JP2001121587A

JP2001121587A - ガス加圧射出成形法

Info

Publication number: JP2001121587A
Application number: JP30236599A
Authority: JP
Inventors: Hideki Naruse; 秀樹成瀬; Kazuharu Yasuda; 和治安田
Original assignee: Asahi Kasei Corp
Current assignee: Asahi Kasei Corp
Priority date: 1999-10-25
Filing date: 1999-10-25
Publication date: 2001-05-08

Abstract

(57)【要約】【課題】金型設計が容易で、ガス加圧しやすい、外観
が極めて良好な成形品を容易に得られるガス加圧射出成
形法の提供。【解決手段】基板部と側壁部と該基板部の裏面側に設
けた厚肉部を有し、側壁の一部が欠如した偏肉成形品の
ガス加圧射出成形法であって、成形品キャビティが意匠
面側金型と裏面側金型で構成され、該金型の前記側壁欠
如部分における金型合わせ面が、基板部上の裏面と同一
平面上にはない金型に樹脂を充填し、充填された樹脂と
成形品の裏面に対応する金型キャビティ面との間に加圧
ガスを注入し、成形品の意匠面をそれに対応する金型キ
ャビティ面に押さえ付けることを特徴とするガス加圧射
出成形方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック材料
のガス加圧射出成形方法に関するもので、更に詳しく
は、金型キャビティ内に射出した樹脂と金型キャビティ
面との間への加圧ガスの注入を伴う射出成形方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に片面にリブやボス等の突出した厚
肉部を有する偏肉成形品の射出成形を行う場合、厚肉部
においては、溶融樹脂の冷却固化に伴う体積収縮によ
り、厚肉部の突出側とは反対面である意匠面に、ひけと
呼ばれる凹部が発生し、成形品の外観を著しく損なう。
そこでこの厚肉部のヒケを防止するための方法として、
従来より、溶融樹脂を充填した金型キャビティ内に加圧
ガスを注入し、厚肉部内に中空部を形成する中空射出成
形法が知られている。

【０００３】しかし、中空射出成形法による成形品は、
ガスが注入される厚肉部とガスが注入されない薄肉部
に、金型キャビティ面に対する押し付け力の差を生じ、
その結果厚肉部の意匠面側に艶むらを生じる場合があ
り、成形品の外観不良という問題が起こる。

【０００４】一方、特開昭５０−７５２４７号公報に
は、金型キャビティ内に射出した樹脂と金型キャビティ
面との間に加圧ガスを注入し、この加圧ガスの注入側と
は反対側である、成形品の意匠面を対応する金型キャビ
ティ面に押さえ付ける成形法が記載されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】近年、家庭電気機器や
ＯＡ機器等の製造業からは、製品コストの引き下げのた
め、これら製品のハウジングについて、成形後の塗装や
メッキ等の２次加工の省略が可能な、外観の優れた成形
品を得ることができる成形技術開発への要望が強まって
いる。ところが、偏肉成形品の意匠面におけるひけや艶
むらを防止するために、特開昭５０−７５２４７号公報
に記載のガス加圧射出成形法を実践するのみでは、ひけ
や艶むらの防止には不十分である。

【０００６】そのため、本発明者は偏肉成形品の意匠面
におけるひけや艶むらを防止し、外観レベルが極めて良
好な成形品を得るためのガス加圧射出成形法を、先に特
開平９−３１５３２及び特願平１０−１２５６５１にて
提案した。ところで、本発明者が先に提案したガス加圧
射出成形法においては、注入した加圧ガスが金型の外部
に漏洩し、金型キャビティ面に対する意匠面の押さえ付
け力が低下することによって起こる外観不良を防止する
ため、成形品の厚肉部突出側面上において加圧ガスが注
入される部分は、連続した側壁又はリブによって囲まれ
た構造を有している必要があった。

