JP2001089708A - 有機基材へ光触媒性薄膜を固着させるためのプライマ−組成物、及び光触媒性部材 - Google Patents

有機基材へ光触媒性薄膜を固着させるためのプライマ−組成物、及び光触媒性部材

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JP2001089708A
JP2001089708A JP26858299A JP26858299A JP2001089708A JP 2001089708 A JP2001089708 A JP 2001089708A JP 26858299 A JP26858299 A JP 26858299A JP 26858299 A JP26858299 A JP 26858299A JP 2001089708 A JP2001089708 A JP 2001089708A
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photocatalytic
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titanium oxide
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Eiichi Kojima
栄一 小島
Makoto Nakanishi
真 中西
Takeshi Yamauchi
健 山内
Takashi Yamamoto
剛史 山元
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機基材上に親水性・密着性・耐久性の良い光
触媒薄膜を低温で形成するためのプライマ−組成物、及
び光触媒性部材を提供すること。 【解決手段】本発明では上記課題を解決すべく、有機基
材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着させるためのプライ
マ−組成物として、有機無機比率の異なるハイブリット
ポリマーを2種類以上混合し、また、有機成分を30〜
80重量部、無機成分を70〜20重量部になるように
混合することを特徴とするプライマー組成物を硬化させ
て形成した層を介して、光触媒性酸化チタン粒子含有層
が形成されていることを特徴とする光触媒性部材を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機基材上に親水
性・密着性・耐久性の良い光触媒薄膜を低温で形成する
ためのプライマ−組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】光触媒は、バンドギャップ以上の光を照
射すると光半導性に基づいて、結晶の価電子帯中の電子
が光励起されて伝導電子と正孔を生じる。また光触媒性
薄膜を形成した部材は、その薄膜表面で次の2つの作用
を示す。
【0003】1つには、その正孔の有する酸化力と、伝
導電子の有する還元力に基づいてその量子エネルギ−に
より、酸化還元反応を生じさせることができる。正孔の
有する酸化力を有効に利用した用途としては、例えば、
脱臭、NOx、SOx等の汚染気体除去、抗菌、藻類の
発生防止、抗菌、藻類の発生防止等に基づく防汚、付着
油の分解、フェノ−ルやカルボニル化合物等の合成、有
機塩素除去などが提案されている。伝導電子の有する還
元力を有効に利用した用途としては、例えば、廃液中の
重金属除去、回路基板への金属析出、水素製造、炭酸ガ
スの還元などが提案されている。
【0004】また、別の反応として、結晶の価電子帯中
の電子が光励起されると、上記酸化還元反応だけでな
く、部材表面がそれに応じて親水化され、繰り返し、恒
久的に親水表面を維持することができることが、特許第
2756474号に開示されている。この現象は結晶表面に酸
素欠陥を生じるような構造変化を伴っており、その欠陥
に水酸基が配位し、吸着水が形成させ高度に親水化され
るものであり、前記の酸化分解のメカニズムとは、異な
るものと考えられている。このように基材表面が親水化
されると、透明部材の防曇や視界確保、可視性を向上す
ることができ、また降雨により機材表面をセルフクリー
ニングすることもできる。例えば、建物や乗り物の窓、
乗り物用のミラー、乗り物の風防、や、建物外壁、乗り
物外板、屋外表示装置、など多くの用途でその性能を発
揮することができる。
【0005】しかしながら、上記機能を有する光触媒薄
膜を、アクリル樹脂等の有機基材に固着させようとする
と、両物質間のなじみが悪く、強固な密着性を確保する
ことができなかった。
【0006】一方、紫外線により励起された光触媒は前
述の通り酸化還元作用を呈するが、この酸化還元作用は
場合によって基材表面を侵してしまうことがある。例え
ば、基材表面が塗装表面または樹脂表面である場合、光
触媒の酸化還元作用によって基材自体を分解させてしま
うため、密着低下、外観不良といった不具合が生じる。
【0007】そこでプラスチック基材へ光触媒薄膜を固
着させるためのプライマ−組成物としては、光触媒の酸
化還元作用による基材の分解を防ぐ効果を狙って、その
ほとんどが無機成分であるシリコーン樹脂、テトラエト
キシシラン等のアルキルシリケートが従来技術としてあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリコーン樹
脂はプラスチック基材に密着させるためにプライマー層
が必要であり、また場合によっては、シリコーン樹脂層
の上に光触媒層を密着させるためにコロナ放電処理が必
要な場合があるが、これらは生産を行うにあたり、工程
が増え、コストアップにつながる。
【0009】一方、テトラエトキシシランを加水分解・
縮重合させた物はとても硬く、熱膨張や水等による膨潤
もプラスチック基材に比べ小さい為、水・酸等に浸漬し
たり、サンシャインウエザーメーター促進耐候性試験等
を行うことによりワレ・クラックを発生し、その結果、
外観不良や親水不良を起こしたりする場合がある。
【0010】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、本発明の目的は、有機基材上に親水性・密
着性・耐久性の良い光触媒薄膜を低温で形成するための
