JP2001096367A - 溶接用ロボット制御装置 - Google Patents

溶接用ロボット制御装置

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JP2001096367A
JP2001096367A JP27448799A JP27448799A JP2001096367A JP 2001096367 A JP2001096367 A JP 2001096367A JP 27448799 A JP27448799 A JP 27448799A JP 27448799 A JP27448799 A JP 27448799A JP 2001096367 A JP2001096367 A JP 2001096367A
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welding
orientation
welding line
point
work
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JP27448799A
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Shinichi Sugita
真一 杉田
Toshiro Itaya
敏郎 板谷
Yoshiji Yamamoto
吉二 山本
Shinji Koyama
伸二 小山
Masahiko Takeuchi
雅彦 竹内
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Toyota Motor Corp
Toyoda Koki KK
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接品質確保のための再教示作業が不要な溶
接用ロボットの実現 【解決手段】 終点K[1]の位置を「Θ=α−θ」だ
け回転移動させることにより、ワーク上の溶接線Lが水
平面と成す角θを指定された傾斜角度αに物理的に一致
させる。上記の角Θの回転運動の回転軸ベクトルをv=
(λ,μ,ν)とすると、この回転軸ベクトルvは、式
「v=k×Va/|k×Va|」により与えられる。た
だし、kはz軸方向の正の向き(鉛直方向上向き)の単
位ベクトル、Vaは溶接線L上の溶接動作が進行する向
きのベクトルである。この様に、角θを指定された傾斜
角度αに変更することにより、溶接線の水平面に対する
角度は、自動的に最適化又は好適化される。これによ
り、溶接品質を確保するための溶接線の始点又は終点の
再設定、及び再教示の作業が自動化され、ワークとトー
チの角度が簡単、かつ、短時間に、最適又は好適な角度
に設定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、教示されたワーク
上の始点と終点の位置座標に基づいて、この始点と終点
とを結ぶ線分を溶接線とした溶接の動作を制御する溶接
用ロボット制御装置に関し、特に、ワークの溶接線方向
の傾きを指定値通りに制御する溶接用ロボット制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の溶接用のロボットとしては、例え
ば、公開特許公報「特開平9−253859:溶接トー
チ姿勢自動設定方法」に記載されているもの等がある。
多間接ロボットに溶接作業を実行させる場合、通常、治
具ロボット側にワークを持たせ、トーチロボット側にア
ーク溶接トーチを持たせて、ロボットの溶接作業を制御
している。これらの作業においては、溶接部の品質確保
のために、ワークの溶接線の水平面に対する角度を最適
又は好適に保つことが重要となる。
【0003】従来の溶接作業においては、ワークの溶接
線の始点及び終点の位置座標をロボットに対して教示
(ティーチング)し、溶接後の溶接部の品質を確認した
後、十分な溶接品質が確保できていない場合には、その
都度、溶接線の水平面に対する角度が最適又は好適に保
たれる様に、始点又は終点の位置を改善し、その位置座
標をロボットに再教示していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様に、始点又は終点の位置を改善(再調整)し、その位
置をロボットに再教示する作業には、時間が掛かり生産
性が上がらないと言う問題点がある。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的は、始点又は終点の位置を
作業者が再調整し、その位置をロボットに再教示する、
作業者自らの作業(工程)が不要な溶接用ロボットの制
御装置を実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めには、以下の手段が有効である。即ち、第1の手段
は、ワーク上の始点と終点の位置座標等の、ワーク、工
具、又はロボットの位置姿勢に関する教示データに基づ
いて、ワーク上の始点と終点とを結ぶ線分を溶接線とし
た溶接の動作を制御するロボット制御装置において、こ
の始点及び終点の各教示データを各教示実施時の溶接ト
ーチの教示データとワークの教示データとで記憶する溶
接線情報記憶手段と、始点及び終点の教示データから溶
接線の傾きを求め、この傾きが指定された傾斜になる様
に、ワークの位置姿勢に対する補正量を求める補正量演
算手段と、補正量演算手段により求められた補正量に基
づいて、始点、又は、終点の位置姿勢に関するデータを
補正する補正手段と、補正手段を用いることにより位置
姿勢が補正されたワーク上の始点及び終点の間を補間す
ることにより溶接線を溶接する補間溶接手段とを備える
ことである。
【0007】また、第2の手段は、上記の第1の手段に
おいて、指定する傾斜の具体的な大きさをワールド座標
系における鉛直線、又は、水平面と溶接線とが成す傾斜
角度αで規定し、この傾斜角度αの指定を個々の目的の
溶接線単位に受け付ける傾斜角度指定手段を備えること
である。
【0008】また、第3の手段は、上記の第1又は第2
