JP2001104951A - 色素の吸着材 - Google Patents

色素の吸着材

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JP2001104951A
JP2001104951A JP28720199A JP28720199A JP2001104951A JP 2001104951 A JP2001104951 A JP 2001104951A JP 28720199 A JP28720199 A JP 28720199A JP 28720199 A JP28720199 A JP 28720199A JP 2001104951 A JP2001104951 A JP 2001104951A
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dye
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adsorbent
fibers
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JP28720199A
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Takahiro Otaguro
隆浩 大田黒
Noriko Suzuki
徳子 鈴木
Izumi Onuki
和泉 大貫
Hideo Kuroda
英男 黒田
Toshinobu Kashiwada
利信 柏田
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Lion Corp
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  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄分野、食品加工分野の排水系または洗浄
系分野に含まれる染料などを含む色素を簡単・簡便、短
時間で除去できる色素の吸着材を提供する。 【解決手段】 少なくともカチオン交換基を有する繊維
を含有する吸着材、または少なくともカチオン交換基を
有する繊維と少なくともアニオン交換基を有する繊維と
を含有する吸着材からなることを特徴とする色素の吸着
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素の吸着材及び
色素の除去方法に関し、更に詳しくは、繊維等を染める
染料や食品加工用等に用いられる色素を吸着処理するこ
とができる色素の吸着材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維等の染色分野では、排水中に
含まれる染料を除去する方法又は染料除去剤として、
特開平10ー5750号公報には、木炭、その他炭化し
た炭素質物質に粉状又は粒状の麦飯石を付着させて染色
排水中に添加する方法及びその染料除去剤が開示されて
おり、また、特開平5ー277466号公報には、ハ
ロゲン化されたピリジニウム基を分子内に有し、かつ水
に不溶又は難溶のビニル系共重合体を基材に付着しなる
染料除去材が開示されており、更に、特開平7ー10
0372号公報では、第4級アンモニウム基をもつ化合
物で修飾されたセルロースよりなる染料吸着剤が開示さ
れている。
【0003】しかしながら、上記の特開平10ー57
50号公報では、吸着させた後、排水中より木炭や粒状
の酸化物を分離する必要があり、分離工程が複雑で煩雑
であるため生産性が低下してしまう点に課題がある。ま
た、上記の特開平5ー277466号公報では、廃棄
した後のビニル系共重合体は、燃焼すると発ガン性が懸
念されるダイオキシン類を発生するなどの環境的な課題
がある。
【0004】また、上記の特開平7ー100372号
公報では、セルロース繊維を特定の化合物で化学的に反
応させて、表面処理することから、生産性の低下とコス
ト高になる点に課題がある。更に、この化学反応後のセ
ルロース繊維を用いて各種染料、例えば、酸性染料(ア
ニオン系染料)及び塩基性染料(カチオン系染料)の除
去性を評価すると、酸性染料(アニオン系染料)は除去
できるが、塩基性染料(カチオン染料)に対しては十分
に除去できないことがわかった。すなわち、カチオン系
染料単独系、並びに、カチオン系染料とアニオン系染料
の両系に対しては、染料除去ができないことがわかっ
た。
【0005】更に、洗浄分野では、洗浄系における衣類
への染料の染着防止に関して、特開平8ー151596
号公報には、高級脂肪族アミン等にアルキレンオキサイ
ドを付加した組成物からなる移染防止効果のある洗浄剤