プライマ−組成物、及び光触媒性部材を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決すべく、有機基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着さ
せるためのプライマ−組成物であって、有機無機比率の
異なる2種類以上の有機無機ハイブリッドポリマーを混
合してなる、有機基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着
させるためのプライマ−組成物を提供する。これをハイ
ブリッド混合ポリマーと呼ぶ。
【0012】さらに、本発明では上記課題を解決すべ
く、前記プライマー組成物において、混合後の全体を1
00重量部とした場合に、有機成分と無機成分の比率
を、固形分換算で、(a)有機成分が30重量部を越え
80重量部以下であって、(b)残部を無機成分、にな
るように混合したことを特徴とする、前記発明記載の有
機基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着させるためのプ
ライマ−組成物を提供する。有機成分は好ましくは50
重量部を越え80重量部未満(残部を無機成分)であ
り、更に好ましくは50重量部を越え70重量部未満
(残部を無機成分)になるようする。
【0013】さらに、本発明では上記課題を解決すべ
く、有機基材表面に、前記いずれかの発明に記載のプラ
イマ−組成物を硬化させて形成した層を有し、更にその
層上に光触媒性酸化チタン粒子含有層が形成されてなる
光触媒性部材を提供する。
【0014】前記発明に記載の光触媒性酸化チタン粒子
含有層には、難分解性の硬化性結着剤が含有されていて
も良い。更に前記発明に記載の前記難分解性の硬化性結
着剤は、シリコ−ン又はシリカであっても良い。
【0015】これらハイブリッド混合ポリマーを用いる
ことにより、所定の効果を奏する詳細なメカニズムは、
現時点で必ずしも詳らかでないが、おおよそ以下のよう
なものではないかと推論される。
【0016】まず、これらハイブリッド混合ポリマーを
用いると、海島構造を生じ、有機リッチなハイブリッド
ポリマーの部分と無機リッチな部分とがマクロ的に生じ
る。その有機リッチな部分は有機基材へ光触媒性酸化チ
タン粒子含有層を固着させる効果を高め、無機リッチな
部分は、光触媒の酸化作用によって基材表面が侵されて
しまうことを防止するため耐候性を高めると考えられ
る。
【0017】また、別の見方をすれば、プライマー層内
である種の濃度勾配が生じることにより、有機基材に近
い部分では有機リッチな部分になっており、表面層に近
い方では無機リッチな部分になっている可能性も考えら
れる。いずれにせよ、上記発明に記載の内容にて塗膜を
形成すれば、親水性・密着性等に優れた塗膜を提供する
ことができる。
【0018】さらに、本発明では、樹脂基材表面に、同
じ有機無機比率のポリマーで比較すると、海島構造のな
いミクロ的に均質なハイブリッド構造のものより、ハイ
ブリッドポリマーを混合したハイブリッド混合ポリマー
をプライマ−として硬化させて形成した層を介する方
が、密着性に優れた光触媒性部材を形成できる。
【0019】ここで言うハイブリッドとは、分子量分布
として有機成分と無機成分が分裂せずに連続する程度に
観測される構造をさし、またDMTAによる粘弾性スペクト
ルのtanδに有機成分由来のショルダーが観察されない
程度に均質に分子レベルに合成されたものである。本発
明では、その分子的に均質な構造体(ハイブリッド)を
あえて混合して、分子レベルに不均質な構造、すなわち
海島構造を作ることである。
【0020】本発明における(a)有機成分としては、
例えばポリオキサゾリン、ポリ(N、N−ジメチルアクリ
ルアミド)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリアク
リルアミド系スターバーストデンドリマー、ポリウレ
ア、スクロース誘導体、ポリエチレンオキシド、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およ
び無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジル(メタ)
アクリレ−トなどのエポキシ化合物、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレ−ト、アミノエチルビニルエ−テ
ルなどのアミノ化合物、(メタ)アクリルアミド、クロ
トンアミド、イタコン酸アミド、マレイン酸ジアミドな
どのアミド化合物、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど、ビニルポリマー・
アクリル系ポリマー、有機のアルコール性又は水溶性の
エマルション樹脂、その他の有機高分子、N,N-ジメチル
アセトアミド、ポリイミド等といった有機ポリマーを挙
げることができる。またこれらの有機高分子はモノマー
でも良い。そして、末端や側鎖にシラノール基、ケイ素
原子を有するシリル基又はアルコキシシリル基等を有す
る事により、無機成分との結合性を良くしたものもあ
る。有機成分はこれらに限定されるものではない。本発
明における好ましい有機成分としては、例えば、水酸基
または加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリ
ル基を有するシリル基含有ビニル系樹脂であり、本組成
の詳細は、次の通りである。有機成分であるシリル基含
有ビニル系樹脂は、主鎖が炭素骨格のビニル系重合体か
らなり、末端あるいは、側鎖にシラノ−ル基もしくは加
水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有
するものであり、該シリル基の多くは、下記一般式
(2):−Si(R2)3-nXn(式中、Xは水酸基、ア
ルコキシ基、アシロキシ基、アミノ基、フェノキシ基、
アルキルスルフィド基、などの加水分解性基、R2は水
素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル
基、nは1〜3の正の整数である)で示される。ここで
Xのうちアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基などを、アシロキシ基としてはアセチ
ル基、プロピオニル基などを、アルキルスルフィド基と
してはメチルスルフィド、エチルスルフィド基などを挙
げることができるが、好ましくは、水酸基、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基を挙
げることができる。また、R2としては、例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のア
ルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのア
リ−ル基およびベンジル基、フェネチル基、アラルキル
基を挙げることができる。これらのなかで好ましい例を
挙げると、メチル基、エチル基、フェニル基である。か
かるシリル基含有ビニル系樹脂は、例えば、下記一般式
(3): R3−Si(R2)3-nXn(式中、R2、Xおよ
びn は前記一般式(2)と同様であり、R3は例えばビ
ニル、2−プロペニル、3−アクリロキシプロピル、3
−メタクリロキシプロピル、4−ビニルフェニル、2−
(4−ビニル)フェニルエチル、などの重合性2重結合
を有する有機基である)で示されるシラン化合物とビニ
ル系化合物を共重合することにより製造することができ
る。ここでビニル系化合物としては 前記一般式(3)
のシラン化合物との付加体が得られる限りとくに制限を
受けるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2
−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキル
エステル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル
酸などの不飽和カルボン酸および無水マレイン酸などの
酸無水物、グリシジル(メタ)アクリレ−トなどのエポ
キシ化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−
ト、アミノエチルビニルエ−テルなどのアミノ化合物、
(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、イタコン酸
アミド、マレイン酸ジアミドなどのアミド化合物、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メ
チルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルなどから選ばれる1種以上のビニル系化合物と前
記一般式(3)のシラン化合物とをラジカル発生化合物
の存在下、一般的方法により共重合することにより得る
ことができる。
【0021】これらビニル系化合物のなかで好ましい例
を挙げると、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類で
あり、さらに好ましくはメタクリル酸アルキルエステル
類、特に好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキ
シルなどを挙げることができる。このようにして製造さ
れるシリル基含有ビニル系樹脂中の前記一般式(3)の
シラン化合物の割合はSi元素換算で、通常、0.01
〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、
0.01重量%未満では耐候性、密着性向上の効果は低
く、また20重量%を越えると組成物の保存安定性が低
下する場合がある。また、(d)成分のシリル基含有ビ
ニル系樹脂の示差熱分析法により求めたガラス転移温度
は通常−60℃〜150℃あるものを用いる。ガラス転
移温度が−60℃未満では充分な塗膜硬度が得られない
場合があり、一方150℃を越えると成膜性が低下する
場合がある。。また、(d)シリル基含有ビニル系樹脂
のポリスチレン換算重量平均分子量は、通常、5000
〜100,000である。重量平均分子量が5000未
満または100,000を超える場合には、得られる組
成物の粘度が塗装作業に適さない範囲になってしまう。
【0022】これら有機成分のシリル基含有ビニル系樹
脂は、1種単独でも2種以上を混合しても使用すること
もできる。
【0023】また、本発明における無機成分は、例え
ば、「一般式(1)RSi(ORl)3で表されるオルガ
ノアルコキシシランの加水分解物またはその部分縮合物
であるオルガノポリシロキサン」であり、本組成の詳細
は、次の通りである。
【0024】本発明における無機成分は、一般式(1)
RSi(ORl)3で表されるオルガノアルコキシシラン
を加水分解および部分縮合して得られたオルガノポリシ
ロキサンである。かかる一般式(1)中のRは、炭素数
1〜8の有機基であり、例えば、メチル基、エチル基、
ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基などの鎖状、分岐状および環状アルキル基、
そのほか、γ−クロロプロピル基、ビニル基、トリフル
オロプロピル基、γ−グリシドキしプロピル基、γ−メ
ルカプトプロピル基、γ−メタクリオキシプロピル基、
フェニル基、キシリル基、3,4−エポキシシクロヘキ
シルエチル基などの官能性アルキル基、アリ−ル基など
が挙げられる。Rの炭素数が8を越える場合、加水分解
速度、塗膜の乾燥性、硬度が低下する場合があり好まし
くない。
【0025】また、一般式(1)中のRlは、炭素数1
〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であ
り、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、アセチル基などが挙げ
られる。Rlの炭素数が5を越える場合、加水分解性、
塗膜の硬度が低下する場合があり好ましくない。一般式
(1)で表されるオルガノアルコキシシランの具体例と
しては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリイ
ソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラ
