JP2001097789A - セラミック複合材料 - Google Patents

セラミック複合材料

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正 佐近
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徹 永井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気中または酸素含有混合ガス中の酸素を選
択的に輸送する性能を有するセラミック複合材料を提供
する。 【解決手段】 マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
質体の一方の表面に、ストロンチウム、鉄及びコバルト
を主成分とし、それら成分元素のモル比が下記式で表さ
れる緻密な混合伝導性酸化物からなる被覆層・封孔部が
形成されている。また、前記酸化物多孔質体の表層に、
マグネシアと触媒、マグネシアと混合伝導性酸化物、ま
たは、マグネシアと混合伝導性酸化物と触媒を含む多孔
質表面層が形成され、その表面に、前記被覆層・封孔部
が形成されている。さらに、前記被覆層・封孔部の表面
には、触媒が付与されているか、もしくは、適宜触媒が
付与された多孔質表面層または多孔質混合伝導性酸化物
が付与・密着されている。 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0
≦y≦2.5 )…(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気中または酸素
含有混合ガス中の酸素を選択的に輸送する際に好適に使
用される新規なセラミック複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】空気のような酸素含有混合ガスから酸素
成分のみを選択的に輸送する物質として、混合伝導性酸
化物が広く知られている。ここで、混合伝導性酸化物と
は、電子または正孔を伝導すると同時に、酸素イオン
(酸化物イオンともいう)も伝導する酸化物のことであ
るが、混合伝導性酸化物を利用して選択的酸素輸送を工
業的に行うには、その操業条件における酸素イオン導電
率として、大略 0.1S/cm以上、好ましくは、 0.5S/
cm以上、最も好ましくは、1S/cm以上が必要であり、
また、電子導電率としては、それらと同程度ないしそれ
以上の値を有することが必要である。
【0003】すなわち、本発明に係る混合伝導性酸化物
とは、電子導電率及び酸素イオン導電率が操業条件にお
いて、共に、大略 0.1S/cm以上である酸化物を指す。
この定義を満足する混合伝導性酸化物として、古くは、
特開昭56-92103号公報や特開昭61-21717号公報に開示さ
れているように、Lax Sr1-x CoO3-aやLa1-x Sr x Co1-y
Fey O3-zといったperovskite型の結晶構造を有する酸化
物が知られている。
【0004】また、最近では、米国特許 5356728号明細
書及び同 5580497号明細書に開示されているように、代
表的組成がSr4Fe6-xCo xO z (13 −δ≦z≦13+δ)で
表され、主結晶相の一つが少なくとも室温付近では非pe
rovskite型(前記公報においてはSr4Fe6O13 化合物と同
じ層状perovskite型とされている)の結晶構造であっ
て、大気中において10〜30S/cm( 800〜950 ℃) 程度
の電子導電率を有する酸化物が発明されている。
【0005】混合伝導性酸化物は、当初、酸素含有混合
ガスから酸素成分を分離回収することを目的に発明さ
れ、例えば、特開昭56-92103号公報に記載の発明では、
酸素の透過速度を大きくするために厚さ1mm以下、好ま
しくは 0.5mm以下に薄膜化したり、必要に応じて、多孔
質支持体上に成膜して複合構造体として使用するとされ
ている。特開昭61-21717号公報にも、同様の使用様態に
関する記載がある。
【0006】また、米国特許 4791079号明細書及び同 4
827071号明細書には、触媒含有のイオン伝導性物質から
なる多孔質セラミック層上に緻密な混合伝導体(酸化
物) 層を設けた隔膜によって、酸素含有混合ガスと炭化
水素ガスとを隔絶し、混合伝導体層に接した酸素含有ガ
スから酸素を選択的に透過させ、多孔質層側にて炭化水
素ガスを酸化させる方法、すなわち、単純な酸素分離と
異なり、いわゆる、隔膜リアクターとして使用する方法
及びその隔膜構造体に関する発明が開示されている。
【0007】さらに、米国特許 5240480号明細書には、
酸素含有混合ガスから酸素成分を分離回収することを目
的とし、混合伝導体(500 ℃以上で電子及び酸素イオン
両伝導性の多成分金属酸化物)からなる多孔性支持体上
に混合伝導性酸化物緻密膜を複合化させた構造体に関す
る発明が開示されている。このように、酸素の分離回収
用途にしろ、隔膜リアクター用途にしろ、選択的酸素透
過性の緻密な混合伝導性酸化物層(薄膜)により多孔質
セラミック支持体を被覆したセラミック複合材料を利用
し、選択的酸素輸送(透過)速度を向上させるという考
えは、既に広く知られている。
【0008】しかし、具体的にどのような材料を選択し
てセラミック複合材料とするかという点については、発
明を具現化する場合に不可避な技術要素であるにもかか
わらず、ほとんどの公報・明細書等において記載されて
いない。例外的に記載されているものを挙げると、例え
ば、特開平 3-37172号公報には、酸素選択透過用緻密質
混合伝導性酸化物であるLa0.6Sr0.4 CoOx の被覆層に対
して、同一組成のセラミックを多孔質支持体とする実施
様態が、米国特許 4827071号明細書には、酸素選択透過
用緻密質混合伝導性酸化物である1 mol%チタニア−12
mol%イットリア安定化ジルコニアの被覆層に対して、
市販品相当のカルシア安定化ジルコニア(酸素イオンま
たは酸化物イオン伝導体)を多孔質支持管とする実施様
態が実施例に記載されている。
【0009】また、寺岡らの学術論文(日本セラミック
ス協会学術論文誌、vol.97、No.4、pp467-472 、1989
年、「混合導電性ペロブスカイト型酸化物を用いる酸素
選択透過膜の開発(第1報) −ペロブスカイト型酸化物
多孔性支持体の作製」)には、ペロブスカイト型酸化物
を機械的強度を備えた酸素透過デバイスとするには、多
孔性支持体上に膜を形成させる非対称構造が最も有効で
あり、その具現化にあたっては、透過膜材料と同じペロ
ブスカイト酸化物で多孔性材料を作製すれば良い旨が記
載されている。
【0010】なお、前記先行例、学術論文、及び、本発
明において、多孔質とは貫通孔が存在する状態を意味
し、貫通孔内においては、ガス成分が分子のまま孔内を
移動するという点に特徴がある。また、緻密または緻密
質とは、貫通孔が存在しない状態を意味し、緻密質の材
料が酸素選択透過性の混合伝導体(酸素イオン/電子ま
たは酸化物イオン/電子の両伝導体)である場合に限
り、酸素成分のみを選択的に輸送するが、通常の緻密質
材料、例えばアルミナなどでは、酸素成分も他のガス成
分も全く透過しないという点に特徴がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】米国特許 5356728号明
細書及び同 5580497号明細書に開示されている組成物群
のうち、ストロンチウム、鉄、及び、コバルトのモル比
が請求項1に記載の式(1) によって表される緻密な混合
伝導性酸化物を、酸素の分離回収用途や隔膜リアクター
用途に利用する場合、工業的に利用可能な程度に選択的
酸素輸送速度を増大させるには、前記組成物を薄膜化す
る必要がある。しかし、この組成物は機械的強度が低
く、割れ易いため、支持体なしの膜構造とする場合、1
mm程度が薄膜化の限界厚さとなり、工業的に利用可能な
酸素輸送速度を実現することができない。
【0012】これを解決するには、前述したように緻密
な混合伝導性酸化物を多孔質セラミック支持体に被覆し
たセラミック複合材料とすればよいが、後述するよう
に、前記緻密な混合伝導性酸化物に対して適合性の良い
多孔質セラミック支持体は、本発明の出願以前には見い
出されていなかった。すなわち、選択的酸素輸送速度の
大きなセラミック複合材料を具現化するためには、第1
の課題として、本発明に係る緻密な混合伝導性酸化物と
組み合わせて利用し得る多孔質セラミック支持体を見い
出す必要があった。
【0013】緻密な混合伝導性酸化物膜によって選択的
酸素輸送が起こるには、混合伝導性酸化物膜(または封
孔部)の一方の界面の熱力学的酸素分圧が、他方の界面
のそれより低い必要があり、酸素分圧差が大きいほど選
択的酸素輸送速度が増大する。また、酸素分圧条件が同
じであれば厚さが小さいほど選択的酸素輸送速度が増大
し、混合伝導性酸化物膜中の酸素イオン(酸化物イオン
ともいう)及び電子(または正孔) の移動が律速の場合
(拡散律速という)、選択的酸素輸送速度は厚さの逆数
に比例することが理論的に示されている。
【0014】実際、この関係は厚さが大きい場合に近似
的に成立するが、厚さが小さくなると選択的酸素輸送速
度は厚さの逆数から予想される値を下回り、その乖離は
厚さが小さくなるほど顕著になる。これは、混合伝導性
酸化物膜の両界面で起こる界面反応が、拡散と同程度の
速度でしか進行し得ない場合に、混合伝導性酸化物膜の
両界面の熱力学的酸素分圧差が、気相酸素分圧から計算
される酸素分圧差よりも小さくなってしまうために起こ
る現象であって、この状態を混合律速という。
【0015】これに対し、拡散律速は界面反応が拡散に
比較して極めて迅速に進行し得る場合であって、この場
合、混合伝導性酸化物膜の両界面の熱力学的酸素分圧は
気相の酸素分圧にほぼ等しい。界面反応速度が拡散速度
に比較して極めて遅い場合には厚さを小さくしても選択
的酸素透過速度はもはや増大しなくなる。この状態を界
面反応律速という。混合律速や界面反応律速での選択的
酸素透過速度は、拡散律速から予想される値を下回るの
であるから工業的には好ましくない。
【0016】すなわち、選択的酸素輸送速度の大きなセ
ラミック複合材料の性能を更に向上させるには、緻密な