の手段の補正量演算手段において、上記の始点、終点、
又は、任意の1点を回転中心点として上記の補正量を求
めることである。
【0009】また、第4の手段は、上記の第3の手段の
補正量演算手段において、上記の補正量によって与えら
れる、上記の回転中心点の回りの回転変換の回転軸方向
を、トーチの方向ベクトル又は鉛直方向ベクトルと、溶
接線の方向ベクトルとの外積を用いて演算することであ
る。
【0010】また、第5の手段は、上記の第1乃至第4
の何れか1つの手段において、上記の補正量を、3次元
空間における位置変位ベクトルΔPを構成する3成分
と、3次元空間における3行×3列の回転変換行列Rを
構成する9成分との計12成分を含む、4行×4列の位
置姿勢変換行列Mにより表現することである。
【0011】また、第6の手段は、上記の第1乃至第5
の何れか1つの手段において、溶接線上における溶接を
ワークを移動させることにより実施することである。
【0012】また、第7の手段は、上記の第1乃至第6
の何れか1つの手段において、溶接線上における溶接を
トーチを移動させることにより実施することである。
【0013】また、第8の手段は、上記の第1乃至第7
の何れか1つの手段において、上記の終点をその溶接線
とは別の次回溶接線の始点とし、次回溶接線に対して引
き続き継続して上記の補正手段を用いた溶接を実施する
ことである。
【0014】更に、第9の手段は、上記の第8の手段に
おいて、上記の傾斜角度αが各々規定され、順次連接さ
れた複数の溶接線又は次回溶接線に対して、連続的に上
記の補正手段を用いた溶接を実施することである。以上
の手段により、前記の課題を解決することができる。
【0015】
【作用及び発明の効果】図1は、本発明の補正手段(上
進下進角変換機能)の変換動作の一例を例示する説明図
である。
【0016】(記号) L … 溶接線 (座標の教示実施時) K[0] … 溶接線の始点(座標の教示実施時) K[1] … 溶接線の終点(座標の教示実施時) L′ … 溶接線 (傾斜角変換実施後) K[0]′… 溶接線の始点(傾斜角変換実施後) K[1]′… 溶接線の終点(傾斜角変換実施後)
【0017】本図1に示す様に、溶接動作に先立って、
例えば、ワーク上の溶接線Lの終点(L上で最後に溶接
される点)K[1]の位置を、溶接線Lの始点K[0]
を中心に「Θ=α−θ」だけ回転移動させることによ
り、ワーク上の溶接線Lが水平面と成す角θを指定され
た傾斜角度αに物理的に一致させる。ただし、ここで回
転移動させる際の回転中心点は、終点K[1]であって
も良く、或いは、溶接線L上には回転中心点は持たなく
とも良い。本図1においては、ワーク上の溶接線Lの始
点K[0]を、上記の補正手段による回転変換に対する
回転中心点として設定し、この廻りで終点K[1]を回
転移動させた時の回転変換動作を例示している。
【0018】この様な回転変換を実施した後には、ワー
クを固定してトーチTを始点K[0]′から新たな終点
K[1]′へ移動させることにより溶接を行っても良い
し、トーチTを固定してワークの終点K[1]′を変換
後の溶接線L′の方向に沿って始点K[0]′の方に向
かって移動させることにより溶接を行っても良いし、ト
ーチT及びワークの両方を同時に動かすことにより、溶
接点をK[0]′からK[1]′へ移動させることによ
り溶接を行っても良い。
【0019】例えば、この様に、溶接線が水平面と成す
角θを指定された傾斜角度αに物理的に一致させるため
の本発明の補正手段を用いることにより、溶接線の水平
面に対する角度は、自動的に最適化又は好適化される。
これにより、溶接品質を確保するための溶接線の始点又
は終点の再設定、及び再教示の作業が自動化され、ワー
クとトーチの角度が簡単に、最適又は好適な角度に設定
できるため、従来よりも作業時間が大幅に短縮される。
【0020】尚、上記の傾斜角度αは、水平面を基準に
下向きを正の回転方向として計るものとする。従って、
α>0の時、溶接点の進行方向は下向きになるので、こ
の時αを下進角と言い、α<0の時、溶接点の進行方向
は上向きになるので、この時αを上進角と言いう。
【0021】また、本発明の手段によれば、溶接線が多
数連接された複雑な溶接作業においても、全ての溶接線
に対して、自動的かつ連続的に上記の再設定及び再教示
の作業が実施できるので、本発明は、溶接線が多数連接
された複雑な溶接作業において、特に大きな効果を発揮
する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。図2は、本実施例における溶接用ロ
ボット制御装置を搭載した9軸協調型溶接用ロボットシ
ステムの斜視図である。このロボットシステムは、ワー
クWを把持する治具側には、手首軸が特殊なポジショナ
ーを取り付けた6軸スカラータイプの治具ロボットを用
い、溶接トーチTを把持するトーチ側には、3軸スカラ
ータイプのトーチロボットを用いた、合計9軸/2台の
協調型ロボットシステムである。
【0023】これらのトーチロボット(3軸)及び、治
具ロボット(6軸)は、本図2の略中央のロボット本体
1に結合されており、互いに上下に位置して協調動作で
きる様に配設されている。このロボット本体1の後方に
は、溶接電源2と後で詳述する本発明の手段を用いた溶
接用ロボット制御装置100とが結合されている。
【0024】この様に、本ロボットシステムでは、2台
のロボットを協調動作させることにより、各ロボットの
姿勢変化量が小さく抑えられているため、ロボットが溶
接作業に要する作業時間や作業スペースも小さく抑えら
れている。
【0025】図3に、本実施例における溶接用ロボット
制御装置100を中心としたロボット制御機構の論理的
なハードウェア構成図を示す。CPU80には、メモリ
81、各軸に対応するサーボユニット91〜99、ティ
ーチングボックス70が接続されている。サーボユニッ
ト91〜99は、それぞれサーボCPUとメモリとを内
蔵しており、CPU80から出力される指令回転角信号
φ1〜φ9、重力トルク値Gf1〜Gf9、イナーシャ値J
