JP2001123238A

JP2001123238A - 鋸ブレードチップ及びそのための合金

Info

Publication number: JP2001123238A
Application number: JP2000225671A
Authority: JP
Inventors: James B C Wu; ビーシーウージェームズ; Damodaran Raghu; ラフダマドラン; Bradley Mckee; マッキーブラッドリー
Original assignee: Stoody Deloro Stellite Inc; Deloro Stellite LP
Current assignee: Deloro Stellite LP
Priority date: 1999-07-27
Filing date: 2000-07-26
Publication date: 2001-05-08
Also published as: CA2314565A1; DE10037031A1; US6479014B1; CA2314565C

Abstract

(57)【要約】【課題】【解決手段】木材切断のための鋸ブレードに取り付ける
ためのＣｏ基鋸チップであって、約４〜約２０重量％の
Ｍｏと、Ｃｒ、Ｃ及び残部のＣｏを含む合金から形成さ
れる鋸チップ。いくつかの実施態様においては特にＷを
全く含まない。該チップは所望によりさらにＭｎ、Ｓ
ｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅからなる群より選択される元素を
含む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、木材切断用鋸に溶
接またはろう付されるチップのための合金に関する。

【０００２】

【従来の技術】木材切断用鋸ブレードは、切断チップ部
分が急速に劣化する。特に、高速鋸を備えた近代的な製
材鋸においてはそうである。鋸チップの切れ味が鈍くな
ると、切断効率が著しく低下する。殆どの製材鋸は鋸ブ
レードを研ぐか、または“リチップ(re-tip)”するため
の独自の店を持っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一般的に使用される鋸
チップ材料は炭化タングステン複合材を含む。これはコ
バルトマトリックスに分散された微細な炭化タングステ
ン粒子である。これらの複合材は、鋸チップの用途に要
求される優れた耐摩耗性を有するが、腐食性の木材液
（wood juice）の存在下で劣化する傾向がある。炭化タ
ングステンチップの他の欠点は、カドミウム含有ろう付
け合金を用いて鋸にろう付けされることが多く、カドミ
ウムは有害であると考えられることである。さらに、ろ
う付け材料の強度は不適当である場合が多く、特に冬季
の間に凍結した木材を切断する場合には、結合部分でチ
ップが破損することである。コバルト−クロム−タング
ステン合金、即ち、STELLITE（登録商標）の商品名で流
通しているある種の合金も、鋸チップの用途に使用され
ている。硬度を主要な効果としたこれらのコバルト基合
金の組成は下記のとおりである。

【０００４】

【表１】

【０００５】これらの合金は、クロムに富む炭化物の複
合体を含有する。この炭化物にはタングステンの部分も
いくらかあるが、タングステンの多くは固溶体中に残存
する。これは、タングステン原子が大きいため、母材へ
の拡散が遅くなることによる。これらの合金から製造さ
れたチップは、炭化タングステン複合材に比べて高い耐
腐食性を有する。さらに、これらの合金は、電気抵抗溶
接またはガスタングステンアーク溶接により、鋸に溶接
することができる。この溶接技術は、ろう付けよりも強
い金属結合を生じさせることができる。しかしながら、
これらの合金は一般に非腐食性または難腐食性木材の切
断のような用途には選択されない。これは、これらの耐
摩耗性が、通常、慣用の炭化タングステン複合体に比べ
て劣るからである。従って、本発明の目的は、溶接によ
り鋸ブレードに取り付け可能であり、慣用の炭化タング
ステンチップに匹敵する耐摩耗性を有する鋸チップを提
供すること；高い耐腐食性及び炭化タングステンチップ
の耐摩耗性に匹敵する耐摩耗性を有する鋸チップを提供
すること；コバルト−クロム−タングステン鋸チップに
比べて高い耐腐食性及び耐摩耗性を有する鋸チップを提
供すること；及び還元型腐食性木材切断環境（reducing
-type corrosive wood cutting environment）において
高い耐腐食性を有する鋸チップを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】従って、簡潔に言えば、
本発明は、木材切断のための鋸ブレードに取り付けるた
めの鋸ブレードＣｏ基鋸チップであって、該鋸チップが
約４〜約２０重量％のＭｏと、Ｃｒ及びＣを含むものに
関する。本発明は、また、木材切断のための鋸ブレード
に取り付けるための鋸チップであって、該チップが、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｃｏ残部を含むものに関する。

【０００７】本発明は、また、木材切断のための鋸ブレ
ードに取り付けるための鋸チップであって、鋸チップ
が、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｗ約０重量％；Ｃｏ残部を含むものに関する。

