JP2001115254A - 蒸着装置および蒸着材料擦り切り装置並びに蒸着材料供給装置 - Google Patents

蒸着装置および蒸着材料擦り切り装置並びに蒸着材料供給装置

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JP2001115254A
JP2001115254A JP29207099A JP29207099A JP2001115254A JP 2001115254 A JP2001115254 A JP 2001115254A JP 29207099 A JP29207099 A JP 29207099A JP 29207099 A JP29207099 A JP 29207099A JP 2001115254 A JP2001115254 A JP 2001115254A
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貴昭 青山
Masahiro Suetsugu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は,蒸着材料を蒸発源装置に安
定供給することができる蒸着装置および蒸着材料擦り切
り装置並びに蒸着材料供給装置を提供することにある。 【解決手段】 本発明に係る蒸着装置は,ループ状ハー
ス8に供給された蒸着材料に電子銃6を照射して蒸着を
行う蒸着装置5であって,蒸着材料が供給されるループ
状ハース8が形成された複数のハースブロック12を備
える。ハースブロック12の上面には,ループ状ハース
8に供給される蒸着材料を擦り切るための楔状体の蒸着
材料擦り切り板11が設けられる。複数のハースブロッ
ク12は,駆動手段20により駆動されたハースブロッ
ク置換手段17により,互いに位置が置換可能に形成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子線加熱により蒸
着材料を基板に蒸着させる蒸着装置およびその蒸着材料
擦り切り装置に係り,特に電子線加熱による蒸着におい
て,蒸着材料を蒸発源装置に安定供給することができる
蒸着装置及び蒸着材料擦り切り装置並びに蒸着材料供給
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空蒸着,スパッタリング等により反射
防止フィルター,干渉フィルター,ハーフミラー,各種
バンドパスフィルター,サングラスなどの多色コート,
各種装飾品などの色付けコートなどの光学薄膜を形成さ
せることが一般的に行われている。ここで,真空蒸着に
おける蒸発源としては,ボートによる抵抗加熱蒸着法と
ともに,電子銃を用いた電子線加熱蒸着が通常に用いら
れている。
【0003】電子線加熱蒸着装置は通常,4個程度の複
数個のハースを具えており,このハース内に充填された
蒸着材料に,高エネルギー電子ビームスポットを当て,
蒸着材料を蒸発ないしは昇華させて蒸着を行なうもので
ある。かかる電子銃による加熱蒸着装置に蒸着材料を供
給する方法として,パーツフィーダー等を用いて顆粒状
の蒸着材料を連続的にハースに供給する方法が知られて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし,本発明者ら
は,上記従来の加熱蒸着装置には,以下のような問題点
があることを見出した。すなわち,上記従来の加熱蒸着
装置によると,パーツフィーダー内で顆粒状の蒸着材料
がいわゆる「ブリッジ」という現象を生じて閉塞するこ
とがある。この「ブリッジ」という現象は,「アー
チ」,「架橋」とも呼ばれるものであり,容器の中に粉
体を充填し,容器底部の流出口を開いて重力により粉体
を流出させる際に,粉体槽内に生ずる摩擦抵抗力及び付
着力が,上部の粉体の及ぼす圧力と釣り合うような状態
になったときに,流出が止まり閉塞状態となる現象をい
う。
【0005】上記ブリッジが生ずると,ハースへの蒸着
材料の供給が一時的に止まって,ハース内の蒸着材料が
充分な量に満たない時期が生ずることがある。また,ブ
リッジが崩れることにより一時的に大量の蒸着材料がハ
ースに供給されて,蒸着材料がハースから溢れる時期が
生ずることもある。その結果,蒸着材料の供給量が不安
定になる。また,加熱蒸着装置内は加熱蒸着により温度
が上昇するが,この温度上昇により顆粒が粘性を増して
更にブリッジが生じ易くなり,さらに蒸着材料の供給量
が不安定になる場合がある。さらに,ブリッジが生じな
いときであっても,蒸着材料の供給量が不安定になると
きもある。
【0006】ハースに供給された蒸着材料が溢れた場合
には,溢れた材料はそのまま廃棄されており,蒸着材料
に無駄が生じて生産コストが高くなる原因となってい
た。また,ハースに供給される蒸着材料が充分な量に満
たない場合には,基板への蒸着速度が低下し,生産効率
が低下する原因となっていた。また,蒸着条件を一定に
保つことができずに,基板上に形成される薄膜の膜厚分
布や膜質が不均一なものとなり,蒸着の安定性が低下す
る原因ともなっていた。
【0007】さらに,蒸着材料は,パーツフィーダーか
ら落下供給された状態のままで電子線が当てられるた
め,電子線が当てられる蒸着材料表面に平滑性がなくな
るという問題点があった。その結果蒸着条件を一定に保
つことができずに,基板上に形成される薄膜の膜厚分布
や膜質が不均一なものとなり,蒸着の安定性が低下する
原因となっていた。
【0008】本発明の目的は,上記問題点を解決するこ
とにあり,ハースに蒸着材料を安定して供給することが
でき,さらに蒸着材料の表面を平滑にすることができる
電子線加熱蒸着装置および蒸着材料擦り切り装置を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は,請求項1に
係る発明によれば,駆動手段により可動可能に駆動され
