JP2001100835A - プラント状態監視システム - Google Patents

プラント状態監視システム

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JP2001100835A
JP2001100835A JP27648099A JP27648099A JP2001100835A JP 2001100835 A JP2001100835 A JP 2001100835A JP 27648099 A JP27648099 A JP 27648099A JP 27648099 A JP27648099 A JP 27648099A JP 2001100835 A JP2001100835 A JP 2001100835A
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abnormal
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Megumi Yoshida
恵 吉田
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適切な近似モデルを適用することで、プラン
トの動特性の模擬を迅速かつ容易にし、プラントが異常
状態であることが判明したときに、異常状態が推移して
ゆく伝播経路を自動的に推定することができるようにす
ると共に、必要に応じ、推定した異常状態の伝播経路を
運転員へ認知し易い情報として提供できるようにする。 【解決手段】 測定された観測値を入力する入力処理部
と、観測値が許容範囲から逸脱したか否かによってプラ
ントが異常状態か否かを判定する異常状態判定部と、プ
ラントの動特性を表した基本式に基づきプラント動特性
を近似する近似モデルを生成するモデル生成部と、ある
異常状態がどのような異常状態から発生し得るかという
異常状態間の因果関係を導出する因果関係導出部と、異
常状態判定部においてプラントが異常状態であると判定
されたときの観測値と前記因果関係導出部において導出
された観測値間の因果関係とを用いて、異常状態が推移
する伝播経路を推定する伝播経路推定部とからなるプラ
ント状態監視システムを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば原子力発電
プラント、火力発電プラント、化学プラント等の大規模
プラントの状態を自動的に監視するプラント状態監視シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子力発電プラント等の大規模
なプラントでは、安定かつ安全に運転を継続するため
に、通常運転時はもとより、何らかの故障が発生した場
合にも、各種プロセス状態の情報を運転員へ提供する監
視制御システムが設けられている。運転員には、この監
視制御システムより提供されるプロセス状態の情報に基
づき、計画通りに運転されているか否かを判断し、プラ
ントに故障が発生した場合には、状況を迅速に判断して
適切な処置をとることが要求されている。
【0003】したがって、プラントの運転状況に応じた
適切な情報を運転員へ的確に提供することが、監視制御
システムにとって最も重要となる。特に、異常の程度が
大きい場合や状況が急速に変化する場合には、運転員に
掛かる負担は大きなものとなり、誤判断を招く可能性が
ある。
【0004】そこで、故障が軽微な段階において、これ
を検知し、異常の拡大を未然に防ぐことがプラントの安
全運転確保にとって重要となる。異常拡大の未然防止は
プラントの稼働率向上の観点からも望まれる。
【0005】このため、従来からプラントの運転状態に
応じた適切な情報を的確に運転員へ提供することを目的
としたプラント状態監視システムの開発が行われてい
る。
【0006】この種のプラント状態監視システムとして
は、警報の発生状況を基にプラントの運転状態を判定
し、最も注意すべき警報に関連したプロセス情報を提供
するものが開発されている。また、プラントの動特性を
模擬する動特性モデルを利用したプラント状態監視シス
テムの開発も行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、警報の発生状
況を基にプラントの運転状態を判定する方式のプラント
状態監視システムは、プラントに何らかの故障が検知さ
れた後に発生した事象を自動的に認知して、状況に応じ
たプロセス状態の情報を提示するものであり、警報の発
生していない運転状態での異常発生時の故障の同定は運
転員に委ねられている。
【0008】一方、プラントの動特性を模擬した動特性
モデルを利用したプラント状態監視システムでは警報の
発生していない状況においても過渡状態の推移を推定す
ることができる。しかしながら、過渡状態の原因が不特
定の場合にもプラント挙動と同期を取って模擬しなけれ
ばならないという要求があり、実用化は困難であった。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、以下の目的を達成することによって運転員の状況判
断を支援するプラント状態監視システムを提供せんとす
るものである。
【0010】(1)適切な近似モデルを適用すること
で、プラントの動特性の模擬を迅速かつ容易に行うこと
ができるようにする。
【0011】(2)プラントが異常状態であることが判
明したときに、異常状態が推移してゆく伝播経路を自動
的に推定することができるようにする。
【0012】(3)必要に応じ、推定した異常状態の伝
播経路を運転員へ認知し易い情報として提供することが
できるようにする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、プラントに設置された検出器により測定さ
れた観測値を入力する入力処理部と、前記観測値が許容
範囲から逸脱したか否かによって前記プラントが異常状
態か否かを判定する異常状態判定部と、前記プラントの
動特性を表した基本式に基づき、該プラントが定常状態
のときの観測値を摂動点としたプラント動特性を近似す
る近似モデルを生成するモデル生成部と、何れかの観測
値が設定した許容範囲から逸脱したときに他の観測値が
許容範囲から逸脱するか否かを前記近似モデルを用いて
算出することで、ある異常状態がどのような異常状態か
ら発生し得るかという異常状態間の因果関係を導出する
因果関係導出部と、前記異常状態判定部において該プラ
ントが異常状態であると判定されたときの観測値と前記
因果関係導出部において導出された前記観測値間の因果
関係とを用いて、該異常状態が推移する伝播経路を推定
する伝播経路推定部とを具備することを特徴とする。
【0014】この場合、前記異常状態判定部において、
現在の観測値と観測値に対数平均処理を施した対数平均
値との差に基づき、観測値が許容範囲から逸脱したか否
かを判定しても良い。
【0015】また、前記モデル生成部では、前記プラン
ト動特性を表した基本式が、プラント配管中を流れる流
体の運動量保存則及びプラント配管の分岐点における流
体の質量保存則に基づく式としても良いし、前記プラン
ト動特性を近似する近似モデルとして
【数3】
【数4】 あるいは伝達関数を用いたモデルを用いても良い。
【0016】さらに、前記伝播経路推定部では、ある異
常状態からその発生元に遡って再びその異常状態に戻っ
てくるときにその経路上にある異常状態を同一の競合状
態グループに属するとして異常状態を競合状態グループ
毎に区分し、競合状態グループ間の異常状態の経路を求
めても良い。
【0017】本発明は、前記伝播経路推定部における異
常状態の伝播経路推定情報の提供を受けて、その情報を
表示する状態表示部をさらに具備しても良く、前記モデ
ル生成部において、前記プラント動特性を近似する近似
モデルとして伝達関数を用いたモデルを用いると共に伝
達関数及び伝達関数から算出される時定数の情報を前記
状態表示部へ提供しても良い。
【0018】加えて本発明は、前記異常状態判定部にお
いて前記プラントが異常状態であると判定された場合
に、前記伝播経路推定部において推定された異常状態の
伝播経路の最上流に位置する異常状態に対応したプラン
トの補修要領の情報を前記状態表示部に提供する補修要
領記憶部をさらに具備しても良く、更に前記伝播経路推
定部で推定された伝播経路の最上流に位置する異常状態
が複数存在する場合には記憶されている補修要領の優先
順に従って最も優先度の高い補修要領の情報を前記状態
表示部に提供しても良い。
【0019】本発明は、前記異常状態判定部においてプ
ラントが異常状態であると判定された場合に、前記伝播
経路推定部において推定された伝播経路の最上流に位置
する異常状態に対応したプラントの操作要領の情報を前
記状態表示部に提供する操作要領記憶部であって、かつ
伝播経路の最上流に位置する異常状態が複数存在する場
合には記憶された操作要領の優先順に従って最も優先度
の高い操作要領の情報を前記状態表示部に提供する操作
要領記憶部をさらに具備しても良い。
【0020】また本発明は、前記異常状態判定部におい
てプラントが異常状態であると判定された場合に測定さ
れた観測値と前記モデル生成部において生成された近似
モデルとを用いて、判定された異常状態からの推移を予
測すると共に、予測された異常状態の推移を前記状態表
示部に提供する事象推移予測部を具備しても良い。
【0021】さらに本発明は前記事象推移予測部で予測
された異常状態の推移を測定された観測値と比較するこ
とによって、プラントに設置された検出器が異常である
か否かを判定すると共に、検出器が異常と判定された場
合に異常と判定された検出器の情報を前記状態表示部に
提供するセンサー診断部をさらに具備しても良い。
【0022】加えて本発明は、プラントを制御する制御
系統の制御条件を表した数式モデルに基づいて制御の対
象となる観測値の制御目標値を算出し、この目標値と測
定された観測値を比較することによって制御系が異常で
あるか否かを判定すると共に、制御系が異常であると判
定した場合に異常と判定した制御系の情報を前記状態表
示部に提供する制御系診断部をさらに具備しても良い。
【0023】本発明は、前記事象推移予測部において予
測された異常状態の推移に基づき、観測値がインターロ
ックの作動する限界値に到達するインターロック作動予
定時間及び作動が予定されたインターロックの情報を登
録し、インターロック作動予定時間を過ぎても作動が予
定されたインターロックが作動しないときにインターロ
ックが異常であると判定すると共に、異常と判定したイ
ンターロックの情報を前記状態表示部に提供するインタ
ーロック診断部をさらに具備しても良い。
【0024】また本発明は、前記異常状態判定部におい
て異常状態でないと判定されているときに前記モデル生
成部において生成された近似モデルを用いて、異常状態
の発生原因それぞれに対応した観測値の変化方向を算出
して発生原因ごとの観測値の変化パターンを登録する変
化方向導出部と、異常状態判定部において異常状態であ
ると判定されたときに測定された観測値の変化パターン
を前記登録された観測値の変化パターンと比較すること
によって、異常状態の発生原因を推定し、推定した異常
状態の発生原因の情報を前記状態表示部に提供する異常
原因同定部と、をさらに具備しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕本発明の第1の
実施形態について図面を参照して説明する。図1の機能
構成図に第1の実施形態を示す。プラント1は例えば原
子力プラント等の大規模なプラントであり、プラント1
にプラント状態監視システム2が接続される。
【0026】プラント状態監視システム2は全てをハー
ドウェアで構成することもできるが、通例はコンピュー
タ及びコンピュータプログラムにより構成される。
【0027】プラント状態監視システム2は、入力処理
部3、異常状態判定部4,モデル生成部5、因果関係導
出部6、伝播経路推定部7,及び状態表示部8から構成
され、各構成要素の概略は以下の通りである。
【0028】入力処理部3にはプラント1からの図示し
ない複数箇所に配設された検出器により測定された複数
の観測値Mtが入力され、観測値Mtに基づきプラント
が定常状態にあるか否かの判定を周期的に行う。
【0029】ここで、検出器は例えばプラント中の流体
の圧力を測定する圧力センサー、流体の流量を測定する
流量センサー、プラント内の温度を測定する温度センサ
ーであり、原子力プラントでは中性子線量センサーも該
当し得る。観測値Mtはこれら検出器による測定の対象