が開示されているが、この組成物は、未だ白色などの衣
料に対する移染防止効果は充分でないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであ
り、洗浄分野又は食品加工分野の排水系や洗浄系で含ま
れる塩基性染料(カチオン染料)及び/又はアニオン系
染料などの染料等において、各種染料などを簡単・簡
便、短時間に除去できること、特に、塩基性染料(カチ
オン染料)単独系、並びに、カチオン系染料とアニオン
系染料の両系において同一のシート体(繊維)で十分に
染料などの色素を除去することができる色素の吸着材を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の課題等について鋭意検討した結果、少なくとも特
定の官能基を含有する吸着材を用いることにより、上記
目的の色素の吸着材が得られることを見い出すことによ
り、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本
発明は次の(1)及び(2)に存する。 (1) 少なくともカチオン交換基を有する繊維を含有する
ことを特徴とする色素の吸着材。 (2) 前記吸着材には、少なくともアニオン交換基を有す
る繊維を含有する上記(1)記載の色素の吸着材。 なお、本発明において規定する「色素」には、食品加工
用等に用いられる色素の他、繊維等を染める染料を含む
ものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明の色素の吸着材は、少なくともカ
チオン交換基を有する繊維、並びに、少なくともカチオ
ン交換基を有する繊維と少なくともアニオン交換基を有
する繊維とを含有することを特徴とするものである。
【0009】本発明の吸着材の使用形態は、特に限定さ
れるものでないが、主にシート体又は袋体が挙げられ
る。袋体の形状は、開口部のある袋体又は開口部のない
袋体があるが、用途により適宜要求される形状、厚さ、
繊維の種類とその組み合わせを選定することが望まし
い。シート体についても同様である。例えば、染料分野
や食品加工分野では、シート体のフィルターなどが用い
られる。洗浄分野ではシート体又は袋体が、各種用途・
分野で用いられる。本発明におけるシート体又は袋体等
は、不織布、織布、編織布から選ばれ、1種又は2種以
上を組み合わせることができる。また、上記シート体と
プラスチックフイルムを組み合わせても良い。すなわ
ち、シート体の形態は、不織布系、織布系、編織布系の
単独系、又は、不織布又は織布/プラスチックシート併
用系、不織布/織布併用系、不織布/編織布系、不織布
/プラスチックシート/織布併用系などの混合系や、こ
れらの二層構造、三層構造及び多層構造からなるものが
挙げられる。また、袋体も上記シート体と同様にプラス
チックフイルムと併用してもよい。シート体又は袋体等
の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円
形、多角形、四角形、三角形などが挙げられる。また、
シート体又は袋体等の厚さは、特に、0.5mm〜 1
0mm程度、好ましくは、0.5mm〜5mmが望まし
い。
【0010】上記シート体又は袋体等の表面構造は、特
に限定されるものでなく、例えば、平面構造、エンボス
加工、凹凸形状、パイル形状等が望ましい。特に、エン
ボス加工、凹凸形状、パイル形状などの突起物がシート
表面に存在してもよい。この突起物の高さは、突起物の
材質やシートの厚みにより、最適化されるが、好ましく
は、0.05mm〜5mm、特に好ましくは、0.1m
m〜3mmである。また、上記シート体又は袋体等は、
メッシュタイプであってもよい。メッシュの大きさは、
16〜100メッシュ、好ましくは、20〜80メッシ
ュである。
【0011】本発明において上記吸着材は、少なくとも
カチオン交換基を有する繊維を含有する吸着材、また、
少なくともカチオン交換基を含有する繊維と少なくとも
アニオン交換基を有する繊維とを含有する吸着材である
ことが必要である。カチオン交換基及び/又はアニオン
交換基をもつ繊維としては、例えば、ポリビニールアル
コール系合成樹脂繊維や、アクリロニトリルとアクリル
酸エステル(またはメタクリル酸エステル)の共重合体
を主成分とするアクリレート系樹脂等からなる合成樹脂
繊維内にカチオン交換能又はアニオン交換能を有する塩
基性基及び/又は酸性基が共有結合しているものが挙げ
られる。カチオン交換基又はアニオン交換基をもつ繊維
の官能基は、正又は負に帯電するものである。カチオン
交換能を有する繊維に含まれる官能基としては、下記に
示す官能基が挙げられる。
【化1】 特に、これらのカチオン交換基の中では、好ましくは、