たハースブロックと,該ハースブロックに形成され蒸着
材料が供給される凹部と,該凹部に供給された前記蒸着
材料に電子線を照射する電子銃と,を備えた蒸着装置で
あって,前記ハースブロックの上面には,蒸着材料擦り
切り板が設けられ,該擦り切り板は,前記凹部に前記蒸
着材料が供給される位置よりも前記ハースブロックの可
動方向の位置に前記凹部を横切るように配設されること
により解決される。
【0010】このとき,前記凹部の上方で且つ前記ハー
スブロックの上方には,前記蒸着材料を貯留するバッフ
ァタンクが,配設され,該バッファタンクの底面には,
前記蒸着材料が前記凹部に落下するための開口が,穿設
される様にするとよい。
【0011】更に,前記擦り切り板は,楔状体となって
いるように構成すると好適である。また,前記ハースブ
ロックは,駆動手段により回動可能に駆動された円盤状
の板状体からなり,前記凹部は,ドーナツ状に形成され
た連続溝からなるように構成するとよい。更に,前記擦
り切り板は,前記連続溝の少なくとも2箇所を横切るよ
うに形成されるように構成すると好適である。
【0012】さらに,複数の前記ハースブロックと,該
複数のハースブロックと同数の前記蒸着材料擦り切り板
と,前記複数のハースブロックと同数の前記バッファタ
ンクと,駆動手段により駆動されたハースブロック置換
手段と,を備え,前記ハースブロック置換手段は,前記
複数のハースブロックと前記複数の蒸着材料擦り切り板
と前記複数のバッファタンクの位置を置換可能に形成さ
れる様に構成すると好適である。
【0013】また,前記擦り切り板と隣接する位置に,
前記連続溝の所定部分を覆うカバーが固設され,前記カ
バーには,前記バッファタンクを嵌設するための開口が
穿設され,前記カバーの下面には,可撓性部材が,前記
連続溝の前記所定部分を囲む位置に固設される様に構成
すると好適である。このとき,前記擦り切り板の底面の
前記連続溝上の位置には,切欠き溝が形成されるように
構成すると良い。
【0014】また,上記課題は,請求項9に係る発明に
よれば,蒸着材料を貯留する蒸着材料貯留タンクと,該
蒸着材料貯留タンクから蒸着材料が供給されるボールフ
ィーダーと,該ボールフィーダーを振動させるボールフ
ィーダーバイブレーターと,前記ボールフィーダーに形
成された蒸着材料排出口を通じて,前記ボールフィーダ
ーから蒸着材料を供給され,ハースに前記蒸着材料を供
給するリニアフィーダーと,を備え,前記ボールフィー
ダーは,側面内壁に,螺旋状の溝を備え,前記螺旋状の
溝は,前記ボールフィーダーの底面から,前記ボールフ
ィーダーに形成された蒸着材料排出口に達するように形
成され,前記ボールフィーダーバイブレーターの振動に
より,前記ボールフィーダーに貯留された蒸着材料が,
前記螺旋状の溝に沿って前記蒸着材料排出口に移送され
ることにより解決される。
【0015】このとき,前記リニアフィーダーは,リニ
アフィーダーバイブレーターを備え,前記リニアフィー
ダーバイブレーターの振動により,前記蒸着材料が,前
記リニアフィーダー上で移送されるように構成すると好
適である。
【0016】上記課題は,請求項11に係る発明によれ
ば,電子線により蒸着材料を加熱して蒸発させる蒸着装
置のハースブロックに取り付けられる蒸着材料擦り切り
装置であって,該蒸着材料擦り切り装置は,楔状体とな
っており,前記蒸着材料擦り切り装置は,前記凹部の少
なくとも一箇所を横切るように形成されることにより解
決される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る蒸着装置5は,図1
乃至図3に示すように,駆動手段19により可動可能に
駆動されたハースブロック12(12a,12b,12
c)と,ハースブロック12に形成され蒸着材料が供給
される凹部8と,凹部8に供給された蒸着材料に電子線
を照射する電子銃6と,を備える。
【0018】本発明のハースブロック12(12a,1
2b,12c)の上面には,図2,図3に示すように,
蒸着材料擦り切り板11が設けられる。蒸着材料擦り切
り板11を設けることにより,蒸着材料貯留タンク14
から凹部8に,常に安定した量の蒸着材料を供給するこ
とができるので,蒸着条件を一定に保つことができ,基
板上に形成される薄膜の膜厚分布や膜質を均一なものと
することができる。すなわち,蒸着材料貯留タンク14
から供給された蒸着材料が凹部8から溢れる時期には,
蒸着材料擦り切り板11により,溢れた蒸着材料を凹部
8から除去することができる。また,凹部8への蒸着材
料の供給量が不足する時期には,溢れる時期に除去した
蒸着材料を,凹部8に落下させることが可能となる。さ
らに,凹部8に供給された蒸着材料の表面をならして,
電子線が当てられる蒸着材料表面を平滑にすることがで
きる。
【0019】擦り切り板11は,凹部8に蒸着材料が供
給される位置よりもハースブロック12(12a,12
b,12c)の可動方向の位置に,凹部8を横切るよう
に配設される。このように構成することにより,ハース
ブロック12が可動するに伴い,擦り切り板11によっ
て,凹部8に供給された蒸着材料の表面が平滑にならさ
れるようになる。
【0020】なお,擦り切り板11は,連続溝8の少な
くとも2箇所を横切るように形成してもよい。このよう
に構成することにより,擦り切り板11によりハースブ
ロック12の中心方向へ除去された蒸着材料が,ハース
ブロック12上の擦り切り板11に仕切られた領域に溜
められ,ハースブロック12の周囲の床への蒸着材料の
飛散を防止することができる。さらに,ハースブロック
12上の擦り切り板11に仕切られた領域に溜められた
蒸着材料は,蒸着材料貯留タンク14からの蒸着材料の
供給量が少ないときに,連続溝8に落下されるため,蒸
着材料の供給量をより安定させることができる。
【0021】また,擦り切り板11が,連続溝8の少な