ン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、イソプロピ
ルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペ
ンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラ
ン、オクチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘ
キシルエチルトリメトキシシランを挙げることができる
が、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシランである。
【0026】また、一般式(1)で表されるオルガノア
ルコキシシランは、1種単独でも2種以上でも使用する
ことができるが、組成物の硬化性、硬度、耐候性、耐薬
品性の観点から一般式(1)で表されるオルガノアルコ
キシシランのうち、80モル%以上が一般式CH3Si
(ORl)3で表されるオルガノトリアルコキシシランで
ある場合が好ましい。
【0027】これら、オルガノアルコキシシランの加水
分解物および/または部分縮合物であるオルガノポリシ
ロキサンの製造法は既に公知であり、多くの方法が提案
されており、例えば、特公昭52−39691に開示さ
れる方法によって実施することができる。すなわち、そ
の方法は前記オルガノアルコキシシランに所定量の水を
加え、加熱することにより、加水分解、縮合を行わせる
工程からなっている。本発明のコ−ティング組成物に用
いる(a)オルガノポリシロキサンとしては、以下に示
すようにコ−ティング材としての性能が発現し、かつ、
本発明の最終組成物の含水量を0.15重量%以下にす
るのに最小量の脱水剤で達成できる水分量を用いて加水
分解、縮合を行ったものが好ましく、その分子量はゲル
パ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)を用い
て評価したポリスチレン換算重量平均分子量として50
0〜50,000、好ましくは500〜10,000の
ものである。
【0028】オルガノアルコキシシランの加水分解に使
用される水としては蒸留水、イオン交換水、もしくは後
述するコロイド状金属酸化物の分散媒体の水を用いるこ
とができる。加水分解に用いる水の添加量は前記オルガ
ノアルコキシシラン1モルに対して通常、1〜2モル、
好ましくは1.1〜1.5モルである。加水分解に使用
される水が1モル未満では組成物の成膜性が悪い場合が
あり、2モルを越えると最終組成物の含水量を0.15
重量%以下にするため多量の脱水剤の添加が必要にな
り、また、オルガノポリシロキサン自身の保存安定性も
低下する傾向にあるため好ましくない。加水分解または
縮合においては使用される水は通常、中性、もしくはコ
ロイド状金属酸化物を使用する場合は酸性のものが用い
られ、水素イオン濃度としては2〜7の範囲のものを使
用する。反応温度は通常20℃以上、溶剤の沸点以下で
あり、好ましくは40℃以上、150℃未満で実施され
る。また、反応時間は通常30分以上12時間未満であ
る。
【0029】有機成分と無機成分を複合する方法として
は、例えば以下の方法を挙げることができる。有機成分
であるアルコキシシリル基含有ビニルポリマーと無機成
分であるアルコキシシランを特定の触媒を用いて加水分
解し、縮重合するとビニルポリマー中のシリル基とポリ
シロキサンとの間に共有結合が形成されビニルポリマー
とポリシロキサンとが一種のグラフト構造を形成した有
機無機ハイブリットポリマー構造(複合)体が得られ
る。
【0030】これらの方法により前述した課題を同時に
解決するためには、まずは有機成分と無機成分の比率が
異なるハイブリッドポリマー(複合体)を、2種類以上
用意する。
【0031】続いて目的の有機無機比率になるように、
前述の有機無機ハイブリッドポリマーを混合し、ハイブ
リッド混合ポリマーを用意する。
【0032】本発明の好ましい態様においては、有機無
機ハイブリッドポリマーの有機成分と無機成分の比率
は、有機成分が多いほど基材との密着性を高めることが
できるが、光触媒層からの酸化分解を受けやすくなる。
一方、無機成分が多いと、光触媒層からの酸化分解をバ
リアする能力を高めることができるが、基材との密着性
が低下してしまう。
【0033】つまり、望ましくは、その混合後の有機成
分と無機成分の割合を固形分換算で、全組成物100重
量部に対して、有機成分30重量部以上80重量部以下
に対して、無機成分70未満から20重量部を越えるよ
うにする。さらに好ましくは、有機成分40重量部以上
70重量部以下に対して、無機成分60未満から30重
量部を越えるようにする、さらに好ましくは有機成分5
0重量部以上60重量部以下に対して、無機成分50未
満から40重量部を越えるようにする。
【0034】本発明の組成物に利用できる溶媒は、塗膜
形成要素が分散するものであれば特に制限されない。例
えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル
類、その他ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホル
ム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、
芳香族、脂環式の炭化水素、石油類等の一般的な有機溶
媒、あるいは水が挙げられ、これらを単独、もしくは混
合して用いることができる。
【0035】アルコ−ル類としては例えば1価アルコ−
ルまたは2価アルコ−ルを挙げることができる。これら
アルコ−ル類の具体例としては、メタノ−ル、エタノ−
ル、n−プロピルアルコ−ル、i−プロピルアルコ−
ル、n−ブチルアルコ−ル、i−ブチルアルコ−ル、s
ec−ブチルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ジエチ
レングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、エチレング
リコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノ
エチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テ
ルなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類
としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、などを、ま
たエ−テル類としては、ジメトキシメタン、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、酢酸エチレングリコ−ルモノエ
チルエ−テルなどを、ケトン類としては、メチルプロピ
ルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ア
セトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを、エス
テル類としては酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸エ
チル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、γ
−ブチロラクトンなどを挙げることができる。
【0036】本発明の塗料組成物は、さらに必要に応じ
て分散安定剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、香料、硬化剤などを添加
することが可能である。
【0037】さらに、本発明では、有機基材表面に、請
求項1および2に記載のプライマ−組成物を硬化させて
形成した層を介して、光触媒性酸化チタン粒子含有層が
形成されていることを特徴とする光触媒性部材を提供す
る。請求項1および2に記載のプライマ−組成物を硬化
させて形成した層を介することにより、有機基材への密
着性に優れた光触媒性部材を形成できる。
【0038】本発明に用いられる有機基材は、特に限定
されるものではなく通常公知のものがあげられる。たと
えば、板材、繊維、成形体、などに加工されるアクリル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂など、あるいは、塗料面としてのアクリル系塗
料、ウレタン系塗料、ポリエステル系塗料、アクリルシ
リコン系塗料、フッ素系塗料、無機系塗料、ハイブリッ
ド系塗料など公知のものを多数あげることができる。
【0039】アクリル系樹脂の場合、一般的なメタクリ
ル酸メチルエステルを始めとするメタクリル酸エステル
の単独重合体や他種類のメタクリル酸エステルとの共重
合体、さらにはアクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチ
レン、アクリルニトリル等との共重合体などで、共重合
体における各成分モノマーの割合はその性能に応じて任
意のものでよい。また、これら共重合体と耐衝撃性付与
剤、たとえばアクリルゴム、ブタジエンゴム等とからな
る組成物もあげることができる。
【0040】アクリル系重合体としては、例えばメタク
リル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエス
テルの重合体、これらの共重合体などが挙げられる。
【0041】メタクリル酸アルキルエステルとしてはメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどが例示され
る。アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基と
しては炭素原子数2〜10のアルキル基が好ましく、か
かるアクリル酸アルキルエステルとしてはアクリル酸エ
ステル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルなどが例示さ
れる。
【0042】アクリル系樹脂としては、例えばポリメタ
クリル酸メチル(MMA樹脂)、ゴム強化ポリメタクリル
酸メチル、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン
共重合体(MBS樹脂)、メタクリル酸メチル−アクリロ
ニリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS樹脂)及
びメタクリル酸メチル60重量%以上と他の共重合体ビニ
ルモノマー40重量%以下とを共重合させて成る重合体な
どが挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。また、前記共重合性ビニ
ルモノマーとしては、例えばメタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニ
トリル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0043】光触媒としては、高活性、安全、化学的に
安定、安価な点から酸化チタンが有用されており、アナ
タ−ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイ
ト型酸化チタンが好適に利用できる。 また他の光触媒
としては、ZnO、SnO2、SrTiO3、WO3、
Bi2O3、Fe2O3などの金属酸化物をあげること
ができる。
【0044】また、光触媒の粒子径としては、小さいほ
ど膜の透明性や硬度が高くなるので良い。好ましい態様
によれば、X線回折により求めた結晶子径で1〜30n
mであることが好ましく、より好ましくは1〜20nm
であり、さらに好ましくは10nm程度である。また成
膜後のSEM観察粒子径としては、10〜100nmが
好ましく、さらに好ましくは約20〜50nmである。
【0045】光触媒性酸化チタン粒子含有層の膜厚は
0.2μm以下にするのが好ましい。そうすれば、光の
干渉による層の発色を低減することができる。また表面
層が薄ければ薄いほど部材の透明度を確保することがで
きる。更に、膜厚を薄くすれば層の耐摩耗性が向上す
る。上記層の表面に、更に、親水化可能な耐摩耗性又は
耐食性の保護層や他の機能膜を設けてもよい。上記層
は、基材と比較して屈折率があまり高くないのが好まし
い。好ましくは層の屈折率は2以下であるのがよい。そ
うすれば、プライマ−と層との界面における光の反射を
抑制できる。