スルホン基(−SO3H)、カルボキシル基(−COO
H)、−COONa、−COOM(M:金属塩、Na、
K等)、−SO3H、−SO3Na、−SO3M(M:金
属塩、Na、K等)からなる官能基が望ましい。これら
の官能基は1種または2種以上含むことができる。
【0012】また、アニオン交換能を有する繊維に含ま
れる官能基としては、下記に示す官能基が挙げられる。
【化2】 特に、アニオン交換基の中ではアミノ基(1〜3級)、
第四アンモニウム塩基、−NH2、−N+3、−N+(C
33、−N+(R1,R2,R3)〔R1〜R3は水素原子、
メチル基、エチル基である。以下同様〕、=NH、≡
N、−NHR1、−NHR2の官能基が好ましい。これら
の官能基は1種または2種以上含むことができる。
【0013】本発明において、上記吸着材には、繊維中
にカチオン交換基とアニオン交換基とを1種または2種
以上含むことが望ましい。また、吸着材には、カチオン
交換基を含有する繊維とアニオン交換基を含有する繊維
を1種または2種以上含むことが望ましい。
【0014】また、上記吸着材には、上記カチオン交換
能とアニオン交換能を持つ官能基を有する繊維以外に親
水性繊維又は疎水性繊維を含有させても良い。親水性繊
維としては、例えば、レーヨン、パルプ、セルロース繊
維、ポリビニールアルコール(PVA)繊維、アクリル
繊維、アクリレート系繊維、ポリアリールスルホン繊
維、プロミックス繊維、シルク繊維、タンパク質繊維、
紙等が挙げられる。疎水性繊維としては、例えば、ポリ
オレフイン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエ
ステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(ビニ
リデン、塩化ビニリデン)、ポリアクリルニトリル、モ
ダクリル繊維、ポリウレタン、アクリル系繊維、ポリス
チレン、ナイロン、アセテート繊維、ポリアルキレン並
びにこれらの組み合わせ及び共重合体からなる繊維が挙
げられる。これらの繊維は、1種又は2種以上の繊維か
ら選ばれても良い。また、その他の繊維類としては、羊
毛繊維、活性炭繊維、中空構造を有する繊維、木炭を含
有する繊維、芯鞘構造を有する繊維、分割繊維を有する
繊維、偏心構造を有する繊維、木炭を含有する繊維を用
いても良い。なお、上記吸着材に含有せしめることがで
きる親水性繊維又は疎水性繊維、並びに、その他の繊維
類の合計含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適
宜量となるものであるが、好ましくは、吸着材全量に対
して、0〜70重量%である。
【0015】本発明における吸着材は、上記各種繊維の
1種又は2種以上を含有する混紡(ミックス)、あるい
は前記繊維(例えば、不織布もしくは編織布)の2層又
は3層からなる多層構造を有する吸着材である。更に、
繊維表面においてイオン交換能をもつ官能基を有する化
合物を化学的に架橋して作製しても良い。
【0016】また、シート体又は袋体等の繊維間距離
は、特に限定されるものではないが、シートの強度、耐
久性を考慮して、10μm〜600μmの範囲が良い。
特に20μm〜300μmが望ましい。使用性を考慮す
ると、35μm〜200μmが更に好ましい。また、不
織布の製法は、特に限定されるものではないが、製造
時、不織布への油剤の添加がない、あるいは少ない製造
方法が望ましい。特に、洗浄分野、食品分野又は食品加
工分野で使用する時は、用いる油剤の安全性(FDAの
認可された油剤)が確保できたものが好ましい。製造方
法としては、例えば、スパンレース、スパンボンド、メ
ルトブロー、サーマルボンド、ニードルパンチ、湿式が
挙げられる。これらの中で、特に、スパンレース、スパ
ンボンド、メルトブロー、湿式が好ましい。
【0017】本発明において、上記した各繊維製品、す
なわち、少なくともカチオン交換基を有する繊維と少な
くともアニオン交換基を有する繊維、並びに、少なくと
もカチオン交換基を有する繊維の製造方法は、従来から
公知であり、また市販されているものも使用できる。例
えば、ポリビニルアルコール系のイオン交換性繊維の製
造方法では、アニオン交換繊維及びその製造方法とし
て、特開昭63−69835号公報、また、カチオン交
換繊維及びその製造方法に関しては、特公昭56−10
932号公報、特開昭63−309621号公報、特開
平8−12774号公報、特開平9−87399号公報
などが提案されている。
【0018】例えば、アニオン又はカチオンの交換能を
有する酸性基及び/又は塩基性基の95〜40モル%を