【０００７】しかしながら、前記の成形品の構造上の制
約は、製品設計における自由度を低下させるばかりか、
金型製作費が上昇するという問題もあった。そこで本発
明者は、偏肉成形品の側壁の一部が欠如した成形品、す
なわち連続した側壁又はリブによって囲まれた構造を有
していなくとも、意匠面におけるひけや艶むらを防止
し、外観レベルが極めて良好な成形品を得られる方法を
見い出し、前記の問題を解決することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、基板
部と側壁部と該基板部の裏面側に設けた厚肉部を有し、
側壁の一部が欠如した偏肉成形品のガス加圧射出成形法
であって、該側壁欠如部分における金型合わせ面が、基
板部上の厚肉部突出側面である裏面とは同一平面上にな
い金型に樹脂を充填し、充填された樹脂と裏面に対応す
る金型キャビティ面との間に加圧ガスを注入し、加圧ガ
スの圧力によって溶融樹脂を該金型合わせ面に密着させ
て、注入した加圧ガスが該側壁欠如部分から漏洩するこ
とを防止することにより、厚肉リブの突出側とは反対側
面である成形品の意匠面をそれに対応する金型キャビテ
ィ面に押さえ付けることを特徴とするガス加圧射出成形
法を提供するものである。

【０００９】次に本発明を図面を参照しながら説明す
る。図１は、本発明に使用される金型１の一例を示すも
ので、まずこの金型１の概要を説明する。図示されるよ
うに金型１は、固定型１ａと可動型１ｂで構成されてお
り、金型１により成形される偏肉成形品は、部分的に厚
肉部が突出した裏面と、その反対側の面である意匠面と
を有するもので、裏面は可動型１ｂ側の金型キャビティ
面２ｂで成形され、意匠面は固定型１ａ側の金型キャビ
ティ面２ａで成形されるものとなっている。ただし、意
匠面を可動型１ｂ側の金型キャビティ面２ｂで成形し、
裏面を固定型１ａ側の金型キャビティ面２ａで成形する
ようにしてもよい。

【００１０】金型１により成形される偏肉成形品は、図
示されるように側壁３の一部が欠如しており、完全な箱
形状とはなっていない。また金型合わせ面１５は、金型
キャビティ面２ｂとは同一平面上にはない。図では厚肉
部はリブ４となっているが、厚肉部としては、例えばボ
スであってもかまわない。ただし以下の説明は、厚肉部
としてリブ４を有する場合を例に説明する。

【００１１】可動型１ｂには、ガス注入経路６が形成さ
れている。このガス注入経路６には、加圧ガス源（図示
されていない）が接続されており、加圧ガスはこの加圧
ガス源から供給される。

【００１２】また可動型１ｂには、金型キャビティ２内
に先端を臨ませたガス注入ピン５が設けられている。こ
のガス注入ピン５は、図２（ａ）、（ｂ）に示されるよ
うに断面が円の一部を削り取った形状をしており、これ
によって可動型１ｂとの間にクリアランス８が形成され
ている。このクリアランスは溶融樹脂が逆流して入り込
むことはないが、加圧ガスは通過できる大きさとなって
いる。

【００１３】加圧ガス源からガス注入経路６に供給され
た加圧ガスは、ガス注入ピン５と可動型１ｂとの間のク
リアランス８を通過し、金型キャビティ２内に注入され
るものである。なおガス注入経路６とガス注入ピン５と
の接続部における圧力の損失を防止するため、シール材
７が設置されている。シール材７としては、ニトリル−
ブタジエンゴム製のＯリング等を用いることが望ましい
が、適用する金型温度下での耐熱性に問題が無ければ、
特に制限はない。

【００１４】また金型キャビティ２内に注入された加圧
ガスの漏洩防止のため、エジェクターピン９と可動型１
ｂとの間のクリアランスに対しても、シール材１０が設
けられている。このシール材１０も上記シール材７と同
様のものである。なお図１において、１１・１２はエジ
ェクタープレート、１３はスペーサーブロック、１４は
固定側取付板、１５は可動側取付板である。次に上記金
型１を用いた本発明の方法を説明する。

【００１５】まず金型１を閉鎖した状態で金型キャビテ
ィ２内に溶融樹脂を射出する。溶融樹脂の射出量は特に
制限はないが、金型キャビティ２の容積に比較して充分
な量であることが好ましく、更に好ましくは過量である
ことが望ましい。それは、金型キャビティ２内に過量の
樹脂を射出することにより、樹脂と金型キャビティ面２
ａ、２ｂとの密着性が高くなり、後述するガス層の圧力
保持性が向上するためである。

