JP2001114973A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

Info

Publication number
JP2001114973A
JP2001114973A JP29561299A JP29561299A JP2001114973A JP 2001114973 A JP2001114973 A JP 2001114973A JP 29561299 A JP29561299 A JP 29561299A JP 29561299 A JP29561299 A JP 29561299A JP 2001114973 A JP2001114973 A JP 2001114973A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
component
thermoplastic elastomer
weight
styrene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29561299A
Other languages
English (en)
Inventor
Norifumi Sumimoto
典史 住本
Katsuro Omura
勝郎 大村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Techno Polymer Co Ltd filed Critical Techno Polymer Co Ltd
Priority to JP29561299A priority Critical patent/JP2001114973A/ja
Publication of JP2001114973A publication Critical patent/JP2001114973A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 引裂き強度、引裂き強度、耐摩耗性に優れた
熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。 【解決手段】 ゴム質重合体20〜80重量%の存在下
に、芳香族ビニル単量体、または芳香族ビニル単量体お
よびこれと共重合可能な他のビニル単量体からなる単量
体成分80〜20重量%を重合して得られ、グラフト率
が5〜300%、かつ、未グラフト成分の極限粘度
〔η〕が0.05〜3.0dl/gである(C)ゴム強
化熱可塑性樹脂、および(D)熱可塑性エラストマーと
の組成物において、上記組成物中に分散しているゴム粒
子の平均粒子径が0.06〜2.00μm、上記組成物
中の(C)および(D)の境界部の平均厚さが0.01
〜0.20μmであり、上記(D)成分がスチレン系エ
ラストマーおよび/または1,2−ポリブタジエンであ
る熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム強化熱可塑性
樹脂および熱可塑性エラストマーを主成分とする、引裂
き強度、引張り強度、耐摩耗性に優れた熱可塑性エラス
トマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、樹脂加工機(射出成形機、押出成
形機、ブロー成形機、真空成形機)を用いて、外観の良
好な成形品が成形でき、その性能が架橋ゴムと同等であ
る材料の需要が、電気、工業、履物、スポーツ部品分野
で高まっている。従来、そのような材料として利用でき
る熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフ
ィン系、ウレタン系もしくはポリエステル系エラストマ
ーが検討されているが、前二者は成形品外観、耐摩耗性
が劣り、引裂き強度、引張り強度が不足し、後二者は高
価格でかつ硬質材であることから、需要に応えられる材
料ではない。しかし、それらの中でも、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー
は、加硫しなくても高いゴム弾性を示し、通常の熱可塑
性樹脂の成形機で加工が可能なため、比較的使用されて
いる。しかしながら、成形品表面が荒く、ウェルドが目
立つなどの成形品外観が劣る問題を有している。一方、
架橋ゴムは、引裂き強度、引張り強度に優れるが、樹脂
加工機による成形が不可能であり、生産性が悪く、需要
に応えられない問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、ゴム強化熱可塑性樹
脂および熱可塑性エラストマーを主成分とする、引裂き
強度、引張り強度、耐摩耗性に優れた熱可塑性エラスト
マー組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ゴム質
重合体20〜80重量%の存在下に、(B)芳香族ビニ
ル単量体、または芳香族ビニル単量体およびこれと共重
合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分80〜2
0重量%〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕を
重合して得られ、グラフト率が5〜300%、かつ、未
グラフト成分の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチル
ケトン中で測定)が0.05〜3.0dl/gである
(C)ゴム強化熱可塑性樹脂、ならびに(D)熱可塑性
エラストマー、を主成分とする熱可塑性エラストマー組
成物において、(a)上記組成物中に分散しているゴム
粒子の平均粒子径が0.06〜2.00μm、(b)上
記組成物中の(C)成分および(D)成分の境界部の平
均厚さが0.01〜0.20μmであることを特徴とす
る熱可塑性エラストマー組成物を提供するものである。
ここで、上記(D)熱可塑性エラストマーは、スチレン
系エラストマーおよび/または1,2−ポリブタジエン
であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の(A)ゴム質重合体に
は、ジエン系ゴム質重合体および非ジエン系ゴム質重合
体が含まれる。ジエン系ゴム質重合体として、例えばポ
リブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン
−ブタジエン共重合体(好ましいスチレン含量は、5〜
60重量%)、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共
重合体などが挙げられる。また、非ジエン系ゴム質重合
体としては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合
体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体など
のエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体;スチレン
−ブタジエン(ブロック)共重合体の水素添加物、スチ
レン−イソプレン(ブロック)共重合体の水素添加物、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の水素添加物、
ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の水
素添加物、その他のブタジエン系(共)重合体の水素添
加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添
加物などのジエン系重合体の水素添加物;シリコーン系
ゴム、アクリル系ゴムなどが挙げられる。
【0006】これらの中で、ポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、ブタジエン系(共)重合体の水
素添加物、シリコーンゴム、アクリルゴムが好ましく、
さらに好ましくは、ポリブタジエン、スチレン−ブタジ
エン共重合体である。これらのゴム質重合体は、1種単
独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用い
ることもできる。
【0007】本発明の(C)ゴム強化熱可塑性樹脂中の
(A)ゴム質重合体の平均ゴム粒径は、好ましくは0.