L1〜JL9等に基づいて、1軸〜9軸の駆動に用いられる
サーボモータM1〜M9を制御する。
【0026】各サーボモータM1〜M9に連結されたエ
ンコーダE1〜E9は、各サーボモータM1〜M9の回
転角ψ1〜ψ9を検出し出力する。また、各サーボモー
タM1〜M9に連結された電流検出器61〜69は、各
サーボモータM1〜M9の電流I1〜I9を検出し出力
する。出力ψ1〜ψ9及び出力I1〜I9は、CPU8
0及びサーボユニット91〜99に入力され、CPU8
0による各軸の重力トルク値及びイナーシャ値等の各種
の物理量の演算や、サーボユニット91〜99による位
置決め制御や、速度フィードバック制御等に用いられ
る。
【0027】メモリ81は、その内部を論理的に細分化
することにより、各ロボットの動作プログラムを記憶す
るプログラムエリア、教示点等の加工に必要なデータを
記憶する加工データエリア、出力ψ1〜ψ9、出力I1
〜I9等を記憶する制御データエリア等を備えている。
【0028】ティーチングボックス70は、各ロボット
の教示作業や、動作プログラムを入力するためのもので
あり、ディスプレイ70aと、各ロボットに対する動作
指令や、動作プログラム等の入力を行うキーボード70
bとを備えている。以上のロボット制御装置100を備
えた上記の9軸協調型溶接用ロボットシステムにおいて
本発明の補正手段を実現する方法について以下に述べ
る。
【0029】以下、本発明の構成や作用原理の説明の際
に前提となる、ロボットの操作対象の位置姿勢及びその
変換に関する一般理論について述べる。図4は、溶接用
ロボットの操作対象(トーチ、ワークなど)の位置姿勢
の変換式を例示する説明図である。位置姿勢行列Qは4
行×4列の行列で、本図4(a)に示す様に位置ベクト
ルP、及び、操作対象の姿勢行列Cにより構成されてい
る。
【0030】 (記号) P … 操作対象上に固定された操作対象の基準点 (制御点)の位置ベクトル C … 操作対象の姿勢行列(3行×3列の行列。操作対象上に 固定された以下の3つのベクトルN,O,Aより構成される。) N … 操作対象のノーマルベクトル (N≡(Nx ,Ny ,Nz )なる単位ベクトル) O … 操作対象のオリエントベクトル (O≡(Ox ,Oy ,Oz )なる単位ベクトル) A … 操作対象のアプローチベクトル (A≡(Ax ,Ay ,Az )なる単位ベクトル)
【0031】ただし、上記の「操作対象」の姿勢は、ロ
ボットのグリップ(ハンド)のフランジ等の姿勢であっ
ても良い。また、位置姿勢の変換行列M(4行×4列)
は、本図4(b)に示す様に、回転変換行列R(v,
Θ)(3行×3列)、及び、3次元変位ベクトル(並進
変換成分)ΔPより構成されている。
【0032】この位置姿勢変換行列Mによって表現され
る変換(ロボットの動作や、論理的な座標変換等)によ
り、ロボットの操作対象の位置と姿勢を表す個々の位置
姿勢行列Q(4行×4列)は、一般に、次式(1)に示
す様に、4行×4列の位置姿勢行列Q′に変換される。
【数1】 Q′=MQ …(1) ただし、溶接線L上で溶接処理を進行させる向きのベク
トルをVaとし、この時の前記の角Θ(図1)の回転運
動の回転軸方向の単位ベクトル(以下、「回転軸ベクト
ル」と言う)をv=(λ,μ,ν)とする。
【0033】この時、この回転運動の回転軸ベクトルv
は、次式(2)により与えられる。
【数2】 v=k×Va/|k×Va| …(2) ただし、ここで、kはz軸方向の正の向き(鉛直方向上
向き)の単位ベクトルであり、記号「×」は2つのベク
トルの外積を表す演算子である。
【0034】この単位ベクトルvを回転軸ベクトルとす
る回転変換の変換行列R(v,Θ)は、次式(3)によ
り与えられる。
【数3】 R(v,Θ)=J1 + cosΘJ2 + sinΘJ3 …(3) ただし、ここで、Θは上記の回転角であり、J1
2 ,J3 は上記の回転軸ベクトルv(=(λ,μ,
ν))に基づいて、図5に示した通りに定義された行列
である。この様な回転変換行列R(v,Θ)を用いれ
ば、前記の位置姿勢の変換行列Mを容易に求めることが
できる。
【0035】以上のロボットの操作対象の位置姿勢及び
その変換に関する一般理論に基づいて、前記の上進下進
角変換機能を実現する本発明の手段(傾斜角の変換手
順、変換式などを含む)について、以下に例示する。
【0036】本実施例では、図6、図7に示す様に、ト
ーチTとワークWの両方を同時に移動させ、教示した位
置姿勢情報をロボットの各軸の状態を表すジョイント座
標系からワールド座標系に座標変換し、これにより、前
記の始点K[0]、及び終点K[1]におけるトーチT
とワークWの両方の各位置姿勢行列を前記の溶接線情報
記憶手段(図3のメモリ81)に記憶させて、溶接線に
関する情報の教示(ティーチング)を行う。
【0037】この教示作業においては、まず最初に、溶
接線Lの始点に対して、トーチTとワークWの位置姿勢
を決めた状態で、ティーチングボックス70の教示ボタ
ンを押す。これにより、ロボット制御装置100には、
9軸の各回転角ψ1〜ψ9が読み込まれ、随時記憶され
る。この各回転角ψ1〜ψ9により、ジョイント座標系
でのトーチTとワークWの位置姿勢が一意に表現され
る。溶接線Lの終点に対しても同様である。
【0038】この各回転角によるジョイント座標系での
トーチTとワークWの位置姿勢は、周知の解析的な方法
により、ワールド座標系におけるトーチTとワークWの
位置姿勢に変換される。以上の教示処理により、以下に
示すトーチTとワークWに関する4つの位置姿勢行列G
1,G2,T1,T2を得ることができる。
【0039】本実施例では、以下、次に示す記号を用い
る。 (主な記号の定義) OT … トーチロボット座標系の原点(不動点) OG … 治具ロボット座標系の原点(不動点) i … x軸方向の正の向きの単位ベクトル j … y軸方向の正の向きの単位ベクトル k … z軸方向の正の向き(鉛直方向上向き)の単位ベクトル g … 治具制御点(g1:始点教示時、g2:終点教示時)
