JP2001125025A - 走査光学系 - Google Patents
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Abstract
面により補正することができ、かつ、加工誤差による回
折効率の低下を防ぐこと。 【解決手段】 半導体レーザー1及びコリメートレンズ
2、シリンドリカルレンズ3、半導体レーザー1から発
する光束を動的に偏向する偏向器としてのポリゴンミラ
ー4、ポリゴンミラー4により偏向された光束を描画面
5上に結像させる走査レンズとしてのfθレンズ20、
そして、ポリゴンミラー4と描画面5との間に配置され
た光路折り返しミラー30を備えている。光路折り返し
ミラー30は、表面反射鏡であり、その反射面は、fθ
レンズ20の倍率色収差を補正する回折面として形成さ
れている。
Description
ター等の描画装置に利用される走査光学系に関する。
体レーザー等の光源部、このレーザービームを偏向する
ポリゴンミラー等の偏向器、そして、偏向されたレーザ
ー光を描画面上に収束させてビームスポットを形成する
fθレンズ等の走査レンズを備えている。走査レンズ
は、通常、単波長での使用を前提としているため、色収
差は補正されておらず、半導体レーザーの個体差や、温
度、出力の変化により発振波長が変化すると、走査レン
ズの倍率色収差により走査線の長さが変化し、描画精度
が悪化する。
影響を補正するため、走査レンズを構成する屈折レンズ
の表面にフレネルレンズ状の回折面を形成する技術が特
開平10−68903号公報、特開平10−19782
0号公報に開示されている。
た公報に開示されたように屈折レンズの透過面上に回折
面を形成する場合には、回折面の位相切換位置に形成さ
れた段差は、光が透過する片道の光路上で所定の位相差
を与える必要があるため、段差が比較的大きくなる。し
たがって、段差部分を正確に加工するのが困難となり、
段差形状の加工誤差に起因する回折効率の低下が問題と
なる。
鑑みてなされたものであり、走査レンズにより発生する
倍率色収差を回折面により補正することができ、かつ、
加工誤差による回折効率の低下を防ぐことができる走査
光学系を提供することを目的とする。
学系は、上記の目的を達成させるため、光学系中に含ま
れる光路折り返しミラーの反射面に、回折面を形成した
ことを特徴とする。すなわち、この発明にかかる走査光
学系は、光源部と、光源部から発する光束を動的に偏向
する偏向器と、偏向器により偏向された光束を描画面上
に結像させて主走査方向に走査するスポットを形成する
走査レンズと、偏向器と描画面との間に配置され、主走
査方向に対して垂直な副走査断面内で光路を折り曲げる
光路折り返しミラーとを備え、光路折り返しミラーの反
射面が、走査レンズの倍率色収差を補正する回折面とし
て形成されていることを特徴とする。
合には、回折面の位相切換位置に形成された段差は、光
が反射する往復の光路上で所定の位相差を与えれば足り
るため、透過面上に回折面を形成した場合と比較して、
段差を小さくすることができる。
段差をもつ多数の輪帯として形成することができ、表面
鏡として形成してもよいし、裏面鏡として形成してもよ
い。光路折り返しミラーを表面鏡として射出成形により
形成する場合には、成形時のゲート部を主走査方向の中
央部に位置させることが望ましい。
れる場合には、回折面をパワーの弱い凸面のベースカー
ブ上に形成することが望ましい。ベースカーブが凸面で
あると、回折面の段差部分の加工を容易にすることがで
き、しかも、光路折り返しミラーに回折面を形成したこ
とにより発生する描画面上での走査線の湾曲を補正する
ことができる。
発した光束が偏向器に対して副走査断面内で角度を有す
るように配置することによっても補正することができ
る。このとき、偏向器の反射面の倒れによる影響を防ぐ
ために、光源部と偏向器との間に偏向器の近傍に主走査
方向に延びる線像を形成するシリンドリカルレンズを配
置し、比較的描画面の近傍となる位置に副走査断面内で
強い正のパワーを持つアナモフィックレンズを配置する
場合がある。このような場合には、光源部からの光束が
偏向器に入射するときに副走査断面内で角度を持つと、
波面収差が劣化するため、アナモフィックレンズを、走
査レンズを構成する他のレンズの光軸に対して副走査方
向に偏心させて配置することが望ましい。
系の実施形態を説明する。図1は、実施形態の走査光学
系を示す斜視図である。この走査光学系は、レーザープ
リンターの走査ユニットに適用されるもので、光源部を