混合伝導性酸化物の厚さを小さくすることに加え、第2
の課題として、界面反応速度を増大させる手段が必要で
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記第1の課題は、 (a) マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体の一方
の表面に、ストロンチウム、鉄及びコバルトを主成分と
し、それら成分元素のモル比が下記式(1) で表される緻
密な混合伝導性酸化物からなる被覆層または封孔部が形
成されていることを特徴とするセラミック複合材料、 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0≦y≦2.5 )…(1) によって解決される。
【0018】また、前記第2の課題は、(b) マグネシウ
ムを主成分とする酸化物多孔質体の表層に、マグネシア
と触媒、マグネシアと混合伝導性酸化物、または、マグ
ネシアと混合伝導性酸化物と触媒を含む多孔質表面層が
形成され、さらに、該多孔質表面層の表面に、ストロン
チウム、鉄及びコバルトを主成分とし、それら成分元素
のモル比が下記式(1) で表される緻密な混合伝導性酸化
物からなる被覆層または封孔部が形成されていることを
特徴とするセラミック複合材料、 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0≦y≦2.5 )…(1) (c) 前記被覆層または封孔部の表面に、触媒が付与され
ていることを特徴とする前記(a) または(b) のセラミッ
ク複合材料、(d)マグネシウムを主成分とする酸化物多
孔質体の一方の表面に、もしくは、該酸化物多孔質体の
表層に形成された、マグネシアと触媒、マグネシアと混
合伝導性酸化物、または、マグネシアと混合伝導性酸化
物と触媒を含む多孔質表面層の表面に、ストロンチウ
ム、鉄及びコバルトを主成分とし、それら成分元素のモ
ル比が前記式(1) で表される緻密な混合伝導性酸化物か
らなる被覆層または封孔部が形成され、さらに、該被覆
層または封孔部の表面に、マグネシアと混合伝導性酸化
物を含む多孔質表面層または多孔質混合伝導性酸化物被
覆層が付与・密着されていることを特徴とするセラミッ
ク複合材料、もしくは(e)マグネシウムを主成分とする
酸化物多孔質体の一方の表面に、もしくは、該酸化物多
孔質体の表層に形成された、マグネシアと触媒、マグネ
シアと混合伝導性酸化物、または、マグネシアと混合伝
導性酸化物と触媒を含む多孔質表面層の表面に、ストロ
ンチウム、鉄及びコバルトを主成分とし、それら成分元
素のモル比が前記式(1) で表される緻密な混合伝導性酸
化物からなる被覆層または封孔部が形成され、さらに、
該被覆層または封孔部の表面に、前記多孔質表面層また
は多孔質混合伝導性酸化物被覆層が付与・密着されてい
るとともに、該多孔質表面層または多孔質混合伝導性酸
化物被覆層の内部及び/またはその表面ないし表層に、
触媒が付与されていることを特徴とするセラミック複合
材料、によって解決される。
【0019】そして、このような前記(a)〜(e)のセラ
ミック複合材料は、酸素分離装置用及び固体電解質リア
クター用のセラミック複合材料として、極めて有用なも
のである。本発明者らは多くの実験に基づき本発明を完
成させたが、その過程で得られた知見をもとに、本発明
の意義について、次に説明する。
【0020】多孔質セラミック支持体として、どんな材
料でも使うことができるというわけではない。実際に、
実施例1中の比較例に示す如く、例えば、電子伝導性も
酸素イオン伝導性もない絶縁性材料である多孔質のアル
ミナ(Al2O3) 、多孔質のムライト(3Al2O3 ・2SiO2) 、多
孔質の窒化珪素(Si3N4) 、多孔質のサイアロン(Si-Al-O
-N固溶体) 、多孔質のコーディエライト(2Al2O3 ・2MgO・
5SiO2) 、また、酸素イオン伝導性である多孔質のカル
シアまたはイットリア安定化ジルコニア(CaO-doped ZrO
2 またはY2O3-doped ZrO2)、また、電子伝導性である多
孔質の炭化珪素(SiC) 、さらに、混合伝導性であるLa
0.6Sr0.4 CoOx なる平均組成の酸化物等、ほとんどのセ
ラミックは、本発明に係る緻密な混合伝導性酸化物で被
覆または封孔してセラミック複合材料化しようとする
と、この緻密な混合伝導性酸化物に亀裂や剥離が生じた
り、多孔質セラミック支持体とともに破壊したりするな
どの不都合を生じ、本発明の目的を達成するためのセラ
ミック材料としては利用できない。
【0021】本発明に係る緻密な混合伝導性酸化物と同
一の材料を多孔質セラミック支持体として用いても、本
発明の目的を達成することはできない。この材料は機械
的強度が小さく、常温における3点曲げ破壊強度は6〜
30kg/cm2 程度である。これに対し、通常の構造用セラ
ミックス材料の曲げ強度は、例えば、気孔がほとんどな
い緻密体(緻密質セラミック) では、高純度アルミナが
3800〜4400kg/cm2 程度、イットリア部分安定化ジルコ
ニアが9000〜15000 kg/cm2 程度、ムライトが1300〜27
00kg/cm2 程度、コーディライトが 180〜2450kg/cm2
程度、チタン酸アルミニウムが 100〜170 kg/cm2
度、窒素化珪素が2500〜10000 kg/cm2 程度、β−サイ
アロンが3600〜10000 kg/cm2 程度、炭化珪素が3700〜
7000kg/cm 2 程度、高純度マグネシアが1500〜1800kg/
cm2 程度、多孔質セラミックでは、高純度マグネシア煉
瓦(マグネシア含有率99wt%、気孔率15%)及び低純度
マグネシア煉瓦(マグネシア含有率96wt%、気孔率16
%)が 180〜220 kg/cm2 程度、焼成スピネル煉瓦が 2
00〜500 kg/cm2 程度である。明らかに、本発明に係る
緻密な混合伝導性酸化物は、機械的強度が極めて小さ
い。
【0022】また、高純度マグネシア、高純度マグネシ
ア煉瓦、低純度マグネシア煉瓦の曲げ強度の比較より、
数%程度までの不純物は強度にあまり影響しないが、多
孔質化は強度を著しく低下させることがわかる。一般
に、セラミック材料の強度は気孔の存在によって著しく
低下することが知られており、大きな気孔があるほど強
度の低下が激しい。
【0023】したがって、本発明に係る混合伝導性酸化
物を多孔質セラミック支持体とすると、強度が6〜30kg
/cm2 以下になることは明らかであり、実際、本発明者
らが多孔質体を製造して評価したところによれば、緻密
体に比較して、1オーダー程度下の強度しか示さなかっ
た。すなわち、本発明に係る混合伝導性酸化物を多孔質
セラミック支持体とすると、工業材料としての破壊耐性
(信頼性)が極めて劣ることになるので、これとは別の
機械的強度の高い多孔質支持体用セラミック材料を見い
出す必要があった。
【0024】また、工業的には、上記強度の高低に加
え、入手し易く安価な原料から比較的簡単に多孔質セラ
ミック支持体を製造できることが必要であり、本発明に
係る緻密な混合伝導性酸化物を多孔質セラミック支持体
とすることは、この面からも好ましくない。以上述べた
如く、式(1) で表される緻密な混合伝導性酸化物で被覆
または封孔した多孔質セラミック支持体は、本発明の出
願以前には見い出されておらず、本発明の意義は、本発
明の目的に適合する多孔質セラミック支持体材料の要件
を具体的に定めた点にある。
【0025】以下、本発明について詳細に説明する。図
1の(1a)〜(1c)は、前記(a) の複合材料の断面構造
を模式的に例示する図である。図1の(1a)において
は、マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体1(以
下、多孔質体1という) の表面に、ストロンチウム、鉄
及びコバルトを主成分として、それら成分元素のモル比
が前記式(1) で表される緻密な混合伝導性酸化物の被覆
層2(以下、被覆層2という) が形成されている。多孔
質体1において白抜きの部分は空隙を、また、灰色の部
分はマグネシウムを主成分とする酸化物を表す。
【0026】図1の(1b)においては、マグネシウムを
主成分とする酸化物多孔質体1の表面に、前記緻密な混
合伝導性酸化物の封孔部3(以下、封孔部3という) が
形成されている。ここで、封孔とは、島状の形態をなし
た物質によって孔が塞がれている状態を指す。図1の
(1c)においては、多孔質体1の表面に前記緻密な混合
伝導性酸化物の被覆層4(以下、被覆層4という) が形
成されており、被覆層4は多孔質体1の表層の孔内にま
で入り込んでいる。
【0027】図1の(1a)〜(1c)において、被覆層
2、封孔部3または被覆層4は、酸素含有混合ガス中の
酸素成分のみを選択的に輸送する機能を担い、多孔質体
1は支持体としての機能を担う。本発明の選択的酸素輸
送用セラミック複合材料において、前記(a) の複合材料
の断面構造を上記の如き構造とした理由は、以下のとお
りである。
【0028】本発明者らが多くの実験に基づき得た知見
によれば、多孔質セラミック支持体が緻密な混合伝導性
酸化物で被覆または封孔されたセラミック複合材料を用
いて酸素を選択輸送する場合、多孔質支持体として利用
し得るセラミック材料は、以下の材料特性に係る要件1)
〜5)を有する必要がある。 1)工業的に利用可能な選択的酸素輸送速度を得るには、
少なくとも数百℃、典型的には 700〜950 ℃程度の高温
にセラミック複合材料を保持する必要があるが、そうい
った操業温度に長時間保持されても、多孔質セラミック
支持体及び緻密な混合伝導性酸化物の被覆層または封孔
部が固相反応を起こさない。また、多孔質セラミック支
持体及び緻密な混合伝導性酸化物の被覆層または封孔部
に割れ等の機械的損傷が生じず、かつ気相と反応して還
元による粉化や酸化による封孔等の化学的損傷及びそれ
らに起因する破壊等の機械的損傷が生じない。
【0029】2)操業開始時には常温から上記温度(少な
くとも数百℃、典型的には 700〜950 ℃程度) に昇温
し、逆に、操業休停止時には上記温度から常温に降温す
るが、そういった熱履歴を受けても、多孔質セラミック
支持体と緻密な混合伝導性酸化物の被覆層または封孔部
