JP2001127350A - 熱電変換材料及び熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換材料及び熱電変換素子

Info

Publication number
JP2001127350A
JP2001127350A JP2000244833A JP2000244833A JP2001127350A JP 2001127350 A JP2001127350 A JP 2001127350A JP 2000244833 A JP2000244833 A JP 2000244833A JP 2000244833 A JP2000244833 A JP 2000244833A JP 2001127350 A JP2001127350 A JP 2001127350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric conversion
conversion material
nitrogen
oxide
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000244833A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenjiro Fujita
顕二郎 藤田
Kazuo Nakamura
和郎 中村
Satoshi Yamashita
敏 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Gas Co Ltd filed Critical Tokyo Gas Co Ltd
Priority to JP2000244833A priority Critical patent/JP2001127350A/ja
Publication of JP2001127350A publication Critical patent/JP2001127350A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】低温から800℃以上にも及ぶ広い温度領域に
わたって高い性能を有するn型酸化物熱電変換材料、お
よびこれを用いた熱電変換素子を得る。 【解決手段】In23を主体とするn型酸化物熱電変換
材料であって、基本酸化物In23に対してZr、S
n、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた
少なくとも1種の4価の元素をドープしてなるn型酸化
物熱電変換材料、および、このn型酸化物熱電変換材料
を用いてなる熱電変換素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基本組成:In2
3に対して特定元素をドープしてなる新規且つ有用な
n型酸化物熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換素子では、p型熱電変換材料の
ほか、必ずn型熱電変換材料が必要である。従来、熱電
変換素子の熱電変換材料としては、その代表的な材料と
して、例えばBi2Te3、PbTe、Si0.8Ge0.2
FeSi2などの金属間化合物が用いられている。しか
し、これらは非酸化物系熱電変換材料であるため、特に
高温域での耐久性の面で問題があり、このためそのよう
な雰囲気での長期間の使用に耐え得るためには、でき得
れば酸化物系の熱電変換材料であるのが望まれる。
【0003】本発明者等は、このような観点を含めて、
酸化物系熱電変換材料について各種多方面から検討、研
究を進めているが、その一環として、酸化耐性が高く、
低温から高温に至る幅広い温度範囲で優れた特性を有す
る高性能の酸化物系熱電変換材料を先に開発している
(特開平9ー321346号、特開平10ー25661
2号、特開平11ー266038号)。このうち特開平
9ー321346号の材料は、元素組成式ACoxOy
(式中、AはLi、Na又はKであり、xは1≦x≦
2、yは2≦y≦4である)で表わされる物質からなる
熱電変換材料、及び、元素組成式(AZ1-Z)CoxO
y〔式中、AはLi、Na又はK、BはMg、Ca、S
r、Ba、Sc、Y、Bi又はTeであり、zは0<z
<1の範囲であり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4で
ある〕で表わされる物質からなる熱電変換材料である。
特開平10ー256612号の材料は、上記元素組成式
のCoサイトにMn、Fe又はCuを含む熱電変換材料
である。
【0004】特開平11ー266038号の材料は、
(1)元素組成式(NaP1-P)(CoZ1-Z)xOy
で表わされる物質からなる熱電変換材料〔ただし式中、
xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p≦1、z
は0<z≦1であり(pとzが共に1の場合を除く)、
B又はA若しくはB及びAは、それぞれ、Ag、Li、
ランタノイド、Ti、Mo、W、Zr、V、Crから選
ばれた1種又は2種以上の元素を示す〕、(2)元素組
成式(NaP1-P)(CoZ1-Z-qCuq)xOyで表わ
される物質からなる熱電変換材料〔ただし式中、xは1
≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p≦1であり、z
及びqは、0<z<1、0<q<1、z≦1−qであり
(pが1で且つzが1−qの場合を除く)、B又はA若
しくはB及びAは、それぞれ、Ag、Li、ランタノイ
ド、Ti、Mo、W、Zr、V、Crから選ばれた1種
又は2種以上の元素を示す〕である。
【0005】ところが、上記酸化物材料はp型であるた
め、熱電変換素子を構成するためには、n型熱電変換材
料が必要であり、p型酸化物材料に対しては両者の接合
性や熱膨張率の面からもn型の酸化物材料の開発が望ま
れる。これまで報告されているn型酸化物としては、C
dInO4(MgIn24)系酸化物(特開平7ー29
1627号)やBa1-XSrXPbO3系酸化物(特開平
10ー139543号)がある。しかし、これらは幾つ
かの難点があり、必ずしも十分な材料とはいえない。例
えばCdInO4(MgIn24)系酸化物はCdを含
み、Ba1-XSr XPbO3系酸化物は基本構造にPb
(鉛)を含んでおり、毒性の面で難点がある。また、こ
れらの熱電性能は高温で低下する傾向があり、しかもこ
れらは主構成元素が3成分以上であり、材料製造上のデ
メリットがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、n型熱
電変換材料に関する以上の事情に鑑み、n型酸化物系の
熱電変換材料を探索し、各種実験、検討を行ったとこ
ろ、酸化インジウム(In 23)に特定元素をドープし
た酸化物がn型熱電変換材料として優れた性能を有する
ことを見い出した。すなわち、本発明は、基本組成:I
23、すなわち基本酸化物In23に対して特定元素
をドープしてなる新規且つ有用なn型酸化物熱電変換材
料、およびこれを用いた熱電変換素子を提供することを
目的とする。
【0007】また、上記酸化インジウム(In23)に
特定元素をドープした材料は、還元し得る雰囲気中でア
ニール処理することによりその性能をさらに改善し得る
ことを見い出し、さらにこれら還元し得る雰囲気中での
アニール処理は酸化インジウム(In23)自体につい
てもその性能の改善に有効であることを見い出した。す
なわち、本発明は、基本酸化物In23に特定元素をド
ープした材料、または酸化インジウム(In23)自体
を、還元し得る雰囲気中でアニール処理してなる新規且
つ有用なn型酸化物熱電変換材料、およびこれを用いた
熱電変換素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)In23
を主体とするn型酸化物熱電変換材料であって、基本酸
化物In23に対してZr、Sn、Ti、Ce、V、H
f、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の
元素をドープしてなることを特徴とするn型酸化物熱電
変換材料を提供する。
【0009】本発明は(2)In23を主体とするn型
酸化物熱電変換材料であって、基本酸化物In23に対
してZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の
元素をドープしてなることを特徴とするn型酸化物熱電
変換材料を提供する。
【0010】本発明は(3)In23を主体とし、式
(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料
(式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくと
も1種の元素であり、x=0.00005〜0.1であ
