JP2001115271A - ステンレス鋼部材及びその表面処理方法 - Google Patents

ステンレス鋼部材及びその表面処理方法

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JP2001115271A
JP2001115271A JP29550299A JP29550299A JP2001115271A JP 2001115271 A JP2001115271 A JP 2001115271A JP 29550299 A JP29550299 A JP 29550299A JP 29550299 A JP29550299 A JP 29550299A JP 2001115271 A JP2001115271 A JP 2001115271A
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Toshihiko Yanai
俊彦 谷内
Yoshiari Nakao
喜有 中尾
Kuniaki Osada
邦明 長田
Michio Saito
道夫 斉藤
Kazuyoshi Takahashi
一善 高橋
Atsushi Koga
篤志 甲賀
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Nippon Yakin Kogyo Co Ltd
NAS Toa Co Ltd
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Nippon Yakin Kogyo Co Ltd
NAS Toa Co Ltd
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23GCLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
    • C23G1/00Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
    • C23G1/02Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts with acid solutions
    • C23G1/08Iron or steel
    • C23G1/086Iron or steel solutions containing HF
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C23C22/00Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄イオンの溶出を防止できる不働態被膜を有
する飲食類用の容器として使用されるステンレス鋼部材
とその表面処理方法を課題とする。 【解決手段】 母材表面に不働態皮膜が形成されたステ
ンレス鋼部材であって、この不働態皮膜のオージェ分析
による母材のFeの濃度(原子%)を[Fe]とし、不働
態皮膜におけるCrの濃度(原子%)を[Cr]とした場合
に、[Cr]/[Fe]が0.25以上であるステンレス鋼部
材である。この不働態皮膜の厚さは20Å以上が望まし
い。表面処理方法は、ステンレス鋼部材の表面から有機
酸により表面の鉄分を選択的に溶解してその表面にCr
富化層を生成させる処理工程と、該処理後にこのCr富
化層を不働態被膜として形成する工程とを備えた表面処
理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、金属イオン、特に鉄イ
オンの溶出を嫌う酒類を含む食品産業等の分野で使用さ
れるステンレス鋼部材及びその表面処理方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲食類の内で酒類の製造に用いる
容器は、木製容器、琺瑯引き容器、樹脂塗装容器へと変
化しており、現在用いられている容器のほとんどが琺瑯
引きで、衝撃に弱いこと、補修が困難であること、ピン
ホールができやすいことなど絶えず問題が生じ、そのた
め地の金属との反応により、酒質の劣化要因になってい
る。
【0003】一方、少量の貯蔵容器は主として高級酒の
貯蔵に用いられているが、その材質のほとんどがガラス
製あるいは、陶器製であるため、衝撃に弱く、また熱殺
菌の際破損し易いことから、その取扱には細心の注意が
必要であり、時に破損によって、大きな経済的損失を蒙
ることがある。
【0004】以上のような欠点を補うために、最近で
は、酒類の製造、貯蔵に用いる容器にステンレス鋼が多
く使用されている。通常ステンレス鋼では、Fe、C
r,Niの酸化物の不働態皮膜により耐食性が維持され
るが、この皮膜は厚さが10Å程度であり、かつFeイ
オンの溶出は避けられない。例えば、生酒、清酒、ビー
ル類などは各種有機酸を含んでおり、ステンレス鋼と長
時間接触するとFeイオンが溶出し、着色し、風味の面
から商品価値が低下することがある。
【0005】ステンレス鋼からのFeイオンの溶出を減
