JP2001107143A - 深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2001107143A JP28760599A JP28760599A JP2001107143A JP 2001107143 A JP2001107143 A JP 2001107143A JP 28760599 A JP28760599 A JP 28760599A JP 28760599 A JP28760599 A JP 28760599A JP 2001107143 A JP2001107143 A JP 2001107143A
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古君  修
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 深絞り性およびめっき特性に優れ、しかも引
張り強さが 400 MPa程度以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼
板を提供する。 【解決手段】 溶融亜鉛めっき鋼板の製造に際し、素材
成分として、特にNbを Nb:0.001 〜0.2 wt%、 でかつ、 0.3 ×(C/12)≦Nb/93≦3.0 ×(C/12) の範囲で含有させると共に、熱間圧延後、スケールが付
着したまま 600〜900 ℃の温度域にて10分以上の焼鈍を
施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体用鋼
板等のように、曲げ加工やプレス成形加工、絞り加工な
どが施される用途に用いて好適な高強度溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題による自動車の排気ガス
規制などから、燃費向上のために車体の軽量化に対する
要請が高まっている。また、自動車の安全性向上も重要
な課題となっている。そこで、かような問題の対応策の
一つとして、引張り強さが 400 MPa程度以上で、しかも
優れたプレス成形性を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板
が要求されている。
【0003】しかしながら、一般に冷延鋼板は、高強度
化に伴って深絞り性すなわちランクフォード値(r値)
やTS−Elバランスが劣化し、まためっき特性などの表面
特性も劣化する傾向にある。従って、自動車用鋼板とし
て供するためには、高強度化と共に、深絞り性およびめ
っき特性を向上させることが重要になる。
【0004】これまで、高強度化に伴う深絞り性の改善
のために、各種の方法が提案されている。例えば、特開
昭63−100158号公報には、Cを低減した極低炭素鋼をベ
ースとして、加工性、時効性を改善するために炭窒化物
形成成分であるTi, Nbなどを添加し、さらに加工性を害
さないSi, Mn, Pで主に高強度化を図ることによって、
成形性を向上させた高強度冷延鋼板が提案されている。
しかしながら、Siは、r値やElなどを劣化させることな
く高強度化を図る上では有利な成分ではあるが、一方で
多量のSiを含有させると表面特性の劣化が避け難く、め
っき特性が著しく劣化するという問題があった。
【0005】また、特開平5−339641号公報には、極低
炭素鋼にNbを添加し、さらに高強度化を図るためにSi,
Mn, Pを適量添加した鋼を、フェライト域にて潤滑熱延
を行うことによってr値を向上させた、高強度冷延鋼板
および溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されてい
る。この技術によれば、引張り強さが 400 MPa程度以上
で、しかも高いr値を有する深絞り用高強度鋼板の製造
が可能とはなるものの、熱間圧延時に潤滑圧延を施さな
ければならないため、圧延時のスリップや噛み込み不良
等の問題が発生する。また、上述したSi添加に伴うめっ
き特性の劣化に関しては、なんら言及されておらず、め
っき特性に関する記述さえもない。
【0006】このため、合金化溶融亜鉛めっき用の鋼板
を高強度化する場合には、特開平5−255807号公報に開
示されているように、Siを0.03wt%以下に制限し、強化
成分として主にP, Mnを用いる方法が一般的であった。
しかしながら、多量のPの添加は、溶融亜鉛めっき鋼板
の合金化を遅延させるだけでなく、特に極低炭素鋼にお
いては、耐2次加工脆性が劣化するという問題があっ
