JP7062505B2 - 設備管理支援システム - Google Patents
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例えば、上下水道の水道設備については、従来は自治体が直接運営していたのに対して、近年の法改正により、コンセッション(公共施設等運営権)方式で民間の運営業者を選定することが可能になっている。日本の水道事業においては、人口減少に伴った水道料金収入の減少や節水の進展などから、厳しい財政状況になりつつあり、民間事業者の活用の流れは、今後益々拡大していくものと予想される。
このような課題は、水道事業に限らず、電力施設や産業プラントについても同様である。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、第1の設備から取得した複数項目の運転情報及び操作履歴から、第1の設備の故障を含む非定常のイベントの発生事象と、その発生事象の原因の因果関係となる項目のパターンを特定するイベント発生パターン抽出部と、イベント発生パターン抽出部が特定した因果関係で示される項目の運転情報及び操作履歴から、故障を予知するための警報を出力するために必要な入力項目を定義した診断ロジックを生成する診断ロジック生成部と、診断ロジック生成部が生成した第1の設備の診断ロジックを取得し、取得した診断ロジックで示される入力項目が、第2の設備で取得される項目に含まれるかを判断するマッチング部と、マッチング部での判断結果で、第2の設備から取得される複数項目に、診断ロジックで示される項目が含まれる場合に、診断ロジックを記憶する診断ロジックデータベースと、診断ロジックデータベースが記憶した診断ロジックを、第2の設備に対して実行する診断ロジック実行部と、を備える。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の第1の実施の形態例について、図1~図6を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明や各図において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。また、同一要素または同一機能を有する要素が複数存在する場合には、数字の符号の末尾に、a,b,cなどの符号を付与して区別して示す。
図1は、本実施の形態例における設備管理支援システムの構成例である。
図1の例では、3箇所の対象プラント100a、100b、および100cに、それぞれネットワーク200a、200b、および200cを介して、設備管理支援装置300a、300b、および300cが接続される。それぞれの設備管理支援装置300a、300b、および300cは、ネットワーク400を介して接続され、相互に通信が可能である。ネットワーク400は、例えばインターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などである。
なお、ネットワーク400は、常時接続されている必要はなく、後述する診断ロジックなどを伝送するときだけ、接続してもよい。
ここでは設備管理支援装置300aの構成について説明するが、設備管理支援装置300b、300cについても、設備管理支援装置300aと同一の構成である。
設備管理支援装置300aは、点検情報入力部310a、イベント発生パターン抽出部320a、診断ロジック生成部330a、診断ロジック発信部340a、診断ロジック受信部350a、および診断ロジックマッチング部360aを備える。また、設備管理支援装置300aは、運転情報データベース371a、操作履歴データベース372a、設備データベース373a、診断ロジックデータベース374a、および診断ロジック実行部380aを備える。なお、以下の説明では、データベースをDBと称する。
ここで、運転情報は、対象プラント100aに設置されたセンサから収集された温度、流量、圧力などのデータや、ユーザが対象プラント100aを点検したときに記録したアナログ計器の読取値などである。センサから収集されたデータは、ネットワーク200aを介してリアルタイムに設備管理支援装置300aに入力する。あるいは、対象プラント100aの監視制御装置(不図示)で収集されたデータを、電子ファイルの形で設備管理支援装置300aに転送して入力する。また、手書きされた読取値などは、入力機器(キーボードやマウスなど)を用いてユーザが入力してもよい。
本実施の形態例においては、ARTを使って故障予知検知を行う。ARTを使って故障予知検知を行う詳細については後述する。
なお、ARTを使って故障予知検知を行うのは一例であり、発生事象と原因の因果関係を特定できるものであれば、他の技術を使ってもよい。