る)を提供する。
【0011】本発明は(4)In23を主体とし、Z
r、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選
ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープしてなるn
型酸化物熱電変換材料であって、基本酸化物In23
対してZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びI
rから選ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープし
た酸化物を還元し得る雰囲気中でアニール処理してなる
ことを特徴とするn型酸化物熱電変換材料を提供する。
【0012】本発明は(5)In23を主体とし、式
(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料
であって、In23を主体とし、式(In1-XX23
で表される酸化物を還元し得る雰囲気中でアニール処理
してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料(式
中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1
種の元素であり、x=0.00005〜0.1である)
を提供する。
【0013】本発明は(6)In23を主体とし、Z
r、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選
ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープしてなるn
型酸化物熱電変換材料であって、In23又は焼成によ
りIn23を生成する材料とZr、Sn、Ti、Ce、
V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の
4価の元素を含む材料からなる原料混合物を還元し得る
雰囲気中で焼成してなることを特徴とするn型酸化物熱
電変換材料を提供する。
【0014】本発明は(7)In23を主体とし、式
(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料
であって、In23又は焼成によりIn23を生成する
材料とZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種
の4価の元素を含む材料からなる原料混合物を還元し得
る雰囲気中で焼成してなることを特徴とするn型酸化物
熱電変換材料(式中、AはZr、Sn及びTiから選ば
れた少なくとも1種の元素であり、x=0.00005
〜0.1である)を提供する。
【0015】本発明は(8)In23からなるn型酸化
物熱電変換材料であって、In23又は焼成によりIn
23を生成する材料を還元し得る雰囲気中で焼成してな
ることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料を提供す
る。
【0016】本発明は(9)上記(1)〜(8)のいず
れかのn型酸化物熱電変換材料を用いてなることを特徴
とする熱電変換素子を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のn型酸化物熱電変換材料
は、In23を主体とするn型酸化物熱電変換材料であ
って、基本組成:In23、すなわち基本酸化物In2
3に対して少なくとも1種の4価の元素をドープ(ド
ーピング、doping)してなることを特徴とする。
ここで、4価の元素の例としてはZr、Sn、Ti、C
e、V、Hf、Os、Irなどが挙げられる。本発明に
おいては、これらの少なくとも1種の元素、すなわちそ
れら元素の1種又は2種以上がドープされる。
【0018】これらのうち、Zr、Sn、Tiをドープ
した酸化物は熱電変換材料として特に優れた特性、性能
を有する。ドープする元素がZr、Sn、Tiである場
合には、組成式:(In1-XX23で表される。ここ
で、式中、AはZr、Sn、Tiから選ばれた少なくと
も1種の元素であり、x=0.00005〜0.1、好
ましくはx=0.00005〜0.05、さらに好まし
くは0.0001〜0.01である。
【0019】本発明のn型酸化物熱電変換材料は、各種
酸化物を製造する場合と同様にして製造することができ
る。すなわち、In23又は焼成によりIn23を生成
する材料とドープ用の元素を含む材料を原料とし、これ
らを粉末等として均一に混合し、空気等のガス雰囲気中
で焼成することにより得られる。焼成温度は、特に限定
されないが、900〜1200℃の範囲であるのが好ま
しい。なお、この場合、原料を混合した後、焼成する前
に、空気等の雰囲気中で仮焼してもよい。
【0020】このn型酸化物熱電変換材料は、焼成後、
還元し得る雰囲気中で熱処理することにより、すなわち
還元し得る雰囲気中でアニール処理(annealin
g)することにより、その熱電性能、特に電気抵抗率を
さらに改善することができ、これに伴いパワーファクタ
ー及び性能指数をさらに改善することができる。アニー
ル処理の温度は、特に限定されないが、600〜115
0℃の範囲であるのが好ましい。例えば、ドープ元素が
Ceの場合、還元し得る雰囲気中でのアニール処理前
は、その熱電材料としての特性は基本酸化物In23
同等ないしほぼ同等であるが、還元し得る雰囲気中でア
ニール処理することにより基本酸化物In 23に対して
その熱電材料としての熱電性能が格段に改善される。ま
た、これら還元し得る雰囲気中でのアニール処理、また
は還元し得る雰囲気中での焼成は酸化インジウム(In
23)自体についてもその性能の改善に有効である。
【0021】上記還元し得る雰囲気中でのアニール処理
は、例えば上記のような高温度に保持した炉中に該材料
を置き、還元し得るガスを炉中に流通させることにより
行うことができる。還元し得るガスとしては、該材料を
還元し得るガスであれば特に限定されないが、好ましく
は窒素又は窒素を含むガスが用いられる。還元し得るガ
スは、上記のように流通させるに代えて、密閉ガス雰囲
気としてもよい。すなわち、焼成炉等の密閉した還元し
得るガスの雰囲気中に該材料を置き、該ガス雰囲気を上
記のような温度に保持して処理してもよい。このほか、
還元し得る雰囲気中でのアニール処理は、上記のような
高温度に保持した真空炉中に該材料を置き熱処理するこ
とで行ってもよい。
【0022】また、上記のように焼成した後に還元し得
る雰囲気中でアニール処理するのに代えて、焼成を経ず
に還元し得る雰囲気中で熱処理してもよい。すなわち焼
成を経ずに還元し得る雰囲気中で焼成してもよい。この
場合、In23又は焼成によりIn23を生成する材料
とZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、OsおよびIr
から選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材料か
らなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼成する。酸
化インジウム(In23)自体について適用する場合に
は、In23又は焼成によりIn23を生成する材料を
還元し得る雰囲気中で焼成する。この焼成温度は、特に
限定されないが、上記アニール処理の温度と同様の温
度、すなわち600〜1150℃の範囲であるのが好ま
しい。
【0023】上記「焼成によりIn23を生成する材
料」としては酸素を含む材料が用いられる。また、その
混合後、空気等の酸化雰囲気中で仮焼し、次いで還元し
得る雰囲気中で焼成してもよい。この場合には、酸化雰
囲気中での仮焼により酸化されるので、上記「焼成によ
りIn23を生成する材料」としては酸素を含む材料と
は限らず、仮焼により酸化される材料を用いることがで
きる。Zr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Osおよび
Irから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材
料のそれら元素は、仮焼、焼成時にIn23にドープさ
れる。
【0024】例えば、それら材料を粉末等として均一に
混合し、得られた混合物を焼成炉中に置いて還元し得る
雰囲気中で焼成する。これにより上記焼成後の材料を還
元し得る雰囲気中で熱処理して得られるn型酸化物熱電
変換材料と同等ないしほぼ同等のn型酸化物熱電変換材
料が得られる。還元し得る雰囲気を形成するガスとして
は、該材料を還元し得るガスであれば特に限定されない
が、好ましくは窒素又は窒素を含むガスが用いられる。
該ガスによる雰囲気の形成は、流通させるに代えて、密
閉還元ガス雰囲気としてもよい。この場合の熱処理、す