【０００８】本発明の別の実施態様は、木材切断のため
の鋸ブレードに取り付けるための鋸チップであって、該
チップが、４〜１０重量％のＭｏ及び０．８〜２．０重
量％のＣを含むものに関する。本発明のさらに別の実施
態様は、木材切断のための鋸ブレードに取り付けるため
の鋸チップであって、該チップが、１０〜２０重量％の
Ｍｏ及び１．５〜３．０重量％のＣを含むものに関す
る。

【０００９】本発明は、また、木材切断のための鋸ブレ
ードに取り付けるための鋸チップであって、該チップ
が、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｗ約１〜約４重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｃｏ残部を含むものに関する。本発明のさらに別の実施態様は、
上記組成の各々を含む鋸チップを形成するための鍛錬ま
たは粉末合金、並びに鋸ブレードに取り付ける際にチッ
プが切り出されるロッドに関する。本発明の他の目的及
び特徴の一部は明らかであり、一部は以下に指摘する。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の鋸チップ合金は、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｃｏ残部を含む。別の実施態様は、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｗ約１〜約４重量％；Ｃｏ残部を含む。

【００１１】上記の実施態様の中で、特に好ましいの
は、高Ｍｏ／高Ｃ及び低Ｍｏ／低Ｃの実施態様である。
高Ｍｏ／高Ｃの実施態様は、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約１０〜約２０重量％；Ｗ約１〜約４重量％（または約０〜約４重量％）；Ｃｏ残部を含み、より好ましくは、Ｃ約１．５〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約１０〜約２０重量％；Ｗ約１〜約４重量％（または約０〜約４重量％）；Ｃｏ残部を含む。

【００１２】低Ｍｏ／低Ｃの実施態様は、Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約１０重量％；Ｗ約１〜約４重量％（または約０〜約４重量％）；Ｃｏ残部を含み、より好ましくは、Ｃ約０．８〜約２．０重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約１０重量％；Ｗ約１〜約４重量％（または約０〜約４重量％）；Ｃｏ残部を含む。さらに好ましい実施態様は、上記各範囲の元素
の割合を有するが、意図的なＷの添加がなく、偶発的な
Ｗの出現を可能な限り避けたものである。

【００１３】本発明によると、耐摩耗性を高めるため
に、鋸チップ用のＣｏ−Ｃｒ−Ｗ合金中のＷの一部また
は全部の代わりにむしろＭｏを使用する。モリブデン原
子はＷ原子に比べてはるかに小さく、原子量でいうとＷ
の原子量のおおよそ半分であり、一定の重量％に対して
おおよそ２倍のＭｏ原子が存在することになる。モリブ
デンはＣに対する親和性もＷより大きく、大きさがより
小さいため、はるかに速く拡散し、これにより耐摩耗性
を付与する炭化物の形成が促進される。また、Ｍｏは木
材切断の用途によくある還元性の酸性環境下でＷよりも
高い耐腐食性を付与する。

【００１４】Ｍｏの含有量は、約４〜約２０重量％の範
囲にある。Ｍｏにより付与される耐腐食性が、固溶体中
のＭｏにより付与されると考えられるのに対し、耐摩耗
性は、主に炭化モリブデンの形成により付与される。高
Ｍｏ／高Ｃの実施態様は、マツのような柔らかい木材の
切断のために特に好ましく、いくつかの事例において
は、硬い木材にはあまり好ましくない。これは、低Ｍｏ
／低Ｃの実施態様に比べて脆いからである。Ｍｎ、Ｓ
ｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅのような他の元素が、偶発的な不
純物して存在してもよく、溶融特性を改良するために意
図的に添加されてもよい。特に、これらの元素は合計で
約１０重量％以下、好ましくは約８重量％以下、該合金
中に含まれる。該合金は、粉末金属プリフォームとし
て、即ち切断または自動付刃のための予備成形歯または
ロッドとして、鋸ブレードに溶接するためのキャストロ
ッドとして、及び鋸ブレードに溶接するための中実また
は管状のワイアとして製造される。従来の炭化タングス
テン鋸歯と比べた場合の、本発明の他の利点は、本発明
の合金は、切削力の減少に相当する約３５度程度までの
フック角を使えることである。

【００１５】

【実施例】下記の実施例により本発明をさらに説明す
る。実施例１：下記の呼称組成の鋸チップを製造した。

【００１６】

【表２】

【００１７】並行して行われた試験において同じ長さの
木材を切断したところ、合金７２０及び７２０Ｍで製造
された鋸チップは、炭化タングステンチップの耐摩耗性
に匹敵する耐摩耗性を有することがわかった。７２０及
び７２０Ｍチップは、溶接により取付可能であり、炭化
タングステンチップと比較して、より強い結合が得ら
れ、付刃コストはより安価である。合金７１２で付刃さ
れた鋸ブレードを実地試験してSTELLITE 12で付刃され
た鋸ブレードと比較したところ、より長い耐久性を有す
ることが判明した。ASTM G65乾燥砂摩耗標準(dry sand
abrasion standard)による実験摩耗試験により、７１２
合金については約１２mm^３、STELLITE 12合金について
は約５７mm^３の体積損失の結果が得られた。