との両方に破壊等の機械的損傷が生じない。 3)一般に、混合伝導性酸化物被覆層または封孔部を緻密
化して、所定の混合伝導性を発現させ、かつ、多孔質セ
ラミック支持体と密着させるには、前記被覆または封孔
構造物を操業温度以上の高温の酸化性雰囲気下(典型的
には大気下)で焼成または熱処理する必要があるが、そ
ういった熱処理温度に所定時間(典型的には数時間程
度)保持されても、多孔質セラミック支持体と緻密な混
合伝導性酸化物が固相反応を起こさない。また、多孔質
セラミック支持体自身に割れ等の機械的損傷が生じず、
かつ気相と反応して化学的損傷及びそれらに起因する破
壊等の機械的損傷が生じない。
【0030】4)上記熱処理においては常温から熱処理温
度まで昇温し、逆に、熱処理終了時には常温まで降温す
るが、そういった熱履歴を受けても、多孔質セラミック
支持体と緻密な混合伝導性酸化物の両方に破壊等の機械
的損傷が生じない。 5)また、工業化の観点から、上記1)〜4)に加えて、入手
し易く安価な原料から比較的簡単に多孔質セラミック支
持体を製造でき、かつ、工業材料としての破壊耐性(信
頼性)を確保するうえにおいて、その多孔質セラミック
支持体の機械的強度が高い。
【0031】本発明のセラミック複合材料によって選択
的酸素輸送を行う温度は、典型的には 700〜950 ℃程度
であって、この温度に、例えば、千時間以上といった長
期間保持されても、本発明のセラミック複合材料中のマ
グネシウムを主成分とする酸化物(多孔質体1を構成す
る材料)は、緻密な混合伝導性酸化物と固相反応を起こ
さない。
【0032】本発明者らは、このことを以下の方法で確
認した。まず、ストロンチウム、鉄、コバルトのモル比
が式(1) の範囲になるように炭酸ストロンチウム、酸化
第2鉄、硝酸コバルト6水塩(または酸化コバルト)を
秤量後、それらの混合物に有機溶剤を加え、ボールミル
により粉砕、乾燥して得られる凝集物を乳鉢、乳棒で解
砕し、 900℃で仮焼、1200℃で5時間焼成し、さらに、
乳鉢、乳棒で解砕することによって、本発明のセラミッ
ク複合材料に利用される緻密な混合伝導性酸化物と同じ
材料の粉末を製造した。
【0033】次に、後記「本発明のセラミック複合材料
の製造方法」(〔発明の実施の形態〕、参照)に例示し
た方法により、マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
質体を製造し、これを乳鉢、乳棒で解砕して粉末とし
た。最後に、これら2種類の粉末を混合し、大気中で 9
50℃、1000時間の熱処理を行った。粉末X線回折法によ
り熱処理前後における混合粉末の結晶構造を調べ、熱処
理によって第3相が生成しないこと、すなわち、マグネ
シウムを主成分とする酸化物が混合伝導性酸化物と固相
反応しないことを確認した。マグネシウムを主成分とす
る酸化物は熱力学的に極めて安定であって、実施例2及
び3に示した如く、大気中ではもちろんのこと、高温の
メタンガス、合成ガス(一酸化炭素と水素との混合ガ
ス) 、それらの混合ガスのような低酸素分圧雰囲気下に
おいても、機械的・化学的損傷が生じない。
【0034】また、本発明のセラミック複合材料は、上
記選択的酸素輸送温度に保持しても、どちらの酸化物に
も割れ等の機械的・化学的損傷が生じることがない。昇
温時、降温時も同様であって、少なくとも 200℃/hr程
度以下の昇降温速度では、どちらの材料にも割れ等の機
械的損傷が生じることがなく、化学的損傷も生じない。
【0035】したがって、マグネシウムを主成分とする
酸化物は、本発明のセラミック複合材料用の多孔質体1
に必要な前記材料特性に係る要件1)及び2)を充分に満足
する。本発明に係る緻密な混合伝導性酸化物の被覆層
2、4または封孔部3を製造するための焼成または熱処
理温度は、典型的には、1100〜1200℃程度であって、こ
の温度に数〜十時間程度保持されても、マグネシウムを
主成分とする酸化物(多孔質体1を構成する材料) は、
混合伝導性酸化物と固相反応を全く起こすことがない
か、あるいは、ほとんど反応しない。
【0036】本発明者らは前述した方法によって混合粉
末を製造し、これに、大気中、1200℃、10時間の熱処理
を行い、粉末X線回折法により、熱処理で第3相が生成
しないこと、すなわち、マグネシウムを主成分とする酸
化物が混合伝導性酸化物と固相反応を全く起こさない
か、あるいは、ほとんど反応しないことを確認した。な
お、固相反応の程度は、マグネシウムを主成分とする酸
化物中のマグネシア含有率(重量%) に依存するため、
後述するように、90%以上とすることが推奨される。
【0037】マグネシウムを主成分とする酸化物は熱力
学的に極めて安定であって、実施例2 の表2中に示すよ
うに、大気中ではもちろんのこと、高温の低酸素分圧雰
囲気下においても、機械的・化学的損傷が生じない。ま
た、マグネシウムを主成分とする酸化物の多孔質セラミ
ック支持体上に本発明に係る緻密な混合伝導性酸化物の
スラリーを被覆して焼成したり、化学蒸着法、スパッタ
リング法等のいわゆる乾式薄膜堆積技術によって被覆ま
たは封孔した後に焼成または熱処理する場合、そういっ
た熱処理温度(典型的には 800〜1200℃) に保持して
も、どちらの材料においても、割れ等の機械的損傷が生
じることがない。
【0038】昇温時、降温時も同様であって、少なくと
も 200℃/hr程度以下の昇降温速度では、どちらの材料
においても、割れ等の機械的損傷が生じることがなく、
化学的損傷も生じない。したがって、マグネシウムを主
成分とする酸化物は、本発明のセラミック複合材料用の
多孔質体1に必要な前記材料特性に係る要件3)及び4)を
充分に満足する。
【0039】マグネシウムを主成分とする酸化物(多孔
質体1を構成する材料) は、マグネシアとして既に工業
的に広く利用されている材料であって、多孔質体を製造
するための原料粉は、粒子のサイズが小さく、粒径の揃
った安価で高品質なものが簡単に入手できる。また、マ
グネシウムを主成分とする酸化物多孔質体は、後記「本
発明のセラミック複合材料の製造方法」(〔発明の実施
の形態〕、参照)に例示した方法によって簡単に製造で
き、原料粉が高品質であることと、前述したように、も
ともと機械的強度の高い材料であることから、多孔質体
の機械的強度も高い。
【0040】したがって、マグネシウムを主成分とする
酸化物は、本発明のセラミック複合材料用の多孔質体1
に必要な前記材料特性に係る要件5)を充分に満足する。
本発明においては、マグネシウムを主成分とする酸化物
多孔質体1中のマグネシア含有率(重量%) を特に規定
しないが、本発明者らの経験では、90%以上が推奨され
る。なお、ここでいう含有率とは、総質量に対するマグ
ネシア(MgO) の質量の比を指す。
【0041】マグネシア含有率90%未満では、不純物な
いし副成分材料の種類に依存するが、本発明に係る緻密
な混合伝導性酸化物との固相化学反応が無視できない程
度に起こる場合がある。本発明に係る緻密な混合伝導性
酸化物に係る式(1) は、主成分元素のモル比を定めたも
のであって、本発明の目的に対して許容できる程度の悪
影響しかない場合、あるいは、全く悪影響のない場合に
は、主成分元素以外の元素が混在してもよい。例えば、
実施例1及び2の表1及び2中の試料番号17に示す如
く、不純物と見なせる数%程度までの含有量であれば、
緻密な混合伝導性酸化物の被覆層2、4または封孔部3
に主成分元素以外の元素が混在または固溶しても悪影響
はない。
【0042】また、実施例1及び2の表1及び2中の試
料番号19に示す如く、緻密な混合伝導性酸化物の被覆層
2、4または封孔部3中に、例えば、5%程度(全金属
元素に対するモル%) のマグネシウムがマグネシアとし
て混在する場合、酸素の選択的輸送速度が低下したり緻
密な混合伝導性酸化物の被覆層2、4または封孔部3が
割れたりするといった不具合は、本発明のセラミック複
合材料では生じない。
【0043】そればかりか、緻密な混合伝導性酸化物の
被覆層2、4または封孔部3とマグネシウムを主成分と
する酸化物多孔質体1との密着性が向上し、かつ、選択
的酸素輸送速度が増大するという利点がある。なお、本
発明に係るマグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体
1は、酸素イオン(酸化物イオン) 伝導性も電子伝導性
もない絶縁性の酸化物である。
【0044】したがって、本発明のセラミック複合材料
は、米国特許 5240480号明細書及び同 4827071号明細
書、特開平 3-37172号公報等に規定または例示されてい
る材料とは明らかに異なるものである。本発明において
は、緻密な混合伝導性酸化物の被覆層2、4または封孔
部3の厚さ、及び、マグネシウムを主成分とする酸化物
多孔質体1の厚さについて特に規定しない。酸素透過速
度が拡散律速及び混合律速の場合には、緻密な混合伝導
性酸化物の被覆層2、4または封孔部3は薄いほどよい
が、本発明者らの経験によれば、あまりに薄ければ機械
的損傷を受けやすくなるので、1μm以上であることが
好ましく、工業的なレベルでの高い信頼性を保つために
は10μm以上、さらに高い信頼性を保つためには30μm
以上であることが好ましい。但し、あまりに厚ければ酸
素輸送速度が低下するので、1000μm以下が推奨され
る。
【0045】酸化物多孔質体1は支持体として充分な機
械的強度を持っていることが好ましく、本発明者らの経
験によれば、少なくとも1mm、好ましくは 1.5mm以上、
さらに好ましくは2mm超の厚さにすることが推奨され
る。但し、あまり厚くするとガスの通過が遅くなり、こ
れが酸素輸送速度を低下させることになるので、5mm以
下にすることが好ましい。
【0046】本発明の選択的酸素輸送用セラミック複合
材料においては、界面反応速度を向上させて選択的酸素
輸送速度をさらに向上させるために、前記(b) 〜(e) の
構造を採用した。図2の(2a)〜(2c)は、前記(b) の
複合材料の断面構造を模式的に例示する図である。図2
の(2a)においては、多孔質体1の表層に、マグネシア
と触媒を含む多孔質表面層5(以下、多孔質表面層5と
いう) が形成され、さらに、その表面に、被覆層2、4
または封孔部3が形成されている。多孔質表面層5にお
いて白抜きの部分は空隙を、灰色の部分はマグネシア