なわち焼成を経ないでの還元し得る雰囲気中での焼成に
ついても、上記のような高温度に保持した真空炉中に該
材料を置き熱処理することで行ってもよい。
【0025】熱電変換材料はゼーベック係数(絶対
数)が高い(大きい)方がよく、電気抵抗率は低い
(小さい)方がよく、熱伝導率は低い(小さい)方が
よく、パワーファクターと性能指数は高い(大き
い)方がよいが、これらのうち、パワーファクター
は、下記式(1)のとおり、ゼーベック係数αと電
気抵抗率ρから計算され、性能指数zは、下記式
(2)のとおり、ゼーベック係数α、電気抵抗率
ρ、熱伝導率λから計算される。
【0026】
【数 1】
【0027】
【数 2】
【0028】本発明に係る基本酸化物In23に対して
4価の元素をドープしたn型酸化物熱電変換材料は、基
本酸化物In23に対して、電気抵抗率と熱伝導率
が改善され、特に電気抵抗率が格段に改善され、この
結果、パワーファクターと性能指数が大きく改善さ
れる。なお、ゼーベック係数はIn23に対して小さ
くなるが、本発明に係る基本酸化物In23に対して4
価の元素をドープしたn型酸化物熱電変換材料では、特
に電気抵抗率が格段に改善され、併せて熱伝導率も
改善されることから、熱電変換材料として特に重要な性
能であるパワーファクターと性能指数が大きく改善
される。
【0029】このように、本発明において、4価の元素
をドープすることで熱電変換材料として優れた特性が得
られる、その理由は明らかではないが、後述のとおりP
r(プラセオジム)のような3価元素のドープでは改善
は見られないことから、4価元素のドープが、基本酸化
物In23に対して、電気抵抗率の低下、また熱伝導率
の低下に寄与し、何らかの有効な作用を及ぼしているも
のと思われる。
【0030】また、本発明に係るn型酸化物熱電変換材
料は、液体窒素温度(−196℃)というような低温か
ら室温、室温から800℃以上という広い温度範囲で有
効な熱電性能を備えている。その熱電性能は、温度が高
くなっても低下せず、温度が高くなるに従い反って上昇
する。
【0031】In23の原料としては、焼成によりIn
23を生成し得る原料であれば特に限定はなく、その例
としては例えば金属(In)、インジウム酸〔In(O
H) 3、In23・xH2O〕、ハロゲン化物(InB
r、InCl2、InBr2、InI2、InF3、InB
3等)、硝酸塩〔In(NO33・3H2O〕などが用
いられる。In23の原料としては、酸化物(In
23)自体を用いてもよく、焼成により4価の元素がド
ープされる。In23にドープするZr源としては、例
えば金属(Zr)、酸化物(ZrO2等 )、有機酸塩
〔Zr(CH3CO24〕、ハロゲン化物(ZrCl3
ZrCl4)、オキシハロゲン化物(ZrOCl 2・8H
2O等)などが用いられる。
【0032】Sn源としては、例えば金属(Sn)、酸
化物(SnO2)、錫酸(SnO2・xH2O)、水酸化
物〔Sn(OH)4〕、硝酸塩〔Sn(NO34〕、硫
酸塩〔Sn(SO44〕、ハロゲン化物(SnCl4
SnI4等)などが用いられる。Ti源としては、例え
ば金属(Ti)、酸化物(Ti23、TiO2等)、水
酸化物〔Ti(OH)3等〕、硫酸塩〔Ti(S
42〕、ハロゲン化物(TiCl4、TiI4等)など
が用いられる。他の4価の元素源としては、単体、酸化
物、その他、In23に対してドープし得る形のもので
あれば用いられる。
【0033】本発明のn型酸化物熱電変換材料は、それ
らの原料を例えば粉末等として均一に混合し焼成するだ
けで得られる。このため製造しやすく、材料自体の製造
上のメリットも大きい。また、ドープ元素がZr、Ti
である場合、構成元素がIn、Zr、Ti及び酸素であ
り、毒性元素を含んでいないため安全である。さらに、
ドープ元素がZr、Sn、Tiである場合、希少元素、
貴金属等を含んでいないことから比較的安価であり、産
業利用上のメリットが非常に大きい。
【0034】本発明の熱電変換素子は、上記n型酸化物
熱電変換材料を用いてなることを特徴とする。本発明に
係るn型熱電変換材料を用いて、温度差から電力を取り
出したり、逆に電力を加えてヒートポンプとして冷却又
は加熱に用いる熱電変換素子を構成することができる。
熱電変換素子を構成する仕方としては、熱電変換材料を
用いて熱電変換素子を構成する従来における態様と同様
に構成することができる。本発明のn型酸化物熱電変換
材料と共に用いられるp型熱電変換材料としては、非酸
化物系、酸化物系ともに用いられるが、低温から高温に
わたる耐久性、熱膨張率、電極材料との接合性、その他
の諸点から、酸化物系の熱電変換材料であるのが好まし
く、その例としては前述のような酸化物系の熱電変換材
料が用いられる。
【0035】図1はその熱電変換素子の一態様を原理的
に説明する模式図であり、熱電変換材料としてp型半導
体(p型熱電変換材料)1とn型半導体(n型熱電変換
材料)2とを組み合わせたものである。3は高温側接合
部、4は低温側接合部であり、Qは高温熱源、Thは高
温側温度、Tcは低温側温度を示し、またSは絶縁空間
である。高温側接合部には高温側電極5を共通に設け、
低温側接合部には低温側電極6、7が別個に設けられて
いる。
【0036】このような熱電変換素子において、高温側
接合部3と低温側接合部4との間に温度差ΔT=Th−
Tcを与えると、両電極間(5と6及び7との間)に電
圧が発生する。それ故、低温側の両電極6と7との間に
負荷(R)を接続すると電流(I)が流れ電力(W)と
して取り出すことができる。本発明に係るn型酸化物熱
電変換材料は約−196℃(液化窒素温度)というよう
な低温から800℃、あるいはそれ以上というような高
温まで有効であるため、温度差ΔT=Th−Tcを大き
くとれるので非常に有利である。本発明の熱電変換素子
は、例えば図1に示すようなp型熱電変換材料とn型熱
電変換材料の対を必要対だけ連結することにより構成さ
れる。
【0037】上記とは逆に、両電極間に電圧をかけて電
流を流すと、ペルチェ効果により、高温側接合部3と低
温側接合部4のうち一方の接合部が加熱され、他方の接
合部が冷却され、その間に温度差ΔT=Th−Tcが発
生する。その際、例えば高温側接合部を一定温度に保持
しておくと、低温側接合部側から冷熱を取り出すことが
できる。本明細書における「熱電変換材料」とは熱を電
気へ変換する場合と電気を熱に変換する場合の両方を含
む意味である。本発明のペルチェ素子についても、例え
ば図1に示すようなp型熱電変換材料とn型熱電変換材
料の対を必要対だけ連結することにより構成される。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないこと
は勿論である。表1に実施例で用いた原料について幾つ
かの例を示している。なお、表1中「Nd」以降に記載
した原料は、本発明に係るn型酸化物熱電変換材を見い
出すに到るまでに用いた原料である。
【0039】
【表 1】
【0040】《製造例》表1に示す各種原料の粉末を各
種組成となるように秤量し、適量のエタノールを添加し
乳鉢で均一に混合し、混合を続けながらエタノール分を
蒸発させた後、100℃の恒温槽で1晩乾燥させた。得
られた混合粉末を1軸プレスにより円柱状に成形し(プ
レス型の内径=20mmφ、高さ=約15mm、プレス
荷重=3000kgf)、アルミナ製ルツボ〔(株)ニ
ッカトー社製、SSAーS〕に入れて、空気中、温度9
00℃で24時間仮焼した。
【0041】仮焼した試料を粉砕、混合した。得られた
混合粉末を、100℃の恒温槽で十分乾燥させた後、1
軸プレスにより成形し(プレス荷重=3000kg
f)、幅7mm、長さ25mm、厚さ約2mmの短冊形
に成形した。その後、上記アルミナ製ルツボに入れて、
空気中、温度1100℃で12時間本焼成した。この本
焼成は、ルツボ中に置いたアルミナ板の上に同じ組成の
仮焼した粉末をひき、その上に成形体をのせ、さらに仮
焼粉末で成形体をおおい、アルミナ製の蓋を被せて、焼
成した。こうして各種焼成品(焼結体)を得た。
【0042】また、以上のようにして得られた各種焼成
品を種々の還元雰囲気中でアニール処理を行った。この
うち窒素雰囲気中のアニール処理は下記(1)〜(2)
の2通りの条件で行った。 (1)試料をアルミナ製管状炉(内径=105mmφ、
長さ=約1m20cm)内に配置し、温度1100℃で
12時間、窒素を毎分50mL(50ミリリットル)で
流通させて実施した。以下、この還元条件を「還元雰囲
気アニール処理1」という。 (2)試料を雰囲気制御炉内に配置し、900℃で10
時間、窒素を毎分5mL(5ミリリットル)で流通させ
て実施した。以下、この還元条件を「還元雰囲気アニー
ル処理2」という。
【0043】表2は、こうして得られた焼成品及び窒素
アニール品(還元雰囲気アニール処理1による)の幾つ
かの試料について、その性状、密度を示したものであ
る。
【0044】
【表 2】
【0045】また、各焼成品(焼結体)、各窒素アニー
