JP3015556B2 - ステンレス鋼の耐日本酒性を改善する方法 - Google Patents

ステンレス鋼の耐日本酒性を改善する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はステンレス鋼の耐日本
酒性を改善するための新規な方法に関するものである。
この発明は特に、食品用機器等に利用されるステンレス
鋼の耐日本酒性を改善するのに有効に利用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】従来は市販の18Cr−8Ni系ステン
レス鋼を酸洗して日本酒環境で使用していた。そしてこ
の酸洗液としては、硝酸+フッ化アンモニウム水溶液
(HNO3 +NH4 F系と略す)のもの以外に、取扱い
に注意を要する硝酸+フッ化水素水溶液(HNO3 +H
F系と略す)のものも使用されていた。
【0003】上記した方法により耐日本酒性を改善する
ことはある程度可能であるが、市販材はMnS介在物量
が生産ロットにより微妙に異なり、MnS介在物量が比
較的多い鋼になると短時間で急速にFeイオンの溶出が
起こり、日本酒の変色の原因になっていた。また、酸洗
液にHFを用いると、HFが空気中で発煙し有毒なガス
を発生するため、酸洗液の取扱いが困難であるという問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】空気中で発煙して有
毒なガスを発生するなどの取扱い上の問題のない酸洗方
法を用いてステンレス鋼を処理し、日本酒環境で使用し
てもFeイオンの溶出が少なく、日本酒を変色させない
ステンレス鋼とする方法を提供すること。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記の
問題に鑑み鋭意研究した結果、MnS介在物量の少い1
8Cr−8Ni系ステンレス鋼を用いて、HNO3 水溶
液中で酸洗するか、或はHNO3 +NH4 F水溶液中で
酸洗後HNO3 水溶液中で酸洗することにより、日本酒
環境で使用してもFeイオンの溶出が少なく、日本酒を
変色させないステンレス鋼が得られることを見いだして
本発明をなすに至った。
【0006】本発明の請求項1の発明は、C0.08重
量%以下、Si1.0重量%以下、Mn0.7重量%以
下、P0.04重量%以下、S0.005重量%以下、
Ni8.0〜10.50重量%、Cr18.0〜20.
0重量%、Mo0.10〜0.40重量%、Cu0.1
0〜0.30重量%及び残部がFeからなるステンレス
鋼を硝酸水溶液中で酸洗するか、或は硝酸+フッ化アン
モニウム水溶液中で酸洗後硝酸水溶液中で酸洗すること
により、ステンレス鋼の耐日本酒性を改善する方法であ
る。
【0007】
【作用】18Cr−8Ni系ステンレス鋼のMn、S量
を低下し、MnS介在物を少なくすることにより、腐食
の起点(MnS介在物)が減少する。更に、Mn、S量
を低下した18Cr−8Ni系ステンレス鋼を上記のよ
うな取扱い上の問題のないHNO3 水溶液中で酸洗する
か、或はHNO3 +NH4 F水溶液中で酸洗後HNO3
水溶液中で酸洗することにより、ステンレス鋼の不働態
皮膜が強化されるので、日本酒環境で使用しても日本酒
の変色の原因となるFeイオンの溶出量を0.1mg/
L以下に抑制することができる。
【0008】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限
定されるものではない。表1に本発明に適用できる低M
n、S化した18Cr−8Niステンレス鋼と比較鋼の
化学成分を示す。表1より低Mn、S鋼は比較鋼に比べ
てMn、S量が少ないことがわかる。
【0009】
【表1】
【0010】次に、低Mn、S鋼および比較鋼を105
0℃×20分、溶体化処理して、酸化スケール落としの
ための酸洗及び湿式研磨#1000仕上げを施した。そ
の後、種々の酸洗処理をして40℃の日本酒(当初より
Feイオンを含む。Feイオン含有量0.05mg/
L)中に浸漬した場合のFeイオン溶出量を測定した。
その結果を図1に示す。
【0011】低Mn、S鋼の場合、〔24wt%HNO
3 +2wt%NH4 F〕水溶液中で酸洗後30wt%H
NO3 で酸洗した試料1と、30wt%HNO3 で酸洗
した試料2は浸漬時間が360時間(約15日)過ぎて
も、溶出量が0.1mg/L以下であり、これは日本酒の
新品に約0.05mg/LのFeイオンが含まれることを
考えると、きわめて優れた耐食性を有するものである。
しかし、低Mn、S鋼の場合であっても、12wt%H
NO3 で酸洗した試料3と〔12wt%HNO3 +1w
t%NH4 F〕で酸洗した試料4においては、浸漬初期
