と前記下側浮力体との当接
面は平坦面に形成されており、前記当接面間に働く摩擦
力は、前記上側浮力体と前記工作物との間に働く摩擦力
よりも大きくなるように設定されている。放電加工の進
行に伴って、浮力体がワイヤ電極と共に、工作物に対し
て移動していくとき、上側浮力体と下側浮力体との当接
面間に働く摩擦力は、上側浮力体と工作物との間に働く
摩擦力より大きく設定されているので、上側浮力体と下
側浮力体とは互いにずれることなく、浮力体は工作物に
対して滑らかに滑る。従って、放電加工中に、上下の各
側のスリットは、上下の各側の浮力体と回動して偶然に
も再整合するようなことは殆どない。
【0018】前記上側浮力体と前記下側浮力体とは、前
記上側スリットと前記下側スリットとが捻られた前記位
置を取る状態で、凹凸嵌合する。上側浮力体と下側浮力
体との凹凸嵌合により、相対的なずれを回避することが
可能になる。
【0019】前記工作物から切り抜かれた前記切抜き片
は、前記加工液の水位を下げることにより、前記浮力体
に支持された状態で前記工作物から取り出される。工作
物から切り抜かれた切抜き片は浮力体に支持されている
ので、加工液の水位を下げることにより、切抜き片は、
浮力体に支持された状態で、ワークヘッドに固定されて
いる工作物から分離して取り外される。
【0020】前記工作物は、前記切抜き片を前記工作物
から切り抜いたときの状態で支持している前記浮力体と
共に、前記ワークテーブル上を、前記上ワイヤヘッドと
前記下ワイヤヘッドとを結ぶ方向に対して交差する方向
に移動可能である。上ワイヤヘッドと下ワイヤヘッドと
はワイヤ電極の自動供給等の理由から可能な限り工作物
に接近して配置されるので、単に、加工液の水位を低下
させただけでは、降下した浮力体と工作物との間に切抜
き片を取り出すのに充分なスペースが得られない場合が
ある。従って、切抜き加工が終了した段階で、切抜き片
が工作物からまだ取り出されておらず浮力体に支持され
た状態で、工作物と浮力体とをワークテーブル上で上ワ
イヤヘッドと下ワイヤヘッドとを結ぶ方向に対して交差
する方向に移動することで、下ワイヤヘッドに対する工
作物と浮力体との位置を横方向にずらし、その後に加工
液の水位を低下させることにより、降下した浮力体と工
作物との間に切抜き片を取り出すのに充分なスペースが
得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、この
発明による浸漬式ワイヤ放電加工機の実施例について説
明する。図1はこの発明による浸漬式ワイヤ放電加工機
の一実施例を示す一部断面側面図、図2は図1に示す浸
漬式ワイヤ放電加工機の浮力体を含む要部の下面図であ
り、図3の矢視B−Bで見た図、図3は図1に示す浸漬
式ワイヤ放電加工機の浮力体を含む要部の断面図であ
り、図2の矢視A−Aで見た図である。図1に示す浸漬
式ワイヤ放電加工機においては、切抜き片の支持に関す
る構造以外のワイヤ放電加工機自体の構成については図
11に示した浸漬式ワイヤ放電加工機の構成と同様であ
るので、同じ構成要素及び部位には同じ符号を付すこと
によって、再度の説明を省略する。
【0022】この浸漬式ワイヤ放電加工機は、ワークク
ランプ22によってワークテーブル21に固定された工
作物8に設定された加工経路をワイヤ電極1が一巡する
ことにより、工作物8から切り抜かれた加工品又は加工
スクラップである切抜き片30を降下しないように支持
するために、工作物8の下面に配設された浮力体31を
備えている。図1は、ワイヤ電極1がスタートホール2
6から加工軌跡27を形成しながら加工経路を一巡し、
スタートホール26に戻った状態を示している。浮力体
31は、加工槽(図示せず)内に貯留されている加工液
よりも比重の小さい材質から製作されており、切抜き片
30を支持するのに必要な支持力を得るため、自重と容
積とが決められた複数種類のものが予め用意されてい
る。浮力体31は、ワイヤ電極1との間に放電現象が生
じず且つ大きな浮力を得るために、非導電性の素材、例
えば、発泡スチロールから製作される。
【0023】浮力体31は、この実施例では、工作物8
の下面に当接するように上面32を平坦に形成した円板
状に形成されている。浮力体31を、下ワイヤヘッド2