H型とし、残りの5〜60モル%をNa,K,Ca,M
g,Al、Ag、Fe、ハロゲン等から選ばれた一種以
上の金属塩の型としたものであってもよい。かかるアニ
オン又はカチオンの交換能を持つ官能基を有する繊維製
品の製造方法としては、イオン交換基を持つ単量体を重
縮合反応或いは連鎖重合反応により樹脂化し繊維体とす
るか、或いは重縮合反応或いは連鎖重合反応により得ら
れる三次元構造をもつ樹脂或いは繊維体にアニオン又は
カチオンの交換能を持つ官能基を導入することによって
得られる。
【0019】具体的には、ポリビニルアルコール系繊維
表面において、残留水酸基との硫酸エステル化反応によ
り化学的に官能基(イオン交換能をもつ官能基を有する
繊維)を有する化合物を導入する。或いはアクリル繊維
をヒドラジン処理することにより架橋構造を導入し、次
いで加水分解により残存ニトリルにカルボキシル基やア
ミド基を導入してもよい。この場合、アクリル繊維にヒ
ドラジン処理することにより架橋構造を導入(窒素含有
量1.0〜10.0重量%の範囲)し、加水分解により
残存のニトリル基量の1.0〜6.5meq/gにカル
ボキシル基を導入し、残部にアミド基を導入する。次い
で、必要に応じて上記カルボキシル基の50〜90モル
%をNa,K,Ca,Cu,Mg,Zn,Al,Ag,
Feより選択される1種又は2種以上の金属塩の型にし
てもよい。更に、繊維表面において化学的に官能基(イ
オン交換能をもつ官能基を有する繊維)を有する化合物
を架橋して生成しても良い。
【0020】ここで、スルホン基を繊維に導入する場合
(カチオン交換繊維とする場合)、例えば、ポリビニル
アルコール系繊維にスルホン基を導入する一例として、
PVAとスルホン基を有するビニル重合体(重量比4/
1〜1/5の割合)を含む紡糸原液に脱水触媒を添加
し、乾式紡糸後、熱処理により水不溶解化することでカ
チオン交換性繊維を得る場合について説明する。この場
合、(1)PVAとスルホン酸基を有するビニル重合体及
びPVAに対する脱水触媒からなる紡糸原液を作り、
(2)この原液を用い、乾式紡糸法によりPVAと該ビニ
ル重合体を実質構成成分とする繊維を形成し、(3)得ら
れた繊維を熱処理により水不溶化するという構成からな
る。
【0021】ここで使用される原料物質としては、PV
A、及びスルホン酸基を有するビニル重合体、さらに脱
水触媒がある。まず、PVAとしては一般の市販品が使
用できるが紡糸性を考慮してケン化度が90モル%以
上、重合度500〜2000の範囲のものが適用され
る。スルホン酸基を有するビニル重合体としては、1モ
ル/kg以上のスルホン酸基を有するビニル重合体が好
ましい。具体的にはビニルスルホン酸、アリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニ
ルモノマーを原料とするホモポリマー及びこれらビニル
モノマーと共重合が可能な他のビニルモノマーとの共重
合体等が挙げられる。これらスルホン酸基を有する重合
体の好ましい重合度は個々の重合体により異なるが、ポ
リスチレンスルホン酸の場合、重合度1000〜600
0の範囲である。
【0022】PVAの脱水触媒としては、一般に強酸性
物質が使用できる。かかる物質としては硫酸、スルファ
ミン酸、有機スルホン酸(例えばベンゼンスルホン酸、
ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)ま
たは酸型のスルホン酸基を有するビニル重合体などであ
り、あらかじめこれら脱水触媒を糸条中に混入させてお
く。また別法としてはあらかじめこれら脱水触媒を糸条
に混入させない場合には熱処理時に脱水触媒として塩化
水素ガスを共存させてもよい。
【0023】紡糸原液は上記した原料、即ちPVA、ス
ルホン酸基を有するビニル重合体及び脱水触媒を均一溶
解した水性溶液を用いる。PVAと該ビニル重合体の混
合比PVA/該ビニル重合体が1/4〜1/5(重量)
の範囲が好適である。脱水触媒となる強酸性物質の添加
量はPVAに対して2〜10重量%、より好ましくは4
〜7重量%である。かかる条件を満足する紡糸原液の固
形物濃度は20〜50%が適当である。このように調整
した紡糸原液から繊維を得るための紡糸方式は、乾式が
好ましい。紡糸後得られる繊維の形状、即ち断面形状、
繊維長、繊度等には何ら制限がない。
【0024】また、アニオン交換繊維及びその製造方法
に関しては、例えば、アミノ基を繊維に導入する場合
は、次のように行われる。例えば、アミノ基を有する重
合体とポリビニルアルコールとを混合紡糸し、強酸性物
質の存在下でポリビニルアルコールの脱水反応を行うこ
とにより製造することができる。使用する原料物質とし
ては、アミノ基を有する重合体、PVA、強酸性物質が