を、小さな黒丸は触媒を表す。
【0047】図2の(2b)においては、多孔質体1の表
層に、マグネシアと混合伝導性酸化物を含む多孔質表面
層6(以下、多孔質表面層6という) が形成され、さら
に、その表面に、被覆層2、4または封孔部3が形成さ
れている。多孔質表面層6において白抜きの部分は空隙
を、灰色の部分はマグネシアを、ハッチングの部分は混
合伝導性酸化物を表す。この混合伝導性酸化物は、式
(1) で表される緻密な混合伝導性酸化物と同じ物質であ
る必要はない。
【0048】図2の(2c)においては、多孔質体1の表
層に、マグネシアと混合伝導性酸化物と触媒を含む多孔
質表面層7(以下、多孔質表面層7という) が形成さ
れ、さらに、その表面に、被覆層2、4または封孔部3
が形成されている。多孔質表面層7において白抜きの部
分は空隙を、灰色の部分はマグネシアを、小さな黒丸は
触媒を、ハッチングの部分は混合伝導性酸化物を表す。
この混合伝導性酸化物は、式(1) で表される緻密な混合
伝導性酸化物と同じ物質である必要はない。
【0049】図2の(2a)〜(2c)において、被覆層
2、4または封孔部3は酸素含有混合ガス中の酸素成分
のみを選択的に輸送する機能を担い、多孔質体1(表層
に、多孔質表面層5、多孔質表面層6または多孔質表面
層7を有するものを含む) は支持体としての機能を担
う。そして、被覆層2、4または封孔部3に接する多孔
質表面層5、多孔質表面層6または多孔質表面層7は界
面反応速度を増大させる機能を担う。
【0050】前記(b) の構造における多孔質表面層5、
6及び7においてマグネシアが必要な主たる理由は、こ
れらの多孔質表面層とその直下にあるマグネシウムを主
成分とする酸化物多孔質体1との密着性、ひいては、こ
れらの多孔質表面層と緻密な混合伝導性酸化物の被覆層
2、4または封孔部3との密着性を保つこと、及び、マ
グネシアが共存するが故に選択的酸素輸送速度が向上す
ることの二つである。
【0051】マグネシアが多孔質表面層中にない場合、
すなわち、触媒及び/または混合伝導性酸化物のみで多
孔質表面層が形成されている場合、マグネシウムを主成
分とする酸化物多孔質体1と該多孔質表面層との密着性
が低下し、焼成時や操業時に昇降温の熱履歴を受ける
と、多孔質表面層のみならず、多孔質表面層の直上にあ
る緻密な混合伝導性酸化物の被覆層2、4または封孔部
3に亀裂が入って、酸素成分以外のガス分子が通過する
ようになる。亀裂が甚だしい場合には、多孔質表面層、
及び/または、緻密な混合伝導性酸化物の被覆層2、4
または封孔部3が剥離する。
【0052】但し、多孔質表面層が式(1)で表される
緻密な混合伝導性酸化物のみからなる場合、あるいは、
これと少量の触媒からなる場合には、上記の亀裂が発生
しにくいが、前述したように、式(1)で表される多孔
質混合伝導体は機械的強度が低いので、昇降温速度の大
きい熱履歴を受けたり、機械的衝撃を受けたりすると、
やはり破壊することがあり、信頼性の点で好ましくな
い。
【0053】以上より、触媒及び/または混合伝導体の
みで多孔質表面層とすることは避けるべきであることが
わかる。これに対し、マグネシアと触媒、マグネシアと
混合伝導性酸化物、または、マグネシアと触媒と混合伝
導性酸化物が多孔質表面層5、6及び7内に存在する
と、これらの多孔質表面層、及び/または、緻密な混合
伝導性酸化物の被覆層2、4または封孔部3には、亀
裂、剥離といった問題が起こらない。加えて、マグネシ
ア単独で多孔質表面層を形成した場合に比較して、選択
的酸素輸送速度が増加する。
【0054】この原因は定かではないが、本発明者ら
は、マグネシアと触媒及び/または混合伝導性酸化物の
界面が特殊な性質を持っていて、これが界面反応速度を
上げているのではないかと推定している。以上の説明か
ら明らかなように、前記(b) の構造を採用すれば、前記
(a) の構造の場合に比較して、工業用材料としての信頼
性を低下させることなく選択的酸素輸送速度を、さらに
向上させることができる。
【0055】本発明においては、前記多孔質表面層5、
6及び7中のマグネシア、触媒、混合伝導性酸化物の含
有量について特に規定しないが、本発明者らの経験で
は、マグネシア含有量は 10vol%以上、触媒及び混合伝
導性酸化物は合算で 90vol%以下であることが好まし
い。ここで、これらの数値は気孔を除いた時の容積百分
率である。
【0056】本発明においては触媒の種類について特に
規定しないが、本発明者らの経験では、少なくともロジ
ウム系(酸素分離用途、炭化水素の酸化用途に好適) 、
白金系(酸素分離用途、炭化水素の酸化用途に好適) 、
ニッケル系(炭化水素の酸化用途に好適) 、及び、銅系
(炭化水素の酸化用途に好適) の金属触媒、それらの金
属触媒を一般的な混合伝導性酸化物に担持させた触媒が
利用可能である。
【0057】また、本発明においては、前記多孔質表面
層中の一般的な混合伝導性酸化物の種類または組成につ
いて特に規定しないが、本発明者らの経験では、前記式
(1)で表される組成物が最も好ましい。図3の(3a)
及び(3b)は、前記(c) の複合材料の断面構造を模式的
に例示する図である。図3の(3a)においては、多孔質
体1の表面に、被覆層2、4または封孔部3が形成さ
れ、そして、その表面に、触媒8が付与されている。図
3の(3b)においては、多孔質体1の表面に、多孔質表
面層5、6または7が形成され、さらに、その表面に、
被覆層2、4または封孔部3が形成され、そして、最表
面に、触媒8が付与されている。
【0058】図3の(3a)及び(3b)において、被覆層
2、4または封孔部3は、酸素含有混合ガス中の酸素成
分のみを選択的に輸送する機能を担い、多孔質体1(表
層に多孔質表面層5、6または7を有するものを含む)
は、支持体としての機能を担う。そして、被覆層2、4
または封孔部3に接する多孔質表面層5、6及び7、及
び、触媒8は、界面反応速度を増大させる機能を担う。
【0059】前記(c) の構造において、緻密な混合伝導
性酸化物の被覆層2、4または封孔部3の表面に触媒8
を付与する構造とした主たる理由は、選択的酸素輸送速
度が増大すること、及び、前記緻密な混合伝導性酸化物
の焼成後に触媒8を付与する場合、緻密な混合伝導性酸
化物の焼成温度(典型的には1100〜1200℃)より低温で
焼き付け等の熱処理を行い得ることから、触媒8の劣化
を防止でき、さらに、触媒8を層状とした場合に、特に
いえることであるが、触媒層が割れたりし難いことの二
つである。
【0060】さらにいえば、仮に触媒層に亀裂が入った
としても、この層は、緻密な混合伝導性酸化物の被覆層
2、4または封孔部3、及び、その直下のマグネシウム
を主成分とする酸化物多孔質体1に支持されているが故
に剥離することがない。なお、触媒8は層状をなして付
与される必要はなく、島状の形態で付与されてもよい。
【0061】本発明においては触媒8の種類について特
に規定しないが、本発明者らの経験では、ロジウム系
(酸素分離用途、炭化水素の酸化用途に好適) 、白金系
(酸素分離用途、炭化水素の酸化用途に好適) 、ニッケ
ル系(炭化水素の酸化用途に好適) 、及び、銅系(炭化
水素の酸化用途に好適) の金属触媒、さらには、それら
の金属触媒をγ−アルミナや混合伝導性酸化物等に担持
させた触媒が利用可能である。γ−アルミナは、本発明
に係る緻密な混合伝導性酸化物と1100℃以上で反応する
ため前記(b) の構造の場合には利用できないが、本ケー
スではそのような高温処理を避けることができるので、
触媒担体として利用しても何ら問題がない。また、本発
明において、触媒層とする場合、前記(b) の構造の場合
と同様に、マグネシアと共存させて多孔質層としてもよ
い。
【0062】図4の(4a)〜(4c)は、前記(d) の複合
材料の断面構造を模式的に例示する図である。図4の
(4a)においては、多孔質体1の表面に、被覆層2、4
または封孔部3が形成され、さらに、その表面に、多孔
質混合伝導性酸化物被覆層9が付与・ 密着されている。
多孔質混合伝導性酸化物被覆層9における混合伝導性酸
化物は、式(1)で表される緻密な混合伝導性酸化物と
同じ物質である必要はない。
【0063】図4の(4b)においては、多孔質体1の表
面に、被覆層2、4または封孔部3が形成され、さら
に、その表面に、マグネシアと混合伝導性酸化物を含む
多孔質表面層6が付与・ 密着されている。図4の(4c)
においては、多孔質体1の表面に、多孔質表面層5、6
または7が形成され、その表面に、被覆層2、4または
封孔部3が形成され、さらに、最表面に、多孔質表面層
6 または多孔質混合伝導性酸化物被覆層9が付与・ 密着
されている。なお、図4の(4a)〜(4c)において、被
覆層2、4または封孔部3の上にある多孔質表面層6及
び多孔質混合伝導性酸化物被覆層9は層状に描かれてい
るが、これらは必ずしも層状である必要はなく、島状に
付与・ 密着されてもよい。
【0064】図4の(4a)〜(4c)において、被覆層
2、4または封孔部3は酸素含有混合ガス中の酸素成分
のみを選択的に輸送する機能を担い、多孔質体1(表層
に多孔質表面層5、6、7を有するものを含む) は支持
体としての機能を担う。そして、多孔質表面層5、6及
び7 、及び、多孔質混合伝導性酸化物被覆層9は界面反
応速度を増大させる機能を担う。
【0065】前記(d) の構造において、緻密な混合伝導
性酸化物による被覆層2、4または封孔部3の表面に多
孔質表面層6及び多孔質混合伝導性酸化物の被覆層9を
付与・ 密着させる構造とした主たる理由は、選択的酸素
輸送速度が増大すること、及び、緻密な混合伝導性酸化
物の焼成後に多孔質表面層6または多孔質混合伝導性酸
化物被覆層9を付与・ 密着させる場合、緻密な混合伝導
性酸化物の焼成温度(典型的には1100〜1200℃) よりも
低い温度で処理できるので、それらが劣化したり、割れ
たりしないことの二つである。
【0066】さらにいえば、仮に多孔質表面層6及び多
孔質混合伝導性酸化物被覆層9に亀裂が入ったとして
も、これらの層は緻密混合伝導性酸化物による被覆層
2、4または封孔部3、及び、その直下のマグネシウム
を主成分とする酸化物多孔質体1に支持されているが故
に剥離することがない。したがって、多孔質表面層6及