くとも2箇所を横切るように形成されるので,ハースブ
ロック12がどちらの方向に回転する場合であっても,
連続溝8への蒸着材料の供給量を安定させることがで
き,また蒸着材料の表面を平滑にすることができる。
【0022】凹部8の上方で且つハースブロック12の
上方には,図3,図4に示すように,蒸着材料を貯留す
るバッファタンク9が配設される。バッファタンク9の
底面には,図4に示すように,蒸着材料が凹部8に落下
するための開口10が穿設される。このように構成する
ことにより,蒸着材料貯留タンク14から供給される蒸
着材料の量が常に一定でない場合であっても,凹部8に
常に一定の量の蒸着材料を供給することができる。すな
わち,一時的に蒸着材料貯留タンク14から多量の蒸着
材料が供給されたときには,必要量以外の蒸着材料をバ
ッファタンク9に貯留しておき,蒸着材料貯留タンク1
4からの蒸着材料の供給量が少なくなったときに,この
余剰の蒸着材料を,凹部8に供給して,凹部8への蒸着
材料の供給量を安定させることができる。
【0023】擦り切り板11は,図3に示すように,楔
状体となっている。このように,楔状体に形成すること
により,ハースブロック12の周囲の床への蒸着材料の
飛散を防止することができる。
【0024】ハースブロック12は,図5に示す駆動手
段19により回動可能に駆動された円盤状の板状体から
なる。図2,図5に示すように,凹部8は,ドーナツ状
に形成された連続溝からなる。このように構成すること
により,連続溝8に蒸着材料を供給しながら連続的に蒸
着を行うことが可能となる。
【0025】本発明に係る蒸着装置5は,図2に示すよ
うに複数のハースブロック12a,12b,12cと,
この複数のハースブロック12a,12b,12cと同
数の蒸着材料擦り切り板11a,11b,11cと,複
数のハースブロック12a,12b,12cと同数のバ
ッファタンク9a,9b,9cと,駆動手段20により
駆動されたハースブロック置換手段17と,を備える。
このように構成することにより,連続的な工程により,
基板2上に,複数の材料を蒸着させて多層薄膜を容易に
形成することが可能となる。
【0026】ハースブロック置換手段17は,複数のハ
ースブロック12a,12b,12cと複数の蒸着材料
擦り切り板11a,11b,11cと複数のバッファタ
ンク9a,9b,9cの位置を置換可能に形成される。
このように構成することにより,連続的な工程により,
基板2上に,複数の材料を蒸着させて多層薄膜を容易に
形成することが可能となる。さらに,基板2上に複数の
材料を蒸着させて多層薄膜を形成する場合において,そ
れぞれの凹部8a,8b,8cへ安定した量の蒸着材料
を供給することが可能となる。
【0027】また,本発明の蒸着装置では,図7に示す
ように,擦り切り板11と隣接する位置に,連続溝8の
所定部分を覆うカバー61が固設される。このカバー6
1には,バッファタンク9を嵌設するための開口62が
穿設される。このカバー61の下面には,可撓性部材3
2が,連続溝8の前記所定部分を囲む位置に固設され
る。このように構成することにより,連続溝8に供給さ
れる蒸着材料が液状の溶融材である場合に,溶融物質が
連続溝8から溢れ出ることを防止することができると共
に,蒸着材料が電子線のビームスポットにおける材料表
面を平滑にすることができる。また,パーツフィーダー
7から連続溝8への溶融蒸着材料の供給が安定しない場
合であっても,蒸着材料をビームスポット30に安定し
て供給することができる。
【0028】また,このとき,この擦り切り板11の底
面の連続溝8上の位置には,図8に示すように,切欠き
溝63が形成される。このように構成することにより,
連続溝8に供給される蒸着材料が液状の溶融材である場
合に,連続溝8に供給された蒸着材料が,連続溝8から
溢れ出ることを防止することができる。
【0029】また,図1に示す本発明に係る蒸着材料供
給装置7は,図6に示すように,蒸着材料を貯留する蒸
着材料貯留タンク14と,蒸着材料貯留タンク14から
蒸着材料が供給されるボールフィーダー41と,ボール
フィーダー41を振動させるボールフィーダーバイブレ
ーター15aと,ボールフィーダー41に形成された蒸
着材料排出口43を通じて,ボールフィーダー41から
蒸着材料を供給され,ハース8に蒸着材料を供給するリ
ニアフィーダー13と,を備える。
【0030】ボールフィーダー41は,側面内壁に,螺
旋状の溝42を備える。この螺旋状の溝42は,ボール
フィーダー41の底面から,ボールフィーダー41に形
成された蒸着材料排出口43に達するように形成され
る。ボールフィーダーバイブレーター15aの振動によ
り,ボールフィーダー41に貯留された蒸着材料が,螺
旋状の溝42に沿って蒸着材料排出口43に移送され
る。このように構成することにより,蒸着材料を,ハー
スに定量ずつ供給することが可能となる。
【0031】リニアフィーダー13は,リニアフィーダ
ーバイブレーター15bを備える。蒸着材料が,リニア
フィーダーバイブレーター15bの振動により,リニア
フィーダー13上で移送される。
【0032】また,本発明に係る蒸着材料擦り切り装置
11は,電子線により蒸着材料を加熱して蒸発させる蒸
着装置5のハースブロック12に取り付けられる。蒸着
材料擦り切り装置11は,図3に示すように,楔状体と
なっている。このように,楔状体に形成することによ
り,ハースブロック12の周囲の床への蒸着材料の飛散
を防止することができる。
【0033】蒸着材料擦り切り装置11は,凹部8の少
なくとも一箇所を横切るように形成される。このように
構成することにより,ハースブロック12が可動するの
に伴って,擦り切り板11が凹部8に供給された蒸着材
料の表面が平滑にならされるようになる。
【0034】