となる圧力、流量、温度等の情報をいい、tはそれぞれ
の測定対象、測定箇所等を識別する添え字である。
【0030】異常状態判定部4は観測値Mtが許容範囲
から逸脱したか否かによって、プラントが異常状態にあ
るか否かの判定を行うものである。具体的にはそれぞれ
の観測値Mtに対する計画値とその許容値が記憶されて
おり、その記憶された情報に基づいて観測値Mtが計画
値から逸脱しているか否かの判定を周期的に行う。
【0031】モデル生成部5はプラントの動特性を表し
た基本式を備えており、入力処理部3においてプラント
が定常状態にあると判定されたときに、基本式に基づき
観測値Mtを摂動点とする近似モデルを生成する。
【0032】因果関係導出部6はモデル生成部において
生成された近似モデルを用いて、プラントの特定の異常
状態がどの異常状態から発生し得るかという異常状態相
互間の因果関係を導出する。
【0033】伝播経路推定部7では異常状態判定部4に
おいてプラントが異常状態であると判定された場合に、
因果関係導出部6において求められた異常状態相互間の
因果関係を用いて、異常状態の伝播経路を推定する。
【0034】状態表示部8は伝播経路推定部7において
推定された伝播経路等を例えばCRT等の表示手段によ
って表示する。
【0035】図2は上記構成による処理の流れを示す処
理フロー図である。図2に示す処理フローは第1ステッ
プS1から第6ステップS6まで、それぞれ入力処理部
3、異常状態判定部4,モデル生成部5、因果関係導出
部6、伝播経路推定部7、状態表示部8における処理内
容に対応する。以下、それぞれのステップにおける処理
内容の詳細を説明する。
【0036】(第1ステップ)第1ステップS1は入力
処理部3における処理内容を示しており、プラントの観
測値Mtを周期的に取り込み、プラントが定常状態にあ
るか否かの判定を周期的に行う。この判定には次の
(1)式で示す条件がそれぞれの観測値Mtに対して満
たされたときにプラントが定常状態にあると判定する。
【0037】
【数5】 ここで、Mdは観測値Mtに対する変化判定用閾値であ
り、それぞれの観測値Mt毎にノイズや測定誤差等を考
慮して設定される。
【0038】式(1)は観測値Mtの時間勾配を変化判
定用閾値Mdより小さいか否かを判定する判定条件であ
る。個々の観測値Mtについて式(1)が満たされたと
きは、その観測値Mtが時間的に変化していないと言え
る。そして、それぞれの観測値Mtが時間的に変化して
いないときにはプラントが定常状態であると判定でき
る。逆に、観測値Mtの何れかが式(1)を満足しない
ときには、プラントは何らかの過渡的な状態にあること
になる。
【0039】このプラントが定常状態にあるか否かの判
定結果は、後の第3ステップにおいて用いられる。即
ち、プラントが定常状態にあると判定されたときに、第
3ステップにおいて近似モデルの生成が行われる。
【0040】(第2ステップ)第2ステップS2は、異
常状態判定部4における処理であり、観測値Mtが許容
範囲から逸脱したか否かによって、プラントが異常状態
であるか否かの判定を行う。具体的に次の式(2)で示
す条件が何れかの観測値Mtにおいて成立したときにプ
ラントが異常状態にあると判定する。
【0041】 |Mt−Mp| > Me …(2) ここで、Mpは観測値Mtに対する計画値、即ちプラン
トの運転を行う上で予定された値である。Meは計画値
Mpに対する許容範囲を定める許容値である。計画値M
pと許容値Meは何れも異常状態判定部4に記憶され
る。
【0042】式(2)は観測値Mtが計画値を逸脱して
いるか否かの判定条件であり、それぞれの観測値Mtに
対して周期的に行われる。ある観測値Mtが式(2)を
満足したときにその観測値Mtは計画値を逸脱している
ことになる。そして、何れかの観測値Mtが計画値から
逸脱したときにプラントが異常状態であると判定され
る。
【0043】許容値Meは警報の発報に対応する値に設
定することができる。一方、プラントの警報が発報する
以前の軽微な異常を発見する場合には、許容値Meはよ
り小さな値に設定することとなる。即ち、許容値Meは
その目的に合致するように適宜決定される。場合によっ
ては、許容値Meに複数の値を設定して、軽微な異常か
ら重大な異常に至るまでのいくつかの段階を区分するこ
とも可能である。
【0044】式(2)によってプラントが異常状態にあ
ると判定されたときには、計画値から逸脱した観測値M
tが計画値に対して大きい方に逸脱したか、小さい方に
逸脱したかが判断される。これはプラントの異常状態相
互を識別するためである。
【0045】以下にプラントの異常状態相互を識別する
方法について説明する。プラントの状態は観測値がn個
あるとすると次の式(3)で示す観測値Mtの組み合わ
せXで表すことができる。
【0046】 X=(M1、M2、 …、Mn) …(3) ここで、式(3)においてそれぞれの観測値Mtが計画
値から逸脱していない場合、計画値に対して大きい方に
逸脱している場合、計画値に対して小さい方向に逸脱し
ている場合の3つに分けてそれぞれをmtで表すことに
すると次の式(4)が成立する。
【0047】 X=(m1、m2、 …、mn) …(4) ここで、mtはそれぞれの観測値Mtの状態を表す整数
(以下「観測状態変数」という)であり、 観測値Mtが計画値から逸脱していない場合:0 観測値Mtが計画値から大きい方向に逸脱している場
合:+1 観測値Mtが計画値から小さい方向に逸脱している場
合:−1 の値をとるものとする。また、式(4)のXをプラント
状態表示と呼ぶこととする。
【0048】このようにして式(4)で表されるプラン
ト状態表示Xによってプラントの状態を判りやすく表現
できる。2つの異常状態が一致するか否かはそれぞれの
異常状態を表すプラント状態表示X1、X2においてそ
れぞれの観測状態変数mtがすべて一致することをい
う。
【0049】例えば、観測値が5個だとして X1=(+1,0,0,0,0)とX2=(+1,0,
0,0,0) は一致する(以下、「X1=X2」と表現する)。
【0050】しかし、 X1=(+1,0,0,0,0)とX3=(0,0,+
1,0,0) は不一致であり(以下、「X1≠X3」と表現する)、 X1=(+1,0,0,0,0)とX4=(−1,0,
0,0,0) も一致しない(X1≠X4)。
【0051】以上のようにしてプラントプラントの異常
状態は式(4)のように表現し得る。
【0052】プラントが異常状態であるときは、プラン
トが定常状態から逸脱した過渡的な状態にある場合が多
い。即ち、プラントが異常状態になったときには、プラ
ントは一つの状態に落ち着かず、異なった異常状態へと
推移してゆく場合が多い。これらの異常状態がどのよう
に推移する関係にあるかは、第4ステップにおいて異常
状態の伝播経路として推定される。
【0053】尚、異常状態であっても必ずしも過渡的な
状態であるとは限らず、定常状態である可能性もある。
定常状態か否かは既に述べたように式(1)で判定され
る。
【0054】(第3ステップ)第3ステップS3はモデ
ル生成部5における処理であり、入力処理部3にてプラ
ントが定常状態にあると判定した場合に、動特性を表す
基本式を用いて、観測値Mtを摂動点としてプラント動
特性の近似モデルを生成する。
【0055】以下にプラントとして、流体が流れる複数
の配管iが複数の分岐点jで結合され、各配管iに必要
に応じてポンプ等の昇圧手段が設けられている場合を例
にとり説明する。ここで、iは配管をjは分岐点を識別
するための番号である。
【0056】この場合のプラントの一例を図3の概略図
に示す。図3では配管1〜配管7、分岐点1〜分岐点
4、及び終端点aがあって、配管2、5,6にのみ昇圧
手段が設けられている。分岐点1では配管1,2,3,
7が、分岐点2では配管1,2,5が、分岐点3では配
管3,4,6が、分岐点4では配管4,5,6が結合さ
れている。終端点aには配管7のみが結合されている。
ここで、配管1〜7を流れる流体の質量流量(配管を単
位時間当たりに流れる流体の質量)をそれぞれW1〜W
7、分岐点1〜4及び終端点aにおける圧力をそれぞれ
P1〜P4及びPa、配管2,5,6における昇圧ヘッ
ド(昇圧手段による圧力上昇分)をそれぞれPh2,P
h5,Ph6として表している。なお、図3は概念的理
解のための単純な例であり実際のプラントでは配管、分
岐点の数は遙かに多くなっている。
【0057】このようなプラントでは、観測値Mtとし
て質量流量W、圧力Pをとることができる。昇圧ヘ
ッドPhは観測値Mtであるとともに、運転員により
操作可能な制御パラメータでもある。
【0058】配管iを流れる流体の運動量保存則は、例
えば以下の式(5)によって表される。
【0059】
【数6】 ここで、 In:配管iの流体慣性係数であり、配管の形状、寸
法に依存する係数 W:配管iにおける質量流量 ΔP:配管iの上流側分岐点と下流側分岐点間の圧力
差 Ph:配管iにおける昇圧ヘッド(ポンプ等の昇圧手
段によって生じた配管iの圧力上昇成分) Cf:流体が配管iを通って上流側分岐点から下流側
分岐点に移動したときの圧力損失を表わす圧力損失係数 t:時間 である。尚、分岐点jから配管iに流体が流れ込むとき
を分岐点jが配管iの上流側にあると定義し、配管iか
ら分岐点jに流体が流れ出すときを分岐点jが配管iの
下流側にあると定義する。圧力損失係数Cfはそれ自
体が直接測定対象となる訳ではないので、純粋な意味で
は観測値とは言えないが、観測値に準じて取り扱うこと
とする。圧力損失係数Cfは配管のバルブの開閉によ
って変動しうる変数であり、バルブの開閉状態の検知に
より間接的に把握しうる量である。運動量保存則を表す
式(5)は流体力学におけるナビエ・ストークスの式に
基づき、配管を流れる際の流体の粘性による圧力損失を
考慮した式である。
【0060】また、流体の圧縮を無視できる場合には配
管の分岐点jに流入、流出した流体の質量の総和に変化
がない。即ち、配管の分岐点jでの質量流量の総和が0
であることから、分岐点jにおける質量保存則は次の式
(6)によって表される。
【0061】
【数7】 ここで、分岐点jには配管1から配管LjまでLj本の
配管がつながっているとし、質量流量Wlは、分岐点へ
入ってくる方向を正、分岐点から出て行く方向を負とし
て扱うものとする。
【0062】尚、流体の圧縮が無視できる場合とは、例
えば液体ナトリウム、水のような圧縮性の低い液体を流
体として用いる場合が該当する。また、蒸気のような圧
縮性の流体であっても配管の分岐点の容量が小さい場合
には、分岐点における液体の圧縮が事実上無視できて式
(6)の適用が可能である。
【0063】式(5)、(6)はプラントの動的特性を
表す基本式であり、質量流量W、圧力P、圧力ヘッ
ドPhを変数とする連立微分方程式である。しかし、
式(5)は変数である質量流量Wに2次の項をもった
非線形方程式であり、取り扱い及び解を求めるのは容易
でない。そこで、式(5)を線形化して取り扱いを容易
にすることを考える。線形化されていない変数は質量流
量Wであるので、定常状態の質量流量Wを摂動点と
して用いて摂動点からの変動を新たな変数として式
(5)の線形化を行う。
【0064】入力処理部3において何れの観測値Mtも
変化していないと判定されたときはプラント全体が定常
状態にある。この定常状態における配管iの質量流量W
をそれぞれWtとする。このときの定常的な質量流
量Wtを摂動点として、摂動点からの変動を考えるこ
とで、次の(7)式の近似式を得る。
【0065】即ち、(5)式においてWをWt+δ
と置き換えて展開し、δWの2乗項を微少量とし
て無視する。
【0066】
【数8】 ここで、δWは質量流量の摂動点Wtからの変動成
分であり、具体的には式(8) δW=W−Wt …(8) で表される。以下、δWを流量変動と呼ぶことにす
る。
【0067】式(5)から定常状態の流量Wtを摂動
点として式(7)で表される線形化された近似式を得る
手段は、結局のところ定常的な観測値(摂動点)からの
変動成分について2次以上の項を無視することを意味す
る。この近似手段は式(5)について、定常的な観測値
からの変動成分(ここでは流量変動δW)を変数とし
た1次近似を行うものと言い換えても良い。この1次近
似の結果の式(7)は摂動点からの変動成分が極端に大
きくなければ元の式(5)を良く近似すると言える。
【0068】式(6)は線形の式であるので線形化する
必要はない。しかし、これと対になる近似式(7)に形
式上変数を一致させる必要があるため式の変形を行う。
このため、式(6)においても式(5)と同様にW
Wt+δWと置き換えて展開する。その結果を式
