JP2001097284A - 昇降式推進装置 - Google Patents

昇降式推進装置

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JP2001097284A
JP2001097284A JP28102099A JP28102099A JP2001097284A JP 2001097284 A JP2001097284 A JP 2001097284A JP 28102099 A JP28102099 A JP 28102099A JP 28102099 A JP28102099 A JP 28102099A JP 2001097284 A JP2001097284 A JP 2001097284A
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fixing
pressing
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    • B63H25/00Steering; Slowing-down otherwise than by use of propulsive elements; Dynamic anchoring, i.e. positioning vessels by means of main or auxiliary propulsive elements
    • B63H25/42Steering or dynamic anchoring by propulsive elements; Steering or dynamic anchoring by propellers used therefor only; Steering or dynamic anchoring by rudders carrying propellers
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    • B63H2025/425Propulsive elements, other than jets, substantially used for steering or dynamic anchoring only, with means for retracting, or otherwise moving to a rest position outside the water flow around the hull

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧シリンダで釣り下げられた不安定な状態
で運転する昇降式推進装置を、強度面や振動面を解決で
きるように強固に固定することができるとともに、製作
の容易な固定手段がない。 【解決手段】 コンテナ1の外面の上部に、先端をテー
パ状に形成したコンテナ固定ピン11を複数個設け、船
体Hの格納室W側に、コンテナ1の格納状態と突出状態
における該固定ピン11の位置に対応したテーパ状の固
定穴13を上下2箇所に設け、さらにコンテナ1の外面
の下部に、船体Hに押しつけるコンテナ押圧ピン12を
複数個設け、船体Hの格納室W側に、コンテナ1の格納
状態と突出状態における該押圧ピン12の位置に対応し
た受座14を上下2箇所に設け、コンテナ1の上昇時又
は下降時に前記固定ピン11を固定穴13に嵌合して固
定するとともに受座14に押圧ピン12を押し付けて固
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、必要な時に船底
から突出させて運転することによりスラストを発生させ
る昇降式推進装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、昇降式推進装置を装備した船
舶もあるが、近年、この昇降式推進装置を新しい推進機
として採用する船舶が多くなっている。この昇降式推進
装置は、プロペラ部全体が360度全旋回するため、ラ
インシャフト方式に比べると、舵と舵取り機が不要にな
り、また、サイドスラスタに比べて、より強力なスラス
トを出すことができる、という利点を有している。
【0003】このような昇降式推進装置は、通常航行時
には推進抵抗にならないように船内に格納して本船は船
尾に装備した通常の推進機で航走し、必要な時に船底か
ら突出させて運転し、スラストを発生させるように用い
られる。このため、昇降式推進装置は、観測船や掘削船
等の定点に位置保持させる船舶に装備される場合が多
い。
【0004】この種の従来技術として、特開昭59−7
5900号公報記載の発明がある。この発明では、先端
形状がテーパ状を有したコンテナ固定ピンをコンテナの