【００１６】溶融樹脂の射出後、ガス注入ピン５と可動
型１ｂとの間のクリアランス８より加圧ガスを注入する
と、金型キャビティ２内に射出された溶融樹脂と可動型
側キャビティ面２ｂとの隙間には、加圧ガスによるガス
層が形成される。エジェクターピン９と可動型１ｂとの
間のクリアランスに設けられたシール材１０は、このガ
ス層の圧力保持を助けるものである。

【００１７】偏肉成形品のリブ４の突出側に形成された
このガス層は、溶融樹脂の冷却固化の間、その反対側の
面、すなわち偏肉成形品の意匠面側を金型キャビティ面
２ａに対して継続的に押さえ付ける。このとき、図３に
示すようにリブ４の根元は加圧ガスの圧力によって絞り
込まれ、これによってリブ４付近の溶融樹脂が流動し
て、リブ４に対応する意匠面を更に金型キャビティ面２
ａに押さえ付けることになるため、リブ４の体積収縮が
意匠面に影響することによる、意匠面のひけの発生を防
止することができる。

【００１８】そこで溶融樹脂と可動型側キャビティ面２
ｂとの隙間に形成されるガス層の圧力の保持は、意匠面
の外観に優れた成形品を得るために非常に重要である
が、それは成形品の形状に大きく依存し、図４に示すよ
うな側壁３又はリブ４によって連続的に囲まれた箱形状
の成形品、すなわち加圧ガスが注入される部分のキャビ
ティ面２ｂが、図５に示すような金型構造である場合が
最もガス層の圧力保持に優れる。

【００１９】ところが現実の成形品においては、側壁の
一部が欠如し、完全な箱型の形状ではない場合が多く、
この場合形成されたガス層の圧力は、側壁欠如部分から
金型合わせ面１６を経由して漏洩するため、側壁３によ
って外周を連続的に囲まれた箱形成形品と比べると、ガ
ス層の圧力保持は劣ることになる。しかしながら本発明
者は、側壁が欠如した部分における金型合わせ面１６の
位置が、このガス層の圧力保持に大きく影響することを
見いだした。

【００２０】すなわち、図６に示すように金型合わせ面
１６が可動型側キャビティ面２ｂと同一平面上にある場
合、可動型側キャビティ面２ｂ上のガス層から、ガスの
流出経路である金型合わせ面１６に至るまでは一切障害
が無いため、注入されたガスは瞬時に金型合わせ面１６
から金型外部に漏洩し、厚肉リブ４のひけの防止効果は
非常に弱いものとなる。

【００２１】ところが図７に示すように、金型合わせ面
１６が可動型側キャビティ面２ｂと同一平面上に無い場
合、ガス層の圧力によって溶融樹脂は、キャビティ面２
ｃ上に対しても押さえ付けられるため、ガス層から金型
合わせ面１６に至るまでの経路が遮断され、溶融樹脂の
冷却固化の初期段階における加圧ガスの流出を抑えるこ
とができる。

【００２２】側壁が欠如した部分における金型合わせ面
１６の位置としては、可動型側キャビティ面２ｂと同一
平面上でない限りは、どこであってもかまわないが、ガ
ス層が形成される面である金型キャビティ面２ｂからの
距離が大きい程、ガス層の圧力保持に優れ、図７に示す
ように固定型側キャビティ面２ａと同一平面上にあるこ
とが好ましい。なお本発明を実践するにあたり、本発明
者が先に特開平９−３１５３２及び特願平１０−１２５
６５１にて提案したように、金型１のキャビティ面２ａ
および２ｂの温度を比較的高く保った状態では、ガス層
の圧力保持には更に優れる。

【００２３】それは、非意匠面側の急速な冷却が抑制さ
れ、ガス層の形成時に非意匠面側のスキン層の厚みが薄
くなること、すなわちガス注入後の側壁欠如部分におけ
る溶融樹脂の流動性が良好に維持され、溶融樹脂がキャ
ビティ面２ｃに対して効果的に押さえ付けられるためで
ある。更にはリブ４内部の溶融樹脂の流動性も良好に維
持されるため、図３に示すようなガス圧によるリブ４の
根元の絞り込みが助長され、リブ４の意匠面側を固定型
側キャビティ面２ａに対して効果的に押さえ付けること
ができる。

