JP2001086599A - ステレオ音響装置及びステレオ音響方法 - Google Patents

ステレオ音響装置及びステレオ音響方法

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JP2001086599A
JP2001086599A JP26131199A JP26131199A JP2001086599A JP 2001086599 A JP2001086599 A JP 2001086599A JP 26131199 A JP26131199 A JP 26131199A JP 26131199 A JP26131199 A JP 26131199A JP 2001086599 A JP2001086599 A JP 2001086599A
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digital filter
ear
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filter
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Application number
JP26131199A
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English (en)
Inventor
Takatsugu Kuwano
孝嗣 桑野
Akihiro Fujita
明裕 藤田
Kenji Kamata
健二 鎌田
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Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる発音システムの1つから発音される音響
のうち、一方の耳に届く音響を相殺して他方の耳に届く
音響のみが有効とされる相殺音響成分が生成され他の発
音システムから発音され、ステレオ音像生成に余分な音
響成分が消去される。 【解決手段】図17のクロストークキャンセル回路35
では、キャンセルデジタルフィルタ187Rで右相殺音
響成分R2が生成され、左の減算器188Lへ送られ、
左水平特性回路34Lからの左音響(L1)に対して、
右相殺音響成分R2が減算され、この減算された左音響
(L1−R2)は、波形成形回路189Lで波形成形さ
れ、上記左スピーカー30SLより発音される;キャン
セルデジタルフィルタ187Rでは、右音響が頭部を回
折または透過して左耳に到達する変化に応じたデジタル
フィルタ演算が行われ上記相殺音響成分R2が生成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステレオ音響装置及び
ステレオ音響方法に関し、特に発生される音響データに
ステレオ音像を形成させる装置及び方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、ステレオ音像を形成させるために、
右スピーカーと左スピーカーとの同じ音響データを供給
していた。そして、両スピーカーに供給される音響のレ
ベルの大きさが相対的に切り換えられれば、このステレ
オ音像は移動する。
【0003】例えば、右スピーカーの制御音量を左スピ
ーカーの制御音量より小さくすれば、ステレオ音像は左
スピーカーの方に移動する。また、左スピーカーの制御
音量を右スピーカーの制御音量より小さくすれば、ステ
レオ音像は右スピーカーの方に移動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなステレオ音像は、単に音量の変化によるものであ
り、正確なステレオ音像とはいえなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、発生される音響データが第1のデジタ
ルフィルタ手段及び第2のデジタルフィルタ手段でデジ
タルフィルタ演算され、この第1のデジタルフィルタ手
段と第2のデジタルフィルタ手段とは同じ演算処理が行
われ、供給されるフィルタ係数のみが異なり、かつ同時
に並行してデジタルフィルタ演算が行われ、これら第1
のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィルタ演算さ
れた音響データと、第2のデジタルフィルタ手段からの
デジタルフィルタ演算された音響データとが、異なる発
音システムに同時に供給される。これにより、元は同じ
音響データであっても、各発音システムで発生される音
響の音質がそれぞれ異なったものとなり、この音質の違
いによって微妙なステレオ音像を形成することができ
る。
【0006】また、一方のデジタルフィルタ手段で頭部
を回折または透過して一方の耳における垂直方向の音像
形成のためのデジタルフィルタ演算を行い、他方のデジ
タルフィルタ手段で他方の耳における垂直方向の音像形
成のためのデジタルフィルタ演算を行う(図5)。さら
に、このデジタルフィルタ演算されたデータと当該演算
されないデータとが所定配分で合成されて水平または垂
直の音像が形成され、この配分比率(A、K、L)が変
更されると音像位置も移動する(図6、図13、図1
4、図9)。特定の水平かつ垂直方向についての音像に
ついての、人間の両耳にそれぞれ対応したデジタルフィ
ルタ演算が行われ、これらのデジタルフィルタ演算結果
を重み付け合成すると、この重み付け割合に応じた他の
方向の音像が形成される(図10)。一方のチャンネル
のデジタルフィルタ手段で一方のチャンネルの相殺音響
成分が生成され、他方の発音システムへ減算成分として
送られ他方の音響データから差し引かれ相殺される(図
19)。これにより、ステレオ音像生成に余分な音響成
分が消去される。
【0007】
【発明の実施の形態】1.全体回路 図1はステレオ音響装置を内蔵またはステレオ音響方法
を実現する電子音響装置または電子楽器の全体回路を示
す。キーボード11の各キーは、楽音の発音及び消音を
指示するもので、キースキャン回路12によってスキャ
ンされ、キーオン、キーオフを示すデータが検出され、
コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に
書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記
憶部4に記憶されていた各キーのオン、オフの状態を示
すデータと比較され、各キーのオンイベント、オフイベ
ントの判別が、コントローラ2によって行われる。
【0008】このキーボード11の各キーには段差タッ
チスイッチが設けられ、各段差スイッチごとに上記スキ
ャンが行われ、各段差スイッチの先頭のオン/オフごと
にオンイベント/オフイベントの検出が行われる。この
段差スイッチによってタッチの速さと強さを示す上記タ
ッチ情報つまりイニシャルタッチデータとアフタタッチ
データとが発生される。
【0009】このキーボード11は、ローアキーボー
ド、アッパーキーボード、ペダルキーボード等から成っ
ており、それぞれにつき異なる音色の楽音、つまりエン
ベロープ波形の異なる楽音が発音される。そして、アッ
パーキーボードについては、1つのキーオンで2音色の
楽音を同時に鳴らすことも可能である。なお、キーボー
ド11は、電子弦楽器、電子吹奏(管)楽器、電子打楽
器(パッド等)、コンピュータのキーボード等で代用さ
れる。
【0010】パネルスイッチ群13の各スイッチは、ス
イッチスキャン回路14によって、スキャンされる。こ
のスキャンにより、各スイッチのオン、オフを示すデー
