JP2001091639A - Fm−cwレーダ装置 - Google Patents

Fm−cwレーダ装置

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JP2001091639A
JP2001091639A JP27318099A JP27318099A JP2001091639A JP 2001091639 A JP2001091639 A JP 2001091639A JP 27318099 A JP27318099 A JP 27318099A JP 27318099 A JP27318099 A JP 27318099A JP 2001091639 A JP2001091639 A JP 2001091639A
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matrix
phase
signal
received signal
radar device
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JP27318099A
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English (en)
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Masaru Ogawa
勝 小川
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上下フェーズにおけるエコーの対応付けを確
実に行う。 【解決手段】 受信信号の自己相関行列について固有値
展開を行い(S13)、固有値の大きさに基づいて固有
ベクトルを並べて上りフェーズの信号空間行列Euを作
成する(S15)。また、自己相関行列からMUSIC
法によりエコーを分離・検出し(S16)、モードベク
トルを成分とする行列Auを作成し(S17)、Eu=
Au・Tとなる行列Tを計算する(S18)。下りフェ
ーズについても同様にして信号空間行列Edを得(S2
1〜24)、S18のTを用いてAdを計算する(S2
5)。AuとAdの対応する列ベクトルは同一のターゲ
ットからのエコーとなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送信信号の周波数
を増加または減少させる2種類のフェーズを有し、ター
ゲットからの反射波を受信してターゲットを検出するF
M−CWレーダ装置、特に1つのフェーズにおいて検出
されたエコーと、他のフェーズにおいて検出されたエコ
ーの対応付けに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、FM−CWレーダ装置が知ら
れている。このFM−CWレーダ装置では、例えば周波
数が増加するフェーズ(上りフェーズ)および周波数が
減少するフェーズ(下りフェーズ)を繰り返すことで送
信信号の周波数を連続的に変化させる。そして、ターゲ
ットによって反射された反射波を受信して、送信から受
信までの時間に基づいて距離を検出し、送信波と受信波
の周波数変化(ドプラシフト)から相対速度を検出す
る。これらの検出は、各フェーズにおいて、送信信号と
受信信号を混合して得た送信信号と受信信号の周波数差
を示すビート信号(エコー)についての各フェーズにお
ける周波数差等に基づいて行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、ターゲットが
1つである場合には、上りフェーズおよび下りフェーズ
におけるエコーはともに1つであり、1つのターゲット
の距離、相対速度を検出することに何ら問題はない。
【0004】ところが、ターゲットが複数ある場合、エ
コーが複数検出されるため、上りフェーズにおいて検出
されたエコーと、下りフェーズで検出したターゲットの
対応付けを誤ってしまう可能性がある。
【0005】例えば、ターゲットが2つ存在する場合、
上りフェーズで2つのエコーU1,U2が検出され、下
りフェーズで2つのエコーD1,D2が検出される。そ
して、上りフェーズでエコーU1で生じたターゲット
が、下りフェーズのエコーD1に相当するのかD2に相
当するのかは必ずしも特定できない。このため、(i)
(U1,D1),(U2,D2)、(ii)(U1,D
2),(U2,D1)という2通りの組み合わせが考え
られる。そして、この組み合わせを誤ると、距離、速度
の推定結果が誤ったものになる。ターゲットが2つであ
れば、2通りであるが、ターゲットが増えれば、それだ
け組み合わせも増加し、正確な推定が困難になる。
【0006】また、フーリエ変換により、エコーを検出
した場合、各エコーについての振幅値が得られる。同一
のターゲットからのエコーの振幅値は基本的に同一であ