上部と下部の2箇所に周状に設けるとともに、船体には
そのテーパ形状に沿った固定穴を設け、このコンテナを
船底から突出させた状態で固定ピンを固定穴に嵌合させ
ることによってコンテナを固定している(従来例1)。
【0005】また、他の従来技術として、実公平7−6
077号公報記載の考案がある。この考案では、先端の
形状がテーパ状を有したコンテナ固定ピンを船体側に設
け、コンテナの通路部にそのテーパ形状に沿った固定穴
を設け、コンテナを突出又は格納した状態で固定ピンを
固定穴に嵌合させることによって、コンテナを固定して
いる(従来例2)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例1のように、コンテナの上部と下部の2箇所に周状
に設けたテーパ形状の固定ピンの全てを固定穴に確実に
嵌合できるように製作することは機械加工上難しく、実
際には上部又は下部のどちらか1箇所でしか嵌合できな
いため、コンテナの固定が不安定となる。仮に、このよ
うな固定穴を高精度の誤差範囲内で製作するとしても、
造船所での作業でテーパ状の固定穴を船体に設けるには
多くの時間と労力が必要となり、しかも、高精度で製作
したとしても、全てのテーパ形状の固定穴を確実に合わ
すことは不可能に近く、全体で強固に固定しようとする
と無理な力が作用する箇所があり、安定して確実に固定
することは困難である。
【0007】また、前記従来例2は、固定ピンが上部の
1箇所にしかないため、製作は比較的容易であるが、逆
に1箇所にしかないため、コンテナの固定が不安定とな
る。そのため、剛性不足で振動や共振が生じやすく、製
品化には問題がある。仮に、製品化しようとすると、大
強度を有するような固定ピンと固定穴で構成しなければ
ならず、非現実的である。
【0008】そのため、通常のトンネルスラスタが船体
に溶接固定され強固に一体化されるのに対して、油圧シ
リンダで吊り下げられた不安定な状態で強力なスラスト
を出すとともに、360度全旋回して運転される昇降式
推進機を、船底から突出させた状態でコンテナと船体と
を一体的に強固に固定することができるとともに、製作
の容易な手段が切望されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、前記課題を解決
するために、本願発明は、船体に設けた格納室と、該格
納室内で昇降するコンテナと、該コンテナの下部に設け
た推進機とを有する昇降式推進装置において、前記コン
テナの上部外周に、先端をテーパ状に形成したコンテナ
固定ピンを複数個設け、前記船体の格納室側に、コンテ
ナの格納状態と突出状態における該固定ピンの位置に対
応したテーパ状の固定穴を上下2箇所に設け、さらにコ
ンテナの下部外周に、船体に押し付けるコンテナ押圧ピ
ンを複数個設け、船体の格納室側に、コンテナの格納状
態と突出状態における該押圧ピンの位置に対応した受座
を上下2箇所に設け、コンテナの上昇時又は下降時に前
記固定ピンを固定穴に嵌合して固定するとともに受座に
押圧ピンを押し付けて固定するようにしている。
【0010】これにより、コンテナの上部に設けた固定
ピンを固定穴に嵌入させて位置決めと固定を図り、コン
テナの下部に設けた押圧ピンを受座に押付けることによ
り、コンテナが船体と一体化するように固定することが
できるので、推進機からの力を船体で確実に受けるよう
にすることができる。この場合、上部の固定ピンのみが
テーパ状の位置決めピンであるため、1箇所の位置決め
と1箇所の固定による確実な固定手段を、製作の容易な
構成で行うことができる。
【0011】また、コンテナを昇降させる油圧シリンダ
を設け、該油圧シリンダ上部の吊下げフランジを船体に
設けた上部吊りビームで保持し、該上部吊りビームと吊
下げフランジとの間に隙間を設けるとともに、該吊下げ
フランジの少なくとも下面にスライド軸受を設けて上部
吊りビームで保持した吊下げフランジを移動可能に構成
することにより、固定ピンによるコンテナの位置決め時
に吊下げフランジの位置に変位を生じたとしても、スラ
イド軸受によってスライドし、隙間の範囲内で移動して
変位を吸収することができるので、製作や昇降制御の誤
差による力を油圧シリンダが受けないようにできる。
【0012】さらに、コンテナ外面と格納室との間に、
コンテナを上下方向に案内するガイド手段を設けてコン
テナの昇降を案内するようにすれば、コンテナの昇降移
動時に海象による船体の動揺や海面変動などにより回転
力等が生じたとしても、ガイド手段で受けることができ
る。
【0013】また、船体側の受座を船体と別部材で構成
し、該受座の背面側と船体側との間に制振材を充填して
振動の伝達を低減させれば、推進機からコンテナの押圧
ピンを介して船体に伝わる振動を制振材で低減又は減衰