ル品はすべての組成についてX線回折測定(XRD)を
行った。図2〜12にその幾つかの例についてのXRD
パターンを示している。図7〜10は還元雰囲気アニー
ル処理1によるN2(窒素)アニール品、図11〜12
は還元雰囲気アニール処理2による窒素アニール品であ
る。なお、図2〜12の縦軸の括弧内(A.U.)は(A
rbitrary Unit)の略である。図2〜12
のとおり、各焼成品及び各窒素アニール品は、いずれも
単相のIn23であり、ZrO2、SnO2、TiO2
のピークは殆どみられず、Zr、Sn、Ti、Ce等の
成分がIn23に実質的にドープされていることを示し
ている。
【0046】《性能評価試験》前記各種試料について性
能評価試験を実施した。電気抵抗率、ゼーベック係数、
熱伝導率の測定は下記のとおり行い、パワーファクタ
ー、性能指数Zの算出はそれらの実測値に基づき下記の
とおり行った。 〈性能測定1:電気抵抗率の測定〉電気抵抗率(Ω・c
m=Ω cm)の測定は、各短冊形焼成体試料を室温
で、また電気炉内に入れて所定の温度に加熱し、4探針
法で測定した。4探針法は直流4端子法と同様な原理に
基づくもので、室温の測定においては抵抗率自動測定シ
ステムMCPーS310〔三菱油化(株)社製〕を用
い、温度依存性の抵抗測定には、熱電能測定装置ZEM
ー1S〔真空理工(株)社製〕を用いて実施した。 〈性能測定2:ゼーベック係数の測定〉ゼーベック係数
(V/K=VK-1)の測定は、熱電能測定装置ZEMー
1S〔真空理工(株)社製〕を用いて実施し、以下のよ
うにして行った。各短冊形焼成体試料を電気炉内に入れ
て所定の温度に加熱しながら、試料の下端のみを別に加
熱した。これによって試料の上端と下端との間には約5
℃の温度差がつき、熱起電力が発生する。この起電力を
電圧計で測定し、その値を温度差で割ることによってゼ
ーベック係数が求められる。 〈性能測定3:熱伝導率の測定〉熱伝導率〔W/mK=
W/(mK)=W/m・K=Wm-1-1)〕の測定はレ
ーザーフラッシュ法により、熱定数測定装置TCー70
00〔真空理工(株)社製〕を用いて測定した。測定雰
囲気は1×10-4torr以下の真空中である。
【0047】〈性能測定4:パワーファクターの算出〉
パワーファクター〔W/mK2=W/(mK2)=W/m
・K2〕は、測定された電気抵抗率及びゼーベック係数か
ら前記式(1)により求めた。 〈性能測定5:性能指数Zの算出〉また、性能指数Z
(K-1)は、測定された電気抵抗率ρ、ゼーベック係数
α、熱伝導率λの値を基に前記式(2)により求めた。
【0048】〈性能評価試験1:焼成品〉表3に、焼成
品(大気雰囲気中で合成したもの、すなわち前記仮焼を
経て本焼成してなる焼成品)の試料のうち、基本酸化物
In23及びこれにSn、Zr、Tiの各元素をドープ
した幾つかの試料についての室温域(約18〜25℃)
での電気抵抗率、ゼーベック係数及びパワーファクター
の実測値を示している。表3のとおり、基本酸化物に対
してSn、Zrをドープした試料の電気抵抗率は、基本
酸化物に対していずれも改善されている。なお、(In
1-XZrX23(x=0.01)、(In1-XTiX2
3(x=0.0001、0.01)の室温域でのパワ
ーファクターについては、基本酸化物より小さいが、後
述図21、図25のとおり、これらの場合は高温域で改
善される。例えば(In1-XZrX23(x=0.0
1)の場合は約150〜300℃の範囲で基本酸化物に
対して改善されている。
【0049】
【表 3】
【0050】〈性能評価試験2:焼成品〉図13〜15
は、(In0.9950.00523(A=Zr,Sn,T
i,Ce,Pr)の焼成品の電気抵抗率、ゼーベック係
数及びパワーファクターの温度依存性についての実測値
を示す図であり、図16〜17は、(In
0.9950.00523(A=Sn,Ti,Ce,Pr)の
焼成品の熱伝導率等(30℃)及び性能指数の温度依存
性についての実測値を示す図である。図13は電気抵抗
率であるが、縦軸は指数目盛で示している。この点、以
下、電気抵抗率の図についても同じである。図13のと
おり、電気抵抗率は、基本酸化物In23に対してZ
r、Sn、Tiをドープした焼成品は、基本酸化物In
23(図13中、non−dopeと記載したもの、以
下同じ)の焼成品に対して、いずれも大きく低下し格段
に改善されている。Ceをドープした焼成品は基本酸化
物の焼成品とほぼ同等であり、Pr(3価の元素)をド
ープした焼成品は基本酸化物の焼成品に対して悪くなっ
てしまう。
【0051】図14のとおり、ゼーベック係数について
は、基本酸化物In23に対してZr、Sn、Tiをド
ープした焼成品は、基本酸化物の焼成品に対して小さい
が、温度による変動が少なことを示している。Ceをド
ープした焼成品は、基本酸化物の焼成品とほぼ同等であ
る。Prをドープした焼成品は、基本酸化物の焼成品に
対して大きいが、温度による変動が非常に大きい。な
お、図14におけるゼーベック係数の値は“−(マイナ
ス)”であるが、これはn型の伝導性を有することを意
味する。この点、ゼーベック係数に係る他の図面及び表
についても同じである。
【0052】図15のとおり、パワーファクターについ
ては、基本酸化物In23に対してSnをドープした焼
成品は、基本酸化物の焼成品に対して、常温から400
℃、あるいはそれ以上の温度範囲にわたり大きく改善さ
れ、Zr、Tiについても、温度約200℃以上の温度
で改善されている。Ceをドープした焼成品は基本酸化
物の焼成品とほぼ同等であり、Prをドープした焼成品
は基本酸化物の焼成品に対して約200℃近辺で僅かに
改善が見られるに過ぎない。
【0053】図16のとおり、熱伝導率(30℃)につ
いては、基本酸化物In23に対してTiをドープした
焼成品は、基本酸化物の焼成品に対して、格段に改善さ
れている。Sn、Ceについては基本酸化物とほぼ同等
であるが、Prをドープした焼成品は基本酸化物の焼成
品に対して悪化している。図16には、熱拡散率、密
度、熱容量の実測値も併記しているが、Tiをドープし
た焼成品では熱拡散率についても改善が見られ、その他
の元素では熱伝導率の傾向とほぼ同様な傾向を示してい
る。
【0054】図17のとおり、性能指数については、パ
ワーファクターとほぼ同様な傾向を示し、基本酸化物I
23に対してSnをドープした焼成品は、基本酸化物
の焼成品に対して、常温から400℃、あるいはそれ以
上の温度にわたり大きく改善されている。Tiについて
も、約200℃以上の温度で格段に改善されている。C
eをドープした焼成品は基本酸化物の焼成品とほぼ同等
ないし幾分下回り、Prをドープした焼成品は基本酸化
物の焼成品に対して約200℃近辺で僅かに改善が見ら
れるに過ぎない。
【0055】以上、図13〜17のように、基本酸化物
In23に対してZr、Sn、Tiをドープした焼成品
は、ゼーベック係数については、基本酸化物の焼成品に
対して小さいが、図13のとおり電気抵抗率が格段に改
善されることから、パワーファクターと性能指数が大き
く改善されている。なお、基本酸化物に対してZrをド
ープした焼成品の熱伝導率と性能指数については、Ti
をドープした焼成品の場合に準じた値が得られた。
【0056】〈性能評価試験3:焼成品〉図18〜21
は、(In1-XZrX23(x=0〜0.100)の焼
成品の電気抵抗率、ゼーベック係数及びパワーファクタ
ーの温度依存性についての実測値を示す図である。図1
8のとおり、電気抵抗率については、基本酸化物In2
3(図18中、x=0と記載したもの、以下同じ)に
対して、Zrをドープした焼成品は、Zrのドープ量に
より差異はあるが、基本酸化物の焼成品に対して、いず
れも大きく低下し格段に改善されている。
【0057】図19〜20はゼーベック係数であり、図
20は、図19中x=0.001〜0.100の部分を
縦軸方向に拡大した図である。図19〜20のとおり、
ゼーベック係数については、基本酸化物In23に対し
てZrをドープした焼成品は、Zrのドープ量により差
異はあるが、基本酸化物の焼成品に対して小さい。しか
し、図18のとおり電気抵抗率が格段に改善されている
ことから、図21のとおり、パワーファクターについて
は、基本酸化物In23の焼成品に対して、Zrのドー
プ量が少ない場合に改善されている。例えば、Zrのド
ープ量x=0.001〜0.005の場合には、約20
0℃以上で改善され、x=0.010では約150〜3
00℃の範囲で改善されている。なお、後述のとおり
(図35等参照)、還元雰囲気中でアニール処理するこ
とにより、Zrのドープ量が少ない場合だけでなく、そ
れが多い場合にも、常温から400℃、あるいはそれ以
上という広い温度範囲にわたり、基本酸化物In23
対して格段に改善される。
【0058】〈性能評価試験4:焼成品〉図22〜27
は、(In1-XTiX23(x=0〜0.100)の焼
成品の電気抵抗率、ゼーベック係数、パワーファクタ