05〜2μm、さらに好ましくは0.10〜1.5μ
m、特に好ましくは0.10〜1.0μmである。
【0008】(A)ゴム質重合体中のトルエン不溶分
は、特に限定されないが、0〜95重量%の範囲のもの
が一般に使用される。ここで、トルエン不溶分(ゲル含
有量)とは、(A)ゴム質重合体を、硫酸により凝固さ
せたサンプルを以下の方法により測定した値のことであ
る。すなわち、凝固乾燥した(A)ゴム質重合体
〔(A)g〕を100mlのトルエンに浸漬させ、室温
で48時間放置後、100メッシュ金網を用いてろ過
し、ろ液の一部〔(C)ml〕を正確に採取して蒸発乾
固させ、得られた残存固形分〔トルエン可溶分:B
(g)〕を秤量し、下記式によってトルエン不溶分とし
た値である。 トルエン不溶分(重量%)={〔A−B×(100/
C)〕/A}×100 このトルエン不溶分の調整は、分子量調節剤の種類、量
を選ぶことによって容易に実施することができる。その
ほか、トルエン不溶分の調整は、架橋剤の添加、重合時
の重合開始剤量、重合開始温度などの選定があり、これ
らを組み合わせて目的とする(A)ゴム質重合体を得る
ことができる。さらに、上記平均ゴム粒径や、トルエン
不溶分の異なるゴム質重合体を、任意の割合で混合して
用いることもできる。
【0009】(C)成分中の(A)ゴム質重合体の含有
量は、20〜80重量%、好ましくは30〜75重量
%、さらに好ましくは40〜70重量%である。(A)
ゴム質重合体の含有量が20重量%未満では、混練性に
劣り、かつ、引張り強度と耐摩耗性が低下し、一方、8
0重量%を超える場合は、(D)成分との相溶性が低下
し、成形加工性および成形品外観が低下する。
【0010】本発明の(C)ゴム強化熱可塑性樹脂は、
(A)ゴム質重合体の存在下に、(B)芳香族ビニル単
量体、または芳香族ビニル単量体およびこれと共重合可
能な他のビニル単量体からなる単量体成分を重合して得
られる。本発明の(B)単量体成分に用いられる芳香族
ビニル単量体としては、例えばスチレン、t−ブチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジ
ビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N
−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエ
チル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビ
ニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレ
ン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロ
モスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニ
ルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチ
ルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体
は、単独であるいは2種以上混合して用いられる。
(C)成分中の芳香族ビニル単量体の使用量は、(B)
単量体成分中に、好ましくは20〜100重量%、さら
に好ましくは30〜100重量%、特に好ましくは40
〜100重量%であり、20重量%未満では、充分な成
形性が得られない。
【0011】(B)単量体成分中の、必要に応じて用い
られる、芳香族ビニル単量体と共重合可能な他のビニル
系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどのシアン化ビニル化合物;メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、アミノアクリレート、ヘキシルアクリ
レート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルア
クリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアク
リレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エス
テル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミ
ルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチル
メタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレー
ト、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレ
ート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エス
テル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコ
ン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸
などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミ
ド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジ
ルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸ア
ミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メ
タクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;
3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−
ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキ
シスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキ
サゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが
挙げられる。これらの中で、アクリロニトリル、ブチル
アクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸が
好ましい。上記芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の
ビニル系単量体は、1種単独で使用することも、あるい
は2種以上を混合して用いることもできる。
【0012】(C)成分中の、芳香族ビニル単量体と共
