JP2001097169A - 側部用エアバッグ - Google Patents

側部用エアバッグ

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Tadao Shikanuma
忠雄 鹿沼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で気密性に優れ、コンパクトに収納
できる側部用エアバッグの提供。 【解決手段】 熱硬化性シリコーンを少なくとも片面に
被覆した、二枚の本体基布を被覆面同士を重ね合せて袋
状に形成した側部保護用エアバッグであって、本体基布
のデニールが210デニール以下の原糸を用いた目付が
150g/m2以下の織物であり、本体基布同士の重ね
合せ部の間に接着性シリコーンを挾んだ状態で接合され
てなることを特徴とする側部用エアバッグ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の衝突時、
乗員を保護するためのエアバッグに係り、軽量でコンパ
クトに収納でき、気密性に優れる側部用エアバッグに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、乗員保護用安全装置としてエアバ
ッグシステムが普及してきており、運転席用から助手席
用、側突保護用、後部座席用と装着部位も増えてきてい
る。
【0003】特に側面衝突時の衝撃から乗員を保護する
エアバッグ、即ち側突保護用エアバッグ(以下、側部用
エアバッグと記す)は、乗員に対する安全性を更に高め
る手段として注目されてきている。
【0004】しかし、側部用エアバッグは、乗員座席と
車体の狭い空間で展開させるため、形状や容量の小さな
バッグで乗員を保護する必要があり、展開時に不必要に
膨張して乗員の衝撃エネルギーを十分に吸収できない、
あるいは乗員に当接して衝撃を与える、などの問題を生
じることのない配慮が不可欠であった。
【0005】とりわけ、側突の衝撃で乗員が側方窓部や
その付近に激しくぶつかりあう損傷を与えることのない
ように、側方窓部に沿って展開し、窓部の全部または一
部を覆う側部用エアバッグ、すなわち、インフレータブ
ルカーテンは、側突の衝撃によって車体が横転しても乗
員の頭部を保護するように、展開後長時間にわたって袋
体内からガスが漏洩することのない高い気密性が要求さ
れ、袋体基布にはシリコーン系の樹脂またはゴムなどが
被覆されている。
【0006】また、側方窓部周辺の車体内部に収納され
るインフレータブルカーテンでは、ピラー部やルーフサ
イドレール部などの収納部が極めて狭いため、折り畳ん
だバッグの容積、断面積を小さくする必要があり、従来
の運転席用バッグや助手席用バッグに用いられている基
布を使用すると、折り畳んだバッグを納めるため車体構
造の一部設計変更や収納ユニットを別途設置するなどの
処置が必要であった。
【0007】例えば、特開平10−129380号公報
には、シリコーンゴムでコーティングした基布を用いた
側部用エアバッグの外周部の接合法に関し、縫製した
後、縫製部をシールすることにより気密性を高める方法
が提案されているが、外周部が極めて堅牢で高気密性が
得られる反面、粗硬となり易く、折り畳み容積も小さく
することは難しい。
【0008】また、特開平2−114035号公報に
は、熱可塑性エラストマーをラミネートして気密性を改
良したエアバッグ用基布が開示されているが、熱可塑性
エラストマーの種類によっては、折り畳んで長時間放置
した時に基布同士が密着したり、インフレーターからの
熱ガスに対する耐熱性に不足する場合もある。
【0009】一方、細デニールの原糸を使って極めて薄
い織物を作成し、エアバッグをコンパクトに折り畳み、
収納スペースを小さくする提案がなされている。
【0010】例えば、米国特許5482317には、4
5デニールから140デニールまでのナイロン66を使
用した織物を用いたエアバッグが記載されている。これ
らの織物の目付は、従来のエアバッグ用織物の半分、ま
たはそれ以下で軽量化の観点からは従来のレベルを超え
ている。しかし、織物自体の機械特性が従来のエアバッ
グ用織物より不足しているため、上記発明のエアバッグ
は外周形状を矩形とし、外周部の縫製をなくすことで袋
体の耐圧性を確保しようとするものである。しかし、こ
の提案は側部用エアバッグのような複雑な形状のバッグ
に適用することは難しい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、側部用エア
バッグ、とりわけインフレータブルカーテンに求められ