させることができる。
【0014】さらに、船体側の固定穴を船体と別部材で
構成した受部材に設け、該受部材の背面側と船体側との
間に制振材を充填して振動の伝達を低減させるようにす
れば、固定ピン側でもコンテナから船体に伝わる振動を
制振材で低減又は減衰させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。図1は本願発明の一実施形態を
示す昇降式推進装置を船内に格納した状態の一部断面し
た側面図であり、図2は同昇降式推進装置を船底から突
き出した状態の一部断面した側面図、図3は同昇降式推
進装置を船底から突き出した状態の一部断面した正面図
である。図4は図3における昇降式推進装置のコンテナ
固定ピンの配置を示す平面図であり、図5は同昇降式推
進装置のコンテナ押圧ピンの配置を示す平面図である。
【0016】図1に示すように、船体Hに設けられた格
納室Wには、昇降可能に構成された昇降式推進装置Mが
設けられており、図1に示すように、格納した状態では
推進機Pの下端が船底Bから格納された状態となってい
る。この昇降式推進装置Mは、格納室W内を昇降する筒
状のコンテナ1と、このコンテナ1の下面から突出する
プロペラを具備した推進機Pとを具備しており、格納室
Wの上部の船体Hに設けられた上部吊りビーム2によっ
て吊下げられた状態で格納室W内に組込まれている。
【0017】このコンテナ1内には油圧シリンダ3(こ
の実施形態では2本)が組込まれており、この油圧シリ
ンダ3のロッド4の上部吊下げフランジ4aが、上述し
た上部吊りビーム2の支持部2a内に組込まれている。
この吊下げフランジ4aによってコンテナ1全体の重量
が上部吊りビーム2で支持されている。従って、推進装
置Mは、船体Hの上部吊りビーム2から油圧シリンダ3
で吊り下げられ、この油圧シリンダ3を伸縮させること
によってそのストローク量で上昇または下降させられ
る。この油圧シリンダ3は、コンテナ1の重量に応じて
好ましい本数を設ければよい。
【0018】上部吊下げフランジ4aの上面および下面
には、スライド軸受5(図ではスペースの小さいすべり
軸受になっているがコロガリ軸受でも良い)が設けられ
るとともに、上下および半径方向には上部吊りビーム2
との間に隙間Sが設けられている。この隙間Sによって
吊下げフランジ4aは、上部吊りビーム2の支持部2a
内を拘束されずに自由に動くことができ、しかも、スラ
イド軸受5によって小さな力で容易に摺動および移動で
きるように構成されている。このスライド軸受5として
は、含浸金属等の公知手段で達成することができ、少な
くとも吊下げフランジ4aの下面設けられていれば、ス
ムーズな摺動が可能である。なお、コンテナ全体の重量
より海水による浮力の方が大きい場合は、上向きの力が
作用するため、吊下げフランジ4aの上面にもスライド
軸受を設ける。
【0019】また、コンテナ1内には、推進機Pを駆動
する電動機6が組込まれており、この実施形態では、コ
ンテナ1内に設けられた減速機7を介して推進機Pが駆
動されるような構成となっている。なお、この推進機P
は、図示しない旋回機構により360度旋回可能なよう
に構成されている。8は、コンテナ1内の換気用ファン
である。
【0020】さらに、コンテナ1の外面の対向する2面
(この実施形態では図4の左右)には、V型溝を有する
ガイド部材9がそれぞれ設けられており、このガイド部
材9に対応した船体H側には、V型形状のガイド10が
設けられている。従って、コンテナ1は、このガイド部
材9がガイド10に沿って上昇および下降させられる。
このガイド10とガイド部材9からなるガイド手段G
は、コンテナ1の周囲に2箇所以上設ければ良く、これ
によってコンテナ1が動揺や移動・回転をすることなく
スムースに上下に昇降させられる。また、ガイド10お
よびガイド部材9の断面形状はV型には限らず、他の形
状であってもよく、凹凸配置もコンテナ1側、船体H側
のいずれが凸状又は凹状であっても良い。
【0021】そして、コンテナ1の上部外周には、テー
パ状の固定ピン11が設けられている。この固定ピン1
1は、方形断面のコンテナ1の4面にそれぞれ設けられ
ており、コンテナ1に固定された本体11aから突出又
は後退できるピン11bが設けられている。この例で
は、油圧シリンダ3を設けている2面の固定ピン11を
コンテナ1の中心からそれぞれ逆方向にずらして設けて
いる(図4)。この固定ピン11のピン11bは、図示
しない油圧装置からの圧油によって突出又は後退させら
れる、いわゆる油圧ジャッキと同様の機構である。この
固定ピン11をコンテナ1の上部に設けることにより、
上下方向中央よりも下方向の部分に重心位置がある推進
装置Mを、固定ピン11でぶら下げるように支持して安
定性を持たせている。