【0040】 T1 … 溶接線Lの始点教示時の、トーチロボット座標系における トーチTの位置姿勢行列(トーチ先端を位置基準とする) G1 … 溶接線Lの始点教示時の、治具ロボット座標系における ワークWの位置姿勢行列(治具制御点を位置基準とする) Tg1 … T1を治具ロボット座標系に座標変換した位置姿勢行列 (Tg1≡Γ・T1, Tg1は治具ロボット座標系からみたトーチTの位置姿勢、 Γは座標変換を行うための4行×4列の位置姿勢変換行列)
【0041】 T2 … 溶接線Lの終点教示時の、トーチロボット座標系における トーチTの位置姿勢行列(トーチ先端を位置基準とする) G2 … 溶接線Lの終点教示時の、治具ロボット座標系における ワークWの位置姿勢行列(治具制御点を位置基準とする) Tg2 … T2を治具ロボット座標系に座標変換した位置姿勢行列 (Tg2≡Γ・T2, Tg2は治具ロボット座標系からみたトーチTの位置姿勢、 Γは座標変換を行うための4行×4列の位置姿勢変換行列)
【0042】本実施例においては、以下に示す様に、溶
接トーチTは溶接時においても、溶接線L教示時と全く
同じ動作を繰り返す。従って、指定された傾斜角αは、
治具ロボット側にて実現する。即ち、上記のG1、G2
を位置姿勢変換することにより、ワークW側の制御点の
溶接線L上の始点及び終点溶接時の新たなる位置姿勢G
1′、G2′をワーク上の溶接線Lが所望の傾きαを成
す様に決定することにより、本実施例における補正手段
(上進下進角変換機能)を実現する。
【0043】《1:ワーク固定座標系から見たトーチの
位置姿勢》図6は、本実施例における溶接線Lの始点教
示時のトーチの位置姿勢行列W1(前記のK[0]に対
応)の教示状態を例示する説明図である。
【0044】 (記号) (a1,b1,c1) … 始点教示時の治具制御点g1の 治具ロボット座標系における各座標 f1 … ワーク上に固定されたワーク固定座標系から見た Tg1(トーチの始点教示データ)の位置姿勢行列 f2 … ワーク上に固定されたワーク固定座標系から見た Tg2(トーチの終点教示データ)の位置姿勢行列
【0045】上記のティーチングにより、Tg1とG1
が既知であるため、4行×4列の位置姿勢変換行列f1
は、Tg1=G1・f1より、次式(4)で与えられ
る。
【数4】 f1=G1-1・Tg1=G1-1・(Γ・T1) …(4) ただし、G1-1はG1の逆行列であり、Γはトーチロボ
ット座標系から治具ロボット座標系に座標変換を行うた
めの4行×4列の位置姿勢変換行列である。
【0046】図7は、本実施例における溶接線Lの終点
教示時のトーチの位置姿勢行列W2(前記のK[1]に
対応)の教示状態を例示する説明図である。ここで、
(a2,b2,c2)は、終点教示時の治具制御点g2
の治具ロボット座標系における各座標である。
【0047】上記のティーチングにより、Tg2とG2
が既知であるため、4行×4列の位置姿勢変換行列f2
は、Tg2=G2・f2より、次式(5)で与えられ
る。
【数5】 f2=G2-1・Tg2=G2-1・(Γ・T2) …(5)
【0048】以上の様に求めたf1,f2は、ワーク固
定座標系におけるトーチの始点、及び終点における位置
姿勢行列であるため、これらは、ワークの位置姿勢と
は、無関係に独立に定まる行列である。
【0049】この様に、Tg1、G1、Tg2、及びG
2が教示されれば、式(4),(5)で求めたf1,f
2を用いることにより、以下に示す様に、始点教示状態
での位置姿勢行列W2(≡G1・f2)、及び、終点教
示状態での位置姿勢行列W1(≡G2・f1)を求める
ことが可能となる。
【0050】《2:ワークの位置姿勢行列(G1,G
2)に対する補正》 〔1〕G1(始点教示時のワークの位置姿勢行列)の補
正 以下、始点教示時のワークの位置姿勢行列G1に対し
て、本発明の手段にて求められる位置姿勢変換行列M1
を用いて位置姿勢変換を行うことにより、溶接線Lの始
点を溶接する際の治具ロボットの最初の位置姿勢を表す
4行×4列の位置姿勢行列G1′(補正後のG1)の値
を決定する方法について説明する。
【0051】始点K[0]の教示状態(図6)での溶接
線Lの終点W2の治具ロボット座標系における位置ベク
トルP2は、図4(a)での位置姿勢行列Qの位置ベク
トルPと同様に、次式(6)で表わされる「ワークの位
置姿勢を始点の位置姿勢に不変に保持した場合の溶接線
上の終点の位置姿勢行列W2」の位置ベクトルとして表
現することができる。
【数6】 W2=G1・f2 …(6) 以下、この位置姿勢行列W2の位置ベクトルP2の各軸
成分を次式(7)の様に記述する。
【数7】 P2=(W2x,W2y,W2z) …(7)
【0052】また、これと同様に、即ち、図4(a)の
一般式における位置姿勢行列Qに対する位置ベクトルP
の関係と同様に、始点の教示状態(図6)での治具ロボ
ット座標系におけるトーチTの始点W1での位置姿勢行
列Tg1の位置ベクトルをS1とし、このS1の各軸成
分を次式(8)により定義する。
【数8】 S1 =(Tg1x,Tg1y,Tg1z) …(8)
【0053】また、この時の溶接線ベクトル(溶接線L
上の溶接処理が進行する向きのベクトル)Va1の各軸
成分を次式(9)により定義する。
【数9】 Va1=(Va1x,Va1y,Va1z) …(9)
【0054】この時、「Va1=P2−S1」であるの
で、式(7),(8),(9)より次式(10)を得る。
【数10】 Va1x=W2x−Tg1x, Va1y=W2y−Tg1y, Va1z=W2z−Tg1z …(10)
【0055】図1に示す様に、終点K[1]の位置を
「Θ1=α−θ1」だけ回転移動させて、ワーク上の溶
接線Lの水平面と成す角θ1を指定された傾斜角度αに
物理的に一致させるための回転軸ベクトルをVr1=
(Vr1x,Vr1y,Vr1z)とすると、この回転
軸ベクトル(単位ベクトル)は、式(2)と同様に、
「Vr1=k×Va1/|k×Va1|」で与えられ
る。従って、次式(11)を得る。
【数11】 Vr1x=−Va1y/|k×Va1|, Vr1y= Va1x/|k×Va1|, Vr1z= 0 …(11)