る、高い気密性と極めて優れたコンパクト収納性を兼ね
備えた軽量なエアバッグを提供することを目的とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、側部用エアバ
ッグ、とりわけインフレータブルカーテンに適した、高
い気密性を保持しつつ、極めてコンパクトに収納するこ
とのできる軽量なエアバッグの製造技術に関し鋭意工夫
を行った結果、前記課題を解決することができた。
【0013】すなわち、本発明は、(1)熱硬化性シリ
コーンを少なくとも片面に被覆した、二枚の本体基布を
被覆面同士を重ね合せて袋状に形成した側部保護用エア
バッグであって、前記本体基布のデニールが210デニ
ール以下の原糸を用いた目付が150g/m2以下の織
物であり、本体基布同士の重ね合せ部の間に接着性シリ
コーンを挾んだ状態で接合されてなることを特徴とする
側部用エアバッグ、(2)前記接着性シリコーンが、未
硬化の熱硬化性または室温硬化性シリコーンであること
を特徴とする前記(1)記載の側部用エアバッグ、
(3)前記未硬化のシリコーンが、フィルムまたはシー
トであることを特徴とする前記(1)または(2)記載
の側部用エアバッグ、(4)前記本体基布同士の外周重
ね合せ部の少なくとも一部が、接着性シリコーンを挾ん
だ状態で接合され、さらに縫製されていることを特徴と
する前記(1)〜(3)記載の側部用エアバッグ、に関
する。
【0014】本発明の側部用エアバッグは、袋体を構成
する本体基布の気密性を確保するために、耐熱性、物理
特性に優れる熱硬化性シリコーンで被覆されている。室
温硬化性シリコーンは、基布との接着、シリコーン自体
の物理特性などが基布の被覆材としては満足しない場合
がある。熱硬化性シリコーンとして、液状シリコーンゴ
ムの付加型シリコーンを用いればよい。
【0015】エアバッグの外周部を含む本体基布同士の
重ね合せ部は、その間に接着性シリコーンを挾んで接合
することにより袋体の気密性が確保できる。従来技術で
は、シリコーンで被覆した基布同士の接合は、縫製によ
っていたが、接着性シリコーンにより接合することで、
縫製後の縫目シールが不要になり、接合部が粗硬になら
ず、折り畳み作業も容易であり、かつよりコンパクト化
できる。
【0016】接着性シリコーンとしては、熱硬化したシ
リコーンとの接着性に優れるシリコーンを用いればよ
く、未硬化の熱硬化性(LTV型またはHTV型)また
は室温硬化性シリコーン(RTV型)の中から選定すれ
ばよい。
【0017】更に、未硬化のシリコーンがフィルムまた
はシートであれば作業性もよく、接合部の気密性も均一
なものが得られる。
【0018】また、本発明では外周接合部の少なくとも
一部、例えばインフレーターにより展開する場合、局部
的に力の加わる部位、インフレーター取付口周辺などに
は接合部を補強する上で、接着性シリコーンによる接合
に加え、縫糸により縫製することも好ましい。
【0019】更に、本発明では、本体基布を構成する糸
のデニールを、好ましくは210デニール以下、より好
ましくは100〜200デニールとすることにより折り
畳み容積を少なくすることができる。また、200デニ
ール以下の場合、織物の目付は150g/m2以下とす
ることも好ましい。
【0020】本発明で本体基布へ熱硬化性シリコーンを
付与する方法は、基布との接着、被覆層の気密性が確保
できるものであればよく、コーティング法、印捺法、浸
漬法などいずれの加工法でもよい。
【0021】熱硬化性シリコーンの本体基布への被覆量
は、要求される気密性に応じて定めればよいが、10〜
50g/m2から選定すればよい。
【0022】また、本体基布同士の重ね合せ部を接合す
るための接着性シリコーンは、接合部の熱硬化性シリコ
ーン面上に塗布、貼布すればよく、塗布する場合は20
〜100g/m2、貼布する場合は、50〜500μm
とすればよい。
【0023】接着性シリコーンとしては、未硬化の熱硬
化性又は室温硬化性の中から選定すればよく、例えば、
シート状の接着性シリコーンとして、室温硬化型接着シ
ート(三菱樹脂社製品)、SOTEFA加熱硬化型接着
シートである(東レダウコーニングシリコーン社製品)
などがある。シートの厚さ、接着条件(加圧、温度)な
どは要求される気密性、接着性に応じて選定すればよ
い。場合によっては、熱硬化性シリコーンと接着性シリ
コーンの接着性を向上させるためプライマー処理などの
表面処理を行ってもよい。
【0024】本発明に用いる熱硬化性シリコーンおよび
接着性シリコーンには、加工性、接着性、表面特性ある
いは耐久性を改良するために通常使用されている各種の