り、各エコーの振幅値を参照して対応付けを行うことも
できる。しかし、フーリエ変換を用いて周波数分析で
は、分解能が低く、2つのエコーの周波数が接近してい
る場合には、フーリエ変換ではこれらを分離検出するこ
とができない。
【0007】一方、より分解能が高い周波数の分析法と
して、MUSIC(Multiple Signal Classification)
法が知られており、MUSIC法を利用して2つのエコ
ーを分離検出することが知られている(特開平10−3
1065号公報参照)。このMUSIC法を利用するこ
とで、複数のエコーをより高精度で分離することができ
る。ところが、このMUSIC法では、各エコーについ
ての振幅値が得られない。そこで、近接する周波数の複
数のエコーが得られる場合には、その対応付けが困難で
あるという問題がある。
【0008】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、エコーの正確な組み合わせを知ることができるF
M−CWレーダ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、送信信号の周
波数を増加または減少させる2種類のフェーズを有し、
ターゲットからの反射波を受信して得た受信信号を処理
してターゲットを検出するFM−CWレーダ装置におい
て、1つのフェーズにおける時系列の受信信号で受信信
号ベクトルを構成するとともに、この受信信号ベクトル
を同一フェーズにおいて1つ以上得て、これにより1つ
のフェーズにおける受信信号行列を得る手段と、得られ
た受信信号行列について自己相関行列を求める手段と、
他のフェーズにおける時系列の受信信号で受信信号ベク
トルを構成するとともに、この受信信号ベクトルを同一
フェーズにおいて1つ以上得て、これにより他のフェー
ズにおける受信信号行列を得る手段と、得られた他のフ
ェーズの受信信号行列について自己相関行列を求める手
段と、求められた1つのフェーズおよび他のフェーズの
自己相関行列についてそれぞれ固有値展開するととも
に、固有値の大きさに基づいて固有ベクトルを並び替え
信号空間行列を得る手段と、並び替えを行った各固有ベ
クトルと関連づけて各受信信号における周波数成分を検
出し、この検出結果に基づいて、1つのフェーズおよび
他のフェーズにおける周波数成分の対応付けを行う手段
と、を有することを特徴とする。
【0010】このように、受信信号についての自己相関
行列を固有値展開し、固有値の大きさに基づいて処理す
ることで、2種類のフェーズにおける周波数成分の対応
付けを行うことができる。これによって、エコーの対応
付けを誤ることがなくなり、ターゲットとの相対距離、
相対速度の推定を正しく行うことができる。特に、高分
解能推定法によりエコーを分離検出することで、エコー
の分離自体も高精度であり、かつエコーの対応付けも正
確に行えるという効果が得られる。
【0011】また、前記1つの受信信号行列をX1、自
己相関行列をR1、信号空間行列をE1、他の受信信号
行列をX2、自己相関行列をR2、信号空間行列をE2
とした場合に、前記対応付けを行う手段は、X1につい
ての受信信号を周波数分析し、得られた各周波数の反射
波について位相の時間変化量を成分とする列ベクトルを
構成するとともに、これらを並べた反射波位相行列A1
を算出する手段と、信号空間行列E1と、反射波位相行
列A1とから、E1=A1・Tなる関係を有する正則な
変換行列Tを求める手段と、信号空間行列E2と、変換
行列Tに基づいて、E2=A2・Tの関係に基づき、反
射波位相行列A2を求める手段と、2つの反射波位相行
列A1、A2の並びに基づいて、各フェーズにおける周
波数成分を対応づける手段と、を有することが好適であ
り、この場合前記反射波位相行列A1を算出する手段に
おいては、MUSIC法を用いることが好適である。
【0012】MUSIC法を利用した高分解能推定法を
用いて、上下フェーズにおける各周波数成分の対応付け
を確実に行うことができる。
【0013】また、前記対応付けを行う手段において、
ESPRIT法を用いることが好適である。ESPRI
T法によれば、A1、A2を求めることなく、対応付け
を行うことができる。
【0014】また、前記対応付けを行う手段において、
UnitaryESPRIT法を用いることが好適であ
る。UnitaryESPRIT法によれば、A1、A
2、Tを求めることなく、対応付けを行うことができ
る。
【0015】また、前記受信信号行列を構成する受信信
号ベクトルは、同一種別のフェーズであって異なるタイ
ミングにおいて得た受信信号により複数構成されること
が好適である。複数のスナップショットによって受信信
号行列を構成することができる。
【0016】また、前記受信信号行列を構成する受信信