(9)に示す。
【0069】
【数9】 この式(9)は元の式(6)が質量流量Wについて2
次以上の項が存在しない関係で、元の式(6)と実質的
に全く同一の式である。即ち、式(9)は式(6)を近
似した結果導出されたものではない。
【0070】しかしながら式(7)と式(9)をひとま
とめにして、それぞれ運動量保存則と質量保存則に基づ
く近似式であると言うこととする。
【0071】配管の本数をn、分岐点の個数をmとする
と運動量保存則に基づく近似式(7)は配管の本数nだ
け導出され、これを行列によって表現すると以下の式
(10)のようになる。
【0072】
【数10】 ここで、 Anxn:配管iの流体慣性係数Inをi番目の対角
要素とするn行n列の対角行列 Bnxn:次の式をi番目の対角要素とするn行n列の
対角行列 配管iが終端点に結合していないとき :−2/Cf
・Wt 配管iが圧力Paの終端点に結合しているとき:Pa−
2/Cf・Wtnxm:次の数をi行j列の要素とするn行m列の行
列 分岐点jが配管iの上流側分岐点のとき:+1 分岐点jが配管iの下流側分岐点のとき:−1 分岐点jが配管iの分岐点でないとき :0 (分岐点jが配管iに直接結合してはいないとき) Dnxn:次の数をi番目の対角要素とするn行n列の
対角行列 配管iに昇圧手段が設置されているとき :1 配管iに昇圧手段が設置されていないとき:0 Pmx1:分岐点jにおける圧力Pをj番目の成分と
するm行の列ベクトル Phnx1:昇圧ヘッドPhをi番目の成分とするn
行の列ベクトル Hnx1:−Cf・(Wt)2をi番目の成分とす
るn行の列ベクトル δWnx1:配管iの流量変動δWをi番目の成分と
するn行の列ベクトルである。
【0073】具体例として図3のプラントを用いて説明
する。図3の場合には式(7)において配管i両端の圧
力差ΔPiは、ΔP1=P2−P1、ΔP2=P1−P
2、ΔP3=P1−P3、ΔP4=P4−P3、ΔP5
=P2−P4、ΔP6=P3−P4、ΔP7=Pa−P
1であり、かつ昇圧ヘッドPhが配管2,5,6のみ
にあるため以下の式(11)によって表される。
【0074】
【数11】 これを行列で表現すれば次の式(12)のように表さ
れ、これは式(10)と対応している。
【0075】
【数12】 質量保存則に基づく式(9)は分岐点の個数mだけ導出
され、行列を用いると次の式(13)によって表現でき
る。
【0076】
【数13】 ここで、 Enxn:次をi行j列の要素とするm行n列の行列 分岐点jが配管iの上流側分岐点のとき:+1 分岐点jが配管iの下流側分岐点のとき:−1 分岐点jが配管iの分岐点でないとき :0 (分岐点jが配管iに直接結合していないとき) である。
【0077】具体例として図3に示すプラントをとる
と、分岐点1〜4において、式(9)は以下の式(1
4)のように表される。
【0078】
【数14】 これを行列で表示すると以下の式(15)のようにな
り、式(13)と対応し ている。
【0079】
【数15】 このようにして、プラントの定常状態における観測値M
tである質量流量Wt(i=1,…n)を摂動点とし
たプラントの動特性の近似モデルを導出することができ
る。
【0080】以上から判るように動特性の近似モデル
は、運動量保存則及び質量保存則に基づく式(5)及び
式(6)を基本式としたものであり、式(7)及び式
(9)によって、行列を用いて表現すれば式(10)及
び式(13)によって表すことができる。
【0081】そして、式(7)、(9)及び式(1
0)、(13)の具体的内容はそれぞれのプラントにお
ける配管の接続状態を考慮して定まる。具体的には図3
の例において、式(7)、(9)は式(11)、(1
4)として、式(10)、(13)は式(12)、(1
5)として表現される。
【0082】これらの近似モデルは既に述べたように定
常的な観測値からの変動成分を変数とした1次近似であ
る。その結果、式(7)、(9)及び式(10)、(1
3)は流量変動δW、圧力P、及び昇圧ヘッドPh
を変数として、これら変数の線形結合の形で表されて
いる。このように近似モデルは運動量保存則及び質量保
存則に基づく式を1次式の形に線形化したものであり、
変数が1次の項のみで表されるから式の取り扱いや計算
処理が容易である。
【0083】今まで主として理解のしやすさのため運動
量保存則及び質量保存則を単純化した式(5)、(6)
によって取り扱い、質量流量Wt(i=1,…n)の
みを摂動点として用いることで線形化された近似式
(7)、(9)を導出している。
【0084】しかし、運動量保存則及び質量保存則に種
々の観測可能な物理量を加味することで、式(5)、式
(6)を更に精密な式に置き換えることができる。例え
ば、温度の変動に基づく流体の粘性や圧力の変動を式
(5)、(6)に取り入れたり、流体の圧縮性を式
(6)において考慮することができる。このようにして
近似モデルの基礎となる式を精密なものに置き換えて最
終的に導出される近似式の精度を向上することができ
る。
【0085】このときには摂動点に用いる観測値を増や
す必要があり、元の基礎式で線形化されていない変数の
全てを摂動点として用いることで、基礎式の線形化を図
ることができる。例えば、基礎式の中で観測値M1、M
2の積M1*M2で表される項があれば、定常状態にお
ける観測値M1及びM2の値M10,M20を摂動点と
して M1*M2=(M10+δM1)*(M20+δM2) …(16 ) とおいて、展開しδM1*δM2の項を無視することで M1*M2=M10*M20+M20*δM1+M10*δM …(17 ) と変形できる。このように変数M1、M2を変数とした
非線形な項であるM1*M2(式(17)の左辺)を摂
動M10及びM20からのそれぞれの変位δM1、δM
2を変数とした線形結合(式(17)の右辺)に変形す
ることができる。
【0086】(第4ステップ)第4ステップS4は因果
関係導出部6における処理であり、プラントの特定の異
常状態がどの異常状態から発生し得るかという異常状態
相互間の因果関係を導出する。この因果関係導出に際し
て、モデル生成部5において生成された近似モデルを用
いる。導出された因果関係はデータベースとして登録さ
れる。尚、異常状態は観測値の値と対応するから、「異
常状態相互の因果関係」は「観測値相互間の因果関係」
と言い換えても良い。
【0087】ここで、プラント状態の識別について具体
的に説明する。既に述べたように、観測値の変動には計
画値に対して正(値が大きい方向)又は負(値が小さい
方向)の双方があり、プラントの状態としてもこの正負
がそれぞれ変動した状態はそれぞれ別個の状態として扱
う。プラントの状態をXとすると、プラント状態Xは式
(4)で表現でき、また識別できる。具体例として、配
管jの流量Wが正方向に変化した状態をプラント状態
Aとして、配管kの昇圧ヘッドPhの負方向に変化し
た状態をプラント状態Bとする。このプラント状態A,
Bは変動が生じた観測値Mt及び変化の方向の何れも互
いに相違しており全く別の状態であると言える。
【0088】既に述べたようにプラントが異常状態にあ
るときはプラントが過渡的な状態にある場合が多いた
め、一つの異常状態から他の異常状態へと推移してゆく
可能性がある。いい換えれば一つの異常状態の発生は他
の異常状態の発生原因となり、異常状態相互は互いに因
果関係で結びつけられている。
【0089】プラント状態の過渡的な推移を簡単に整理
するために、プラント状態間の因果関係を用いる。以下
に因果関係について具体的に説明する。プラント状態A
がプラント状態B、C又はDのいずれからも発生し得る
ものだとすると、これはプラント状態Aとプラント状態
Aの前にとりうるプラント状態B、C、Dの間が因果関
係で結ばれていることになる。
【0090】プラント状態を結んだ因果関係はデータベ
ースとして登録できる。図4は発生するプラント状態毎
に因果関係を整理して、フレーム形式で表した因果関係
データベースの1例である。プラント状態Aを発生する
プラント状態として、プラント状態B,C及びDがある
ことが記載されている。このようにしてプラント状態間
の因果関係の全てを因果関係データベースとして整理で
きる。
【0091】モデル生成部5において導出した近似モデ
ルから異常状態間の因果関係を求めるのは、式(1
0)、(13)を連立して時間的推移を計算することで
行える。時間的推移の計算は、例えばオイラー法やルン
ゲ・クッタ法による数値計算をコンピュータによって行
うことで容易に実行可能である。そして、ある観測値が
変化した場合に他の観測値にどのような影響を与えるか
が時間的推移の計算によって判る。即ち、観測値間の因
果関係が求められる。
【0092】観測値間の因果関係導出の流れを具体的に
示したのが図5,図6である。図5と図6はそれぞれA
とBによって結ばれており、全体で一つのフローチャー
トを表す。ここでは配管が全部でn本あってi番目の配
管において流量変動がδWi、昇圧ヘッドがPhであ
るとする。ここで、昇圧ヘッドPhの起因である昇圧
手段は配管の全てに備えられているとは限らず、図3の
ように配管7本中3本にのみ存在する場合がある。
【0093】図5,6に示されるようにj番目の配管の
昇圧ヘッドPhが計画値から正方向に逸脱した場合に
i番目の配管の流量変動δWが正負何れに変動する
か、或いは変動が起きないか(事実上変動量が無視し得
る程度に小さいか)を全ての配管iに対して求める。そ
して、流量変動δWが正又は負に変化した状態が、昇
圧ヘッドPhが正又は負に変化した状態から発生する
か否かを登録する。このようにして、昇圧ヘッドPh
の変化が流量変動δWに与える影響が求められ、因果
関係データベースの作成が可能となる。なお、図5,6
には示していないが、配管jに昇圧手段が存在しない場
合には、昇圧手段が存在する配管になるまでjを増加さ
せ、改めて昇圧ヘッドPhへの逸脱した値を設定する
のは言うまでもない。
【0094】図5,6では許容範囲に対する逸脱した値
の設定は昇圧ヘッドPhについてのみ行い、その結果
が流量変動δWに与える影響を求めている。しかし、
これは理解の容易のために話を単純化したためであっ
て、実際には圧力P、流量変動δWも含めた観測値
に基づく変数についてそれぞれを変化させて、その変化
が他の観測値に対して正負何れの変化を引き起こすかを
求めて、因果関係データベースを作成する。ここで、圧
力損失係数Cfは観測値に準じ、他の観測値に及ぼす
影響を求める対象となる。これは圧力損失係数Cf
配管の弁の開閉等により変化しうる量だからである。例
えば、配管の弁の開閉機構が故障して、圧力損失係数C
が低下し、それが異常状態の発生原因となることも
あり得る。
【0095】結局、観測値以外にも異常状態を発生させ
る原因となりえる変数は許容範囲に対する逸脱した値の
設定の対象となり得る。そして、ある変数の値が変化し
たときに他の変数にどのような影響を与えるかが変数間
の因果関係として求められる。
【0096】以上のようにして因果関係導出部6におい
ては近似モデルの式(10)、(13)を用い、それぞ
れの観測値を変化させて他の観測値に及ぼす変化、即ち
異常状態間の因果関係を求め、これから因果関係データ
ベースを作成する。なお、上記のように「観測値間の因
果関係」とは純粋な意味での観測値以外をも含む広義な
意味に解釈する必要がある。
【0097】(第5ステップ)第5ステップS5は、伝
播経路推定部7における処理であり、異常状態判定部に
おいてプラントが異常状態にあると判定されたときに、
因果関係導出部によって作成された因果関係データベー
スに記述された異常状態間の因果関係を用いて、判定さ
れた異常状態の伝播経路を推定する。
【0098】まず図4に例示した因果関係データベース
を利用して、異常状態と判定されたときの異常状態がデ
ータベースに登録された異常状態のどれに該当するかが
判定される。この判定に例えば式(4)にあらわされた
プラント状態表示を比較することで行える。
【0099】その次に、因果関係データベースに基づき
異常状態と判定されたときの異常状態に至るまでに取り
うる異常状態の伝播経路を推定する。異常状態の伝播経
路は、異常状態間をネットワーク構造で結んだプロパゲ
ーション・シーケンスとして表される。
【0100】一例として、図7の異常状態の関連図に異
常状態間の因果関係の全体を示し、伝播経路の推定方法
を具体的に説明する。図7はプラント状態A〜Iの因果
関係を示したもので、因果関係データベースにそれぞれ
フレーム形式で記述された次の個別情報をまとめたもの
である。