タが検出され、コントローラ2によってプログラム/デ
ータ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログ
ラム/データ記憶部4に記憶されていた各スイッチのオ
ン、オフの状態を示すデータと比較され、各スイッチの
オンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2
によって行われる。この発音される楽音は上記キーボー
ド11による手動演奏の楽音または自動演奏情報から再
生された自動演奏の楽音である。この手動演奏または自
動演奏の各楽音はミディ(ミュージカルインスツルメン
トデジタルインターフェース)回路15からも送られて
くる。
【0011】ミディ回路15は、外部接続された電子楽
器との間で楽音データの送受を行うためのインタフェー
スである。この楽音データはMIDI(ミュージカルイ
ンスツルメントデジタルインタフェース)規格のもの
で、この楽音データに基づいた発音も行われる。
【0012】上記キーボード11またはミディ回路15
には、自動演奏再生装置も含まれる。これらキーボード
11、パネルスイッチ群13及びミディ回路15から発
生された演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させ
るための情報である。キーボード11の手動演奏情報は
自動演奏情報としてプログラム/データ記憶部4に書き
込まれ記憶される。このミディ回路15を通じて、他の
機器から自動演奏情報が送られてきたり、プログラム/
データ記憶部4内の自動演奏情報が他の機器へ送られた
りする。
【0013】上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的
ファクタ(因子)情報であり、音高(音域)情報(音高
決定因子)、発音時間情報、音像情報、演奏分野情報、
発音数情報、共鳴度情報などである。発音時間情報は楽
音の発音開始からの経過時間を示す。演奏分野情報は、
演奏パート情報、楽音パート情報、楽器パート情報等を
示し、例えばメロディ、伴奏、コード、ベース、リズ
ム、MIDI等に対応したり、または上鍵盤、下鍵盤、
足鍵盤、ソロ鍵盤、MIDI等に対応している。
【0014】上記音高情報はキーナンバデータKNとし
て取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクター
ブデータ(音域データ)と音名データとからなる。演奏
分野情報は、パートナンバデータPNとして取り込ま
れ、このパートナンバデータPNは各演奏エリアを識別
するデータであって、発音操作された楽音がどの演奏エ
リアからのものかによって設定される。
【0015】発音時間情報は、トーンタイムデータTM
として取り込まれ、後述のフローチャートによって求め
られたり、キーオンイベントからのタイムカウントデー
タに基づいたり、またはエンベロープフェーズで代用さ
れる。この発音時間情報は特願平6−219324号明
細書及び図面に発音開始からの経過時間情報として詳し
く示される。
【0016】音像(ステレオ)情報は、音像データSI
として取り込まれ、ステレオ音響の音像の位置が決定さ
れる。この音像データSIは、上記パネルスイッチ群1
3またはミディ回路15から入力されたり、上記自動演
奏情報の中に記憶されていたりする。この音像データS
Iは、1つの楽音ごとに付加されていたり、複数の楽音
ごと、下記各音色ごと、上記各演奏分野ごとなど各種音
楽的フェーズごとに付加されている。
【0017】この音像データSIは、水平方向0〜36
0度及び垂直方向−90度〜+90度の範囲の値を持
つ。この音像データSIは、時間経過に応じて変化する
変化値と、時間変化に対して変化しない固定値とがあ
る。この音像データSIから、デジタルフィルタ演算デ
ータ(フィルタ係数)が求められ、後述するデジタルフ
ィルタ演算による音像形成が実現される。
【0018】発音数情報(同時発音数データSS)は同
時に発音している楽音の数を示し、例えばアサインメン
トメモリ60のオン/オフデータが「1」の楽音の数に
基づき、後述するフローチャートの処理によって求めら
れる。
【0019】共鳴度情報(共鳴度データKD)は、同時
に発音している1つの楽音と他の楽音との共鳴度を示
す。この1つの楽音の音高周波数と他の楽音の音高周波
数とが小さい整数数倍比であれば共鳴度情報の値は大き
く、大きい整数数倍比であれば共鳴度情報の値は小さく
なり、後述するフローチャートの処理によって求められ
る。この共鳴度情報は、同時に発音している各楽音同志
の音高・周波数の協和度・調和度・協和音関係または同
時に発音している各楽音の共振関係・共振内容も含むも
のである。
【0020】さらに、上記パネルスイッチ群13には各
種スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレ
ット、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル、
ホイール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッ
チ等であって楽器用のものである。このペダルはダンパ
ーペダル、サスティンペダル、ミュートペダル、ソフト
ペダル等である。
【0021】この各種スイッチより、楽音制御情報が発
生され、この楽音制御情報は発生された楽音を制御する
情報であって音楽的ファクタ(因子)情報であり、音色
情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作の速
さ/強さ)、発音数情報、共鳴度情報、エフェクト情
報、リズム情報、音像(ステレオ)情報、クオンタイズ
情報、変調情報、テンポ情報、エンベロープ情報等であ
る。これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報(楽音情
報)に合体され、上記各種スイッチより入力されるほ
か、上記自動演奏情報に合体されたり、上記インターフ
ェイスで送受される演奏情報に合体される。
【0022】上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、
管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽
器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等
に対応しており、トーンナンバデータTNとして取り込
まれる。上記エンベロープ情報は、上述のエンベロープ
スピードES、エンベロープレベルEL、エンベロープ
タイムET、エンベロープフェーズEFなどである。
【0023】このような音楽的ファクタ情報は、コント
ローラ2へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメー
タの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上記
演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコントロ
ーラ2で処理され、各種データが楽音信号発生部5へ送
られ、楽音波形信号MWが発生される。コントローラ2
はCPU、ROM及びRAMなどからなっている。
【0024】プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒
体/手段)には、後述する自動演奏情報が記憶されてい
る。この自動演奏情報の中には発音開始タイミング情報
とエンベロープ種類情報とが記憶されている。このエン