は良いが、約15日後には明らかにFeイオン溶出量の
増加が認められる。一方、低Mn、S鋼を研磨しただけ
の試料5はFeイオン溶出量が多く、とても日本酒中で
使えない。
【0012】一方、比較鋼の場合、低Mn、S鋼で最も
良い結果が得られた〔24wt%HNO3 +2wt%N
4 F〕で酸洗後、30wt%HNO3 で酸洗する条件
を用いた試料6は、時間の経過と共にFeイオン溶出量
が増加しており、また〔12wt%HNO3 +1wt%
NH4 F〕で酸洗した比較鋼の試料7においては、初期
よりFeイオン溶出量が多く、いずれもとても日本酒中
で使えない。
【0013】図1に結果を示したFeイオン溶出量を調
査した時の日本酒の変色(黄色から褐色への変化)状態
を図2に示す。低Mn、S鋼の場合、図1で0.1mg
/l以下のFeイオン溶出量であったもの(試料1およ
び試料2)は若干の変色が認められる程度である。然し
ブランクの日本酒も時間と共に少しずつ変色するため、
この変色が溶出したFeイオンによるものだけとは断定
しにくいが、変色の面からみても、低Mn、S鋼を30
wt%HNO3 で酸洗すること、或は〔24wt%HN
3 +2wt%NH4 F〕で酸洗後、30wt%HNO
3 で酸洗することは、低Mn、S鋼の耐日本酒性を高め
ることに非常に有効であると言える。
【0014】しかし、低Mn、S鋼の場合であっても、
12wt%HNO3 で酸洗した試料3と〔12wt%H
NO3 +1wt%NH4 F〕で酸洗した試料4において
は、浸漬初期は良いが、約120時間後には明らかに変
色が認められる。一方、低Mn、S鋼を研磨しただけの
試料5や比較鋼の試料6や試料7は日本酒環境で使える
状態ではないほど変色してしまう。
【0015】以上の結果から、MnS介在物量の少い1
8Cr−8Ni系ステンレス鋼を用いて、HNO3 水溶
液中で酸洗するか、或はHNO3 +NH4 F水溶液中で
酸洗後HNO3 水溶液中で酸洗することにより、耐日本
酒性を改善できることがわかる。
【0016】
【発明の効果】本発明は食品用機器等に利用される18
Cr−8Ni系ステンレス鋼の耐日本酒性を改善するた
めの新規な方法を提供するものであり、MnS介在物量
の少い18Cr−8Ni系ステンレス鋼を用いて、有毒
なガスを発生するなどの取扱い上の問題のない、HNO
3 水溶液中で酸洗するか、或はHNO3 +NH4 F水溶
液中で酸洗後HNO3 水溶液中で酸洗することにより、
日本酒環境で使用してもFeイオンの溶出が少なく、日
本酒を変色させないステンレス鋼とすることができる。
本発明の方法を用いることによつて、18Cr−8Ni
系ステンレス鋼を日本酒という比較的未知の環境下へも
適用できるようになり、その産業上の利用価値は甚だ大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる低Mn、S鋼および比較鋼を酸
洗処理をして40℃の日本酒中に浸漬した場合のFeイ
オン溶出量の経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明で用いる低Mn、S鋼および比較鋼を酸
洗処理をして40℃の日本酒中に浸漬した場合の日本酒
の変色の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 低Mn、S鋼を〔24wt%HNO3 +2wt%N
4 F〕水溶液中で酸洗後30wt%HNO3 で酸洗し
た試料 2 低Mn、S鋼を30wt%HNO3 で酸洗した試料 3 低Mn、S鋼を12wt%HNO3 で酸洗した試料 4 低Mn、S鋼を〔12wt%HNO3 +1wt%N
4 F〕で酸洗した試料 5 低Mn、S鋼を研磨しただけの試料 6 比較鋼を〔24wt%HNO3 +2wt%NH4
F〕で酸洗後、30wt%HNO3 で酸洗した試料 7 比較鋼を〔12wt%HNO3 +1wt%NH4
F〕で酸洗した試料

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C0.08重量%以下、Si1.0重量
    %以下、Mn0.7重量%以下、P0.04重量%以
    下、S0.005重量%以下、Ni8.0〜10.50
    重量%、Cr18.0〜20.0重量%、Mo0.10
    〜0.40重量%、Cu0.10〜0.30重量%及び
    残部がFeからなるステンレス鋼を硝酸水溶液中で酸洗
    するか、或は硝酸+フッ化アンモニウム水溶液中で酸洗
    後硝酸水溶液中で酸洗することにより、ステンレス鋼の
    耐日本酒性を改善する方法。
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