に対して、ワイヤ電極1の走行方向にのみ移動可能とす
るため、浮力体31の下面33には、下ワイヤヘッド2
に立設されている案内ピン40が嵌入する案内穴34が
開口している。案内ピン40は、図3に示すように、下
ワイヤヘッド2に適宜の手段で取り付けられた取付け板
41に立設されている。案内ピン40の本数は、浮力体
31を傾斜させず安定して案内するように、3本とする
のが好ましい。
【0024】浮力体31は、全体として円形の外周部3
5を備えた板状に製作されている。ワイヤ電極1を上下
のワイヤヘッド2,6に挿通させた後であっても、浮力
体31を下ワイヤヘッド2に取り付けることを可能にす
るために、浮力体31には外周部35から、ワイヤ電極
1の挿通位置である挿通孔37まで延びるスリット36
が形成されている。スリット36は、ワイヤ電極1が辛
うじて通過できる幅に形成されている。挿通孔37は、
浮力体31の円形中心Oと偏心した位置に形成されてい
る。切抜き片30を、その重心位置が浮力体31の円形
中心Oと略一致するように浮力体31に支持するのが好
ましい。
【0025】上記のように構成された浮力体31を用い
た浸漬式ワイヤ放電加工機は、次のように作動する。浸
漬式ワイヤ放電加工機では、放電加工中、ワイヤ電極1
は進行方向にサーボ移動し、ワークテーブル21は水平
方向に加工形状に応じてサーボ移動する。浮力体31
を、加工液中に漬けられた状態の工作物8の下側にワイ
ヤ電極1が浮力体31の外周部35から挿通孔37に入
り込むように装着すると、浮力体31は、加工液から受
ける浮力によって浮上しようとして工作物8の下面39
に当接する。浮力体31は、下ワイヤヘッド2に取り付
けた案内ピン40を案内穴34に嵌入することによっ
て、浮力体31の自転や傾斜を防止することができる。
浮力体31は、放電加工中は、下ワイヤヘッド2と共に
移動する。
【0026】加工経路が一巡して放電加工が終了すると
(図1に示す状態)、工作物8から加工品又は加工スク
ラップである切抜き片30が切り抜かれる。切抜き片3
0が切り抜かれる直前には、切抜き片30は、自重によ
って傾斜しようとするが、浮力体31が加工液から受け
る浮力F1 に基づいて浮力体31上に水平状態に支持さ
れるので、ワイヤ電極1が切り抜かれる直前の切抜き片
30と接触して短絡が発生することがない。また、切抜
き片30が形成された後は、切抜き片30は、自重によ
って加工液中を降下しようとするが、浮力体31の浮力
1 に基づいて浮力体31上に支持されるので、下ワイ
ヤヘッド2と衝突することもない。
【0027】工作物8から切り抜かれた切抜き片30
は、加工液を加工槽から排出することで加工液の水位L
を下げて、ワークテーブル21に対して浮力体31の位
置を下げ、浮力体31に載置された状態にある切抜き片
30をその上面が工作物8の下面39より下方の位置ま
で来るように下げることにより、工作物8から取り出す
ことができる。なお、図示の例では1個のみの切抜き片
30を示したが、複数の切抜き片が切り抜かれる場合に
は、複数の切抜き片の切抜き加工が終了した段階で、複
数の切抜き片を、すべて浮力体31に支持した状態で、
一括して工作物8から取り出すことができる。詳細に
は、上ワイヤヘッド6及び下ワイヤヘッド2は、ワイヤ
電極1の自動供給を可能にする等の理由で工作物8に接
近させた状態で設定されているので、単に、加工液の水
位Lを下げるだけでは、浮力体31の上面32と工作物
8の下面39との間に得られるスペースの高さは、通
常、工作物8から切り抜かれる切抜き片30の高さより
も短い。そのため、切抜き片30を取り出す段階で、ワ
イヤ電極1を切断し、すべての案内ピン40を取付け板
41から取り外し、工作物8を浮力体31と共に、浮力
体31が下ワイヤヘッド2に干渉しない位置まで横方向
に移動させた後に、加工液の水位Lを上記のように低下
することで切抜き片30を工作物8から取り出すことが
できる。
【0028】図4に、この発明による浸漬式ワイヤ放電
加工機の別の実施例の要部を拡大して示す側面図が示さ
れており、図5には図4に示す浸漬式ワイヤ放電加工機
に用いられている浮力体の平面図が示されている。この
実施例では、図1に示す実施例と共通する構成要素及び
