JP2001096315A - 拡管加工性に優れた溶接鋼管 - Google Patents
拡管加工性に優れた溶接鋼管Info
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- JP2001096315A JP2001096315A JP27260099A JP27260099A JP2001096315A JP 2001096315 A JP2001096315 A JP 2001096315A JP 27260099 A JP27260099 A JP 27260099A JP 27260099 A JP27260099 A JP 27260099A JP 2001096315 A JP2001096315 A JP 2001096315A
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Abstract
(57)【要約】
【課 題】 冷延鋼板素材を用いた電縫溶接法で連続造
管でき、熱処理の必要もない拡管加工性に優れた溶接鋼
管を提供する。 【解決手段】 金型内に装着した管に内圧および軸押し
力を加えて管周方向に伸びを付与する拡管加工の素管と
される溶接鋼管であって、管軸方向の降伏強さと管周方
向の降伏強さの比(軸周YS比)YSPL/YSPC、管軸
方向の引張強さと管周方向の引張強さの比(軸周TS
比)TSPL/TSPCの少なくともいずれか一方が1.05以
上である溶接鋼管。
管でき、熱処理の必要もない拡管加工性に優れた溶接鋼
管を提供する。 【解決手段】 金型内に装着した管に内圧および軸押し
力を加えて管周方向に伸びを付与する拡管加工の素管と
される溶接鋼管であって、管軸方向の降伏強さと管周方
向の降伏強さの比(軸周YS比)YSPL/YSPC、管軸
方向の引張強さと管周方向の引張強さの比(軸周TS
比)TSPL/TSPCの少なくともいずれか一方が1.05以
上である溶接鋼管。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拡管加工性に優れ
た溶接鋼管に関し、とくに、金型内に装着した管に内圧
および軸押し力を加えて管周方向に伸びを付与する拡管
加工用の素管として好適な拡管加工性に優れた溶接鋼管
に関する。
た溶接鋼管に関し、とくに、金型内に装着した管に内圧
および軸押し力を加えて管周方向に伸びを付与する拡管
加工用の素管として好適な拡管加工性に優れた溶接鋼管
に関する。
【0002】
【従来の技術】サスペンションアーム等の自動車足回り
部品、フレーム等の自動車構造部品等々において、鋼管
等の金属管を拡管加工の一種であるハイドロフォーム加
工により成形した製品が採用されはじめている。ハイド
ロフォーム加工法は、金属管を金型に入れ、金属管内に
液を導入して内圧をかけ、管軸方向の圧縮荷重(軸押し
力)をかけて押し込みつつ所定の形状に加工する方法で
ある。得られた成形品は軽量で、しかも複雑な形状のも
のまで成形可能である。
部品、フレーム等の自動車構造部品等々において、鋼管
等の金属管を拡管加工の一種であるハイドロフォーム加
工により成形した製品が採用されはじめている。ハイド
ロフォーム加工法は、金属管を金型に入れ、金属管内に
液を導入して内圧をかけ、管軸方向の圧縮荷重(軸押し
力)をかけて押し込みつつ所定の形状に加工する方法で
ある。得られた成形品は軽量で、しかも複雑な形状のも
のまで成形可能である。
【0003】管軸方向に押し込まず内圧のみで加工する
バルジ加工においては、素管(素材金属管)として、軟
質材料、n値(加工硬化指数)の高い材料、r値(ラン
クフォード値)の高い材料を選択すべきであることが知
られている。これに対し、上記のように管内に内圧をか
け管軸方向に押し込みつつ加工する拡管加工に関して
は、素管の材質面について、高伸びを有する材料がよい
ことが知られている程度であったが、近年、この拡管加
工により適応した材質の素管が提案されるようになっ
た。
