JP2001113574A - 熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置

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JP2001113574A
JP2001113574A JP30041299A JP30041299A JP2001113574A JP 2001113574 A JP2001113574 A JP 2001113574A JP 30041299 A JP30041299 A JP 30041299A JP 30041299 A JP30041299 A JP 30041299A JP 2001113574 A JP2001113574 A JP 2001113574A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スクリュシリンダ内に二酸化炭素ガス、窒素ガ
ス等の不活性ガスを注入するにも拘わらず、シールの問
題が解決され、また不活性ガス供給装置の構造が簡単で
安価でる熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置を提供す
る。 【解決手段】 スクリュシリンダ(1)と、このスクリ
ュシリンダ(1)内に回転方向と軸方向とに駆動可能に
設けられているスクリュ(20)とから構成する。スク
リュシリンダ(1)の後端部寄りに、材料供給孔(7)
を、先端部に射出ノズル(5)を、そして超臨界ガス圧
以上の不活性ガスを注入するためのガス供給孔(2)を
材料供給孔(7)と射出ノズル(5)との間に設け、こ
のガス供給孔(2)をスクリュ(20)の第2ステージ
(S2)の低圧部(T)に対応した位置に設ける。注入
した不活性ガスは、スクリュシリンダ(1)内で超臨界
状態にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクリュシリンダ
と、このスクリュシリンダ内に回転方向と軸方向とに駆
動可能に設けられているスクリュとからなる、熱可塑性
樹脂発泡体成形用可塑化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】射出成形機のシリンダ内で熱可塑性樹脂
を溶融し、この溶融した熱可塑性樹脂に超臨界状態の二
酸化炭素ガス等の不活性ガスを熔解して、金型へ射出し
て熱可塑性樹脂発泡成形体を成形する方法あるいは装置
は、例えば特開平8−258096号、特開平10−2
30528号等により多数提案されている。上記特開平
8−258096号に開示されている微細発泡体の製造
装置は、概略的には加熱シリンダ、この加熱シリンダ内
に設けられているメインスクリュ、このメインスクリュ
の先端部に設けられているミキシングスクリュ、不活性
ガスをミキシングスクリュ部分に供給する不活性ガス供
給装置等から構成されている。したがって、メインスク
リュを回転駆動してペレット状の樹脂材料を加熱シリン
ダの先端部へ搬送すると、ペレット状の樹脂材料は溶融
され、そしてミキシングスクリュによりさらに均一に溶
融される。このとき、二酸化炭素ガスを供給すると、二
酸化炭素ガスは溶融樹脂材料中に浸透される。二酸化炭
素ガスが浸透された溶融樹脂材料を、メインスクリュを
軸方向に駆動して金型へ射出すると、微細発泡体が得ら
れる。また、特開平10−230528号に示されてい
る熱可塑性樹脂発泡成形体の製造装置は、加熱シリンダ
とスクリュとからなる連続可塑化装置と、プランジャー
からなる射出装置の、2つの別装置から構成されてい
る。したがって、この2つの装置によっても次のように
して熱可塑性樹脂発泡成形体を得ることができる。すな
わち、スクリュを回転駆動してペレット状の樹脂材料を
溶融し、二酸化炭素ガスを供給すると、二酸化炭素ガス
は溶融樹脂材料中に浸透される。二酸化炭素ガスが浸透
された溶融樹脂材料を、スクリュを軸方向に駆動してプ
ランジャーからなる射出装置金型供給し、そしてプラン
ジャーを駆動すると、同様にして熱可塑性樹脂発泡成形
体が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のいずれの従来の
製造装置によっても、微細発泡体あるいは熱可塑性樹脂
発泡成形体を得ることはできる。しかしながら、改良す