ベロープ種類情報に基づいて発音開始タイミング情報が
変更制御される。
【0025】プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒
体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フラ
ッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からな
り、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部7
(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプ
ログラムが書き写され記憶される(インストール/転送
される)。またプログラム/データ記憶部4には外部の
電子楽器またはコンピュータから上記ミディ回路15ま
たは送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶さ
れる(インストール/転送される)。このプログラムの
記憶媒体は通信媒体も含む。
【0026】このインストール(転送/複写)は、情報
記憶部7が本楽音生成装置にセットされたとき、または
本楽音生成装置の電源が投入されたとき自動的に実行さ
れ、または操作者による操作によってインストールされ
る。上記プログラムは、コントローラ2が各種処理を行
うための後述するフローチャートに応じたプログラムで
ある。
【0027】なお、本装置に予め別のオペレーティング
システム、システムプログラム(OS)、その他のプロ
グラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、そ
の他のプログラムとともに実行されてもよい。このプロ
グラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールさ
れ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単
独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行
させることができればよい。
【0028】また、このプログラムの一部又は全部が本
装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本
装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処
理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送
受され、本装置及び別装置全体として、本発明が実行さ
れてもよい。
【0029】このプログラム/データ記憶部4には、上
述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及びそ
の他の各種データも記憶される。この各種データには時
分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当の
ためデータ等も含まれる。
【0030】楽音信号発生部5では、各部分音ごとに楽
音波形信号MWが繰り返し発生されサウンドシステム6
から発音出力される。上記音高情報に応じて、この繰り
返し発生される楽音波形信号MWの発生速度は変化され
る。また上記音色情報などの音楽的ファクタ情報に応じ
て、この繰り返し発生される楽音波形信号MWの波形形
状は切り換えられる。この楽音信号発生部5は時分割処
理によって複数の楽音信号が同時に生成されポリフォニ
ックに発音される。
【0031】タイミング発生部3からは、楽音生成装置
の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール信
号が各回路に出力される。このタイミングコントロール
信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロッ
ク信号を論理積または論理和した信号、時分割処理のチ
ャンネル分割時間の周期を持つチャンネルクロック信号
CHφ、このn倍(n=1、2、3、…)の周波数を持
つチャンネルクロック信号nCHφ、チャンネルナンバ
データCHNo、このn倍(n=1、2、3、…)のイ
ンクリメント速度を持つチャンネルナンバデータnCH
No、タイムカウントデータTIなどを含む。
【0032】このタイムカウントデータTIは、絶対時
間つまり時間の経過を示し、このタイムカウントデータ
TIのオーバフローリセットから次のオバーフローリセ
ットまでの周期は、各楽音のうち最も長い発音時間より
長く、場合によって数倍に設定される。
【0033】2.楽音信号発生部5 図2は上記楽音信号発生部5を示す。周波数ナンバ累算
器22には、アサインメントメモリ20から読み出され
た各チャンネルのキーナンバデータKN及びトーンナン
バデータTN等の音楽的ファクタが送られ、キーナンバ
データKNに応じた周波数ナンバデータFNが時分割に
累算され、この累算された累算周波数ナンバデータFN
Aは楽音波形メモリ23へ読み出しアドレスデータとし
て時分割に供給される。
【0034】上記楽音波形メモリ23には、複数の楽音
波形データMWが記憶されており、各楽音波形データM
Wは上記累算周波数ナンバデータFNAに基づいて時分
割に読み出される。各楽音波形データMWの選択は、上
記トーンナンバデータTN等の音楽的ファクタまたはパ
ネルスイッチ群13での操作者による選択操作に基づい
て行われる。
【0035】このトーンナンバデータTN等の音楽的フ
ァクタは、アサインメントメモリ20から読み出され、
上記周波数ナンバ累算器22へ送られ、バンクデータB
Kに変換され、上記楽音波形メモリ23へ上位読み出し
アドレスデータとして供給される。下位読み出しアドレ
スデータは、上記累算周波数ナンバデータFNAであ
る。
【0036】この楽音波形データMWは、ピアノ、バイ
オリン、フルート、シンバル等の楽器音の波形のサンプ
リングデータである。この楽音波形データMWは、サイ
ン波、三角波、短形波等の波形に対応したり、高調波成
分の含有率やノイズ音成分の含有率等、特定成分の含有
率の大きさに対応したり、特定フォルマントに応じたス
ペクトル成分グループに対応したり、発音開始から発音
終了までの全波形の種類に対応したり、タッチデータT
Cまたは/及びキースケーリングデータKSに対応した
りしてもよい。
【0037】上記サイン波、三角波、短形波などの単純
形状の楽音波形データMWについては、高速演算処理に
よって発生させる事も可能である。むろん複雑な波形に
ついても、高速演算処理によって発生させる事も可能で
ある。
【0038】エンベロープジェネレータ24には、アサ
インメントメモリ20から読み出された各チャンネルの
上記トーンナンバデータTNなどの音楽的ファクタが送
られ、このトーンナンバデータTNなどに応じたエンベ
ロープ波形データENが時分割に発生される。このエン
ベロープ波形データENは、乗算器25で上記楽音波形
メモリ23から読み出された楽音波形データMWに乗算
され、上記サウンドシステム6へ送られて発音出力され
る。
【0039】3.サウンドシステム6 図3は上記サウンドシステム6を示す。上記乗算器25
からの楽音波形データMWは、右音源の楽音波形データ
MWと左音源の楽音波形データMWとに分けられ、左右
の楽音波形データが、それぞれパンポット回路26、右
累算回路27R、右D−A変換器28R及び右アンプ2
9Rを介して右スピーカ30SR(右ヘッドホンスピー
カー30HR)より発音されるとともに、パンポット回