バルジ加工においては、素管(素材金属管)として、軟
質材料、n値(加工硬化指数)の高い材料、r値(ラン
クフォード値)の高い材料を選択すべきであることが知
られている。これに対し、上記のように管内に内圧をか
け管軸方向に押し込みつつ加工する拡管加工に関して
は、素管の材質面について、高伸びを有する材料がよい
ことが知られている程度であったが、近年、この拡管加
工により適応した材質の素管が提案されるようになっ
た。
【0004】例えば、特開平10−175027号公報には、管
軸方向のr値が管周方向のr値よりも大であることを特
徴とするハイドロフォーム用金属管が開示されている。
また、特開平10−176220号公報には、特定組成の電縫鋼
管を冷間加工により薄肉管とし特定条件の熱処理を施す
ことを特徴とするハイドロフォーム加工性に優れた高強
度鋼管の製造方法が開示されている。
軸方向のr値が管周方向のr値よりも大であることを特
徴とするハイドロフォーム用金属管が開示されている。
また、特開平10−176220号公報には、特定組成の電縫鋼
管を冷間加工により薄肉管とし特定条件の熱処理を施す
ことを特徴とするハイドロフォーム加工性に優れた高強
度鋼管の製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、管軸方向のr
値が管周方向のr値よりも大なる金属管は、冷延鋼板素
材を用いた電縫溶接法での連続造管が困難であり、量産
できない問題がある。というのは、かかる金属管を電縫
溶接法で連続造管するには、造管軸方向に対応させるべ
き圧延長さ方向(L方向)のr値が圧延幅方向(C方
向)のr値よりも大きくなければならないが、一般に冷
延鋼板ではその逆すなわちL方向のr値がC方向のr値
よりも小さいものが多いからである。
値が管周方向のr値よりも大なる金属管は、冷延鋼板素
材を用いた電縫溶接法での連続造管が困難であり、量産
できない問題がある。というのは、かかる金属管を電縫
溶接法で連続造管するには、造管軸方向に対応させるべ
き圧延長さ方向(L方向)のr値が圧延幅方向(C方
向)のr値よりも大きくなければならないが、一般に冷
延鋼板ではその逆すなわちL方向のr値がC方向のr値
よりも小さいものが多いからである。
【0006】また、冷間加工した薄肉管に熱処理を施し
て優れた拡管加工性を付与する方法は、熱処理工程付加
を必要とするのでコストアップの問題がある。本発明
は、これら従来技術の問題を解決し、熱延又は冷延鋼板
素材を用いた電縫溶接法で連続造管でき、熱処理の必要
もない拡管加工性に優れた溶接鋼管を提供することを目
的とする。
て優れた拡管加工性を付与する方法は、熱処理工程付加
を必要とするのでコストアップの問題がある。本発明
は、これら従来技術の問題を解決し、熱延又は冷延鋼板
素材を用いた電縫溶接法で連続造管でき、熱処理の必要
もない拡管加工性に優れた溶接鋼管を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するために鋭意考究を重ねた結果、管軸方向の材
料強度が管周方向の材料強度よりも大きいと、管軸方向
に押し込みながら拡管加工する際に材料が座屈しにく
く、限界拡管率が向上すること、および、かかる材料特
性を有する鋼管は、熱延又は冷延鋼板素材を用いて電縫
溶接造管工程と定径圧延工程を順次連続して行うだけで
特に熱処理の付加を要しないプロセスによる製造が可能
であることを知見し、本発明をなすに至った。
を達成するために鋭意考究を重ねた結果、管軸方向の材
料強度が管周方向の材料強度よりも大きいと、管軸方向
に押し込みながら拡管加工する際に材料が座屈しにく
く、限界拡管率が向上すること、および、かかる材料特
性を有する鋼管は、熱延又は冷延鋼板素材を用いて電縫
溶接造管工程と定径圧延工程を順次連続して行うだけで
特に熱処理の付加を要しないプロセスによる製造が可能
であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】すなわち、本発明は、以下に記載の拡管加