【0046】上記表面層にはAg、Cu、Znのような
金属を添加することができる。前記金属を添加した表面
層は、表面に付着した細菌を死滅させることができる。
更に、この表面層は、黴、藻、苔のような微生物の成長
を抑制する。従って、微生物起因の部材表面の汚れ付着
がより有効に抑制されるようになる。上記表面層にはP
t、Pd、Rh、Ru、Os、Irのような白金族金属
を添加することができる。前記金属を添加した表面層
は、光触媒による酸化活性を増強させることができ、部
材表面に付着した汚染物質の分解を促進する。
【0047】本発明における難分解性の硬化性結着剤と
は、光触媒の酸化作用による分解劣化反応が進行しない
か、分解速度が極めて遅い結着剤をいう。難分解性の硬
化性結着剤としては、シリコ−ン、シリカ、アクリルシ
リコン樹脂、フッ素系樹脂、アルミナ、水ガラス等が好
適に利用できる。
【0048】シリコ−ンとしては、トリメトキシメチル
シラン、トリエトキシメチルシラン、トリイソプロポキ
シメチルシラン、トリクロルメチルシラン、トリブロム
メチルシラン、トリt−ブトキシメチルシラン、トリク
ロルエチルシラン、トリブロムエチルシラン、トリメト
キシエチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリイ
ソプロポキシエチルシラン、トリt−ブトキシエチルシ
ラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピル
トリメトキシシラン、n−プロピルトリブロムシラン、
n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリt−
ブトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラ
ン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリ
ブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−
ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプ
ロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラ
ン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロ
ムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシル
トリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシ
ラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタ
デシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロム
シラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オ
クタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリ
イソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブト
キシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリ
ブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロ
ムシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジク
ロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジ
メトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニ
ルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチル
ジエトキシシラン、トリクロルヒドロシラン、トリブロ
ムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエト
キシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、
トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラ
ン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポ
キシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフル
オロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピル
トリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ト
リフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフ
ルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
イソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
t−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルト
リイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピ
ルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルト
リt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−
(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン等のシラン誘導体の加水分解、
脱水縮重合;又は上記シラン誘導体の部分加水分解物の
加水分解、脱水縮重合;又は上記シラン誘導体の部分加
