JP2001123226A - 無端状金属ベルトの製造方法 - Google Patents
無端状金属ベルトの製造方法Info
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Abstract
溶体化とを同一条件で行え、製造コストを低減できる無
端状金属ベルトの製造方法を提供する。 【解決手段】マルエージング鋼の薄板1の端部同士を溶
接して円筒状のドラム2を形成する。溶接後のドラム2
に対する第1の溶体化を行う。溶体化されたドラム2を
所定幅に裁断してリング4を形成し、該リング4を圧延
する。圧延されたリング4に対する第2の溶体化を行
う。溶体化されたリング4を所定の周長に補正したのち
時効及び窒化処理する。時効及び窒化処理された複数の
リング4を相互に積層して無端状金属ベルトを形成す
る。前記溶接後のドラム2に対する第1の溶体化と、前
記圧延後のリング4に対する第2の溶体化とを、1〜1
0%の水素を含み、雰囲気露点−7〜0℃の窒素雰囲気
下、前記マルエージング鋼の再結晶温度以上、850℃
以下の範囲の温度にて行う。
Description
いられる無端状金属ベルトの製造方法に関するものであ
る。
金属ベルトは次のような製造方法により製造されてい
る。まず、超強力鋼であるマルエージング鋼の薄板の端
部同士を溶接して円筒状のドラムを形成し、該ドラムに
対して第1の溶体化処理を行う。次に、溶体化されたド
ラムを所定幅に裁断してリングを形成し、該リングを圧
延した後、圧延されたリングに対して第2の溶体化処理
を行う。そして、溶体化されたリングを所定の周長に補
正したのち時効及び窒化処理して硬度を向上させた後、
複数のリングを相互に積層して無端状金属ベルトを形成
する。
ムに対する第1の溶体化は、前記溶接時の熱により部分
的に大きくなった硬度を均質化するために行うものであ
り、該溶体化を行うことにより、前記ドラムを所定幅に
裁断する処理をしてリングに形成した後の圧延を容易に
行うことができる。前記溶体化は、一般に前記マルエー
ジング鋼の再結晶温度以上の温度にて加熱することによ
り行われるが、このとき前記マルエージング鋼は、時効
析出強化元素としてTi,Al,Mo等を含んでおり、
これらの元素、特にTiが酸化されると、後続の時効処
理によって所定の硬度が得られないことがある。そこ
で、前記溶体化処理は、前記時効析出強化元素の酸化を
避けるために、真空炉内で行われる。
により金属結晶が潰された圧延組織が形成されており、
そのままでは後続の窒化処理において窒素が浸透しにく
く、窒化が均一に行われないことがある。そこで、前記
圧延化後のリングに対して、変形された金属結晶の粒子
形状を復元し、窒化処理を容易にするために、第2の溶
体化を行う。
ジング鋼の再結晶温度以上の温度にて加熱することによ
り行われ、前記時効析出強化元素が酸化されないことが
望ましい。しかし、真空炉は高価であるので、前記第2
の溶体化は炉内を還元雰囲気とした加熱炉を用いて行わ
れる。前記還元雰囲気としては、例えば1〜10%の水
素を含む窒素雰囲気が用いられる。前記窒素雰囲気中に
は、僅かながら酸素が含まれているが、前記水素を酸素
と反応させて、該酸素を除去し、前記時効析出強化元素
の酸化を防止することができる。前記従来の製造方法に
よれば、前記2つの溶体化のうち第2の溶体化を加熱炉
を用い還元雰囲気下で行うことにより真空炉の数を低減
して、製造コストの低減を図ることができる。
るためには、両方の溶体化を加熱炉を用いて同一の条件
で行うことが望まれる。
合を解消して、溶接後のドラムの溶体化と、圧延後のリ
ングの溶体化とを同一条件で行うことができ、製造コス
トを低減することができる無端状金属ベルトの製造方法
を提供することを目的とする。
めに、本発明者らは溶接後のドラムと、圧延後のリング
との溶体化の条件について検討を重ねた結果、従来の圧
延後のリングに対する溶体化において、条件をさらに厳
格にすることにより、溶接後のドラムに対する溶体化に
も該条件を適用することが可能であることを見出し、本
発明を完成した。
グ鋼の薄板の端部同士を溶接して円筒状のドラムを形成
する工程と、溶接後のドラムに対する第1の溶体化を行
う工程と、溶体化されたドラムを所定幅に裁断してリン
グを形成し、該リングを圧延する工程と、圧延されたリ
ングに対する第2の溶体化を行う工程と、溶体化された
リングを所定の周長に補正したのち時効及び窒化処理す
る工程と、時効及び窒化処理された複数のリングを相互