【００２４】したがって、本発明者が先に特開平９−３
１５３２及び特願平１０−１２５６５１にて提案したガ
ス加圧射出成形法と組み合わせることにより、比較的に
低いガス圧にて更に意匠面の外観に優れた成形品を得る
ことができる。なお、図１ではキャビティ面２ｃは可動
型１ｂ側に設けられているが、金型合わせ面１６の位置
によっては、キャビティ面２ｃは固定型１ａ側に設けら
れる場合もあるし、あるいは固定型１ａと可動型１ｂの
両方にまたがって設けられる場合もある。

【００２５】本発明の方法によると、リブ４内に加圧ガ
スを圧入する中空射出成形法のようにガス圧がリブ４部
分に集中せず、リブ４部分とその他の薄肉部における意
匠面の転写性の差が小さいため、艶むらを防止すること
ができる。したがって冷却終了後に得られる成形品は、
その意匠面にひけや艶むらのない極めて外観の優れたも
のとなる。

【００２６】本発明に用いる金型１の金型合わせ面１６
からのガスの排出効率が低い場合、溶融樹脂射出前の金
型キャビティ２内の空気、溶融樹脂から発生した揮発性
成分ガス、加圧ガスの一部等が意匠面側に滞留し、リブ
４に対応する意匠面側にひけを誘発する場合がある。

【００２７】この場合は、図８に示すように固定型側キ
ャビティ面２ａの周囲に、金型外部へのガス放出経路１
８と連結した溝１７を設け、キャビティ面２ａと溝１７
との間にベントスリット１９を設けておくと、溶融樹脂
とキャビティ面２ａとの間に残留したガスが速やかに金
型外部に排出され、前述の問題を解消できる。なお、溝
１７の幅及び深さとしては、成形品の容積にもよるが、
できる限り大きくすることが好ましく、具体的には幅、
深さ共に３ｍｍ以上７ｍｍ以下程度とするのが良い。

【００２８】またベントスリット１９の深さとしては、
溶融樹脂が入り込むことがないような範囲内で、できる
だけ大きくとることが好ましく、使用する樹脂の種類や
成形機の射出圧力等にもよるが、具体的には２／１００
ｍｍ以上５／１００ｍｍ以下程度とするのが良い。そし
てベントスリット１９の幅としては、これもまたできる
だけ大きくとることが好ましいが、金型合わせ面１６か
らのガスの排出効率が十分でないようなら、固定型側キ
ャビティ面２ａの全周囲に渡るように設けても良い。

【００２９】偏肉成形品の意匠面のひけ防止に必要な加
圧ガスの圧力としては、リブ４の肉厚等によっても変わ
るが、一般には１〜２５ＭＰａの範囲で、好ましくは３
〜１５ＭＰａである。また加圧ガスを金型キャビティ２
内に注入するタイミングとしては、樹脂射出完了の前で
あっても、後であってもかまわないが、好ましくは溶融
樹脂を金型キャビティ２内に充分に充填した直後が望ま
しい。

【００３０】更に加圧ガスの漏洩を防止するために、加
圧ガスで成形品をその意匠面側に押さえ付けると同時に
樹脂保圧を加え、樹脂を補充することが有効である。本
発明におけるひけ防止に有効な成形品の厚肉部の形状と
しては、図９に示すように厚肉部の根元の肉厚をｗ、厚
肉部周辺の薄肉部分の肉厚をｔとした場合、ｗ≧（３／
５）ｔとなるような厚肉部を有する偏肉成形品の場合
である。このような厚肉部を有する偏肉成形品で、塗装
等の２次加工を省略したい場合、特に本発明は有効であ
る。

【００３１】本発明に用いることができる加圧ガスとし
ては、窒素等の不活性ガスが好ましいが、空気や炭酸ガ
ス等でもかまわない。また本発明に用いることができる
樹脂としては、一般に熱可塑性樹脂と称されるものであ
れば、特に制限はない。

【００３２】例えば、ポリスチレン（ＰＳ）や、ハイイ
ンパクトポリスチレン（ＨＩＰＳ）、ミデイアムインパ
クトポリスチレン（ＭＩＰＳ）のようなゴム補強スチレ
ン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体（ＳＡ
Ｎ樹脂）、アクリロニトリル−ブチルアクリレートラバ
ー−スチレン共重合体（ＡＡＳ樹脂）、アクリロニトリ
ル−エチレンプロピルラバー−スチレン共重合体（ＡＥ
Ｓ）、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン
共重合体（ＡＣＳ）、