べき問題点も認められる。例えば、熱可塑性樹脂に超臨
界状態の二酸化炭素ガスの不活性ガスを熔解させるため
には、二酸化炭素ガスの超臨界温度は、31°Cである
ので、超臨界ガス発生装置が高価で、熱可塑性樹脂発泡
体成形用装置が高くなる恐れがある。また、二酸化炭素
ガスの臨界圧力は、7.4MPaであるが、この圧力よ
りもさらに高い超臨界状態の二酸化炭素ガスを加熱シリ
ンダ内の溶融状態の樹脂材料に注入するときの、シール
の問題がある。すなわち、加熱シリンダに供給される樹
脂材料はペレット状の固体であるので、ペレット状の樹
脂材料でシールすることは不可能で、注入される二酸化
炭素ガスが材料供給孔の方へ漏れる恐れがある。特に、
前述した製造装置は、二酸化炭素ガスは加熱シリンダ内
へ注入されるようになっているが、加熱シリンダ内の溶
融樹脂圧力は10〜30MPaのように高いので、注入
する二酸化炭素ガスの圧力は、これよりもさらに高く、
シールの問題は避けられないものであるが、上記のいず
れの製造装置もこのシールの問題を解決しているとは認
められない。また、上記特開平8−258096号に開
示されている微細発泡体の製造装置のスクリュは、メイ
ンスクリュと、このメインスクリュの先端部に設けられ
ているミキシングスクリュの、2つのスクリュから構成
され、また特開平10−230528号に示されている
熱可塑性樹脂発泡成形体の製造装置は、連続可塑化装置
と、プランジャーからなる射出装置の、2つの別装置か
ら構成されているので、構造が複雑で、製造装置が比較
的高価なものとなっている。本発明は、上記したような
従来の問題点を解決した熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑
化装置を提供することを目的とし、具体的には構造が簡
単で安価であるにも拘わらず、スクリュシリンダ内へ二
酸化炭素ガス、窒素ガス等の不活性ガスを注入するとき
のシールの問題が解決された熱可塑性樹脂発泡体成形用
可塑化装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、不活性ガスの超臨界状態は、特に温度に
関してはスクリュシリンダ内で発生するように構成され
る。また、固体状のペレットではなく溶融状態の樹脂材
料でシールするように構成されると共に、二酸化炭素ガ
ス、窒素ガス等の不活性ガスはスクリュシリンダの低圧
部に注入するように構成される。すなわち、本発明は、
上記目的を達成するために、スクリュシリンダと、この
スクリュシリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に
設けられているスクリュとからなり、前記スクリュを回
転駆動すると、樹脂材料が可塑化され、軸方向に駆動す
ると、可塑化された溶融樹脂材料が金型へ射出されるよ
うになっている熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置で
あって、前記スクリュシリンダには、その一方の後端部
寄りに材料供給孔が、他方の先端部には射出ノズルが、
そして前記材料供給孔と射出ノズルとの間に超臨界ガス
圧以上の不活性ガスを注入するためのガス供給孔が設け
られ、前記スクリュは、前記スクリュシリンダに対応し
て、後端部から先端部にかけてその先方部が第1メタリ
ングとなっている第1ステージと、同様にその先方部が
第2メタリングとなり、そしてその後方部寄りがスクリ
ュ溝の容積が大きくなった低圧部となっている第2ステ
ージと、先端部のスクリュヘッド部とに選定され、前記
スクリュシリンダのガス供給孔は、前記スクリュの第2
ステージの低圧部に対応した位置に設けられるように構
成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の
スクリュは、その第2ステージが多条フライトになり、
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のス
クリュは、その第2ステージの先方部にミキシングピー
スが設けられ、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3
のいずれかの項に記載のスクリュは、そのスクリュヘッ
ド部にボールチエック式の逆流防止装置が設けられ、請
