JP2001089736A - 難燃性接着剤及びそれを用いる難燃性接着フィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノンハロゲン系の難燃性接着剤に対し、良好
な電気的絶縁性と接着性とを付与し、しかもハロゲン系
難燃剤に匹敵する難燃性を付与する。 【解決手段】以下の成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）： （Ａ） ポリエステル系樹脂；（Ｂ） ポリ燐酸系難燃
剤； 及び（Ｃ） 非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤か
ら難燃性接着剤を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フラットケーブル
の作製の際、あるいはフレキシブルプリント基板等の各
種電子部品の表面保護層を形成する際に使用するノンハ
ロゲン系の難燃性接着剤及びそれを用いる難燃性接着フ
ィルムに関する。より詳しくは、良好な電気的絶縁性と
接着性とを有し、しかもハロゲン系難燃剤を使用したハ
ロゲン系難燃性接着剤に匹敵する難燃性を有するノンハ
ロゲン系難燃性接着剤及びそれを用いる難燃性接着フィ
ルムに関する。

【０００２】

【従来の技術】基材フィルム上に接着剤層が形成された
２枚の接着フィルムで、複数のライン状の導体を被覆し
た構造のフラットケーブルが知られている。このような
フラットケーブルは、近年の高密度実装されたＡＶ機器
やコンピュータ機器の配線に広く利用されるようになっ
ている。

【０００３】ところで、フラットケーブルに対しては、
その電気的用途及び防災の観点から、導体以外の構成材
料（即ち、基材フィルム及び接着剤層からなる接着フィ
ルム）が良好な電気的絶縁性と難燃性とを示すことが望
まれている。

【０００４】このため、フラットケーブルに使用される
ような接着フィルムの接着剤層には、従来からハロゲン
系難燃剤（例えば、デカブロモジフェニルエーテルやヘ
キサブロモジフェニルエーテル等）や難燃助剤としてシ
リカ、クレー、アンチモン化合物等の無機フィラ等を添
加していた。しかし、最近の地球環境保護に対する配慮
から、接着剤層に添加する難燃剤として、ハロゲン系難
燃剤に代えてノンハロゲン系難燃剤が使用されるように
なっている。例えば、特開平６−３３８２２５号公報
は、フラットケーブル用の接着テープのポリエステル難
燃層に赤燐、燐酸エステル、水酸化マグネシウム等のノ
ンハロゲン系難燃剤を添加することを提案している。ま
た、特開平９−２２１６４２号公報は、フラットケーブ
ル用の接着性フィルムを構成する熱可塑性ポリエステル
系樹脂基材あるいはその上に形成される接着剤層を、燐
系難燃剤により難燃化することを提案している。

【０００５】また、精密電子機器に用いられるフレキシ
ブルプリント基板等の各種電子部品の表面保護フィルム
として、フラットケーブルに用いられているものと同様
の難燃性接着フィルムが用いられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、人体の安全
に関わる種々の製品（例えば自動車のエアーバックや医
療機器）の配線としてフラットケーブルを使用する場
合、安全性を安定的に確保するために非常に高い電気的
絶縁性が要求される。また、種々の精密電子機器の性能
信頼性を確保するためにも、フレキシブルプリント基板
等の各種電子部品の表面保護フィルムに対して高い電気
的絶縁性が要求されている。

【０００７】しかし、上述の公報に開示された接着テー
プ又は接着性フィルムの場合、使用するノンハロゲン系
難燃剤自体が示す吸湿性又はイオン性のために接着テー
プ又は接着性フィルムの電気抵抗を十分に高くすること
ができないという問題がある。