に積層して無端状金属ベルトを形成する工程とを備える
無端状金属ベルトの製造方法において、前記溶接後のド
ラムに対する第1の溶体化と、前記圧延後のリングに対
する第2の溶体化とを、1〜10%の水素を含み、雰囲
気露点−7〜0℃の窒素雰囲気下、前記マルエージング
鋼の再結晶温度以上、850℃以下の範囲の温度にて行
うことを特徴とする。
の端部同士を溶接して形成された円筒状のドラムは、ま
ず、1〜10%の水素を含み、雰囲気露点−7〜0℃の
窒素雰囲気下、前記マルエージング鋼の再結晶温度以
上、850℃以下の範囲の温度にて第1の溶体化処理が
施される。
の両側に、溶接時の熱による時効のために硬度が高くな
った部分が形成されているが、前記溶体化により前記硬
度の高い部分が無くなり、ドラム全体の硬度が均質化さ
れる。また、前記雰囲気は、前記範囲の水素を含むこと
により、雰囲気中に微量含まれる酸素を該水素と化合せ
しめて水を生成させる。このとき、前記雰囲気露点が前
記範囲となっていることにより、前記水の大部分は水蒸
気となって系外に排出される。従って、前記マルエージ
ング鋼に含まれる時効析出強化元素であるTi,Al,
Mo等、特にTiの酸化を抑制することができる。
に、所定幅に裁断してリングに形成されるが、前記ドラ
ムは前記のように全体の硬度が均質化されているので、
前記裁断を容易にし、リングの圧延をも容易に行うこと
ができる。前記リングは、次いで圧延された後、前記ド
ラムに対する第1の溶体化と同一条件で、第2の溶体化
が施される。前記圧延後のリングに対する第2の溶体化
は、従来の製造方法における前記リングの溶体化に用い
られる還元雰囲気において前記雰囲気露点を限定したに
過ぎないので、従来と同様に何ら問題なく行うことがで
きる。この結果、前記リングは、前記圧延により変形さ
れた金属結晶の粒子形状が前記圧延前の状態に復元され
る。
所定の周長に補正された後、時効及び窒化処理される。
前記リングは、前記第1の溶体化においてTi等の時効
析出強化元素の酸化が抑制されているので、前記時効処
理を均一に行うことができる。また、前記溶体化が施さ
れたリングは、前記第2の溶体化において、金属結晶の
粒子形状が圧延前の状態に復元されているので、窒素が
浸透しやすく、前記窒化処理を容易に行うことができ
る。
が雰囲気全体の1%未満であると、前記微量の酸素を水
蒸気として排出する効果が十分に得られない。また、水
素は窒素に比較して高価であるので、水素の含有量が雰
囲気全体の10%を超えると、製造コストが増大する。
選択的に酸化され、0℃を超えると前記マルエージング
鋼の主成分であるFe自体が酸化され、時効析出元素の
1つであるMoも酸化される。
鋼の再結晶温度未満では溶体化自体が難しく、850℃
を超えると再結晶された金属結晶の粒子が粗大化するた
め、無端状金属ベルトを形成した後の切欠靭性が低下す
る。
ば、溶接後のドラムに対する第1の溶体化と、圧延後の
リングに対する第2の溶体化とを同一条件で行うので、
設備を共通化することができ、製造コストを低減するこ
とができる。
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1は本発明の製造方法の要部を示す模式図、図2は溶接
後のドラムに対して本発明の製造方法に従う溶体化を施
す前後の硬度を示すグラフ、図3は溶接後のドラムと圧
延後のリングとに対して本発明の製造方法に従う溶体化
を施した後の硬度を示すグラフである。
ように前記組成を有するマルエージング鋼の薄板1をベ
ンディングしてループ化したのち、端部同士を溶接して
円筒状のドラム2を形成する。このとき、前記マルエー
ジング鋼は溶接の熱により時効硬化を示し、ドラム2の
溶接の中心2aから両側に1mm前後の部分に硬度の高
い部分が出現する。
加熱炉3に収容して、前記マルエージング鋼の再結晶温
度以上、850℃以下の温度で、第1の溶体化処理を行
う。前記還元性雰囲気は、1〜10%、例えば4%の水
素を含み、雰囲気露点−7〜0℃の窒素雰囲気である。
ム2を加熱炉3から搬出し、所定幅に裁断して、リング
4を形成する。ドラム2は、前記第1の溶体化処理の結
果、全体の硬度が均質化されているので、前記裁断を容
易に行うことができ、圧延も容易となる。リング4は、
次いで圧下率40〜50%で圧延される。
潰された圧延組織が形成されていて、このままでは後続
の窒化処理において金属組織に窒素が浸透しにくい。そ
こで、次に、図1示のようにリング4を再び還元性雰囲
気の加熱炉3に収容して、前記第1の溶体化処理と同一