工性に優れた溶接鋼管である。金型内に装着した管に内
圧および軸押し力を加えて管周方向に伸びを付与する拡
管加工の素管とされる溶接鋼管であって、管軸方向の降
伏強さと管周方向の降伏強さの比(軸周YS比)YSPL
/YSPC、管軸方向の引張強さと管周方向の引張強さの
比(軸周TS比)TSPL/TSPCの少なくともいずれか
一方が1.05以上であることを特徴とする拡管加工性に優
れた溶接鋼管。
工性に優れた溶接鋼管である。金型内に装着した管に内
圧および軸押し力を加えて管周方向に伸びを付与する拡
管加工の素管とされる溶接鋼管であって、管軸方向の降
伏強さと管周方向の降伏強さの比(軸周YS比)YSPL
/YSPC、管軸方向の引張強さと管周方向の引張強さの
比(軸周TS比)TSPL/TSPCの少なくともいずれか
一方が1.05以上であることを特徴とする拡管加工性に優
れた溶接鋼管。
【0009】本発明では、YSPL/YSPC、TSPL/T
SPCの少なくともいずれか一方は1.25以下であることが
好ましい。なお前記溶接鋼管は、帯板を円弧状に曲げ、
次いでフィンパスロール群によりオープンパイプ状に成
形し、その突き合わせ部を電縫溶接し、さらに、サイザ
ーロール群により定径圧延を行って所定の寸法に仕上げ
る際に、フィンパスロール群による加工とサイザーロー
ル群による加工の管周方向のリダクションの和を4.5 〜
7%とすることにより製造可能である。
SPCの少なくともいずれか一方は1.25以下であることが
好ましい。なお前記溶接鋼管は、帯板を円弧状に曲げ、
次いでフィンパスロール群によりオープンパイプ状に成
形し、その突き合わせ部を電縫溶接し、さらに、サイザ
ーロール群により定径圧延を行って所定の寸法に仕上げ
る際に、フィンパスロール群による加工とサイザーロー
ル群による加工の管周方向のリダクションの和を4.5 〜
7%とすることにより製造可能である。
【0010】前記リダクションの和は、4.6 〜6.8 %が
より好ましい。
より好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、ハイドロフォーミ
ングによる拡管加工試験方法により、図4に定義を示す
管軸方向、管周方向の材料強度(降伏強さYSPL、YS
PC、引張強さTSPL、TSPC)の種々異なる溶接鋼管の
拡管加工試験を行い、拡管加工性と材料強度の関係を調
査した。以下YSPL/YSPCを「軸周YS比」、TSPL
/TS PCを「軸周TS比」と定義する。ハイドロフォー
ミングによる拡管加工試験は、図5に示すように、試験
材としての管1を金型2(a,bは上,下)に入れて一
方の軸押しヘッド3の通水路(他方はバルブ閉7として
いる)からの高圧送水4により管1内に高圧水5を圧入
して管周方向に伸びを与えると共に、軸押しヘッド3に
より管軸方向に軸押し込み6(圧縮)を行うものであ
る。
ングによる拡管加工試験方法により、図4に定義を示す
管軸方向、管周方向の材料強度(降伏強さYSPL、YS
PC、引張強さTSPL、TSPC)の種々異なる溶接鋼管の
拡管加工試験を行い、拡管加工性と材料強度の関係を調
査した。以下YSPL/YSPCを「軸周YS比」、TSPL
/TS PCを「軸周TS比」と定義する。ハイドロフォー
ミングによる拡管加工試験は、図5に示すように、試験
材としての管1を金型2(a,bは上,下)に入れて一
方の軸押しヘッド3の通水路(他方はバルブ閉7として
いる)からの高圧送水4により管1内に高圧水5を圧入
して管周方向に伸びを与えると共に、軸押しヘッド3に
より管軸方向に軸押し込み6(圧縮)を行うものであ
る。
【0012】拡管加工性は、図6に示すように、内圧負
荷途上の亀裂発生時点での拡管率すなわち限界拡管率
と、軸押し込み負荷途上の座屈発生時点での押し込み量
すなわち座屈限界軸押し込み量とにより評価した。な
お、図6において(a)は座屈を伴わないモード、
(b)は座屈を伴ったモードであり、限界拡管率は亀裂