【０００８】また、上述したようなノンハロゲン系難燃
剤は、従来のハロゲン系難燃剤に比べて本質的に難燃性
が十分でなく、所望の電気的絶縁性を実現するためには
ノンハロゲン系難燃剤の接着剤層中の含有量を高める必
要があり、このため接着剤層の接着力が低下し、フラッ
トケーブルの作製の際あるいはフレキシブルプリント基
板等の電子部品の表面への表面保護フィルムの積層の際
に、接着剤層と導体とが互いに剥離し易くなり、また、
接着剤層の凝集力が低下するという問題がある。

【０００９】本発明は、従来の技術の課題を解決しよう
とするものであり、良好な電気的絶縁性と接着性とを有
し、しかもハロゲン系難燃剤に匹敵する難燃性を有する
ノンハロゲン系の難燃性接着剤及びそれを用いる難燃性
接着フィルムを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、難燃性接
着剤用のベース樹脂として、比較的吸湿性が低いポリエ
ステル系樹脂を使用し、難燃剤としてポリ燐酸メラミン
等のポリ燐酸系難燃剤及びメラミンシアヌレート等の非
ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤を併用することにより上
述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。

【００１１】即ち、本発明は、以下の成分（Ａ）、
（Ｂ）及び（Ｃ）： （Ａ） ポリエステル系樹脂；（Ｂ） ポリ燐酸系難燃
剤； 及び（Ｃ） 非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤を
含有することを特徴とする難燃性接着剤を提供する。

【００１２】また、本発明は、この難燃性接着剤からな
る難燃性接着層が絶縁性基材フィルム上に設けられてい
ることを特徴とする難燃性接着フィルムを提供する。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。

【００１４】本発明の難燃性接着剤は、必須成分とし
て、成分（Ａ）ポリエステル系樹脂、成分（Ｂ）ポリ燐
酸系難燃剤、及び成分（Ｃ）非ポリ燐酸系窒素含有有機
難燃剤を含有する。

【００１５】本発明の難燃性接着剤において、成分
（Ａ）のポリエステル系樹脂は、接着性樹脂成分として
且つ成膜成分として機能する。ポリエステル系樹脂を選
択した理由は、接着成分として一般的に用いられるポリ
アミド樹脂等に比べ吸湿性が比較的低く、しかもフィル
ム強度が実用上問題がなく、電気的絶縁性にも優れてい
るからである。

【００１６】このようなポリエステル系樹脂としては、
酸成分（例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、分子中に
燐酸残基を有する多価カルボン酸、グルフタル酸、トリ
メリット酸、スルホイソフタル酸ナトリウム等）と、ジ
アルコール成分（例えば、エチレングリコール、１，４
−ブタンジオール、１，４−ジシクロヘキサンジメタノ
ール、１，４−シクロヘキサンジメチロール、ジエチレ
ングリコール、ビスフェノールＡのエチレンオキサイド
付加トリメチロールプロパノール等）とから形成される
ポリエステル系樹脂を挙げることができる。中でも、分
子中に燐酸残基を有する燐内添ポリエステル系樹脂（特
開平８−６０１０８号公報の請求項１、段落００１０、
段落００１１、段落００１５等参照）が高い難燃性の点
で好ましい。

【００１７】成分（Ａ）のポリエステル系樹脂の数平均
分子量は、難燃性接着剤が後述する成分（Ｂ）のポリ燐
酸系難燃剤及び成分（Ｃ）の非ポリ燐酸系窒素含有有機
難燃剤を多量に含有した場合であっても十分な成膜性を
確保するという観点から、好ましくは３０００〜１００
０００、より好ましくは１００００〜５００００の範囲
である。

【００１８】また、成分（Ａ）のポリエステル系樹脂の
ガラス転移点は、難燃性接着剤をフラットケーブルの作
製に適用した場合にライン状の導体に良好に熱接着でき
るように、好ましくは−４０〜１００℃、より好ましく
は０〜７０℃である。

