JP2001096889A

JP2001096889A - 印刷物と印刷物読み取り装置

Info

Publication number: JP2001096889A
Application number: JP28106699A
Authority: JP
Inventors: Yukinori Yamada; 幸憲山田
Original assignee: Hitachi Maxell Ltd
Current assignee: Maxell Holdings Ltd
Priority date: 1999-10-01
Filing date: 1999-10-01
Publication date: 2001-04-10

Abstract

(57)【要約】【課題】セキュリティ性の高い印刷物とその読み取り
装置を提供する。【解決手段】文字やパターン等を印刷した印刷部の上
に、赤外発光する蛍光体を用いた印刷部を重ねて形成す
ることにより、文字等の印刷部を隠蔽し、その蛍光体を
用いた印刷部の発光出力あるいは残光出力から、隠蔽さ
れた印刷部を読み取るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、基材上に印刷形成
された文字・パターン等を表す印刷部を別の印刷部で隠
蔽した印刷物と、その隠蔽された印刷部の情報を読み取
るための読み取り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常の印刷物では、文字やパターン等に
よる情報が目に見えるように基材上に印刷・記録されて
いるため、この種の情報が他人に知られて例えば偽造さ
れたり改ざんされたりする可能性が常に存在する。そこ
で、印刷物における文字やパターン等を不可視化すると
ともに、これを所定の読み取り装置で読み取れるように
して、情報の秘密保持あるいは改ざん防止等を図る技術
が従来から提案されている。

【０００３】この種の技術としては、例えば、特開平４
−１３１２９２号公報に記載されたものや、特開平７−
３２９４６５号公報に記載されたものがある。前者は、
基体上に、赤外線を吸収する着色層と、この着色層を不
可視とし且つ赤外線を反射する感熱記録層と、赤外線を
透過させ且つ感熱記録層に記録された情報を不可視とす
る隠蔽層とをこの順番で積層したもので、赤外線を照射
することで、感熱記録層に記録された情報（パターン）
が読み取られるようになっている。また、後者は、基材
の一方に所定の情報を表す磁気パターンを形成し、この
磁気パターンを隠蔽層で被覆したもので、隠蔽された磁
気パターンの読み取りは磁気ヘッド（磁気センサ）で行
うようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の特開
平４−１３１２９２号公報に記載されたものでは、基体
上に着色層、感熱記録層、隠蔽層の各層を積層した特殊
な媒体を用いる必要があり、しかも文字やパターン等の
情報を記録する場合には、通常の印刷ではなく、サーマ
ルヘッドを用いて感熱記録層に熱を加える必要がある。
また、後者の特開平７−３２９４６５号公報に記載され
たものでは、隠蔽層によって被覆された磁気パターンを
読み取るために、隠蔽層あるいはその上に設けられた保
護層の表面に磁気ヘッドを接触または略接触させた状態
で走査して下層の磁気パターンを読み取る必要がある。

【０００５】本発明は、上記のような特殊な媒体や接触
走査式読み取り装置を用いるのではなく、通常の印刷物
における印刷部（文字やパターン等の情報を印刷した部
分）を隠蔽して不可視化することによりセキュリティ性
を確保でき、かつ、その不可視化された印刷部による情
報を必要に応じて光学的に非接触で読み取りうる技術を
提供することを目的とする。

【０００６】

【問題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明の印刷物は、基材上に、赤外光を吸収する印刷部を
形成し、この印刷部上に、紫外光または赤外光により励
起されて赤外光を発する蛍光体（赤外発光蛍光体）を用
いた印刷部を重ねたことを特徴とする。具体的には、赤
外光を吸収する印刷部が、赤外発光蛍光体を用いた印刷
部の発光量を減少させる構成とする。そして、このよう
な印刷物を読み取るために、赤外発光蛍光体の励起波長
領域の光を発する光源と、当該赤外発光蛍光体の発光波
長の発光量を検出する手段とを有する印刷物読み取り装
置、または赤外発光蛍光体の励起波長領域のパルス光を
発する光源と、当該赤外発光蛍光体の発光波長の残光量
を検出する手段とを有する印刷物読み取り装置を使用す
る。