ある。まず、アミノ基を有する重合体としては、十分な
耐薬品性を備えたものが必要であり、主鎖及び主鎖とア
ミノ基の間にエステル、アマイド結合等、酸やアルカリ
に弱い結合を含まないものがよい。また、実用に供し得
るイオン交換能を備えるために、1mol/kg以上の
アミノ基を有する重合体である必要がある。アミノ基の
種類としては、第1級、第2級、第3級アミノ基、及び
第4級アンモニウム基があり、これらの単独又は混合物
も含まれる。具体的には、ポリビニルアミン、ポリアリ
ルアミン、ポリリシン、ポリビニルピリジン、ポリエチ
レンイミン等のポリアミン及びその誘導体、さらには、
ポリスチレン等のアミノ基導入可能なポリマーにアミノ
基を導入して得られる重合体が挙げられる。これらのポ
リアミンの重合度は、紡糸性を阻害しない範囲で高重合
度物ほどPVAとの分子問の絡み合いが増大し、脱落防
止効果がより有効的に働く。例えば、ポリエチレンイミ
ンの場合、重合度は500以上必要で、好ましくは30
00〜6000の範囲である。
【0025】−方、PVAとしては紡糸性を考慮して鹸
化度は90mol%以上で、重合度は500以上を使用
するが、好ましくは鹸化度は95mol%以上で、重合
度は1000〜2000の範囲のものを使用する。PV
Aの脱水触媒としての強酸性物質は、塩化水素ガス熱処
理時に共存させるか、あるいは、強酸性物質を熱処処理
前に繊維に付着させた後熱処理を行なう。熱処理前に付
着させる強酸性物質としては、リン酸、塩酸等いわゆる
強酸と称せられるもの、もしくは塩化アルミニウム等の
ルイス酸が用いられるが、塩化水素ガスを用いるのが最
も好ましく、強酸性物質を付着させる場合は、反応むら
や糸質の低下を引き起し易い。
【0026】紡糸原液は、上記した原料、即ち、アミノ
基を有する重合体、PVA及び必要に応じ強酸性脱水触
媒を均一に溶解した原液を用いる。アミノ基を有する重
合体とPVAの混合比によって、糸状化、熱処理後の糸
質、アミノ基を有する重合体の脱落量が変化し、混合比
(アミノ基を有する重合体/PVA)が2/1以上にな
ると、糸質が低下し、脱落量も増加し使用に耐えない。
逆に、PVAが増加するほど脱落防止効果は増すが、そ
の反面イオン交換容量が制限されることから、混合比
は、1/5〜2/1の範囲である必要があり、好ましく
は1/4〜1/1である。かかる条件を満足する紡糸原
液の固形分濃度は、20%〜50%が適当である。紡糸
方法は、乾式、半乾半湿式、湿式紡糸のどれを選んでも
よいが、乾式紡糸法が最も好ましい。半乾半湿式及び湿
式紡糸の場合には、アミノ基を有する重合体とPVAと
の相分離を避けるため、凝固浴組成を考慮する必要があ
る。例えば、アミノ基を有する重合体として、ポリアリ
ルアミンを使用した場合では、アセトン系の凝固浴が好
適である。これらの紡糸方法によって得られる繊維の形
状、すなわち断面形状、繊維長、繊度等にはなんら制限
はない。
【0027】また、熱処理は、原料ポリアミンの耐熱性
を考慮し選ぶべきてあるが、一般的に温度が80〜20
0℃の範囲で、時間は5分〜4時間で行なうが、好まし
くは温度が100〜130℃の範囲で、時間は30分〜
2時間である。熱処理時の雰囲気は、塩化水素ガス中て
行なうのが最も好ましいが、強酸性物質を付着させた場
合は空気中でよく、好ましくは酸化劣化を避けるため、
無酸素の不活性ガス(例えば窒素ガス)中がよい。この
熱処理によりPVAは脱水反応を起こす。このときのP
VAの脱水重量減少率は、10〜40%の範囲である。
アミノ基の反応性を利用し種々の誘導体を合成できる。
例えば、第1アミノ基を有するアニオン交換繊維とアル
デヒドとを反応させシッフ塩基を合成したり、第1、
2、3アミノ基を有するアニオン交換繊維と4級化剤と
を反応させ、強塩基性アニオン交換繊維を合成すること
もてきる。このようにして得られた繊維は、布状、紐
状、総状、カット糸状等て使用される場合、それらの形
態に加工できるが、予め、これらの形態にしてから熱処
理を行うことが好ましい場合もある。
【0028】このように構成される本発明の色素の吸着
材は、少なくともカチオン交換基を有する繊維を含有す
る吸着材、または、少なくともカチオン交換基を有する
繊維と少なくともアニオン交換基を有する繊維とを含有
する吸着材から構成されるものであるので、例えば、色
素を排出する洗浄分野、若しくは食品加工分野、または
洗浄系における吸着材として使用する場合において、洗
浄分野又は食品加工分野の排水系、並びに洗浄系分野に
含まれる染料を含む色素を簡単・簡便、短時間で除去で
きるものとなる。特に、塩基染料(カチオン染料)単独
系、並びに、塩基染料(カチオン系染料)と酸性染料