【0101】 ・ Aの発生条件には、B,C,Dがある。 ・ Bの発生条件には、Hがある。 ・ Cの発生条件には、Gがある。 ・ Dの発生条件には、Eがある。 ・ Eの発生条件には、F,Gがある。 ・ Fの発生条件には、Dがある。 ・ Gの発生条件には、Iがある。 ・ Hの発生条件には、Iがある。 ・ Iの発生条件には、Fがある。
【0102】ここで、異常状態判定部4にて、観測値の
いくつかの値が許容範囲を逸脱したと判定されたとす
る。許容範囲からの逸脱の結果、異常状態A,C,D〜
Gが実際に生じたとすると、これら発生した異常状態に
ついて以下の処理を行う。先ず、図8の処理過程におけ
る異常状態の関連図に示すように、異常状態の全てにつ
いて「プロパゲーション・シーケンスの最下流にある」
ことを示すフラグ(縞)(以下、図面による説明の便宜
上から、最下流を縞フラグ、最上流を白フラグとして区
別する)を立てておく。
【0103】次に、異常状態毎に自分自身を発生させる
条件を全て調査して、成立しているものがあれば、その
条件が成立しているかを示すパスを保存し、そのパスの
上流の異常状態において最下流フラグ(縞)を倒す。な
お、自分自身を発生させる条件が成立していない場合に
は、最下流フラグ(縞)を倒して、「プロパゲーション
・シーケンスの最上流にある」ことを示すフラグ(白)
を立てる。
【0104】この処理を全ての異常状態に対して施すこ
とにより、図9の異常状態の関連図に示すように、最下
流と最上流の異常状態を同定することができる。次いで
図10の異常状態の経路図に示すような、プロパゲーシ
ョン・シーケンス上のパスを認識することができる。
【0105】生成されたパスを用いて、異常状態の経路
を探索することにより、プロパゲーション・シーケンス
の生成を行う。プロパゲーション・シーケンスの1例を
図11に示す。異常状態がCOND(1)からCOND
(4)まで4つに区分され、区分された異常状態間がパ
スで結びつけられている。同一の区分にある状態は状態
間での発生、移行の関係において互いに対等な関係にあ
る。このときを同一の競合状態グループに属するとい
う。例えば、状態D,E,Fは同一の競合状態グループ
としてCOND(3)に属している。
【0106】プロパゲーション・シーケンスの生成手順
を、図12の処理フロー図に示す。「M←1」12で競合
状態グループを識別する変数Mに1が代入されると、
「異常状態(PV(i))の上流となる異常状態の調査
ルーチンのスタート」13から、「PV(i)を調査リス
ト(LIST)に記入」14と、「N←PV(i)の上流
となる異常状態の数」15を経由して「N=0?」16に行
く。この「N=0?」16において、Yesでは「リター
ン」17へ、またNoでは「L←1」18へ進み、次いで
「PV(i)のL番目の上流となるPV(j)はLIS
Tにあるか?」19に行く。尚、「←」はその左辺の式に
その右辺の式又は値を代入することをいい、「?」はそ
の左辺の条件が成立しているか否かを判断する判断条件
である。
【0107】この19においてYesならば、「LIST
中のPV(j)からPV(i)までの異常状態を競合状
態グループとする。PV(j)が先に定義した競合状態
グループに属する場合は、その競合状態グループにある
異常状態を含めるものとする。」20を経由し、さらに
「L←L+1」21から「L≦N?」22に至り、この22で
Yesならば再び上記19へ戻り、Noならば「リター
ン」17へ進む。即ち、19は競合状態グループの判定条
件であり、判りやすく言えばある異常状態(ここではX
とする)の上流を遡っていった結果、再び同一の異常状
態Xに戻ってきたときに、その間に通った異常状態が競
合グループに属すると判定する。そして、状態Xの上流
に向かっての調査が終了した時点で状態Xが属する競合
グループが確定する。
【0108】また上記19においてNoの場合は、「PV
(j)は既に調査完了状態として登録されているか?」
23に進み、Yesで「PV(j)の登録された調査完了
状態のIDをPV(i)の上流として記録する」24を経
由して「L←L+1」21へ進む。
【0109】なお、上記23でNoであれば、「PV
(j)の上流となる異常状態の調査ルーチンのスター
ト」25を経由して、「PV(j)は、PV(i)と同一
の競合状態グループにあるか?」26に進み、ここでYe
sならば、上記「L←L+1」21に進む。なお、25の意
味については後で詳しく説明する。
【0110】上記26でNoの場合には、「PV(j)が
競合状態グループに属するか?」27に進み、この27にお
いてYesならば、「PV(j)が属する競合状態グル
ープの全てのPVを、IDをMとした調査完了状態CO
ND(M)に登録する」28を経由して、「調査完了状態
COND(M)に登録した異常状態をLISTより削除
する」29に進む。
【0111】さらに、上記29からは「COND(M)に
属する異常状態の上流として記録された全ての調査完了
状態のIDをCOND(M)の上流として登録する」30
と、「PV(i)の上流となる調査完了状態のIDとし
てMを記録する」31、さらに「M←M+1」32を経由し
て上記「L←L+1」21に進む。なお、上記27でNoの
時には、「PV(j)を、IDをMとした調査完了状態
COND(M)に登録する」33を経由して上記29に進
む。
【0112】次に、「PV(j)の上流となる異常状態
の調査ルーチンのスタート」25の意味について詳しく説
明する。25はいわゆる再帰的手続きを表すもので、図1
2の処理フロー自身を更に呼び出し、呼び出された処理
フローの13に処理が移行される。図12の処理フローは
直接的には調査ポイントiとそのすぐ上流のポイントj
のみについての処理フローを表している。そして、jか
らさらにその上流に遡った調査を行う際には、新たに呼
び出された処理フローの13に戻り13におけるiをjに置
き換えて、調査ポイントjとそのすぐ上流についての調
査が進められる。判り易くいえば図12の処理フローが
各調査ポイントi毎に存在し、その上流のポイントjに
調査ポイントを移す際には、図12の処理フローが新た
に生成されると考えればよい。そして、ポイントjでの
調査が終わればその「リターン」17から元のポイント
iを調査ポイントとする処理フローに処理が戻ってくる
ことになる。
【0113】もしポイントjからさらにその上流のポイ
ントkに調査ポイントを移行する必要があれば、ポイン
トkを調査ポイントとする処理フローが生成され、ポイ
ントjを調査ポイントとする処理フローの25からポイン
トkを調査ポイントとする処理フローの13に処理が移行
される。
【0114】以上のように、図12はそれぞれの調査ポ
イントの上流下流に対応した多層的な処理フローを表し
ている。このような再帰的処理は例えばCの様な再帰的
処理が可能なプログラム言語を利用することで容易に実
現できる。即ち、このときは図12の処理フローに対応
する形でプログラムを作成することが可能である。そし
て、図12の処理フローを表すプログラムが更に自分自
身をサブルーチンとして呼び出す処理がなされることに
なる。
【0115】なお、以上から判るように図12は再帰的
処理を利用することによって、上流下流の階層関係に渡
る調査を判りやすく表現したものである。プロパゲーシ
ョン・シーケンスの生成手順に必ずしも再帰的処理を用
いなければならないというわけではない。従って、例え
ばFORTRANのような再帰的処理を行いにくいプロ
グラム言語を利用して、実質的に図12と同一の処理フ
ローを実現することが可能である。
【0116】次に上記図10を例として、図12に示す
プロパゲーション・シーケンスの生成手順を具体的に示
す。図13は処理手順図であり、図10の場合に形成さ
れる調査リストと競合状態グループ、及び調査完了状態
等の経過を表している。
【0117】図10では、最下流の異常状態はAである
ことが認識されている。この調査ポイントをAとして、
このAから経路探索を始める。先ず、Aを調査リストに
記入してAの上流であるCを見る。Cは調査リストにも
記入されてなく、また、調査完了状態としても登録され
ていないために、次に調査ポイントをCに移し、そこ
で、Cを調査リストに記入してCの上流であるGを見
る。
【0118】このGは調査リストにも記入されてなく、
また、調査完了状態としても登録されていないために、
次に調査ポイントをGに移し、そこで、Gを調査リスト
に記入するが、Gの上流はないので調査ポイントをCに
戻す。この際に、CとGは競合状態グループになく、ま
たG自体も競合状態グループに属さないことから、Gだ
けをIDを1とした調査完了状態(COND(1))に
登録する。
【0119】次に、Gを調査リストより削除して、Cの
上流となる調査完了状態のID:1を記録する。また、
Cの上流にはG以外にはないために、調査ポイントをA
に戻す。この際に、AとCは競合状態グループになく、
またC自体も競合状態グループに属さないことから、C
だけをIDを2とした調査完了状態(COND(2))
に登録する。
【0120】次に、Cを調査リストより削除して、CO
ND(2)の上流となる調査完了状態ID:1を登録
し、Aの上流となる調査完了状態のID:2を記録す
る。次いで、Aの上流であるDを見る。Dは調査リスト
にも記入されてなく、また、調査完了状態としても登録
されていないために、次に調査ポイントをDに移す。そ
こで、Dを調査リストに記入してDの上流であるEを見
る。Eは調査リストにも記入されてなく、また、調査完
了状態としても登録されていないために、次に調査ポイ
ントをEに移す。
【0121】次にEを調査リストに記入して、このEの
上流であるFを見る。Fは調査リストにも記入されてな
く、また、調査完了状態としても登録されていないため
に、次に調査ポイントをFに移す。そこで、Fを調査リ
ストに記入してFの上流であるDを見る。Dは既に調査
リストにも記入されており、調査リスト中のDからFま
でを競合状態グループとして調査ポイントをEに移す。
【0122】ここで、EとFは同一の競合状態グループ
にあるために、調査完了状態の生成はせずにEの上流で
あるGを見る。Gは調査リストにはないが、ID:1の
調査完了状態として登録されているために、Eの上流と
なる調査完了状態としてID:1を登録して、調査ポイ
ントをDに移す。
【0123】ここで、DとEは同一の競合状態グループ
にあるために、調査完了状態の生成はせずに調査ポイン
トをAに移す。AとDは同一の競合状態グループにはな
いために、競合状態グループ(D,E,F)をID:3
の調査完了状態(COND(3))として登録して、
D,E,Fを調査リストから削除する。
【0124】また、Eの上流である調査完了状態(CO
ND(1))を、COND(3)の上流調査完了状態と
して登録する。さらに、探索開始ポイントであるAに戻
った段階で、AだけをID:4の調査完了状態(CON
D(4))として登録し、Aの上流として記録したI
D:2、及びID:3の調査完了状態を、COND
(4)の上流調査完了状態として登録する。
【0125】上記の一連の処理により、各異常状態の競
合関係及び位置づけを明確にされ、図12の伝播経路図
に示すプロパゲーション・シーケンスが認識される。こ
のプロパゲーション・シーケンスは、事象の推移を表す
ものであり、上記の処理により異常状態の伝播経路が推
定される。
【0126】なお、図10の例では、最下流の異常状態
が認識されているが、この最下流の異常状態が競合し合
って、最下流の異常状態が認識されない場合がある。そ
の場合には、任意の異常状態から調査を開始して、すべ
ての異常状態を検索完了するまで繰り返すことにより、
プロパゲーション・パスを生成することができる。
【0127】(第6ステップ)第6ステップS6は、状
態表示部8における状態表示処理で、状態表示部8では
上記伝播経路推定部7で推定された異常状態の伝播経路
を状態表示部8に備えた例えばCRT等の表示手段を用
いて運転員に提供する。
【0128】具体的には図11の様な形でプロパゲーシ
ョン・シーケンスが表示されることになる。これによっ
て、運転員はプラントに発生した異常状態A、C〜Gの
うちGが最上流の異常状態でAが最下流の異常状態であ
ること、言い換えれば最初に発生し得る異常状態がGで
最後に発生し得る異常状態がAであることが容易に認識
できる。異常状態とは何れかの観測値が許容範囲を逸脱
しているのであるから、許容範囲外となったその観測値
を測定した検出器の設置個所と対応する関係にある。即
ち、最初に発生した異常状態に対応した検出器の設置個
所に何らかの故障が発生していることが考えられる。こ