発生時点での拡管率、座屈限界軸押し込み量は(a)モ
ードから(b)モードに現象が変わるときの軸押し込み
量である。
荷途上の亀裂発生時点での拡管率すなわち限界拡管率
と、軸押し込み負荷途上の座屈発生時点での押し込み量
すなわち座屈限界軸押し込み量とにより評価した。な
お、図6において(a)は座屈を伴わないモード、
(b)は座屈を伴ったモードであり、限界拡管率は亀裂
発生時点での拡管率、座屈限界軸押し込み量は(a)モ
ードから(b)モードに現象が変わるときの軸押し込み
量である。
【0013】図1は、前記調査結果の第1例として、外
径63.5mm×肉厚2.0mm のJIS STKM11A相当溶
接鋼管の軸周YS比(YSPL/YSPC)と限界拡管率
(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を示すグラ
フである。同図に示すように、拡管加工性(限界拡管
率、座屈限界軸押し込み量)は、軸周YS比とともに増
加する傾向にあるが、とくに軸周YS比1.03付近からそ
のレベルが急上昇し、軸周YS比1.07付近で上昇傾向が
緩和する。よって、拡管加工性が急上昇する軸周YS比
範囲1.03〜1.07の中心1.05を下限点としこれ以上の軸周
YS比を有する鋼管を拡管加工用素管とすることによ
り、該素管は拡管加工性に優れたものとなる。なお、下
限点を急上昇終端での軸周YS比1.07とすれば、素管の
拡管加工性はさらに優れたものとなる。
径63.5mm×肉厚2.0mm のJIS STKM11A相当溶
接鋼管の軸周YS比(YSPL/YSPC)と限界拡管率
(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を示すグラ
フである。同図に示すように、拡管加工性(限界拡管
率、座屈限界軸押し込み量)は、軸周YS比とともに増
加する傾向にあるが、とくに軸周YS比1.03付近からそ
のレベルが急上昇し、軸周YS比1.07付近で上昇傾向が
緩和する。よって、拡管加工性が急上昇する軸周YS比
範囲1.03〜1.07の中心1.05を下限点としこれ以上の軸周
YS比を有する鋼管を拡管加工用素管とすることによ
り、該素管は拡管加工性に優れたものとなる。なお、下
限点を急上昇終端での軸周YS比1.07とすれば、素管の
拡管加工性はさらに優れたものとなる。
【0014】図2は、前記調査結果の第2例として、外
径63.5mm×肉厚2.0mm のJIS STKM11A相当溶
接鋼管の軸周TS比(TSPL/TSPC)と限界拡管率
(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を示すグラ
フである。同図に示すように、拡管加工性(限界拡管
率、座屈限界軸押し込み量)は、軸周TS比とともに増
加する傾向にあるが、よって、拡管加工性が急上昇する
軸周TS比範囲1.03〜1.07の中心値1.05を下限点としこ
れ以上の軸周TS比を有する鋼管を拡管加工用素管とす
ることにより、該素管は拡管加工性に優れたものとな
る。なお、下限点を急上昇終端での軸周TS比1.07とす
れば、素管の拡管加工性はさらに優れたものとなる。
径63.5mm×肉厚2.0mm のJIS STKM11A相当溶
接鋼管の軸周TS比(TSPL/TSPC)と限界拡管率
(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を示すグラ
フである。同図に示すように、拡管加工性(限界拡管
率、座屈限界軸押し込み量)は、軸周TS比とともに増
加する傾向にあるが、よって、拡管加工性が急上昇する
軸周TS比範囲1.03〜1.07の中心値1.05を下限点としこ
れ以上の軸周TS比を有する鋼管を拡管加工用素管とす
ることにより、該素管は拡管加工性に優れたものとな
る。なお、下限点を急上昇終端での軸周TS比1.07とす
れば、素管の拡管加工性はさらに優れたものとなる。
【0015】よって本発明では、軸周YS比、軸周TS