【0056】溶接線Lが水平面と成す角をθ1、溶接線
Lがz軸(単位ベクトルk)と成す角をβ1とすると、
始点K[0]の回りの変換角度Θ1は、次式(12),
(13)により与えられる。
【数12】 β1= cos-1(Va1z/|Va1|) …(12)
【数13】 Θ1=α−θ1=α−(β1−π/2) …(13)
【0057】図8は、位置姿勢行列G1に対する補正
(物理的な座標変換)を行う位置姿勢変換行列M1を求
める際に用いられる座標変換行列の説明図である。ま
ず、本図8(a)に示す様に、Tg1の位置(位置ベク
トルS1の終点)を原点とし、トーチTの向き(鉛直方
向上向き)をz軸方向正の向き(即ち、単位ベクトルk
の向き)とし、Vr1の向きをy軸方向正の向き(即
ち、単位ベクトルjの向き)とし、Va1′(≡Vr1
×k)の向きをx軸方向正の向き(即ち、単位ベクトル
iの向き)とする座標系への、治具ロボット座標系から
の位置姿勢変換行列H1を構成する。
【0058】この位置姿勢変換行列H1を利用して、位
置姿勢変換行列M1を得るためには、溶接線Lの始点溶
接時のワークの位置姿勢を上記位置姿勢変換行列H1に
て変換し、更に、そのワークの位置姿勢をy軸(Vr
1)廻りにΘ1だけ回転し、その結果を元の座標系に戻
せば良い。即ち、求めるべき位置姿勢変換行列M1は、
次式(14)により与えられる。
【数14】 G1′≡M1・G1 =H1{R1(H1-1・G1)} =(H1・R1・H1-1)・G1 …(14)
【0059】ただし、左辺のG1′は、溶接線Lの始点
を溶接する際の治具ロボットの最初の位置姿勢(補正後
の値)を表す4行×4列の位置姿勢行列であり、本図8
(b)に示すR1は、変位ベクトルΔPが0ベクトルの
4行×4列の位置姿勢変換行列であり、本図8(c)に
示すR(j,Θ1)は、前記の式(3)でその一般式を
定義した、3行×3列の3次元回転変換行列である。
【0060】この様にして求められる位置姿勢行列G
1′で表現される位置姿勢を溶接線Lの始点を溶接する
際のワークの(従って、治具ロボット側の)最初の位置
姿勢とし、次に求める位置姿勢行列G2′により表現さ
れる位置姿勢を溶接線Lの終点を溶接する際のワークの
最後の位置姿勢とし、この2つの位置姿勢を偏り無く補
間しながら溶接することにより、ワーク上の溶接線Lと
水平面との間の角度を指定された傾斜角度αに保ったま
ま溶接線L上の溶接を実施することができる。ただし、
所定の補間演算処理により補間された溶接線L上の各点
を溶接する際のワークの位置姿勢行列は、所定の座標変
換処理により、ワールド座標系での値からジョイント座
標系での値に随時変換されるものとする。
【0061】〔2〕G2(終点教示時のワークの位置姿
勢行列)の補正 以下、終点教示時のワークの位置姿勢行列G2に対し
て、本発明の手段にて求められる位置姿勢変換行列M2
を用いて位置姿勢変換を行うことにより、溶接線Lの終
点を溶接する際の治具ロボットの最後の位置姿勢を表す
4行×4列の位置姿勢行列G2′(補正後のG2)の値
を決定する方法について説明する。
【0062】終点W2の教示状態(図7)での溶接線L
の始点W1の治具ロボット座標系における位置ベクトル
P1は、図4(a)での位置姿勢行列Qの位置ベクトル
Pと同様に、次式(15)で表わされる「ワークの位置姿
勢を終点の位置姿勢に不変に保持した場合の溶接線上の
始点の位置姿勢行列W1」の位置ベクトルとして表現す
ることができる。
【数15】 W1=G2・f1 …(15) 以下、この位置姿勢行列W1の位置ベクトルP1の各軸
成分を次式(16)の様に記述する。
【数16】 P1=(W1x,W1y,W1z) …(16)
【0063】また、これと同様に、即ち、図4(a)の
一般式における位置姿勢行列Qに対する位置ベクトルP
の関係と同様に、終点の教示状態(図7)での治具ロボ
ット座標系におけるトーチTの終点W2での位置姿勢行
列Tg2の位置ベクトルをS2とし、このS2の各軸成
分を次式(17)により定義する。
【数17】 S2 =(Tg2x,Tg2y,Tg2z) …(17)
【0064】また、この時の溶接線ベクトル(溶接線L
上の溶接処理が進行する向きのベクトル)Va2の各軸
成分を次式(18)により定義する。
【数18】 Va2=(Va2x,Va2y,Va2z) …(18)
【0065】この時、「Va2=P1−S2」であるの
で、式(16),(17),(18)より次式(19)を得る。
【数19】 Va2x=W1x−Tg2x, Va2y=W1y−Tg2y, Va2z=W1z−Tg2z …(19)
【0066】従って、図1に示す様に、始点K[0]の
位置を「Θ2=α−θ2」だけ回転移動させて、ワーク
上の溶接線Lの水平面と成す角θ2を指定された傾斜角
度αに物理的に一致させるための回転軸ベクトルをVr
2=(Vr2x,Vr2y,Vr2z)とすると、この
回転軸ベクトル(単位ベクトル)は、式(2)と同様
に、「Vr2=k×Va2/|k×Va2|」で与えら
れる。従って、次式(20)を得る。
【数20】 Vr2x= Va2y/|k×Va2|, Vr2y=−Va2x/|k×Va2|, Vr2z= 0 …(20)
【0067】溶接線Lが水平面と成す角をθ2、溶接線
Lがz軸(単位ベクトルk)と成す角をβ2とすると、
終点K[1]の回りの変換角度Θ2は、次式(21),
(22)により与えられる。
【数21】 β2= cos-1(Va2z/|Va2|) …(21)
【数22】 Θ2=α−θ2=α−(π/2−β2) …(22)
【0068】図9は、位置姿勢行列G2に対する補正
(物理的な座標変換)を行う位置姿勢変換行列M2を求
める際に用いられる座標変換行列の説明図である。ま
ず、本図9(a)に示す様に、Tg2の位置(位置ベク
トルS2の始点)を原点とし、トーチTの向き(鉛直方
向上向き)をz軸方向正の向き(即ち、単位ベクトルk
の向き)とし、Vr2の向きをx軸方向正の向き(即
ち、単位ベクトルiの向き)とし、Va2′(≡k×V
r2)の向きをy軸方向正の向き(即ち、単位ベクトル
jの向き)とする座標系への、治具ロボット座標系から