少させる技術として下記の技術が開示されている。 コーティング剤を塗布し、加熱により酸化皮膜を形成
させる方法(特開昭61−186483号公報) 表面を電解研磨し、加熱処理後、着色酸化被膜を高温
水等により溶解除去する方法(特開平5−171479
号公報) しかし、容器として用いる場合、容器成形後の内面に上
記各種の表面処理をしなければならず、工程及びコスト
の面で問題がある。
【0006】また、母材からのFeイオンの溶出を抑制
する方法として、 酒類用フェライト系ステンレス鋼製容器(特公昭62
−151173号公報) も開示されている。しかし、合金組成だけでは解決出来
ず、わずかながらもFeイオンの遊離溶出があり、長期
間の保管に対しては不十分である。従って、酒用ステン
レス容器には内面にライニング材を使用したりメッキを
施してFeイオンの溶出を防止しているのが現状であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のステ
ンレス鋼製の飲食類容器の上述した欠点を解決しようと
するものである。すなわち、ステンレス鋼容器からのF
eイオンの溶出による例えば酒類の変色、味の劣化を防
止し、かつ、酒類の長期間の保存が可能なステンレス鋼
部材、特に容器用部材とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、以下の発明を提供する。発明の第1の態様は、母
材表面に不働態皮膜が形成されたステンレス鋼部材であ
って、この不働態皮膜のオージェ分析による母材のFe
の濃度(原子%)を〔FE〕とし、不動態皮膜における
Crの濃度(原子%)を〔CR〕とした場合に、〔CR〕
/〔FE〕が0.25以上であることを特徴とするステ
ンレス鋼部材である。
【0009】発明の第2の態様は、前記不働態皮膜の厚
さが20Å以上であることを特徴とするステンレス鋼部
材である。
【0010】発明の第3の態様は、前記ステンレス鋼部
材が酒類用部材であることを特徴とするステンレス鋼部
材である。
【0011】発明の第4の態様は、前記ステンレス鋼部
材がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴と
するステンレス鋼部材である。
【0012】発明の第5の態様は、ステンレス鋼部材の
表面から有機酸により表面の鉄分を選択的に溶解してそ
の表面にCr富化層を生成させる処理工程と、該処理後
に不働態被膜を形成する工程とを備えたことを特徴とす
るステンレス鋼部材の表面処理方法である。
【0013】発明の第6の態様は、前記有機酸が、酢
酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、りんご
酸、または酒石酸から選択した1種もしくは2種以上を
混合した有機酸であることを特徴とするステンレス鋼部
材の表面処理方法である。
【0014】発明の第7の態様は、前記有機酸は、その
濃度が1〜40wt%、温度が30℃以上の水溶液であ
ることを特徴とするステンレス鋼部材の表面処理方法で
ある。
【0015】発明の第8の態様は、前記表面にCr富化
層を生成させる処理工程が、前記ステンレス鋼部材を有
機酸に浸漬処理する工程であることを特徴とするステン
レス鋼部材の表面処理方法である。
【0016】発明の第9の態様は、前記不働態被膜を形
成する工程が、硝酸及び/または過酸化水素を含む酸化
性水溶液浸漬して処理する工程であることを特徴とする
ステンレス鋼部材の表面処理方法である。
【0017】発明の第10の態様は、前記不働態被膜を
形成する工程が、硝酸及び/または過酸化水素を含む酸
化性水溶液浸漬して処理する工程であることを特徴とす
るステンレス鋼部材の表面処理方法である。
【0018】発明の第11の態様は、前記ステンレス鋼
部材がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴
とするステンレス鋼部材の表面処理方法である。
【0019】発明の第12の態様は、前記ステンレス鋼
部材が飲食類用容器であることを特徴とするステンレス
鋼部材の表面処理方法である。
【0020】発明の第13の態様は、下記の工程により
処理されたステンレス鋼部材である。 (a)ステンレス鋼部材を酢酸、シュウ酸、クエン酸、
コハク酸、マロン酸、りんご酸、酒石酸から選択した1
種もしくは2種以上を混合した有機酸に浸漬試し、該ス
テンレス鋼表面の鉄分を選択的に溶解してその表面にC
r富化層を生成させる処理工程と、(b)前記処理後に
このCr富化層を硝酸及び/または過酸化水素を含む酸
化性水溶液浸漬して不働態被膜として形成する工程。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の基本的形態は、ステンレ
ス鋼部材表面にCrが富化した不働態被膜を備えたステ
ンレス鋼製部材である。その表面処理方法は、ステンレ
ス鋼部材表面の鉄分を有機酸により選択的に溶解処理
し、表面にCr富化層を生成させる工程と処理後に不働
態被膜を形成する工程とを有するステンレス鋼製部材の