【０００７】また、本発明の他の印刷物は、基材上に、
可視光および赤外光を吸収する可視印刷部を形成し、こ
の可視印刷部を、赤外発光蛍光体を用いた印刷部によっ
て隠蔽したことを特徴とする。具体的には、可視光およ
び赤外光を吸収する可視印刷部が、赤外発光蛍光体を用
いた印刷部の発光量を減少させる構成とする。このよう
な印刷物に対する読み取りは、上記の印刷物読み取り装
置によって行うことができる。

【０００８】さらに、上記他の印刷物において、赤外発
光蛍光体を用いた印刷部で可視印刷部を隠蔽する代わり
に、紫外光または赤外光により励起されて可視光を発す
る蛍光体（可視発光蛍光体）を用いた印刷部で可視印刷
部を隠蔽する構成としてもよい。この場合は、可視光お
よび赤外光を吸収する可視印刷部が、可視発光蛍光体を
用いた印刷部の発光量を減少させる。このような印刷物
を読み取るには、可視発光蛍光体の励起波長領域の光を
発する光源と、当該可視発光蛍光体の発光波長の発光量
を検出する手段とを有する印刷物読み取り装置、または
可視発光蛍光体の励起波長領域のパルス光を発する光源
と、当該可視発光蛍光体の発光波長の残光量を検出する
手段とを有する印刷物読み取り装置を使用する。

【０００９】本発明で用いる赤外発光蛍光体には、次の
ような特性が求められる。すなわち、可視光領域におい
て着色するような吸収が無いこと、紫外光あるいは赤外
光で励起されて赤外光を発すること、当該赤外発光蛍光
体用いた印刷部の下層（励起光照射面の反対側）の印刷
部を充分隠蔽しうること、当該赤外発光蛍光体の発光波
長における下層の吸収の有無によって、発光量が大きく
変化すること。このような特性を有するものとしては、
具体的には、赤外光励起の場合、ＹＰＯ₄ ：Ｎｄ，Ｙ
ｂ、ＹＰＯ₄ ：Ｙｂ、ＣａＭｏＯ₄ ：Ｎｄ，Ｙｂ、Ｃａ
ＭｏＯ₄ ：Ｙｂ、ＬｉＰ₄ Ｏ₁₂：Ｙｂ，Ｅｒ、ＣａＷＯ
₄ ：Ｙｂ，Ｅｒ、Ｙ₂ Ｏ₂ Ｓ：Ｄｙ，Ｃｅ、ＣａＴｉＯ
₃ ：Ｄｙ，Ｃｅ等、また紫外光励起の場合、ＹＶＯ₄ ：
Ｎｄ、Ｙ₂Ｏ₃ ：Ｃｅ，Ｎｄ、ＡｌＢＯ₃ ：Ｃｅ，Ｎ
ｄ、Ｃａ₁₀（ＰＯ₄ ）₆ Ｃｌ₂ ：Ｎｄ、ＺｎＯ：Ｎｄな
ど、数多くある。本発明では、これらのいずれも使用で
きるが、汎用の光源（ＬＥＤ、つまり発光ダイオード）
や検出器（Ｓｉ−ＰＤ、つまりシリコン製フォトダイオ
ード）と波長がマッチし、下層に発光波長における吸収
が無い場合、発光強度が高いものとして、Ｎｄ，Ｙｂあ
るいはＹｂ付活蛍光体が最も優れていることから、この
ような蛍光体を用いるのが望ましい。

【００１０】本発明の印刷物においては、下層の印刷部
に対する隠蔽効果を増すために、赤外発光蛍光体と、可
視および赤外領域に吸収のないＴｉＯ₂ 、ＺｎＯのよう
な白色顔料とを混合することも可能である。また、赤外
発光蛍光体を用いた印刷部（隠蔽層）の上から、赤外光
を吸収しないドロップアウトカラーのようなインクで別
のパターンや文様等を印刷することで、よりセキュリテ
ィ性を高めることも可能である。