路26、左累算回路27L、左D−A変換器28L及び
左アンプ29Lを介して左スピーカ30SL(左ヘッド
ホンスピーカー30HL)より発音される。
【0040】この右累算回路27R、右D−A変換器2
8R及び右アンプ29Rを介して右スピーカ30SR
(右ヘッドホンスピーカー30HR)と、この左累算回
路27L、左D−A変換器28L及び左アンプ29Lを
介して左スピーカ30SL(左ヘッドホンスピーカー3
0HL)とは、互いに異なる発音システムであって、こ
れら両発音システムにおいてステレオ音像が形成され、
ステレオ音響が発生される。右スピーカ30SR及び左
スピーカ30SLは、人間の耳に対して離れた位置にあ
り、右ヘッドホンスピーカー30HR及び左ヘッドホン
スピーカー30HLは、ヘッドホンまたはステレオイヤ
ホンにおけるものであり、人間の耳に非常に接近して配
置される。
【0041】パンポット回路26には、上記アサインメ
ントメモリ20から読み出された各チャンネルの前後左
右の音像データSIが供給され、前後左右の楽音波形デ
ータMWに対してステレオ制御が行われる。この前後左
右の音像データSIは、2つのデジタルフィルタ演算デ
ータ(フィルタ係数データ)でもあり、このステレオ制
御では、前後左右の楽音波形データMWに対して異なる
デジタルフィルタ制御が同時に行われる。
【0042】4.パンポット回路26 図4は上記パンポット回路26を示す。上記乗算器25
からの楽音波形データMWは、2つの上下垂直特性回路
31L(左)、上下垂直特性回路31R(右)に入力さ
れ、上下方向の音像形成のデジタルフィルタ演算制御が
なされ、左右前後重み付け回路32で重み付けされ、前
後左右への配分割合が決定される。さらに、左遅延回路
33L及び右遅延回路33Rで遅延され、左水平特性回
路34L及び右水平特性回路34Rで水平方向の音像形
成のデジタルフィルタ演算制御がなされ、クロストーク
キャンセル回路35で音像形成に余分な信号成分がキャ
ンセルされ、上記左累算回路27L及び右累算回路27
Rへ送られる。
【0043】これら2つの上下垂直特性回路31L
(左)、上下垂直特性回路31R(右)、左水平特性回
路34L及び右水平特性回路34Rでは、同じデジタル
フィルタ演算処理が行われ、供給されるフィルタ係数の
みが異なり、かつ同時に並行してデジタルフィルタ制御
が行われる。
【0044】上記上下垂直特性回路31L、上下垂直特
性回路31Rには、上記アサインメントメモリ20から
の音像データSIのうち、垂直方向のデータに応じたフ
ィルタ係数が供給されて上下方向の音像形成制御が行わ
れる。上下垂直特性回路31L(左)では聴者の左耳に
入る音響のデジタルフィルタ演算が行われ、上下垂直特
性回路31R(右)では聴者の右耳に入る音響のデジタ
ルフィルタ演算が行われる。
【0045】上記左水平特性回路34L及び右水平特性
回路34Rには、上記アサインメントメモリ20からの
音像データSIのうち、水平方向のデータに応じたフィ
ルタ係数が供給されて前後左右水平方向の音像形成制御
が行われる。
【0046】上記クロストークキャンセル回路35で
は、右チャンネルの発音音響のうち、左の耳に届く音響
を相殺する音響成分が生成され、左チャンネルの発音音
響に付加され、左の発音システムへ供給され発音され
る。また、このクロストークキャンセル回路35では、
左チャンネルの発音音響のうち、右の耳に届く音響を相
殺する音響成分が生成され、右チャンネルの発音音響に
付加され、右の発音システムへ供給され発音される。
【0047】これにより、右チャンネルの発音音響のう
ち、聞いている人間の右の耳に届く音響のみが有効とさ
れ、右チャンネルの発音音響は左に耳には届かない。ま
た同様に、左チャンネルの発音音響のうち、聞いている
人間の左の耳に届く音響のみが有効とされ、左チャンネ
ルの発音音響は左に耳には届かない。
【0048】このような余分な音響成分の相殺は上下の
音像形成についても同様に実行される。このように、異
なる発音システムの1つから発音される音響のうち、一
方の耳に届く音響を相殺して他方の耳に届く音響のみが
有効とされる音響成分が他の発音システムから発音され
る。
【0049】なお、ステレオ音響制御された楽音波形デ
ータMWがヘッドホンに供給されるときは、上記クロス
トークキャンセル回路35は使用されない。この場合、
上記左水平特性回路34L及び右水平特性回路34Rか
らの楽音波形データMWは、直接上記左累算回路27L
及び右累算回路27Rへ送られる。そして、ヘッドホン
の使用がセンサまたはその他の切換スイッチを通じてコ
ントローラ2によって判別されると、ゲートが切り換え
られて、クロストークキャンセル回路35を経ないで、
上記左水平特性回路34L及び右水平特性回路34Rか
らの楽音波形データMWは、直接上記左累算回路27L
及び右累算回路27Rへ送られる。
【0050】5.上下垂直特性回路31L(左)、上下
垂直特性回路31R(右) 図5は、上記上下垂直特性回路31L(左)及び上下垂
直特性回路31R(右)を示す。上記乗算器25からの
楽音波形データMWは、3段のフィルタ配分回路71、
72、73及び乗算器55を経て、上記上記左右前後重
み付け回路32へ送られる。フィルタ配分回路71は、
デジタルフィルタ41、乗算器42、43、加算器44
からなり、フィルタ配分回路72は、デジタルフィルタ
46、乗算器47、48、加算器49からなり、フィル
タ配分回路73は、デジタルフィルタ51、乗算器5
2、53、加算器54からなる。
【0051】上記乗算器25からの楽音波形データMW
は、デジタルフィルタ41でフィルタ制御され、乗算器
42でフィルタ係数(1−A)が乗算される。また、上
記乗算器25からの楽音波形データMWは、乗算器43
でフィルタ係数Aが乗算され、加算器44で上記フィル
タ係数(1−A)が乗算された楽音波形データMWに加
算合成される。これにより、デジタルフィルタ演算され
た音響データとデジタルフィルタ演算されない音響デー
タとが所定の配分で加算合成される。
【0052】このフィルタ係数A及び(1−A)は、加
算合成すると必ず「1」になり、このフィルタ係数Aの
値が変更されると、デジタルフィルタ制御される音響成
分とデジタルフィルタ制御されない音響成分との合成割
合つまり配分割合が変更される。このフィルタ係数Aの
値が変更されると、この両音響データの合成配分の割合
が変えられ、上記形成されるステレオ音像の位置が変化
される。
【0053】このフィルタ係数は以下の演算式で求めら
れる。 A=α×cos(2π×SI/180+β)+γ×co
s(4π×SI/180+δ)+ε ここでSIは上下垂直方向の音像データであって、音像
の上下垂直方向の角度(度)であり、α、β、γ、δ、
εは正または負の定数であり、値はフィルタ係数A、
B、C、D、E、F、G、Hごとに異なる。
【0054】音像データSIが垂直方向0度であると、
フィルタ係数A=1.0となる。音像データSIが垂直
方向+45度であると、フィルタ係数A=0.2とな
る。音像データSIが垂直方向+90度であると、フィ
ルタ係数A=0.0となる。一方、音像データSIが垂
直方向−45度であると、フィルタ係数A=0.35と
なる。音像データSIが垂直方向−90度であると、フ
ィルタ係数A=0.175となる。以上の変化特性は他
のフィルタ係数B、Cでも同様であり、多少値が異な
る。
【0055】これらフィルタ配分回路71、72、73
でフィルタ制御された楽音波形データMWは、乗算器5
5でレベル制御されて上記左右前後重み付け回路32へ
送られる。この乗算器55にはフィルタ係数Dが供給さ
れている。
【0056】これらの3段のフィルタ配分回路71、7