求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの項に
記載のスクリュシリンダは、その材料供給孔近傍の内周
壁には、軸方向に複数本の溝が設けられ、そして請求項
6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載
のスクリュシリンダのガス供給孔には、耐熱性の通気性
体が設けられるように構成される。
【0005】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、一部を断面にして全体を模式的に示す正面図で
あるが、この図1に示されているように、本実施の形態
に係わる熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置は、概略
的にはスクリュシリンダ1と、このスクリュシリンダ1
の内部に回転駆動されると共に、軸方向すなわち射出方
向にも駆動可能に設けられているスクリュ20とから構
成されている。
【0006】スクリュシリンダ1は軸方向に所定長さを
有し、その略中間位置においてスクリュシリンダ1の外
部から内部に達する圧力および温度において二酸化炭素
ガス、窒素ガス等の不活性ガスを供給するための、ガス
供給孔2が開けられている。そして、このガス供給孔2
にガス管3が気密的に接続されている。このガス管3か
らは、詳しくは後述するように、二酸化炭素ガス、窒素
ガス等の不活性ガスが数MPa〜20MPa程度の圧力
で溶融状態の樹脂材料に注入されるが、そのための圧縮
機、圧力制御弁等は、図1には示されていない。
【0007】また、スクリュシリンダ1の、図1におい
て左方の先端部寄りは計量室4となり、その先端部に射
出ノズル5が設けられている。この射出ノズル5にはシ
ャットオフ弁6が設けられている。スクリュシリンダ1
の、後端部寄りに材料供給孔7が開けられている。そし
て、後端部にスクリュ駆動装置8が設けられている。ス
クリュ駆動装置8は、従来周知のように構成できるの
で、詳しい説明はしないが、例えば回転モータとピスト
ンユニットとを備え、回転モータの出力軸とスクリュ2
0の後端部のスクリュ軸は、スプライン軸、滑りキー等
の機械的手段により接続されている。したがって、スク
リュ20は回転駆動されるときも軸方向に移動可能であ
る。また、ピストンユニットのピストンにより、計量時
にスクリュ20を引くこと、いわゆるサックバックする
ことも、計量された溶融樹脂材料を射出することもでき
るようになっている。このようなスクリュシリンダ20
および射出ノズル5の外周部には個々に温度が制御され
る複数個の加熱ヒータ9、9、…が設けられている。ま
た、スクリュシリンダ1の材料供給孔7には、ホッパ1
0の供給筒部11が装着されている。
【0008】スクリュ20は、可塑化時および射出時に
は軸方向に移動するが、図1に示されているように、ス
クリュシリンダ1に対応して、後端部から先端部に向か
って、第1ステージS1、第2ステージS2およびスク
リュヘッド部S3と見かけ上分けられている。そして、
第1ステージS1の先方部は第1メタリング部M1とな
り、その後方部は供給部Kとなっている。第1メタリン
グ部M1にはミキシングピース21等が設けられ、供給
部Kのスクリュフライト22は比較的深くなっている。
勿論、第1メタリング部M1は、ミキシングピース無し
のフルフライトスクリュ構造でも良い。第2ステージS
2の先方部も、第2メタリング部M2となり、その後方
部は低圧部Tとなっている。低圧部Tのスクリュフライ
ト22の溝は、比較的深くなっている。これにより、容
易に二酸化炭素ガス、窒素ガス等の不活性ガスを注入す
ることができることになる。なお、スクリュフライト2
2の幅を狭くして、スクリュ溝の容積を大きくしても低
圧部Tを構成することができる。
【0009】上記した可塑化装置により、発泡成形体を
成形するため、樹脂材料を可塑化して、不活性ガスを注
入することも、また不活性ガスが浸透した溶融状態の樹
脂材料を金型へ射出することもできるが、本実施の形態
では、スクリュシリンダ1の材料供給孔7の近傍、第2
ステージS2のスクリュ20、スクリュ20の第2メタ
リング部M2の先端部、スクリュヘッド部S3およびガ
ス供給孔2あるいはガス管3には、次に述べるように構
成されている。