【実施例】以下,本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお,以下に説明する部材,配置等は本発明を
限定するものでなく,本発明の趣旨の範囲内で種々改変
することができるものである。
【0035】(実施例1)図1により,本発明に係る蒸
着装置および蒸着材料擦り切り装置並びに蒸着材料供給
装置の一例を説明する。本例に係る蒸着装置5は,電子
銃6を用いて真空槽1内で電子線加熱蒸着を行う装置で
ある。
【0036】本例に係る蒸着装置5は,図1に示すよう
に真空槽1内に設けられる。真空槽1内には,図1に示
すように本例に係る電子銃6,凹部・連続溝としてのル
ープ状ハース8を備えたハースブロック12(12a,
12b,12c)のほか,本例の蒸着材料を蒸着して薄
膜を形成する基板2,基板2を支持する基板ホルダ3が
配置される。基板ホルダ3はモータ33により回転駆動
される。真空槽1の外側には制御装置4が設けられ,こ
の制御装置4は,本例の駆動手段としてのモータ19,
駆動手段としてのモータ20,モータ33等を制御する
ように構成される。
【0037】本例に係る蒸着装置は,電子銃6と,蒸着
材料供給装置としてのパーツフィーダー7と,ハースブ
ロック12と,凹部・連続溝としてのループ状ハース8
と,バッファタンク9と,開口としての給材口10と,
蒸着材料擦り切り板・蒸着材料擦り切り装置としての擦
り切り板11と,を主要構成要素とする。
【0038】本例に係る電子銃6は,ループ状ハース8
に充填された蒸着材料に電子線をビームスポット照射し
て蒸着材料を蒸発させるように構成される。本例に係る
電子銃6は,図1,図2に示すように,真空槽1の底面
上であって,ハースブロック12(12a,12b,1
2c)の図面右側に配置される。電子銃6としては,通
常の電子線加熱蒸着で一般的に用いられる電子銃を用い
る。
【0039】本例に係る蒸着材料供給装置としてのパー
ツフィーダー7は,図6に示すように,蒸着材料を貯留
しリニアフィーダー13に蒸着材料を供給する蒸着材料
貯留タンクとしてのホッパ14,ホッパ14内の蒸着材
料をボールフィーターバイブレーター15aの振動によ
りリニアフィーダーに供給するボールフィーダー41,
ボールフィーダー41を振動させて蒸着材料を定量的に
バッファタンク9に供給するボールフィーダーバイブレ
ーター15a,ボールフィーダー41から供給された蒸
着材料をループ状ハース8上のバッファタンク9に供給
するリニアフィーダー13,リニアフィーダー13を振
動させて蒸着材料を定量的にバッファタンク9に供給す
るリニアフィーダーバイブレーター15bを主要構成要
素とする。本例のパーツフィーダー7は,図1に示すよ
うに,真空槽1内であって,ハースブロック12a,1
2b,12cの図面左側の位置に配置される。
【0040】本例のホッパ14は,図示しない3つの独
立したホッパ14a,14b,14cからなる。ホッパ
14a,14b,14cは,図6に示すように,それぞ
れ底面が円錐形である中空円筒体からなり,円錐形底面
の中心には,蒸着材料を落下させるための材料排出口4
6を有する。
【0041】それぞれのホッパ14の下には,図6に示
すようにボールフィーダー41が配置される。すなわ
ち,本例のボールフィーダー41は,ホッパ14と同
数,本例では3つ設けられる。ボールフィーダー41
は,ホッパ14から供給された蒸着材料を漏斗44を経
てリニアフィーダー13に供給する。ボールフィーダー
41は,中空円筒体からなる。それぞれのボールフィー
ダー41は,上面に,材料供給口47が穿設され,この
材料供給口47には,ホッパ14の材料排出口46が,
貫通して固定される。
【0042】ボールフィーダー41には,図6に示すよ
うに,蒸着材料を漏斗44に供給するための蒸着材料排
出口43が設けられる。それぞれのボールフィーダー4
1の下には,ボールフィーダーバイブレーター15aが
配置され,ボールフィーダーバイブレーター15aを作
動するとボールフィーダー41が振動するように設けら
れる。ボールフィーダーバイブレーター15aには,蒸
着材料をハースに供給するために通常用いられるバイブ
レーターを用いる。ボールフィーダーバイブレーター1
5aは,ボールフィーダーと同数,本例では3つ設けら
れる。
【0043】本例のボールフィーダー41の側面内壁に
は,図6に示すように,螺旋状の溝42が形成される。
ボールフィーダーバイブレーター15aを作動したとき
に,ボールフィーダー41に貯留された蒸着材料が,振
動によって螺旋状の溝42に沿ってボールフィーダー4
1の壁面を上り,蒸着材料排出口43に達することとな
る。すなわち,螺旋状の溝42は,安定した量の蒸着材
料を,リニアフィーダー13に供給する役割を果たすも
のである。
【0044】図6に示すように,ボールフィーダー41
の蒸着材料排出口43の下方には,漏斗44が配設され
る。本例の漏斗44としては,液体,粉体等を移し入れ
るのに通常用いる漏斗を用いる。この漏斗44のさらに
下方には,リニアフィーダー13の一方の端部が配置さ
れる。漏斗44およびリニアフィーダー13は,ボール
フィーダー41と同数,本例では3つずつ設けられる。
【0045】本例のリニアフィーダー13は,縦断面が
長方形である筒状体からなる。リニアフィーダー13の
下には,図6に示すようにリニアフィーダーバイブレー
ター15bが配置され,このリニアフィーダーバイブレ
ーター15bを作動すると,リニアフィーダー13が振
動するように設けられる。リニアフィーダーバイブレー
ター15bには,蒸着材料をハースに供給するために通
常用いられるバイブレーターを用いる。リニアフィーダ
ー13は,振動することにより,漏斗44から供給され
た蒸着材料が,図面右側(矢印方向)へ移動するように
設けられる。
【0046】リニアフィーダー13の図面右側の端部に
は,シュート45が設置される。本例のシュート45