表面処理方法である。
【0022】本発明は、ステンレス鋼部材表面にCr酸
化物が富化した鉄酸化物の不働態被膜を形成させること
により、この部材に収容された酒類等の水溶液にFeイ
オンの溶出を防ぐものである。ステンレス鋼の内オース
テナイト系ステンレス鋼はCrが15から25wt%、
フェライト系ステンレス鋼はCrが11から20wt%
を含有しており、従って被膜のない表面ではCrとFe
の原子比(以下[Cr/Fe]とする)の原子比は両者
を通じて約0.11から0.25であり、鉄分が多い。
ここで、原子比はオージェ電子線測定方法による分析に
より測定する。
【0023】測定方法の条件を以下に示す。 機器名:アルバックファイ社製PHI610 真空度:7×10-10torr、加速電圧:5KeV、 ビーム電流:140nA、イオン銃のイオン種:Ar、 電流:25mA、ビーム電圧1kV スパッタ毎の各スペクトルから元素の原子分率を算出
し、不動態皮膜の厚さ方向の濃度変化を測定する。
【0024】酸化被膜が平均的に溶損すると溶液中にF
eが溶出する。しかし、Feが溶出するとFeイオンと
なり、溶液を着色し、酒類等溶液では問題となる。図1
にステンレス鋼表面の[Cr/Fe]比と鉄イオンの溶
出量との関係を示す。この図は表面の不働態被膜の[C
r/Fe]比が異なるサンプルを生酒に96日間浸漬し
て鉄イオンの溶出量を測定した結果である。
【0025】この図から、表面の不働態被膜の[Cr/
Fe]を少なくとも0.25以上、望ましくは0.3、
より望ましくは0.35以上とすることにより鉄イオン
の溶出を著しく抑制できることが判明した。従って、こ
のような原子比を有する被膜がステンレス鋼の表面に生
成していると、溶液、特に水溶液へのFe分の溶出が防
止できる。
【0026】ここで、ステンレス鋼とは、例えばJIS
G 4304(1991)にはオーステナイト系ステ
ンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト
系ステンレス鋼2相系ステンレス鋼の成分規格がある
が、本発明発明の原理からして、全てのCrを含むステ
ンレス鋼に適用できる。しかし、溶液を収容する部材は
通常加工性のよいオーステナイト系ステンレス鋼で製作
されているので、オーステナイト系ステンレス鋼、例え
ばSUS304に適用すると特に効果がある。
【0027】所で、鉄イオンの溶出量は被膜の厚さにも
よる。図2は図1と同じ条件で不働態被膜の厚さと鉄イ
オン溶出量との関係を示す。図2から不働態被膜の厚さ
が20Å以上では溶出する鉄イオンの量を無視できるこ
とが判る。従って、[Cr/Fe]が0.25以上の被
膜が少なくとも20Å以上、望ましくは40Å以上、最
大100Åであることが望ましい。100Åを超えると
処理費用に対する効果は小さくなるので好ましくない。
このようなステンレス鋼部材は特に着色を好まない酒類
用の容器に適用すると効果がある。
【0028】上記ステンレス鋼部材の表面処理は、基本
的にまず、ステンレス鋼部材の表面から有機酸により表
面の鉄分を選択的に溶解してその表面にCr富化層を生
成させる工程と、次に、該処理後に不働態被膜を形成す
る工程とからなる。
【0029】上記有機酸としては、酢酸、シュウ酸、ク
エン酸、コハク酸、マロン酸、りんご酸、または酒石酸
から選択した1種もしくは2種以上を混合した有機酸が
使用できる。これらの有機酸はカルボニル基を有する有
機酸であり、この酸中に部材を浸漬すると、部材表面の
残留Fe及び被膜内に存在するFeはキレート反応によ
り、選択的に溶解される。また、これらの有機酸は部材
表面の非金属介在物も溶解除去する効果があり、ステン
レス鋼表面にCrに富む清浄な層を形成させる効果があ
る。
【0030】具体的には、この有機酸は、前述の有機酸
の1種または2種以上の混合濃度が1〜40wt%、温
度が30〜60℃の水溶液であると、例えば10分以上
60分程度部材を浸漬することにより処理ができる。図
3は溶液の温度をパラメータとし、有機酸濃度と不働態
被膜の[Cr/Fe]を示す図である。この図から有機
酸の温度が30℃以上で、その濃度が1wt%以上では
[Cr/Fe]は0.25以上となっている。従って、
有機酸濃度は1から40wt%が望ましい。部材表面に
Cr富化層を生成させる処理工程は、ステンレス鋼部材
を前述の有機酸に浸漬処理する工程が、簡便であり望ま
しい。
【0031】次に、上記工程でCrが富化した表面層を
最終的に不働態被膜、即ち酸化被膜とすることが必要で
あるが、この方法としては従来から実施されている硝酸
及び/または過酸化水素を含む酸化性水溶液浸漬して処
理することが望ましい。硝酸の濃度は、30〜50wt
%とするのが望ましい。酸化処理の時間は30から90
分程度が望ましい。
【0032】上記範囲より低いとCr酸化物の被膜形成
効果が不十分であり、一方一定濃度以上となると効果が
飽和すると伴に濃度が高すぎると作業安全上問題とな
る。ステンレス鋼を硝酸溶液に浸漬すると表面のCr層
は酸化しCr23を主体とする不働態被膜が形成され