ー、熱伝導率及び性能指数の温度依存性についての実測
値を示す図である。図22のとおり、電気抵抗率につい
ては、基本酸化物In23(x=0)に対して、Tiを
ドープした焼成品はいずれも大きく低下し格段に改善さ
れている。図23〜24はゼーベック係数であり、図2
4は、図23中x=0.002〜0.200の部分を縦
軸方向に拡大した図である。図23〜24のとおり、ゼ
ーベック係数は、基本酸化物In23に対して、Tiを
ドープした焼成品は、ドープ量により差異はあるが、基
本酸化物の焼成品に対して小さい。
【0059】しかし、図22のとおり電気抵抗率が格段
に改善されていることから、図25のとおり、パワーフ
ァクターについては、Tiをドープした焼成品は、基本
酸化物In23の焼成品に対して、x=0.001では
約150℃から、x=0.003では約170℃から、
x=0.005では約220℃から高温側で格段の改善
がみられる。図26のとおり、熱伝導率については、T
iをドープした焼成品は、基本酸化物In23の焼成品
に対して、そのドープ量により差はあるが、唯一x=
0.0075の場合を除き、いずれも改善されている。
図26には、熱拡散率、密度、熱容量の実測値も併記し
ているが、熱拡散率については、熱伝導率の傾向とほぼ
同様な傾向を示している。図27のとおり、性能指数に
ついては、パワーファクターの場合とほぼ同様に改善さ
れていることがわかる。なお、後述のとおり(図44等
参照)、還元雰囲気中でアニール処理することにより、
Tiのドープ量如何に拘らず、常温から400℃、ある
いはそれ以上という広い温度範囲にわたり、基本酸化物
In23に対して格段に改善される。
【0060】〈性能評価試験5:還元雰囲気アニール
品〉図28〜32は、(In0.9950.00523(A=
Zr,Sn,Ti,Ce,Pr)の窒素アニール品の電
気抵抗率、ゼーベック係数、パワーファクター、熱伝導
率等(温度30℃)及び性能指数の温度依存性について
の実測値を示す図である。本試験で用いた各窒素アニー
ル品は還元雰囲気アニール処理2により得られた試料で
ある。なお、上記組成式中、酸素‘O’原子について
は、還元雰囲気での熱処理により僅かではあるが減少が
みられる。この点、以下の窒素アニール品についても同
じである。
【0061】図28のとおり、電気抵抗率については、
基本酸化物In23にZr、Sn、Tiをドープしたも
のの窒素アニール品は、基本酸化物の窒素アニール品に
対して、いずれも大きく低下し格段に改善され、特にT
iについてはさらに改善されている。Ceをドープした
ものの窒素アニール品についても明らかな改善が認めら
れる。例えば、基本酸化物の窒素アニール品の常温での
電気抵抗率が0.08Ω・cmであるのに対して、基本
酸化物にCeをドープしたものの窒素アニール品の常温
での電気抵抗率は0.035Ω・cm、すなわちその半
分以下に改善され、この改善は常温域以降、温度が高く
なっても同様になされている。基本酸化物にPrをドー
プしたものの窒素アニール品は改善は見られない。
【0062】図29のとおり、ゼーベック係数について
は、基本酸化物In23にZr、Sn、Ti、Ce、P
rをドープしたものの窒素アニール品は、いずれも基本
酸化物の窒素アニール品に対して小さい。しかし、図2
8のとおり電気抵抗率が大きく低下し格段に改善されて
いることから、図30のとおり、パワーファクターにつ
いては、基本酸化物にZr、Sn、Ti、Ceをドープ
したものの窒素アニール品は、基本酸化物の窒素アニー
ル品に対して、常温から400℃、あるいはそれ以上の
温度にわたる広い温度範囲で改善されている。これに対
して、基本酸化物にPrをドープしたものの窒素アニー
ル品は基本酸化物の窒素アニール品に対して低下してい
る。
【0063】図31のとおり、熱伝導率については、基
本酸化物In23に対して、特にTi、Prをドープし
たものの窒素アニール品は格段に改善され、Sn、Ce
の場合はこれに準じて改善されている。図31には、熱
拡散率、密度、熱容量の実測値も併記しているが、熱拡
散率の点で熱伝導率と同様の傾向を示している。図32
のとおり、性能指数については、基本酸化物In23
Zr、Sn、Ti、Ceをドープしたものの窒素アニー
ル品は、基本酸化物の窒素アニール品に対して、いずれ
も常温から400℃、あるいはそれ以上という広い温度
範囲にわたり改善されている。このうち、特にTiの場
合の改善が著しく、Zr、Snがこれに準じている。C
eの場合にもかなりの改善が見られる。これに対して、
基本酸化物にPrをドープしたものの窒素アニール品は
基本酸化物の窒素アニール品とほぼ同等であり改善は見
られない。
【0064】以上の事実からして、基本酸化物In23
にZr、Sn、Tiをドープしたものの還元アニール品
は、それらの焼成品に比べて、さらに格段に改善される
ことが明らかである。また、前記のとおり、基本酸化物
In23にCeをドープした焼成品での性能は、基本酸
化物の焼成品に対して改善されないが、基本酸化物にC
eをドープしたものの焼成品を還元し得る雰囲気中でア
ニール処理することにより、基本酸化物の焼成品に対し
て、またその還元アニール品に対しても、改善されるこ
とが明らかである。
【0065】〈性能評価試験6:還元雰囲気アニール
品〉図33〜35は、(In1-XZrX23(x=0〜
0.100)の窒素アニール品の電気抵抗率、ゼーベッ
ク係数及びパワーファクターの温度依存性についての実
測値を示す図である。本試験で用いた各窒素アニール品
は還元雰囲気アニール処理2により得られた試料であ
る。
【0066】図33のとおり、電気抵抗率については、
基本酸化物In23(x=0)にZrをドープしたもの
の窒素アニール品は、基本酸化物の窒素アニール品に対
して、いずれも大きく低下し、格段に改善されているこ
とがわかる。図34のとおり、ゼーベック係数について
は、Zrをドープしたものの窒素アニール品は基本酸化
物In23に対していずれも小さい。しかし、図33の
とおり電気抵抗率が大きく低下し格段に改善されている
ことから、図35のとおり、パワーファクターについて
は、基本酸化物In23にZrをドープしたものの窒素
アニール品は、Zrドープ量が多いx=0.100及び
0.050における約110℃以下における僅かな例外
を除き、基本酸化物の窒素アニール品に対して、常温か
ら400℃、あるいはそれ以上の広い温度範囲にわたり
大きく改善されている。
【0067】〈性能評価試験7:還元雰囲気アニール
品〉性能評価試験1で用いたものと同じ焼成品のN
2(窒素)アニール品について性能評価試験を行った。
本試験で用いた各窒素アニール品は還元雰囲気アニール
処理1により得られた試料である。表4は、基本酸化物
In23の焼成品の窒素アニール品及び基本酸化物In
23に各元素をドープしたものの窒素アニール品につい
ての室温域(約18〜25℃)での電気抵抗率、ゼーベ
ック係数及びパワーファクターを示している。また、表
4には、対比のため、表3に示す基本酸化物In23
焼成品についてのデータを転記して示している。
【0068】
【表 4】
【0069】まず、基本酸化物In23の窒素アニール
品についてみると、表4のとおり、基本酸化物In23
の焼成品に対して、電気抵抗率が大きく低下し格段に改
善され、パワーファクターについても格段に改善されて
いる。例えばパワーファクターについては、基本酸化物
の焼成品では1.07×10-6W/mK2でるのに対し
て、窒素アニール品では3.51×10-6W/mK2
3倍以上の改善がなされている。また、表4には記載し
ていないが、390℃における電気抵抗率及びパワーフ
ァクターを測定したところ、基本酸化物の焼成品では、
それぞれ0.39Ω・cm、3.1×10-6W/mK2
であったのに対して、窒素アニール品では、それぞれ
0.126Ω・cm、34.7×10-6W/mK2であ
った。このように、本発明によれば、基本酸化物In2
3自体についても、還元雰囲気中でアニール処理する
ことによりその性能が改善されることが明らかである。
【0070】次に、基本酸化物In23にSn、Zr、
Tiをドープした試料についてみると、表4のとおり、
窒素雰囲気中でアニール処理することにより、電気抵抗
率及びパワーファクター共に、基本酸化物In23の焼
成品に対して、すべて格段に改善されている。なお、
(In1-XSnX23〔x=0.01〕及び(In1-X
ZrX23〔x=0.0001〕のパワーファクター
は、基本酸化物In23の窒素アニール品に対しては小
さいが、基本酸化物の焼成品に対して改善されている。
【0071】また、基本酸化物In23にSn、Zr、
Tiをドープした試料を基本酸化物In23の窒素アニ
ール品と比較すると、電気抵抗率が著しく低下し改善さ
れ、パワーファクターが有意に改善されている。例えば
(In1-XZrX23〔x=0.0044〕で5.87
×10-5W/mK2、(In1-XZrX23〔x=0.