のようにして運転員はプロパゲーション・シーケンスを
利用して、故障個所を推察することが容易となる。
【0129】以上のように、本第1実施形態によれば、
プラント1が定常状態であるときに、プラント1の異常
状態相互間の因果関係を求めて因果関係データベースを
作成して、観測値が許容範囲から逸脱したときに因果関
係データベースを用いて異常状態の伝播経路を自動的に
推定することが可能であり、プラント1の異常状態を適
切に運転員に提示することができる。
【0130】〔第2実施形態〕本発明の第2実施形態の
構成は第1の実施形態と同様に図1で示される。プラン
ト1に入力処理部3、異常状態判定部4,モデル生成部
5、因果関係導出部6、伝播経路推定部7,及び状態表
示部8から構成されたプラント状態監視システム2が接
続されている。
【0131】第2の実施形態が第1の実施形態と相違す
る点はモデル生成部5と因果関係導出部6における動作
内容にある。第1の実施形態では近似モデルの式(1
0)、(13)が微分方程式の形式であったのに対し
て、第2の実施形態においては伝達関数を用いて近似モ
デルを表し、この近似モデルを用いて因果関係の導出を
行う。
【0132】ここで式(10)、(13)の行列A
nxn、Bnxn、Cnxm、Dnxn、Emxn、を
それぞれm行m列の部分正方行列とそれ以外の行列に、
列ベクトルδWnx1、Phnx1、Hnx1をそれぞ
れm行の部分列ベクトルとそれ以外の部分列ベクトルに
分解する。Anxn、Bnxn、Dnxnは既に示した
ように対角行列であり対角成分以外の成分は0である。
すると、以下のように式(10)、(13)をそれぞれ
式(18)、(19)のように表すことができる。
【0133】
【数16】 ここで、A1mxm,A2(n−m)x(n−m):A
nxnの部分行列であるそれぞれm行m列、(n−m)
行(n−m)列の行列 B1mxm,B2(n−m)x(n−m):Bnxn
部分行列であるそれぞれm行m列、(n−m)行(n−
m)列の行列 C1mxm,C2(n−m)xm:Cnxmの部分行列
であるそれぞれm行m列、(n−m)行m列の行列 D1mxm,D2(n−m)x(n−m):Dnxn
部分行列であるそれぞれm行m列、(n−m)行(n−
m)列の行列 Ph1mx1,Ph2(n−m)x1:Pnx1の部分
列ベクトルであるそれぞれm行、(n−m)行の列ベク
トル H1mx1,H2(n−m)x1:Hnx1の部分列ベ
クトルであるそれぞれm行、(n−m)行の列ベクトル δW1mx1,δW2(n−m)x1:δWnx1の部
分列ベクトルであるそれぞれm行、(n−m)行の列ベ
クトル 0:零行列 である。
【0134】
【数17】 ここで、 E1mxm,E2mx(n−m):Enxnの部分行列
であるそれぞれm行m列、m行(n−m)列の行列であ
る。
【0135】式(18)、(19)は展開すると次のよ
うな式(20)、(21)によって表せる。
【0136】
【数18】
【数19】 ここで、A1、A2、B1,B2、C1,C2、D1,
D2、E1,E2、P、Ph、Hは式(18)、(1
9)で既に使用した行列あるいはベクトルであり、添え
字の表示を省略している。
【0137】式(20)、(21)をラプラス変換する
ことで、次の式(22)、(23)、(24)、(2
5)に変形できる。
【0138】 s・A1・δW1=B1・δW1+C1・P+D1・Ph1+H1 …(22 ) s・A2・δW2=B2・δW2+C2・P+D2・Ph2+H2 …(23 ) s・E1・δW1=0 …(24 ) s・E2・δW2=0 …(25 ) ここで、 s:ラプラス変換の複素数 である。
【0139】次にPhに対するδWの伝達関数を求める
方法を示す。
【0140】式(22)、(23)から行列Pを消去
し、式(24)、(25)を用いることで次の式(2
6)が得られる。
【0141】 s・δW=Γ・δW+Λ・Ph+Ζ …(26) ここで、
【数20】 である。式(26)から次の式(28)が導出できる。
【0142】 δW=(s・I−Γ)−1・(Λ・Ph+Ζ) …(28) ここで、 I:単位行列 である。
【0143】式(23)からPhに対するδWの伝達関
数は (s・I−Γ)−1・Λ …(29) であることが判る。
【0144】ここで、(s・I−Γ)−1・Λのi行j
列の要素をgij(s)として、(s・I−Γ)−1
Λを次の式(30)のように
【数21】 で表す。Phに対するδWの伝達関数はg
ij(s)あり、従ってPhの変動に対するδW
ゲインはgij(0)であることが判る。
【0145】以上は、式(27)から判るように、C1
m×mは正則、即ち逆行列をもつことが条件である。C
1を正則とする手法を次に示す。
【0146】図3のプラントを例にこれを示す。このプ
ラントは既に示したように、式(10)、(13)は具
体的には式(12)、(15)によって表される。この
とき、行列C1は式(31)のようになる。
【0147】
【数22】 このときには行列C1の行列式の値は0であり、従って
行列C1は正則ではない。C1を正則にする一つの方法
は行列の行および列の順番を入れ替えることである。例
えば行および列の順番を入れ替えてC1が0の対角要素
をもたない三角行列とすることで、C1を正則にするこ
とができる。このことは三角行列の行列式の値は対角要
素の積となることから言える。
【0148】これは以下の操作によって行える。
【0149】まず行の順序を変更する。
【0150】(1)境界となっている部分につながって
いる配管の運動量保存則の式(7)を行列の1行目とす
る。図3のプラントでは配管7がこれにあたる。
【0151】(2)次の行に(1)で選択した配管の分
岐点と他の分岐点につながる配管の運動量保存則の式を
配置する。図3のプラントでは配管7の分岐点1につな
がった配管1,2、3何れかの運動方程式を選択でき
る。
【0152】(3)全ての分岐点が選択されるまで
(2)を繰り返す。
【0153】図3のプラントにおいて場合分けをして示
すと次のようになる。
【0154】 操作(2)で配管1を選択した場合 配管1の分岐点1又は2に接続される配管3又は5を選
択できる(配管2は配管1の分岐点1に接続されている
が、選択済みの分岐点のみに接続されているので、選択
できない)。これを更に場合分けすると次のようにな
る。
【0155】a.で配管3を選択した場合 配管3の分岐点3に接続された配管4又は6を選択でき
る。
【0156】b.で配管5を選択した場合 結果的にはaと同様に配管4又は6を選択できる。
【0157】 操作(2)で配管2を選択した場合 結果的には(1)と同様に配管3又は5を選択でき、そ
の次に配管4又は6を選択できる。
【0158】 (2)で配管3を選択した場合 分岐点1に繋がった配管1又は2、分岐点3に繋がった
配管4又は6の何れかを選択できる。これを更に場合分
けすると次のようになる。
【0159】a.で配管1を選択した場合:分岐点2
に繋がった配管5を選択できる。 b.で配管2を選択した場合:分岐点2に繋がった配
管5を選択できる。 c.で配管4を選択した場合:分岐点4に繋がった配
管5を選択できる。 d.で配管6を選択した場合:分岐点4に繋がった配
管5を選択できる。
【0160】(4) 残りの配管についての運動量保存
則の式を操作(3)までにできあがった行列の下に配置
する。
【0161】(5)操作(4)を行った行列の列の順番
を選択した分岐点の順に並べ直す。例えば、配管を7−
3−1−5の順に選択した場合には分岐点1−3−2−
4の順に選択したことになり列2と3の順番を入れ替え
ることになる。なお、操作(5)の列の順序変更は操作
(1)から(4)の行の順序変更と同時に行っても差し
支えない。
【0162】図3のプラントについて以上の操作を行っ
た結果、選択される配管の組み合わせを示すと以下の通
りである。
【0163】 ・7−1−3−4 ・7−1−3−6 ・7−1−5−4 ・7−1−5−6 ・7−2−3−4 ……(途中は省略)…… ・7−3−4−5 ・7−3−6−5 ここで、例えば7−2−3−4とは配管7,2,3,4
を順に選択することを表す。
【0164】7−2−3−4の順に配管を選択した場合
の運動量保存の行列式(10)は以下の式(32)で表
される。
【0165】
【数23】 なお、この例では分岐点の選択は1−2−3−4の順序
で行われているため、行列の列の順序には変更がない。
【0166】すると行列C1は次の式(33)のように
対角要素が0でない三角行列となり、行列C1が正則と
なる。
【0167】
【数24】 図3のプラントにおいて、7−2−3−4以外の場合も
同様に行列C1が正則であることが判る。
【0168】以上のようにしてPhに変動があったと
きのδWの変化が式(30)の伝達関数で表せる(モ
デル化できる)ことが判った。このように第2の実施形
態においてモデル生成部5でのモデル化が行われる。P
hとδW以外の関係のモデル化も同様に行える。
【0169】因果関係導出部6での処理は第1の実施形
態で近似モデルが式(10)、(13)の微分方程式で
あったのが、式(30)の伝達関数で表される以外は特
段変わることはない。因果関係の導出のフローは第1の
実施形態の場合の図6と同様である。図6の「式(1
0)、式(13)を連立し、δW (i=1,2,…
n)の時間的挙動をシミュレーションし最大の変化幅を
求める」を「式(24)のgij(0) (i=1、
2,…n)を掛けてδWを求める」と変えるだけで他
の部分に実体的な変更はない。
【0170】以上のように第2の実施形態においてはモ
デルが伝達関数で表され、時系列演算を要しないことか
ら因果関係の導出が速やかに行われる。
【0171】状態表示部8は伝播経路推定部7で推定さ
れたプロパゲーション・シークエンスを出力すると共
に、運転員の要求に応じてプラント状態相互間の伝達特
性を示す指標として伝達関数と伝達関数から算出された
時定数を表示手段を用いて運転員に提供する。
【0172】時定数の算出は以下のようにして行う。
【0173】(1)伝達関数の極s1を求める。極とは
伝達関数がA(s)/B(s)の形の関数で表したとき
の伝達関数の特性を表す 特性方程式:B(s)=0 の根s1をいう。即ち、伝達関数の分母を0とする値で
ある。
【0174】(2)時定数を求める。即ち、極s1の実
数部が伝達特性の指数関数的増大、減少を表す時定数と
なる。なお、極s1の虚数部は伝達特性の周期と対応す
る。
【0175】以上のように伝達関数、時定数が表示され
ると運転員は観測値間の伝達特性を確認できるととも
に、制御可能な観測値を運転員の操作により変化させた
ときに他の観測値に与える影響を事前に評価することが
できる。
【0176】〔第3実施形態〕本発明の第3実施形態の
構成は第1及び第2の実施形態と同様に図1で示され
る。プラント1に入力処理部3、異常状態判定部4,モ
デル生成部5、因果関係導出部6、伝播経路推定部7,
及び状態表示部8から構成されたプラント状態監視シス
テム2が接続されている。
【0177】第3の実施形態が第1及び第2の実施形態
と相違する点は異常状態判定部4における動作内容にあ
る。ここでは、異常状態判定部4において観測値Mtが
許容範囲から逸脱しているか否かの判断を行うのに際
し、プラント1からの観測信号毎に対数平均処理を施
し、その対数平均値と現在の値との差に基づき異常状態
か否かを判定する処理を行う。
【0178】次にこの処理内容の詳細を説明する。プラ
ント1における通常運転時における緩やかな状態の変化
は、殆どのものが一次遅れ特性を有している。例えば、
原子力プラントにおける原子炉の炉心内から制御棒を引
き抜く時の原子炉出口温度の変化、あるいは、冷却材流
量変更時の中間熱交換器や蒸発器、及び過熱器等の出口
温度の変化等、一つの操作に対応した観測値の変化は、
いずれも一次遅れ特性で近似することができる。尚、一
次遅れ特性とは伝達関数では1/(1+T0・s)で表
され、時定数T0の指数関数で表される応答の遅れを有
する応答特性をいう。
【0179】通常の運転時では、一つの運転操作が完了
して状態が落ち着いてから次の運転操作を行うのが通例
である。このため、運転操作を行っていない通常運転に
おいてはその直前に行った操作のみを考慮すれば足り
る。従って、直前に行った操作に対して一次遅れ特性を
有するプロセスでの観測値は、一次遅れ特性を反映して
過去から現在に至るまで指数関数的に変化することにな
る。
【0180】このような通常運転時における異常状態の
変化を検知するには、次の式(34)を用いるのが便宜
である。
【0181】
【数25】 ここで、 P:観測値 T1:時定数 t:時間 τ:サンプリング周期 i:正の整数 である。