【００１９】成分（Ｂ）のポリ燐酸系難燃剤は、ノンハ
ロゲン系難燃剤であって単独で使用しても従来のハロゲ
ン系難燃剤に匹敵する高い難燃性を示す。しかし、難燃
性接着剤全体の電気抵抗を下げる傾向があるため、電子
機器用途には不向きであり、後述する成分（Ｃ）の非ポ
リ燐酸系窒素含有有機難燃剤と併用される。

【００２０】成分（Ｂ）のポリ燐酸系難燃剤としては具
体的には、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸アンモニウム等
がある。特に、電気抵抗を下げる傾向が小さい点からポ
リ燐酸メラミンが好ましい。

【００２１】この成分（Ｂ）のポリ燐酸系難燃剤の使用
量は、少なすぎると十分な難燃効果が得られず、多すぎ
ると接着剤全体の電気抵抗を低下させるので、成分
（Ａ）のポリエステル系樹脂１００重量部に対し、好ま
しくは５〜１００重量部、より好ましくは１０〜６０重
量部、さらに好ましくは１０〜４０重量部である。

【００２２】成分（Ｃ）の非ポリ燐酸系窒素含有有機難
燃剤は、ポリ燐酸残基を含まないノンハロゲン系難燃剤
であると共に難燃性接着剤に含有させた場合に電気抵抗
を低下させない難燃剤である。このような成分（Ｃ）の
非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤としては、メラミン
（シアヌル酸トリアミド）、アムメリン（シアヌル酸ジ
アミド）、アムメリド（シアヌル酸モノアミド）、メラ
ム([３，５−(ＮＨ₂)Ｃ₃Ｎ₃]ＮＨであると推定）、メラ
ミンシアヌレート（メラミンとシアヌール酸との縮
合）、メラミン樹脂、ホモグアナミン、ベンゾグアナミ
ン、アセトグアナミン等のメラミン誘導体等を好ましく
挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル系
樹脂への分散性、混合性、接着性等の点からメラミン、
メラミンシアヌレート又はベンゾグアナミンが好まし
く、中でもメラミンシアヌレートが特に好ましい。

【００２３】成分（Ｃ）の非ポリ燐酸系窒素含有有機難
燃剤の使用量は、少なすぎると十分な難燃効果が得られ
ず、多すぎると接着強度が不十分となるので、成分
（Ａ）のポリエステル系樹脂１００重量部に対し、好ま
しくは３０〜１５０重量部、より好ましくは４０〜１０
０重量部である。

【００２４】本発明の難燃性接着剤には、本発明の目的
に範囲内で、成分（Ｄ）として無機系の難燃剤、いわゆ
る難燃助剤を添加することができる。難燃助剤の具体例
としては、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化
マグネシウム、水酸化アルミニウム等を挙げることがで
きる。

【００２５】成分（Ｄ）の難燃助剤は、少なすぎると添
加効果が十分に得られず、多すぎると接着性が低下する
ので、成分（Ａ）のポリエステル系樹脂１００重量部に
対し、好ましくは５〜１５０重量部、より好ましくは１
０〜１００重量部である。

【００２４】本発明の難燃性接着剤には、本発明の効果
を損なわない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば、有
機溶剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤（顔料、
染料）、接着成分樹脂と難燃剤との間の凝集力を上昇さ
せる各種カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、充填剤、
帯電防止剤、難燃触媒を適宜添加してもよい。

【００２５】本発明の難燃性接着剤は、成分（Ａ）、成
分（Ｂ）、成分（Ｃ）及び必要に応じて他の添加成分と
を均一に混合することにより製造することができる。

【００２６】本発明の難燃性接着剤は、溶液、ペース
ト、ペレット等の形態で使用することができる。

【００２７】次に本発明の難燃性接着フィルムについて
説明する。

【００２８】本発明の難燃性接着フィルムは、上述の難
燃性接着剤からなる難燃性接着層が絶縁性基材フィルム
上に設けられた構造を有する。従って、この難燃性接着
フィルムは、良好な電気的絶縁性と接着性とを維持しな
がらハロゲン系難燃剤に匹敵する難燃性を実現できる難
燃性接着フィルムとなる。