部位には同じ符号を付すことで、再度の説明を省略す
る。浮力体51は、図5に示すように、円形の外周部5
5を有する円板状部材であり、円板状部材の中心(重
心)位置又はその近傍にワイヤ電極1が挿通する挿通孔
57が形成され、外周部55と挿通孔57との間にはワ
イヤ電極1が辛うじて通ることができるスリット56が
形成されている。挿通孔57にワイヤ電極1を挿通した
状態の浮力体51は、図4に示すように、加工液から受
ける浮力F2を受けて浮き上がろうとし、上面52がワ
ークテーブル21に固定された加工液中の工作物8の下
面39に当接している。浮力体51の下面53には特に
制約がないが、ワイヤ放電加工機への装着、取外し、取
扱い上、上面52と同様に平坦面に形成するのが好まし
い。浮力体51は、図1〜図3に示す実施例とは異な
り、下ワイヤヘッド2からは全くのフリーな状態に置か
れている。
【0029】浮力体51の材料は挿通孔57を通過する
ワイヤ電極1で放電加工される性質のものではないの
で、浮力体51は工作物と共に放電加工されることはな
く、ワイヤ電極1と工作物8とが相対的に移動するとき
に、浮力体51は、工作物8との間に作用する摩擦力で
引きずられても、工作物8に対してワイヤ電極1と共に
相対位置を変える。また、スリット56は幅が狭いの
で、ワイヤ電極1が挿通孔57からスリット56を通じ
て浮力体51の外へ離脱する可能性は殆どない。ワイヤ
電極1の放電加工作用によって切抜き片30が工作物8
から切り抜かれたとき、切抜き片30は、浮力体51の
浮力で支えられ、加工槽内に降下することはない。放電
加工作業が終了し、切抜き片30を工作物8から取り出
すときには、先の実施例の場合の取出しと同様、工作物
8と切抜き片30を支持している浮力体51と共に横方
向に移動し、その後、加工液の水位Lを下げて、切抜き
片30を加工液に浮いた状態の浮力体51に載置した状
態のまま下げることにより、工作物8の下方に切抜き片
30を取り出す充分なスペースが得られる。
【0030】図6は、浸漬式ワイヤ放電加工機に用いら
れている浮力体の別の例を一部を破断して示す斜視図で
ある。図6に示す浮力体61は、図5に示す浮力体51
を上下に二分した2枚重ねの構造を有している。即ち、
浮力体61は、いずれも円形の外周部67,67を有す
る上側浮力体62と、上側浮力体62に重ねられる下側
浮力体63とから構成されている。上側浮力体62の上
面64は、工作物8の下面39に当接する平坦に形成さ
れた面であり、工作物8の下面39との間に作用する摩
擦力が小さくなるような摩擦係数を持つ面である。一
方、上側浮力体62の下面65と下側浮力体63の上面
66とは、相対的にずれようとするときに生じる摩擦力
が大きくなるような摩擦係数を持つ面(粗面)である。
上側浮力体62と下側浮力体63とは、それぞれ、中心
(重心)位置にワイヤ電極1が挿通する上側挿通孔69
a,下側挿通孔69bが形成されている。また、上側浮
力体62及び下側浮力体63において、外周部67と上
側挿通孔69a又は下側挿通孔69bとの間には、それ
ぞれ、ワイヤ電極1が通過可能な上側スリット68aと
下側スリット68bとが形成されている。
【0031】浮力体61は、上下の各浮力体62,63
を重ね合わせて上側スリット68aと下側スリット68
b、及び上側挿通孔69aと下側挿通孔69bとをそれ
ぞれ整合させた状態で、工作物8の下面39に装着され
る。装着の際、ワイヤ電極1は、整合された上側スリッ
ト68a及び下側スリット68bを通って、整合された
上側挿通孔69aと下側挿通孔69bとで形成される一
本の挿通孔69に挿通される。装着後、上下の各浮力体
62,63を、挿通孔69を中心に相対的に回動させる
ことで、浮力体61は、図6に示すように、上側スリッ
ト68a及び下側スリット68bが整合状態から外れた
捻り位置を占める。浮力体61は、上側浮力体62の上
面63と工作物8との間に働く摩擦力が小さいので、放
電加工の進行に伴って工作物8に対して滑らかに移動
し、ワイヤ電極1と共に移動する。しかしながら、上側
浮力体62の下面65と下側浮力体63の上面66との
間に働く摩擦力は大きく設定されているので、加工中、
両浮力体62,63は互いにずれることがない。ワイヤ