【0182】式(34)は観測値の現在の値と対数平均
値との差Dを求めるものである。対数平均値をとること
は、現在の値を過去の値に比べて重みをつけて観測値の
平均を求めることを意味する。そして、時定数T1は現
在からどこまで過去の時点までを重視した重み付けをす
るかを決める値である。即ち、現時点から時定数T1ま
での過去の観測値が、主として平均値に反映され、それ
以前の観測値は無視される傾向にある。その結果、現在
の値と対数平均値との差Dは現時点から時定数T1まで
遡った過去の範囲での観測値に対して、現在の観測値が
変化しているか否かを示す指標として利用できる。時定
数T1はプロセスの応答特性を考慮して選択し、例えば
一次遅れの時定数T0に対して小さな値を選択すること
により、一次遅れによる観測値の変動の影響を低減でき
る。なお、サンプリング周期τは時定数T1に対して小
さな値を、整数Nはτ・Nが時定数T1に対して大きな
値になるようにすると計算される対数平均の値にバラツ
キが出にくくなる。
【0183】式(34)を用いてプロセスが異常状態で
あるか否かを判定するには、予め観測値ごとに許容値を
定めておき、現在の値と対数平均値との差Dの絶対値が
その許容値より大きいときにプラントが異常状態にある
と判定する。これは広い意味では観測値Mtが許容範囲
から逸脱しているか否かの判断を行うということであ
り、その意味では第1の実施形態のステップ2で示した
異常状態の判定法と共通している。
【0184】異常状態であると判定されたときは、現在
の値と対数平均値との差Dの正負を判定する。これは第
1実施形態のステップ2で述べたと同様に、プラントの
異常状態相互を識別するためである。結局、差Dが予め
定められた正の値より大きい場合には+(プラス)方向
に、また、差Dが予め定められた負の値より小さい場合
には−(マイナス)方向に変化していると判断される。
プラントの異常状態の表示には第1実施形態での式
(4)と同様の式を用いることができる。即ち、次の式
(35)で表されるプラント状態表示Xを用いて異常状
態が表示できる。
【0185】 X=(m1、m2、 …、mn) …(35) ここで、mtはそれぞれの観測値Mtの状態を表す整数
(観測状態変数)であり、 観測値Mtが許容範囲から逸脱していない場合:0 観測値Mtが許容範囲から+方向に逸脱している場合:
+1 観測値Mtが許容範囲から−方向に逸脱している場合:
−1 の値をとるものとする。
【0186】異常状態であると判定されたときは、因果
関係導出部6で導出された異常状態の因果関係を用いて
伝播経路推定部7において異常状態の伝播経路が推定さ
れる。そして、状態表示部8によって異常状態の伝播経
路が表示される。因果関係の導出に際してはモデル生成
部5で生成された近似モデルが用いられる。
【0187】本第3実施形態では異常状態の判定以外に
ついては、第1の実施形態と変わることがないので、詳
細な説明を省略する。
【0188】このように、本第3実施の形態は、異常状
態の判定について第1の実施形態より優れた点がある。
即ち、本第3実施の形態では計画値を設定することなく
異常状態を判定できる。また、プロセスが一次遅れ特性
を有する場合の様に、観測値が変化している場合におい
ても異常状態の判定が容易に行える。
【0189】そして、本第3実施形態によれば第1実施
形態と同様に以下が行える。即ち、プラント1が定常状
態であるときに、プラント1の異常状態相互間の因果関
係を求めて因果関係データベースを作成し、観測値が許
容範囲から逸脱したときに因果関係データベースを用い
て異常状態の伝播経路を自動的に推定することが可能で
あり、プラント1の異常状態を適切に運転員に提示する
ことができる。
【0190】〔第4実施形態〕本発明の第4の実施形態
を図14に示す。プラント1に入力処理部3、異常状態
判定部4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝播経
路推定部7,状態表示部8、及び補修要領記憶部9から
構成されたプラント状態監視システム2が接続されてい
る。補修要領記憶部9には異常状態に対応して発せられ
る警報毎に纏められた補修要領が予め記憶され、観測値
が許容範囲を逸脱した際に適切な補修要領を選択して、
状態表示部8に伝達する。
【0191】状態表示部8は観測値が許容範囲を逸脱し
た際に、伝播経路推定部7で推定されたプロパゲーショ
ン・シーケンスと共に、適切な補修要領を表示する。
【0192】補修要領の選択は異常状態に対して発せら
れる警報に対応して行う。即ち、プロパゲーション・シ
ーケンスの最上流に位置する異常状態に対して発する警
報に対応して補修要領を補修要領記憶部9から選択され
る。
【0193】補修要領の1例として、給水流量が許容範
囲に対して低下した場合を図15に示す。
【0194】このように第4の実施形態によれば異常時
に対処すべき補修要領を異常状態に応じて運転員に提供
することが可能となる。
【0195】補修要領記憶部9に補修要領とともにその
優先順位を記憶しておき、優先順位の最も高い補修要領
を選択して表示することも可能である。
【0196】これはプロパゲーション・シーケンスの最
上流に該当する異常状態が複数存在するときに有効であ
り。このときに最も重要な補修要領を優先的に選択する
ことができ、運転員の判断を補完することができる。
【0197】補修要領の選択以外については第1の実施
形態と特に変わることはないので、説明を省略する。
【0198】〔第5実施形態〕第5の実施形態を図16
に示す。プラント1に入力処理部3、異常状態判定部
4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝播経路推定
部7,状態表示部8、及び操作要領記憶部10から構成
されたプラント状態監視システム2が接続されている。
操作要領記憶部10には発生した異常状態に対して発せ
られる警報毎に纏められた操作要領とその優先順位が予
め記憶されている。観測値が許容範囲から逸脱した際
に、適切な操作要領が選択され状態表示部に伝達され
る。
【0199】状態表示部8はプラントが異常状態になっ
た際に、伝播経路推定部7で推定されたプロパゲーショ
ン・シーケンスと共に、適切な操作要領を表示する。
【0200】操作要領の選択は許容範囲からの観測値の
逸脱に対して発せられる警報に対応して行う。即ち、プ
ロパゲーション・シーケンスの最上流に位置する異常状
態に対して発する警報に対応して、最も優先度の高い補
修要領が操作要領記憶部10から選択される。
【0201】操作要領の1例として、給水流量が許容範
囲に対して低下した場合を図17に示す。
【0202】このように第5の実施形態によれば異常時
に対処すべき操作要領をプラント状態に応じて運転員に
提供することが可能となる。そして、プロパゲーション
・シーケンスの最上流に該当する観測値が複数存在する
ときであっても、最も重要な操作要領を優先的に選択す
ることができ、運転員の判断を補助することができる。
【0203】なお、操作要領の選択以外については第1
の実施形態と特に変わることはないので、説明を省略す
る。
【0204】〔第6実施形態〕本発明の第6の実施形態
を図18に示す。プラント1に入力処理部3、異常状態
判定部4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝播経
路推定部7,状態表示部8、及び事象推移予測部11か
ら構成されたプラント状態監視システム2が接続されて
いる。
【0205】事象推移予測部11では異常状態判定部4
においてプラントが異常状態になったと判定されたとき
に、モデル生成部5にて生成された近似モデルを用いて
異常状態の今後の推移を予測する。状態表示部8はその
予測結果を表示する。
【0206】事象推移予測部11での事象推移の予測は
以下のように行われる。異常状態判定部4において異常
状態が発生したと判定される以前に、モデル生成部5に
おいて生成された近似モデルを用いて異常状態発生後の
プラントの挙動を予測する。そして、その後に推移する
異常状態を予測する。
【0207】例えば昇圧ヘッドの一つPhの値がy%
上昇して許容範囲から逸脱し異常状態判定部4で異常状
態が発生したと判定された場合を考える。このとき、事
象推移予測部11は以下を行う。
【0208】(1)異常発生直前の近似モデルの式(1
0)、(13)のPhの値としてy%増大した値を挿
入する。
【0209】(2)(1)の近似モデルの式(10)、
(13)を連立して各観測値の時間的変化を計算する。
この結果は状態表示部8により表示される。
【0210】(3)(2)の結果、変化した観測値が許
容範囲から逸脱するか否かを点検する。許容範囲から逸
脱した観測値があればどの観測値が許容範囲から逸脱し
たかによって新たに発生が予測される異常状態が定ま
る。
【0211】(4)発生が予測された異常状態が状態表
示部8により表示される。
【0212】理解の容易のため、昇圧ヘッドPhの値
が異常と判定されたときに流量変動δWの時間的変化
を予測する場合を例とするフローを図19に示す。この
図で「昇圧ヘッドPhの計画値に対する偏差を求め
る」41、「昇圧ヘッドPhが許容範囲から逸脱して
いるかを判定する」42は異常状態判定部4によって行
われる。そして、「流量変動δWの時間的挙動の予測
シミュレーション」43と「予測した流量変動δW
時間的挙動のディスプレイへの表示」44はそれぞれ事
象推移予測部11と状態表示部8によって行われる。図
19では理解の容易のため話を単純化しており、異常の
判定対象と予測シミュレーションの対象をそれぞれPh
とδWに限っている。しかし、実際には広く観測値
に対して異常判定及び予測シミュレーションが行われる
ことになる。
【0213】以上のように第6の実施形態によれば、異
常状態が発生した後の異常状態の推移を予測することが
可能となる。即ち、異常発生後に許容範囲を逸脱する観
測値をその変化方向も含めて自動的に予測することが可
能である。その結果、異常発生後の異常状態の推移予測
情報を運転員に提供でき、運転員の判断を補助すること
ができる。
【0214】なお、異常状態の推移予測以外について
は、第1の実施形態と特に変わることはないので、説明
を省略する。
【0215】〔第7実施形態〕本発明の第7の実施形態
を図20に示す。プラント1に入力処理部3、異常状態
判定部4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝播経
路推定部7,状態表示部8、及び事象推移予測部11、
センサー診断部12から構成されたプラント状態監視シ
ステム2が接続されている。
【0216】事象推移予測部11では第6の実施形態と
同様に異常状態判定部4において観測値が許容範囲から
逸脱したと判定されたときに、モデル生成部5にて生成
された近似モデルを用いて今後許容範囲を逸脱すると予
測される観測値を推定する。事象推移予測部11での事
象推移の予測は第6の実施形態と同様であるのでここで
は記載を省略する。
【0217】センサー診断部12は、異常状態判定部4
において観測値が許容範囲を逸脱したと判定されたとき
に、事象推移予測部11による予測結果と観測値とを比
較してセンサーの健全性を診断する。センサー診断部1
2における動作を詳しく述べると以下のようになる。
【0218】(1)センサーに認められる許容誤差を定
めてセンサー診断部12に記憶させておく。
【0219】(2)異常状態判定部4で観測値が許容範
囲を逸脱したと判定されたときに、事象推移予測部11
において予測された観測値の推移と実際にセンサーによ
って測定された観測値を比較する。即ち、それぞれの観
測値について予測値と実測値の差を定期的に計算する。
【0220】(3)特定の観測値について予測値と実測
値の差の絶対値が許容誤差より大きい場合に、その観測
値を測定するセンサーが異常であると判定する。
【0221】(4)(3)においてセンサーが異常であ
ると判定されたときは、異常と判定されたセンサーの情
報を状態表示部8へ伝達する。状態表示部8はこの情報
に基づきどのセンサが異常であるのかの情報を運転員に
提供する。これは通例、事象推移予測部11における観
測値の推移予測と共に状態表示部8によって表示され
る。
【0222】以上のように第7の実施形態によればセン
サの異常の判定を自動的に行うことが可能であり、セン
サの故障等の異常が発生した場合に異常を生じたセンサ
の情報を速やかに運転員に提供することが可能となる。
運転員はプラントの状況判断に際し、異常を生じたセン