条件下に第2の溶体化処理を行う。
グ4を加熱炉3から搬出し、所定の周長に補正する。前
記周長の補正は、例えば前記リング4を図示しない駆動
ローラ及び従動ローラに掛け回し、回転駆動させなが
ら、前記リング4の走行方向と直交する方向に荷重を掛
けることにより行う。
処理及び窒化処理を施す。前記時効処理は、例えば前記
リングを図示しない加熱炉内で450〜530℃の範囲
の温度に90〜240分保持することにより行う。ま
た、前記窒化処理は、ガス窒化、ガス軟窒化、塩浴窒化
等の方法により行う。
硬度とされた複数のリング4を相互に積層することによ
り、無段変速機の動力伝達ベルトとして好適な無端状金
属ベルト(図示せず)を形成する。
板1の端部同士を溶接するときに、該溶接の熱による時
効硬化のために、図2に示すように、溶接の中心2aか
ら両側に1mm前後の部分に硬度の高い部分が出現す
る。そこで、本実施形態では、このようなドラム2を加
熱炉3内に収容し、前記条件で第1の溶体化を行うこと
により硬度の高い部分が無くなり、図2に示すように、
全体の硬度を均質化することができる。
0.03%以下、Siが0.10%以下、Mnが0.1
0%以下、Pが0.01%以下、Sが0.01%以下の
低炭素鋼であり、18〜19%のNi、4.7〜5.2
%のMo、0.05〜0.15%のAl、0.50〜
0.70%のTi、8.5〜9.5%のCoを含む18
%のNi鋼である。前記マルエージング鋼の組成のう
ち、Ti,Al,Moの3元素は時効析出強化元素であ
り、該元素が酸化されると、後続の時効処理において均
一な時効硬度が得られなくなる。
の酸素を含むが、該酸素は前記水素と化合して水を生成
する。このとき、前記窒素雰囲気は、雰囲気露点が前記
範囲にあるので、前記水の大部分は水蒸気となって系外
に排出される。従って、前記マルエージング鋼の組成に
含まれる時効析出強化元素であるTi,Al,Moの酸
化を抑制することができる。
金属組織中で外方に向かって拡散していく性質があり、
金属の表面で酸化されやすい。そこで、前記第1の溶体
化処理後のドラム2の表面をX線微小分析(EPMA)
により解析した。EPMAによれば、Ti濃度の高い部
分は赤くなり、Ti濃度の低い部分は黄色くなる。
部分は不連続であり、Tiの酸化は、従来の真空炉にお
ける溶体化処理を行ったドラムと同程度であることが確
認された。
果、金属結晶が潰された圧延組織が形成されている。そ
こで、本実施形態では、このようなドラム2を加熱炉3
内に収容し、前記第1の溶体化と同一条件で第2の溶体
化を行うことにより、前記圧延組織の金属結晶の粒子形
状を圧延前の状態に復元する。
示すように全体の硬度が均質化されており、金属結晶の
粒子形状が圧延前の状態に復元されていることが明らか
である。また、図3から、前記第2の溶体化後のリング
4の硬度は、前記第1の溶体化処理後のドラム2の硬度
と略同等となっており、両方の溶体化を同一条件で行う
ことにより同等の効果が得られることが明らかである。
尚、前記第1の溶体化処理後のドラム2の硬度は図2示
のものと同一データであるが、比較のために再掲したも
のである。
の溶体化において、時効析出強化元素の酸化が抑制され
ているので、前記周長補正されたリングの時効処理を均
一に行うことができる。また、前記第2の溶体化におい
て、前記圧延組織の金属結晶の粒子形状が圧延前の状態
に復元されているので、窒素が金属組織に浸透しやす
く、前記窒化処理を容易に行うことができる。
の溶体化とを同一条件で行うので、両方の溶体化を同一
の加熱炉3で行うことにより設備を共通化でき、製造コ
ストを低減することができる。尚、前記第1の溶体化と
第2の溶体化とは、同一条件であれば、それぞれ独立の
加熱炉を用いてもよい。
う溶体化を施す前後の硬度を示すグラフ。
発明の製造方法に従う溶体化を施した後の硬度を示すグ
ラフ。
4…リング。
Claims (1)
- 【請求項1】マルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接
して円筒状のドラムを形成する工程と、溶接後のドラム
に対する第1の溶体化を行う工程と、溶体化されたドラ
ムを所定幅に裁断してリングを形成し、該リングを圧延
する工程と、圧延されたリングに対する第2の溶体化を
行う工程と、溶体化されたリングを所定の周長に補正し
たのち時効及び窒化処理する工程と、時効及び窒化処理
された複数のリングを相互に積層して無端状金属ベルト
を形成する工程とを備える無端状金属ベルトの製造方法