添加剤、例えば、架橋剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐
熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑
剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの
隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤、などの一種また
は二種以上を使用してもよい。
【0025】更に、本発明で外周接合部の少なくとも一
部を、接着シートによる接合後、さらに縫製する場合に
は、通常エアバッグに適用されている縫製条件を採用す
ればよいが、基布を構成する糸のデニールが210デニ
ール以下の細いものになった場合には、通常使用する縫
糸より細い番手を使用するとよい。例えば、使用する縫
糸番手Tならびに運針数S(針/cm)を、20≦T
≦80および2≦T/S≦8の関係を満足する条件で
縫製することは好ましい。
【0026】また、本発明になる縫目仕様は、使用する
織物、バッグ仕様、要求される接合部強度などに応じて
選定すればよく、例えば、本縫い、二重環縫い、片伏せ
縫い、オーバーロック縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平
縫いなどがあり、これらの組み合わせでもよい。
【0027】本発明において、使用する縫糸が、上糸、
下糸などで糸番手の異なる場合は、いずれの縫糸も、本
発明の関係式式及び式の関係を満足することが望ま
しいが、上糸又は下糸などいずれか一方のみが式及び
式の関係を満足すればよい。本発明に使用する縫糸
は、一般に化合繊縫糸と呼ばれるものや工業用縫糸とし
て使用されているものの中から適宜選定すればよく、例
えば、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、ビニ
ロン、アラミド、カーボン、ガラスなどがあり、紡績
糸、フィラメント合撚糸、フィラメント樹脂加工糸のい
ずれでもよい。
【0028】本発明では、本体基布を構成する糸のデニ
ールを好ましくは210デニール以下、更に好ましくは
100〜200デニールとすることはエアバッグの折り
畳み収納容積を小さくする上で極めて有効である。
【0029】従来、運転席用バッグや助手席用バッグに
使われている、例えば420デニールの糸を使用した織
物にシリコーンをコーティングした基布では、本発明の
目的とするインフレータブルカーテンに要求される収納
容積に納めることが難しい。
【0030】本発明の本体基布の織物を構成する繊維糸
条は特に限定するものではなく、例えば、ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610などの単
独、またはこれらの共重合、混合により得られるポリア
ミド繊維、ポリエチレンテレフテタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単
独、またはこれらの共重合、混合により得られるポリエ
ステル繊維、パラフェニレンテレフタルアミド、および
これと芳香族エーテルとの共重合体などに代表されるア
ラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ビニロン繊
維、超高分子量ポリエチレンなどのポリオレフィン繊
維、塩化ビニル系および塩化ビニリデン系繊維、ポリテ
トラフルオロエチレン系を含むフッ素系繊維、ポリサル
フォン繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PP
S)、ポリエーテルエーテルケトン系(PEEK)繊
維、ポリイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、高強力
レーヨンを含むセルロース系繊維、アクリル系繊維、炭
素繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイド(SiC)繊
維、アルミナ繊維、などから適宜選定すればよいが、場
合によっては、スチールに代表される金属繊維などの無
機繊維を含んでもよい。
【0031】これらの繊維糸条には紡糸性や加工性、材
質の耐久性を改良するために通常使用されている各種の
添加剤、例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、