る。ステンレス鋼の耐食性は元々Crに起因するところ
が大であるが、本発明は有機酸浸漬処理後に酸化性の酸
溶液に浸漬処理することによりCrを表面被膜内に濃化
させ耐食性を向上するものである。
【0033】溶液の浸漬温度は低すぎるとCr23の被
膜形成効果が不十分であり、一方高すぎるとヒュームに
よる環境悪化と安全上に問題が生ずると伴にエネルギー
コスト面でも不利となる。以上の点から温度を30℃〜
60℃とするのが望ましい。
【0034】また、過酸化水素の濃度は、低すぎるとC
r酸化物の被膜形成効果が不十分であり、高濃度になる
とCr酸化物の溶解反応が生じるとともに作業安全上問
題となる。従って、濃度は、0.03〜10wt%と
し、より好ましくは3〜5wt%とするのが望ましい。
過酸化水素の濃度は、低すぎるとCr23の被膜形成効
果が不十分であり、高濃度になるとCr23の溶解反応
が生じるとともに作業安全上問題となる。従って、濃度
は、0.03〜10wt%が好ましく、より好ましくは
3〜5wt%である。
【0035】ステンレス鋼部材としてはオーステナイト
系ステンレス鋼が頻繁に使用されるの、実用的効果を発
揮できる。また、このように処理したステンレス鋼部材
は酒類用容器として特に効果を発揮する。酒類容器は通
常アルコールを含有しているので腐食性があり、容器内
面から鉄分を溶解して、溶液の色、匂いに影響があるた
めである。
【0036】
【実施例】以下実施例により本発明の効果をより具体的
に説明する。溶接部を含むSUS304ステンレス鋼試
験片(2t×30×70mm)を硝ふっ酸(HF:0.
3mol/L、HNO3:1.0mol/L)で酸洗処理に
より表面脱スケール処理を行った後、40℃に保持した
5〜10wt%の各種の有機酸溶液に30〜50分間浸
漬し、水洗後、40℃に保持した40wt%硝酸溶液に
30分以上浸漬し供試材とし、比較材としては酸洗処理
まま及び酸洗後上記硝酸処理した試料を用いた。
【0037】本試験片を1リットルのガラス製容器に入
れ、それぞれに市販生酒(アルコール18vol%)5
00mlを入れ、5℃、約3ヶ月間放置後、生酒中の鉄
イオン濃度をICP(誘導結合プラズマ発光分光分析)
により求めた。図4は、本発明の表面処理法によるステ
ンレス鋼表面のオージェ分析による厚さ方向のCr/F
e原子濃度分布を示す図であり、図から明らかなよう
に、本発明例は酸洗後の表面に比べて本発明の表面処理
した不働態被膜表面のCrの割合が高く、耐食性が向上
することがわかった。なお、測定条件は前述の通りであ
る。
【0038】また図5として示す表1で明らかなよう
に、本発明の表面処理方法による試験片からのFeイオ
ン溶出量は生酒中の初期Feイオン濃度と同等であり、
極めて優れた耐溶出性を有していることがわかる。しか
し、比較として用いた酸洗処理ままではFeイオン溶出
量は極めて多く、本発明の目標とするレベルを満たすも
のではない。
【0039】なお、上記溶出試験において、市販生酒を
例に説明したが、本発明はいうまでもなく生酒用に限定
されるものではなく、清酒、焼酎、ウオッカ、試薬・医
療用アルコールなどの透明度及び品質の劣化を防止する
ものである。またビール、ワイン、カクテル等の品質劣
化の防止にも有効となる。
【0040】
【発明の効果】上のように本発明によれば、通常のステ
ンレス鋼の表面の改質によりFeイオンの溶出を非常に
少なくすることができるので、従来は高合金材料やグラ
スライニング等の非金属材料を必要とした食品関係、医
療用の容器にも通常のステンレス鋼を適用することが可
能となる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄イオンの溶出量と不働態被膜の原子比[Cr
/Fe]との関係を示す図である。
【図2】鉄イオンの溶出量と不働態被膜の厚さとの関係
を示す図である。
【図3】鉄イオンの溶出量と有機酸の濃度・温度との関
係を示す図である。
【図4】オージェ分析における不働態皮膜表面の表面か
ら厚さ方向に[Cr/Fe]比を測定した結果を示す図
である。
【図5】本発明処理方法で処理した供試片を生酒に一定
期間浸漬して鉄イオンの溶出程度を測定した結果を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 喜有 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社技術研究所内 (72)発明者 長田 邦明 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社技術研究所内 (72)発明者 斉藤 道夫 東京都品川区東品川2丁目2番24号 ナス トーア株式会社内 (72)発明者 高橋 一善 東京都品川区東品川2丁目2番24号 ナス トーア株式会社内 (72)発明者 甲賀 篤志 東京都品川区東品川2丁目2番24号 ナス トーア株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA04 BA08 BB08 CA13 CA32 CA35 DA03 EA14