2、73の各デジタルフィルタ41、46、51のフィ
ルタ特性は異なっており、フィルタ制御される周波数帯
域、フィルタ制御される減衰特性または共振特性がそれ
ぞれ異なっている。これらの3段のフィルタ配分回路7
1、72、73それぞれでは、例えば、周波数特性が特
徴的にまたは大きく変化する3つの周波数帯域部分につ
いて、または低音、中音、高音の3つの周波数帯域部分
について減衰量または共振量が制御される。
【0057】また、これらの3段のフィルタ配分回路7
1、72、73それぞれのフィルタ係数A及び(1−
A)、B及び(1−B)、C及び(1−C)、Dの各値
は一部同じまたは互いに異なっている。これにより、デ
ジタルフィルタ制御される音響成分とデジタルフィルタ
制御されない音響成分との合成割合つまり配分割合が、
各周波数帯域ごとに異なる。
【0058】他方の上下垂直特性回路31Rも同様の構
成及び動作であり、上記フィルタ配分回路71、72、
73、乗算器55と同じフィルタ配分回路76、77、
78、乗算器70から構成される。このフィルタ配分回
路76は、デジタルフィルタ56、乗算器57、58、
加算器59からなり、フィルタ配分回路77は、デジタ
ルフィルタ61、乗算器62、63、加算器64からな
り、フィルタ配分回路73は、デジタルフィルタ66、
乗算器67、68、加算器69からなる。このフィルタ
配分回路76、77、78のフィルタ係数E及び(1−
E)、F及び(1−F)、G及び(1−G)、Hの各値
もそれぞれ異なっている。乗算器70ではフィルタ係数
Hが乗算される。
【0059】上下垂直特性回路31L及び上下垂直特性
回路31Rに供給される各フィルタ係数AとE、Bと
F、CとG、DとHは、多少異なっていて、上下垂直特
性回路31Lと上下垂直特性回路31Rとでは、異なる
デジタルフィルタ演算が行われる。これは、上下垂直特
性回路31L(左)では聴者の左耳に入る音響の音像形
成制御が行われ、上下垂直特性回路31R(右)では聴
者の右耳に入る音響の音像形成制御が行われるからであ
る。
【0060】すなわち、同じ音響であり、水平及び垂直
方向が同じ1つの音源からの音響であっても、右耳と左
耳とに届く音響の周波数特性の変化が異なるからであ
る。この違いに応じて上記各フィルタ係数AとE、Bと
F、CとG、DとHとの各値は、異なっている。しか
し、これらの各フィルタ係数は同じ値であってもよい。
これらフィルタ係数A、B、C、D、E、F、G、Hの
各値が変更されると、上述したようにステレオ音像位置
が上下垂直方向に変更される。
【0061】これら2つの上下垂直特性回路31L
(左)及び上下垂直特性回路31R(右)では、同じデ
ジタルフィルタ演算処理が行われ、つまり演算式として
は同じであり、供給されるフィルタ係数のみが異なり、
かつ同時に並行してデジタルフィルタ制御が行われる。
【0062】6.デジタルフィルタ41、46、51、
56、61、66 図6は上記デジタルフィルタ41、46、51、56、
61、66の1つを示す。ここでは、デジタルフィルタ
41を例にとって説明する。このデジタルフィルタ41
は2次IIR零点移動型である。むろん、FIR型でも
よい。デジタルフィルタ41と56、46と61、51
と66は、それぞれ同じフィルタ係数が供給され、同じ
デジタルフィルタ演算が行われ、同じデジタルフィルタ
特性を有する。むろん、異なっていてもよい。
【0063】上記楽音波形データMWは乗算器87でフ
ィルタ係数cが乗算されて加算器90へ送られ、同じく
楽音波形データMWは遅延器82で遅延され乗算器86
でフィルタ係数bが乗算されて加算器90へ送られ、同
じく楽音波形データMWは遅延器82及び81で遅延さ
れ乗算器85でフィルタ係数aが乗算されて加算器90
へ送られる。
【0064】この加算器90で合成された楽音波形デー
タMWは遅延器84で遅延され乗算器89でフィルタ係
数eが乗算されて加算器90へ送られ、この加算器90
で合成された楽音波形データMWは遅延器84及び83
で遅延され乗算器88でフィルタ係数dが乗算されて加
算器90へ送られ、帰還合成される。上記遅延器81、
82、83、84の遅延量はデジタルの楽音波形データ
MWのサンプリング周期と同じまたは整数倍若しくは整
数分の1である。
【0065】7.上下の音像制御のフィルタ係数 図7はプログラム/データ記憶部4に記憶されたフィル
タ係数を示す。上記フィルタ係数a、b、c、d、eは
各デジタルフィルタ41、46、51、56、61、6
6につき6組ある。この6組のフィルタ係数a、b、
c、d、eの値は、各デジタルフィルタごとに異なって
いる。むろん同じでもよい。
【0066】この6組のフィルタ係数a、b、c、d、
e、さらに上記フィルタ係数A及び(1−A)、B及び
(1−B)、C及び(1−C)、E及び(1−E)、F
及び(1−F)、G及び(1−G)、D、Hは、プログ
ラム/データ記憶部4に図7に示すように多種類記憶さ
れ、上記上下垂直方向の音像データSIに対応するフィ
ルタ係数がコントローラ2によって読み出され、上記上
下垂直特性回路31L、上下垂直特性回路31Rに供給
される。この場合、これらのフィルタ係数を記憶する多
数のラッチが図5の上下垂直特性回路31L、上下垂直
特性回路31Rには設けられているが、図面では省略さ
れている。
【0067】上記1組のフィルタ係数a、b、c、d、
eは音像データSIが垂直方向0度から+90度までは
同じ値となっている。上記フィルタ係数a、b、c、
d、eは音像データSIが垂直方向0度から−90度ま
では同じ値となっている。むろん、それぞれ異なってい
てもよい。しかし、このプラス側つまり音像が上側のと
きとマイナス側つまり音像が下側とでは、フィルタ係数
a、b、c、d、eの値は異なっている。
【0068】上記デジタルフィルタ41と56、46と
61、51と66との各組のフィルタ係数a、b、c、
d、e、つまり左右チャンネル2組のフィルタ係数a、
b、c、d、eは、以下のようにして決定される。
【0069】左側のデジタルフィルタ41、46、51
のフィルタ係数では、基準音像からの人間の頭部または
耳部を回折または透過して左耳に到達した音響の、回折
前または透過前の音響に対する周波数特性を実現するた
めのデジタルフィルタ演算が実行される。また右側のデ
ジタルフィルタ46、51、56のフィルタ係数では、
上記基準音像からの人間の頭部または耳部を回折または
透過して右耳に到達した音響の、回折前または透過前の
音響に対する周波数特性を実現するためのデジタルフィ
ルタ演算が実行される。
【0070】こうして、特定の水平かつ垂直方向につい
ての音像についての、人間の両耳に対それぞれ応したデ
ジタルフィルタ演算が行われる。上記基準音像は、特定
の水平かつ垂直方向についての音像であって、例えば、
直方向+−0度かつ水平方向90度の音像である。むろ
んこれらと異なる音像位置からの音響が基準とされても
よい。
【0071】上記フィルタ係数A、B、C、D、E、
F、G、Hの各値が変更されると、上述したようにステ
レオ音像位置が上下垂直方向に変更される。つまり、こ
のフィルタ係数によって、人間の頭部または耳部を回折
または透過した音響の、回折前または透過前の音響に対
する周波数特性を実現するためのデジタルフィルタ演算
が実行される。この場合、回折前または透過前の音響と
しては、音像位置が垂直方向+−0度かつ水平方向0度
の音像であって水平正面からの音響が両耳に届く音響が
用いられる。むろんこれらと異なる音像位置からの音響
が基準とされてもよい。
【0072】これらのフィルタ係数は、上記音楽的ファ
クタ(因子)情報ごとに記憶されて、入力され、読み出