【0010】すなわち、スクリュシリンダ1の材料供給
孔7の近傍の内周壁には、図2の(イ)、(ロ)に示さ
れているように、軸方向に所定長さの複数本の溝12、
12、…が形成されている。これらの溝12、12、…
の長さは、スクリュ20が可塑化時に移動する距離をカ
バーするように、材料供給孔7を中心として先端部の方
が長くなっている。これらの溝12、12、…により樹
脂材料の、スクリュへ20の噛み込みが向上し、可塑化
能力が向上する。第1ステージS2にけるスクリュ20
は、そのスクリュフライト22は、2重フライトになっ
ている。図2の(ハ)は、1重フライトの断面図で、図
2の(ニ)は、2重フライトの断面図であるが、2重フ
ライトのフライト溝23、23の断面積は、1重フライ
トのフライト溝25の断面積よりも小さく細分化されて
いる。これにより、注入される不活性ガスの浸透および
分散化が促進される。なお、3重等の多重フライトでも
実施できることは明らかである。勿論、1重フライトす
なわちフルフライトスクリュでも不活性ガスの浸透は充
分促進されることもある。
【0011】本実施の形態によると、スクリュ20の第
2ステージS2の第2メタリングM2の先方部にミキシ
ングピースが形成されている。ミキシングピースは色々
な形で実施できるが、図3にその実施の形態が示されて
いる。ミキシングピース自体は、従来周知であるので、
詳しい説形はしないが、図3の(イ)にダルメージ式ミ
キシングピース26が示されている。同様に(ロ)にマ
トック式27、(ハ)にピン式28、そして(ニ)にダ
ブルフライト式ミキシングピース29がそれぞれ示され
ている。これらのミキシングピース26〜29を設ける
ことで、注入された不活性ガスを均一に分散化させるこ
とができ、したがって発泡成形体の内部発泡層の微細化
と均一化が図れる。勿論、ミキシングピースが無くても
均一に分散されることもある。
【0012】スクリュヘッド部S3に設けられる逆流防
止装置の実施の形態が図4に示されている。図4の
(イ)に示されている第1の実施の形態による逆流防止
装置30は、ボール31から構成されている。さらに詳
しく説明すると、第1の実施の形態に係わる逆流防止装
置30は、スクリュ20の先端部にネジ32により取り
付けられている押金33と、この押金33の先端部の内
側に、ボール31を装着した後、同様にネジ34で取り
付けられているスクリュヘッド35と、押金33とスク
リュヘッド36とにわたり形成されているボール室内を
軸方向に移動自在に設けられているボール31とから構
成されている。押金33には、複数本の放射状の第1の
樹脂通路36、36、…が樹脂の流れ抵抗が少なくなる
ように勾配を付けて外周部近傍から中心部に向けて形成
され、その先方の合流した中心部に略平行な第1のボー
ル室37’が軸方向に形成されている。そして、この第
1のボール室37’と第1の樹脂通路36、36、…が
合流する点が逆流防止時にボール31が着座するシート
面37となっている。スクリュヘッド35は、先端部は
テーパ状に縮径されたヘッド部となり、後方端部にネジ
34が形成されている。そして、スクリュヘッド35の
中心部には、後方端部より所定深さの第2のボール室3
7”が軸方向に形成されている。この第2のボール室3
7”と、前述した第1のボール室37’の径は同じで、
図4の(イ)に示されているように組み立てられると、
これらの第1、2のボール室37’、37”は協働して
軸方向に所定長さで、所定径のボール室を構成する。ス
クリュヘッド35の第2のボール室37”からは、複数
個の第2の樹脂通路38、38、…がテーパ状に外周部
に向けて開けられ、これらの複数個の第2の樹脂通路3
8、38、…の分岐始点が可塑化時にボール31が受け
止められる当接部39となっている。したがって、可塑
可時にはボール31は、可塑可される溶融樹脂材料によ
り当接部39の方へ押し流され、そして当接部39に受
け止められる。溶融樹脂材料は、第1の樹脂通路36、
36、…、ボール室、ボール31と第2の樹脂通路3
8、38、…との間の隙間および第2の樹脂通路38、
38、…を通って計量室4に送られる。射出時には、逆
流しようとする溶融樹脂材料によりボール31は、シー
ト面37の方へ押され、そしてシート面35に着座す
る。これにより、溶融樹脂材料の逆流が防止される。な