構成する半導体レーザー1、コリメートレンズ2、シリ
ンドリカルレンズ3、半導体レーザー1から発する光束
を動的に偏向する偏向器としてのポリゴンミラー4、ポ
リゴンミラー4により偏向された光束を描画面5上に結
像させる走査レンズとしてのfθレンズ20、そして、
ポリゴンミラー4と描画面5との間に配置された光路折
り返しミラー30を備えている。
走査する方向を主走査方向y、これに直交する方向を副
走査方向zと定義し、各光学素子の形状、パワーの方向
性は、描画面5上での方向を基準に説明する。なお、主
走査方向yに対して垂直であり、かつ、fθレンズ20
の光軸を含む面を「副走査断面」と定義する。
ら順に、平凸の第1レンズ21、正メニスカスの第2レ
ンズ22、副走査方向において強い正のパワーを有する
アナモフィックレンズである第3レンズ23の3枚の屈
折レンズから構成されている。光路折り返しミラー30
は、第2レンズ22と第3レンズ23との間に、副走査
断面内で光路を折り曲げるよう配置されている。光路折
り返しミラー30は、この例では表面反射鏡であり、そ
の反射面は、fθレンズ20の倍率色収差を補正する回
折面として形成されている。
ンズ2により平行光束とされたレーザー光は、副走査方
向に正のパワーを有するシリンドリカルレンズ3を介し
てポリゴンミラー4のミラー面の近傍で線状に結像され
る。ポリゴンミラー4は、回転軸4a回りに回転駆動さ
れ、光束を主走査方向に偏向する。偏向された光束は、
fθレンズ20の第1レンズ21、第2レンズ22、光
路折り返しミラー30、第3レンズ23を介して描画面
5上に達し、主走査方向yに走査するスポットを形成す
る。
た回折面について説明する。図2(A)は光路折り返しミ
ラー30の主走査方向に沿った断面形状を示す説明図、
図2(B)は成形時の樹脂の流れを示す図2(A)の一部拡大
図、図3は光路折り返しミラー30の平面図である。な
お、図2及び図3は、いずれも説明のため実際よりも輪
帯数を大幅に少なく示した概念図である。
面は、図2(A)に示すように、フレネルレンズ状に、す
なわち、段差をもつ多数の輪帯として形成されている。
ただし、光路折り返しミラー30は、主走査方向に長
く、副走査方向の幅は小さいため、回折面は、図3に示
すように、同心円状に配列した多数の輪帯の各一部を、
同心円の中心を通る長方形で切り出したパターンとな
る。光路折り返しミラー30は、樹脂製のブロックにア
ルミコートを施して形成されており、ブロックは、回折
面のパターンを有する型を用いて射出成形により成形さ
れる。成形時に樹脂が注入されるゲート部31は、反射
面とは反対側の面の主走査方向の中心部に位置してい
る。
収差を補正するため、回折面は弱い正のパワーを有す
る。表面鏡に正のパワーを持つ回折面を形成する場合に
は、回折面は、図2(A)に示すように、主走査方向の中
心側になだらかな傾斜面、周辺側に切り立った段差を有
する。このため、ゲート部31を主走査方向の中心部に
位置させれば、図2(B)に示すように、樹脂注入時に樹
脂の流れに対して陰になる部分がなく、転写性を高める
ことができる。
反射面上に倍率色収差補正用の回折面を設けた場合に
は、透過面上に回折面を形成した場合と比較して回折面
の位相切換位置に形成される段差を小さくすることがで
きる。この効果を、以下、数量的に説明する。回折面の
位相切換位置での段差量Δxは、基準波長をλ、入射側
の媒質の基準波長における屈折率をni、射出側の媒質
の基準波長における屈折率をnoとして、以下の式で表
される。 Δx=λ/(no−ni)
場合には、例えばλ=0.78μm、ni=1.0、no
=1.5とすると、Δx=1.56μmとなる。これに
対して実施形態のように表面鏡の反射面に回折面を形成
した場合には、ni=1.0、no=−1.0となるた
め、基準波長が同一であると、Δx=−0.39μmと
なり、段差量は透過面上に形成する場合の1/4とな
る。また、図4に示すように、光路折り返しミラーを裏
面鏡として構成し、その反射面に回折面を形成した場合
には、媒質の屈折率を1.5とすると、ni=1.5、
no=−1.5となるため、Δx=−0.26μmとな
り、段差量は透過面上に形成する場合の1/6となる。
加工が容易になるため、形状の誤差が発生しにくい。こ
のため、形状誤差に起因する回折効率の低下を防ぐこと
ができ、光量損失、あるいは非回折光や不要次数の回折
光によるゴーストを低減することが可能となる。ここ
で、段差量と加工誤差との関係を図5により説明する。
図5(A)は段差が大きい場合、図5(B)は段差が小さい場