電極1は、整合状態が維持されている一本の挿通孔69
を通る。上側スリット68aと下側スリット68bと
は、互いに捻られた位置関係が維持され、整合位置に戻
ることがないので、ワイヤ電極1は、両スリット68
a,68bを通って浮力体61から外れようとすること
がない。
【0032】図7は浸漬式ワイヤ放電加工機に用いられ
ている浮力体の更に別の例であって、上側浮力体と下側
浮力体とが非嵌合状態にある浮力体を示す断面図、図8
は図7に示す上側浮力体と下側浮力体とが嵌合状態にあ
るときの浮力体を示す断面図、図9は図7に示す浮力体
の上側浮力体の平面図、図10は図7に示す浮力体の下
側浮力体の平面図である。図7及び図8は、それぞれ、
図9及び図10においてそれぞれ示す線C−Cに相当す
る位置、及び線D−Dに相当する位置で切断したとする
ときの上側浮力体及び下側浮力体を重ね合わせた浮力体
の断面図である。図7〜図10に示す浮力体71につい
ては、図6に示す浮力体61と同様の機能を奏する部位
には浮力体61の部位に付されたのと同じ符号を付すこ
とで、再度の説明を省略する。
【0033】浮力体71は、上側浮力体72と下側浮力
体73とから構成される。上側浮力体72と下側浮力体
73とは、重ね合わせた状態で相互にずれないように、
凹凸係合可能に構成されている。即ち、上側浮力体72
の下面65には、上側挿通孔69aを中心にして周方向
に好ましくは等角度に隔置した位置に複数(図示の例で
は3個)の凸部74が形成されている。また、下側浮力
体73の上面66には、凸部74に対応して、下側挿通
孔69bを中心にして周方向に好ましくは等角度に隔置
した位置に複数(図示の例では3個)の凹部75が形成
されている。この例では、上側浮力体72の下面65と
下側浮力体73の上面66との摩擦係数は、大きな値を
持つものに設定されてはいない。
【0034】浮力体71は、図6に示す浮力体61と同
様に、上下の各浮力体72,73を重ね合わせて上側ス
リット68a,下側スリット68b及び上側挿通孔69
a,下側挿通孔69bをそれぞれ整合させた状態で、工
作物8の下面39に装着される。このとき、上下の各浮
力体72,73は、上側スリット68aと下側スリット
68bとは互いに整合していても、上側浮力体72の下
面65に形成された凸部74は、図7に示すように、下
側浮力体73の上面66に形成されている凹部75とず
れた位置を占めた非嵌合状態に重ね合わせられており、
凹部75に嵌入することがない。ワイヤ電極1は、整合
された上側スリット68aと下側スリット68bを通っ
て、一本の挿通孔となっている挿通孔69に挿通され
る。
【0035】装着後、上下の各浮力体72,73を、挿
通孔69を中心に相対的に回動(図示の例では相対的に
90°回動)させることで、浮力体71は、図8に示す
ように、上側浮力体72に形成された凸部74が下側浮
力体73に形成されている凹部75に嵌入した嵌合状態
に重ね合わされ、上側スリット68aと下側スリット6
8bとは、図6に示す状態と同様、整合状態から外れた
捻り位置を占める。浮力体71は、上側浮力体62の上
面64と工作物8との間に働く摩擦力が小さいので、放
電加工の進行に伴って工作物8に対して滑らかに移動
し、ワイヤ電極1と共に移動する。しかしながら、上側
浮力体72と下側浮力体73とは、凸部74と凹部75
とが嵌合した状態となるので、加工中、両浮力体72,
73は互いにずれることがない。装着後の浸漬式ワイヤ
放電加工機において、浮力体71による切抜き片の支持
及び切抜き片の工作物8からの取出しに関しては、図6
に示す浮力体61の場合と同じであるので、再度の説明
を省略する。
【0036】以上、この発明による浸漬式ワイヤ放電加
工機における切抜き片支持装置の実施例を説明したが、
上記の実施例には種々の変更が可能である。即ち、浮力
体31,51,61,71の平面形状は、円形に限られ
ず楕円や矩形等、切抜き片30を支えることができれば
どのような形状でもよい。切抜き片30をその重心位置
が浮力体31,51の中心位置で支持しなくても充分安
定して浮力体31,51,61,71に支持させること
ができるのであれば、挿通孔37,57,69は、浮力
体31,51,61,71の中心位置と一致させる必要