01〕で1.36×10-4〔=13.6×10-5〕W/
mK2という高い値を示している。なお、(In1-XZr
X23〔x=0.0001〕は電気抵抗率、ゼーベッ
ク係数について例外的であるが、パワーファクターにつ
いては4.16×10-5W/mK2の値を示し、基本酸
化物In23のN2(窒素)アニール品に対して改善さ
れている。
【0072】上記のとおり、まず室温域において、基本
酸化物In23に対して、特にZr、Sn、Tiをドー
プした場合、還元雰囲気下のアニール処理により電気抵
抗率を格段に下げることができ、パワーファクターが改
善される。そこで、室温(18〜24℃)域以降、高温
域に至るまでの諸熱電特性について測定し、評価を行っ
た。図36〜40は、そのうち(In1-XZrX2
3〔x=0.00005〜0.05〕について、x=
0.01の場合である(In0.99Zr0.0123、すな
わちIn1.98Zr0.023についての結果を示す図であ
る。また、表5に各温度における諸熱定数の実測値を示
している。
【0073】
【表 5】
【0074】図36は電気抵抗率の温度依存性を示す図
である。電気抵抗率は常温域から徐々に幾分増加はする
が、580℃でも0.006Ω・cmであり、本発明に
係る酸化物In1.98Zr0.023〔すなわち(In1-X
X23(x=0.01)〕が室温から600℃、あ
るいはそれ以上にも及ぶ広い温度領域にわたって電気抵
抗率が小さく、熱電変換材料として有効な特性を有する
ことを示している。図37はゼーベック係数の温度依存
性を示す図である。この値は、常温域から約100℃ま
では減少するが、それ以降徐々に増加し、580℃では
−98×10-6VK-1の値を示している(なお、縦軸の
符号は−であるが、前述のとおり、これはn型であるこ
とを意味する)。図37中、「冷却後」として示すプロ
ットは、600℃まで加熱後、室温へ冷却した試料につ
いての値であるが、図37のとおり冷却後でもゼーベッ
ク係数に大幅な低下はみらない。
【0075】図38はパワーファクターの温度依存性を
示す図である。パワーファクターについては常温域から
100℃までは低下するが、以降徐々に増加し、580
℃では1.57×10-4W/mK2(=157×10-6
/mK2)の値を示している。図38中、「冷却後」とし
て示すプロットは、600℃まで加熱後、室温へ冷却し
た試料についての値であるが、パワーファクターは冷却
後には返って増加し、繰り返し使用にも耐えることを示
している。図39は熱伝導率の温度依存性を示す図であ
り、室温域から100℃まで1.6Wm-1-1(Wm-1
-1=W/mK)程度と小さく、以降低下し、600℃
においても1.25Wm-1-1という値を示している。
【0076】さらに、図40に性能指数Zの温度依存性
を示している。図40のとおり、性能指数Zは、常温域
から100℃までは低下するが、以降温度上昇とともに
増加し、300℃で1.05×10-4-1であり、60
0℃では1.3×10-4-1もの値を示している。この
ように本発明に係るZrドープのIn23のN2(窒
素)アニール品は常温から600℃、あるいはそれ以上
にも及ぶ広い温度領域にわたって高い性能指数を有し、
n型酸化物熱電変換材料として優れた特性を有すること
を示している。
【0077】〈性能評価試験8:還元雰囲気アニール
品〉図41〜46は、(In1-XTiX23(x=0〜
0.100)の窒素アニール品の電気抵抗率、ゼーベッ
ク係数、パワーファクター、熱伝導率及び性能指数の温
度依存性についての実測値を示す図である。本試験で用
いた各窒素アニール品は還元雰囲気アニール処理2によ
り得られた試料である。図41のとおり、電気抵抗率に
ついては、基本組成:In23(x=0)に対して、T
iをドープしたものの窒素アニール品はいずれも大きく
低下し格段に改善されていることがわかる。
【0078】図42〜43はゼーベック係数であり、図
43は、図42中x=0.001〜0.100の部分を
縦軸方向に拡大した図である。Tiをドープしたものの
窒素アニール品のゼーベック係数は基本酸化物In23
の窒素アニール品に対して小さい。しかし、図41のと
おり電気抵抗率が大きく低下し格段に改善されているこ
とから、図44のとおり、パワーファクターについて
は、基本酸化物In23に対して、Tiをドープしたも
のの窒素アニール品は常温から400℃、あるいはそれ
以上の広い温度範囲にわたり格段の改善がみられる。前
述のとおり、焼成品(図25参照)の段階では、基本酸
化物に対して、例えばx=0.001では約150℃か
ら、x=0.003では約170℃から、x=0.00
5では約220℃から改善がみられるが、焼成品を還元
雰囲気でアニール処理することにより、常温から400
℃以上の広い温度範囲にわたり格段の改善がみられる。
【0079】図45のとおり、熱伝導率については、基
本酸化物In23の窒素アニール品に対して、Tiをド
ープしたものの窒素アニール品はいずれも低く、改善さ
れている。図45には、熱拡散率、密度、熱容量の実測
値も併記しているが、Tiをドープしたものの窒素アニ
ール品はドープ量により変動はあるが、特に熱拡散率に
ついて熱伝導率と同様の傾向を示し、基本酸化物In2
3の窒素アニール品に対して改善されている。図46
のとおり、性能指数については、パワーファクターの場
合と同様に格段に改善され、基本酸化物In23の窒素
アニール品に対して、Tiをドープしたものの窒素アニ
ール品は常温から400℃、あるいはそれ以上という広
い温度範囲にわたり格段の改善がみられる。前述のとお
り、焼成品(図27参照)の段階では、基本酸化物In
23の焼成品に対して、x=0.001では約150℃
から、x=0.003では約170℃から、x=0.0
05では約220℃から改善がみられるが、焼成品を還
元雰囲気でアニール処理することにより、常温から40
0℃以上という広い温度範囲にわたり格段の改善がみら
れる。
【0080】〈性能評価試験9:還元雰囲気アニール
品〉図47〜50は、(In1-XTiX23(x=0〜
0.100)の窒素アニール品の50℃における電気抵
抗率、ゼーベック係数、パワーファクター及び性能指数
についての実測値を示す図である。本試験で用いた各窒
素アニール品は還元雰囲気アニール処理2により得られ
た試料である。図47のとおり、電気抵抗率は、基本酸
化物In23(x=0)の窒素アニール品では0.08
Ω・cmであるのに対して、Tiをドープしたものの窒
素アニール品は、ドープ量の増加に伴い大きく低下し、
x=0.0075では0.0008Ω・cm程度とな
り、以降漸次増加はするが、x=0.100でも0.0
02Ω・cm程度であり、格段に改善されていることが
わかる。
【0081】図48はゼーベック係数であり、Tiをド
ープしたものの窒素アニール品は基本酸化物In2
3(x=0)の窒素アニール品に対して小さい。しか
し、図47のとおり電気抵抗率が大きく低下し格段に改
善されていることから、図49のとおり、パワーファク
ターについては、基本酸化物In23(x=0)の窒素
アニール品に対して、Tiをドープしたものの窒素アニ
ール品は、ドープ量の増加に伴い大きくなり、x=0.