水分解、脱水縮重合により生成する低分子シリコ−ンの
脱水縮重合により生成されるシリコ−ン等が好適に利用
できる。
【0049】シリカとしては、テトラクロルシラン、テ
トラブロムシラン等のテトラハロゲン化シランの加水分
解、脱水縮重合;又は、テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソプ
ロポキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテト
ラアルコキシシランの加水分解、脱水縮重合;又は、メ
チルシリケ−ト、エチルシリケ−ト、エチルメチルシリ
ケ−ト、プロピルシリケ−ト、ブチルシリケ−ト等のア
ルキルシリケ−トの加水分解、脱水縮重合により生成さ
れるシリカ等が好適に利用できる。
【0050】アクリルシリコン樹脂としては、シリコ−
ン樹脂とアクリル樹脂を複合化し、ブロック共重合させ
たもの、ポリメタクリレ−ト樹脂とシリコ−ン樹脂を複
合化させたもの等である。樹脂中のシリコン成分の含有
量は、光触媒による酸化劣化に対し強固であれば良い
が、シリコン含有量としては5%から90%が好まし
く、さらに好ましくは10%から70%で、中でも30
から60%が特に好ましい。表面強度を高めたり、柔軟
性を高める目的で、アクリルシリコン樹脂中にシリカを
添加したり、アクリルシリコン樹脂を2種以上混合した
り、シリコン系樹脂を添加してもよい。ここでシリコン
系樹脂には、シリコ−ン樹脂、アルキド変性シリコ−ン
樹脂、ウレタン変性シリコ−ン樹脂、ポリエステル変性
シリコ−ン樹脂、エポキシ変性シリコ−ン樹脂等が利用
できる。アクリルシリコン樹脂に光安定化剤を混合する
と耐久性の向上に効果がある。光安定化剤としては、ヒ
ンダ−ドアミン系等が利用できる。その他トリアゾ−ル
系等の紫外線吸収剤を混合してもよい。
【0051】フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ
化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エ
チレン、ポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六
フッ化プロピレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレ
ン共重合体、エチレン−塩化三フッ化エチレン共重合
体、四フッ化エチレン−パ−フルオロアルキルビニルエ
−テル共重合体、パ−フルオロシクロポリマ−、ビニル
エ−テル−フルオロオレフィン共重合体、ビニルエステ
ル−フルオロオレフィン共重合体等が好適に利用でき
る。
【0052】有機基材表面に、プライマ−組成物を硬化
させた層を形成するには、基材表面に、プライマ−組成
物をスプレ−コ−ティング、フロ−コ−ティング、ディ
ップコ−ティング、ロ−ルコ−ティング等の方法で塗布
し、硬化させることによる。プライマ−組成物の硬化
は、熱処理又は常温放置によりプライマ−組成物の加水
分解、脱水縮重合により、架橋を形成させて進行させ
る。
【0053】プライマ−層表面に、光触媒性酸化チタン
とシリコ−ンを含有する層を形成する方法は、光触媒性
酸化チタンと、上記シラン誘導体又はシラン誘導体の部
分加水分解物或いは上記低分子シリコ−ン等のシリコ−
ンの前駆体を含むコ−ティング液をプライマ−層表面
に、スプレ−コ−ティング、フロ−コ−ティング、ディ
ップコ−ティング、ロ−ルコ−ティング等の方法で塗布
し、シリコ−ンを硬化させることによる。シリコ−ンの
硬化は、熱処理又は常温放置により上記前駆体を加水分
解、脱水縮重合により、架橋を形成させて進行させる。
ここで、乾燥または硬化は、室温放置、強制乾燥、加
熱、紫外線照射等によって実施することができる。ま
た、プライマ−組成物が塗布された後、十分な乾燥を行
わずにウェットオン ウェットによって続けて光触媒性
酸化チタン含有組成物を塗布することもできる。プライ
マ−層表面に、光触媒性酸化チタンとシリカを含有する
層を形成する方法は、光触媒性酸化チタンと、上記テト
ラハロゲン化シラン又は上記テトラアルコキシシラン或
いは上記アルキルシリケ−ト等のシリカの前駆体を含む
コ−ティング液をプライマ−層表面に、スプレ−コ−テ
ィング、フロ−コ−ティング、ディップコ−ティング、
ロ−ルコ−ティング等の方法で塗布し、硬化させること
による。シリカの前駆体の硬化は、熱処理又は常温放置
により上記前駆体を加水分解、脱水縮重合により、架橋
を形成させて進行させる。本発明の好ましい態様におい
ては、光触媒性酸化チタン粒子含有層には、難分解性の
硬化性結着剤が含有されているようにする。難分解性の
硬化性結着剤で光触媒性酸化チタン粒子含有層を結着す
ることにより、光触媒性酸化チタン粒子の焼結のような
高温熱処理によることなく、常温〜150℃程度の低温
で、耐摩耗性の光触媒性酸化チタン粒子含有層を形成す
ることが可能となる。
【0054】本発明の好ましい態様においては、難分解
性の硬化性結着剤は、シリコ−ン又はシリカであるよう
にする。難分解性の硬化性結着剤にシリコ−ン又はシリ
カを用いるようにすることにより、特に光触媒による光
親水化作用において、0゜程度まで高度に親水化させる
のが容易となると共に、暗所における親水維持性も発揮
されるようになる。
【0055】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例を基
に説明する。
【実施例】実施例 有機無機比率が、有機/無機=70/30、固形分濃度
10%、PMMAを主な有機成分とし、シリコーンを主な無
機成分とする有機無機ハイブリッドポリマーにスズ系の
硬化剤を添加し撹拌した。次に有機無機比率が、有機/
無機=50/50と変えた有機無機ハイブリッドポリマ
ーを用意し、同様に、硬化剤を添加し撹拌した。次にこ
れらの有機無機ハイブリッドポリマーを等量ずつ混合・
攪拌し、有機無機比率が、有機/無機=60/40プラ
イマー組成物(ハイブリッド混合ポリマー)を得た。
【0056】次に弱アルカリ洗浄剤、精製水、エタノー
ルによる超音波洗浄を行い表面の油脂分を除去したポリ
カ板(タキロン(株)PC1600押出フ゜レート透明)にスプレ
ーコ−ティング法にてウエット状態にて約20〜25g/