重合可能な他のビニル系単量体の含有量は、(B)単量
体成分中に、好ましくは80〜0重量%、さらに好まし
くは70〜0重量%、特に好ましくは60〜0重量%で
ある。また、(C)成分中の、(B)単量体成分の含有
量は80〜20重量%、好ましくは70〜25重量%、
さらに好ましくは60〜30重量%である。
【0013】本発明の(C)ゴム強化熱可塑性樹脂は、
(A)ゴム質重合体の存在下に、(B)単量体成分を乳
化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などでラジカル
グラフト重合を行い、製造することができる。(A)成
分の量が多い方が、耐摩耗性が良好である。重合方法と
して、好ましくは、乳化重合である。この際、乳化重合
には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化
剤、水などが用いられる。なお、(C)ゴム強化熱可塑
性樹脂を製造するのに用いる(A)ゴム質重合体および
(B)単量体成分は、(A)ゴム質重合体全量の存在下
に、(B)単量体成分を一括添加して重合してもよく、
分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これ
らを組み合わせた添加方法で、重合してもよい。さら
に、(A)ゴム質重合体の全量または一部を、重合途中
で添加して重合してもよい。
【0014】重合開始剤としては、クメンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代
表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン
酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤
との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸
塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキ
サイドなどの過酸化物が使用される。好ましくは、油溶
性開始剤であり、クメンハイドロパーオキサイド、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメン
タンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイ
ドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキ
シレート処方などで代表される還元剤との組み合わせに
よるレドックス系がよい。また、重合開始剤は、1種単
独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用い
ることもできる。さらに、上記油溶性開始剤と水溶性開
始剤とを組み合わせてもよい。組み合わせる場合の水溶
性開始剤の添加比率は、全添加量の好ましくは50重量
%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。さら
に、重合開始剤は、重合系に一括または連続的に添加す
ることができる。重合開始剤の使用量は、(B)単量体
成分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好ましくは
0.2〜0.7重量%である。
【0015】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げ
られる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上
を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の添
加方法は、一括添加、分割添加、または連続添加、ある
いはこれらを組み合わせた方法が挙げられる。連鎖移動
剤の使用量は、(B)単量体成分に対し、通常、0.0
1〜2.0重量%程度である。
【0016】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げら
れる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例え
ば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸塩、脂肪酸塩
などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤として
は、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル
型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型
などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、
アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分として
アミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものなどが
挙げられる。これらの乳化剤は、単独でまたは2種以上
を組み合わせて使用することができる。乳化剤の添加方
法としては、一括添加、分割添加、連続添加、あるいは
これらを組み合わせた方法が挙げられる。乳化剤の使用
量は、(B)単量体成分に対し、通常、0.1〜5.0
重量%程度である。
【0017】なお、本発明で用いられる(C)ゴム強化
熱可塑性樹脂は、重合温度10〜95℃、好ましくは3
0〜95℃の条件下で乳化重合して製造することが望ま
しい。また、重合終了後、酸化防止剤を添加する場合も
ある。本発明で用いられる(C)ゴム強化熱可塑性樹脂
は、重合して製造したのち、凝固・回収などの回収工程
を経て、乾燥後、粉体とする。凝固工程で使用される凝
固剤としては、硫酸、酢酸、硫酸マグネシウム、塩化カ
ルシウム、硫酸アルミニウムなどが水溶液にして用いら
れる。好ましくは、硫酸、硫酸マグネシウム、塩化カル
シウムである。また、凝固せずに、スプレードライヤー
による噴霧乾燥を行なってもよい。
【0018】本発明の(C)ゴム強化熱可塑性樹脂のグ
ラフト率は、5〜300%、好ましくは5〜250%、
さらに好ましくは5〜150%である。グラフト率が5
%未満では、(D)成分との相溶性が劣るため、成形加
工性および耐摩耗性が劣り、成形品表面外観が低下す
る。一方、300%を超えると、成形加工性、耐摩耗性
および成形品表面外観が低下する。上記グラフト率は、
重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や
量、さらに、重合時間、重合温度などを変えることによ