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材表面に不働態皮膜が形成されたステ
    ンレス鋼部材であって、この不働態皮膜のオージェ分析
    による母材のFeの濃度(原子%)を[Fe]とし、不動
    態皮膜におけるCrの濃度(原子%)を[Cr]とした場合
    に、[Cr]/[Fe]が0.25以上であることを特徴とす
    るステンレス鋼部材。
  2. 【請求項2】 前記不働態皮膜の厚さが20Å以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼部材。
  3. 【請求項3】 前記ステンレス鋼部材がオーステナイト
    系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または
    2に記載のステンレス鋼部材。
  4. 【請求項4】 前記ステンレス鋼部材が飲食類用部材で
    あることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載
    のステンレス鋼部材。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼部材の表面から有機酸によ
    り表面の鉄分を選択的に溶解してその表面にCr富化層
    を生成させる処理工程と、該処理後にこのCr富化層を
    不働態被膜として形成する工程とを備えたことを特徴と
    するステンレス鋼部材の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記有機酸が、酢酸、シュウ酸、クエン
    酸、コハク酸、マロン酸、りんご酸、または酒石酸から
    選択した1種もしくは2種以上を混合した有機酸である
    ことを特徴とする請求項5記載のステンレス鋼部材の表
    面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記有機酸は、その濃度が1〜40wt
    %、温度が30℃以上の水溶液であることを特徴とする
    請求項5または6記載のステンレス鋼部材の表面処理方
    法。
  8. 【請求項8】 前記表面にCr富化層を生成させる処理
    工程が、前記ステンレス鋼部材を有機酸に浸漬処理する
    工程であることを特徴とする請求項5から7のいずれか
    1項に記載のオーステナイト系ステンレス鋼部材の表面
    処理方法。
  9. 【請求項9】 前記不働態被膜を形成する工程が、硝酸
    及び/または過酸化水素を含む酸化性水溶液浸漬して処
    理する工程であることを特徴とする請求項5から8のい
    ずれか1項に記載のステンレス鋼部材の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記不働態被膜を形成する工程が、硝
    酸及び/または過酸化水素を含む酸化性水溶液浸漬して
    処理する工程であることを特徴とする請求項5から9の
    いずれか1項に記載のステンレス鋼部材の表面処理方
    法。
  11. 【請求項11】 前記ステンレス鋼部材がオーステナイ
    ト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項5から
    10のいずれか1項に記載のステンレス鋼部材の表面処
    理方法。
  12. 【請求項12】 前記ステンレス鋼部材が飲食類用容器
    であることを特徴とする請求項5から11のいずれか1
    項に記載のステンレス鋼部材の表面処理方法。
  13. 【請求項13】 下記の工程により処理されたステンレ
    ス鋼部材。 (a)ステンレス鋼部材を酢酸、シュウ酸、クエン酸、
    コハク酸、マロン酸、りんご酸、または酒石酸から選択
    した1種もしくは2種以上を混合した有機酸に浸漬試
    し、該ステンレス鋼表面の鉄分を選択的に溶解してその
    表面にCr富化層を生成させる処理工程と、(b)前記
    処理後にこのCr富化層を硝酸及び/または過酸化水素
    を含む酸化性水溶液浸漬して不働態被膜として形成する
    工程。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008024987A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Fuji Techno Kk ステンレス容器の製造方法
JP2012149309A (ja) * 2011-01-20 2012-08-09 Jfe Steel Corp 耐薬品性に優れたステンレスクラッド鋼
JP2014214345A (ja) * 2013-04-25 2014-11-17 株式会社Ihi ステンレス鋼部品の不動態化処理方法

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