た。また、Mnも、めっき特性への影響は少ないとはい
え、Siが 0.1wt%以下に制限された状態では、Mn量が1
wt%以上になるとめっき特性が劣化し始め、多量に含有
させると変態点が低下して熱延板が硬化したり、焼鈍時
に再結晶しない等の材質劣化につながる不都合が発生す
るという問題があった。このように、PやMnだけで、深
絞り性とめっき特性の両者を維持しつつ高強度化を図る
には限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を有利に解決するもので、引張り強さが 400 MPa程度以
上で、優れた深絞り性を有し、まためっき特性にも優れ
た、高強度溶融亜鉛めっき鋼板の有利な製造方法を提案
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、強化成分と
してSi, Mn, Pを活用すると共に、炭化物形成元素とし
てNbを添加した鋼を用い、かような鋼種において、深絞
り性とめっき特性とを両立させるためには、熱延板焼鈍
を黒皮スケールを付着させたままで行うことが極めて有
効であることの知見を得た。本発明は、上記の知見に立
脚するものである。
【0009】すなわち、本発明の要旨構成は次のとおり
である。 1.C:0.0005〜0.008 wt%、Si:0.1 〜1.5 wt%、M
n:0.5 〜3.0 wt%、P:0.02〜0.2 wt%、S:0.02wt
%以下、Al:0.005 〜0.20wt%、N:0.01wt%以下、
B:0.0005〜0.008 wt% Nb:0.001 〜0.2 wt%、でかつ、 0.3 ×(C/12)≦Nb/93≦3.0 ×(C/12) を満足する範囲で含有し、残部は実質的にFeおよび不可
避的不純物の組成になる鋼スラブを、 950〜1300℃で加
熱−均熱後、 650〜1000℃で熱間圧延を終了したのち、
400〜850 ℃で巻取り、ついで黒皮スケールが付着した
まま 600〜900 ℃の温度域にて10分以上の焼鈍を施した
のち、酸洗し、50〜95%の圧下率で冷間圧延したのち、
連続溶融亜鉛めっき設備にて 700〜950 ℃で再結晶焼鈍
後、溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする、深絞
り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0010】2.上記1において、鋼スラブが、さらに Sb:0.001 〜0.03wt% を含有する組成になることを特徴とする、深絞り性に優
れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0011】3.上記1または2において、鋼スラブ
が、さらに Ti:0.002 〜0.05wt% を Ti/48≦1.5 ×(N/14+S/32) を満足する範囲において含有する組成になることを特徴
とする、深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法。
【0012】4.上記1,2または3において、鋼スラ
ブが、さらに Mo:0.02〜2.0 wt% Cu:0.02〜2.0 wt% Ni:0.02〜2.0 wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
なることを特徴とする、深絞り性に優れた高強度溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の基礎となった研究
結果についてを述べる。C:0.002 wt%, Si:0.7 wt
%, Mn:1.5 wt%, P:0.05wt%, S:0.005 wt%, A
l:0.03wt%, N:0.002 wt%, B:0.002 wt%およびN
b:0.015 wt%を含有し、残部は実質的にFeの組成にな
る鋼A、およびC:0.002 wt%, Si:0.7 wt%、Mn:1.
5 wt%, P:0.05wt%, S:0.005 wt%, Al:0.03wt
%, N:0.002wt%, B:0.002 wt%およびTi:0.035 w
t%を含有し、残部は実質的にFeの組成になる鋼Bのシ
ートバーを、1250℃に加熱−均熱後、仕上温度が 900℃
となるように3パス圧延を行って板厚:3.5 mmの熱延板
とした。ついで、この黒皮スケールが付着したままの熱
延板を、 600〜1000℃の温度域でl時間焼鈍したのち、
酸洗した。その後、80%の圧下率で冷間圧延したのち、