されまたは供給された音楽的ファクタ(因子)情報に応
じて、形成される音像位置が変化される。したがって、
形成される音像位置は、上述の音高(音域)情報(音高
決定因子)、発音時間情報、音像情報、演奏分野情報、
発音数情報、共鳴度情報、音色情報(音色決定因子)、
タッチ情報(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情
報、共鳴度情報、エフェクト情報、リズム情報、クオン
タイズ情報、変調情報、テンポ情報、エンベロープ情報
の変化に応じて変化される。
【0073】8.上下の音像制御のフィルタ特性 図8は上記デジタルフィルタ41、46、51、56、
61、66それぞれのフィルタ特性つまり周波数特性、
減衰特性及び共振特性の一例を示す。上述の6組のフィ
ルタ係数a、b、c、d、e、さらに上記フィルタ係数
A及び(1−A)、B及び(1−B)、C及び(1−
C)、E及び(1−E)、F及び(1−F)、G及び
(1−G)、D、Hによって、各デジタルフィルタ4
1、46、51、56、61、66でデジタルフィルタ
演算が実行され、上下方向の音像位置または音像特性が
実現制御される。上記6組のフィルタ係数a、b、c、
d、eによって、図8(A)(B)(C)(D)(E)
(F)のそれぞれの特性が実現される。この図8の縦軸
はゲイン(減衰量、レベル)値、横軸は周波数値であ
る。
【0074】この例では、上下垂直特性回路31Lのデ
ジタルフィルタ41、46、51が、上下垂直特性回路
31Rのデジタルフィルタ56、61、66より、高調
波成分が多くなる。むろん逆でもよい。他の音像位置で
は、このフィルタ特性が徐々に変化していく。
【0075】このようなフィルタ特性は、実際に計測し
て求められる。計測に用いられる音響が各音像方向から
バイノーラルマイク(ダミーヘッドマイク)に向かって
発音される。この場合、計測に用いられる音響の周波数
帯域は全周波数帯域である。しかし、例えば低音、中
音、高音の3帯域でもよく、この3帯域の音響が各音像
方向からバイノーラルマイクに向かって発音されてもよ
い。バイノーラルマイク(ダミーヘッドマイク)とは人
間の頭部の形をしたマイクであり、両耳の位置にマイク
が設けられている。
【0076】これらの計測音響につき、垂直方向−90
度から+90度まで所定度数刻み例えば1度、5度、1
0度、20度、45度または90度刻みで発音が行わ
れ、上記バイノーラルマイクで集音された音響と発音音
響との周波数特性の差が求められる。この差の周波数特
性を実現するフィルタ係数が計算される。この周波数特
性からフィルタ係数を求める手法は周知である。
【0077】こうして、人間の頭部及び耳部の水平方
向、垂直方向、左右方向、前後方向または上下方向、こ
れら左右方向、前後方向または上下方向の間の斜めの各
方向について、人間の頭部及び耳部での音響の回折及び
透過に応じた周波数特性が計測され、それぞれの方向に
対応する上記フィルタ係数が求められる。
【0078】そして、ステレオ音像位置を形成するため
に左耳に到達する音響を実現するためのデジタルフィル
タ演算処理結果と、ステレオ音像位置を形成するために
右耳に到達する音響を実現するためのデジタルフィルタ
演算処理結果とが、次述する左右前後重み付け回路32
で重み付け合成され、これにより、左右前後のステレオ
音像が形成される。
【0079】この求められたフィルタ係数が上記プログ
ラム/データ記憶部4に記憶された図7のフィルタ係数
となる。この場合、上記上下垂直特性回路31Lのデジ
タルフィルタ41と上下垂直特性回路31Rのデジタル
フィルタ56とが1つのデジタルフィルタとして考えら
れて当該フィルタ係数が計算され、上記上下垂直特性回
路31Lのデジタルフィルタ46と上下垂直特性回路3
1Rのデジタルフィルタ61とが1つのデジタルフィル
タとして考えられて当該フィルタ係数が計算され、上記
上下垂直特性回路31Lのデジタルフィルタ51と上下
垂直特性回路31Rのデジタルフィルタ66とが1つの
デジタルフィルタとして考えられて当該フィルタ係数が
計算される。
【0080】なお、フィルタ配分回路72、73、7
7、78が省略され、デジタルフィルタ46、51、6
1、66も省略されてもよい。また、上記上下垂直特性
回路31L及び上下垂直特性回路31Rのいずれか一方
が省略されてもよい。この場合、図8それぞれのフィル
タ特性と上記バイノーラルマイクで集音された音響と発
音音響との周波数特性の差とは一致する。
【0081】9.フィルタ係数A、B、C、E、F、G
の変化 図9はフィルタ係数A(B、C、E、F、G)の変化に
対する上記デジタルフィルタ41(46、51、56、
61、66)のフィルタ特性(周波数特性、減衰特性及
び共振特性)の変化例を示す。フィルタ係数A=0のと
きは、入力される楽音波形データMW全てにフィルタ制
御がなされる。
【0082】これに対してフィルタ係数Aの値を徐々に
「1」に近づけると、入力楽音波形データMWのうちフ
ィルタ制御される成分割合が減り、周波数特性の変化の
大きさが周波数全般にわたって小さくなる。しかも、共
振周波数(共振ポイント)も移動する。このような変化
は、上記ステレオ音像データSIの値の変化に応じてお
り、ステレオ音像位置が上下垂直方向に変化される。
【0083】10.左右前後重み付け回路32 図10は上記左右前後重み付け回路32を示す。上記上
下垂直特性回路31Lからの楽音波形データMWは、乗
算器93でレベル係数Iが乗算されて加算器97へ送ら
れるとともに、乗算器94でレベル係数Jが乗算されて
加算器98へ送られる。上記上下垂直特性回路31Rか
らの楽音波形データMWは、乗算器95でレベル係数J
が乗算されて上記加算器97へ送られるとともに、乗算
器96でレベル係数Iが乗算されて加算器98へ送られ
る。加算器97の合成出力は上記左遅延回路33Lへ送
られ、加算器98の合成出力は上記右遅延回路33Rへ
送られる。
【0084】このレベル係数I、Jは、上記プログラム
/データ記憶部4に記憶され、上記水平方向の音像デー
タSIに対応するレベル係数がコントローラ2によって
読み出され、上記乗算器93、94、95、96に供給
される。この場合、これらのレベル係数を記憶する多数
のラッチが図9の左右前後重み付け回路32には設けら
れているが図面では省略されている。
【0085】このレベル係数I、Jは以下の演算式で求
められる。 I=0.5+SIh/180 (0≦SIh≦90) I=1.5−SIh/180 (90<SIh≦270) I=−1.5+SIh/180 (270<SIh<360) J=1−I ここでSIhは左右前後水平方向の音像データであっ
て、音像の左右前後水平方向の角度(度)である。ここ
ではI+J=1の関係がある。
【0086】上記音像データSIhが水平方向0度(真
正面)であると、レベル係数I=0.5、J=0.5と
なる。音像データSIhが水平方向+90度(最左)で
あると、レベル係数I=1、J=0となる。音像データ
SIhが水平方向+180度(真後)であると、フィル
タ係数I=0.5、J=0.5となる。音像データSI
hが水平方向+270度(最右)であると、レベル係数
I=0、J=1となる。
【0087】これは、上記上下垂直特性回路31L及び
上下垂直特性回路31Rにおける上記基準音像が水平方
向+90度の場合である。これにより、上下垂直特性回
路31L及び上下垂直特性回路31Rでデジタルフィル
タ演算され上下垂直方向の音像を備えた楽音波形データ
MWが重み付け合成されて、他の水平かつ垂直方向につ
いての音像が形成される。
【0088】そして、例えば、音像データSIhが水平
方向+90度(最左)のときレベル係数I=1、J=0