において、 前記溶接後のドラムに対する第1の溶体化と、前記圧延
後のリングに対する第2の溶体化とを、1〜10%の水
素を含み、雰囲気露点−7〜0℃の窒素雰囲気下、前記
マルエージング鋼の再結晶温度以上、850℃以下の範
囲の温度にて行うことを特徴とする無端状金属ベルトの
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30074899A JP4282846B2 (ja) | 1999-10-22 | 1999-10-22 | 無端状金属ベルトの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30074899A JP4282846B2 (ja) | 1999-10-22 | 1999-10-22 | 無端状金属ベルトの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2001123226A true JP2001123226A (ja) | 2001-05-08 |
JP4282846B2 JP4282846B2 (ja) | 2009-06-24 |
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ID=17888634
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30074899A Expired - Fee Related JP4282846B2 (ja) | 1999-10-22 | 1999-10-22 | 無端状金属ベルトの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4282846B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007263080A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Toyota Motor Corp | 段付きチューブの製造方法 |
WO2009056169A1 (en) * | 2007-10-31 | 2009-05-07 | Robert Bosch Gmbh | Drive belt ring component and manufacturing method therefor |
CN105008762A (zh) * | 2013-03-07 | 2015-10-28 | 百德福钢带有限公司 | 包括由金属制成的带体的环形带以及用于检查在带外侧的带表面中的孔隙尺寸的方法 |
CN105102146A (zh) * | 2013-04-08 | 2015-11-25 | 丰田自动车株式会社 | Cvt带制造方法 |
-
1999
- 1999-10-22 JP JP30074899A patent/JP4282846B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007263080A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Toyota Motor Corp | 段付きチューブの製造方法 |
WO2009056169A1 (en) * | 2007-10-31 | 2009-05-07 | Robert Bosch Gmbh | Drive belt ring component and manufacturing method therefor |
CN105008762A (zh) * | 2013-03-07 | 2015-10-28 | 百德福钢带有限公司 | 包括由金属制成的带体的环形带以及用于检查在带外侧的带表面中的孔隙尺寸的方法 |
CN105008762B (zh) * | 2013-03-07 | 2017-03-08 | 百德福钢带有限公司 | 包括由金属制成的带体的环形带以及用于检查在带外侧的带表面中的孔隙尺寸的方法 |
CN105102146A (zh) * | 2013-04-08 | 2015-11-25 | 丰田自动车株式会社 | Cvt带制造方法 |
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---|---|
JP4282846B2 (ja) | 2009-06-24 |
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