【００２９】難燃性接着層の厚みは、難燃性接着フィル
ムの使用目的等により異なるが、通常１０〜１００μｍ
である。

【００３０】絶縁性基材フィルムとしては、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート
フィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンスルフ
ィドフィルム、ポリプロピレノキサイドフィルム、ポリ
エチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミ
ドフィルム等を挙げることができる。また、その厚み
は、使用目的に応じて適宜選択することができ、例え
ば、数μｍ〜数百μｍとすることができる。

【００３１】本発明の難燃性接着フィルムは、上述した
本発明の難燃性接着剤の有機溶剤（例えばトルエン）含
有溶液を、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁性基材
フィルム上に塗布乾燥して難燃性接着層を形成すること
により、あるいは難燃性接着剤を絶縁性基材フィルム上
に溶融押し出し成膜することにより製造することができ
る。

【００３２】本発明の難燃性接着フィルムは、フレキシ
ブルプリント基板、リジットプリント基板等の各種電子
部品の表面保護フィルムとして用いることができるが、
特にフラットケーブルを作製する際に好ましく使用する
ことができる。例えば、フラットケーブルは、複数の導
体を平行に配列した後に、難燃性接着フィルムを導体の
上下から積層することにより作製することができる。こ
こで、難燃性接着フィルムは、難燃剤の存在により常温
では接着力が十分でないので、積層の際に８０〜２００
℃の範囲に加熱したロールを使用する熱ラミネート法に
より作製することができる。

【００３３】

【実施例】以下、本発明について実施例により具体的に
説明する。

【００３４】実施例１〜７及び比較例１〜３ （難燃性接着剤の調製）表１又は表２に示す配合量で、
接着性樹脂としてポリエステル系樹脂（エリーテルシリ
ーズ（飽和ポリエステル樹脂）、ユニチカ社製）を、メ
チルエチルケトン７５重量部及びトルエン３００重量部
からなる混合溶媒に溶解し、その溶液に難燃剤及び難燃
助剤を添加し、混合攪拌して溶液状の難燃性接着剤を調
製した。

【００３５】（難燃性接着フィルムの作製）溶液状の難
燃性接着剤を、２５μｍの厚みのポリエステルフィルム
（ユニチカ社製）にバーコーターにより塗布し、乾燥炉
に投入してメチルエチルケトン及びトルエンを揮発さ
せ、難燃性接着層（４０μｍ厚）を形成した。これによ
り難燃性接着フィルムを得た。

【００３６】（フラットケーブルの作製）得られた難燃
性接着フィルムを所定の長さに切断したものを２枚用意
し、１つの難燃性接着フィルムに線厚が５０μｍである
複数の平角導体（平角銅線をスズメッキしたもの）を平
行に並設し、その上にもう一方の難燃性接着フィルムを
載置した後に、１５０℃に加熱した２本のロール間を通
過させることにより、両フィルムを貼り合わせ、フラッ
トケーブルを作製した。

【００３７】（評価）実施例１〜７及び比較例１〜３の
難燃性接着剤について、以下に説明するように、「電気
抵抗」、「難燃性」、「燃焼ガス」及び「接着性」に関
する評価を行った。得られた結果を表１及び表２に示
す。

【００３８】（電気抵抗）フラットケーブルの隣り合う
導体（導体長１００ｍｍ）間の電気抵抗（印加電圧０．
５ＫＶ）を測定した。電気抵抗が１０¹¹Ωを超える場合
を「○」として評価し、電気抵抗が１０¹⁰Ω以上１０¹¹
Ω未満の場合を「△」と評価し、電気抵抗が１０¹⁰Ω未
満の場合を「×」と評価した。