であり、水平方向+270度(最右)のときレベル係数
I=0、J=1であり、左右対称の音像位置にあって
は、ちょうどレベル係数I、Jの値が互いに入れ替えら
れる。したがって、上記上下垂直特性回路31L及び上
下垂直特性回路31Rのデジタルフィルタ演算結果が左
右対称に反転されれば、左右対称の音像が形成される。
【0089】こうして、水平方向の音像データSIhに
応じて左右の楽音波形データMWの大きさが制御され
る。つまり、左右の発音システムに供給される各音響デ
ータの各大きさは、ステレオ音像の位置に応じて異なる
値とされ、形成されるステレオ音像がより強調され明瞭
になる。
【0090】また、上記上下垂直特性回路31Lからの
ステレオ音像位置を形成するための左耳のデジタルフィ
ルタ演算処理結果と、上記上下垂直特性回路31Rから
のステレオ音像位置を形成するための右耳のデジタルフ
ィルタ演算処理結果とが、この左右前後重み付け回路3
2で左右水平方向の音像データSIhに応じて重み付け
合成され、これにより、左右のステレオ音像がさらに形
成付加される。
【0091】11.右遅延回路33R、左遅延回路33
L図11は上記右遅延回路33Rまたは左遅延回路33
Lを示す。上記左右前後重み付け回路32の加算器97
または加算器98からの楽音波形データMWは、ディレ
イ回路100に入力されて順次シフトされて送られる。
このディレイ回路100はCCD(チャージカップルド
デバイス)などからなり、印加されるクロック信号φに
よって、入力された楽音波形データMWは各素子にわた
って順次シフトされる。このクロック信号φの周波数
は、楽音波形信号のサンプリング周波数と同じまたは整
数倍若しくは整数分の1である。
【0092】このディレイ回路100の各素子の出力は
データセレクタ101を介していずれかが選択されて上
記クロストークキャンセル回路35に送られる。このデ
ータセレクタ101には、ディレイ係数DLがラッチ1
02を介して供給される。
【0093】このディレイ係数DLは、上記プログラム
/データ記憶部4に記憶され、上記水平方向の音像デー
タSIに対応するディレイ係数DLがコントローラ2に
よって読み出され、上記ラッチ102にストアされる。
【0094】このディレイ係数DLは以下の演算式で求
められる。 DL=((U+V×SIv)×SIh)×W (0<SIh≦90のとき) DL=(X+(Y×SIv)+(U+V×SIv)×SIh)×W (90<SIh≦180のとき) DL=(X+(Y×SIv)+(U+V×SIv)×(360−SIh))×W (180<SIh≦270のとき) DL=((U+V×SIv)×(360−SIh))×W (270<SIh≦360のとき)
【0095】ここでSIvは上下垂直方向の音像データ
であって、音像の上下垂直方向の角度(度)であり、S
Ihは左右前後水平方向の音像データであって、音像の
左右前後水平方向の角度(度)であり、U、V、W、
X、Yは正または負の定数である。こうして、左右の発
音システムに供給される各音響データの各位相または各
開始タイミングは、ステレオ音像の位置に応じて異なる
値とされ、形成されるステレオ音像がより強調され明瞭
になる。
【0096】12.左水平特性回路34L、右水平特性
回路34R 図12は、上記左水平特性回路34L及び右水平特性回
路34Rを示す。上記左遅延回路33Lからの楽音波形
データMWは、4段のフィルタ配分回路111、11
2、113、114及び乗算器115を経て、上記クロ
ストークキャンセル回路35へ送られる。フィルタ配分
回路111は、デジタルフィルタ121、乗算器12
2、123、加算器124からなり、フィルタ配分回路
112は、デジタルフィルタ126、乗算器127、1
28、加算器129からなり、フィルタ配分回路113
は、デジタルフィルタ131、乗算器132、133、
加算器134からなり、フィルタ配分回路114は、デ
ジタルフィルタ136、乗算器137、138、加算器
139からなる。
【0097】上記左遅延回路33Lからの楽音波形デー
タMWは、デジタルフィルタ121でフィルタ制御さ
れ、乗算器122でフィルタ係数(1−K)が乗算され
る。また、上記左遅延回路33Lからの楽音波形データ
MWは、乗算器123でフィルタ係数Kが乗算され、加
算器124で上記フィルタ係数(1−K)が乗算された
楽音波形データMWに加算合成される。
【0098】このフィルタ係数K及び(1−K)は、加
算合成すると必ず「1」になり、このフィルタ係数Kの
値が変更されると、デジタルフィルタ制御される音響成
分とデジタルフィルタ制御されない音響成分との合成割
合つまり配分割合が変更される。このフィルタ係数Kの
値が変更されると、この両音響データの合成配分の割合
が変えられ、上記形成されるステレオ音像の位置が変化
される。
【0099】このフィルタ係数K、L、M、N、Oは以
下の演算式で求められる。 K=μ×cos(π×SI/180+ν)+ξ×cos
(2π×SI/180+ρ)+σ L=μ×cos(2π×SI/90+ν) ここでSIは前後左右水平方向の音像データであって、
音像の残響後左右水平方向の角度(度)であり、μ、
ν、ξ、ρ、σは正または負の定数であり、値はフィル
タ係数K、L、M、N、Oごとに異なる。
【0100】このフィルタ係数P、Q、R、S、Tは以
下の演算式で求められる。 P=τ×cos(π×(360−SI)/180+υ)
+χ×cos(2π×(360−SI)/180+ψ)
+ω Q=τ×cos(2π×(360−SI)/90+υ) ここでSIは前後左右水平方向の音像データであって、
音像の残響後左右水平方向の角度(度)であり、τ、
υ、χ、ψ、ωは正または負の定数であり、値はフィル
タ係数P、Q、R、S、Tごとに異なる。
【0101】音像データSIが水平方向0度(真正面)
であると、フィルタ係数K=0.34となる。音像デー
タSIが水平方向+90度(最左)であると、フィルタ
係数K=0.85となる。音像データSIが水平方向+
180度(真後)であると、フィルタ係数K=0.12
となる。一方、音像データSIが水平方向+270度
(最右)であると、フィルタ係数K=0.26となる。
以上の変化特性は他のフィルタ係数L、M、N、O、
P、Q、R、S、Tでも同様であり、多少値が異なる。
【0102】これらフィルタ配分回路111、112、
113、114でフィルタ制御された楽音波形データM
Wは、乗算器115でレベル制御されて上記クロストー
クキャンセル回路35へ送られる。この乗算器115に
はフィルタ係数Oが供給されている。
【0103】これらの4段のフィルタ配分回路111、
112、113、114の各デジタルフィルタ121、
126、131、136のフィルタ特性は異なってお
り、フィルタ制御される周波数帯域、フィルタ制御され
る減衰特性または共振特性がそれぞれ異なっている。こ
れらの4段のフィルタ配分回路111、112、11
3、114それぞれでは、例えば、周波数特性が特徴的
にまたは大きく変化する3つの周波数帯域部分につい
て、または低音、中低音、中高音、高音の4つの周波数
帯域部分について減衰量または共振量が制御される。
【0104】また、これらの4段のフィルタ配分回路1
11、112、113、114それぞれのフィルタ係数
K及び(1−K)、L及び(1−L)、M及び(1−
M)、N及び(1−N)の各値は互いに異なっている。
これにより、デジタルフィルタ制御される音響成分とデ
ジタルフィルタ制御されない音響成分との合成割合つま
り配分割合が、各周波数帯域ごとに異なる。
【0105】他方の右水平特性回路34Rも同様の構成
及び動作であり、上記フィルタ配分回路111、11