合の段差部分の加工誤差をそれぞれ示している。
で切削することにより製作される。加工バイトの先端
は、微視的に見ると図5に示すように丸くなっている。
ミリオーダーの加工をする際には、先端形状はさほど問
題とならないが、回折面のようにサブミクロンオーダー
の精度が要求される場合には、先端形状による加工誤差
が問題となる。
段差の立ち上がり部分とがほぼ直角となるよう形成され
ることが望ましい。ただし、上記のように加工バイトの
先端が丸いことから、このような直角の立ち上がりを作
ることは不可能である。このため、図5(A)に示すよう
に段差が大きい場合には、加工誤差が生じる部分(斜線
部分)は幅wで示すように比較的大きくなる。これに対
して、図5(B)で示すように段差が小さければ、加工誤
差が生じる部分(斜線部分)を幅w'で示すように比較的
小さくすることができる。
成される場合、図6(A)に示すように、そのベースカー
ブ(破線で示す)が平面であると、段差部分が鋭角的にな
り、型の加工性、成形時の転写性が悪くなる。そこで、
図6(B)に示すように、ベースカーブ(破線で示す)をパ
ワーの弱い凸面となるよう設定することが望ましい。ベ
ースカーブが凸面であると、回折面の段差部分が鈍角的
となり、型の加工が容易となり、成形時の転写性を良好
にすることができる。
ると、描画面5上での走査線の湾曲を補正することがで
きる。すなわち、実施形態におけるように、正の回折パ
ワーを持つ光路折り返しミラー30を副走査断面内で光
路を偏向するよう配置した場合、その回折パワーに起因
して描画面5上で走査線が副走査方向に湾曲する。反射
面をごくパワーの弱い凸面として負のパワーを付加する
と、この負のパワーにより発生する走査線の湾曲が、正
の回折パワーにより生じる走査線の湾曲と打ち消し合
い、走査線の湾曲を防ぐことができる。
は、光源部から発した光束がポリゴンミラー4に対して
副走査方向に角度を有するよう配置することによって走
査線の湾曲を補正することができる。ただし、このよう
な配置では、特に像高の高い部分(主走査方向の周辺部)
において波面収差が著しく劣化する。そこで、波面収差
の劣化を防ぐため、fθレンズ20の第3レンズ23
を、第1,第2レンズ21,22の光軸に対して副走査
方向に偏心させて配置することが望ましい。
体的な実施例を1例説明する。実施例では、光路折り返
しミラー30は表面鏡であり、凸面状のベースカーブ上
に回折面が形成されている。表1は、実施例の走査光学
系におけるシリンドリカルレンズ3より描画面5側の構
成を示す。表中の記号ryは主走査方向の曲率半径(単
位:mm)、rzは副走査方向の曲率半径(回転対称面の場合
には省略、単位:mm)、dは面間の光軸上の距離(単位:m
m)、nは設計波長780nmでの屈折率である。
レンズ3、第3面がポリゴンミラー4のミラー面、第4
面及び第5面がfθレンズ20の第1レンズ21、第6
面及び第7面が第2レンズ22、第8面が光路折り返し
ミラー30、第9面及び第10面がfθレンズの第3レ
ンズ23を示す。
中心における法線が副走査断面内で第1,第2レンズ2
1,22の光軸となす角度)は25゜である。第1面は
シリンドリカル面、第2面、第3面及び第4面は平面、
第5面は凸の球面、第6面は凹の球面、第7面は凸の回
転対称非球面、第8面はベースカーブが凸の球面である
回折面、第9面は光軸から離れた位置での副走査方向の
曲率半径が主走査方向の断面形状とは無関係に設定され
た回転軸を持たない非球面(以下、「累進トーリック非
球面」という)、第10面は凸の球面である。
なる非球面上の座標点の非球面の光軸上での接平面から
の距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)
をC、円錐係数をκ、4次、6次の非球面係数をA4,
A6として、以下の式で表される。 X(h)=Ch2/(1+√(1-(1+κ)C2h2))+A4h4+A6h6 表1における第7面の曲率半径は、光軸上の曲率半径で
あり、円錐係数、非球面係数は表2に示される。
る光路長付加量Δφ(h)により定義される。Δφ(h)は、
n次(偶数次)の光路差関数係数をPnとして、以下の式に
より求められる。 Δφ(h)=P2h2+P4h4+P6h6+P8h8+P10h10 第8面に形成された回折面の光路差関数係数は、以下の
表3に示される。
る主走査方向の曲線を想定した際に、光軸からの主走査
方向の距離がYとなる上記曲線上の座標点での光軸上の
接線からの距離(サグ量)をX(Y)、当該座標点でこの曲