り、容易に制御することができる。また、(B)単量体
成分の添加方法によってもグラフト率を変えることがで
きる。この添加方法としては、例えば、一括添加、分割
添加、連続添加、あるいはこれらを組み合わせた方法が
挙げられる。
【0019】本発明の(C)ゴム強化熱可塑性樹脂の分
子量に関しては、マトリックス成分(未グラフト成分)
であるアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチ
ルエチルケトン中で測定)は、0.05〜3.0dl/
g、好ましくは0.1〜1.0dl/g、さらに好まし
くは0.15〜0.8dl/g、特に好ましくは0.2
〜0.8dl/gである。極限粘度〔η〕が0.05d
l/g未満では、成形加工性、耐摩耗性および引裂き強
度が低下する。一方、3.0dl/gを超えると、成形
加工性、引裂き強度および成形品表面外観が低下する。
上記極限粘度〔η〕も、グラフト率と同様に、重合開始
剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さら
に、重合時間、重合温度などを変えることにより、容易
に制御することができる。また、(B)単量体成分の添
加方法によっても極限粘度〔η〕を変えることができ
る。この添加方法としては、例えば、一括添加、分割添
加、連続添加、あるいはこれらを組み合わせた方法が挙
げられる。
【0020】本発明の(C)ゴム強化熱可塑性樹脂の使
用量は、(C)成分と(D)成分の合計100重量部中
に、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは5〜
62重量部である。(C)成分の使用量が1重量部未満
の場合、耐摩耗性は改良されない。一方、80重量部を
超えると、混練性に劣り、引裂き強度、引張り強度が低
下する。
【0021】本発明の(D)熱可塑性エラストマーとし
ては、スチレン系エラストマー、1,2−ポリブタジエ
ン、ジエン系ゴム、オレフィン系エラストマー、ウレタ
ン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエ
ステル系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー、イ
オン架橋エラストマー(アイオノマー)などが挙げられ
る。これらの熱可塑性エラストマーは、単独でまたは2
種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】本発明で使用されるスチレン系エラストマ
ーは、具体的には、芳香族ビニル単量体−共役ジエンブ
ロック共重合体で、少なくとも一つの芳香族ビニル単量
体の重合体ブロックと、少なくとも一つの共役ジエン化
合物の重合体ブロックとを含むものであり、直鎖型であ
っても、ラジアル型であってもよい。また、共役ジエン
ブロックが少量の芳香族ビニル単量体とのランダム共重
合体であってもよいし、芳香族ビニル単量体含量が漸増
する、いわゆるテーパー型ブロックであってもよい。
【0023】ブロック共重合体の構造については特に制
限はなく、(A−B)n 型、(A−B)n −A型、また
は(A−B)n −C型のいずれでも使用できる。式中、
Aは芳香族ビニル単量体の重合体ブロック、Bは共役ジ
エン系の重合体ブロック、Cはカップリング剤残基、n
は1以上の整数を示す。なお、上記ブロック共重合体に
おいて、共役ジエン部分が水素添加されたブロック共重
合体を使用することも、もちろん可能である。
【0024】本発明に使用するスチレン系エラストマー
である、芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重
合体の芳香族ビニル単量体の例としては、上記(B)単
量体の芳香族ビニル単量体の例と同様のものが挙げられ
る。好ましくはスチレンである。これらの芳香族ビニル
単量体は、単独であるいは2種以上混合して使用され
る。また、上記ブロック共重合体に使用される共役ジエ
ンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メ
チル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−ブタジ
エン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−ク
ロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタ
ジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖および側鎖
共役ヘキサジエンなどが挙げられる。これらのうち、好
ましいものは、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−
メチル−1,3−ブタジエンである。
【0025】上記ブロック共重合体の重量平均分子量
は、好ましくは10,000〜800,000、さらに
好ましくは20,000〜500,000である。ま
た、ブロック共重合体中の芳香族ビニル単量体の含有量
は、5〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは20
〜50重量%である。上記ブロック共重合体は、1種だ
けでなく、異なる構造、異なる芳香族ビニル単量体含有
量のものを組み合わせて用いても差し支えない。
【0026】本発明で使用される1,2−ポリブタジエ
ンは、1,2−ビニル結合量が70%以上、好ましくは
80%以上、結晶化度が5〜50%、好ましくは10〜
35%、および極限粘度〔η〕(30℃、トルエン中で
測定)が0.5dl/g以上、好ましくは0.6dl/
g以上である。また、異なる1,2−ビニル結合量、結
晶化度、極限粘度〔η〕を有する1,2−ポリブタジエ
ンを組み合わせて用いても差し支えない。
【0027】本発明で使用されるジエン系ゴムとして
は、例えば高シスおよび低シスブタジエンゴム(B
R)、高シスイソプレンゴム(IR)、乳化重合および
溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロ
ピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴム
(NR)などが挙げられる。なかでも、ブタジエンゴム
(BR)とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)が好ま
しい。上記のブタジエンゴム(BR)およびスチレン−
ブタジエンゴム(SBR)のムーニー粘度(ML1+4
100℃)は、30〜75が好ましい。(D)熱可塑性
エラストマーとしては、上記のうち、引張り強度、耐摩
耗性、成形品外観などの点から、スチレン系エラストマ