比の少なくともいずれか一方が1.05以上と規定した。な
お、より好ましくは1.07以上である。なお、拡管加工に
おいて管に内圧をかける手段としては、図5に示したよ
うに高圧の液体が一般的であるが、本発明に係る溶接鋼
管は、管に内圧をかける手段が液体以外の例えば弾性体
または剛的工具であっても、優れた拡管加工性を示すこ
とは自明である。
比の少なくともいずれか一方が1.05以上と規定した。な
お、より好ましくは1.07以上である。なお、拡管加工に
おいて管に内圧をかける手段としては、図5に示したよ
うに高圧の液体が一般的であるが、本発明に係る溶接鋼
管は、管に内圧をかける手段が液体以外の例えば弾性体
または剛的工具であっても、優れた拡管加工性を示すこ
とは自明である。
【0016】ところで、図1、図2に示されるように拡
管加工性は軸周YS比あるいは軸周TS比とともに向上
するので、拡管加工性の面からは軸周YS比、軸周TS
比の上限はとくに限定されない。しかしながら、実際の
溶接鋼管に認められる軸方向強度の上限を考慮すると、
軸周YS比、軸周TS比の両方が1.25を超えるような鋼
管では、拡管加工製品(部品)の周方向強度が低下し、
強度部材としての適用が困難となる。そのため、軸周Y
S比、軸周TS比の少なくともいずれか一方は1.25以下
であることが好ましい。
管加工性は軸周YS比あるいは軸周TS比とともに向上
するので、拡管加工性の面からは軸周YS比、軸周TS
比の上限はとくに限定されない。しかしながら、実際の
溶接鋼管に認められる軸方向強度の上限を考慮すると、
軸周YS比、軸周TS比の両方が1.25を超えるような鋼
管では、拡管加工製品(部品)の周方向強度が低下し、
強度部材としての適用が困難となる。そのため、軸周Y
S比、軸周TS比の少なくともいずれか一方は1.25以下
であることが好ましい。
【0017】本発明の鋼管は、例えば図7に示すような
電縫鋼管製造設備を用いて好ましく製造される溶接鋼管
である。この設備は、帯板(冷延鋼板)を、ブレイクダ
ウンロール群10、次いでクラスターロール群11により円
弧状に曲げ、次いでフィンパスロール群12によりオープ
ンパイプ状に成形し、その突き合わせ部を溶接機13およ
びスクイズロール14により電縫溶接し、引き続きサイザ
ーロール群15により定径圧延を行って所定の寸法に仕上
げるように構成されている。溶接機13は直接通電加熱式
または誘導加熱式のいずれでもよい。なお、ブレイクダ
ウンロール群からスクイズロールまでとサイザーロール
群とが不連続的に配置された設備を用いる場合には、電
縫溶接までを連続的に行い定径圧延はバッチ的に行う方
法で本発明の鋼管を製造してもよい。
電縫鋼管製造設備を用いて好ましく製造される溶接鋼管
である。この設備は、帯板(冷延鋼板)を、ブレイクダ
ウンロール群10、次いでクラスターロール群11により円
弧状に曲げ、次いでフィンパスロール群12によりオープ
ンパイプ状に成形し、その突き合わせ部を溶接機13およ
びスクイズロール14により電縫溶接し、引き続きサイザ
ーロール群15により定径圧延を行って所定の寸法に仕上
げるように構成されている。溶接機13は直接通電加熱式
または誘導加熱式のいずれでもよい。なお、ブレイクダ
ウンロール群からスクイズロールまでとサイザーロール
群とが不連続的に配置された設備を用いる場合には、電
縫溶接までを連続的に行い定径圧延はバッチ的に行う方
法で本発明の鋼管を製造してもよい。
【0018】本発明者らが実験で得た結果によれば、図
5に示した類の設備を用いる製造方法において、製品管
の軸周YS比、軸周TS比は、例えば外径63.5mm×肉厚
2.0mm のJIS STKM11A相当溶接鋼管について
図3に示すように、次式で与えられるフィンパス加工
(フィンパスロール群による加工)とサイザー加工(サ
イザーロール群による加工)の管周方向のリダクション
の和RFSに対して凸関数状に変化し、RFS4.5 〜7%の
範囲において軸周YS比1.05以上あるいは軸周TS比1.