の位置姿勢変換行列H2を構成する。
【0069】この位置姿勢変換行列H2を利用して、位
置姿勢変換行列M2を得るためには、溶接線Lの始点溶
接時のワークの位置姿勢を上記位置姿勢変換行列H2に
て変換し、更に、そのワークの位置姿勢をx軸(Vr
2)廻りにΘ2だけ回転し、その結果を元の座標系に戻
せば良い。即ち、求めるべき位置姿勢変換行列M2は、
次式(23)により与えられる。
【数23】 G2′≡M2・G2 =H2{R2(H2-1・G2)} =(H2・R2・H2-1)・G2 …(23)
【0070】ただし、左辺のG2′は、溶接線Lの終点
を溶接する際の治具ロボットの最後の位置姿勢(補正後
の値)を表す4行×4列の位置姿勢行列であり、本図9
(b)に示すR2は、変位ベクトルΔPが0ベクトルの
4行×4列の位置姿勢変換行列であり、本図9(c)に
示すR(i,Θ2)は、前記の式(3)でその一般式を
定義した、3行×3列の3次元回転変換行列である。
【0071】この様にして求められる位置姿勢行列G
2′で表現される位置姿勢を溶接線Lの終点を溶接する
際のワークの(従って、治具ロボット側の)最後の位置
姿勢とし、先に求めた位置姿勢行列G1′により表現さ
れる位置姿勢を溶接線Lの始点を溶接する際のワークの
最初の位置姿勢とし、この2つの位置姿勢を偏り無く補
間しながら溶接することにより、ワーク上の溶接線Lと
水平面との間の角度を指定された傾斜角度αに保ったま
ま溶接線L上の溶接を実施することができる。
【0072】〔3〕実際の補正手順 以上の様にして求められたG1′,G2′を用いること
により、本発明の補正手段(上進下進角変換機能)を実
現することができる。図10、図11は、本実施例にお
ける補正手段(上進下進角変換機能)を実現するフロー
チャート(前半、及び、後半)であり、これは溶接用ロ
ボット制御装置100により実行されるものである。
【0073】本フローチャートでは、まず、最初にステ
ップ1005〜1035により、教示処理を実行する。
即ち、ステップ1005では、図1に示すトーチTの先
端(制御点)と溶接線Lの始点K[0]とが一致した状
態におけるシステム(3軸トーチロボット、及び、6軸
治具ロボット)のジョイント座標(回転角ψ1〜ψ9)
を入力する。
【0074】次に、ステップ1015では、ワールド座
標系の始点K[0]における、トーチTの位置姿勢行列
T1と、ワークWの位置姿勢行列G1とを上記のジョイ
ント座標より、所定の解析的な変換処理により求める。
【0075】また、ステップ1025では、トーチTの
先端(制御点)と溶接線Lの終点K[1]とが一致した
状態におけるシステム(3軸トーチロボット、及び、6
軸治具ロボット)のジョイント座標(回転角ψ1〜ψ
9)を入力する。
【0076】次に、ステップ1035では、ワールド座
標系の終点K[1]における、トーチTの位置姿勢行列
T2と、ワークWの位置姿勢行列G2とを上記のジョイ
ント座標より、所定の解析的な変換処理により求める。
【0077】即ち、以上のステップにより、始点K
[0]に関する位置姿勢教示情報として、始点K[0]
における溶接トーチTの位置姿勢行列T1とワークWの
位置姿勢行列G1とを溶接線情報記憶手段(図3のメモ
リ81)に記憶し、更に、終点K[1]に関する位置姿
勢教示情報として、終点K[1]における溶接トーチT
の位置姿勢行列T2とワークWの位置姿勢行列G2とを
溶接線情報記憶手段(図3のメモリ81)に記憶する。
【0078】更に、本フローチャートでは、ステップ1
045〜1095において、G1の補正処理を行う。即
ち、ステップ1045では、前記の式(5)により、ワ
ークW上に固定されたワーク座標系から見た終点K
[1]におけるトーチTの位置姿勢行列f2を位置姿勢
行列Tg2より求める。
【0079】次に、ステップ1055では、式(6)、
(7)により、治具ロボット座標系における終点K
[1]の位置ベクトルP2を求める。ステップ1065
では、式(10)により、治具ロボット座標系における
始点教示時の溶接線ベクトルVa1を求める。ステップ
1075では、式(11)により、位置姿勢行列G1を
補正する回転運動(回転変換)の回転軸ベクトルVr1
を求める。
【0080】ステップ1085では、式(12),(1
3)により、位置姿勢行列G1を補正する回転運動(回
転変換)の回転角Θ1を求める。ステップ1095で
は、式(14)により、位置姿勢行列G1を補正する位
置姿勢変換行列M1と、G1の補正(変換)後のワーク
Wの位置姿勢行列G1′を求める。
【0081】更に、本フローチャートでは、ステップ1
110〜1160において、G2の補正処理を行う。即
ち、ステップ1110では、前記の式(4)により、ワ
ークW上に固定されたワーク座標系から見た始点K
[0]におけるトーチTの位置姿勢行列f1を位置姿勢
行列Tg1より求める。
【0082】次に、ステップ1120では、式(15)、
(16)により、治具ロボット座標系における始点K
[0]の位置ベクトルP1を求める。ステップ1130
では、式(19)により、治具ロボット座標系における終
点教示時の溶接線ベクトルVa2を求める。ステップ1
140では、式(20)により、位置姿勢行列G2を補正
する回転運動(回転変換)の回転軸ベクトルVr2を求
める。
【0083】ステップ1150では、式(21),(22)
により、位置姿勢行列G2を補正する回転運動(回転変
換)の回転角Θ2を求める。ステップ1160では、式
(23)により、位置姿勢行列G2を補正する位置姿勢変
換行列M2と、G2の補正(変換)後のワークWの位置
姿勢行列G2′を求める。
【0084】ステップ1170では、ワークWの位置姿
勢について、G1′からG2′までの間の各位置姿勢を
所定の補間演算処理により求める。ステップ1180で
は、この補間後の各位置姿勢行列をワールド座標からジ
ョイント座標に変換する。ステップ1190では、ジョ
イント座標に変換されたこの補間後の各位置姿勢に従っ
て、溶接線Lを始点から終点まで溶接する。
【0085】以上の様な補正手段(上進下進角変換機