850 ℃, 40sの再結晶焼鈍を施し、ついで 450〜500 ℃
の温度域まで急冷してから、Alを0.13wt%含有する溶融
亜鉛めっき浴に浸漬してめっきを施し、ついで 450〜55
0 ℃の温度で合金化処理(めっき層中のFe含有率:約10
wt%)を施した。
【0014】図1に、r値に及ぼす鋼組成と熱延板焼鈍
温度の影響について調べた結果を、鋼A,Bで比較して
示す。なお、r値は、rL (圧延方向)、rD (圧延方
向に対し45°)、rC (圧延方向に対し90°)の3方向
の平均値 r値=(rL +2rD +rC )/4 として求めた。図1から明らかなように、Nb添加鋼の鋼
Aでは、熱延板焼鈍温度を 600〜900℃とすることによ
って、高いr値が得られることが分かる。また、めっき
特性に関しては、Si含有量が 0.7wt%と高いにもかかわ
らず、熱延板焼鈍温度が高いほど不めっき率は低減し、
600℃以上の高温焼鈍では、実用上問題のないめっき特
性が得られた。
【0015】ここに、r値に及ぼす鋼組成および熱延板
焼鈍の影響については、次のように考えられる。すなわ
ち、本発明鋼のようにPを含有する場合、Ti添加鋼で
は、600 ℃以上の熱延板焼鈍時にTiとPの化合物が形成
され、その後の冷延−焼鈍過程において{111}再結
晶集合組織の形成が阻害されるため、r値は低下する。
この点、Nb添加鋼では、Ti添加鋼に比べてP化合物が形
成されにくく、しかも 600℃以上の高温焼鈍によってNb
Cが粗大化するため、冷延−焼鈍後に{111}再結晶
集合組織が強く発達してr値が向上する。なお、焼鈍温
度が 900℃を超えると、熱延板結晶粒が異常粒成長する
ため、r値が急激に低下する。
【0016】また、黒皮スケールが付着したままの状態
で熱延板焼鈍を施すことによってめっき性が改善される
理由は、必ずしも明確に解明されたわけではないが、黒
皮スケールままでの熱延板焼鈍により熱延板の表層部に
酸化物が形成され、この酸化物によってSiの表面濃化が
抑制されるためではないかと考えられる。
【0017】次に、本発明において、鋼素材の成分組成
範囲を前記の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.0005〜0.008 wt% Cは、少ないほど深絞り性が向上するので有利である
が、0.008 wt%以下ではさほど悪影響を及ぼさない。一
方、0.0005wt%よりも少なくしても深絞り性のそれ以上
の向上は見られず、製鋼コストの上昇を招くだけなの
で、C量は0.0005〜0.008 wt%の範囲に限定した。
【0018】Si:0.1 〜1.5 wt% Siは、深絞り性をあまり劣化させずに高強度化する作用
があり、所望の強度に応じて必重量添加される。しかし
ながら、含有量が 0.1wt%未満ではその添加効果に乏し
く、一方 1.5wt%を超えると、深絞り性が劣化するだけ
でなく、めっき特性も劣化するので、Si量は 0.1〜1.5
wt%の範囲に限定した。
【0019】Mn:0.5 〜3.0 wt% Mnは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量添加されるが、含有量が 0.5wt%未満では強度改善
効果に乏しく、一方 3.0wt%を超えると深絞り性の劣化
を招くので、Mn量は 0.5〜3.0 wt%の範囲に限定した。
【0020】P:0.02〜0.2 wt% Pは、深絞り性をあまり劣化させずに高強度化する作用
があり、所望の強度に応じて必要量添加される。しかし
ながら、含有量が0.02wt%未満ではその添加効果に乏し
く、一方 0.2wt%を超えると深絞り性の劣化を招くの
で、P量は0.02〜0.2 wt%の範囲に限定した。
【0021】S:0.02wt%以下 Sは、少ないほど深絞り性が向上するので極力低減する
ことが望ましいが、含有量が0.02wt%以下ではさほど悪
影響を及ぼさないので、S量は0.02wt%以下に限定し
た。
【0022】Al:0.005 〜0.20wt% Alは、脱酸により、炭窒化物形成元素の歩留りを向上さ
せる有用元素であるが、含有量が 0.005wt%に満たない
とその添加効果に乏しく、一方0.20wt%を超えて添加し
てもより一層の脱酸効果は得られないので、Al量は 0.0
05〜0.20wt%の範囲に限定した。
【0023】N:0.01wt%以下 Nは、少ないほど深絞り性が向上するので極力低減する
ことが望ましいが、含有量が0.01wt%以下ではさほど悪