は,両端が開放された概略筒状体からなり,図6に示す
ように屈曲した形状からなる。シュート45は,リニア
フィーダー13から供給された蒸着材料を,バッファタ
ンク9に供給する役割を果たす。シュート45は,リニ
アフィーダー13と同数,本例では3つ設けられる。
【0047】本例では,蒸着材料として,顆粒状のSi
(オプトロン社製)を用いる。本例で用いるSiO
の顆粒の粒径は,0.1〜2.0mmである。なお,
本例では上記材料を用いたが,これに限定されるもので
はなく,粉末状の材料を用いてもよい。また,物質の種
類も,ZrO,Al,ITO,MgF,Ti
,Ta等,種々用いることができる。
【0048】本例に係るハースブロック12は,真空槽
1内に設置され,図1乃至図3に示すように,円盤状の
板状体からなり,後に説明する回転機構により,回転軸
16を軸として回転可能に設けられる。ハースブロック
12には,その円周付近の位置に,ループ状の連続溝と
してのループ状ハース8が,ハースブロック12と同軸
的に刻設される。ループ状ハース8は,電子線を照射す
る蒸着材料を貯留する役割を果たす。すなわち,ハース
ブロック12は,略円盤状の板状体として形成され,ル
ープ状ハース8は,板状体であるハースブロック12に
形成された連続溝として形成される。
【0049】ループ状ハース8は,ループ状の連続溝と
して形成されるので,図2に示すバッファタンク9の位
置では,リニアフィーダー13から蒸着材料を受け入
れ,ビームスポット30の位置では,ビームスポット3
0の位置に貯留された蒸着材料が電子線の照射を受け
る。このように,ループ状の連続溝からなるループ状ハ
ース8を用いることにより,蒸着材料を補充しながら連
続的に長時間の加熱蒸着をすることが可能となる。
【0050】ハースブロック12は図2に示すように3
つのハースブロック12a,12b,12cからなる。
このように,ハースブロックを複数備える構成とする
と,複数の蒸着材料を基板2上に形成して複合金属薄膜
等の形成をする場合であっても,真空槽1の外部から制
御装置4を操作することにより,真空槽1内を真空に保
ったまま容易にループ状ハースを交換することができ
る。
【0051】ハースブロック12a,12b,12cの
下面には,図5に示す回転軸16,16,16が固定さ
れる。回転軸16は,図5に示すように,ベース円板1
7に穿孔された孔59を貫通して設けられる。したがっ
て,ハースブロック12a,12b,12cは,ベース
円板17が回動するのに伴い移動し,置換することとな
る。
【0052】回転軸16の下端には,図5に示すよう
に,ギヤ51が連結され,ギヤ51には,さらに回転軸
18が連結される。このギヤ51により,回転軸18か
らの動力が回転軸16に伝達されるように構成される。
回転軸18の下端には,ギヤ52が連結され,このギヤ
52により,回転軸16dからの動力が回転軸18に伝
達される。回転軸16dの下端には,モータ19が連結
される。モータ19は,図示しない制御装置4に接続さ
れる。このようにして,モータ19の動力が,回転軸1
6d,ギヤ52,回転軸18,ギヤ51,回転軸16を
経て,ハースブロック12a,12b,12cに伝達さ
れる。
【0053】モータ19,回転軸16d,ギヤ52,回
転軸18,ギヤ51,回転軸16は,ハースブロック1
2a,12b,12cのそれぞれに対し1つずつ設けら
れる。回転軸18は,図5に示すように,その上端がベ
ース円板17に固定されており,ベース円板17が回動
するのに伴い移動するように設けられる。
【0054】ハースブロック12a,12b,12cの
下には,図2,図5に示すように,円形板状体からなる
ベース円板17が配置される。ベース円板17の下に
は,図5に示すように,略円筒中空体のベース円板支持
体57が固設される。このベース円板支持体57の下に
は,さらに,ベース円板回動軸21が固設される。
【0055】回転軸16がベース円板17を貫通する箇
所,ベース円板回動軸21が真空槽壁面53を貫通する
箇所は,Oリング55,55でシールされ,ベース円板
17の上方は真空が維持される。ベース円板17,ベー
ス円板支持体57,ベース円板回動軸21に囲まれた部
分は,大気相となる。
【0056】ベース円板回動軸21は,図5に示すよう
に,略円筒中空体からなり,その図面左下端には,ギヤ
56が連結される。ギヤ56の図面左端には,回動軸5
8が連結され,この回動軸58を介してモータ20の動
力がベース円板回動軸21に伝達されるように設けられ
る。モータ20は,図示しない制御装置4に接続され
る。すなわち,回動軸58,ギヤ56,ベース円板回動
軸21,ベース円板支持体57を介して,モータ20に
よりベース円板17が回動可能に形成される。
【0057】本例のベース円板17は,120°ずつ回
動し,一方向に120°ずつ2回回動すると,その後は
逆方向に120°ずつ2回回動するように形成される。
換言すると,図2の矢印A方向に120°ずつ2回回動
した後,矢印B方向に120°ずつ2回回動して元の位
置に戻ることとなる。なお,本例のベース円板17は,
最大240°しか回動しないように構成しているが,こ
れに限定されるものでなく,ベース円板17を,回転可
能に構成してもよい。
【0058】このベース円板17には,孔59が形成さ
れ,上述したようにこの孔59を回転軸16,16,1
6が貫通するように構成される。以上のように構成する
ことにより,ベース円板17が回動するに伴って回転軸
16,16,16が相互に置換し,ハースブロック12
a,12b,12cの相互の位置の置換が可能となる。
【0059】すなわち,図2の12aの位置が電子銃6
による照射を受けるハースブロック位置であるが,回動
軸21が回動することによりベース円板17が駆動され
て1/3回転すると,それまで12bの位置にあったハ