能)によれば、上記G1′,G2′により決定される溶
接線Lの溶接時の水平面との成す角度γは、教示(ティ
ーチング)を実施した時点での溶接線Lの水平面に対す
る角度θとは無関係に、指定された傾斜角度αに物理的
に変更(補正)される。
【0086】この様に、溶接線が水平面と成す角θ(θ
1,θ2)を指定された傾斜角度αに物理的に一致させ
るための本発明の補正手段を用いることにより、溶接線
の水平面に対する角度は、自動的に最適化又は好適化す
ることが可能となる。これにより、溶接品質を確保する
ための溶接線の始点又は終点の再設定、及び再教示の作
業が自動化され、ワークとトーチの角度が簡単に、最適
又は好適な角度に設定できるため、従来よりも作業時間
が大幅に短縮される。
【0087】尚、上記の実施例では、溶接線L(の始点
と終点)を教示する際の、トーチT、及びワークWの位
置姿勢に対する制約については、「トーチTの先端(ト
ーチ制御点)と、ワークW上の溶接線Lの始点(又は、
終点)とを合致させる」と言うこと以外、特に何も要請
していない。即ち、本発明の手段は、上記の教示を行う
際のトーチT及びワークWの位置姿勢に対して特段の制
約を要請するものではなく、従って、一般に、上記の溶
接線L(の始点と終点)の教示は、「トーチTのみを
移動させる方法」により行っても有効であり、「ワー
クWのみを移動させる方法」により行っても有効であ
り、また、「トーチTとワークWの両方を移動させる
方法」により行っても有効である。
【0088】また、上記の実施例においては、簡単のた
め、溶接線Lの始点及び終点を補正の回転変換における
回転中心点としたが、この回転中心点としては、治具ロ
ボット座標系における任意の1点を選択することが可能
である。特に、1点をこれらの回転変換における回転中
心点として選択した場合には、この1点の回りの回転角
として、前記の回転角Θ1,Θ2を定義することも可能
である。従って、例えば、原点OG 等の1点にこの回転
中心点を常時設ければ、これにより、前記の補正の位置
姿勢変換行列の記述を統一的に行うことも可能となる。
【0089】《3:トーチ動作を溶接時に変更する場
合》上記の実施例においては、溶接トーチTは溶接時に
おいても、溶接線L教示時と全く同じ動作を繰り返すこ
とが前提となっていた。即ち、上記の実施例において
は、トーチTの始点と終点とは、教示実施時のままであ
った。しかしながら、本発明の手段は、トーチ動作を溶
接時に教示実施時の動作(位置姿勢)から変更する場合
にも、以下に示す様に有効である。
【0090】一般に、トーチTの溶接実施時の治具ロボ
ット座標系における溶接動作の始点での位置姿勢行列を
tg1、終点での位置姿勢行列をtg2とする。この
時、上記の実施例における溶接線教示時のトーチTの治
具ロボット座標系における位置姿勢行列Tg1,Tg2
を用いれば、次式(24)に示す関係が得られる。
【数24】 tg1=Λ1・Tg1, tg2=Λ2・Tg2 …(24) ただし、ここで、Λ1、Λ2は、式(24)を満たす4行×
4列の位置姿勢変換行列である。
【0091】この様な位置姿勢変換行列Λ1、Λ2を用
い、前記の実施例で求めたG1′、G2′を更に、次式
(25)に示すG1″、G2″に変更(変換)し、このG
1″、G2″を、図11の溶接処理(ステップ1170
〜1190)において、G1′、G2′の代わりに用い
れば、溶接時のトーチ動作を教示時のトーチ動作(位置
姿勢)から変更する場合にも、上記の実施例と同等の作
用・効果を得ることができる。
【数25】 G1″=Λ1・G1′=(tg1・Tg1-1)・G1′, G2″=Λ2・G2′=(tg2・Tg2-1)・G2′ …(25)
【0092】従って、例えば、溶接時にトーチTの位置
姿勢を最初から最後までTg1に固定する場合には、t
g1=tg2=Tg1であるので、図11の溶接処理
(ステップ1170〜1190)においてG1′、G
2′の代わりに、式(14)、(23)、(25)より導かれる次式
(26)のG1″、G2″を用いれば、前記の実施例と同
等の作用・効果を得ることができる。
【数26】 G1″=G1′=M1・G1, G2″=Λ2・G2′=Tg1・Tg2-1・M2・G2 …(26)
【0093】また、本発明の手段によれば、溶接線が多
数連接された複雑な溶接作業においても、全ての溶接線
に対してそれぞれ、自動的かつ連続的に上記の再設定及
び再教示の作業が実施できるので、本発明は、溶接線が
多数連接された複雑な溶接作業において、特に大きな効
果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補正手段(上進下進角変換機能)の変
換動作を例示する説明図。
【図2】本発明の実施例における溶接用ロボット制御装
置を搭載した9軸協調型溶接用ロボットの斜視図。
【図3】本発明の実施例における溶接用ロボット制御装
置100を中心としたロボット制御機構のハードウェア
構成図。
【図4】本発明の実施例に係わる、溶接用ロボットの操
作対象の位置姿勢の変換式を例示する説明図。
【図5】本発明の実施例に係わる回転変換行列R(w,
Θ)の構成を例示する説明図。
【図6】本発明の実施例における溶接線Lの始点K
[0]の教示状態を例示する説明図。
【図7】本発明の実施例における溶接線Lの終点教示時
のトーチの位置姿勢行列W2の教示状態を例示する説明
図。
【図8】位置姿勢行列G1に対する補正(物理的な座標
変換)を行うための位置姿勢変換行列M1を求める際に
用いられる座標変換行列の説明図。
【図9】位置姿勢行列G2に対する補正(物理的な座標
変換)を行うための位置姿勢変換行列M2を求める際に
用いられる座標変換行列の説明図。
【図10】本発明の実施例における補正手段(上進下進
角変換機能)を実現するフローチャート(前半)。
【図11】本発明の実施例における補正手段(上進下進
角変換機能)を実現するフローチャート(後半)。
【符号の説明】