び多孔質混合伝導性酸化物被覆層9は必ずしも層状とし
て付与・ 密着される必要はなく、島状の形態で付与・ 密
着されてもよい。
【0067】米国特許 5240480号明細書には、孔径10μ
m以下のイオン透過性(混合伝導性) で厚さ1μm〜2
mmの多孔質膜(すなわち多孔質連続体の層) の上に、緻
密なイオン透過性(混合伝導性) の厚さ0.01〜500 μm
の膜を密着させる構造が開示されているが、この構造に
おいては、明細書の記載及び図面からして、前者の多孔
質膜が支持体であると解釈できる。
【0068】これに対し、本発明の場合、支持体はマグ
ネシウムを主成分とする酸化物多孔質体1であって、緻
密な混合伝導性酸化物の被覆層2、4または封孔部3上
の多孔質表面層6及び多孔質混合伝導性酸化物被覆層9
は支持体ではない。この違いは、多孔質表面層6及び多
孔質混合伝導性酸化物被覆層9を島状に付与・密着させ
た場合を考えれば明らかであって、その場合には、米国
特許 5240480号明細書に開示されている構造とはなり得
ない。
【0069】また、多孔質表面層6及び多孔質混合伝導
性酸化物被覆層9は、緻密な混合伝導性酸化物の被覆層
2、4または封孔部3を形成した後で付与・ 密着され
る。したがって、本発明のセラミック複合材料は、米国
特許 5240480号明細書に開示されている複合材料とは構
造も製造方法も異なるものである。さらに、本発明のセ
ラミック複合材料は、特開平 3-37172号公報に例示され
ている緻密な混合伝導性酸化物の被覆層と同一組成の材
料を多孔質支持体とする構造とも異なるものである。
【0070】なお、本発明においては、緻密な混合伝導
性酸化物による被覆層2、4または封孔部3の表面に付
与・ 密着させる多孔質表面層6及び多孔質混合伝導性酸
化物被覆層9中の混合伝導性酸化物の種類については、
特に規定しない。図5の(5a)〜(5f)は、前記(e) の
複合材料の断面構造を模式的に例示する図である。図5
の(5a)においては、多孔質体1の表面に被覆層2、4
または封孔部3が形成され、さらに、その表面に、内部
に触媒を含む多孔質混合伝導性酸化物の被覆層10(以
下、多孔質混合伝導性酸化物の被覆層10という) が付与
・ 密着されている。多孔質混合伝導性酸化物の被覆層10
において白抜きの部分は空隙を、小さな黒丸は触媒を、
ハッチングの部分は混合伝導性酸化物を表す。この混合
伝導性酸化物は、式(1)で表される緻密な混合伝導性
酸化物と同じ物質である必要はない。
【0071】図5の(5b)においては、多孔質体1の表
面に、被覆層2、4または封孔部3が形成され、さら
に、その表面に、多孔質表面層6または7、または、多
孔質混合伝導性酸化物の被覆層9または10が形成され、
そして、最表面に、触媒8が付与されている。図5の
(5c)においては、多孔質体1の表面に、被覆層2、4
または封孔部3が形成され、さらに、最表面に、多孔質
表面層6または7、または、多孔質混合伝導性酸化物の
被覆層9または10が形成され、そして、その表層部に、
触媒8が付与されている。
【0072】図5の(5d)においては、多孔質体1の表
面に多孔質表面層5、6または7が形成され、その表面
に、被覆層2、4または封孔部3が形成され、さらに、
最表面に、多孔質表面層5または7、または、多孔質混
合伝導性酸化物の被覆層10が付与・ 密着されている。図
5の(5e)においては、多孔質体1の表面に、多孔質表
面層5、6または7が形成され、その表面に、被覆層
2、4または封孔部3が形成され、さらに、その表面
に、多孔質表面層5、6または7、または、多孔質混合
伝導性酸化物の被覆層9または10が形成され、そして、
最表面に、触媒8が付与されている。
【0073】図5の(5f)においては、多孔質体1の表
面に多孔質表面層5、6または7が形成され、その表面
に、被覆層2、4または封孔部3が形成され、さらに、
最表面に、多孔質表面層5、6または7、または、多孔
質混合伝導性酸化物の被覆層9または10が形成され、そ
して、その表層部に、触媒8が付与されている。なお、
図5の(5a)〜(5f)において、被覆層2、4または封
孔部3の上にある多孔質表面層5、6または7、また
は、多孔質混合伝導性酸化物の被覆層9または10は層状
に描かれているが、これらは必ずしも層状である必要は
なく、島状に付与・ 密着されてもよい。
【0074】図5の(5a)〜(5f)において、被覆層
2、4または封孔部3は酸素含有混合ガス中の酸素成分
のみを選択的に輸送する機能を担い、多孔質体1(表層
に多孔質表面層5、6または7を有するものを含む) は
支持体としての機能を担う。そして、被覆層2、4また
は封孔部3に接する多孔質表面層5、6及び7、及び、
多孔質混合伝導性酸化物の被覆層9及び10、さらに、そ
れらの内部または表層または表面に付与された触媒は界
面反応速度を増大させる機能を担う。
【0075】前記(e) の構造において、多孔質表面層
5、6及び7、及び、多孔質混合伝導性酸化物の被覆層
9及び10の内部、または、その表面ないし表層に触媒を
付与する構造としたのは、選択的酸素輸送速度を増大さ
せるためである。なお、触媒の種類及び形態等に関して
は、前記(c) の構造の場合と同様のことがいえる。本発
明のセラミック複合材料は、酸素ガス中または酸素含有
混合ガス中の酸素を選択的に輸送するために好適に使用
される。工業的には空気中酸素の分離回収用途、及び、
軽質炭化水素(メタン、天然ガス、エタン等) の酸化や
部分酸化等のいわゆる隔膜リアクター用途に適してい
る。
【0076】
【発明の実施の形態】「本発明のセラミック複合材料の
製造方法」本発明のセラミック複合材料の製造方法の一
例について説明する。まず、マグネシウムを主成分とす
る酸化物多孔質体(多孔質セラミック支持体) は、例え
ば、以下の様に製造することができる。
【0077】セラミック製造用のグレードのマグネシア
粉体(市販品:場合によっては焼結助剤として3wt%以
下のチタニア等を含む) 、及び、所定量のポリビニルア
ルコール粉末、有機溶剤をボールミルにてよく混練し乾
燥して得られる凝集物を、乳鉢及び乳棒によって解砕し
て、多孔質セラミック支持体製造用の原料粉とし、所望
の形状に加圧成形する。場合によっては、前記方法と多
少異なり、セラミック製造用のグレードのマグネシア粉
体(市販品) 及びポリビニルアルコール粉末に、成形補
助材料であるバインダ、分散媒、分散剤等を加え、スラ
リーまたは可塑性固形物としたまま、鋳込み法や射出成
形法等によって成形し所望の形状とする。最後に大気中
にて焼成する。焼成時の留意点は、焼成を2段階で行う
ことであり、第1段階では、常温からゆっくりと昇温
(5℃/hr程度)して 250℃程度の温度に達したら、そ
の温度で数時間保持することによりポリビニルアルコー
ルを酸化分解させる。さらに、第2段階では、そのまま
ゆっくりと昇温した後、1200〜1500℃で数時間焼成し、
その後、常温付近まで降温する。
【0078】この方法により、板状、管状等、任意形状
の多孔質セラミック支持体が得られる。多孔質体の気孔
率はポリビニルアルコール粉末の添加量によって制御で
きる。なお、本発明に係る多孔質セラミック支持体の製
造方法は、上記例示の方法に限られるものではない。ス
トロンチウム、鉄、及びコバルトを主成分とし、その平
均組成が前記式(1)で表される緻密な混合伝導性酸化物
層は、例えば、以下の方法によって製造することができ
る。
【0079】所定量の炭酸ストロンチウム、酸化第2
鉄、硝酸コバルト6水塩(または、酸化コバルト) に有
機溶剤を加え、ボールミルにより粉砕、混練し、乾燥し
て得られる凝集物を、乳鉢、乳棒で解砕し、 700〜900
℃程度の温度で仮焼する。必要に応じて、仮焼、解砕の
工程を繰り返してもよい。次に、前記解砕粉に分散媒
(有機溶剤、水等) 、さらに、必要ならば適当な分散
剤、増粘剤等を加えてボールミルにて粉砕しスラリーと
する。粉末状のものが必要な場合には、乾燥後の凝集物
をボールミルまたは乳鉢、乳棒で解砕すればよいが、一
般には、スラリーままの方が多孔質支持体への薄膜コー
ティングに好適である。
【0080】マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質
体(多孔質セラミック支持体) の一方の表面を混合伝導
性酸化物で被覆するには、例えば、以下の方法を利用す
ればよい。最も簡単な方法では、前記スラリーを多孔質
セラミック支持体にコーティングして乾燥後、ゆっくり
と昇温して1100〜1200℃程度の温度で数時間焼成する。
スラリー中の混合伝導性酸化物粒子の濃度を変えたり、
塗布・乾燥サイクルの回数を変えたり、分散媒や分散剤
の種類及び濃度を変えてスラリーの粘度を調整したりす
ることにより、膜厚を制御することが可能である。
【0081】また、前記混合伝導体により封孔するに
は、例えば、以下の方法を利用すればよい。まず、前記
スラリーを乾燥した後の凝集物を、ボールミルまたは乳
鉢、乳棒で解砕して粉末状の仮焼粉を製造する。次に、
マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体(多孔質セ
ラミック支持体) の一方の面を真空または低圧力雰囲気
に晒し、他方の面を大気に晒す。前記多孔質体が管であ
って、その一端が閉じられている場合には、他端を真空
ポンプで吸引すればよい。
【0082】この状態で大気側の面に前記仮焼粉をまん
べんなく振りかけると、気圧差によって、多孔質体の孔
部及びその近傍に仮焼粉末が吸着する。仮焼粉を振りか
けた面を高圧空気でブローして、余分な仮焼粉を吹き飛
ばした後、有機物系接着剤を含有する有機溶剤をスプレ
ーする。充分に乾燥させた後、ゆっくりと昇温して1100
〜1200℃程度の温度で数時間焼成する。一度の処理で封
孔が充分でない場合には、同じ操作を繰り返す。
【0083】以上の方法により、マグネシウムを主成分
とする酸化物多孔質セラミックの任意形状の支持体上
に、本発明に係る混合伝導性酸化物層を被覆または封孔
することができる。なお、本発明に係る混合伝導性酸化
物の被覆または封孔方法は、上記例示の方法に限られる
ものではなく、CVD法、スパッタ法、ゾルゲル法等、
他の方法によってもよい。
【0084】マグネシアと触媒、マグネシアと混合伝導