サの実測値を除外することが容易に行え、運転員の的確
な判断に寄与する。
【0223】なお、センサーの診断以外については、第
1の実施形態と特に変わることはないので、説明を省略
する。
【0224】〔第8実施形態〕本発明の第8の実施形態
を図21に示す。プラント1に入力処理部3、異常状態
判定部4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝播経
路推定部7,状態表示部8、及び事象推移予測部11、
制御系診断部13から構成されたプラント状態監視シス
テム2が接続されている。
【0225】制御系診断部13は、異常状態判定部4に
おいて観測値が許容範囲を逸脱したと判定されたとき
に、制御系の数式モデルと観測値を用いて制御系の健全
性を診断する。
【0226】制御系の診断ステップを以下に述べる。
【0227】(1)制御系の健全性の診断に際しては診
断制御系の数式モデルを予めプラント状態監視システム
2に記憶させておく。
【0228】制御系の数式モデルはプラント1を制御す
る制御系統が観測値に対応してプラント1を制御する制
御条件を数式で表したものである。プラント1の制御は
例えば圧力ヘッドPh等の直接的に制御可能な観測値
を制御することによって行われる。即ち、制御系の数式
モデルは制御すべき観測値の値とこの値に影響を与える
観測値の関係を数式で表したものとなる。
【0229】この数式モデルの記憶箇所は例えばモデル
生成部5である。
【0230】(2)異常状態判定部4で観測値が許容範
囲を逸脱したか否かが判定される。
【0231】その後の制御系診断部13における動作は
次のようになる。
【0232】(3)観測値が許容範囲を逸脱したとき
は、制御系の数式モデルに観測値を代入して制御すべき
観測値の値(制御値)を求める。
【0233】(4)求められた制御値と実際にセンサー
によって測定された観測値を比較する。即ち、制御すべ
き観測値について制御値と実測値の差を定期的に計算す
る。
【0234】(5)特定の観測値について制御値と実測
値の差の絶対値が許容誤差より大きい場合に、その観測
値を制御する制御系が異常であると判定する。
【0235】(6)(5)において制御系が異常である
と判定されたときは、異常と判定された制御系の情報を
状態表示部8へ伝達する。状態表示部8はこの情報に基
づきどの制御系が異常であるのかを運転員に提供する。
【0236】以上の(2)から(5)のステップを、制
御量として昇圧ヘッドPhを用いた場合を例にフロー
として表したものが図22である。ここでは昇圧ヘッド
の制御値Ph’が以下の式(36)の数式モデルで表
されると仮定している。
【0237】 Ph’=Kp・(Ws−W)+∫Kc・(Ws−W)dt …(3 6) ここで、 W:質量流量 Ws:質量流量の計画値 Kp、Kc:比例定数 ∫:積分記号 である。
【0238】図22の「Phが計画値を逸脱している
か」51、「制御系の数式モデルと観測値を用いて昇圧
ヘッドの制御量Ph’を計算する」52、「Ph
Ph’の偏差が許容値を越えているか」53、「Ph
を操作量とする制御系は故障していると診断する」5
4が上記ステップ(2)から(5)に該当する。この例
では判りやすさのために(2)の異常状態判定対象のう
ち制御対象であるPhのみを判定の対象として示して
いる。
【0239】以上のように第8の実施形態によれば制御
系の健全性の判定を自動的に行うことが可能であり、制
御系に故障等の異常が発生した場合に異常を生じた制御
系の情報を速やかに運転員に提供することが可能とな
る。
【0240】なお、制御系の診断以外については、第1
の実施形態と特に変わることはないので、説明を省略す
る。
【0241】〔第9実施形態〕本発明の第9の実施形態
を図23に示す。プラント1に入力処理部3、異常状態
判定部4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝播経
路推定部7,状態表示部8、及び事象推移予測部11、
インターロック診断部14から構成されたプラント状態
監視システム2が接続されている。
【0242】インターロック診断部14は、異常状態判
定部4において観測値が許容範囲を逸脱したと判定され
たときに、事象推移予測部11において予測された観測
値の予測値とインターロックの作動状況によりインター
ロックの健全性を診断する。インターロック診断部14
における動作を述べると以下のようになる。
【0243】(1)それぞれの観測値がそれぞれの限界
値を突破したときに作動するインターロックを登録して
おく。この登録はインターロック診断部14への記憶に
よって行える。
【0244】(2)異常状態判定部4で観測値が許容範
囲を逸脱したか否かが判定される。
【0245】(3)観測値が許容範囲を逸脱したとき
は、制御系の数式モデルに観測値を代入して制御すべき
観測値の値(制御値)を求める。
【0246】(4)事象推移予測部11で予測される観
測値の推移に基づき、今後作動すべきインターロックを
その作動予定時間とともに登録する。
【0247】(5)作動予定時刻を経過しても登録した
インターロックが作動していないときに、そのインター
ロックが異常であると判定する。
【0248】(6)(5)においてインターロックが異
常であると判定されたときは、異常と判定されたインタ
ーロックの情報を状態表示部8へ伝達する。状態表示部
8はこの情報に基づきどのセンサが異常であるのかの情
報を運転員に提供する。
【0249】以上の(2)から(5)のステップをフロ
ーチャートに表したものが図24である。
【0250】図24のMtは観測値一般であり、tは観
測値相互を識別するための添え字である。ここではイン
ターロックの作動に関連した観測値がm個あるものとし
ている。「Mtが許容範囲から逸脱しているか」の判定
61、「観測値Mtが変化した場合に作動するインター
ロックIとその作動時間Tを予測する」62、「イ
ンターロックIが時間Tで作動したか」の判定6
3、「インターロックI が故障していると診断する」
64が上記ステップ(2)から(5)に該当する。
【0251】以上のように第9の実施形態によればイン
ターロックの健全性の判定を自動的に行うことが可能で
あり、インターロックに故障等の異常が発生した場合に
異常を生じたインターロックの情報を速やかに運転員に
提供することが可能となる。
【0252】なお、インターロックの診断以外について
は、第1の実施形態と特に変わることはないので、説明
を省略する。
【0253】〔第10実施形態〕本発明の第10の実施
形態を図25に示す。プラント1に入力処理部3、異常
状態判定部4,モデル生成部5、因果関係導出部6、伝
播経路推定部7,状態表示部8、及び変化方向導出部1
5、異常原因同定部16から構成されたプラント状態監
視システム2が接続されている。
【0254】ここで、変化方向導出部15ではモデル生
成部5において生成されたプラント動特性の近似モデル
を用いて、何らかの異常が発生したときに観測値がどの
ように変化するかを異常原因毎に導出する。即ち、異常
原因を想定しておいてそれぞれの異常原因によって引き
起こされる観測値の変化を予測する。異常原因同定部1
6では、実際に測定された観測値の変化方向と変化方向
導出部15において導出された予測された観測値の変化
方向を比較することにより実際に発生した異常の原因を
同定する。状態表示部8は伝播経路推定部7において推
定されたプロパゲーション・シーケンストと共に異常原
因同定部16で同定された異常原因を表示装置に表示す
る。
【0255】次に変化方向導出部15及び異常原因同定
部16における動作内容の詳細を述べる。変化方向導出
部15では以下が行われる。
【0256】(1)異常状態判定部4において異常が発
生したと判定されていないときの運転状態のときにモデ
ル生成部5で生成された近似モデルを用いて、想定され
る全ての異常原因に対する観測値の変化方向を計算す
る。
【0257】(2)計算の結果から、異常原因に対して
許容範囲を逸脱する観測値を選別し、その観測値及び変
化方向を異常原因ごとに区分して異常パターンデータベ
ースとして登録する。即ち、異常原因とそれに起因して
発生した異常状態の間に対応関係がつけられる。
【0258】異常パターンの登録は例えば、既に示した
式(4)あるいは式(33)の異常状態表示を利用して
行うことができる。
【0259】ステップ(1)、(2)に引き続き異常原
因同定部16では以下が行われる。
【0260】(3)異常状態判定部4で観測値が許容範
囲を逸脱したと判定されたときに、許容範囲を逸脱した
観測値及びその変化方向のパターン(発生した異常状
態)を(2)で作成された異常パターンデータベースと
照合する。
【0261】(4)照合の結果、発生した異常状態(異
常とされた観測値とその変化方向のパターン)と一致す
る異常状態が異常パターンデータベースから発見された
とき、その発見された異常状態の起因となる異常原因を
実際に発生した異常原因と推定する。
【0262】異常状態の一致の判定は例えば、式(4)
あるいは式(35)の異常状態表示が一致するか否かに
よって容易に行える。
【0263】(5)状態表示部8へ推定された異常原因
の情報を伝達する。
【0264】(1)、(2)のステップは第1の実施態
様で説明した因果関係導出部6での動作内容にほば対応
するものである。因果関係導出部6ではある観測値が変
化した場合にその他の観測値がどのように変化するかを
導出するのに対して、上記(1)、(2)は異常原因に
たいする観測値の変化を導出する点が相違する。
【0265】異常原因として配管番号jのポンプの停止
を例として採り上げ、変化方向導出のステップを説明す
る。
【0266】(a)ポンプの停止によって昇圧ヘッドP
が0になることが考えられるから、近似式(1
0)、(13)においてPh=0とおいて式(1
0)、(13)を連立し、観測値の時間変化を計算す
る。
【0267】(b)計算の結果、流量変動δWaとδW
bが正の方向で、流量変動δWcとδWdが負の方向で
それぞれ許容範囲を逸脱したとする。このとき、正方向
で許容範囲を逸脱する観測値としてδWaとδWbを負
方向で許容範囲を逸脱する観測値としてδWcとδWd
をそれぞれデータベースとして登録する。
【0268】このようにして異常の原因となりうるもの
を採り上げ、異常の結果として直接的に変化する観測値
から最終的に変化する観測値を導出、登録する。
【0269】何らかの原因によって昇圧ヘッドPh
計画値に対して正の方向に逸脱した場合を例にとり、ス
テップ(a)、(b)をフローで示すと第1実施例のス
テップ4で示した図5,6で表される。但し、図5,6
は既に説明済みであるのでここでは再度の説明は行わな
い。
【0270】以上のように第10の実施形態によれば観
測値が許容範囲を逸脱した場合に、その異常の原因を自
動的に推定して運転員に情報提供を行うことが可能とな
る。
【0271】なお、変化方向導出、異常原因同定以外に
ついては、第1の実施形態と特に変わることはないの
で、説明を省略する。
【0272】以上、本発明の第1の実施態様から第10
の実施態様までを述べたが、本発明はこれらの実施態様
に限定される訳ではなく、本発明の技術思想の範囲内で
例えば種々に変形することが可能である。
【0273】プラントの異常状態を判定する際に、式
(2)において計画値が時間と共に設定値を変更しても
良い。また、式(34)で用いた対数平均に対して他の
平均方法を適用することもできる。要するにプラントの
異常状態の判定は観測値が何らかの設定範囲を逸脱した
ことを判定できれば良いのであって、設定範囲を時間、
場所等で変更すること、あるいは観測値に対して何らか
の処理(平均化処理等)を行うことは本発明の範囲内で
ある。
【0274】これはプラントが定常状態にあるか否かの
判定においても同様であり、例えば式(1)において閾
値を時間、場所で変動させても良く、何らかの平均化処
理を加えても良い。要はプラントが定常状態であるか、
過渡的な状態にあるかを判定できればよい。
【0275】また、既に示したようにプラントの動特性
を表す基本式はエネルギー保存則、質量保存則等プラン
トの動特性を表す式であれば式(5)、(6)以外でも
適用可能である。このときには基本式の上で非線形な観
測値を線形化できるように、定常状態におけるその観測
値を摂動点としてその観測値からの変位の2次以上の項
を無視すればよい。
【0276】また、実施形態では異常状態の伝播経路の
推定において予め因果関係部によって作成された因果関
係データベースを利用しているが、必ずしも因果関係導