別の対象プラント100bおよび100cは、それぞれの診断ロジック受信部350b、350cにて、対象プラント100aから発信された診断ロジックを受信する。
さらに、それぞれの診断ロジック受信部350b、350cの診断ロジックマッチング部360b、360cは、受信した診断ロジックを、それぞれの対象プラント100b、100cで使用可能かどうか判断する。
図2は、設備管理支援装置300a、300b、および300cを構成するコンピュータのハードウェア構成の例を示す。
図2に示すコンピュータは、バス8にそれぞれ接続されたCPU(Control Processing Unit:中央処理装置)1、ROM(Read Only Memory)2、およびRAM(Random Access Memory3)を備える。さらに、コンピュータは、記憶装置4、操作部5、表示部6、および通信インターフェース7を備える。
RAM3には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。本実施の形態例に係る各システムおよび装置における処理の実行は、主にCPU1がプログラムコードを実行することにより実現される。
操作部5には、例えば、キーボード、マウスなどが用いられ、利用者は操作部5を用いて所定の入力を行う。
通信インターフェース7には、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。通信インターフェース7は、端子が接続されたLAN(Local Area Network)、専用線などを介して外部と各種データの送受信を行う。
図3は、ARTを使って故障予知検知を行う処理の概要を示す。
ARTは、複数のデータをカテゴリに分類する学習型ニューラルネットワークで、異常データなしで異常を予知することが可能であり、汎用性が高いことが特徴である。
図3に示すグラフは、入力項目が、水温(横軸)とpH(縦軸)の2つの場合で、ある期間のプラント状態を分析した例である。
一方、ある期間内で、これらカテゴリ1、2、3から外れた値は異常として警報を出力するものとし、警報レベルで表現する。図3の例では、pHと水温が両方高い場合、警報レベルとする。図3に示す例は、カテゴリから外れた値の検知数が2つであり、警報レベルを「2」とする。
ただし、一部の項目だけを使って解析するのは一例であり、対象プラント100aに設置しているセンサから取得された運転情報や、点検者が対象プラントを点検したときに記録した計器の読取値の項目を、全て使用してART解析してもよい。
なお、ART解析を行う場合には、入力項目のデータは正規化して使用する。あるいは、正規化することなく、入力項目のデータをそのまま使って、ART解析を行ってもよい。
合計警報レベルSALvは、各期間の警報レベル(ALvi)と平常時の警報レベルの差分(NLv)を合計したもので、以下の式(1)で算出される。
次に、図6のフローチャートを参照して、ART解析を行った結果に基づいて、診断ロジックマッチング処理を行う例について、図6を参照して説明する。
ここでは、次の表1に示すように、対象プラント100aの診断ロジック1、2、3、・・・の優先順位が付与され、さらに、対象プラント100b、100cの運転情報の項目が設定されているとする。
また、対象プラント100bは、取得される項目が、[水温、水圧、ポンプ電圧、流量]であり、対象プラント100cは、取得される項目が、[水温、水圧、流量]であるとする。これらの対象プラント100b、100cの項目は、運転情報DB371b、371cに記録されている。
まず、診断ロジックマッチング部360bは、対象プラント100aの最も優先順位が高い診断ロジック1の入力項目と、対象プラント100bから取得される項目(対象プラント100bの運転情報DB371bに記録されている項目)とを比較する(ステップS1)。そして、診断ロジックマッチング部360bは、比較した両項目が一致しているか否かを判断する(ステップS2)。
また、ステップS2の判断で、両項目が一致していない場合(ステップS2のNo)、ステップS1で比較した診断ロジック1より優先順位が低い診断ロジック(診断ロジック2,3)と、運転情報DB371bに記録されている項目とを比較する(ステップS4)。そして、診断ロジックマッチング部360bは、比較で項目が一致しているか否かを判断する(ステップS5)。ここで、比較で項目が一致している場合(ステップS5のYes)、一致した診断ロジックを診断ロジックDB374bに記録する(ステップS6)。
次に、本発明の第2の実施の形態例について、図7を参照して詳細に説明する。この図7において、既に第1の実施の形態例で説明した各図と同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。また、図7においても、同一要素または同一機能を有する要素が複数存在する場合には、数字の符号の末尾に、a,b,cなどの符号を付与して区別して示す。