お、図には示されていないが、スクリュヘッド35にパ
イロット孔を設け、射出時には計量化された溶融樹脂材
料がこのパイロット孔を通り、ボール31に直接的に作
用し、瞬時にボール31がシート面37に着座するよう
に実施することもできる。本実施の形態によると、スク
リュ20の先端部には逆流防止装置30が設けられてい
るので、計量終了後に超臨界ガスを含んだ溶融樹脂が第
2メタリングM2の方へ逆流することが防止される。こ
れにより、計量室4内が超臨界ガス圧以上に保持され、
計量室4内で発泡することが抑えられる。
【0013】第2の実施の形態に係わる逆流防止装置4
0は、図4の(ロ)に示されている。本実施の形態に係
わる逆流防止装置40は、スクリュ20の先端部にスク
リュヘッド41を取り付けることにより間接的に取り付
けられているリング状の押金47と、スクリュ20の先
端部にネジ43により取り付けられているスクリュヘッ
ド41と、スクリュヘッド41の小径部42に軸方向に
移動自在に設けらている逆流防止リング44とから構成
されている。スクリュヘッド41は、その先端部がテー
パ状に縮径されているヘッド部と、ヘッド部の後方の小
径部42と、さらにその後方のネジ43とから構成され
ている。逆流防止リング44は、その外周面はスクリュ
シリンダ1の内周面に密接しているが、その内周面とス
クリュヘッド41の小径部42の外周面との間には樹脂
の流れを許容するだけの隙間があり、その前後両端部は
テーパ部45、46となっている。そして、その後方の
テーパ部45が逆流防止時に押金47のシート面48に
着座するようになっている。なお、可塑化時には逆流防
止リング44は先方へ移動し、その前方のテーパ部46
が、スクリュヘッド41に形成されている放射状の突起
41’、41’、…に当接し、溶融樹脂材料の流れは許
容される。本実施の形態によっても、計量室4内が超臨
界ガス圧以上にに保持され、計量室4内で発泡すること
が抑えられることは明らかである。
【0014】図1に示されているガス供給孔2あるいは
ガス管3には、耐熱性のフイルタ例えば焼結金属からな
る多孔質の通気性金属15、例えば「ポーセラックス」
(登録商標)が設けられている。この通気性金属15を
設けることにより、不活性ガスの供給を停止したときの
溶融樹脂材料の外部への漏洩を防止することができる。
なお、ガス供給孔2は、従来の金型に設けられているガ
ス抜孔のような小さい孔に代え、この小さな孔から供給
することもできる。そうすると、溶融樹脂材料の逆流に
よる漏れは防止できるが、不活性ガス注入時間が長くな
る。これに対し、本実施の形態によると、通気性金属1
5が設けられているので、溶融樹脂材料の逆流による漏
れを防止できると共に、ガス通過面積を広くして不活性
ガスの注入時間を短縮できる。
【0015】次に、上記熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑
化装置を使用した成形例について説明する。なお、本可
塑化装置は、制御装置により自動成形も、また手動的に
も成形できるが、以下半自動的に成形する例について説
明する。ホッパ10に熱可塑性樹脂材料Jを入れる。コ
ントローラに付属している設定器により、射出成形に必
要な各種の値例えば加熱ヒータ9、9、…の温度、スク
リュ20の計量完了位置、スクリュ20の回転速度等を
設定する。またシャットオフ弁6を閉じる。そうして、
スクリュ駆動装置8によりスクリュ20を回転駆動して
計量工程を開始する。樹脂材料Jはスクリュ20の第ス
テージS1に供給されるが、このとき材料供給孔7の近
傍のスクリュシリンダ1の内周壁には複数個の溝12、
12、…が形成されているので、樹脂材料Jは効率的に
供給される。スクリュ20の回転により送られる樹脂材
料Jは、加熱ヒータ9、9、…から加えられる熱と、ス
クリュ20の回転による摩擦作用、剪断作用等により生
じる熱とにより、第1メタリング部M1で完全に溶融さ
れ、そして次の第2ステージS2へと送られる。
【0016】第2ステージS2の低圧部Tに、二酸化炭
素ガス、窒素ガス等の不活性ガスを注入する。低圧部T
のフライト22の溝は深くなって、溶融樹脂の圧力は低
くなっているので、超臨界ガス圧以上の、数MPa〜2
0MPa程度の比較的低い圧力で注入する。注入した不
活性ガスは、スクリュシリンダ1内の温度が、100〜