【００３３】ＡＢＳ樹脂（例えば、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン−アルファメチルスチレン共重合
体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−ブタジ
エン−スチレン共重合体）、変性ポリフェニレンエーテ
ル（ｍ−ＰＰＥ）等のスチレン系樹脂。ポリメチルメタ
クリレート（ＰＭＭＡ）等のアクリル系樹脂。

【００３４】低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、高密度
ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等
のオレフィン系樹脂。ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリ
塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂。エチレン−塩化
ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体等の塩化ビニル系樹脂。

【００３５】ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、
ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）等のポリエステ
ル系樹脂。ポリカーボネート（ＰＣ）、変性ポリカーボ
ネート等のポリカーボネート系樹脂。ポリアミド６６、
ポリアミド６、ポリアミド４６等のポリアミド系樹脂。
ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホ
モポリマー等のポリアセタール（ＰＯＭ）樹脂。

【００３６】その他のエンジニアリング樹脂、スーパー
エンジニアリング樹脂。例えば、ポリエーテルスルホン
（ＰＥＳ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、熱可塑性
ポリイミド（ＴＰＩ）、ポリエーテルケトン（ＰＥ
Ｋ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、ポリ
フェニレンサルファイド（ＰＰＳ）等が挙げられる。セ
ルロースアセテート（ＣＡ）、セルロースアセテートブ
チレート（ＣＡＢ）、エチルセルロース（ＥＣ）等のセ
ルロース誘導体。液晶ポリマー、液晶アロマチックポリ
エステル等の液晶系ポリマー。

【００３７】熱可塑性ポリウレタンエラストマー（ＴＰ
Ｕ）、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー（ＳＢ
Ｃ）、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー（ＴＰ
Ｏ）、熱可塑性ポリエステルエラストマー（ＴＰＥ
Ｅ）、熱可塑性塩化ビニルエラストマー（ＴＰＶＣ）、
熱可塑性ポリアミドエラストマー（ＴＰＡＥ）等の熱可
塑性エラストマー。また一種もしくはそれ以上の上記熱
可塑性樹脂のブレンド体やポリマーアロイと称される熱
可塑性樹脂を用いても良い。熱可塑性樹脂は、充填材か
つ／又は添加材等を含有しても良い。

【００３８】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施例を説明する。

【００３９】

【実施例１】図１０に示すような側壁の欠如した成形品
を、本発明に基づくガス加圧射出成形法にて成形した。
本成形品の金型は図１とほぼ同様の構造であり、金型合
わせ面と成形品の意匠面は、同じ平面上にある。本成形
品の肉厚は基板部２０及び側壁２１の根元の肉厚が２．
０ｍｍで、リブの根元の肉厚はリブ２２が４．０ｍｍ、
リブ２３が３．０ｍｍ、リブ２４が２．０ｍｍ、リブ２
５が４．０ｍｍ、リブ２６が３．０ｍｍである。

【００４０】また基板部２０上の２７の部分はガス注入
ピンとの接点であり、この位置に対応する可動型側の金
型キャビティ面には、ガス注入ピンが設置されており、
側壁とリブの間又はリブとリブの間にそれぞれ１箇所ず
つ、合わせて６箇所にガス注入ピンが設けられている。
本金型に樹脂を充填後、直ちに前記６箇所のガス注入ピ
ンから加圧ガスを注入した。なお加圧ガスとしては、窒
素ガスを用いた。

【００４１】使用した樹脂はＡＢＳ樹脂で、旭化成工業
社製「スタイラック１９１Ｆ」である。評価は、下記条
件による射出成形において、金型キャビティがちょうど
樹脂で満たされる場合の成形品重量を１００％とした場
合に、同条件下で成形機の計量値を変更し、成形品重量
が１０１％となる場合の加圧ガス配管の圧力経時変化を
記録することにより行った。

【００４２】その結果を表１に示す。また得られた偏肉
成形品の意匠面のひけの評価を３次元表面粗さ測定機に
より行い、リブ２５上の意匠面を測定対象とした。その
結果についても表１に示す。測定機及び測定条件は下記
に示す。