性酸化物、または、マグネシアと混合伝導体酸化物と触
媒を含む多孔質表面層を有し、残部がマグネシウムを主
成分とする酸化物からなる多孔質体(以下、多孔質体3
という) は、例えば以下の方法によって製造することが
できる。まず、マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
質体を製造する前記例示の方法の手順により、マグネシ
ウムを主成分とする酸化物からなる多孔質焼成体を製造
する(以下、多孔質体1という) 。次に、マグネシア粉
末及びポリビニルアルコール粉末に分散媒(有機溶剤、
水等) 、必要ならば適当な分散剤、増粘剤等を加えてボ
ールミルにて混練し、必要に応じて、混合伝導性酸化物
に係る前記例示の方法の手順により調製した所定成分の
混合伝導性酸化物仮焼粉のスラリーを加えて、さらに混
練する。この時、必要ならば触媒を加えて混練してもよ
いが、一般には、触媒は高温処理によって劣化するので
避けた方がよい。
【0085】このようにして得たスラリーを、例えば、
混合伝導性酸化物に係る前記例示の方法で、多孔質体1
上にコーティングする。乾燥後、例えば、マグネシウム
を主成分とする酸化物多孔質体の製造に係る前記例示の
方法における焼成条件で2段階焼成して、多孔質表面層
を有し残部がマグネシウムを主成分とする酸化物からな
る多孔質体(以下、多孔質体2という) を得る。但し、
2段階目の焼成温度は、マグネシア単独の場合の焼成温
度 (1300〜1450℃程度) よりも低温とした方がよく、共
存させる混合伝導性酸化物や触媒の種類にもよるが、11
00〜1250℃程度とすることが推奨される。
【0086】この後、多孔質表面層に触媒を付与するに
は、例えば、以下の様にする。触媒がロジウム触媒の場
合には、ロジウムアセチルアセトネートを適当な有機溶
剤に溶解させ、これを多孔質体2に含浸・ 乾燥させた
後、緻密質混合伝導性酸化物被覆層または封孔部を、例
えば、混合伝導性酸化物に係る前記例示の方法で形成し
てから、その焼成前に、1%H2-N2 のような還元性雰囲
気中、数百℃の温度で急速熱分解する。白金触媒の場合
には、ロジウムアセチルアセトネートの代わりに、例え
ば、白金アセチルアセチネートを用いればよい。
【0087】また、ニッケル触媒の場合には、表面多孔
質層を製造する際に用いるマグネシア粉末、ポリビニル
アルコール粉末等から成るスラリー中に、酸化ニッケル
粉末を混練しておけばよい。銅触媒の場合には、酸化ニ
ッケル触媒の代わりに酸化銅を用いればよい。これらの
酸化銅や酸化ニッケルは、メタンガスのような還元性雰
囲気に晒されると部分還元され、また、条件によっては
完全還元され、触媒として機能するようになる。
【0088】なお、多孔質体3の製造方法は、上記例示
の方法に限られるものではない。緻密質混合伝導性酸化
物による被覆層または封孔部の表面に多孔質混合伝導体
を付与・ 密着させるには、例えば、以下の方法を用いる
ことができる。まず、既に述べた方法を種々組み合わ
せ、マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体の一方
の表面を緻密質混合伝導性酸化物にて被覆または封孔し
た請求項1または2に記載のセラミック複合材料を作
る。この際、緻密質混合伝導性酸化物を焼成せず、乾燥
にとどめて以下の工程に入ると焼成回数が減るという利
点があるが、必要に応じて、焼成や焼き付け等の熱処理
を繰り返しても構わない。
【0089】次に、所定組成の混合伝導体仮焼粉とポリ
ビニルアルコール粉末に分散媒(有機溶剤、水等) 、さ
らに、必要ならば適当な分散剤、増粘剤等を加えてボー
ルミルにて粉砕して得たスラリーを、前記セラミック複
合材料にコーティングする。乾燥後、ゆっくりと昇温し
て1000〜1200℃程度の温度で数時間焼成する。多孔質混
合伝導体の気孔率はポリビニルアルコール粉末の添加量
によって制御できる。なお、多孔質混合伝導体を付与・
密着させる方法は、上記例示の方法に限られるものでは
ない。
【0090】多孔質混合伝導体中、または、その表面な
いし表層に触媒を付与するには、例えば、以下の方法を
用いることができる。白金触媒として白金粒子を利用す
る場合には、多孔質混合伝導体に白金ペーストを塗布
し、共存する有機物をその酸化分解温度(典型的には 4
50〜600 ℃程度) 以上の温度の酸化性雰囲気(典型的に
は空気) 中で熱分解する。
【0091】ロジウム系、ニッケル系等のγ−アルミナ
担持触媒の場合には、市販品の担持触媒を分散媒に分散
させて塗布液とし、塗布・ 乾燥後、1000℃程度の温度で
30分間から数時間焼き付ける。ロジウムの金属微粒子触
媒の場合には、ロジウムアセチルアセトネートを適当な
有機溶剤に溶解させ、これを多孔質混合伝導体に含浸・
乾燥させた後、例えば、1%H2-N2 のような還元性雰囲
気中、数百℃の温度で急速熱分解する。白金触媒の場合
には、ロジウムアセチルアセトネートの代わりに、例え
ば、白金アセチルアセチネートを用いればよい。ニッケ
ル触媒の場合には、例えば、多孔質混合伝導体層を製造
する際に用いるスラリー中に、酸化ニッケル粉末を混練
しておいてもよい。銅触媒の場合も同様の方法が利用可
能である。これらの酸化銅や酸化ニッケルは、メタンガ
スのような還元性雰囲気に晒されると部分還元され、ま
た、条件によっては完全還元され、触媒として機能する
ようになる。なお、多孔質混合伝導体層の触媒付与方法
は上記例示の方法に限られるものではない。 〔実施例1〕前記「本発明のセラミック複合材料の製造
方法」(〔発明の実施の形態〕、参照)に例示した方法
を組み合わせて、ディスク形状の本発明のセラミック複
合材料試片を製造し、また、比較例の試片についても類
似の方法で製造し、緻密質混合伝導性酸化物被覆膜また
は封孔部の亀裂や剥離等の状況を、大気中焼成後に観察
した。
【0092】製造条件及び観察結果を表1から表4にま
とめて示す。表1において、試料番号01から03及び同12
から18、及び、表2から表4において、試料番号19から
39は、本発明のセラミック複合材料(発明例)であり、
表1において、試料番号04から11は比較例である。表中
「断面構造」と表示した列の記号は、図1から図5に例
示した構造の記号に対応する(例えば、表中「1a」は、
図1の(1a)に対応する。)。緻密混合伝導性酸化物層ま
たは封孔部の「組成」の列における数値は、ストロンチ
ウム、鉄、コバルトのモル比を表し、「−」印は、他の
成分を意図的に添加していないことを表す。緻密混合伝
導性酸化物層または封孔部の「厚さ」の列における数値
は、平均膜厚であり、緻密混合伝導性酸化物が被覆層の
形態になっていることを表す。なお、同列における「封
孔」は、緻密な混合伝導性酸化物が封孔構造になってい
ることを表す。「焼成条件」の列における昇温速度及び
焼成温度は、緻密な混合伝導性酸化物被覆層または封孔
部の焼成条件である。
【0093】「その他の観察結果」の列におけるA、B
及びCの記号は、それぞれ、緻密質混合伝導性酸化物焼
成後も多孔質支持体に亀裂等の損傷が見られない
(A)、緻密質混合伝導性酸化物表面に付与した混合伝
導性酸化物や触媒等から成る表面層あるいは付着物
(層) の焼成・ 焼き付け後に、緻密質混合伝導性酸化物
に亀裂等の損傷が見られない(B)、緻密質混合伝導性
酸化物表面に付与した混合伝導性酸化物や触媒等から成
る表面層あるいは付着物(層) の焼成・ 焼き付け後に前
記表面層あるいは付着物(層) に剥離・脱落が見られな
い(C)ことを表す(表4参照)。
【0094】同列において、「D :」及び「E :」の記
号の後に記載された数値は、それぞれ、緻密質混合伝導
性酸化物表面に付与した混合伝導性酸化物や触媒等から
成る表面層あるいは付着物(層) の焼成・ 焼き付け温
度、及び、上記表面層の表面にさらに付与した触媒の焼
き付け温度を表す(表4、参照)。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】次に、実施例における試片の製造方法を詳
しく説明する。本発明のセラミック複合材料(発明例)
の場合、マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体
は、種々の純度のマグネシア粉末8部(質量) とポリビ
ニルアルコール粉末2部とを混練し、成形した後、250
℃に加熱してポリビニルアルコールを分解し、そのまま
昇温して1500℃で5時間焼成することにより製造した。
焼成体の平均気孔径は、ポリビニルアルコール粉末及び
マグネシア粉末の粒子径を変えて制御した。
【0100】比較例のうち、試料番号04の多孔質アルミ
ナは市販のものを機械加工して製造した。その他の比較
例の場合には、それぞれの市販原料粉を用い、本発明の
セラミック複合材料の場合と同様の方法で製造した。但
し、試料番号09及び同11の場合には、焼成雰囲気を窒素
とし、試料番号08の場合には、焼成雰囲気をアルゴンと
した。
【0101】焼成温度は試料毎に異なり、試料番号05、
06、07、08、09、10及び11では、それぞれ、1400℃、11
20℃、1400℃、1850℃、1700℃、1350℃及び1400℃とし
た。発明例及び比較例を問わず、緻密質混合伝導性酸化
物の被覆層は以下のように製造した。すなわち、ストロ
ンチウム、鉄、及びコバルトのモル比が表1から表4に
示した組成になるように秤量された高純度の炭酸ストロ
ンチウム、酸化第2鉄、及び、硝酸コバルト6水塩の混
合物に、イソプロピルアルコールを加えて粉砕、乾燥、
解砕、仮焼し、イソプロピルアルコールを加えて粉砕
し、スラリーとして多孔質支持体にコーテイングし、乾
燥した後、所定条件で焼成することにより製造した。
【0102】但し、試料番号19及び同31については、全
金属元素に対するマグネシウムのモル含有率として、そ
れぞれ、5 mol%及び2 mol%となるように、上記原料
にマグネシア粉を加えた。試料番号17については、酸化
第2鉄としての純度の低いものを用いた。平均膜厚は、
スラリー中のイソプロピルアルコール濃度を変えて粘度
を調整すること、及び、コーテイングの回数を変えるこ
とにより制御した。
【0103】また、緻密質混合伝導性酸化物の封孔部は
以下のように製造した。すなわち、被覆層製造の際に得