ースブロック12bが電子銃6の照射を受ける12aの
位置に移動し,それまで12aの位置にあったハースブ
ロック12aが12cの位置に,それまで12cの位置
にあったハースブロック12cが12bの位置に移動す
ることとなる。
【0060】本例に係るバッファタンク9は,深さが約
18mm,幅がループ状ハース8の半径方向の幅と略同
じ幅で,ループ状ハースの形状に沿うように形成された
皿状体からなる。本例では,バッファタンクをこのよう
な形状としているが,これに限定されるものではなく,
円柱状,直方体状等ほかの形状としてもよい。
【0061】バッファタンク9,9,9は,図3に示す
ように各ハースブロック12a,12b,12cの上で
あって,ベース円板17の中心に近い位置に,底面が各
ハースブロック12a,12b,12cの上面に接する
ように配置される。各バッファタンク9は,図3のよう
に支軸29により擦り切り板支持部22に固定される。
【0062】図4に示すようにバッファタンク9の底面
には本例の開口としての給材口10が1つ設けられる。
給材口10は,バッファタンク9から蒸着材料がループ
状ハース8に落下可能であるように円形の孔として構成
される。なお,開口の形状および数はこれに限定される
ものではなく,楕円,多角形等の開口を1つまたは複数
設けるようにしてもよい。
【0063】バッファタンク9の周囲には,ハースブロ
ック12上面の一部を覆う図示しないカバーが固定され
る。このカバーは,厚さ約0.5mmの板状体からな
る。このカバーは,ループ状ハース8に供給された蒸着
材料が溢れて周囲に飛散するのを防止する役割,擦り切
り板11が,溢れた蒸着材料の圧力により持ち上げられ
ることを防止する役割を果たす。
【0064】本例に係る擦り切り板11は,楔形状,す
なわち図3に示すように擦り切り板厚み端部23から擦
り切り板先端部24に向かって徐々に厚みが薄くなるよ
うに,また断面が三角形であるように形成される。擦り
切り板厚み端部23の厚みは17mm,擦り切り板先端
部24の角度は35°である。なお,本例の擦り切り板
11は,バッファタンク9とは別体として構成している
が,バッファタンク9と擦り切り板11とを一体として
形成してもよい。
【0065】擦り切り板11は,内周部分で折れ曲がっ
たV字形として形成される。図4に示すように,V字の
部分が鈍角であるV字形であり,図4に示す幅Wは27
mm,端部25から端部26までの長さLは260mm
である。なお,本例の擦り切り板11は,V字形として
構成しているが,これに限定されるものではない。例え
ば,ループ状ハース8の1箇所を横切る擦り切り板を1
つ,または複数配置してもよい。また,ループ状ハース
8の2箇所を横切る直線状の擦り切り板を配置してもよ
い。
【0066】さらに,擦り切り板11は,擦り切り板支
持部22,取り付け縁部27と一体に形成される。取り
付け縁部27には3箇所に孔28が穿孔され,これらの
孔28でボルト,ナットにより図3で示す支軸29が固
定される。これらの支軸29の他端は図3に示すように
ベース円板17に固定され,これらの支軸29により擦
り切り板11,擦り切り板支持部22,バッファタンク
9がベース円板17に固定される。
【0067】以下,本実施例の動作について説明する。
図1に示す真空槽1内で真空蒸着により多層薄膜を成膜
する場合には,まずホッパ14a,14b,14cにそ
れぞれ異なる蒸着材料を充填し,真空槽1内を所定の真
空度まで排気する。所定の真空度に達したところで,ホ
ッパ14a,14b,14cのうち,最初に蒸着させる
蒸着材料を貯留したホッパ14aに対応するバイブレー
ター15a,15bを作動させる。
【0068】ボールフィーダー41内に供給された蒸着
材料が,螺旋状の溝42に沿ってボールフィーダー41
の壁面を上昇し,蒸着材料排出口43から連続的に漏斗
44を経てリニアフィーダー13に供給される。リニア
フィーダー13の図面左端に供給された蒸着材料は,バ
イブレーター15bの振動により,図面右側へ向かって
進行する。リニアフィーダー13の図面右端に達した蒸
着材料は,シュート45を通ってバッファタンク9aに
供給される。蒸着材料は,一旦バッファタンク9aに貯
留され,給材口10を通ってループ状ハース8aに落下
する。
【0069】ループ状ハース8aに最初の蒸着材料が達
した時点で,モータ19を作動させ,ハースブロック1
2aを定速回転させる。これによりループ状ハース8a
に連続的に蒸着材料が供給される。それと共に,ハース
ブロック12aの回転に伴い,擦り切り板11により,
ループ状ハース8aの蒸着材料の表面がならされて平ら
にされる。
【0070】ハースブロック12aが1回転してループ
状ハース8a全周に蒸着材料が満たされた後,基板ホル
ダ3に載置された基板2への真空蒸着を行う。真空蒸着
は,以下のように行う。すなわち,図2の電子銃6を作
動させると,電子銃6から電子線が発せられ,図示しな
い磁界の効果により電子線が図2のビームスポット30
に達する。ビームスポット30にある蒸着材料は電子線
により加熱されて昇華または蒸発する。昇華または蒸発
した蒸着材料は,真空槽1内を通って,基板ホルダ3に
支持された基板2上に付着し,基板2への真空蒸着が行
われる。
【0071】第1の蒸着材料を基板2に成膜させた後,
第2の蒸着材料を基板2に成膜させるためには,まず真
空槽1外部から制御装置4を操作してモータ20を駆動
させ,ベース円板17を図2の矢印A方向に1/3回動
させる。それにより,それまで12bの位置にあったハ
ースブロック12bが12aの位置に移動する。ハース
ブロック12bの回動を開始した後,ホッパ14bから
第2の蒸着材料をループ状ハース8bに供給する。この
動作は,ホッパ14aからループ状ハース8aに蒸着材
料を供給する場合と同様である。その後,ハースブロッ
ク12aを用いて蒸着を行ったときと同様の手順によ