影響を及ぼさないので、N量は0.01wt%以下に限定し
た。
【0024】B:0.0005〜0.008 wt% Bは、粒界に偏析することによって、耐2次加工脆性を
改善する効果がある。しかしながら、含有量が0.0005wt
%未満ではその添加効果に乏しく、一方 0.008wt%を超
えるとその効果は飽和に達し、むしろ深絞り性の劣化に
つながるので、B量は0.0005〜0.008 wt%の範囲に限定
した。
【0025】Nb:0.001 〜0.2 wt%かつ 0.3×(C/1
2)≦Nb/93≦3.0 ×(C/12) Nbは、本発明において重要な元素であり、鋼中の固溶C
をNbCとして析出固定して低減し、再結晶焼鈍時に{1
11}再結晶集合組織を発達させて深絞り性を向上させ
る効果がある。しかしながら、含有量が 0.001wt%に満
たないとその添加効果に乏しく、一方 0.2wt%を超える
と逆に深絞り性を劣化させる。また、Nb量が 0.3×(C
/12)より少ないと、鋼中に多量の固溶Cが残留するた
め再結晶焼鈍時に{111}再結晶集合組織が発達せず
r値が劣化する。一方、Nb量が 3.0×(C/12)より多
いと、固溶Nbが多量に残留し、熱延板焼鈍時にNbがPと
の化合物を形成してr値を劣化させる。従って、Nb量は
0.001〜0.2 wt%でかつ、0.3 ×(C/12)≦Nb/93≦
3.0 ×(C/12)を満足する範囲に限定した。
【0026】以上、必須成分について説明したが、本発
明では、その他にも必要に応じて、以下の元素を適宜含
有させることができる。 Sb:0.001 〜0.03wt% Sbは、表面に濃化することにより、熱延板焼鈍時の浸窒
を効果的に防止するだけでなく、めっき性の改善にも有
効に寄与する。しかしながら、含有量が0.001wt%未満
ではその添加効果に乏しく、一方0.03wt%を超えて添加
してもその効果は飽和に達し、逆に深絞り性の劣化につ
ながるので、Sbは 0.001〜0.03wt%の範囲に限定した。
【0027】Ti:0.002 〜0.05wt%かつTi/48≦1.5 ×
(N/14+S/32) Tiは、鋼中の固溶N, SをTiN, TiSとして析出固定し
て低減し、深絞り性を向上させる有用元素である。しか
しながら、含有量が 0.002wt%未満ではその添加効果に
乏しく、一方0.05wt%を超えたり、Ti/48>1.5 ×(N
/14+S/32)になると、熱延板焼鈍時にTiとPの化合
物を形成されるため、冷延−焼鈍時に{111}再結晶
集合組織の発達が抑制されてr値の劣化を招く、従っ
て、Ti量は0.002 〜0.05wt%でかつTi/48≦1.5 ×(N
/14+S/32)を満足する範囲に限定した。
【0028】Mo:0.02〜2.0 wt%, Cu:0.02〜2.0 wt
%, Ni:0.02〜2.0 wt% Mo, CuおよびNiはいずれも、めっき性を劣化させずに高
強度化できる効果を有する。しかしながら、含有量が0.
02wt%未満では添加の効果がなく、一方 2.0wt%を超え
て添加すると深絞り性が劣化するので、いずれも0.02〜
2.0wt %の範囲に限定した。
【0029】次に、本発明の各製造工程について説明す
る。熱間圧延工程 950〜1300℃でスラブを加熱−均熱後、 650〜1000℃で
熱間圧延を終了したのち、 400〜850 ℃で巻取る必要が
ある。スラブを加熱−均熱処理する場合、処理温度は低
い方が固溶C, Nを炭窒化物として析出固定させる上で
有利である。従って、スラブの加熱−均熱温度は1300℃
以下に限定した。より一層の加工性向上のためには、12
50℃以下とすることが望ましい。しかしながら、処理温
度を 950℃よりも低くしても、それ以上の加工性の改善
効果は見られず、むしろ熱間圧延時における圧延負荷の
増大に伴う圧延トラブルの発生が懸念されるので、処理
温度の下限は 950℃とした。
【0030】また、熱間圧延仕上温度(FDT)は、A
r3変態点以上のγ域またはAr3変態点以下のα域でもよ
いが、熱延仕上温度があまりに高いと、熱延板の結晶粒
が粗大となり、深絞り性が劣化する。一方、低すぎる
と、熱間圧延時の圧延負荷の増大につながるので、FD
Tは 650〜1000℃の範囲に限定した。なお、熱延板の結
晶粒を微細粒化させる目的のためには、熱延仕上温度は
800〜1000℃とするのが好ましい。より好適にはAr3
態点〜1000℃の範囲である。また、熱間圧延によって熱
延板の結晶粒を微細化するためには、熱間圧延時におけ
るトータル圧下率は70%以上とすることが好ましい。