られたスラリーを乾燥、解砕して粉体とした。超音波振
動子により微小に揺動されている真空チャックに多孔質
体(基板) を吸引固定し、多孔質体(基板) の片面に前
記粉体をまんべんなくふりかけた後、その面を高圧空気
でブローし、微量の接着剤を溶解させた有機溶剤をスプ
レーした。その後、1100℃で焼成した。以上の工程を3
回繰り返し、封孔部を製造した。
【0104】次に、表1から表4の内容について説明す
る。表1掲載の比較例、すなわち、式(1) で表される緻
密な混合伝導性酸化物によって多孔質体の一方の表面を
被覆または封孔するに際し、マグネシウムを主成分とす
る酸化物とは別の材料を多孔質支持体として用いたセラ
ミック複合材料の場合には、焼成等の熱処理後に亀裂、
剥離、破壊等、何らかの損傷が発生しており、本発明の
目的には適合しない。
【0105】これに対し、本発明のセラミック複合材料
(発明例)では、緻密質混合伝導性酸化物の焼成後も、
マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質基体及び前記
酸化物に亀裂が発生したり剥離したりすることがなく、
さらに、その表面に混合伝導性酸化物や触媒等を焼き付
けても、亀裂や剥離等の損傷が生じていない。 〔実施例2〕実施例1にて製造した本発明のセラミック
複合材料の幾つかについて、直径1cm超の薄板状試料と
し、図6に模式的に示した装置により酸素の選択的輸送
速度を測定した。図6において、平板状試料11の一方の
表面は原料空気13(高酸素分圧雰囲気) 、他方の表面は
ヘリウムガスまたはヘリウム/メタン混合ガス20(低酸
素分圧雰囲気) に晒されており、酸素分圧差があるため
に、高酸素分圧雰囲気側から低酸素分圧雰囲気側へ酸素
が選択的に輸送される。原料空気導入用内管16より導か
れた原料空気13は、平板状試料11を介して、その酸素の
一部が選択的に輸送されるため、ガス捕集用外管15と原
料空気導入用内管16とによって作られる流路を通じて、
酸素貧化空気14として排出される。平板状試料11の側面
部及び外周部には、溶融ガラスからなるガスシール部12
があり、これによりガスのリークが防止される。これら
全体の主要部分は電気炉19により一定温度に加熱され
る。
【0106】なお、図示していないが、酸素貧化空気1
4、及び、酸素を含む混合ガスまたは一般酸化炭素と水
素を含む混合ガス18のそれぞれの流出側流路には、ガス
用質量分析装置(ガス組成及びガス中微量成分分析用)
、酸素濃度計(酸素濃度測定用) 、及び、流量計が設
置され、また、原料空気13、及び、ヘリウムまたはヘリ
ウム/メタン混合ガス20の流入側流路には、マスフロー
コントローラー(流量制御用) 及び流量計が設置されて
いる。また、原料空気13及びヘリウムまたはヘリウム/
メタン混合ガス20は、原料空気導入用内管16及びヘリウ
ムまたはヘリウム/メタン混合ガス導入用内管17に流入
する前に、電気炉(図示せず) にて予熱される。
【0107】低酸素分圧雰囲気がヘリウムガスの場合、
すなわち酸素分離の場合には、原料空気13中の酸素が、
平板状試料11を介して選択的に輸送され、ヘリウム導入
用内管17より導かれたヘリウムガスと混合され、ガス捕
集用外管15と該内管17とによって作られる流路を通じ
て、酸素を含む混合ガス18として排出される。混合ガス
18の酸素濃度と流量、及び、平板状試料11の酸素透過部
面積より、酸素透過速度が算出される。
【0108】実際にはなかったが、平板状試料11に亀裂
があると、原料空気13の酸素及び窒素成分がリークする
ため、酸素を含む混合ガス18中に窒素が検出される。溶
融ガラスからなるガスシール部12におけるガスシールが
不完全な場合にも、上記混合ガス18中に窒素が検出され
る。なお、高酸素分圧雰囲気として常圧空気を用い、ま
た、低酸素分圧雰囲気としてヘリウムのスイープガスを
用いたのは実験装置の制約によるためであって、工業的
には、スイープガスを使用せず、高酸素分圧雰囲気側を
数10atm までの高圧空気または常圧空気とし、低酸素分
圧雰囲気側を純酸素とする。
【0109】低酸素分圧雰囲気側の純酸素の圧力はケー
スバイケースであるが、通常、低圧から常圧までの範囲
である。但し、高酸素分圧雰囲気側が常圧空気の場合に
は、低酸素分圧雰囲気側の純酸素の圧力は0.1atm程度以
下にする必要があり、低酸素分圧雰囲気側を真空ポンプ
で吸引する。純酸素の圧力が常圧の場合には、真空ポン
プを使わず、酸素ガスを自然に流出させる。
【0110】低酸素分圧雰囲気がヘリウム/メタン混合
ガスの場合、すなわち、メタンの部分酸化の場合には、
原料空気13中の酸素は、平板状試料11を介して選択的に
輸送され、ヘリウム/メタン混合ガス導入用内管17より
導かれたヘリウム/メタン混合ガス中のメタンガスと反
応して、一酸化炭素及び水素を生成し、場合によって
は、二酸化炭素及び水蒸気を副生する。一酸化炭素と水
素を含む混合ガス18として排出されるガスには、これら
のガス成分に加えて、ヘリウム及び未反応メタンが含ま
れる。
【0111】上記混合ガス18中の一酸化炭素濃度、二酸
化炭素濃度及び水蒸気濃度、上記混合ガス18の流量、及
び、平板状試料11の酸素透過部の面積を測定することに
より、物質収支から酸素透過速度が算出される。酸素分
離の場合と同じく、平板状試料11に亀裂があったり、溶
融ガラスからなるガスシール部12においてガスシールが
不完全な場合には、上記混合ガス18中に窒素が検出され
る。
【0112】なお、高酸素分圧雰囲気として常圧空気を
用い、また、低酸素分圧雰囲気としてヘリウム/メタン
混合ガスを用いたのは実験施設の制約によるためであ
り、工業的には、高酸素分圧雰囲気として数10atm まで
の高圧空気または常圧空気が用いられ、また、低酸素分
圧雰囲気としてメタンを主成分とするガス、例えば、天
然ガスが用いられる。また、低酸素分圧雰囲気側の圧力
(全圧) は高酸素分圧雰囲気側の空気の圧力(全圧) と
同程度にするのが通例である。
【0113】図6の装置により本発明のセラミック複合
材料を評価した結果を、表5にまとめて示す。試料番号
01から同03、及び、同12、同13及び同17は、本発明のセ
ラミック複合材料を酸素分離に適用した例であり、試料
番号19、同21、同25、同30及び同34は、本発明のセラミ
ック複合材料をメタンの部分酸化に適用した例である。
全ての試料で、空気中の窒素成分がリークしないこと、
及び、原料空気中の酸素が選択的に輸送されることが確
認された。このことはまた、本発明のセラミック複合材
料は、高温の大気中及び低酸素分圧雰囲気 (CO、H2、及
び未反応CH4 からなる混合ガス) 中に晒されても、機械
的・ 化学的損傷を受けないことを示している。
【0114】
【表5】
【0115】〔実施例3〕実施例1にて製造した本発明
のセラミック複合材料のうち、試料番号30のものと同一
の材料及び断面構造で、多孔質支持体の厚さが異なる一
端閉塞型の試料管23(外形約22mm、内径約18mm、緻密混
合伝導性酸化物膜厚約 610μm、長さ約300mm)を製造
し、これを用いて、図7に模式的に示したメタンガスの
部分酸化リアクターを製造した。
【0116】図7の装置において、高温に保持された一
端閉塞型の試料管23の外側の表面は、ステンレス鋼管33
から導入された原料空気34に、また、内側の表面は、ス
テンレス鋼管28により導かれた原料ヘリウム/メタン混
合ガス35に晒されている。酸素分圧差に基づき、原料空
気34中の酸素の一部は上記試料管23を介して選択的に輸
送され、ヘリウム/メタン混合ガス35中のメタンガスと
反応して一酸化炭素及び水素を生成し、場合によって
は、二酸化炭素及び水蒸気を副生する。その結果、これ
らのガス成分に加え、ヘリウム及び未反応メタンを含む
混合ガス36が、一酸化炭素と水素を含む混合ガス捕集用
内管24及びステンレス鋼管29を通じて排出される。
【0117】ステンレス鋼管33より導かれた原料空気34
は、一端閉塞型の試料管23を介して、その酸素の一部が
選択的に輸送されるため、酸素貧化空気として電気炉21
及び電気炉25との隙間30、及び、電気炉の蓋22と電気炉
21との隙間から排出される。上記試料管23は溶融ガラス
からなるガスシール部31によりガスシールされるととも
に、ステンレス鋼管28に接合されおり、この接合部付近
は電気炉25により約700℃に加熱される。一酸化炭素と
水素を含む混合ガス捕集用内管24はロウ付け部32により
ステンレス鋼管29に接合されている。この部分は電気炉
25の外にあるため、あまり高温にはならない。
【0118】なお、溶融ガラスからなるガスシール部31
及びロウ付け部32からのガスリークはない。同様に、上
記試料管23にはクラック等がないため、ガスリークはな
い。上記試料管23は電気炉21により加熱され、昇温、 9
00℃保持、降温といった熱履歴を受ける。原料空気34は
電気炉26により予熱され、原料ヘリウム/メタン混合ガ
ス35は電気炉27により予熱される。
【0119】図示していないが、一酸化炭素と水素を含
む混合ガス36の流出側流路には、ガス用質量分析装置
(ガス組成及びガス中微量成分分析用) 、ガスクロマト
分析装置(ガス組成分析用) 、酸素濃度計(酸素濃度測
定用) 及び流量計が設置され、また、原料空気34及び原
料ヘリウム/メタン混合ガス35の流入側流路には、マス
フローコントローラー(流量制御用) 及び流量計が設置
されている。
【0120】なお、高酸素分圧雰囲気として常圧空気を
用い、また、低酸素分圧雰囲気としてヘリウム/メタン
混合ガスを用いたのは実験施設の制約によるためであ
り、工業的には、高酸素分圧雰囲気として数10atm まで
の高圧空気または常圧空気が用いられ、また、低酸素分
圧雰囲気としてメタンを主成分とするガス、例えば、天
然ガスが用いられる。また、低酸素分圧雰囲気側の圧力
(全圧) は高酸素分圧雰囲気側の空気の圧力(全圧) と
同程度にするのが通例である。
【0121】電気炉21により、一端閉塞型の試料管23を
200℃/hrで常温付近から900 ℃まで昇温した後、常圧
の原料空気34を 90L/min で流し、常圧で50%メタン濃
度のメタン/ヘリウム混合ガスを 16L/min で流した。