出と伝播経路の推定を区分する必要はない。伝播経路を
推定する際に必要に応じて因果関係を求めても差し支え
ない。
【0277】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、プラント
が定常状態のときの観測値を摂動点とした近似モデルを
用いることで、プラントの動特性の模擬を迅速かつ容易
に行うことができる。
【0278】また本発明によれば、プラントの異常状態
間の因果関係を生成することで、プラントが異常状態に
あると判定されたときに異常状態が推移してゆく伝播経
路を自動的に推定することができる。
【0279】そして、必要に応じて状態表示部を備える
ことで、推定した異常状態の伝播経路を運転員へ認知し
易い情報として提供することができる。
【0280】また、必要に応じて運転員へ警報発報時の
補修要領、操作要領の情報を提供できる。
【0281】さらに、発生した異常状態がその後に推移
する異常状態の予測、異常原因の同定が可能となり、そ
の情報を運転員に提供することができる。
【0282】さらに加えて、必要に応じてセンサー、制
御系、及びインターロックの健全性の診断が可能とな
る。
【0283】以上のように、本発明によれば異常の伝播
経路その他の情報を認知し易い情報として運転員に提供
することが可能になり、プラント運転の安定性、安全性
の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブロ
ック図である。
【図2】本発明の一実施形態における処理フローを示す
処理フロー図である。
【図3】プラントの1例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る因果関係データベー
スの1例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る因果関係導出の処理
フローの1例を示したフローチャートの前半部分であ
る。
【図6】本発明の一実施形態に係る因果関係導出の処理
フローの1例を示したフローチャートの後半部分であ
る。
【図7】異常状態間の因果関係全体の1例を示した図で
ある。
【図8】最上流、最下流の異常状態を求める途中の1工
程を示した図である。
【図9】最上流、最下流の異常状態が求められた状態を
示した図である。
【図10】異常状態間のプロパゲーションパスを示した
図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る異常状態間のプロ
パゲーション・シーケンスを示した図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るプロパゲーション
・シーケンスを求める処理フローを示したフローチャー
トである。
【図13】本発明の一実施形態に係るプロパゲーション
・シーケンスを求める処理手順の1例を示した図であ
る。
【図14】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る補修要領の1例を
示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る操作要領の1例を
示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る事象推移予測を行
う処理フローの1例を示したフローチャートである。
【図20】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る制御系の診断を行
う処理フローの1例を示したフローチャートである。
【図23】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【図24】本発明の一実施形態に係るインターロックの
診断を行う処理フローの1例を示したフローチャートで
ある。
【図25】本発明の一実施形態に係る機能構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
1 プラント 2 プラント状態監視システム 3 入力処理部 4 異常状態判定部 5 モデル生成部 6 因果関係導出部 7 伝播経路推定部 8 状態表示部 9 補修要領記憶部 10 操作要領記憶部 11 事象推移予測部 12 センサー診断部 13 制御系診断部 14 インターロック診断部 15 変化方向導出部 16 異常原因同定部

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラントの状態を監視するプラント状態
    監視システムにおいて、 前記プラントに設置された検出器により測定された観測
    値を入力する入力処理部と、 前記観測値が許容範囲から逸脱したか否かによって前記
    プラントが異常状態か否かを判定する異常状態判定部
    と、 前記プラントの動特性を表した基本式に基づき、該プラ
    ントが定常状態のときの観測値を摂動点としたプラント
    動特性を近似する近似モデルを生成するモデル生成部
    と、 何れかの観測値が設定した許容範囲から逸脱したときに
    他の観測値が許容範囲から逸脱するか否かを前記近似モ
    デルを用いて算出することで、ある異常状態がどのよう
    な異常状態から発生し得るかという異常状態間の因果関
    係を導出する因果関係導出部と、 前記異常状態判定部において前記プラントが異常状態で
    あると判定されたときの前記観測値と前記因果関係導出
    部において導出された前記観測値間の因果関係とを用い
    て、該異常状態が推移する伝播経路を推定する伝播経路
    推定部とを具備することを特徴とするプラント状態監視
    システム。
  2. 【請求項2】 前記異常状態判定部では、 現在の観測値と観測値に対数平均処理を施した対数平均
    値との差に基づき、観測値が許容範囲から逸脱したか否
    かを判定することを特徴とする請求項1記載のプラント
    状態監視システム。
  3. 【請求項3】 前記モデル生成部では、 前記プラント動特性を表した基本式が、プラント配管中
    を流れる流体の運動量保存則及びプラント配管の分岐点
    における流体の質量保存則に基づく式であることを特徴
    とする請求項1記載のプラント状態監視システム。
  4. 【請求項4】 前記モデル生成部では、 前記プラント動特性を近似する近似モデルとして 【数1】 【数2】 を用いることを特徴とする請求項3記載のプラント状態
    監視システム。
  5. 【請求項5】 前記モデル生成部では、 前記プラント動特性を近似する近似モデルとして伝達関
    数を用いたモデルを用いることを特徴とする請求項3記
    載のプラント状態監視システム。
  6. 【請求項6】 前記伝播経路推定部では、 ある異常状態からその発生元に遡って再びその異常状態
    に戻ってくるときにその経路上にある異常状態を同一の
    競合状態グループに属するとして異常状態を競合状態グ
    ループ毎に区分し、競合状態グループ間の異常状態の経
    路を求めることを特徴とする請求項1記載のプラント状
    態監視システム。
  7. 【請求項7】 前記伝播経路推定部における前記異常状
    態が推移する伝播経路の情報の提供を受けて、該異常状
    態が推移する伝播経路の情報を表示する状態表示部をさ
    らに具備することを特徴とする請求項1記載のプラント
    状態監視システム。
  8. 【請求項8】 前記モデル生成部では、 前記プラント動特性を近似する近似モデルとして伝達関
    数を用いたモデルを用いると共に該伝達関数及び該伝達
    関数から算出される時定数の情報を前記状態表示部へ提
    供することを特徴とする請求項7記載のプラント状態監
    視システム。
  9. 【請求項9】 前記異常状態判定部において前記プラン
    トが異常状態であると判定された場合に、前記伝播経路
    推定部において推定された異常状態の伝播経路の最上流
    に位置する異常状態に対応した前記プラントの補修要領
    の情報を前記状態表示部に提供する補修要領記憶部を具
    備することを特徴とする請求項7記載のプラント状態監
    視システム。
  10. 【請求項10】 前記補修要領記憶部では、 補修要領の優先順が記憶され、かつ前記伝播経路推定部
    で推定された伝播経路の最上流に位置する異常状態が複
    数存在する場合には該記憶されている補修要領の優先順
    に従って最も優先度の高い補修要領の情報を前記状態表
    示部に提供することを特徴とする請求項9記載のプラン
    ト状態監視システム。
  11. 【請求項11】 前記異常状態判定部において前記プラ
    ントが異常状態であると判定された場合に、前記伝播経
    路推定部において推定された伝播経路の最上流に位置す
    る異常状態に対応した前記プラントの操作要領の情報を
    前記状態表示部に提供する操作要領記憶部であって、補
    修要領の優先順が記憶され、かつ該伝播経路の最上流に
    位置する異常状態が複数存在する場合には該記憶されて
    いる操作要領の優先順に従って最も優先度の高い操作要
    領の情報を前記状態表示部に提供する操作要領記憶部を
    さらに具備することを特徴とする請求項7記載のプラン
    ト状態監視システム。
  12. 【請求項12】 前記異常状態判定部において前記プラ
    ントが異常状態であると判定された場合に測定された観
    測値と前記モデル生成部において生成された近似モデル
    とを用いて、前記判定された異常状態からの推移を予測
    すると共に、該予測された異常状態の推移を前記状態表
    示部に提供する事象推移予測部をさらに具備することを
    特徴とする請求項7記載のプラント状態監視システム。
  13. 【請求項13】 前記事象推移予測部で予測された異常
    状態の推移を測定された観測値と比較することによっ
    て、前記プラントに設置された検出器が異常であるか否
    かを判定すると共に、該検出器が異常と判定された場合
    に異常と判定された検出器の情報を前記状態表示部に提
    供するセンサー診断部をさらに具備することを特徴とす
    る請求項7記載のプラント状態監視システム。
  14. 【請求項14】 前記プラントを制御する制御系統の制
    御条件を表した数式モデルに基づいて制御の対象となる
    観測値の制御目標値を算出し、該制御目標値と測定され
    た観測値とを比較することによって該制御系統が異常で
    あるか否かを判定すると共に、該制御系統が異常である
    と判定した場合に該異常と判定した制御系統を特定する
    情報を前記状態表示部に提供する制御系診断部をさらに
    具備することを特徴とする請求項7記載のプラント状態
    監視システム。
  15. 【請求項15】 前記事象推移予測部において予測され
    た異常状態の推移に基づき、前記観測値がインターロッ
    クの作動する限界値に到達するインターロック作動予定
    時間及び作動が予定されたインターロックの情報を登録
    し、該インターロック作動予定時間を過ぎても作動が予
    定されたインターロックが作動しないときに該インター
    ロックが異常であると判定すると共に、該異常と判定し
    たインターロックを特定する情報を前記状態表示部に提
    供するインターロック診断部をさらに具備することを特
    徴とする請求項12記載のプラント状態監視システム。
  16. 【請求項16】 前記異常状態判定部において異常状態
    でないと判定されているときに前記モデル生成部におい
    て生成された近似モデルを用いて、該異常状態の発生原
    因それぞれに対応した前記観測値の変化方向を算出して
    発生原因ごとの該観測値の変化パターンを登録する変化
    方向導出部と、 前記異常状態判定部において前記異常状態であると判定
    されたときに測定された該観測値の変化パターンを該登
    録された観測値の変化パターンと比較することによっ
    て、該異常状態の発生原因を推定し、該推定した異常状
    態の発生原因の情報を前記状態表示部に提供する異常原
    因同定部と、 をさらに具備することを特徴とする請求項7記載のプラ
    ント状態監視システム。
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