ー、および1,2−ポリブタジエンが好ましい。本発明
に用いられる(D)熱可塑性エラストマーは、市販のも
のを適宜使用できる。
【0028】本発明の(D)成分の使用量は、(C)成
分と(D)成分の合計100重量部中に、好ましくは9
9〜20重量部、さらに好ましくは95〜38重量部で
ある。(D)成分の使用量が99重量部を超えると、耐
摩耗性は改良されない。一方、20重量部未満の場合、
混練性に劣り、引裂き強度、引張り強度が低下する。
【0029】次に、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物のモルフォロジーについて述べる。本発明の熱可塑性
エラストマー組成物は、グラフト共重合体である(C)
ゴム強化熱可塑性樹脂および(D)熱可塑性エラストマ
ーを主成分とする。本発明の熱可塑性エラストマー組成
物を、凍結し、切り出して、四酸化オスミウム(OsO
4 )で染色し、試料として、透過型電子顕微鏡(以下
「TEM」という)で撮影した写真を図1に示す。本発
明の組成物の構造としては、組成物中に黒色のゴム粒子
が分散しており、ゴム粒子の内部と外部には、白色のグ
ラフト部(樹脂部分)が存在する。本発明における境界
部とは、上記ゴム粒子の外部グラフト部と(D)成分と
の相溶化部分のことであり、外部グラフト部のみではな
い。
【0030】本発明の組成物中に分散しているゴム粒子
の平均粒子径とは、TEMで撮影した写真から測定した
値をいう。TEMで写真を撮影する場合、試料をミクロ
トームで切り出すため、ゴム粒子が変形することから、
写真に写っているゴム粒子の短径の平均を平均粒子径と
した。本発明の組成物中に分散しているゴム粒子の平均
粒子径は、0.06〜2.00μm、好ましくは0.0
6〜1.00μm、さらに好ましくは0.06〜0.7
0μm、特に好ましくは0.07〜0.30μmであ
る。0.06μm未満であると、ゴム粒子の均一分散性
が劣るため、引張り強度と耐摩耗性が低下する。一方、
2.00μmを超えると、引張り強度が劣る。上記組成
物中に分散しているゴム粒子の平均粒子径は、使用する
(A)ゴム質重合体の平均粒子径で決定される。従っ
て、目的とする物性が発現する平均粒子径にするために
は、上記範囲内の平均粒子径である(A)成分を使用す
る必要がある。
【0031】また、本発明の組成物中の(C)成分と
(D)成分との境界部の平均厚さは、0.01〜0.2
0μm、好ましくは0.015〜0.15μm、さらに
好ましくは0.015〜0.10μmである。0.01
μm未満の場合は、(C)成分と(D)成分の相溶性が
劣るため、引張り強度が劣る。一方、0.20μmを超
えると、マトリックス部分が多くなるため、やはり、引
張り強度が劣る。上記組成物中の(C)と(D)成分と
の境界部の平均厚さは、(C)成分のグラフト率、
(B)成分の組成、(A)/(B)成分の比率により調
整することができる。
【0032】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、公知の熱可塑性樹脂あるいは添加剤を配合すること
ができる。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリスチレン
系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、
ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビ
ニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル
系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂などである。
【0033】また、添加剤としては、ガラス繊維、表面
化学処理ガラス繊維、カーボン繊維、グラファイト、金
属繊維、酸化チタンなどのような繊維状充填剤、ガラス
バルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーンの
ような中空充填剤、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カル
シウム、種々の表面処理炭酸カルシウムほか、タルク、
水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、
硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、二硫化モリブデン、アルミナ、天然ケイ素、合成ケ
イ素、カオリン、ケイソウ土、アスベスト、カーボンブ
ラックなどの無機充填剤、プロセス油、潤滑油、パラフ
ィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンな
どの石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ
などのコールタール類、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ
油、大豆油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、
サブ油、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロ
ウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラノリ
ン酸バリウム、ラノリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪
酸塩、石油樹脂などの合成高分子物質、液状チオコール
ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンなどの
シリコーンオイル、フタル酸エステル系、アジピン酸エ
ステル系、セバシン酸エステル系、リン酸エステル系な
どの可塑剤が挙げられる。
【0034】粘着付与剤としては、クマロンインデン樹
脂、テルペン・フェノール樹脂、キシレン・ホルマリン
樹脂などが挙げられる。着色剤としては、無機および有
機顔料など、発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウ
ム、炭酸アンモニウム、N,N′−ジニトロソペンタメ
チレンテトラミン、アゾカルボンアミド、アゾビスイソ
ブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トル
エンスルホニルヒドラジド、カルシウムアミド、p−ト
ルエンスルホニルアミドなど、発泡助剤としては、例え
ばサリチル酸、フタル酸、尿素などが挙げられる。その
ほか、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、