号ベクトルは、同一のフェーズであって異なる位置にお
いて得た受信信号により複数構成されることが好適であ
る。複数の受信アンテナを設けることで、受信信号行列
を1つのスナップショットの受信信号で構成できる。
【0017】また、前記自己相関行列の固有値展開の前
に、行列を構成する複数の要素についての平均処理を行
うことが好適である。これによって、各受信信号ベクト
ル間の相関を減少することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0019】図1は、実施形態のFM−CWレーダ装置
の全体構成を示す図である。三角波発生器10は、電圧
が所定の範囲で繰り返し上下する三角波を発生する。こ
の三角波は、高周波発振器12に供給される。高周波発
振器12は、供給される三角波に基づいて、周波数が順
次変更される高周波の送信信号を発生する。すなわち、
三角波の電圧が上昇する時に周波数が直線的に上昇し
(これを上りフェーズと呼ぶ)、三角波の電圧が下降す
るときに周波数を直線的に下降する(これを下りフェー
ズと呼ぶ)の2種類の高周波信号が高周波発振器12か
ら出力される。そして、この高周波発振器12からの周
波数が連続的に変化する高周波が送信アンテナ14から
放射される。例えば、車両に搭載され、前方に照射され
る。
【0020】送信アンテナ14から放射された送信波
は、例えば先行車両であるターゲット16で反射され、
そのターゲット16からの反射波(エコー)が戻ってく
る。受信アンテナ18は、これを受信する。受信アンテ
ナ18には、2つのミキサ20,22が接続されてお
り、これらミキサ20,22に反射波による受信信号が
供給される。ミキサ20には、方向性結合器24を介
し、高周波発振器12から高周波信号(送信信号)が供
給され、ミキサ22には方向性結合器24、位相シフト
(π/2)回路26を介し、位相がπ/2だけシフトさ
れた高周波発振器12から高周波信号(送信信号)が供
給される。
【0021】従って、これらミキサ20,22におい
て、直交検波された信号が得られる。ここで、この直交
検波された信号は受信信号に送信信号を混合して得たも
のであり、ターゲットの状態により変調されたビート信
号である。
【0022】このミキサ20,22の出力は、LPF
(ローパスフィルタ)およびA/D変換器28,30を
介し、複素受信信号形成部32に供給される。すなわ
ち、直交検波された信号は、A/D変換器28,30に
おいて一定のサンプリング周波数でデジタルデータに変
換され、これが複素受信信号形成部32において、所定
の形式の複素受信信号データに変換される。
【0023】この複素受信信号データは、信号処理部3
4に供給され、ここで演算処理され、複数のターゲット
のそれぞれについて、相対速度、相対距離が検出され
る。
【0024】「信号処理」ここで、この信号処理部34
における信号処理について、図2に基づいて説明する。
【0025】まず、供給されてくる受信信号についての
データを上りフェーズと下りフェーズに分離して受信信
号バッファに記憶する(S10)。
【0026】「上りフェーズの受信信号に対する信号処
理」まず、上りフェーズの受信信号行列Xuを作成す
る。この受信信号行列Xuは、サンプリング数をm、ス
ナップショット数をnとすると、次に示す行列になる。
【0027】
【数1】 すなわち、1回の上りフェーズについての受信信号(第
1スナップショット)についてのデータがx11〜xm
1であり、第2スナップショットについてのデータがx
12〜xm2で、第nスナップショットのデータがx1
n〜xmnである。そして、各スナップショットのデー
タを列ベクトルとすることで、受信信号行列はm行n列
の行列になる。
【0028】ここで、各エコー間の相関を下げるため、
スナップショット数nは、ある程度大きくすることが望
ましい。
【0029】受信信号は、複数のターゲットがあった場
合には、複数のターゲットからのエコーが混合されたも
のである。本実施形態では、これら複数からのターゲッ
トからのエコーを分離するために、MUSIC法を利用
する。また、上りフェーズと下りフェーズのエコーの対
応付けに固有値展開して得た固有値の大きさを利用す
る。これについて、以下に説明する。
【0030】まず、行列Xuの第1スナップショットに
よる受信信号列ベクトルは、サンプリング間隔をΔt、
受信信号に含まれるエコーの数をLとすると、次のよう
に表すことができる。
【0031】
【数2】 ここで、Auは、サンプリング時間に対する位相の時間
変化量を成分とする列ベクトル(以下モードベクトルと
呼ぶ)がエコー毎に並んだ反射波位相行列(m行L
列)、sはエコーの複素振幅を成分とする列ベクトル
(L次元)、niは雑音の複素振幅を成分とする列ベク
トル(m次元)、fu1〜fuLはエコーのビート周波
数である。