【００１１】さらに、本発明の印刷物において、上記の
ような赤外発光蛍光体に代えて用いうる可視発光蛍光体
としては、次のようなものが挙げられる。ＹＶＯ₄ ：Ｅ
ｕ³⁺、Ｙ（Ｐ，Ｖ）Ｏ₄ ：Ｅｕ³⁺、Ｙ₂ ＳｉＯ₅ ：Ｃｅ
³⁺，Ｔｂ³⁺、Ｙ₂ Ｏ₃ ・Ａｌ ₂ Ｏ₃ ：Ｔｂ³⁺、Ｓｒ
₁₀（ＰＯ₄ ）₆ Ｃｌ₂ ：Ｅｕ²⁺、（Ｓｒ，Ｍｇ）₃ （Ｐ
Ｏ ₄ ）₂ ：Ｃｕ⁺ 。

【００１２】

【作用】本発明では、赤外光（または、可視光および赤
外光）を吸収する通常の印刷部（ここでは、便宜的に第
１印刷部という）を、赤外発光蛍光体または可視発光蛍
光体（以下、ここでは単に赤外発光蛍光体という）を用
いた印刷部（ここでは、便宜的に第２印刷部という）に
よって隠蔽する。この隠蔽層を形成する第２印刷部の赤
外発光蛍光体に励起光を照射すると、当該第２印刷部に
おいて、第１印刷部と重なった印刷部分からの発光量は
第１印刷部による吸収があるために相対的に小さく、第
１印刷部と重ねっていない印刷部分からの発光量は第１
印刷部による吸収がないために相対的に大きい。したが
って、第２印刷部により隠蔽された領域の発光強度を光
学的に検出すると、隠蔽された下層の第１印刷部、すな
わち文字やパターン等を印刷記録した通常の印刷部が、
発光強度の減少というかたちで浮き上がって検出される
こととなる。また、蛍光体に照射する励起光をパルス状
にし、励起光消灯後の残光強度を検出しても同様の効果
が得られる。

【００１３】このようにして本発明によれば、文字やパ
ターン等を印刷記録した通常の印刷部が隠蔽されて不可
視となり、かつその印刷部は光学的な手段により読み取
り可能であるというセキュリティ性をもたせることがで
きる。

【００１４】

【実施例】＜実施例１＞基材としてシート状の白色ＰＥ
Ｔ（ポリエチレンテレフタレート）を使用し、このＰＥ
Ｔ上に、可視光から赤外光まで吸収する通常の黒色イン
クであるカーボンブラックを用いて、図１の（１）に示
すように文字「Ａ」を印刷した。次に、赤外光で励起・
発光するＹＰＯ₄ ：Ｎｄ，Ｙｂ蛍光体を、インクリボン
用の樹脂および溶剤と混合・分散させたインクをＰＥＴ
上に約１０μｍ塗布したインクリボンを用いて、熱転写
プリンタで図１の（２）に示すように上記文字「Ａ」を
全て覆う領域全体に重ねて印刷した。こうして、図２に
示すように、基材である白色ＰＥＴ１上に、文字「Ａ」
の印刷部２と、これを隠蔽する印刷部３とを有する印刷
物を作製した。

【００１５】得られた印刷物を読み取るために、励起用
の光源として、８１０ｎｍを中心波長とする光を発する
ＬＥＤと、文字「Ａ」の印刷部２を覆う印刷部３に用い
た蛍光体からの発光波長の発光量を検出する手段とし
て、Ｓｉ−ＰＤを用いたＣＣＤエリアセンサとを有する
読み取り装置を使用した。そして、上記ＬＥＤによる８
１０ｎｍを中心波長とする光により印刷部３における蛍
光体を励起し、９００ｎｍ以下の光をカットするシャー
プカットフィルタを介して上記ＣＣＤエリアセンサによ
り蛍光体の発光を検出した。