線に接する副走査方向の円弧の曲率半径をrz(Y)とし
て、以下の式で定義される。 X(Y)=CY2/(1+√(1-(1+κ)C2Y2))+A4Y4+A6Y6 1/rz(Y)=(1/rz0)+AS1・Y1+AS2・Y2+AS3・Y3+AS4・Y4 式中、C、κ、A4、A6の定義は回転対称非球面と同様
であり、rz0は光軸上での副走査方向の曲率半径(表1の
rz)、AS1、AS2、AS3、AS4はそれぞれ副走査方向の曲率
半径を決定する係数である。第9面における各数値は、
表4に示されている。
7及び図8のグラフに示される。図7(A)は、fθ誤差
(スポット位置の理想位置からのズレ)を示し、図7(B)
は、像面湾曲(焦点位置の近軸像面からの光軸方向のズ
レ)を示し、破線が主走査方向、実線が副走査方向の像
面湾曲を示す。また、図8(A)は、走査線湾曲(スポット
位置の副走査方向へのズレ)を示し、図8(B)は、倍率の
色収差(基準波長から10nm波長がずれたときのスポット
位置の基準波長におけるスポット位置からのズレ)を示
す。いずれのグラフも、縦軸は像高、すなわち光軸と交
差する位置を基準にした主走査方向の距離、横軸は各収
差の発生量を示し、単位はいずれもmmである。
として形成することにより、図8(B)に示すように、倍
率の色収差を小さく抑えることができる。また、回折面
のベースカーブを弱い凸面とすることにより、図8(A)
に示すように、走査線の湾曲をも小さく抑えることがで
きる。
ば、偏向器と描画面との間に配置された光路折り返しミ
ラーの反射面に倍率色収差補正用の回折面を形成するこ
とにより、回折面の段差を従来より小さくすることがで
きる。このため、回折面を転写するための型の加工性、
射出成形の場合の転写性を良好にすることができ、加工
誤差による回折効率の低下を防ぎ、描画性能を高く維持
することができる。
った断面形状を示す説明図、(B)は成形時の樹脂の流れ
を示す図2(A)の一部拡大図。
場合の主走査方向に沿った断面形状を示す説明図。
明図。
平面である場合の段差部分の説明図、(B)はベースカー
ブが凸面である場合の段差部分の説明図。
像面湾曲を示すグラフ。
は倍率の色収差を示すグラフ。
Claims (7)
- 【請求項1】 光源部と、 前記光源部から発する光束を動的に偏向する偏向器と、 前記偏向器により偏向された光束を描画面上に結像させ
て主走査方向に走査するスポットを形成する走査レンズ
と、 前記偏向器と前記描画面との間に配置され、前記主走査
方向に対して垂直な副走査断面内で光路を折り曲げる光
路折り返しミラーとを備え、 前記光路折り返しミラーの反射面は、前記走査レンズの
倍率色収差を補正する回折面として形成されていること
を特徴とする走査光学系。 - 【請求項2】 前記回折面は、フレネルレンズ状に形成
された段差をもつ多数の輪帯を備えることを特徴とする
請求項1に記載の走査光学系。 - 【請求項3】 前記光路折り返しミラーは表面鏡であ
り、かつ、射出成形により形成され、成形時のゲート部
が主走査方向の中央部に位置することを特徴とする請求
項1または2に記載の走査光学系。 - 【請求項4】 前記光路折り返しミラーは、裏面鏡であ
ることを特徴とする請求項1または2に記載の走査光学
系。 - 【請求項5】 前記光路折り返しミラーは表面鏡であ
り、かつ、前記回折面は、主走査方向において僅かに凸
となるベースカーブ上に形成されていることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載の走査光学系。 - 【請求項6】 前記光源部から発した光束が、前記偏向
器に対して副走査断面内で角度を有することを特徴とす
る請求項1〜4のいずれかに記載の走査光学系。 - 【請求項7】 前記光源部と前記偏向器との間に、前記
偏向器の近傍に主走査方向に延びる線像を形成するシリ
ンドリカルレンズが配置され、前記走査レンズは、比較
的前記描画面の近傍となる位置に副走査断面内で強い正
のパワーを持つアナモフィックレンズを含み、該アナモ
フィックレンズは、前記走査レンズを構成する他のレン
ズの光軸に対して副走査方向に偏心していることを特徴
とする請求項6に記載の走査光学系。
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1999
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2000
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