り,ハースブロック12bを用いて蒸着を行う。
【0072】第2の蒸着材料を基板2に成膜させた後,
第3の蒸着材料を基板に成膜させるときには,再びモー
タ20を駆動させ,ベース円板17を図2の矢印方向に
1/3回動させ,ハースブロック12cを12aの位置
に移動させて同様の操作を行う。なお,本例ではホッパ
14,ハースブロック12,擦り切り板11をそれぞれ
3個設けて3種の蒸着材料による複合金属化合物薄膜を
成膜できるように構成したが,これに限定されるもので
はなく,ホッパ14,ハースブロック12,擦り切り板
11を2個,または4個以上設けるように構成しても良
い。
【0073】基板2に3種の蒸着材料を蒸着すると,蒸
着の終了した基板2を保持する基板ホルダ3を真空槽1
外に排出し,新しい基板2を保持する基板ホルダ3を図
1の基板ホルダ3の位置に設置する。基板ホルダ3の交
換と同時に,モータ20を駆動させ,ベース円板17
を,図2の矢印方向とは逆方向に2/3回動させ,ハー
スブロック12aを,図2の12aの位置に戻す。その
後,同様の操作により,新しい基板2上への蒸着を行
う。
【0074】(実施例2)図7により,本発明に係る蒸
着装置および蒸着材料擦り切り装置並びに蒸着材料供給
装置の他の例を説明する。本例に係る蒸着装置5は,上
記実施例1と同様に,電子銃6を用いて真空槽1内で電
子線加熱蒸着を行う装置である。図7は,本発明の他の
実施例としての蒸着装置に用いられる擦り切り板カバー
61を示す。本例のカバー61は,ループ状ハースに供
給される蒸着材料が液状の溶融材である場合に適したカ
バーである。本例のカバー61は,図7に示すように,
断面コの字形の板状体で,その中央部に開口62が設け
られた形状からなる。
【0075】カバー61は,図7に示すように,ループ
状ハース8の上であって,蒸着材料がループ状ハース8
に供給される位置に,図示しないボルトで固定される。
カバー61の下面であってコの字の直角に屈曲している
位置の内側に,ブラシ支持部材31が固着され,このブ
ラシ支持部材31に,可撓性部材としてのステンレス製
のブラシ32が固着される。
【0076】カバー61の開口62には,図7に示すよ
うに,バッファタンク9が嵌設される。ブラシ32は,
その先端をハースブロック12に向け,ループ状ハース
8に隣接する位置のハースブロック12の上面にブラシ
32の先端が接するように固定される。ブラシ支持部材
31およびブラシ32は,バッファタンク9を囲むよう
に設けられる。
【0077】このように構成することにより,ループ状
ハース8に供給される蒸着材料が液状の溶融材である場
合に,溶融物質がループ状ハース8から溢れ出ることを
防止することができると共に,電子線のビームスポット
30における材料表面を平滑にすることができる。ま
た,パーツフィーダー7からループ状ハース8への溶融
蒸着材料の供給が安定しない場合であっても,蒸着材料
をビームスポット30に安定して供給することができ
る。
【0078】また,本例の蒸着装置に用いられる擦り切
り板11には,図8に示すように,ループ状ハース8の
上に該当する部分に,高さ4mm程度の切欠き溝63が
形成される。このように切欠き溝63を形成することに
より,蒸着材料として溶融材を用いる場合,溶融物質が
ループ状ハース8から溢れ出ることを防止することがで
きる。なお,本例の他の構成要件は実施例1に係る構成
要件と同様である。
【0079】
【発明の効果】本発明の蒸着装置および蒸着材料擦り切
り装置並びに蒸着材料供給装置によれば,蒸着材料が溢
れたときに,蒸着材料擦り切り部材または蒸着材料擦り
切り装置が,溢れた蒸着材料を溝から擦り切るため,蒸
着装置への蒸着材料の安定した供給を行うことができ
る。さらに蒸着材料の表面を平滑にすることができ,そ
の結果蒸着条件を一定に保つことができ,基板上に形成
される薄膜の膜厚分布や膜質を均一なものとし,安定し
た蒸着を行うことができる。
【0080】さらに,本発明の蒸着装置および蒸着材料
擦り切り装置並びに蒸着材料供給装置によれば,ループ
状ハースおよび蒸着材料擦り切り装置を複数設けている
ため,真空槽内を減圧状態に保持したまま,複数の蒸着
材料を,基板上に成膜させることができ,しかも各蒸着
材料を連続的に安定して成膜させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る蒸着装置全体を示す説
明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る蒸着装置の一部を示す
平面説明図である。
【図3】本発明の一実施例に係る蒸着装置の一部を示す
断面説明図である。
【図4】本発明の一実施例に係る蒸着装置の擦り切り板
およびバッファタンク等を示す平面説明図である。
【図5】本発明の一実施例に係る蒸着装置のハースブロ
ックおよびハースブロック置換手段の回転機構を示す概
略説明図である。
【図6】本発明の一実施例に係る蒸着装置のパーツフィ
ーダーを示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る蒸着装置に用いられ
るカバーを示す縦断面説明図である。
【図8】本発明の他の実施例に係る蒸着装置の擦り切り