帯電防止剤、難燃剤、滑剤、抗菌剤、防カビ剤、木粉な
どのセルロース系物質などを適宜加えて混合することが
できる。これらは、必要に応じて、本発明の熱可塑性エ
ラストマー組成物100重量部に対して、それぞれ30
0重量部以下の範囲で添加される。
【0035】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を作
製する方法としては、特に制限はなく、通常の混練機
械、例えばロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ス
クリュー押出機、フィーダールーダー押出機、連続ミキ
サーなどを用い、混合・溶融混練することができる。な
お、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、タンブラ
ー、ヘンシェルミキサーを用い混合することもできる。
この混合・溶融混練は、非開放型の混練装置中で行うこ
とが好ましく、また、窒素などの不活性ガス中で行うこ
とが好ましい。混練温度は、通常、100〜180℃、
好ましくは100〜150℃であり、混練時間は、通
常、5〜20分間、好ましくは5〜10分間である。
【0036】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
優れた加工性を有することから、(発泡)押し出し成
形、ブロー成形、射出成形、カレンダー加工、真空成形
もしくは圧空成形、インフレーション成形など、各種加
工方法を用いて良好な成形品を得ることができる。
【0037】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
耐摩耗性に優れ、かつ、成形加工性、引裂き強度、引張
り強度、成形品表面外観に優れているため、非架橋分野
から架橋分野にわたる広い用途範囲に適用でき、工業用
品、家電、OA用品、履物底材(紳士、婦人シューズ
底、カジュアルシューズ底、スポーツシューズ底)、自
動車用品、緩衝材料、住宅建築材料、土木建築材料、コ
ンベアーベルト、包装材などに好適に使用される。
【0038】
【実施例】以下、参考例、実施例および比較例を挙げ、
本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによ
り限定されるものではない。なお、参考例、実施例およ
び比較例中の部および%は、特に断らないかぎり重量部
および重量%である。また、参考例、実施例および比較
例中、各種測定項目は、下記に従った。
【0039】平均粒径 大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA−
3100を用いて、平均粒径を測定した。ゲル含有量(トルエン不溶分) 上記本文中に記載
【0040】グラフト率 グラフト共重合体(ゴム強化熱可塑性樹脂)の一定量
(x)を、アセトン中に投入し、振とう機で2時間振と
うし、遊離の共重合体を溶解させ、遠心分離機を用いて
この溶液を23,000rpmで30分間、遠心分離
し、不溶分を得た。次に、真空乾燥機を用いて120℃
で1時間乾燥し、乾燥した不溶分(y)を得た。下記式
により、グラフト率を算出した。 グラフト率(%)={〔(y)−(x)×グラフト共重
合体のゴム分率〕/〔(x)×グラフト共重合体のゴム
分率〕}×100
【0041】極限粘度〔η〕 上記グラフト率測定時の、遠心分離後のアセトン可溶分
をメチルエチルケトンに完全に溶解させ、濃度の異なる
5種類のサンプルを調製し、ウベローデ粘度管を用いて
30℃で各濃度サンプルの還元粘度を測定した結果か
ら、極限粘度〔η〕を求めた。ムーニー粘度 JIS K6300に準拠し、測定温度100℃、予熱
1分、測定4分の条件で測定した。
【0042】重量平均分子量(Mw) ウォーターズ社製、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC−244)、カラムとして東ソー(株)
製、TSK−gel−GMH×1(2)、溶媒としてテ
トラヒドロフラン、流速0.8ml/分、温度23℃で
測定し、ポリスチレン基準で較正した。1,2−ポリブタジエンの結晶化度 比重換算により、結晶化度を算出した。スチレン系エラストマー中の結合スチレン量 屈折率から、結合スチレン量を求めた。
【0043】試料の成形条件 成形は、ISFA170FA〔東芝機械(株)製〕を用
いて、シリンダー温度160℃、金型温度35℃、射出
圧力60kg/cm2 で行った。混練性 下記基準で評価した。 ○;ローター空回りや過度の発熱がなく、容易に混練で
きる。 ×;ローター空回りや、過度の発熱のため、混練が非常
に困難である。分散性 樹脂用プレス機により、試料を薄板状に熱プレスし、ゴ
ム成分の分散状態を確認した。分散状態は、下記基準で
評価した。 ○;分散不良なし ×;分散不良あり
【0044】耐摩耗性 JIS K6264 DIN摩耗試験に準拠して行っ
た。引裂き強度 JIS K6301に準拠して行った。単位は、kgf
/cmである。引張り強度 JIS K6301に準拠して行った。単位は、kgf
/cm2 である。
【0045】成形品表面外観 成形品表面のフローマーク、肌荒れ、ブラッシュイン
グ、シルバーストリーク、ブルーミングなどを、下記の
評価基準に従って目視評価した。 ○;優良 △;可 ×;凸凹があり、不可
【0046】ゴム粒子平均粒子径(μm) 組成物を液体窒素で凍結させたのち、ミクロトームで切
り出し、四酸化オスミウム(OsO4 )で染色し試料と
した。試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、
写真撮影した。OsO4 染色では、二重結合を有するゴ
ム部分が黒く染色され、スチレン、アクリロニトリルな
どの単量体成分を重合して得られる樹脂成分が染色され
ず白く見える。樹脂部分は、ゴム粒子の内部と外部に存
在する。ゴム粒子の平均粒子径とは、TEM撮影写真上
のゴム粒子の短径の平均である。実際には、20個以上
のゴム粒子の(C)および(D)の境界部を除いた部分
の短径を測定して平均値を求めた。すなわち、ゴム粒子
の外部の(C)成分のグラフト部を除いた部分をゴム粒
子径として、平均粒子径を測定した。
【0047】境界部の平均厚さ 上記TEM撮影写真を用いて、ゴム粒子を取り巻く未染
色部分として写っている、(C)および(D)の境界部
の厚さを測定した。20個以上のゴム粒子の(C)およ
び(D)の境界部の厚さを測定し、平均値を求めた。
【0048】参考例1ゴム質重合体(A)の調製 容量100リットルの攪拌機付き反応器に、1,3−ブ
タジエン100部、水60部、ロジン酸カリウム2.4
部、リン酸カリウム0.5部、水酸化カリウム0.1
部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタンを0.