(アニオン系染料)の両系の排水系等においても簡単・
簡便、短時間で除去できるものである。また、洗浄分野
や食品加工分野で使用する場合に、廃棄される排水中の
色素含有溶液の中に本発明の色素の吸着材を入れること
で、排水する前に色素を予め除去してから排出すること
で、環境への負担を低減化(BOD、COD等の低減
化)することが可能となる。更に、洗浄する前に洗濯機
の中に本発明の色素の吸着材を入れて洗濯することで、
衣類から溶出する色素や入浴剤を入れた風呂水から衣類
への染着を防止することができるものとなる。更にま
た、使用用途や分野によって本発明の色素の吸着材は、
適宜、不織布単独系、不織布とフイルムの併用系からな
るシート体又は袋体等として利用することができ、この
不織布等からなるシート体は、生産性が高いので製造コ
ストが安くなるメリットがある。また、本発明における
色素の吸着材は、フイルターなどの使用形態としても適
用可能であり、各種分野、例えば、繊維分野、染色分
野、食品分野、精錬分野等に好適に適用することができ
る。
【0029】次に、実施例及び比較例により本発明を更
に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0030】
【実施例】〔実施例1〜6及び比較例1〜3〕下記表1
〜表3に示す各種カチオン交換基及び/又はアニオン交
換基を有する繊維などからなるシート体(吸着材)を用
いて塩基性染料又は酸性染料の除去効果を下記評価法に
より評価した。これらの結果を下記表1〜表3に示す。
なお、表1は実施例1〜6及び比較例1〜3に使用する
シート体(吸着材)の製法、その組成等を示す。
【0031】(評価法)塩基性染料又は酸性染料の各種
染料溶液30cc(1〜20ppm)を入れた50cc
ビーカーに下記表1〜表3に示すシート体(不織布)を
1g、室温、10分間、浸漬して色素の除去性を評価し
た。用いる水は、イオン交換水を用いた。色素の除去効
果は、浸漬前と浸漬後の変化を官能評価(目視)で、下
記評価基準で色素の除去効果として評価した。 評価基準: ○:染料が除去できた。 △:染料の大部分は除去できたが、一部染料の残存があ
る。 ×:染料が除去できなかった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】上記表2〜表3中の*1〜*4は、下記の
とおりである。 *1:商品名IEFー SA(Cl)、(株)ニチビ製:交換容量
4.1meq/g含水率 7%(カット長:50mm) *2:商品名IEFー WA(OH)-PEI、(株)ニチビ製:交換
容量3.6meq/g含水率 5%(カット長:50m
m) *3:商品名IEFーWC(H)-F、(株)ニチビ製:交換容量
4.1meq/g含水率 7%(カット長:50mm) *4:商品名IEFーSC-G(Na)、(株)ニチビ製:交換容量
2.1meq/g含水率 7%(カット長:50mm)
【0036】上記表1〜表3から明らかなように、本発
明となる実施例1〜6は、本発明の範囲外となる比較例
1〜3に較べ、塩基染料(カチオン染料)単独系、及び
塩基染料(カチオン系染料)と酸性染料(アニオン系染
料)の両系について除去できるものであることが判明し
た。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、洗浄分野や食品加工分
野の排水系または洗浄系分野に含まれる染料を含む色素
を簡単・簡便、短時間で除去することができ、特に、塩
基染料(カチオン染料)単独系及び塩基染料(カチオン
系染料)と酸性染料(アニオン系染料)の両系について
も除去できる色素の吸着材が提供される。
フロントページの続き (72)発明者 大貫 和泉 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 黒田 英男 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 柏田 利信 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 Fターム(参考) 4D025 AA09 AB03 BA08 BA13 BA25 BB04 DA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともカチオン交換基を有する繊維
    を含有することを特徴とする色素の吸着材。
  2. 【請求項2】 前記吸着材には、少なくともアニオン交
    換基を有する繊維を含有する請求項1記載の色素の吸着
    材。
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