【0022】また、コンテナ1の下部外周には、円柱状
の押圧ピン12が設けられている。この押圧ピン12
も、方形断面のコンテナ1の4面にそれぞれ設けられて
おり、コンテナ1に固定された本体12aから突出又は
後退できるピン12bが設けられている。この押圧ピン
12のピン12bも、図示しない油圧装置からの圧油に
よって突出又は後退させられる、いわゆる油圧ジャッキ
と同様の機構である。
【0023】一方、コンテナ1に面する船体H側の格納
室Wには、前記固定ピン11のテーパ形状に合うテーパ
形状の固定穴13が4面の上下2箇所にそれぞれ設けら
れている。この固定穴13は、コンテナ1を上昇させて
推進機Pを格納室W内に格納した状態で固定ピン11を
嵌合させる位置と、コンテナ1を下降させて推進機Pを
船底Bから突出させた状態で固定ピン11を嵌合させる
位置とに設けられている。
【0024】また、この格納室Wには、前記押圧ピン1
2を押圧してコンテナ1の下部を支持する受座14が設
けられている。この受座14も前記固定穴13と同様
に、格納室Wの4面の上下2箇所にそれぞれ設けられて
おり、コンテナ1を上昇させて推進機Pを格納室W内に
格納した状態で押圧ピン12を押圧する位置と、コンテ
ナ1を下降させて推進機Pを船底Bから突出させた状態
で押圧ピン12を押圧させる位置とに設けられている。
【0025】図6は図3における昇降式推進装置の油圧
シリンダ上部の吊下げフランジ部を示す断面図であり、
図7は同昇降式推進装置のコンテナ固定ピンの受座部を
示す断面図である。
【0026】図6に示すように、油圧シリンダ3のロッ
ド4の上部に設けられた吊下げフランジ4aの上面と下
面には、スライド軸受5が設けられるとともに、これら
のスライド軸受5と上部吊ビーム2の支持部2aとの間
には所定の隙間Sが設けられている。この隙間Sは、油
圧シリンダ3でコンテナ1を上昇又は下降させた状態で
固定ピン11を固定穴13に嵌合させた時に生じる吊下
げフランジ4aの変位を吸収するためのものである。な
お、ロッド4が貫通する上部吊りビーム2の貫通孔2b
とロッド4との間にも隙間Sが設けられている。
【0027】さらに、この実施形態では、受座14を船
体Hとは別体品で構成し、この受座14の背面(船体
側)に形成したフランジ部14aと船体Hとの間に所定
の空間15を形成し、この空間15に制振材16を充填
している。これにより、受座14に作用する横方向(押
圧ピン12の押付け方向)の力を、制振材16を介して
船体Hで受けることができるので、推進機Pから押圧ピ
ン12を介して受座14に伝わる振動を減衰でき、低振
動・低騒音型の昇降式推進装置Mとすることができる。
この制振材16としては、大荷重を受けることができる
とともに、振動を伝播しないような材料が用いられる。
【0028】以上のように構成された昇降式推進装置M
によれば、図1に示す格納状態では、油圧シリンダ3の
ロッド4を短縮(引っ込める)してコンテナ1を格納室W
の上部に位置させて推進機Pを格納した状態で、コンテ
ナ固定ピン11を突き出して上部の固定穴13に差込む
とともに、コンテナ押圧ピン12を突き出して上部の受
座14に押し付ける。この状態が格納状態であり、この
状態では推進機Pを運転していないため、外力は作用せ
ず、単にコンテナ全体の重量を支持しているだけであ
る。
【0029】次に、図2に示す運転状態に移行するた
め、油圧シリンダ3のロッド4を伸長してコンテナ1を
格納室Wの下部に降ろして推進機Pを船底Bから突き出
す。このコンテナ1の移動時には、コンテナ1の外面に
設けられたガイド部材9が、このガイド部材9に対応し
て船体Hに設けられたV型形状のガイド10に沿って下
降させられる。この実施形態では2箇所に設けられたガ
イド10により、外力(例えば、水流力等)によってコ
ンテナ1が動揺や移動・回転をせずにスムースに下降さ
せられる。この状態で、コンテナ固定ピン11を突き出
して下部の固定穴13に差込むとともに、コンテナ押圧
ピン12を突き出して下部の受座14に押し付ける。
【0030】この推進機Pを船底Bから突出させた状態
(図2,3)が運転状態であり、この状態では推進機P
を運転しているので、コンテナ1を船体Hに強固に固定
して、プロペラスラストにより作用する反力、および推
進機Pの旋回により作用する反力を、固定ピン11とコ
ンテナ押圧ピン12の両方で確実に支持している。この
時、上下方向の位置決めと重量あるいは浮力荷重(前記
の荷重に比べると小さい)を支持するのは、コンテナ固
定ピン11で行う。
【0031】ここで、図8の力関係のみを示す模式図の
ように、コンテナ1を「はり」と考えると、推進機P部
には、プロペラスラストによる荷重、および旋回により
作用する荷重の合成力「F」が作用する。また、コンテ