【００１６】読み取りに際しては、例えば図１の（２）
に示すような一定の読み取りラインに沿ってＣＣＤエリ
アセンサを走査して、これにより得られたＳｉ−ＰＤの
高発光強度領域での発光出力とバックグラウンド出力
（印刷部３の存在しないバックグラウンド部分における
反射光等による出力）との差の５０％をスライスレベル
とし（図１の（３）参照）、このレベル以下のエリアを
隠蔽された文字情報とした。この読み取り方式により、
図１の（４）に示すように、蛍光体を用いた印刷部３に
よって隠蔽された下層の印刷部２、すわなち文字「Ａ」
を浮き出させて検出することができた。

【００１７】＜実施例２＞基材として用いた白色ＰＥＴ
上に、可視光から赤外光まで吸収する通常の黒色インク
であるカーボンブラックを用いて文字「Ａ」を印刷し
た。次に、赤外光で励起・発光するＹＰＯ₄ ：Ｙｂ蛍光
体と白色顔料であるＴｉＯ₂ とを重量比１：１で混合
し、スクリーン用の樹脂および溶剤と混合分散させてイ
ンクとし、このインクを用いて上記文字「Ａ」を全て覆
う領域全体に重ねて印刷した。

【００１８】読み取り装置は、９５０ｎｍを中心波長と
するＬＥＤを励起光源として印刷部における蛍光体をパ
ルス励起し、励起光消灯後の残光をＳｉ−ＰＤを用いた
ＣＣＤエリアセンサで検出する構成とした。

【００１９】読み取りに際しては、Ｓｉ−ＰＤの高残光
強度領域での残光出力とバックグラウンド出力との差の
５０％をスライスレベルとし、このレベル以下を隠蔽さ
れた文字情報とした。この読み取り方式により、蛍光体
を用いた印刷部によって隠蔽された下層にある印刷部、
すなわち文字「Ａ」を浮き出させて検出することができ
た。

【００２０】＜実施例３＞基材として用いた白色ＰＥＴ
上に、可視光から赤外光まで吸収する通常の黒色インク
であるカーボンブラックを用いて、バーコードであるＩ
ＴＦコード１４０１２３４５６７８９１をスクリーン印
刷法で印刷した。次に、赤外光で励起・発光するＣａＭ
ｏＯ₄ ：Ｎｄ，Ｙｂ蛍光体と白色顔料であるＴｉＯ₂ と
を重量比１：１で混合し、スクリーンインク用の樹脂お
よび溶剤と混合・分散させてインクとし、このインクを
用いて上記バーコードを全て覆う領域全体に重ねて印刷
した。

【００２１】読み取り装置は、８１０ｎｍを中心波長と
するＬＥＤを励起光源として印刷部における蛍光体を励
起し、９００ｎｍ以下の光をカットするシャープカット
フィルタを通してＳｉ−ＰＤを用いたＣＣＤエリアセン
サで発光を検出する構成とした。

【００２２】読み取りに際しては、Ｓｉ−ＰＤの高発光
強度領域での発光出力とバックグラウンド出力との差の
５０％をスライスレベルとし、このレベル以下のエリア
を隠蔽されたバーコード情報とし、デコードした。この
読み取り方式により、蛍光体を用いた印刷部によって隠
蔽された下層にあるバーコードを浮き出させて検出する
ことができた。

【００２３】＜実施例４＞基材として用いた白色ＰＥＴ
上に、可視光から赤外光まで吸収する通常の黒色インク
であるカーボンブラックを用いて、文字「Ａ」を印刷し
た。次に、紫外光で励起し、赤外光を発光するＹＶＯ
₄ ：Ｎｄ蛍光体を、スクリーン印刷用の樹脂および溶剤
に分散させてインクとし、このインクを用いて上記文字
「Ａ」を全て覆う領域全体に重ねて印刷した。

【００２４】読み取り装置は、２５４ｎｍを中心波長と
するＵＶ−Ｂランプもしくは３６５ｎｍを中心波長とす
るＵＶ−Ａランプを励起光源として、印刷部における蛍
光体を励起し、６８０ｎｍ以下の光をカットするシャー
プカット色ガラスフィルタを介して、Ｓｉ−ＰＤを用い
たＣＣＤエリアセンサにより蛍光体の赤外発光を検出す
る構成とした。