【0032】すなわち、受信信号は、複数のターゲット
からの反射波を加算し、これにノイズを加えたものであ
り、x11〜xn1はサンプリング周期Δtずつ時間が
異なったものであり、位相成分のみが変化したものと考
えられ、上記のように表される。
【0033】このようにして得られた行列Xuに対して
次に示すように、自己相関行列Ruを計算する(S1
1)。
【0034】
【数3】Ru=Xu・XuH なお、XuHは、Xuの複素共役転置を示す。
【0035】ここで、スナップショット数が十分でない
場合、上記処理だけでは各エコー間の相関が高いことが
ある。その場合、計算して得た自己相関行列Ruに対し
前方後方平均または/および移動平均両方を施すことが
好適であり、この例においてはこの前方後方平均または
/および移動平均(平均処理)を施す(S12)。そこ
で、この平均処理について説明する。
【0036】まず、前方後方平均の計算方法を下に示
す。
【0037】
【数4】 ここで、*は共役複素数を示す。
【0038】このように、中心対称となる成分の共役複
素数を加算することで、各成分を計算していく。平均処
理後の自己相関をRusで示している。
【0039】一方、移動平均は、自己相関行列Ruの対
角に沿って、複数のサブアレーを定義し、各サブアレー
の各成分を平均して、新しい行列を計算する。移動平均
の具体例を次に示す。なお、この例は、元の自己相関行
列Ruが三次元、移動平均後の相関行列Rusが二次元
の場合を示している。
【0040】
【数5】 このようにして、平均処理を行うことによって、エコー
同士の相関の影響を減少することができる。
【0041】なお、この平均処理は必ずしも行わなくて
もよいため、以下の説明においては、自己相関行列をR
uとして説明するが、このRuは平均処理したRusを
含む。
【0042】ここで、自己相関行列Ruは、上述のよう
に、Xu・XuHで表され、エルミート行列である。
【0043】そこで、自己相関行列Ruを固有値展開
し、受信信号内に含まれる各エコーの電力に相当する実
数で表される固有値とそれに対応する固有ベクトルを得
る(S13)。なお、エコーの数以上の固有値は雑音の
電力に相当する値になる。
【0044】ここで、例えば2つのエコーが含まれる受
信信号(L=2)を信号処理した場合を考える。仮に、
5次元(m=5)の自己相関行列を固有値展開した場
合、5つの固有値が得られるが、値の大きい順にe1,
e2,e3,e4,e5とすると、次のような関係にな
る。
【0045】
【数6】e1≧e2>e3=e4=e5 すなわち、エコーが2つであるため、この2つのエコー
に対応する固有値e1,e2がその電力に応じた大きな
値となり、その他の3つの固有値e3,e4,e5は、
エコーに比べかなり小さなものになる。そこで、固有値
の大きさに基づいて、エコーの数を決定する(S1
4)。
【0046】そして、エコーに対応するある程度の大き
さを持っている固有値を取り出して並べるとともに、対
応する固有ベクトルを取り出して固有値と同一の順に並
べることで信号空間行列Euを作成する(S15)。こ
の例の場合エコーは2つであり、そのエコーに対応する
固有値としてe1,e2が得られ、e1,e2に対応す
る固有ベクトルからなる信号空間行列Euが得られる。
【0047】一方、自己相関行列Ruに基づいて、MU
SIC法などの高分解能推定法によりエコーを分離・検
出することができる。そこで、高分解能推定法によっ
て、エコーを分離検出する(S16)。この例では、M
USIC法を利用する。ここで、このMUSIC法につ
いては、例えば「R.O.Schmidt:"Multiple Emitter Loca
tion and Signal Parameter Estimation," IEEE Tran
s.,vol.AP-34,No.3,pp.276-280(Mar,1986)」等に示され
ており、この説明は省略する。また、MUSICに限ら
ず、他のエコーの分離・検出方法を利用することもでき
る。例えば、rootMUSIC法なども利用できる。
さらに、ESPRIT法や、UnitaryESPRI
T法なども利用できるが、これについては後述する。
【0048】そして、MUSIC法などにより、エコー
のビート周波数(fu1〜fuL)が得られると、これ
からモードベクトルを成分とする行列Auを得る(S1
7)。
【0049】このようにして、信号空間行列Euと、各
エコーの位相情報を含む反射波位相行列Auが求まる。
そこで、求まった信号空間行列Euと反射波位相行列A
uに対しEu=Au・Tの関係を持つ唯一の正則な行列
Tを計算する(S18)。この例では、Eu、Auは5
行2列の行列であり、従って行列Tは2行2列の正方行
列である。本実施形態においては、この行列Tが下りフ
ェーズのモードベクトルを成分とする反射波位相行列A