【００３９】ここで、フラットケーブルを高い安全性が
求められる自動車用部品、医療用機器等に適用する場合
には１０¹⁰Ω以上の電気抵抗が必要である。

【００４０】（難燃性及び燃焼ガス）ＵＬ−ＳＵＢ７５
８−ＶＷ１に準拠した方法で難燃性試験を行った。ここ
でハロゲン系難燃剤（比較例３）と同等の難燃性を示し
た場合を「○」として評価し、ハロゲン系難燃剤よりも
難燃性のレベルが劣っている場合を「×」と評価した。
また、難燃性試験において発生したガスを採集し、その
ガスのガスクロマトグラフ分析を行った。ここで、ハロ
ゲンガスが確認されなかった場合を「○」として評価
し、ハロゲンガスが確認された場合を「×」と評価し
た。

【００４１】（接着性）難燃性接着フィルム同士が接着
している部分、及び導体と難燃性接着フィルムとが接着
している部分を切り出し、６０℃の恒温槽に１週間放置
した後、各接着力をテンシロン（オリエンテック社製）
により測定した。ここで、接着フィルム同士及び導体と
難燃性接着フィルムとの間で０．５ｋｇ／ｃｍを超える
接着力が測定されたものを「○」として評価し、０．３
ｋｇ／ｃｍ以上０．５ｋｇ／ｃｍ未満の接着力が測定さ
れたものを「△」として評価し、０．３ｋｇ／ｃｍ未満
の接着力が測定されたものは「×」と評価した。

【００４２】

【表１】 実施例 （重量部） １ ２ ３ ４ ５ ６ ７ （接着性樹脂） ポリエステル系樹脂 100 100 100 100 100 100 100 （難燃剤） メラミンシアヌレート 80 80 80 80 40 100 80 ポリ燐酸メラミン 10 40 60 80 10 10 − ポリ燐酸アンモニウム − − − − − − 10 テ゛カフ゛ロモシ゛フェニルオキサイト゛ − − − − − − − （難燃助剤） 炭酸カルシウム − − − − 40 − − 水酸化アルミニウム − − − − 40 − − 三酸化アンチモン − − − − − − − （評価） 難燃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 接着性 ○ ○ △ △ ○ ○ ○ 電気抵抗 ○ ○ ○ △ ○ ○ △ 燃焼ガス ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

【００４３】

【表２】 比較例（重量部） １ ２ ３ （接着性樹脂） ポリエステル系樹脂 100 100 100 （難燃剤） メラミンシアヌレート − 100 − ポリ燐酸メラミン − − − ポリ燐酸アンモニウム − − 120 テ゛カフ゛ロモシ゛フェニルオキサイト゛ 60 − − （難燃助剤） 炭酸カルシウム − − − 水酸化アルミニウム − − − 三酸化アンチモン 32 − − （評価） 難燃性 ○ × ○ 接着性 ○ ○ × 電気抵抗 ○ ○ × 燃焼ガス × ○ ○

【００４４】（結果）表１から、ポリエステル系樹脂と
ポリ燐酸メラミン（ポリ燐酸系難燃剤）とメラミンシア
ヌレート（非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤）とを含有
する実施例１〜６の難燃性接着剤は、「難燃性」及び「燃
焼ガス」の評価項目について良好な結果が得られている
ことがわかる。また、ポリエステル系樹脂とポリ燐酸ア
ンモニウム（ポリ燐酸系難燃剤）とメラミンシアヌレー
ト（非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤）とを含有する実
施例７の難燃性接着剤も、「難燃性」及び「燃焼ガス」の
評価項目について良好な結果が得られていることがわか
る。但し、実施例１と実施例７を比較すると、「電気抵
抗」の評価においてわずかではあるが、実施例１が良好
であり、このことからポリ燐酸メラミンがポリ燐酸系難
燃剤の中でも好ましいことがわかる。