【００４３】（成形条件）・成形機：住友重機械工業社製ＳＧ２２０・金型温度可動型側のキャビティ面：６０℃ 固定型側のキャビティ面：６０℃ ・加圧ガスの注入圧力：１０ＭＰａ・加圧ガスの圧入時間：３ｓｅｃ

【００４４】・金型内加圧ガスの大気開放までの時間：２５ｓｅｃ・シリンダー温度：２４０℃ ・射出速度：１００ｍｍ／ｓ・射出圧：１４ＭＰａ（作動油圧力）・樹脂保圧：２８ＭＰａ（作動油圧力）×５ｓｅｃ

【００４５】（測定機）・機器名：ミツトヨ社製「ＳＵＲＦＴＥＳＴ５００」・検出部：ダイアモンド針接触式センサー（円錐形９０
°・先端曲率半径５μm）（測定条件）・走査速度：２ｍｍ／ｓｅｃ・サンプリングピッチ：１０μm ・測定長さ：４０ｍｍ

【００４６】

【比較例１】図１０に示す側壁の欠如した成形品と同一
形状で、金型合わせ面が成形品の裏面と同じ平面上にあ
る金型を用い、実施例１と同一にして成形を行い、同一
の評価を行った。その結果を表１に示す。

【００４７】

【比較例２】図１１に示すような連続した側壁を有する
箱形状の成形品の金型を用い、実施例１と同一にして成
形を行い、同一の評価を行った。その結果を表１に示
す。なお本金型は、実施例１で用いた金型の固定型の金
型入れ子を交換することにより得られるものであり、基
板部、側壁、リブの寸法は、すべて実施例１で用いた金
型と同一である。

【００４８】

【表１】

【００４９】

【発明の効果】本発明は以上説明した通りのものであ
り、成形品が連続した側壁によって囲まれた箱形の形状
でなくとも加圧ガスの漏洩を防止でき、意匠面にひけや
艶むらのない外観に優れた成形品を得るためのものであ
る。また従来の金型構造上の制約が緩和され、製品設計
の自由度や金型製造コストにおいても優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に用いる金型の一例を示す断面図で
ある。

【図２】ガス注入ピンの一例を示す断面図である。

【図３】ひけ防止の原理の説明図である。

【図４】箱形状成形品の一例を示す図である。

【図５】箱形状成形品の側壁周辺部について、金型
の一例を示す断面図である。

【図６】成形品の側壁欠如部分における金型合わせ
面の位置が好ましくない金型の一例を示す断面図であ
る。

【図７】成形品の側壁欠如部分における金型合わせ
面の位置が好ましい金型の一例を示す断面図である。

【図８】固定型キャビティ面のガス排出経路の一例
を示す図である。

【図９】厚肉部の寸法を示す図である。

【図１０】実施例及び比較例で成形した偏肉成形品を
示す図である。

【図１１】比較例で成形した偏肉成形品を示す図であ
る。

【符号の説明】

１金型１ａ固定型１ｂ可動型２金型キャビティ２ａ固定型側の金型キャビティ面２ｂ可動型側の金型キャビティ面２ｃ可動型側の金型キャビティ面３側壁４リブ５ガス注入ピン６ガス注入経路７シール材８ガス注入ピンと可動型とのクリアランス９エジェクターピン１０シール材１１エジェクタープレート１２エジェクタープレート１３スペーサーブロック１４固定型側取付板１５可動型側取付板１６金型合わせ面１７ガス排出経路（溝）１８ガス排出経路１９ベントスリット２０基板部２１側壁２２リブ２３リブ２４リブ２５リブ２６リブ２７ガス注入ピンとの接点

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基板部と側壁部と該基板部の裏面側に設
けた厚肉部を有し、側壁の一部が欠如した偏肉成形品の
ガス加圧射出成形法であって、成形品キャビティが意匠
面側金型と裏面側金型で構成され、該金型の前記側壁欠
如部分における金型合わせ面が、基板部上の裏面と同一
平面上にはない金型に樹脂を充填し、充填された樹脂と
成形品の裏面に対応する金型キャビティ面との間に加圧
ガスを注入し、成形品の意匠面をそれに対応する金型キ
ャビティ面に押さえ付けることを特徴とするガス加圧射
出成形方法。