dと信号空間行列Edに対しても同様に適用できること
を利用して、周波数成分の対応付けを行う。
【0050】「下りフェーズの受信信号に対する信号処
理」下りフェーズにおいても信号空間行列Edを作成す
るまでの処理は上りフェーズの処理と同様である。
【0051】すなわち、受信信号バッファに記憶されて
いる下りフェーズのデータに基づいて受信信号行列Xd
を作成し、これから自己相関行列Rdを計算する(S2
1)。さらに、平均処理を行い平均処理後の自己相関行
列Rdsを求め(S22)、エコー間の相関の影響を減
少させた後、固有値展開する(S23)。ここで、上り
フェーズと下りフェーズは時間的に十分近いため、ター
ゲットの数や位置などに変化はない。従って、エコー数
Lとして、上りフェーズと同一の数(この例では2つ)
が得られる。そこで、上りフェーズと同様に、エコー数
に応じて固有値を取り出し、その固有値に対応する固有
ベクトルを固有値の大きさに基づいて上りフェーズと同
様のルールで並べることによって下りフェーズにおける
信号空間行列Edを得る(S24)。この信号空間行列
Edは、Euと同じ次元数の行列である。
【0052】ここで、上りフェーズの信号処理におい
て、高分解能推定法により分離・検出された結果から求
められた正則な行列Tによって、
【数7】Ed=Ad・T という関係式が成り立つ。
【0053】そして、Edは、上述のようにして求まっ
ているため、Ed・T-1を計算してAdを求める(S2
5)。このAdは、上述のAuと同様に次のような行列
である。
【0054】
【数8】 このAdは、モードベクトルがエコー毎に並んだ行列で
あり、各成分を調べれば、各エコーのビート周波数fd
1〜fdLを知ることができる。そして、AuとAdの
成分は、正則な行列Tによって対応づけられているた
め、これに基づいてAdより各エコーをAuと関連づけ
て検出する(S26)。すなわち、fuiとfdi(i
=1,2,・・・,L)は、それぞれ同じi番目のター
ゲットで生じた上りフェーズのエコーの周波数と下りフ
ェーズのエコーのビート周波数を表している。従って、
すべてのターゲットで生じた上りフェーズおよび下りフ
ェーズのエコーをターゲット毎に分離、検出することが
でき、これによってエコーの対応付けが行える。
【0055】そして、このような対応付けに基づいて、
上りフェーズと下りフェーズにおけるエコーを対応づけ
て、相対距離、相対速度を推定する。これによって、エ
コーの対応付けを誤ることがなくなり、ターゲットとの
相対距離、相対速度の推定を正しく行うことができる。
特に、高分解能推定法によりエコーを分離検出している
ため、エコーの分離自体も高精度であり、かつエコーの
対応付けも正確に行えるという効果が得られる。
【0056】なお、上りフェーズと下りフェーズの信号
処理は、下りフェーズについて実施してTを求めた後、
上りフェーズについて処理を行ってもよい。
【0057】「ESPRIT法を利用した例」上述の例
では、高分解能推定法としてMUSIC法を用いた。し
かし、これに代えてESPRIT法を用いることもでき
る。このESPRIT法の信号処理については、論文
(R.Roy and T.Kailath : "ESPRIT - Estimation of Si
gnal Parameters via Rotational Invariance Techniqu
es", IEEE Trans.,vol.ASSP-37,pp,984-995(July 198
9))にMUSIC法と比較して詳しく述べられているた
め省略する。
【0058】このESPRIT法を用いる場合には、上
述の場合と同様にして、自己相関行列を固有値展開し、
固有値の大きさに基づいて固有ベクトルを並べて信号空
間行列Eu、Edを計算する。
【0059】そして、ESPRIT法では、このEu、
Edからエコーのビート周波数の情報を含む行列γu,
γdが得られる。このγu,γdは、上述した正則行列
Tによって、次のように表される行列である。
【0060】
【数9】 γu=T-1・Φu・T, γd=T-1・Φd・T ここで、Φu、Φdは、
【数10】 である。
【0061】従って、γuをさらに固有値展開すること
により、固有値から行列Φu、固有ベクトルから行列T
を得ることができ、γdおよびTよりΦdを計算する。
このとき、ΦuとΦdの対角成分には、自己相関行列を
固有値展開して得られた固有値の大きさに基づいて、エ
コーのビート周波数の情報を含む値が並んでいる。そこ
で、ΦuとΦdの各成分を調べることにより、MUSI
Cの場合と同様に、すべてのターゲットで生じた上りフ
ェーズおよび下りフェーズのエコーをターゲット毎に分
離、検出することができ、これによってエコーの対応付
けが行える。なお、ここで示したように、ESPRIT
法を用いた場合には、Au、Adを計算する必要がな