【0031】さらに、熱間圧延後のコイル巻取り温度
(CT)は、高温ほど前述した炭窒化物の粗大化に有利
なだけでなく、黒皮スケールが厚くなるので、黒皮スケ
ールままで熱延板焼鈍を行った時に、熱延板表層部に多
量の酸化物が形成され、Siの表面濃化を防止できるの
で、めっき性の改善に有利である。ここに、巻取り温度
が400 ℃未満ではその効果がなく、一方 850℃を超える
と結晶粒が粗大化しすぎ、逆にr値が低下するので、C
Tは 400〜850 ℃の範囲に限定した。より好ましくは、
600 〜850 ℃である。なお、本発明鋼のスラブは、連続
鋳造されたものを一旦、Ar3変態点以下まで冷却したも
のを再加熱しても良いし、またAr3変態点まで冷却せず
にそのまま加熱あるいは保熱されたものを使用しても良
いのはいうまでもない。
【0032】熱延板焼鈍工程 この工程は、高いr値を得ると共に、Si含有鋼のめっき
特性を改善する上で極めて重要であり、黒皮スケールを
付着させたまま 600〜900 ℃の温度域にて10分以上焼鈍
する必要がある。この点、熱延板酸洗後に焼鈍しても、
熱延板表層部にSiの濃化を抑制する酸化物が形成されな
いので、めっき特性は改善されない。また焼鈍温度が 6
00℃未満および焼鈍時間が10分未満では、NbCの粗大化
が進まないため、r値が向上しない。一方、900 ℃を超
える温度域で焼鈍すると、熱延板が異常粒成長するた
め、r値が劣化する。従って、熱延板焼鈍条件は 600〜
900 ℃の温度域にて10分以上とした。なお、焼鈍雰囲気
は任意でよく、通常の窒素雰囲気または水素雰囲気で行
える。
【0033】冷間圧延工程 この工程は、高いr値を得るために必要であり、そのた
めには冷延圧下率を50%以上とする必要がある。という
のは圧下率が50%に満たないと、優れた深絞り性が得ら
れないからである。しかしながら、圧下率があまりに大
きいと逆にr値が低下するので、圧下率の上限は95%と
した。
【0034】焼鈍・溶融亜鉛めっき工程 冷間圧延工程を経た冷延鋼板は、再結晶焼鈍を施す必要
がある。この再結晶焼鈍は、通常、連続溶融亜鉛めっき
ラインで行い、焼鈍温度は 700〜950 ℃とする必要があ
る。というのは、焼鈍温度が 700℃未満では再結晶が完
了しないため、優れた深絞り性が得られず、一方 950℃
よりも高いとγ域焼鈍になって深絞り性が劣化するから
である。ついで、焼鈍後、 380〜530 ℃の温度域に急冷
するのが好ましい。急冷停止温度が 380℃未満では不め
っきが発生し、一方 530℃超ではめっき表面にむらが発
生するため好ましくない。
【0035】上記の急冷処理に引き続いて溶融亜鉛めっ
き浴に浸漬して、めっきする。この時、めっき浴のAl濃
度は0.12〜0.145 wt%程度とするのが好ましい。浴中の
Al含有量が0.12wt%未満では合金化が進み過ぎてめっき
密着性(耐パウダリング性)が劣化し、一方 0.145wt%
超では不めっきが発生する。なお、めっきに引き続いて
加熱による合金化を施す場合には、めっき層中のFe含有
率が9〜12%となるように実施するのが好ましい。
【0036】亜鉛めっき後の鋼帯には、形状矯正、表面
粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延を加えても
よい。また、本発明鋼板では、亜鉛めっき後、特殊な処
理を施して、化成処理性、溶接性、プレス成形性および
耐食性等の一層の改善を図ることもできる。
【0037】
【実施例】表1に示す成分組成になる鋼スラブを、表2
に示す熱延条件にて板厚:3.5 mmの熱延鋼帯にしたの
ち、黒皮スケールが付着したまま、または酸洗後に、バ
ッチ焼鈍を施した。バッチ焼鈍は、窒素雰囲気中で行っ
たが、特に表2中No.3についてのみ水素雰囲気中で行っ
た。ついで、酸洗後、冷間圧延にて板厚:0.7 mmの冷延
鋼帯としたのち、連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、
再結晶焼鈍と合金化溶融亜鉛めっき処理を施した。な
お、めっき浴温は 460〜480 ℃、浸入板温はめっき浴温
以上、(浴温+10℃)以下とし、また合金化の条件は 4
80〜540 ℃の温度範囲で15〜28秒の加熱保持とした。そ
の後、鋼帯に 0.7%の調質圧延を施した。
【0038】かくして得られた溶融亜鉛めっき鋼板の材
料特性およびめっき特性について調べた結果を、表2に
併記する。なお、引張特性はJIS5号引張試験片を使
用して測定した。また、r値は、15%引張予ひずみを与