老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、
酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑
剤、などの一種または二種以上を使用してもよい。ま
た、場合によっては、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回
加工などの加工を施してもよい。
【0032】更に、糸条は、長繊維のフィラメント、短
繊維の紡績糸、これらの複合糸など、特に限定しない。
【0033】本発明になるエアバッグは、車輌の側方衝
撃から保護するための側部用エアバッグで、とりわけ側
方窓部周辺の車体内部(フロントピラー部、ルーフサイ
ドレール部、センターピラー部、リアピラー部など)に
折り畳み状態で収納され、エアバッグ袋体を高荷重が作
用する側突時にインフレーターから噴出されたガスによ
って側方窓部近く(車室内におけるルーフサイドシール
下方空間、フロントピラー、センターピラーまたはリア
ピラーからルーフサイドレール下方空間)へカーテン状
に展開する側突保護用エアバッグであり、例えば特開平
10−138861号公報記載のエアバッグの配設構造
にも適用できる。
【0034】側方窓部近くで、場合によっては窓部に沿
うように展開するバッグは、薄くて広い形状をしている
ことが多いため、連結部は複数箇所に施すとよい。連結
部位によって連結間隔が異なるようにしてもよい。エア
バッグの形状は円筒状、三角状、四角状、台形状、長円
状、カーテン状など側方窓部の形状、保護する面積、収
納部位などから選定すればよい。
【0035】本発明になるエアバッグのインフレーター
取付口周辺あるいは外周接合部の補強に用いられる補強
布は、袋体に用いられたものと同じ織物でも良いが、別
途、準備した補強用織物、例えば、ナイロン66の84
0デニール、420デニール又は315デニールなどを
用いて作成された本発明のエアバッグ用織物より厚手織
物の単独または複数枚を用いてもよい。ここでいう、補
強布は、インフレーターから噴出する熱ガスを遮断する
ための防炎布を含むものとし、補強布に耐熱性を付与す
るために、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの耐熱性樹
脂、耐熱性ゴムなどを塗布してもよいし、アラミド繊維
などの耐熱性繊維を用いた布を使用してもよい。
【0036】本発明のエアバッグは、側突保護用の側部
用エアバッグを対象としているが、場合によっては追突
保護用のヘッドバッグ、幼児保護用ミニバッグ、シート
ベルト用バッグなど機能的に適応し得る部位にも適用す
ることもでき、形状、容量などは要望される要件を満足
するようにすればよい。
【0037】
【発明の実施の形態】以下実施例に基づき本願発明をさ
らに具体的に説明する。なお、実施例の中でエアバッグ
の性能評価は以下の方法によった。
【0038】(1)気密性 バッグのインフレーター挿入部を部分的に縫合し、加圧
空気供給部以外は密閉した状態でバッグ内部に加圧空気
を注入し、バッグ内圧が50kpaに到達した後加圧空
気の供給を停止し、圧力供給バルブ付近に設けた圧力計
によりバッグ内圧が0kpaになるまでの時間を測定
し、実施例1の場合を100とし、相対比較値とした。
【0039】(2)折り畳み厚さ バッグを長さ方向に平行にアコーデオン状に10回の襞
をなすように折り畳んだ状態で厚さを測定し、比較例2
の場合を100とし、相対比較値とした。
【0040】実施例1 ナイロン66繊維210d/72f(原糸強度9.0g
/d)を用いて織密度が経および緯いずれも66本/吋
の平織物を製織した。この織物を精練、熱セットし、次
いで織物の片面に熱硬化型シリコーン樹脂を20g/m
2(固型分換算)を塗布し、乾燥、熱処理を行い、コー
ティング基布を得た。コーティング後の織物の密度は経
68本/吋、緯67本/吋であり、織物の目付はコーテ
ィング前が135g/m2、コーティング後が155g
/m2であった。
【0041】次に、エアバッグの本体部材として図1に
示す略平行四辺形状にコーティング基布を2枚裁断し
た。この時、各辺の長さは、上辺160cm、下辺18
0cm、斜辺がそれぞれ80cm、65cm、高さが約
55cmであった。2枚の裁断布1の外周部に接着性シ
リコーンとして、厚さ250μm、幅25mmのSOT
EFA(東レダウコーニングシリコーン社製の未硬化の
熱硬化性シリコーン)を貼布し、また、本体内部の4ケ
所(図1の4a〜4b)に“まゆ型”に貼布し、その上
に裁断布2を重ね合せ、接着部を160℃、2分間、5