【００２５】読み取りに際しては、Ｓｉ−ＰＤの高発光
領域での発光出力とバックグラウンド出力との差の５０
％をスライスレベルとし、このレベル以下のエリアを隠
蔽された文字情報とした。この読み取り方式により、蛍
光体を用いた印刷部によって隠蔽された下層の印刷文字
「Ａ」を浮き出させて検出することができた。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、赤外光
あるいは可視光および赤外光を吸収する印刷部、つまり
文字やパターン等の印刷された通常の印刷部を、所定の
蛍光体を用いた印刷部で隠蔽することにより不可視と
し、この不可視化された印刷部を、隠蔽している印刷部
における蛍光体の発光出力あるいは残光出力の変化から
読み取ることができる。こうして、特殊な媒体等を用い
ることなく、通常の印刷物における文字やパターン等の
印刷部を不可視化でき、かつ、その不可視化された印刷
部による情報を所定の光学的手段で必要に応じて読み取
ることのできる、セキュリティ性に優れた印刷物が実現
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１で印刷部の隠蔽過程および読
み取り過程を説明するために用いたもので、上から順番
に、文字「Ａ」の印刷部と、これを所定の蛍光体を用い
た印刷部で隠蔽した状態と、所定の蛍光体を用いた印刷
部の一定の読み取りラインにおける発光出力と、この発
光出力に基づいて読み取られた印刷部の情報（文字
「Ａ」）とをそれぞれ示す図である。

【図２】本発明の実施例１で作製された印刷物の断面構
造を拡大して示す断面図である。

【符号の説明】

１基材２赤外光を吸収する印刷部３赤外発光蛍光体を用いた印刷部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材上に、赤外光を吸収する印刷部が形
成されており、この印刷部上に、紫外光または赤外光に
より励起されて赤外光を発する蛍光体（赤外発光蛍光
体）を用いた印刷部が重ねられていることを特徴とする
印刷物。
【請求項２】基材上に、可視光および赤外光を吸収す
る可視印刷部が形成されており、この可視印刷部が、赤
外発光蛍光体を用いた印刷部によって隠蔽されているこ
とを特徴とする印刷物。
【請求項３】基材上に、可視光および赤外光を吸収す
る可視印刷部が形成されており、この可視印刷部が、紫
外光または赤外光により励起されて可視光を発する蛍光
体（可視発光蛍光体）を用いた印刷部によって隠蔽され
ていることを特徴とする印刷物。
【請求項４】赤外光を吸収する印刷部が、赤外発光蛍
光体を用いた印刷部の発光量を減少させる請求項１記載
の印刷物。
【請求項５】可視光および赤外光を吸収する可視印刷
部が、赤外発光蛍光体を用いた印刷部の発光量を減少さ
せる請求項２記載の印刷物。
【請求項６】可視光および赤外光を吸収する可視印刷
部が、可視発光蛍光体を用いた印刷部の発光量を減少さ
せる請求項３記載の印刷物。
【請求項７】請求項１、２、４または５のいずれかに
記載の印刷物の読み取りに用いられる装置であって、赤
外発光蛍光体の励起波長領域の光を発する光源と、当該
赤外発光蛍光体の発光波長の発光量を検出する手段とを
有することを特徴とする印刷物読み取り装置。
【請求項８】請求項３または６に記載の印刷物の読み
取りに用いられる装置であって、可視発光蛍光体の励起
波長領域の光を発する光源と、当該可視発光蛍光体の発
光波長の発光量を検出する手段とを有することを特徴と
する印刷物読み取り装置。
【請求項９】請求項１、２、４または５のいずれかに
記載の印刷物の読み取りに用いられる装置であって、赤
外発光蛍光体の励起波長領域のパルス光を発する光源
と、当該赤外発光蛍光体の発光波長の残光量を検出する
手段とを有することを特徴とする印刷物読み取り装置。
【請求項１０】請求項３または６に記載の印刷物の読
み取りに用いられる装置であって、可視発光蛍光体の励
起波長領域のパルス光を発する光源と、当該可視発光蛍
光体の発光波長の残光量を検出する手段とを有すること
を特徴とする印刷物読み取り装置。