【００１８】実施例２：本発明の合金で三つの鋸ブレー
ドに、従来のStellite合金で二つの鋸ブレードに、及び
炭化タングステンで一つの鋸ブレードに各々付刃した。
実験用鋸及び鋸引き条件の一般的な特性を下記に示す。鋸直径２１インチ鋸歯厚０．１２０インチ鋸ブレード厚０．０７０インチ側面の逃げ０．０２５インチ歯数３０逃げ角１０゜レーキ角３０゜

【００１９】６インチ厚のアメリカトガサワラ(Douglas
fir)を１６８フィート／分（５１２０ｃｍ／分）の送
り速度で切断した。三つの実験用鋸ブレードを使用し
て、合計８．５時間の鋸引き時間（約１０ｋｍの鋸引き
長さ）の切断を行ったところ、本発明の合金７１２の平
型（plain）ロッドチップの場合は、三つの全ての鋸ブ
レードにおいて、約２０ミクロンの最小の刃くぼみ(edg
e recession)、即ち、最高の耐摩耗性が得られた。本発
明の合金７１２−Ｄ鋳造及び高密度化ロッドは、２番目
に高い耐摩耗性、即ち１６〜３３．６ミクロンの刃くぼ
みを示した。ＷＣ−ＯＭ１チップの刃くぼみは２４〜３
５ミクロンの範囲であった。従来技術のStellite合金１
２（５％WC PMを有する）チップの摩耗は、２６．６〜
４６．６ミクロンの範囲であった。PM Stelliteロッド
は３６〜５６ミクロンの高い刃くぼみを示した。最大の
刃摩耗は、Stellite 12 PM European style鋸チップに
見られ、４５〜８６ミクロンであった。

【００２０】上記の実施態様において、本発明の範囲を
逸脱することなく種々の変更を行うことができ、上記記
載に含まれる全ての事項は説明として解釈されるべきで
あり、限定的なものではない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者ジェームズビーシーウーアメリカ合衆国ミズーリ州 63141 セントルイススイート 255 オリーブブールバード 12312 (72)発明者ダマドランラフアメリカ合衆国インディアナ州 46514 エルクハートノースシルバーメープルレーン 1938 (72)発明者ブラッドリーマッキーカナダ国ケー８エヌ１ジー２オンタリオ州ベルビールダンダスストリートイースト 471

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】木材切断のための鋸ブレードに取り付ける
ための鋸ブレードＣｏ基鋸チップであって、該鋸チップ
が約４〜約２０重量％のＭｏと、Ｃｒ及びＣを含む鋸チ
ップ。
【請求項２】Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｗ約０重量％；Ｃｏ残部を含む請求項１記載の鋸チップ。
【請求項３】４〜１０重量％のＭｏ及び０．８〜２．０
重量％のＣを含む請求項２記載の鋸チップ。
【請求項４】１０〜２０重量％のＭｏ及び１．５〜３．
０重量％のＣを含む請求項２記載の鋸チップ。
【請求項５】Ｃ約０．８〜約３．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約２０重量％；Ｗ約１〜約４重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｃｏ残部を含む請求項１記載の鋸チップ。
【請求項６】４〜１０重量％のＭｏ及び０．８〜２．０
重量％のＣを含む請求項５記載の鋸チップ。
【請求項７】１０〜２０重量％のＭｏ及び１．５〜３．
０重量％のＣを含む請求項６記載の鋸チップ。
【請求項８】木材切断のための鋸ブレードに鋸歯を形成
するためのＣｏ基鋸チップ合金であって、該合金が約４
〜約２０重量％のＭｏと、Ｃｒ及びＣを含むＣｏ基鋸チ
ップ合金。
【請求項９】Ｃ約０．８〜約２．０重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約４〜約１０重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｗ約０重量％；Ｃｏ残部を含む請求項８記載のＣｏ基鋸チップ合金。
【請求項１０】Ｃ約１．５〜約１．５重量％；Ｃｒ約２５〜約３５重量％；Ｍｏ約１０〜約２０重量％；Ｗ約１〜約４重量％；Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ、Ｂ及びＦｅ合計約０〜約１０重量
％；Ｃｏ残部を含む請求項８記載のＣｏ基鋸チップ合金。