【００４５】また、メラミンシアヌレートを８０重量部
と一定にし、ポリ燐酸メラミンの量を１０〜８０重量部
と変化させたところ、実施例１〜３の難燃性接着剤は、
「難燃性」、「燃焼ガス」に加えて「電気抵抗」についても
良好であることがわかる。特に、実施例１及び２の難燃
性接着剤は、「難燃性」、「燃焼ガス」、「電気抵抗」に加
えて「接着性」についても良好である。

【００４６】次に、ポリ燐酸メラミンの量を１０重量部
と一定にし、メラミンシアヌレートの量を１００重量部
とした実施例６の難燃性接着剤、及びメラミンシアヌレ
ートの量を４０重量部としさらに難燃助剤を添加した実
施例５の難燃性接着剤も、「難燃性」、「燃焼ガス」、
「電気抵抗」に加えて「接着性」についても良好であること
がわかる。

【００４７】一方、表２から、従来のハロゲン系難燃剤
（デカブロモジフェニルオキサイド）を使用した比較例
１の難燃性接着剤は、「燃焼ガス」の問題を解決できな
いことがわかる。また、難燃剤としてメラミンシアヌレ
ートのみを使用した比較例２の難燃性接着剤の場合は、
「難燃性」について不十分な結果であることがわかる。
難燃剤としてポリ燐酸アンモニウムのみを使用した比較
例３の難燃性接着剤は、「接着性」及び「電気抵抗」につ
いて不十分な結果であることがわかる。

【００４８】

【発明の効果】本発明によれば、良好な電気的絶縁性と
接着性とを有し、しかもハロゲン系難燃剤に匹敵する難
燃性を有するノンハロゲン系の難燃性接着剤及びそれを
用いる難燃性接着フィルムが提供される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4J004 AA15 AA17 AA18 AB03 CA04 CA06 CC02 FA04 FA05 GA01 4J040 EB132 ED031 GA25 HA286 HC25 JA02 JA06 JA09 JB01 KA36 LA01 LA02 LA06 LA08 LA09 LA11 NA02 NA16 NA19 NA20

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 以下の成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）： （Ａ） ポリエステル系樹脂；（Ｂ） ポリ燐酸系難燃
   剤； 及び（Ｃ） 非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤を
   含有することを特徴とする難燃性接着剤。
2. 【請求項２】 成分（Ａ）のポリエステル系樹脂１００
   重量部に対し、成分（Ｂ）のポリ燐酸系難燃剤を５〜１
   ００重量部含有する請求項１記載の難燃性接着剤。
3. 【請求項３】 成分（Ａ）のポリエステル系樹脂１００
   重量部に対し、成分（Ｂ）のポリ燐酸系難燃剤を１０〜
   ６０重量部含有する請求項１記載の難燃性接着剤。
4. 【請求項４】 成分（Ｂ）のポリ燐酸系難燃剤が、ポリ
   燐酸メラミンである請求項１〜３のいずれかに記載の難
   燃性接着剤。
5. 【請求項５】 成分（Ａ）のポリエステル系樹脂１００
   重量部に対し、成分（Ｃ）の非ポリ燐酸系窒素含有有機
   難燃剤を３０〜１５０重量部含有する請求項１〜４のい
   ずれかに記載の難燃性接着剤。
6. 【請求項６】 成分（Ａ）のポリエステル系樹脂１００
   重量部に対し、成分（Ｃ）の非ポリ燐酸系窒素含有有機
   難燃剤を４０〜１００重量部含有する請求項１〜４のい
   ずれかに記載の難燃性接着剤。
7. 【請求項７】 成分（Ｃ）の非ポリ燐酸系窒素含有有機
   難燃剤が、メラミンシアヌレートである請求項１〜６の
   いずれかに記載の難燃性接着剤。
8. 【請求項８】 絶縁性基材フィルム上に、請求項１〜７
   のいずれかに記載の難燃性接着剤からなる難燃性接着層
   が形成されていることを特徴とする難燃性接着フィル
   ム。