200°C程度の高温になっているので超臨界ガスとな
り、溶融樹脂に浸透する。なお、注入する不活性ガスは
廃熱等を利用して予熱し、溶融樹脂の温度低下を抑える
ことができる。このとき、第1メタリング部M1で完全
に溶融されている溶融樹脂のシール作用により、注入さ
れる不活性ガスが材料供給孔7の方へ逆流するようなこ
とはない。注入された不活性ガスは、第2ステージS2
のフライト22は2重フライトになっているので、溶融
樹脂中に容易に、しかも早く浸透する。そうして、第2
ステージS2の第2メタリング部M2へと送られる。第
2メタリング部M2には、本実施の形態ではミキシング
ピース26〜29が設けられているので、注入された不
活性ガスの分散は一層促進され、そして計量室4へと送
られる。なお、このとき逆流防止装置30、40のボー
ル31および逆流防止リング44は先端の方へ移動し、
溶融樹脂の流れは許容される。計量が進むに従い、計量
された樹脂圧力あるいはサックバック力の補助によりス
クリュ20は後方へ後退する。所定量後退したら、これ
を検知して計量を終わる。
【0017】次いで、シャットオフ弁6を開いて、スク
リュ20を軸方向に駆動して金型へ射出する。このと
き、逆流防止装置30、40のボール31および逆流防
止リング44は、シート面35、48に着座し、溶融樹
脂材料の逆流が防止される。冷却固化を待って金型を開
くと、成形体内の平均セル径が0.01〜50μm、平
均セル密度が10〜1016個/cmの熱可塑性樹
脂発泡成形体が得られる。以下同様にして成形する。
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、熱可塑
性樹脂発泡体成形用可塑化装置は、スクリュシリンダ
と、このスクリュシリンダ内に回転方向と軸方向とに駆
動可能に設けられているスクリュとから構成されている
ので、構造が極めて簡単で安価である。そして、本発明
によると、ガス供給孔は、第1メタリングの先方すなわ
ち下流側に設けられているので、超臨界ガス圧以上の不
活性ガスを注入しても、第1メタリングにおいて完全に
溶融されている樹脂材料のシール作用により、注入され
る不活性ガスが材料供給孔の方へ逆流しない、また不活
性ガスはスクリュシリンダ内で超臨界ガス温度になるの
で、不活性ガス供給装置が安価になる、という本発明に
特有の効果が得られる。しかも、ガス供給孔はスクリュ
の低圧部に開口しているので、不活性ガスの注入圧力を
低くしても、注入できる。したがって、溶融樹脂材料の
シール作用と相まって、シールはさらに完全なものとな
る効果が得られる。請求項2に記載の発明によると、ス
クリュはその第2ステージが多条フライトになり、請求
項3に記載の発明によると、スクリュはその第2ステー
ジの先方部にミキシングピースが設けられているので、
不活性ガスの浸透が短時間で、しかも均一に分散され
る。したがって、本発明の熱可塑性樹脂発泡体成形用可
塑化装置により得られる熱可塑性樹脂発泡成形体の発泡
粒子は細く、外観が奇観で、しかも発泡が微細で均一に
分散しているので、強度に優れた熱可塑性樹脂発泡成形
体を短時間に得ることができる。請求項4に記載の発明
によると、スクリュはそのスクリュヘッド部にボールチ
エック式の逆流防止装置が設けられているので、ボール
は慣性が小さく、応答が敏感であるので、計量された樹
脂材料を漏れなく射出でき、重量品質に優れた熱可塑性
樹脂発泡成形体が得られる。請求項5に記載の発明によ
ると、スクリュシリンダはその材料供給孔近傍の内周壁
には、軸方向に複数本の溝が設けられているので、スク
リュシリンダの内周面と樹脂材料との間の摩擦力が大き
くないり、可塑化能力が大きくなる効果が得られる。そ
して、請求項6に記載の発明によると、スクリュシリン
ダのガス供給孔には、耐熱性の通気性体が設けられるの
で、不活性ガスの供給を停止したとき、溶融樹脂材料が
ガス供給孔から外部へ漏れることがなく、しかも小さな
1個の孔に比較して通気面積を広くすることができるの
で、短時間に不活性ガスを注入できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を一部断面にして模式的に
示す正面図である。
【図2】本発明の細部の実施の形態を示す図で、その
(イ)はスクリュシリンダの材料供給孔近傍の断面図、
その(ロ)は(イ)において(ロ)ー(ロ)で見た断面