3部、過硫酸カリウム0.3部を加えて、60〜70℃
で30時間バッチ重合した。重合添加率は、95%であ
った。この重合系に、重合停止剤としてN,N−ジエチ
ルヒドロキシルアミンを0.2部加え、反応を停止させ
た。その後、減圧で1,3−ブタジエンを除去し、ブタ
ジエンゴムラテックスを得た(固形分56.2%)。得
られたブタジエンゴムのゲル含有量は75%、平均粒径
は0.27μmであった。同様に、単量体成分の種類・
配合処方、連鎖移動剤の使用量、重合温度、重合時間な
どを変えて、スチレン−ブタジエン共重合体を得た。ゴ
ム質重合体(A)の平均粒径およびトルエン不溶分を表
1〜2に示す。
【0049】参考例2ゴム強化熱可塑性樹脂(C−1)〜(C−12)の調製 滴下ビン、コンデンサ、窒素導入口および攪拌機を備え
たセパラブルフラスコに、参考例1で得られたゴム質重
合体(A)を固形分換算で60部、乳化剤としてロジン
酸カリウム0.5部、および水100部を混合し、スチ
レン9部、アクリロニトリル3部、分子量調節剤として
t−ブチルメルカプタン0.5部、重合開始剤としてク
メンハイドロパーオキサイド0.2部を加えた。70℃
まで昇温後、クメンハイドロパーオキサイド0.2部、
ピロリン酸ナトリウム0.2部、ブドウ糖0.25部、
硫酸第一鉄0.01部を加え、重合を行なった。1時間
後、残りのスチレン21部、アクリロニトリル7部、t
−ドデシルメルカプタン0.3部、水40部、クメンハ
イドロパーオキサイド0.15部の混合物を4時間にわ
たって滴下を行なった。滴下終了後、クメンハイドロパ
ーオキサイド0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.1
部、ブドウ糖0.13部、硫酸第一鉄0.005部、ジ
メチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.02部を添加
し、さらに1時間重合反応を行なった。重合添加率は9
7.5%であった。得られた重合体を硫酸で凝固させ、
水酸化ナトリウムで中和し、この凝固物を良く水洗した
のち、乾燥させ、粉末状のゴム強化熱可塑性樹脂(C−
1)を得た。同様の方法により、表1〜2に示すよう
に、単量体成分の種類・配合処方、連鎖移動剤の使用
量、重合温度、重合時間などを変えて、ゴム強化熱可塑
性樹脂(C−2)〜(C−12)を得た。得られたゴム
強化熱可塑性樹脂(C−1)〜(C−12)のグラフト
率および極限粘度〔η〕を表1〜2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】参考例3(D)熱可塑性エラストマーの調製 (D)成分として、下記のものを調製した。 ブタジエンゴム(BR);ラボ試作品〔ムーニー粘度
(ML1+4 ,100℃);40〕 スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB1);J
SR株式会社製、商品名=TR2000(結合スチレン
量;40%) スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB2);J
SR株式会社製、商品名=TR2825(結合スチレン
量;23%) スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB3);J
SR株式会社製、商品名=TR2601(結合スチレン
量;30%) スチレン−ブタジエン共重合体(SB4);JSR株式
会社製、商品名=SL554(結合スチレン量;24
%) スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS);J
SR株式会社製、商品名=SIS5002(結合スチレ
ン量;26%)
【0053】1,2−ポリブタジエン(RB830);
JSR株式会社製、商品名=RB830(結晶化度;2
8%) 1,2−ポリブタジエン(RB835);JSR株式会
社製、商品名=RB835(結晶化度;32%)
【0054】実施例1〜8および比較例1〜8 (C)成分および(D)成分を、表3〜4に示す配合処
方で混練し、ペレット化して、本発明の熱可塑性エラス
トマー組成物を得た。組成物中に分散しているゴム粒子
の平均粒子径の調整は、使用する(A)成分の平均粒子
径で決定されることから、目的とする平均粒子径を有す
る(A)成分を用いた。また、組成物中の(C)成分と
(D)成分との境界部の平均厚さの調整は、(C)成分
のグラフト率、(B)成分の組成、(A)/(B)成分
の比率を変更することにより行った。得られた組成物を
用い、上記測定項目に従って、各種の評価を実施した。
結果を表3〜4に示す。また、実施例1で得られた熱可
塑性エラストマー組成物のTEM写真(倍率:1万)を
図1に、比較例8で得られた熱可塑性エラストマー組成
物のTEM写真(倍率:3千)を図2に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】表3より明らかなように、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物は、いずれも混練性、分散性など
の成形加工性、耐摩耗性、引裂き強度、引張り強度、成
形品表面外観に優れていた。また、図1より明らかなよ
うに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の(C)
成分は、均一分散していた。
【0058】一方、表4から明らかなように、比較例1
では、(C)成分中の(A)成分が20%未満であるた
め、混練性が劣り、耐摩耗性、引張り強度が低下した。
比較例2では、(C)成分中の(A)成分が80%を超
えるため、分散性、成形品表面外観が低下した。また分
散性が劣ることから、その他の物性も著しく低下した。
比較例3では、(C)成分中の(A)成分が20%未満
であり、かつ、(C)および(D)の境界部の平均厚さ
が0.20μmを超えるため、混練性、分散性などの成
形加工性、成形品表面外観が低下した。また分散性が劣
ることから、その他の物性も著しく低下した。
【0059】比較例4では、組成物中に分散しているゴ
ム粒子の平均粒子径が2.00μmを超え、かつ、
(C)成分のグラフト率が5%未満であるため、ずべて
の物性に関して著しく低下した。比較例6では、(C)
成分のグラフト率が300%を超えることから、成形加
工性、耐摩耗性、成形品表面外観が低下した。比較例7
では、(C)成分の極限粘度〔η〕が0.05dl/g
未満であるため、加工性、引裂き強度、成形品加工性が
低下した。比較例8では、(C)成分の極限粘度〔η〕
が3.00dl/gを超えるため、分散性、加工性、引
裂き強度、成形品加工性が低下した。また、図2より明
らかなように、比較例8の熱可塑性エラストマー組成物
中の(C)成分は、均一分散しておらず、ゴム粒子の平
均粒子径、および境界部の平均厚さを測定することがで
きなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明の、ゴム強化熱可塑性樹脂および
熱可塑性エラストマーを主成分とする熱可塑性エラスト
マー組成物は、耐摩耗性に優れ、かつ、成形加工性、引
裂き強度、引張り強度、成形品表面外観に優れているた
め、非架橋分野から架橋分野にわたる広い用途範囲に適
用でき、工業用品、家電、OA用品、履物底材(紳士、
婦人シューズ底、カジュアルシューズ底、スポーツシュ
ーズ底)、自動車用品、緩衝材料、住建土建、コンベア
ーベルト、包装材などに好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた熱可塑性エラストマー組成
物を、透過型電子顕微鏡で撮影した写真図である。
【図2】比較例8で得られた熱可塑性エラストマー組成
物を、透過型電子顕微鏡で撮影した写真図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC01X AC02X AC03X AC04X AC06X AC07X AC08X AC09X AC11W BB15X BC05X BN13W FD010 FD020 FD20X GC00 GQ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム質重合体20〜80重量%の