1 … ロボット本体 2 … 溶接電源 100 … 溶接用ロボット制御装置 T … 溶接トーチ W … ワーク L … 溶接線 OT … トーチロボット座標系の原点(不動点) OG … 治具ロボット座標系の原点(不動点) i … x軸方向の正の向きの単位ベクトル j … y軸方向の正の向きの単位ベクトル k … z軸方向の正の向きの単位ベクトル(鉛直
方向上向き) g … 治具制御点(g1:始点教示時、g2:終
点教示時) T1 … 溶接線Lの始点教示時の、トーチロボット
座標系におけるトーチの位置姿勢行列(トーチ先端を位
置基準とする) G1 … 溶接線Lの始点教示時の、治具ロボット座
標系におけるワークの位置姿勢行列(治具制御点を位置
基準とする) Tg1 … T1を治具ロボット座標系に座標変換した
位置姿勢行列 T2 … 溶接線Lの終点教示時の、トーチロボット
座標系におけるトーチの位置姿勢行列(トーチ先端を位
置基準とする) G2 … 溶接線Lの終点教示時の、治具ロボット座
標系におけるワークの位置姿勢行列(治具制御点を位置
基準とする) Tg2 … T2を治具ロボット座標系に座標変換した
位置姿勢行列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板谷 敏郎 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 山本 吉二 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 小山 伸二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 竹内 雅彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3F059 AA05 BA02 BA10 BB01 DD01 FA01 FA08 FB05 FB15 FC01 FC03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワーク上の始点と終点の位置座標等の、
    ワーク、工具、又はロボットの位置姿勢に関する教示デ
    ータに基づいて、前記始点と前記終点とを結ぶ線分を溶
    接線とした溶接の動作を制御するロボット制御装置にお
    いて、 前記始点及び前記終点の各教示データを各教示実施時の
    溶接トーチの教示データとワークの教示データとで記憶
    する溶接線情報記憶手段と、 前記始点及び前記終点の前記教示データから前記溶接線
    の傾きを求め、この傾きが指定された傾斜になる様に、
    前記ワークの位置姿勢に対する補正量を求める補正量演
    算手段と、 前記補正量演算手段により、求められた補正量に基づい
    て、前記始点、又は、前記終点の位置姿勢に関するデー
    タを補正する補正手段と、 前記補正手段を用いることにより位置姿勢が補正された
    前記ワーク上の前記始点及び前記終点の間を補間するこ
    とにより前記溶接線を溶接する補間溶接手段とを備えた
    ことを特徴とする溶接用ロボット制御装置。
  2. 【請求項2】 前記傾斜の具体的な大きさをワールド座
    標系における鉛直線、又は、水平面と前記溶接線とが成
    す傾斜角度αで規定し、この傾斜角度αの指定を個々の
    目的の溶接線単位に受け付ける傾斜角度指定手段を備え
    たことを特徴とする請求項1に記載の溶接用ロボット制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記補正量演算手段は、前記始点、前記
    終点、又は、任意の1点を回転中心点として前記補正量
    を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の溶接用ロボット制御装置。
  4. 【請求項4】 前記補正量演算手段は、前記補正量によ
    って与えられる、前記回転中心点の回りの回転変換の回
    転軸方向を前記トーチの方向ベクトル又は鉛直方向ベク
    トルと、 前記溶接線の方向ベクトルとの外積を用いて演算するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の溶接用ロボット制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記補正量は、3次元空間における位置
    変位ベクトルΔPを構成する3成分と、 3次元空間における3行×3列の回転変換行列Rを構成
    する9成分との計12成分を含む、4行×4列の位置姿
    勢変換行列Mにより表現されることを特徴とする請求項
    1乃至請求項4の何れか1項に記載の溶接用ロボット制
    御装置。
  6. 【請求項6】 前記溶接線上における前記溶接を前記ワ
    ークを移動させることにより実施することを特徴とする
    請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の溶接用ロボ
    ット制御装置。
  7. 【請求項7】 前記溶接線上における前記溶接を前記ト
    ーチを移動させることにより実施することを特徴とする
    請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の溶接用ロボ
    ット制御装置。
  8. 【請求項8】 前記終点を前記溶接線とは別の次回溶接
    線の始点とし、前記次回溶接線に対して引き続き継続し
    て前記補正手段を用いた前記溶接を実施することを特徴
    とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の溶接
    用ロボット制御装置。
  9. 【請求項9】 前記傾斜角度αが各々規定され、順次連
    接された複数の前記溶接線又は前記次回溶接線に対し
    て、 連続的に前記補正手段を用いた前記溶接を実施すること
    を特徴とする請求項8に記載の溶接用ロボット制御装
    置。
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