図、その(ハ)はスクリュの第2ステージ部分の1重フ
ライトの、そして(ニ)はスクリュの第2ステージ部分
の2重フライトの要部をそれぞれ示す断面図である。
【図3】本発明に係わるミキシングピースの実施の形態
を示す図で、その(イ)〜(ニ)はそれぞれ異なるミキ
シングピースの斜視図である。
【図4】本発明に係わる逆流防止装置の実施の形態を示
す図で、その(イ)は第1の、そしてその(ロ)は第2
の実施の形態を示それぞれ示す断面図である。
【符号の説明】
1 スクリュシリンダ 2
ガス供給孔 7 材料供給孔 15
通気性金属 20 スクリュ 26〜29
ミキシングピース 30、40 逆流防止装置 S1 第1ステージ S2
第2ステージ M1 第1メタリング部 M2
第2メタリング部 T 低圧部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大藪 英雄 広島県広島市安芸区船越南一丁目6番1号 株式会社日本製鋼所内 Fターム(参考) 4F206 AB02 AG20 JA04 JD03 JF04 JF12 JF23 JL02 JQ06 JQ13 JQ16 JQ22 JQ26 JQ41 JQ45 JQ53 JQ90

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクリュシリンダと、このスクリュシリ
    ンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられてい
    るスクリュとからなり、前記スクリュを回転駆動する
    と、樹脂材料が可塑化され、軸方向に駆動すると、可塑
    化された溶融樹脂材料が金型へ射出されるようになって
    いる熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置であって、 前記スクリュシリンダには、その一方の後端部寄りに材
    料供給孔が、他方の先端部には射出ノズルが、そして前
    記材料供給孔と射出ノズルとの間に二酸化炭素ガス、窒
    素ガス等の超臨界ガス圧以上の不活性ガスを注入するた
    めのガス供給孔が設けられ、 前記スクリュは、前記スクリュシリンダに対応して、後
    端部から先端部にかけてその先方部が第1メタリングと
    なっている第1ステージと、同様にその先方部が第2メ
    タリングとなり、そしてその後方部寄りがスクリュ溝の
    容積が大きくなった低圧部となっている第2ステージ
    と、先端部のスクリュヘッド部とに選定され、 前記スクリュシリンダのガス供給孔は、前記スクリュの
    第2ステージの低圧部に対応した位置に設けられている
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装
    置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のスクリュは、その第2ス
    テージが多条フライトになっている熱可塑性樹脂発泡体
    成形用可塑化装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のスクリュは、そ
    の第2ステージの先方部にミキシングピースが設けられ
    ている熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかの項に記載のスク
    リュは、そのスクリュヘッド部にボールチエック式の逆
    流防止装置が設けられている熱可塑性樹脂発泡体成形用
    可塑化装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかの項に記載のスク
    リュシリンダは、その材料供給孔近傍の内周壁には、軸
    方向に複数本の溝が設けられている熱可塑性樹脂発泡体
    成形用可塑化装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかの項に記載のスク
    リュシリンダのガス供給孔には、耐熱性の通気性体が設
    けられている熱可塑性樹脂発泡体成形用可塑化装置。
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