05以上の溶接鋼管が得られる。また、RFS4.6 〜6.8 %
の範囲において軸周YS比1.07以上あるいは軸周TS比
1.07以上の溶接鋼管が得られる。
5に示した類の設備を用いる製造方法において、製品管
の軸周YS比、軸周TS比は、例えば外径63.5mm×肉厚
2.0mm のJIS STKM11A相当溶接鋼管について
図3に示すように、次式で与えられるフィンパス加工
(フィンパスロール群による加工)とサイザー加工(サ
イザーロール群による加工)の管周方向のリダクション
の和RFSに対して凸関数状に変化し、RFS4.5 〜7%の
範囲において軸周YS比1.05以上あるいは軸周TS比1.
05以上の溶接鋼管が得られる。また、RFS4.6 〜6.8 %
の範囲において軸周YS比1.07以上あるいは軸周TS比
1.07以上の溶接鋼管が得られる。
【0019】RFS=ln(C0 /C1 )×100 (%)、
RFS:フィンパス加工とサイザー加工の管周方向のリダ
クションの和、C0 :フィンパスロール群入側オープン
パイプ外周長、C1 :サイザーロール群出側管外周長 そして、この製造方法によれば、熱処理工程の付加は必
要ないから、拡管加工性に優れた溶接鋼管を量産するこ
とができる。
RFS:フィンパス加工とサイザー加工の管周方向のリダ
クションの和、C0 :フィンパスロール群入側オープン
パイプ外周長、C1 :サイザーロール群出側管外周長 そして、この製造方法によれば、熱処理工程の付加は必
要ないから、拡管加工性に優れた溶接鋼管を量産するこ
とができる。
【0020】
【実施例】表1に組成を示す鋼A〜Cの帯板素材を図7
に示した電縫鋼管製造設備に表2に示す造管条件(フィ
ンパス加工とサイザー加工の管周方向のリダクションの
和RFS)で通すことにより製造した外径63.5mm×肉厚2.
0mm の溶接鋼管(製品管)について、その管壁から管軸
方向および管周方向の引張試験片を採取し、軸周YS比
(YSPL/YSPC)と軸周TS比(TSPL/TSPC)を
調査した。なお、管周方向の引張試験片は平板展開して
採取した。また、各製品管について図5、図6に示した
方法で拡管加工試験を行い、座屈限界軸押し込み量と限
界拡管率を評価した。その結果を表2に示す。表2よ
り、いずれの鋼においても本発明範囲内にある製品管
(実施例)は、本発明範囲内にない製品管(比較例)に
比べて格段に高い座屈限界軸押し込み量および限界拡管
率を有することがわかった。
に示した電縫鋼管製造設備に表2に示す造管条件(フィ
ンパス加工とサイザー加工の管周方向のリダクションの
和RFS)で通すことにより製造した外径63.5mm×肉厚2.