ナ固定ピン11部には、反力「R11」、コンテナ押圧
ピン12部には反力「R12」が作用する。従って、は
りの反力計算から、R12=F+R11となり、R11
<<R12になる。すなわち、R11はR12に比べる
と、小さな力がかかるだけである。このように、コンテ
ナ固定ピン11のテーパ部には、上下方向の位置決め力
と重量程度の荷重のみしか作用しないため、テーパの強
度面で有利な構造となっている。また、コンテナ押圧ピ
ン12部には大きな荷重が作用するが、この押圧ピン1
2の先端平面部を単純に押付ける形状としているため、
強度面で無理な力が発生することはない。その上、この
ように押圧ピン12で受座14を押圧したとしても、船
体H側の船底B部付近は強固な構造となっているため、
この受座14で大きな荷重を受けることに何ら問題はな
い。
【0032】また、テーパ状の固定ピン11を固定穴1
3に勘合させるのは、コンテナ1上部の1箇所のみであ
るため、位置決めは容易である。仮に、上部の固定ピン
11による位置決めで、下部の押圧ピン12が受座14
の中心から多少ずれたとしても、この押圧ピン12は受
座14を押圧するのみであるため、問題無く固定するこ
とができる。従って、上下の固定穴13と受座14の上
下方向の位置や、相対位置も厳密でなくてもよく、造船
所における製造作業も神経を使うことなく、簡単に製作
することができる。
【0033】さらに、このように油圧シリンダ3のスト
ローク制御によってコンテナ1を昇降させた状態でテー
パ状の固定ピン11を固定穴13に嵌合させる場合、現
実には、製作誤差等によって突出時および格納時に各固
定ピン11と、船体側の固定穴13に相対的なずれがあ
るため、その量だけ微妙にずれてコンテナ1は位置決め
される。しかし、前記したように、吊下げフランジ4a
が隙間Sの範囲内でその動きを逃げる構造になっている
ので、この固定ピン11による位置決め時に、コンテナ
1(油圧シリンダ3、すなわちロッド4)がそのずれ分
だけ微妙に動くことができる。しかも、この動きは、吊
下げフランジ4aに設けられたスライド軸受5によって
スムーズに行われる。従って、コンテナ1の位置決めし
た瞬間、および位置決めした後に、油圧シリンダ3に無
理な荷重をかけることなくスムースに位置決めすること
ができる。このように位置決めした後は、コンテナ1に
作用する全ての荷重は固定ピン11、および押圧ピン1
2で受けるため、油圧シリンダ3には荷重は作用しな
い。
【0034】また、この実施形態では、押圧ピン12の
押圧部に制振材16によって支持された受座14を設け
ているため、推進機Pから押圧ピン12に伝わる振動等
を船体Hへ直接的に伝わることがないようにしている。
なお、この制振材16を上部の固定ピン11側にも設け
るようにしてもよく、この場合には、固定ピン11から
船体Hへ伝わる振動とも低減させることができる。
【0035】さらに、この実施形態では対向する2面
(図4における左右2面)にガイド手段Gを設けるとと
もに、この2面を含む4面に固定ピン11と押圧ピン1
2を設けているため、大推力を発生させる推進装置Mで
あっても安定した保持が可能である。
【0036】なお、前記実施の形態では、4本の固定ピ
ン11と押圧ピン12をそれぞれ4面に設けているが、
対向する2面に2本の固定ピン11と押圧ピン12をそ
れぞれ設けるような構成であってもよく、固定ピン11
と押圧ピン12を設ける本数は上述した実施形態に限定
されるものではない。
【0037】また、上述した実施形態は一実施形態であ
り、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は
可能であり、本願発明は上述した実施形態に限定される
ものではない。
【0038】
【発明の効果】本願発明は、以上説明したような形態で
実施され、以下に記載するような効果を奏する。
【0039】コンテナの上部に設けた固定ピンでコンテ
ナの位置決めと固定を図り、コンテナの下部に設けた押
圧ピンでコンテナの位置固定を図るので、推進機からの
力を確実に受けて強固に固定することができるととも
に、上部の固定ピンのみで位置決めを行う製作の容易な
昇降式推進装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態を示す昇降式推進装置を
船内に格納した状態の一部断面した側面図である。
【図2】図1に示す昇降式推進装置を船底から突き出し
た状態の一部断面した側面図である。
【図3】図1に示す昇降式推進装置を船底から突き出し
た状態の一部断面した正面図である。
【図4】図3における昇降式推進装置のコンテナ固定ピ
ンの配置を示す平面図である。
【図5】図3における昇降式推進装置のコンテナ押圧ピ
ンの配置を示す平面図である。