板を示す説明図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 基板 3 基板ホルダ 4 制御装置 5 電子線加熱蒸着装置 6 電子銃 7 パーツフィーダー 8,8a,8b,8c ループ状ハース 9,9a,9b,9c バッファタンク 10 給材口 11,11a,11b,11c 擦り切り板 12,12a,12b,12c ハースブロック 13 リニアフィーダー 14,14a,14b,14c ホッパ 15a ボールフィーダーバイブレーター 15b リニアフィーダーバイブレーター 16 回転軸 16d モータ回転軸 17 ベース円板 18 回転軸 19 モータ 20 モータ 21 ベース円板回動軸 22 擦り切り板支持部 23 擦り切り板厚み端部 24 擦り切り板先端部 25 端部 26 端部 27 取り付け縁部 28 孔 29 支軸 30 ビームスポット 31 ブラシ支持部材 32 ブラシ 33 モータ 34 チェーン 35 ボルト 41 ボールフィーダー 42 螺旋状の溝 43 蒸着材料排出口 44 漏斗 45 シュート 46 材料排出口 47 材料供給口 51 ギヤ 52 ギヤ 53 真空槽壁面 54 ベアリング 55 Oリング 56 ギヤ 57 ベース円板支持体 58 回動軸 59 孔 61 カバー 62 開口 63 切欠き溝 W 幅 L 長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末次 昌宏 東京都品川区南大井3丁目2番6号 株式 会社シンクロン内 Fターム(参考) 4K029 DB08 DB14 DB15 DB21

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動手段により可動可能に駆動されたハ
    ースブロックと,該ハースブロックに形成され蒸着材料
    が供給される凹部と,該凹部に供給された前記蒸着材料
    に電子線を照射する電子銃と,を備えた蒸着装置であっ
    て,前記ハースブロックの上面には,蒸着材料擦り切り
    板が設けられ,該擦り切り板は,前記凹部に前記蒸着材
    料が供給される位置よりも前記ハースブロックの可動方
    向の位置に前記凹部を横切るように配設されたことを特
    徴とする蒸着装置。
  2. 【請求項2】 前記凹部の上方で且つ前記ハースブロッ
    クの上方には,前記蒸着材料を貯留するバッファタンク
    が,配設され,該バッファタンクの底面には,前記蒸着
    材料が前記凹部に落下するための開口が,穿設されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
  3. 【請求項3】 前記擦り切り板は,楔状体となっている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の蒸着装置。
  4. 【請求項4】 前記ハースブロックは,駆動手段により
    回動可能に駆動された円盤状の板状体からなり,前記凹
    部は,ドーナツ状に形成された連続溝からなることを特
    徴とする請求項1乃至3いずれか記載の蒸着装置。
  5. 【請求項5】 前記擦り切り板は,前記連続溝の少なく
    とも2箇所を横切るように形成されることを特徴とする
    請求項4記載の蒸着装置。
  6. 【請求項6】 複数の前記ハースブロックと,該複数の
    ハースブロックと同数の前記蒸着材料擦り切り板と,前
    記複数のハースブロックと同数の前記バッファタンク
    と,駆動手段により駆動されたハースブロック置換手段
    と,を備え,前記ハースブロック置換手段は,前記複数
    のハースブロックと前記複数の蒸着材料擦り切り板と前
    記複数のバッファタンクの位置を置換可能に形成される
    ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の蒸着装
    置。
  7. 【請求項7】前記擦り切り板と隣接する位置に,前記連
    続溝の所定部分を覆うカバーが固設され,前記カバーに
    は,前記バッファタンクを嵌設するための開口が穿設さ
    れ,前記カバーの下面には,可撓性部材が,前記連続溝
    の前記所定部分を囲む位置に固設されることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項6いずれか記載の蒸着装置。
  8. 【請求項8】 前記擦り切り板の底面の前記連続溝上の
    位置には,切欠き溝が形成されることを特徴とする請求
    項7記載の蒸着装置。
  9. 【請求項9】 蒸着材料を貯留する蒸着材料貯留タンク
    と,該蒸着材料貯留タンクから蒸着材料が供給されるボ
    ールフィーダーと,該ボールフィーダーを振動させるボ
    ールフィーダーバイブレーターと,前記ボールフィーダ
    ーに形成された蒸着材料排出口を通じて,前記ボールフ
    ィーダーから蒸着材料を供給され,ハースに前記蒸着材
    料を供給するリニアフィーダーと,を備え,前記ボール
    フィーダーは,側面内壁に,螺旋状の溝を備え,前記螺
    旋状の溝は,前記ボールフィーダーの底面から,前記ボ
    ールフィーダーに形成された蒸着材料排出口に達するよ
    うに形成され,前記ボールフィーダーバイブレーターの
    振動により,前記ボールフィーダーに貯留された蒸着材
    料が,前記螺旋状の溝に沿って前記蒸着材料排出口に移
    送されることを特徴とする蒸着材料供給装置。
  10. 【請求項10】 前記リニアフィーダーは,リニアフィ
    ーダーバイブレーターを備え,前記リニアフィーダーバ
    イブレーターの振動により,前記蒸着材料が,前記リニ
    アフィーダー上で移送されることを特徴とする請求項9
    記載の蒸着材料供給装置。
  11. 【請求項11】 電子線により蒸着材料を加熱して蒸発
    させる蒸着装置のハースブロックに取り付けられる蒸着
    材料擦り切り装置であって,該蒸着材料擦り切り装置
    は,楔状体となっており,前記蒸着材料擦り切り装置
    は,前記凹部の少なくとも一箇所を横切るように形成さ
    れることを特徴とする蒸着材料擦り切り装置。
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