m2基材表面に塗布後、温風循環式乾燥炉で80℃30分
乾燥させることにより、プライマ−塗膜を硬化させた。
【0057】さらにその後、石原産業製光触媒性コ−テ
ィング液STK01(アナタ−ゼ型酸化チタンとアルキ
ルシリケ−トと水とメタノ−ルとプロパノ−ルからなる
組成物)1.5重量部と石原産業製光触媒性コ−ティン
グ液STK03(アナタ−ゼ型酸化チタンとアルキルシ
リケ−トと水とメタノ−ルとプロパノ−ルからなる組成
物)1.5重量部とイソブチルアルコール97重量部を
混合・撹拌し、光触媒用組成物を用意した。
【0058】プライマ−塗膜面に同じくスプレーコ−テ
ィング法で光触媒用組成物をウエット状態にて約10〜
15g/m2基材表面に塗布後、温風循環式乾燥炉で80℃
30分乾燥させて光触媒層を硬化させ、本発明によるポ
リカ基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着させるための
プライマ−組成物、及び光触媒性部材を得た。
【0059】試料表面は均一透明であり、ヒビ等の外観
不良は観察されなかった。プライマ−塗膜と光触媒層と
の密着性を調べるために、JIS K5400に従い碁
盤目テ−プ剥離試験(2mm□×25マス)を行った。
その結果、剥れは4〜2個とわずかに観察された。さら
に試料の光励起による光親水化について調べた。光励起
による光親水化は、試料表面に紫外線照度0.5mW/
cm2の光源(三共電気、ブラックライトブル−(BL
B)蛍光灯)を24時間照射し、照射後の試料表面の水
との接触角を測定することにより調べた。ここで水との
接触角は接触角測定器(協和界面科学、CA−X15
0)を用い、マイクロシリンジから試料表面に水滴を滴
下した後10秒後に測定した。その結果、水との接触角
は0゜であり、高度に親水化されていることが確認され
た。JISK5400に従いSWOM試験を500hrまで実施したとこ
ろ、外観、親水性ともに異常はみられなかった。結果は
表1に示す
【表1】 *1:照射強度BLB0.5mw/cm2 ○=24hr以内に5゜未満
△=5゜未満達成 ×=5゜以上 *2:碁盤目剥離試験 ○=剥離無し △=一部剥離 ×
=全数剥離 *3:SWOM試験 ○=外観、親水性に異常なし 外観×
=外観、親水性異常あり
【0060】比較例 有機無機比率が、有機/無機=60/40である有機無
機ハイブリッドポリマーを1種類のみ用意した。その他
は、実施例と同様に同じポリカ板に塗布し、光触媒性部
材を得た。
【0061】実施例と同様に外観、密着性、親水性、SW
OM試験を評価した。試料表面は均一透明であり、ヒビ等
の外観不良は観察されなかった。また、光照射後の水と
の接触角は0゜であり、高度に親水化されていることが
確認された。また、SWOM試験後も外観、親水性ともに異
常が見られなかった。しかし、碁盤目テ−プ剥離試験に
よると、すべてのマスで剥れが観察され、実施例に比べ
て密着性が低いことがわかった。
【0062】
【発明の効果】本発明では、樹脂基材へ光触媒性酸化チ
タン粒子を固着させるためのプライマ−において、有機
リッチなハイブリッドポリマーの部分が、有機基材へ光
触媒性酸化チタン粒子含有層を固着させる効果を高め、
無機リッチなハイブリッドポリマーの部分が、光触媒の
酸化作用による基材表面の損傷を防止する効果を高める
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山元 剛史 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DL021 DL031 EA011 HA446 JC32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着
    させるためのプライマ−組成物であって、有機無機比率
    の異なる2種類以上の有機無機ハイブリッドポリマーを
    混合してなる、有機基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固
    着させるためのプライマ−組成物。
  2. 【請求項2】前記プライマー組成物において、混合後の
    全体を100重量部とした場合に、有機成分と無機成分
    の比率を、固形分換算で、(a)有機成分が30重量部
    を越え80重量部以下であって、(b)残部を無機成
    分、になるように混合したことを特徴とする、請求項1
    記載の有機基材へ光触媒性酸化チタン薄膜を固着させる
    ためのプライマ−組成物。
  3. 【請求項3】有機基材表面に、請求項1又は2に記載の
    プライマ−組成物を硬化させて形成した層を有し、更に
    その層上に光触媒性酸化チタン粒子含有層が形成されて
    なる光触媒性部材。
  4. 【請求項4】前記光触媒性酸化チタン粒子含有層には、
    難分解性の硬化性結着剤が含有されていることを特徴と
    する請求項3に記載の光触媒性部材。
  5. 【請求項5】前記難分解性の硬化性結着剤は、シリコ−
    ン又はシリカであることを特徴とする請求項3又は4に
    記載の光触媒性部材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001323189A (ja) * 2000-05-12 2001-11-20 Showa Highpolymer Co Ltd 酸化チタン光触媒コーティング膜接着保護層用組成物およびこれを用いた複合体
JP2008023840A (ja) * 2006-07-20 2008-02-07 Nippon Steel Corp 塗装板およびその製造方法
JP2011236356A (ja) * 2010-05-12 2011-11-24 Yokohama Rubber Co Ltd:The シーリング材用プライマー組成物
JP2016507676A (ja) * 2012-12-21 2016-03-10 ベーリンゲ、フォトカタリティック、アクチボラグVaelinge Photocatalytic Ab 建築用パネルを被覆する方法、及び、建築用パネル

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