い。
【0062】「UnitaryESPRIT法を利用し
た例」さらに、高分解能推定法としてUnitaryE
SPRIT法を用いることもできる。このUnitar
yESPRIT法の信号処理については、論文(M.Haar
dt and J.A.Nossek : "Unitary ESPRIT: How to
Obtain Increased Estimation Accuracy with a Reduc
ed Computational Burden",IEEE Trans.SignalProcessi
ng,vol.43, No.5,pp.1232-1242(May 1995))にESPR
IT法と比較して詳しく述べられているため省略する。
【0063】UnitaryESPRIT法では、正則
行列Tによって、
【数11】 γu=T-1・Ωu・T, γd=T-1・Ωd・T と表されるエコーのビート周波数の情報を含む行列γ
u、γdが得られる。UnitaryESPRIT法で
は、ESPRIT法と異なり、受信信号から成分を実数
化した自己相関行列Ziを作成し、これを固有値展開し
て、信号空間行列Eu,Edを求め、さらにγu、γd
を求める。ここで、γu、γdの成分はすべて実数であ
る。また、行列Ωu、Ωdは、ESPRITを用いた処
理で求められた行列Φu、Φdと同様にエコーのビート
周波数情報を含む対角行列であるが、その成分はすべて
実数である。行列Ω、Φの各成分をω、φと表した場
合、両者にはφ=−(ω−j)/(ω+j)(但し、j
は虚数単位)の関係がある。
【0064】なお、Eu、Edを求めるにあたり、自己
相関行列を固有値展開して得られた固有値の大きさに基
づいて構成する方法は上述のMUSIC法、ESPRI
T法を用いた場合と同様である。
【0065】ここで、γu、γd、Ωu、Ωdがすべて
実数であることを利用して、
【数12】 γu+jγd=T-1・(Ωu+jΩd)・T の計算を行う。
【0066】すなわち、γu+jγdの計算結果を固有
値展開することで、すべてのターゲットで生じた、上り
フェーズおよび下りフェーズのエコーをターゲット毎に
複素数の形式で同時に分離検出することができ、これに
よってエコーの対応付けが行える。なお、ここで示した
ように、UnitaryESPRIT法の場合、Au、
Ad、Tを計算する必要がない。
【0067】「構成例2」上述の例では、受信信号行列
Xuにおけるn個の列ベクトル(x1i,x2i、・・
・,xmi:i=1〜n)には、それぞれスナップショ
ットの異なるものを用いた。すなわち、iがスナップシ
ョットの番号を示していた。
【0068】構成例2の装置においては、図3に示すよ
うに、1つの送信アンテナ14に対し、設置位置の異な
るn個の受信アンテナ18−1〜18−nを設けてい
る。そして、受信信号行列XuおよびXdの各受信ベク
トルとしてn個の受信アンテナ18−1〜18−nから
の受信信号を採用する。すなわち、1つの送信アンテナ
14から送られた送信波がターゲットによって反射され
た反射波をn個の受信アンテナで受信し、それぞれの受
信アンテナ18−1〜18−nで受信した受信信号の時
系列データにより、受信信号行列Xu,Xdを構成す
る。
【0069】各ターゲットから到来する反射波の方向が
異なれば、受信地点の変化により各受信アンテナ18−
1〜18−nで得た受信信号の位相変化量が異なる。こ
の効果により、各エコー間の相関を下げることができ
る。また、この構成であれば、1つのスナップショット
で、受信信号行列Xu,Xdを得ることができる。
【0070】このようにして、受信信号行列Xu,Xd
を得た後の処理は、上述の場合と全く同様にして、ター
ゲットの分離検出が行える。すなわち、ミキサ20−1
〜20−n、22−1〜22−n、LPF、A/D変換
器28−1〜28−n、30−1〜30−nを介し、各
受信アンテナ18−1〜18−nからの受信信号を直交
検波した信号を複素受信信号形成部32を介し信号処理
部34に供給され、ここで上述と同様の信号処理がなさ
れる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
受信信号についての自己相関行列を固有値展開し、固有
値の大きさに基づいて処理することで、上下フェーズに
おける周波数成分の対応付けを行うことができる。従っ
て、高分解能推定法などを用いて、エコーの処理を効果
的に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係るレーダ装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図2】 実施形態に係るレーダ装置の信号処理を示す
フローチャートである。
【図3】 他のレーダ装置の構成例を示すブロック図で
ある。
【符号の説明】