0075では120×10-6W/mK2程度となる。以降
減少するが、x=0.050でも55×10-6W/mK2
程度を示し、改善されていることがわかる。
【0082】図50は性能指数であり、基本酸化物In
23(x=0)の窒素アニール品に対して、Tiをドー
プしたものの窒素アニール品では格段の改善がみられ
る。基本酸化物In23に対するTiのドープ量の増加
に伴い大きく改善され、x=0.005では97×10
-6-1もの値を示している。以降減少するが、x=0.
100でも約20×10-6-1の値を示している。
【0083】〈性能評価試験10:還元雰囲気アニール
品〉図51〜54は、(In0.995Ti0.00523の窒
素アニール品の電気抵抗率、ゼーベック係数、パワーフ
ァクター及び性能指数について常温から800℃にわた
る温度範囲における実測値を示す図である。本試験で用
いた各窒素アニール品は還元雰囲気アニール処理2によ
り得られた試料である。図51のとおり、電気抵抗率に
ついては、常温では0.9×10-3Ω・cmと小さく、
400℃でも2×10-3Ω・cm程度である。それ以降
大きくなるが、約600℃程度をピークに、それ以降は
低下している。図52のとおり、ゼーベック係数につい
ては、常温以降徐々に大きくなり、600℃以降では−
87×10-6VK-1程度となる。
【0084】そして、図53〜54のとおり、パワーフ
ァクター及び性能指数については、両者共に同様の傾向
を示し、基本酸化物In23の窒素アニール品に対して
Tiをドープしたものの窒素アニール品は常温から80
0℃、あるいはそれ以上の広い温度範囲にわたりパワー
ファクター及び性能指数共に高い値を示し、熱電変換材
料として優れた特性を示している。
【0085】〈性能評価試験11:還元雰囲気アニール
品〉以上のとおり、本発明に係るn型酸化物熱電変換材
料は、常温から800℃以上という広い温度範囲で有効
な熱電特性を備えているが、低温域から常温域において
も有効な熱電特性を備えている。本性能評価試験11は
その実証例である。本試験で用いた窒素アニール品は還
元雰囲気アニール処理2により得られた試料である。
【0086】図55は、(In0.995Ti0.00523
窒素アニール品の電気抵抗率、ゼーベック係数及びパワ
ーファクターについて、70K(−203℃)から70
0K(427℃)にわたる温度範囲における実測値を示
す図である。図55のとおり、(In0.995Ti0.005
23の窒素アニール品の電気抵抗率は、70K(−20
3℃)で0.6×10-3Ω・cmと小さく、以降徐々に
増加するが、常温(300K=27℃)でも0.9×1
-3Ω・cmと小さい。
【0087】また、ゼーベック係数については、70K
(−203℃)で−10×10-6V/K(V/K=VK
-1)の値を示し、以降温度上昇とともに大きくなり、常
温(300K=27℃)では−30×10-6V/Kの値
を示している。パワーファクターについては、70Kで
20×10-6W/mK2の値を示し、以降温度上昇とと
もに大きくなり、常温(300K=27℃)では120
×10-6W/mK2という値を示している。このように
本発明のn型酸化物熱電変換材料は、低温から常温にお
いても有効な熱電特性を備えている。
【0088】
【発明の効果】本発明のIn23系n型酸化物熱電変換
材料は、−200℃程度という低温から800℃以上に
も及ぶ広い温度領域にわたって改善された熱電特性を有
し、n型酸化物熱電変換材料として有効な優れた特性を
有する。また、本発明における還元雰囲気でアニール処
理してなるIn23系n型酸化物熱電変換材料はさらに
改善された特性を有する。さらに、本発明のn型酸化物
熱電変換材料は、酸化物であることから、低温域から高
温域にわたる広い温度範囲で耐久性があり、熱電変換素
子として各種p型熱電変換材料、特にp型酸化物熱電変
換材料と共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電変換素子の一態様を原理的に説明する模式
図。
【図2】焼成品についてXRD測定の結果を示す図。
【図3】焼成品についてXRD測定の結果を示す図。
【図4】焼成品についてXRD測定の結果を示す図。
【図5】焼成品についてXRD測定の結果を示す図。
【図6】焼成品についてXRD測定の結果を示す図。
【図7】アニール品についてXRD測定の結果を示す
図。
【図8】アニール品についてXRD測定の結果を示す
図。
【図9】アニール品についてXRD測定の結果を示す
図。
【図10】アニール品についてXRD測定の結果を示す
図。
【図11】アニール品についてXRD測定の結果を示す
図。
【図12】アニール品についてXRD測定の結果を示す
図。
【図13】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Ce,Pr)の焼成品の電気抵抗率の温度依
存性を示す図。
【図14】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Ce,Pr)の焼成品のゼーベック係数の温
度依存性を示す図。
【図15】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Ce,Pr)の焼成品のパワーファクターの
温度依存性を示す図。
【図16】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Ce,Pr)の焼成品の熱伝導率の温度依存
性を示す図。
【図17】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Ce,Pr)の焼成品の性能指数の温度依存
性を示す図。
【図18】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の焼成品の電気抵抗率の温度依存性を示す図。
【図19】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の焼成品のゼーベック係数の温度依存性を示す図。
【図20】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の焼成品のゼーベック係数の温度依存性を示す図。
【図21】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の焼成品のパワーファクターの温度依存性を示す
図。
【図22】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の焼成品の電気抵抗率の温度依存性を示す図。
【図23】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の焼成品のゼーベック係数の温度依存性を示す図。
【図24】(In1-XTiX23(x=0.001〜
0.100)の焼成品のゼーベック係数の温度依存性を
示す図。
【図25】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の焼成品のパワーファクターの温度依存性を示す
図。
【図26】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の焼成品の熱伝導率等の温度依存性を示す図。
【図27】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の焼成品の性能指数の温度依存性を示す図。
【図28】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Pr,Ce,Pr)の窒素アニール品の電気
抵抗率の温度依存性を示す図。
【図29】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Pr,Ce,Pr)の窒素アニール品のゼー
ベック係数の温度依存性を示す図。
【図30】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Pr,Ce,Pr)の窒素アニール品のパワ
ーファクターの温度依存性を示す図。
【図31】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Pr,Ce,Pr)の窒素アニール品の熱伝
導率等の温度依存性を示す図。
【図32】(In0.9950.00523(A=Zr,S
n,Ti,Pr,Ce,Pr)の窒素アニール品の性能
指数の温度依存性を示す図。
【図33】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の電気抵抗率の温度依存性を示す
図。
【図34】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品のゼーベック係数の温度依存性を
示す図。
【図35】(In1-XZrX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品のパワーファクターの温度依存性
を示す図。
【図36】(In0.990Zr0.0123、すなわちIn
1.98Zr0.023のN2(窒素)アニール品の電気抵抗率
の温度依存性を示す図。
【図37】(In0.990Zr0.0123、すなわちIn
1.98Zr0.023のN2(窒素)アニール品のゼーベック
係数の温度依存性を示す図。
【図38】(In0.990Zr0.0123、すなわちIn
1.98Zr0.023のN2(窒素)アニール品のパワーファ
クターの温度依存性を示す図。
【図39】(In0.990Zr0.0123、すなわちIn
1.98Zr0.023のN2(窒素)アニール品の熱伝導率の
温度依存性を示す図。
【図40】(In0.990Zr0.0123、すなわちIn
1.98Zr0.023のN2(窒素)アニール品の性能指数の
温度依存性を示す図。
【図41】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の電気抵抗率の温度依存性を示す
図。
【図42】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品のゼーベック係数の温度依存性を
示す図。
【図43】(In1-XTiX23(x=0.001〜
0.100)の窒素アニール品のゼーベック係数の温度
依存性を示す図。
【図44】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品のパワーファクターの温度依存性
を示す図。
【図45】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の熱伝導率等の温度依存性を示す
図。
【図46】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の性能指数の温度依存性を示す
図。
【図47】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の50℃における電気抵抗率を示
す図。
【図48】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の50℃におけるゼーベック係数
を示す図。
【図49】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の50℃におけるパワーファクタ
ーを示す図。
【図50】(In1-XTiX23(x=0〜0.10
0)の窒素アニール品の50℃における性能指数を示す
図。
【図51】(In0.995Ti0.00523の窒素アニール
品の電気抵抗率の温度依存性を示す図。
【図52】(In0.995Ti0.00523の窒素アニール
品のゼーベック係数の温度依存性を示す図。
【図53】(In0.995Ti0.00523の窒素アニール
品のパワーファクターの温度依存性を示す図。
【図54】(In0.995Ti0.00523の窒素アニール
品の性能指数の温度依存性を示す図。
【図55】(In0.995Ti0.00523の窒素アニール
品の電気抵抗率、ゼーベック係数及びパワーファクター
を示す図〔70〜700K(−203〜427℃)〕。
【符号の説明】
1 p型半導体(p型熱電変換材料) 2 n型半導体(n型熱電変換材料) 3 高温側接合部 4 低温側接合部 5 高温側電極 6、7 低温側電極 S 絶縁空間

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】In23を主体とするn型酸化物熱電変換
    材料であって、基本酸化物In23に対してZr、S
    n、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた
    少なくとも1種の4価の元素をドープしてなることを特
    徴とするn型酸化物熱電変換材料。
  2. 【請求項2】In23を主体とするn型酸化物熱電変換
    材料であって、基本酸化物In23に対してZr、Sn
    及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素をドープし
    てなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。
  3. 【請求項3】In23を主体とし、式(In1-XX2
    3で表されるn型酸化物熱電変換材料。ただし、式
    中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1
    種の元素であり、x=0.00005〜0.1である。
  4. 【請求項4】In23を主体とし、Zr、Sn、Ti、
    Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも
    1種の4価の元素をドープしてなるn型酸化物熱電変換
    材料であって、基本酸化物In23に対してZr、S
    n、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた
    少なくとも1種の4価の元素をドープした酸化物を還元
    し得る雰囲気中でアニール処理してなることを特徴とす
    るn型酸化物熱電変換材料。
  5. 【請求項5】In23を主体とし、式(In1-XX2
    3で表されるn型酸化物熱電変換材料であって、In2
    3を主体とし、式(In1-XX23で表される酸化
    物を還元し得る雰囲気中でアニール処理してなることを
    特徴とするn型酸化物熱電変換材料。ただし、式中、A
    はZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元
    素であり、x=0.00005〜0.1である。
  6. 【請求項6】In23を主体とし、Zr、Sn、Ti、
    Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも
    1種の4価の元素をドープしてなるn型酸化物熱電変換
    材料であって、In23又は焼成によりIn23を生成
    する材料とZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及
    びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む
    材料からなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼成し
    てなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。
  7. 【請求項7】In23を主体とし、式(In1-XX2
    3で表されるn型酸化物熱電変換材料であって、In2
    3又は焼成によりIn23を生成する材料とZr、S
    n及びTiから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を
    含む材料からなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼
    成してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。
    ただし、式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少
    なくとも1種の元素であり、x=0.00005〜0.
    1である。
  8. 【請求項8】In23からなるn型酸化物熱電変換材料
    であって、In23又は焼成によりIn23を生成する
    材料を還元し得る雰囲気中で焼成してなることを特徴と
    するn型酸化物熱電変換材料。
  9. 【請求項9】上記還元し得る雰囲気が窒素または窒素を
    含むガス雰囲気であることを特徴とする請求項4〜8の
    いずれかに記載のn型酸化物熱電変換材料。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のn型酸
    化物熱電変換材料を用いてなることを特徴とする熱電変
    換素子。
JP2000244833A 1999-08-17 2000-08-11 熱電変換材料及び熱電変換素子 Pending JP2001127350A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000244833A JP2001127350A (ja) 1999-08-17 2000-08-11 熱電変換材料及び熱電変換素子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-230946 1999-08-17
JP23094699 1999-08-17
JP2000244833A JP2001127350A (ja) 1999-08-17 2000-08-11 熱電変換材料及び熱電変換素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001127350A true JP2001127350A (ja) 2001-05-11

Family

ID=26529622

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000244833A Pending JP2001127350A (ja) 1999-08-17 2000-08-11 熱電変換材料及び熱電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001127350A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004012276A1 (ja) * 2002-07-29 2004-02-05 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology 窒素を含む熱電変換材料
JP2006264989A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Dowa Mining Co Ltd 酸化インジウム粉末およびその製造方法
JPWO2005093864A1 (ja) * 2004-03-25 2008-02-14 独立行政法人産業技術総合研究所 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2013102155A (ja) * 2011-10-19 2013-05-23 Fujifilm Corp 熱電変換素子及びその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004012276A1 (ja) * 2002-07-29 2004-02-05 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology 窒素を含む熱電変換材料
GB2417129A (en) * 2002-07-29 2006-02-15 Nat Inst Of Advanced Ind Scien Thermoelectric transformation material containing nitrogen
GB2417129B (en) * 2002-07-29 2006-10-25 Nat Inst Of Advanced Ind Scien Thermoelectric transformation material containing nitrogen
US7521629B2 (en) 2002-07-29 2009-04-21 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Thermoelectric transportation material containing nitrogen
US8203067B2 (en) 2002-07-29 2012-06-19 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Thermoelectric transportation material containing nitrogen
JPWO2005093864A1 (ja) * 2004-03-25 2008-02-14 独立行政法人産業技術総合研究所 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP4670017B2 (ja) * 2004-03-25 2011-04-13 独立行政法人産業技術総合研究所 熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP2006264989A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Dowa Mining Co Ltd 酸化インジウム粉末およびその製造方法
JP2013102155A (ja) * 2011-10-19 2013-05-23 Fujifilm Corp 熱電変換素子及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Cai et al. Preparation and thermoelectric properties of Al-doped ZnO ceramics
Xu et al. High-temperature transport properties of Nb and Ta substituted CaMnO3 system
CN108238796A (zh) 铜硒基固溶体热电材料及其制备方法
JP4867618B2 (ja) 熱電変換材料
JP4967772B2 (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
JP2008263056A (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
Dong et al. Effect of La2O3 on high-temperature thermoelectric properties of WO3
Zhu et al. Composition-dependent thermoelectric properties of PbTe doped with Bi2Te3
Park Improvement in electrical stability by addition of SiO2 in (Mn1. 2Ni0. 78Co0. 87− xCu0. 15Six) O4 negative temperature coefficient thermistors
JP2002280619A (ja) 熱電変換材料及び熱電変換素子
JP2001127350A (ja) 熱電変換材料及び熱電変換素子
JP4876721B2 (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
Park et al. Improved thermoelectric properties by adding Al for Zn in (ZnO) mIn2O3
JP2000012915A (ja) 熱電変換材料
JP3562296B2 (ja) P型熱電変換材料およびその製造方法
JP2005217310A (ja) クラスレート化合物、熱電変換素子及びその製造方法
JPH07231122A (ja) 酸化物熱電変換材料
JP2808580B2 (ja) 熱電半導体材料
JP5931413B2 (ja) p型熱電変換材料及びその製造方法、並びに、熱電変換素子及び熱電変換モジュール
JP4844043B2 (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
JPH0617225B2 (ja) 熱電変換材料
JP3477019B2 (ja) 熱電変換材料およびその製造方法
JPH05129667A (ja) 熱電半導体素子とその製造方法
JP3088039B2 (ja) 熱電半導体素子
JPS63260853A (ja) 超伝導性素材