【図6】図3における昇降式推進装置の油圧シリンダ上
部の吊下げフランジ部を示す断面図である。
【図7】図3における昇降式推進装置のコンテナ固定ピ
ンの受座部を示す断面図である。
【図8】図1に示す昇降式推進装置における力関係のみ
を示す模式図である。
【符号の説明】
1…コンテナnoni 2…上部吊ビーム 2a…支持部 2b…貫通孔 3…油圧シリンダ 4…ロッド 4a…吊下げフランジ 5…スライド軸受 6…電動機 7…減速機 9…ガイド部材 10…ガイド 11…コンテナ固定ピン 11a…本体 11b…ピン 12…コンテナ押圧ピン 12a…本体 12b…ピン 13…固定穴 14…受座 14a…フランジ部 15…空間 16…制振材 H…船体 B…船底 W…格納室 P…推進機 G…ガイド手段 S…隙間 M…昇降式推進装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月25日(2000.4.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、前記課題を解決
するために、本願発明は、船体に設けた格納室と、該格
納室内で昇降するコンテナと、該コンテナの下部に設け
た推進機とを有する昇降式推進装置において、前記コン
テナの上部外周に、先端をテーパ状に形成したコンテナ
固定ピンを複数個設け、前記船体の格納室側に、前記
ンテナを上昇させて推進機を格納室内に格納した格納状
態で固定ピンを嵌合させる位置と、コンテナを下降させ
て推進機を船底から突出させた突出状態で固定ピンを嵌
合させる位置に対応したテーパ状の固定穴を上下2箇所
に設け、さらにコンテナの下部外周に、船体に押し付け
るコンテナ押圧ピンを複数個設け、船体の格納室側に、
前記コンテナを上昇させて推進機を格納室内に格納した
格納状態で押圧ピンを押圧する位置と、コンテナを下降
させて推進機を船底から突出させた突出状態で押圧ピン
を押圧させる位置における該押圧ピンの位置に対応した
受座を上下2箇所に設け、コンテナの上昇時又は下降時
に前記固定ピンを固定穴に嵌合して固定するとともに受
座に押圧ピンを押し付けて固定するようにしている。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体に設けた格納室と、該格納室内で昇
    降するコンテナと、該コンテナの下部に設けた推進機と
    を有する昇降式推進装置において、 前記コンテナの上部外周に、先端をテーパ状に形成した
    コンテナ固定ピンを複数個設け、前記船体の格納室側
    に、コンテナの格納状態と突出状態における該固定ピン
    の位置に対応したテーパ状の固定穴を上下2箇所に設
    け、さらにコンテナの下部外周に、船体に押し付けるコ
    ンテナ押圧ピンを複数個設け、船体の格納室側に、コン
    テナの格納状態と突出状態における該押圧ピンの位置に
    対応した受座を上下2箇所に設け、コンテナの上昇時又
    は下降時に前記固定ピンを固定穴に嵌合して固定すると
    ともに受座に押圧ピンを押し付けて固定するようにした
    ことを特徴とする昇降式推進装置。
  2. 【請求項2】 コンテナを昇降させる油圧シリンダを設
    け、該油圧シリンダ上部の吊下げフランジを船体に設け
    た上部吊りビームで保持し、該上部吊りビームと吊下げ
    フランジとの間に隙間を設けるとともに、該吊下げフラ
    ンジの少なくとも下面にスライド軸受を設けて上部吊り
    ビームで保持した吊下げフランジを移動可能に構成した
    ことを特徴とする請求項1記載の昇降式推進装置。
  3. 【請求項3】 コンテナ外面と格納室との間に、コンテ
    ナを上下方向に案内するガイド手段を設けてコンテナの
    昇降を案内するようにしたことを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の昇降式推進装置。
  4. 【請求項4】 船体側の受座を船体と別部材で構成し、
    該受座の背面側と船体側との間に制振材を充填して振動
    の伝達を低減させたことを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の昇降式推進装置。
  5. 【請求項5】 船体側の固定穴を船体と別部材で構成し
    た受部材に設け、該受部材の背面側と船体側との間に制
    振材を充填して振動の伝達を低減させたことを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇降式推進装
    置。
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