流量は標準状態 (25℃、1atm) の値である。上記混合ガ
ス36の組成を分析したところ、二酸化炭素、水蒸気及び
窒素は検出されず、未反応メタンの濃度は約 2.9%であ
った。上記混合ガス36の一酸化炭素濃度と流量、及び、
上記試料管23の酸素透過部面積より、物質収支から酸素
透過速度を算出したところ約18cc/min ・ cm2 となっ
た。この酸素透過速度は1000時間以上の長期にわたって
低下しなかった。また、割れ等の機械的損傷の判断指標
である窒素のリークは認められなかった。
【0122】その後、原料空気34に対し、意図的に、2
%までの二酸化炭素、または、10%までの水蒸気をそれ
ぞれ混合して、本発明のセラミック複合材料がどのよう
な影響を受けるか調べたが、通常の空気の場合と同じ酸
素透過速度(メタンの酸化反応の反応速度) が得られ、
性能の経時劣化も窒素のリークも認められなかった。ま
た、電気炉21により上記試料管23を 200℃/hrの速度で
900 ℃から 500℃まで降温し、さらに、 500℃から 900
℃まで 200℃/hrの速度で昇温したが、やはり窒素のリ
ークは認められなかった。最後に、電気炉25を 700℃に
維持したまま、電気炉21を制御して上記試料管23の温度
を 200℃/hrで 200℃付近まで下げ、電気炉21を取り外
して該試料管23の損傷状況を調べたが、損傷は認められ
なかった。
【0123】
【発明の効果】本発明によれば、酸素含有混合ガス中の
酸素成分を選択的に輸送するに際し、信頼性が高く安価
な高性能隔膜部材が得られるので、空気中酸素の分離回
収用途、あるいは、炭化水素(メタン、天然ガス、エタ
ン等) の酸化や部分酸化といった隔膜リアクター用途等
に好適に使用され、それら装置の高性能化及び低コスト
化に資するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック複合材料の断面構造(a)を
模式的に例示する図である。
【図2】本発明のセラミック複合材料の断面構造(b)を
模式的に例示する図である。
【図3】本発明のセラミック複合材料の断面構造(c)を
模式的に例示する図である。
【図4】本発明のセラミック複合材料の断面構造(d)を
模式的に例示する図である。
【図5】本発明のセラミック複合材料の断面構造(e)を
模式的に例示する図である。
【図6】本発明のセラミック複合材料の選択的酸素輸送
性能を評価する装置を模式的に示す図である。
【図7】本発明のセラミック複合材料の選択的酸素輸送
性能を評価する他の装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…マグネシウムを主成分とする酸化物多孔質体(ハッ
チング部:マグネシウムを主成分とする酸化物、白抜き
部:孔) 2…緻密な混合伝導性酸化物の被覆層 3…緻密な混合伝導性酸化物の封孔部 4…緻密な混合伝導性酸化物の被覆薄膜層 5…マグネシアと触媒を含む多孔質表面層(小さな黒色
部:触媒、灰色部:マグネシウムを主成分とする酸化
物、白抜き部:孔) 6…マグネシアと混合伝導性酸化物を含む多孔質表面層
(ハッチング部:混合伝導性酸化物、灰色部:マグネシ
ウムを主成分とする酸化物、白抜き部:孔) 7…マグネシア、触媒、混合伝導性酸化物を含む多孔質
表面層(小さな黒色部:触媒、灰色部:マグネシウムを
主成分とする酸化物、ハッチング部:混合伝導性酸化
物、白抜き部:孔) 8…触媒(層または分散部) 9…多孔質混合伝導性酸化物被覆層(または封孔部(白
抜き部:孔) ) 10…内部に触媒を含む多孔質混合伝導性酸化物の被覆
層(または封孔部(小さな黒色部:触媒、ハッチング
部:混合伝導性酸化物、白抜き部:孔) ) 11…平板状試料(本発明のセラミック複合材料) 12…溶融ガラスからなるガスシール部 13…原料空気 14…酸素貧化空気 15…ガス捕集用外管 16…原料空気導入用内管 17…ヘリウムまたはヘリウム/メタン混合ガス導入用
内管 18…酸素を含む混合ガスまたは一酸化炭素と水素を含
む混合ガス 19…電気炉 20…ヘリウムまたはヘリウム/メタン混合ガス 21…電気炉 22…電気炉の蓋 23…一端閉塞型の試料管(本発明のセラミック複合材
料) 24…一酸化炭素と水素を含む混合ガス捕集用内管 25…電気炉 26…電気炉 27…電気炉 28…ステンレス鋼管 29…ステンレス鋼管 30…隙間 31…溶融ガラスからなるガスシール部 32…ロウ付け部 33…ステンレス鋼管 34…原料空気 35…原料ヘリウム/メタン混合ガス 36…一酸化炭素と水素を含む混合ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/78 B01J 23/78 M 23/89 23/89 M C01B 13/02 C01B 13/02 Z C01G 51/00 C01G 51/00 B C04B 41/85 C04B 41/85 C 41/89 41/89 Z H01B 1/08 H01B 1/08 (72)発明者 堂野前 等 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 永井 徹 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 山田 紀子 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4D006 GA41 KE02Q KE03Q KE05P KE07P KE08Q KE12P KE13P KE16Q MA02 MA03 MA06 MA09 MA10 MA22 MA31 MB03 MB15 MB16 MC03X MC33X MC90 NA31 NA39 NA46 NA50 PA10 PB17 PB18 PB20 PB62 PC69 PC71 PC80 4G042 BA28 BA30 BB02 BB03 BC05 BC06 4G048 AA05 AB02 AC04 AC06 AC08 AE05 AE07 4G069 AA03 AA08 AA11 BA01A BA01B BB02A BB02B BC31A BC68A BC68B BC71A BC71B BC75A BC75B CB07 CC32 EA07 FA03 FA06 FB15 FB23 5G301 CA02 CA30 CD02 CD10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
    質体の一方の表面に、ストロンチウム、鉄及びコバルト
    を主成分とし、それら成分元素のモル比が下記式(1) で
    表される緻密な混合伝導性酸化物からなる被覆層または
    封孔部が形成されていることを特徴とするセラミック複
    合材料。 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0≦y≦2.5 )…(1)
  2. 【請求項2】 マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
    質体の表層に、マグネシアと触媒、マグネシアと混合伝
    導性酸化物、または、マグネシアと混合伝導性酸化物と
    触媒を含む多孔質表面層が形成され、さらに、該多孔質
    表面層の表面に、ストロンチウム、鉄及びコバルトを主
    成分とし、それら成分元素のモル比が下記式(1) で表さ
    れる緻密な混合伝導性酸化物からなる被覆層または封孔
    部が形成されていることを特徴とするセラミック複合材
    料。 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0≦y≦2.5 )…(1)
  3. 【請求項3】 前記被覆層または封孔部の表面に、触媒
    が付与されていることを特徴とする請求項1または2に
    記載のセラミック複合材料。
  4. 【請求項4】 マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
    質体の一方の表面に、もしくは、該酸化物多孔質体の表
    層に形成された、マグネシアと触媒、マグネシアと混合
    伝導性酸化物、または、マグネシアと混合伝導性酸化物
    と触媒を含む多孔質表面層の表面に、ストロンチウム、
    鉄及びコバルトを主成分とし、それら成分元素のモル比
    が下記式(1) で表される緻密な混合伝導性酸化物からな
    る被覆層または封孔部が形成され、さらに、該被覆層ま
    たは封孔部の表面に、マグネシアと混合伝導性酸化物を
    含む多孔質表面層または多孔質混合伝導性酸化物被覆層
    が付与・密着されていることを特徴とするセラミック複
    合材料。 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0≦y≦2.5 )…(1)
  5. 【請求項5】 マグネシウムを主成分とする酸化物多孔
    質体の一方の表面に、もしくは、該酸化物多孔質体の表
    層に形成された、マグネシアと触媒、マグネシアと混合
    伝導性酸化物、または、マグネシアと混合伝導性酸化物
    と触媒を含む多孔質表面層の表面に、ストロンチウム、
    鉄及びコバルトを主成分とし、それら成分元素のモル比
    が下記式(1) で表される緻密な混合伝導性酸化物からな
    る被覆層または封孔部が形成され、さらに、該被覆層ま
    たは封孔部の表面に、前記多孔質表面層または多孔質混
    合伝導性酸化物被覆層が付与・密着されているととも
    に、該多孔質表面層または多孔質混合伝導性酸化物被覆
    層の内部及び/またはその表面ないし表層に、触媒が付
    与されていることを特徴とするセラミック複合材料。 Sr:Fe:Co=4:x:y(但し、 3.5≦x≦5.0 、 1.0≦y≦2.5 )…(1)
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5に記載の
    セラミック複合材料を含むことを特徴とする酸素分離装
    置用及び固体電解質リアクター用セラミック複合材料。
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