kgf/cm2の面圧下で加熱加圧し、接合した。接合
部は、縦約30cm、横約15cmの“まゆ型”であっ
た。
【0042】次いで、インフレーター取付口10からゴ
ム管を挿入し密閉した状態で加圧空気を注入した。バッ
グの内圧が50kpaに到達した時点で加圧を停止し、
バッグの内圧が0kpaになるまでの時間を測定した。
【0043】また、本体部材の上辺、下辺に平行にアコ
ーデオン状に折り畳んだバッグの厚みを測定した。表1
に示すように、縫製により作成した従来品(比較例2)
と比較して気密性に優れ、極めてコンパクトに収納でき
るものであった。
【0044】実施例2 実施例1において、本体基布の織物として、ナイロン6
6繊維140d/68f(原糸強度8.2g/d)を用
いて織密度が経および緯いずれも92本/吋の平織物を
使用した以外は、実施例1に準じてエアバッグを作成し
評価した。
【0045】コーティング後の織物の密度は経95本/
吋、緯93本/吋であり、織物の目付はコーティング前
が126g/m2、コーティング後が146g/m2であ
った。
【0046】得られたバッグの気密性は実施例1とほぼ
同程度に高く、折り畳み厚さは非常に小さく、従来品
(比較例2)と比較すると極めてコンパクトに収納する
ことができる。
【0047】比較例1 実施例1において、本体基布同士の接合法として接着性
シリコーンの代わりに、反応性ホットメルト樹脂(日立
化成ポリマー社製ポリウレタン)を用い、90℃、2分
間、5kgf/cm2の面圧下で加熱加圧した以外は、
実施例1に準じてエアバッグを作成し、評価した。
【0048】得られたエアバッグの折り畳み厚さは実施
例1とほぼ同等であるが、気密性はバッグ内圧が50k
paに到達する前に外周接合部の一部が破損してしまっ
た。
【0049】比較例2 実施例1において、本体基布同士の接合法として接着性
シリコーンの代わりに、外周部ならびに袋体内部の4ケ
所の接合部をナイロン66樹脂の縫糸(上糸、下糸いず
れも8番手)を用い、運針数4.0針/cmで、外周は
二重環縫い二列、袋体内部は本縫いして、全ての縫目の
表面部と外周部の縫代の外側に湿気硬化型のシリコーン
樹脂を塗布して目止め加工を行った。
【0050】得られたエアバッグは、表1に示すように
気密性は低く、折り畳んだ厚みも大きく、コンパクト収
納性に劣るものであった。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、軽
量でコンパクトに収納でき、しかも気密性に優れる側部
用エアバッグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアバッグを側方窓部から見た展開前
の説明図。
【図2】展開後の図1のA−A線断面図。3の外周部及
び4a〜4dの太線部は接着している。
【図3】本発明のエアバッグの接着した外周接合部の説
明図。
【図4】本発明の接着した外周接合部のもう一つの実施
例の説明図。
【符号の説明】
1、2及び11、12 エアバッグ本体基布 3及び13 エアバッグ本体基布の外周接
合部 4a〜4d及び14a〜14d 本体基布同士の接合
部 5a〜5e及び15a〜15e エアバッグの膨張部 6及び7 本体基布に被覆した熱硬化性シリコーン 8 接着性シリコーン 9 縫製糸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性シリコーンを少なくとも片面に
    被覆した、二枚の本体基布を被覆面同士を重ね合せて袋
    状に形成した側部保護用エアバッグであって、前記本体
    基布のデニールが210デニール以下の原糸を用いた目
    付が150g/m2以下の織物であり、本体基布同士の
    重ね合せ部の間に接着性シリコーンを挾んだ状態で接合
    されてなることを特徴とする側部用エアバッグ。
  2. 【請求項2】 前記接着性シリコーンが、未硬化の熱硬
    化性または室温硬化性シリコーンであることを特徴とす
    る請求項1記載の側部用エアバッグ。
  3. 【請求項3】 前記未硬化のシリコーンが、フィルムま
    たはシートであることを特徴とする請求項1または2記
    載の側部用エアバッグ。
  4. 【請求項4】 前記本体基布同士の外周重ね合せ部の少
    なくとも一部が、接着性シリコーンを挾んだ状態で接合
    され、さらに縫製されていることを特徴とする請求項1
    〜3記載の側部用エアバッグ。
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