10 三角波発生器、12 高周波発振器、14 送信
アンテナ、16 ターゲット、18 受信アンテナ、2
0,22 ミキサ、24 方向性結合器、26位相シフ
ト(π/2)回路、28,30 A/D変換器、32
複素受信信号形成部、34 信号処理部。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信信号の周波数を増加または減少させ
    る2種類のフェーズを有し、ターゲットからの反射波を
    受信して得た受信信号を処理してターゲットを検出する
    FM−CWレーダ装置において、 1つのフェーズにおける時系列の受信信号で受信信号ベ
    クトルを構成するとともに、この受信信号ベクトルを同
    一フェーズにおいて1つ以上得て、これにより1つのフ
    ェーズにおける受信信号行列を得る手段と、 得られた受信信号行列について自己相関行列を求める手
    段と、 他のフェーズにおける時系列の受信信号で受信信号ベク
    トルを構成するとともに、この受信信号ベクトルを同一
    フェーズにおいて1つ以上得て、これにより他のフェー
    ズにおける受信信号行列を得る手段と、 得られた他のフェーズの受信信号行列について自己相関
    行列を求める手段と、 求められた1つのフェーズおよび他のフェーズの自己相
    関行列についてそれぞれ固有値展開するとともに、固有
    値の大きさに基づいて固有ベクトルを並び替え信号空間
    行列を得る手段と、 並び替えを行った各固有ベクトルと関連づけて各受信信
    号における周波数成分を検出し、この検出結果に基づい
    て、1つのフェーズおよび他のフェーズにおける周波数
    成分の対応付けを行う手段と、 を有することを特徴とするFM−CWレーダ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、 前記1つの受信信号行列をX1、自己相関行列をR1、
    信号空間行列をE1、他の受信信号行列をX2、自己相
    関行列をR2、信号空間行列をE2とした場合に、 前記対応付けを行う手段は、 X1についての受信信号を周波数分析し、得られた各周
    波数の反射波について位相の時間変化量を成分とする列
    ベクトルを構成するとともに、これらを並べた反射波位
    相行列A1を算出する手段と、 信号空間行列E1と、反射波位相行列A1とから、E1
    =A1・Tなる関係を有する正則な変換行列Tを求める
    手段と、 信号空間行列E2と、変換行列Tに基づいて、E2=A
    2・Tの関係に基づき、反射波位相行列A2を求める手
    段と、 求められた2つの反射波位相行列A1、A2の並びに基
    づいて、各フェーズにおける周波数成分を対応づける手
    段と、 を有することを特徴とするFM−CWレーダ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の装置において、 前記反射波位相行列A1を算出する手段には、MUSI
    C法を用いることを特徴とするFM−CWレーダ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の装置において、 前記対応付けを行う手段には、 ESPRIT法を用いることを特徴とするFM−CWレ
    ーダ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の装置において、 前記対応付けを行う手段には、 UnitaryESPRIT法を用いることを特徴とす
    るFM−CWレーダ装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つに記載の装
    置において、 前記受信信号行列を構成する受信信号ベクトルは、同一
    種別のフェーズであって異なるタイミングにおいて得た
    受信信号により複数構成されることを特徴とするFM−
    CWレーダ装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1つに記載の装
    置において、 前記受信信号行列を構成する受信信号ベクトルは、同一
    のフェーズであって異なる位置において得た受信信号に
    より複数構成されることを特徴とするFM−CWレーダ
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1つに記載の装
    置において、 前記自己相関行列の固有値展開の前に、行列を構成する
    複数の要素についての平均処理を行うことを特徴とする
    FM−CWレーダ装置。
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