えたのち、3点法にて測定し、L方向(圧延方向)、D
方向(圧延方向に対し45°方向)およびC方向(圧延方
向に対し90°方向)の平均値を r=(rL 十2rD +rC )/4 として求めた。さらに、めっき特性は、不めっきの発生
状況を目視にて判定した。○印は、実用上問題のないめ
っき特性を表す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表2に示したとおり、本発明に従って得ら
れた溶融亜鉛めっき鋼板はいずれも、引張り強さが 400
MPa以上と高く、また比較材に比べて、深絞り性は勿論
のこと、めっき特性にも優れていた。
【0042】
【発明の効果】かくして、本発明に従い、鋼組成を調整
した上で、特に熱延板焼鈍を黒皮スケールを付着させた
まま行うことにより、従来よりも格段に優れた深絞り性
およびみっき特性を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】r値に及ぼす鋼組成と熱延板焼鈍温度の影響を
示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/14 C22C 38/14 38/16 38/16 // C23C 2/06 C23C 2/06 2/40 2/40 (72)発明者 古君 修 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 京野 一章 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB02 AB42 AC02 AC12 AC18 AE12 4K037 EA01 EA02 EA04 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EB02 EB03 EB05 EB09 FA01 FA02 FA03 FC02 FC03 FC04 FE01 FE02 FE03 FF02 FF03 FG03 GA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0005〜0.008 wt%、 Si:0.1 〜1.5 wt%、 Mn:0.5 〜3.0 wt%、 P:0.02〜0.2 wt%、 S:0.02wt%以下、 Al:0.005 〜0.20wt%、 N:0.01wt%以下、 B:0.0005〜0.008 wt% Nb:0.001 〜0.2 wt%、でかつ、 0.3 ×(C/12)≦Nb/93≦3.0 ×(C/12) を満足する範囲で含有し、残部は実質的にFeおよび不可
    避的不純物の組成になる鋼スラブを、 950〜1300℃で加
    熱−均熱後、 650〜1000℃で熱間圧延を終了したのち、
    400〜850 ℃で巻取り、ついで黒皮スケールが付着した
    まま 600〜900 ℃の温度域にて10分以上の焼鈍を施した
    のち、酸洗し、50〜95%の圧下率で冷間圧延したのち、
    連続溶融亜鉛めっき設備にて 700〜950 ℃で再結晶焼鈍
    後、溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする、深絞
    り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、鋼スラブが、さらに Sb:0.001 〜0.03wt% を含有する組成になることを特徴とする、深絞り性に優
    れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、鋼スラブ
    が、さらに Ti:0.002 〜0.05wt% を Ti/48≦1.5 ×(N/14+S/32) を満足する範囲において含有する組成になることを特徴
    とする、深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、鋼スラ
    ブが、さらに Mo:0.02〜2.0 wt% Cu:0.02〜2.0 wt% Ni:0.02〜2.0 wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
    なることを特徴とする、深絞り性に優れた高強度溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造方法。
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