図7は、本実施の形態例における設備管理支援システムの構成例である。
本実施の形態例の場合には、イベントの発生パターンの抽出、診断ロジックの生成・発信、および診断ロジックを評価する機能を備えた中央設備管理支援装置500を設けたものである。この中央設備管理支援装置500は、ネットワーク400を介して設備管理支援装置300a,300b,300cに接続されており、運転情報や操作履歴を収集し、診断ロジックを生成する処理を行う。中央設備管理支援装置500は、例えばコンピュータで構成される。
これらの処理部の機能は、第1の実施の形態例で説明した設備管理支援装置300a,300b,300cが備える処理部の機能と基本的に同様である。
すなわち、診断ロジックマッチング部360が、図6のフローチャートに示す処理で診断ロジックのマッチング処理を行い、いずれかの設備管理支援装置300a、300b、300cに適用可能な診断ロジックを得る。また、新たな診断ロジックの生成が必要な場合、診断ロジック生成部330が生成する。中央設備管理支援装置500で得られた(生成された)診断ロジックは、診断ロジック発信部340が対応した設備管理支援装置300a、300b、300cに発信されると共に、診断ロジックDB374に記録される。各設備管理支援装置300a、300b、300cでは受信した診断ロジックを、対応した対象プラント100a、100b、100cの診断用に実行する。
本発明は、上述した各実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、図6に示す診断ロジックのマッチング処理は一例であり、プラント同士の運転情報の違いを考慮して診断ロジックをマッチングできる手法ならば、特にマッチング処理を行う手順は、他の手順であってもよい。
さらに、図6のフローチャートにおいて、実施の形態例の処理結果に影響がない範囲で、一部の処理ステップの実行順序を入れ替えたり、一部の処理ステップを同時に実行するようにしてもよい。
Claims (6)
- 第1の設備から取得した複数項目の運転情報及び操作履歴から、前記第1の設備の故障を含む非定常のイベントの発生事象と、その発生事象の原因の因果関係となる項目のパターンを特定するイベント発生パターン抽出部と、
前記イベント発生パターン抽出部が特定した因果関係で示される項目の運転情報及び操作履歴から、故障を予知するための警報を出力するために必要な入力項目を定義した診断ロジックを生成する診断ロジック生成部と、
前記診断ロジック生成部が生成した前記第1の設備の診断ロジックを取得し、取得した診断ロジックで示される入力項目が、第2の設備で取得される項目に含まれるかを判断するマッチング部と、
前記マッチング部での判断結果で、前記第2の設備から取得される複数項目に、前記診断ロジックで示される入力項目が含まれる場合に、前記診断ロジックを記憶する診断ロジックデータベースと、
前記診断ロジックデータベースが記憶した診断ロジックを、前記第2の設備に対して実行する診断ロジック実行部と、を備える
設備管理支援システム。 - 前記イベント発生パターン抽出部および前記診断ロジック生成部は、それぞれの設備の管理支援装置とネットワークを介して通信が可能な中央設備管理支援装置が備え、
前記診断ロジックデータベースおよび前記診断ロジック実行部は、それぞれの設備の管理支援装置が備える
請求項1に記載の設備管理支援システム。 - 運転情報のデータベース、操作履歴のデータベース、設備のデータベース、および警報を出力するための入力項目を定義したプログラムのデータベースを備え、
前記イベント発生パターン抽出部は、各データベースが記憶した情報に基づいて、非定常のイベントの発生事象と原因の因果関係となる項目のパターンを特定する
請求項1に記載の設備管理支援システム。 - 前記イベント発生パターン抽出部は、適応共鳴理論を適用して発生した非定常のイベントの因果関係となる項目のパターンを特定する
請求項1に記載の設備管理支援システム。 - 前記診断ロジック生成部は、非定常のイベントの発生事象と原因の因果関係となる項目のパターンを複数条件求めて、合計の警報レベルを算出して優先順位を決定する
請求項1に記載の設備管理支援システム。 - 前記マッチング部が、前記第1の設備の診断ロジックの入力項目と、前記第2の設備で得られる項目を比較して一致しない場合、新たに特定した因果関係から前記第2の設備を診断できるように警報を出力するための入力項目を定義した診断ロジックを生成する
請求項1に記載の設備管理支援システム。
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