    存在下に、 (B)芳香族ビニル単量体、または芳香族ビニル単量体
    およびこれと共重合可能な他のビニル単量体からなる単
    量体成分80〜20重量%〔ただし、(A)+(B)=
    100重量%〕を重合して得られ、グラフト率が5〜3
    00%、かつ、未グラフト成分の極限粘度〔η〕(30
    ℃、メチルエチルケトン中で測定)が0.05〜3.0
    dl/gである(C)ゴム強化熱可塑性樹脂、ならびに (D)熱可塑性エラストマー、を主成分とする熱可塑性
    エラストマー組成物において、 (a)上記組成物中に分散しているゴム粒子の平均粒子
    径が0.06〜2.00μm、 (b)上記組成物中の(C)成分および(D)成分の境
    界部の平均厚さが0.01〜0.20μmであることを
    特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 (D)熱可塑性エラストマーが、スチレ
    ン系エラストマーおよび/または1,2−ポリブタジエ
    ンである請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
JP29561299A 1999-10-18 1999-10-18 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JP2001114973A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29561299A JP2001114973A (ja) 1999-10-18 1999-10-18 熱可塑性エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29561299A JP2001114973A (ja) 1999-10-18 1999-10-18 熱可塑性エラストマー組成物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009108993A Division JP5067812B2 (ja) 2009-04-28 2009-04-28 熱可塑性エラストマー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001114973A true JP2001114973A (ja) 2001-04-24

Family

ID=17822891

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29561299A Pending JP2001114973A (ja) 1999-10-18 1999-10-18 熱可塑性エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001114973A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007056140A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Toray Ind Inc 熱融着性に優れる熱可塑性樹脂組成物および成形品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007056140A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Toray Ind Inc 熱融着性に優れる熱可塑性樹脂組成物および成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6812283B2 (en) Method for agglomerating dispersed rubber
US4520165A (en) ABS-moulding compositions
US5310815A (en) Polymers derived from a conjugated diolefin, a vinyl-substituted aromatic compound, and olefinically unsaturated nitrile
KR20020077088A (ko) 고무 강화 열가소성 수지 및 고무 강화 열가소성 수지조성물
JPH08295710A (ja) ゴム強化ビニル芳香族共重合体の製造方法
US4885337A (en) Process for the preparation of thermoplastic moulding compositions
CA1232387A (en) Impact modifier and thermoplastic resin composition using the same
JP5693036B2 (ja) ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物
JP4105879B2 (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂及びゴム強化熱可塑性樹脂組成物
JP3939836B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂組成物
JP5067812B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2000290462A (ja) 難燃性樹脂組成物
JP5687438B2 (ja) ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物
JP2003327639A (ja) ゴム強化樹脂ならびにその樹脂組成物
JP2001114973A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2000309675A (ja) 耐摩耗性に優れた熱可塑性エラストマー組成物
WO2011132795A1 (ja) ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物
JP4141749B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品
JP5687437B2 (ja) 樹脂改質剤
JP3525546B2 (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物
GB1600676A (en) Mixtures of rubber with graft copolymers
US4652615A (en) Polymer composition
EP1031609A1 (en) Thermoplastic elastomer composition with excellent wear resistance
KR20200111466A (ko) 그라프트 공중합체의 제조방법
JP4286620B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060221

A977 Report on retrieval

Effective date: 20071221

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080312

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090311

A02 Decision of refusal

Effective date: 20090701

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02