はない。更に、浮力体31,51,61,71の材質を
柔らかいものとすれば、ワークテーブル21と干渉して
も加工機を損傷させることはない。また、浮力体31に
ついては、安定させる案内ピン40の本数も3本に限定
されるものではなく、適宜の数とすることもできる。
【0037】
【発明の効果】この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機
は、上記のように構成されているので、次のような効果
を有する。即ち、この浸漬式ワイヤ放電加工機によれ
ば、工作物とワイヤ電極との間に発生する放電現象によ
って工作物を放電加工するとき、工作物から切り抜かれ
る加工品又は加工スクラップ等の切抜き片を、加工液か
ら受ける浮力を用いることにより、切抜き片が工作物に
対して傾斜したり加工液中に降下したりすることがない
ように浮力体で支持することができる。従って、相当の
重量を有する切抜き片であっても、ワイヤ電極と切抜き
片との間での短絡の発生を防止することができると共
に、工作物に対して加工形状の最後の部分を残すことな
く、磁石が使えない材料でも、また、接着剤や下方から
のジャッキを用いることなく、簡単な構造で且つ高い作
業効率で支持することができる。浮力体は、工作物や工
作物から切り抜かれたままの状態の切抜き片に対して横
方向の拘束を受けないので、上下のワイヤヘッドのワー
クテーブルに対する相対移動に応じて工作物や切抜き片
に対して相対移動でき、放電加工時に、ワイヤ電極に対
する工作物のサーボ移動が阻害されることがない。ま
た、浮力体には、外周部からワイヤ電極の挿通孔の位置
まで通じるスリットが形成されているので、浮力体をワ
イヤ電極のセット後でも、簡単に工作物の下側の所定の
位置に装着することができる。更に、加工液の水位を徐
々に下げることにより、浮力体がジャッキと同様な働き
をし、重量のある切抜き片でも、安全に取り出すことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機の一実
施例を示す一部断面側面図である。
【図2】図1に示す浸漬式ワイヤ放電加工機の浮力体を
含む要部の下面図であり、図3の矢視B−Bで見た図で
ある。
【図3】図1に示す浸漬式ワイヤ放電加工機の浮力体を
含む要部の断面図であり、図2の矢視A−Aで見た図で
ある。
【図4】この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機の別の
実施例を示す一部断面側面図である。
【図5】図4に示す浸漬式ワイヤ放電加工機において用
いられる浮力体を示す平面図である。
【図6】この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機に用い
られている浮力体の別の例を一部を破断して示す斜視図
である。
【図7】この発明による浸漬式ワイヤ放電加工機に用い
られている浮力体の更に別の例であり、上下の各浮力体
が非嵌合状態にあるときを示す断面図である。
【図8】図7に示す上下の各浮力体が嵌合状態にある浮
力体を示す断面図である。
【図9】図7に示す浮力体の上側円板状部材の平面図で
ある。
【図10】図7に示す浮力体の下側円板状部材の平面図
である。
【図11】従来の浸漬式ワイヤ放電加工機の一例を一部
を断面で示す正面図である。
【符号の説明】
1 ワイヤ電極 2 下ワイヤヘッド 6 上ワイヤヘッド 8 工作物 21 ワークテーブル 30 切抜き片 31,51,61,71 浮力体 35,55,67 外周部 36,56 スリット 37,57,69 挿通孔 39 工作物の下面 52 浮力体41の上面 62 上側浮力体 63 下側浮力体 64 上側浮力体62の上面 65 上側浮力体62の下面 66 下側浮力体63の上面 68a 上側スリット 68b 下側スリット 69a 上側挿通孔 69b 下側挿通孔 74 凸部 75 凹部 L 水位 F1 ,F2 浮力

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上ワイヤヘッドに対向して配設された下
    ワイヤヘッド、前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘッ
    ドとの間において加工槽内の加工液中に浸漬された状態
    で工作物を固定するワークテーブル、及び前記上ワイヤ
    ヘッドと前記下ワイヤヘッドとに通じて案内されると共
    に前記工作物との間で発生される放電現象によって前記
    工作物に放電加工を施すワイヤ電極を具備し、前記工作
    物からワイヤ放電加工によって切り抜かれる切抜き片
    は、前記加工液よりも比重の小さい浮力体が前記加工液
    から受ける浮力によって支持されることから成る浸漬式
    ワイヤ放電加工機。
  2. 【請求項2】 前記浮力体には、前記ワイヤ電極が挿通
    可能な挿通孔と外周部から前記挿通孔に至る前記ワイヤ
    電極が通過可能なスリットとが形成されていることから
    成る請求項1に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  3. 【請求項3】 前記浮力体は、前記下ワイヤヘッドに対
    して、前記ワイヤ電極の走行方向に移動可能であるが前
    記ワイヤ電極の走行方向と交差する方向に移動不能であ
    るように案内されていることから成る請求項2に記載の
    浸漬式ワイヤ放電加工機。
  4. 【請求項4】 前記浮力体は、前記下ワイヤヘッドに立
    設された案内ピンが前記浮力体に形成されている案内穴
    に嵌入していることにより、前記下ワイヤヘッドに対し
    て案内されていることから成る請求項3に記載の浸漬式
    ワイヤ放電加工機。
  5. 【請求項5】 前記浮力体は、前記下ワイヤヘッドに対
    してフリーな状態に配設され、前記ワイヤ電極と共に前
    記工作物に対して相対移動可能であることから成る請求
    項2に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  6. 【請求項6】 前記浮力体は上側浮力体と下側浮力体と
    に上下に分割されており、前記上側浮力体と前記下側浮
    力体とには、それぞれ、整合状態で前記ワイヤ電極が挿
    通可能な前記挿通孔となる上側挿通孔及び下側挿通孔
    と、整合状態で前記ワイヤ電極が通過可能な前記スリッ
    トとなる上側スリット及び下側スリットとが形成されて
    おり、前記上側浮力体と前記下側浮力体とは、前記ワイ
    ヤ電極を前記挿通孔に通した装着状態で前記挿通孔を中
    心として、前記上側スリットと前記下側スリットとが捻
    られた位置を取るように相対的に回動されることから成
    る請求項5に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  7. 【請求項7】 前記上側浮力体と前記下側浮力体との当
    接面は平坦面に形成されており、前記当接面間に働く摩
    擦力は、前記上側浮力体と前記工作物との間に働く摩擦
    力よりも大きくなるように設定されていることから成る
    請求項6に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  8. 【請求項8】 前記上側浮力体と前記下側浮力体とは、
    前記上側スリットと前記下側スリットとが捻られた前記
    位置を取る状態で、凹凸嵌合することから成る請求項6
    に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  9. 【請求項9】 前記切抜き片は、前記加工液の水位を下
    げることにより、前記浮力体に支持された状態で前記工
    作物から取り出されることから成る請求項1〜8のいず
    れか1項に記載の浸漬式ワイヤ放電加工機。
  10. 【請求項10】 前記工作物は、前記切抜き片を前記工
    作物から切り抜いたときの状態で支持している前記浮力
    体と共に、前記ワークテーブル上を、前記上ワイヤヘッ
    ドと前記下ワイヤヘッドとを結ぶ方向に対して交差する
    方向に移動可能であることから成る請求項9に記載の浸
    漬式ワイヤ放電加工機。
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