0mm の溶接鋼管(製品管)について、その管壁から管軸
方向および管周方向の引張試験片を採取し、軸周YS比
(YSPL/YSPC)と軸周TS比(TSPL/TSPC)を
調査した。なお、管周方向の引張試験片は平板展開して
採取した。また、各製品管について図5、図6に示した
方法で拡管加工試験を行い、座屈限界軸押し込み量と限
界拡管率を評価した。その結果を表2に示す。表2よ
り、いずれの鋼においても本発明範囲内にある製品管
(実施例)は、本発明範囲内にない製品管(比較例)に
比べて格段に高い座屈限界軸押し込み量および限界拡管
率を有することがわかった。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明の溶接鋼管は、軸周YS比あるい
は軸周TS比を規定することにより優れた拡管加工性を
もたせたものであり、冷延鋼板素材を用いた電縫溶接法
により熱処理を要さず量産できることから、拡管加工用
素管の安価供給を可能にするという産業上に寄与すると
ころ大なる効果を奏する。
は軸周TS比を規定することにより優れた拡管加工性を
もたせたものであり、冷延鋼板素材を用いた電縫溶接法
により熱処理を要さず量産できることから、拡管加工用
素管の安価供給を可能にするという産業上に寄与すると
ころ大なる効果を奏する。
【図1】溶接鋼管の軸周YS比(YSPL/YSPC)と限
界拡管率(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を
示すグラフである。
界拡管率(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を
示すグラフである。
【図2】溶接鋼管の軸周TS比(TSPL/TSPC)と限
界拡管率(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を
示すグラフである。
界拡管率(a)、座屈限界軸押し込み量(b)の関係を
示すグラフである。
【図3】軸周YS比(YSPL/YSPC)および軸周TS
比(TSPL/TSPC)とフィンパス加工とサイザー加工
の管周方向のリダクションの和RFSとの関係を示すグラ
フである。
比(TSPL/TSPC)とフィンパス加工とサイザー加工
の管周方向のリダクションの和RFSとの関係を示すグラ
フである。
【図4】管強度試験方向の定義説明図である。
【図5】ハイドロフォーミングによる拡管加工試験方法
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図6】限界拡管率と座屈限界押し込み量の定義説明図
である。
である。
【図7】本発明溶接鋼管の製造に適した電縫鋼管製造設
備の一例を示す平面模式図である。
備の一例を示す平面模式図である。
1 管 2 金型(a,bは上,下) 3 軸押しヘッド 4 高圧送水 5 高圧水 6 軸押し込み 7 バルブ閉 10 ブレイクダウンロール群 11 クラスターロール群 12 フィンパスロール群 13 溶接機 14 スクイズロール 15 サイザーロール群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 依藤 章 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 金型内に装着した管に内圧および軸押し
力を加えて管周方向に伸びを付与する拡管加工の素管と
される溶接鋼管であって、管軸方向の降伏強さと管周方
向の降伏強さの比、管軸方向の引張強さと管周方向の引
張強さの比の少なくともいずれか一方が1.05以上である
ことを特徴とする拡管加工性に優れた溶接鋼管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27260099A JP2001096315A (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | 拡管加工性に優れた溶接鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27260099A JP2001096315A (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | 拡管加工性に優れた溶接鋼管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001096315A true JP2001096315A (ja) | 2001-04-10 |
Family
ID=17516194
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27260099A Pending JP2001096315A (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | 拡管加工性に優れた溶接鋼管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001096315A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006264444A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Showa Denko Kk | ステアリングサポートビーム及びその製造方法 |
JP2011122797A (ja) * | 2009-12-14 | 2011-06-23 | Mitsubishi Electric Corp | 捩り管形熱交換器および捩り管形熱交換器の製造方法 |
-
1999
- 1999-09-27 JP JP27260099A patent/JP2001096315A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006264444A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Showa Denko Kk | ステアリングサポートビーム及びその製造方法 |
JP2011122797A (ja) * | 2009-12-14 | 2011-06-23 | Mitsubishi Electric Corp | 捩り管形熱交換器および捩り管形熱交換器の製造方法 |
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