2、113、114、乗算器115と同じフィルタ配分
回路116、117、118、119、乗算器120か
ら構成される。このフィルタ配分回路116は、デジタ
ルフィルタ141、乗算器142、143、加算器14
4からなり、フィルタ配分回路117は、デジタルフィ
ルタ146、乗算器147、148、加算器149から
なり、フィルタ配分回路118は、デジタルフィルタ1
51、乗算器152、153、加算器154からなり、
フィルタ配分回路119は、デジタルフィルタ156、
乗算器157、158、加算器159からなる。このフ
ィルタ配分回路116、117、118、119のフィ
ルタ係数P及び(1−P)、Q及び(1−Q)、R及び
(1−R)、S及び(1−S)の各値もそれぞれ異なっ
ている。乗算器120ではフィルタ係数Tが乗算され
る。
【0106】右水平特性回路34R及び左水平特性回路
34Lに供給される各フィルタ係数KとP、LとQ、M
とR、NとSは、OとTとの各値は、対称的であり、右
水平特性回路34Rと左水平特性回路34Lとでは、対
称的なデジタルフィルタ演算が行われる。これは、右水
平特性回路34Rと左水平特性回路34Lでは左右対称
の音像形成制御が行われるからである。
【0107】すなわち、同じ音響であり、中央から水平
方向が同じ角度であれば、両耳に届く音響の周波数特性
の違いは左右対称だからである。この左右対称に応じて
上記各フィルタ係数KとP、LとQ、MとR、NとS
は、OとTとの各値は、対称的に異なっている。しか
し、これらの各フィルタ係数は同じ値であってもよい
し、非対称的に異なっていてもよい。これらフィルタ係
数K、L、M、N、O、P、Q、R、S、Tの各値が変
更されると、上述したようにステレオ音像位置が前後左
右水平方向に変更される。
【0108】これら2つの右水平特性回路34R及び左
水平特性回路34Lでは、同じデジタルフィルタ演算処
理が行われ、つまり演算式としては同じであり、供給さ
れるフィルタ係数のみが異なり、かつ同時に並行してデ
ジタルフィルタ制御が行われる。
【0109】13.デジタルフィルタ121、136、
141、156 図13は上記デジタルフィルタ121、136、14
1、156の1つを示す。ここでは、デジタルフィルタ
121を例にとって説明する。このデジタルフィルタ1
21は1次IIR零点移動型である。むろん、FIR型
でもよい。デジタルフィルタ121と141、136と
156は、それぞれ同じフィルタ係数が供給され、同じ
デジタルフィルタ演算が行われ、同じデジタルフィルタ
特性を有する。むろん、異なっていてもよい。
【0110】上記楽音波形データMWは乗算器164で
フィルタ係数gが乗算されて加算器167へ送られ、同
じく楽音波形データMWは遅延器161で遅延され乗算
器163でフィルタ係数fが乗算されて加算器167へ
送られる。
【0111】この加算器167で合成された楽音波形デ
ータMWは遅延器162で遅延され乗算器165でフィ
ルタ係数hが乗算されて加算器167へ送られ、帰還合
成される。上記遅延器161、162の遅延量はデジタ
ルの楽音波形データMWのサンプリング周期と同じまた
は整数倍若しくは整数分の1である。
【0112】14.デジタルフィルタ126、131、
146、151 図6は上記デジタルフィルタ126、131、146、
151の1つを示す。ここでは、デジタルフィルタ12
6を例にとって説明する。このデジタルフィルタ126
は2次IIR零点移動型である。むろん、FIR型でも
よい。デジタルフィルタ126と146、146と15
1は、それぞれ同じフィルタ係数が供給され、同じデジ
タルフィルタ演算が行われ、同じデジタルフィルタ特性
を有する。むろん、異なっていてもよい。
【0113】上記楽音波形データMWは乗算器177で
フィルタ係数kが乗算されて加算器180へ送られ、同
じく楽音波形データMWは遅延器172で遅延され乗算
器176でフィルタ係数jが乗算されて加算器180へ
送られ、同じく楽音波形データMWは遅延器172及び
171で遅延され乗算器175でフィルタ係数iが乗算
されて加算器180へ送られる。
【0114】この加算器180で合成された楽音波形デ
ータMWは遅延器174で遅延され乗算器179でフィ
ルタ係数mが乗算されて加算器180へ送られ、この加
算器180で合成された楽音波形データMWは遅延器1
74及び173で遅延され乗算器178でフィルタ係数
lが乗算されて加算器180へ送られ、帰還合成され
る。上記遅延器171、172、173、174の遅延
量はデジタルの楽音波形データMWのサンプリング周期
と同じまたは整数倍若しくは整数分の1である。
【0115】15.前後左右の音像制御のフィルタ係数 図15はプログラム/データ記憶部4に記憶されたフィ
ルタ係数及び上述のレベル係数I、J並びにディレイ係
数DTを示す。上記フィルタ係数f、g、hは各デジタ
ルフィルタ121、136、141、156につき4組
ある。上記フィルタ係数i、j、k、l、mは各デジタ
ルフィルタ126、131、146、151につき4組
ある。この4組のフィルタ係数f、g、h、i、j、
k、l、mの値は、各デジタルフィルタごとに異なって
いる。むろん同じでもよい。
【0116】この4組のフィルタ係数f、g、h、i、
j、k、l、m、さらに上記フィルタ係数K及び(1−
K)、L及び(1−L)、M及び(1−M)、N及び
(1−N)、P及び(1−P)、Q及び(1−Q)、R
及び(1−R)、S及び(1−S)、O、Tは、プログ
ラム/データ記憶部4に図15に示すように多種類記憶
され、上記前後左右水平方向の音像データSIに対応す
るフィルタ係数がコントローラ2によって読み出され、
上記左水平特性回路34L、右水平特性回路34Rに供
給される。この場合、これらのフィルタ係数を記憶する
多数のラッチが図12の左水平特性回路34L、右水平
特性回路34Rには設けられているが図面では省略され
ている。
【0117】上記4組のフィルタ係数f、g、h、i、
j、k、l、mは音像データSIが0度から+360度
まではすべて同じ値となっている。したがって、この音
像が左側のときと音像が右側とでは、フィルタ係数f、
g、h、i、j、k、l、mの値も同じである。むろ
ん、それぞれ異なっていてもよい。
【0118】上記デジタルフィルタ121と141、1
26と146、131と151、136と156との各
組のフィルタ係数f、g、h、i、j、k、l、m、つ
まり左右チャンネル2組のフィルタ係数f、g、h、
i、j、k、l、mは、以下のようにして決定される。
【0119】左側のデジタルフィルタ121、126、
131、136のフィルタ係数では、基準音像からの人
間の頭部または耳部を回折または透過して左耳に到達し
た音響の、回折前または透過前の音響に対する周波数特
性を実現するためのデジタルフィルタ演算が実行され
る。また右側のデジタルフィルタ141、146、15
1、156のフィルタ係数では、上記基準音像からの人
間の頭部または耳部を回折または透過して右耳に到達し
た音響の、回折前または透過前の音響に対する周波数特
性を実現するためのデジタルフィルタ演算が実行され
る。
【0120】こうして、特定の水平かつ垂直方向につい
ての音像についての、人間の両耳に対それぞれ応したデ
ジタルフィルタ演算が行われる。上記基準音像は、特定
の水平かつ垂直方向についての音像であって、例えば、
直方向+−0度かつ水平方向90度の音像である。むろ
んこれらと異なる音像位置からの音響が基準とされても
よい。
【0121】上記フィルタ係数K、L、M、N、O、
P、Q、R、S、Tの各値が変更されると、上述したよ
うにステレオ音像位置が前後左右水平方向に変更され
る。つまり、このフィルタ係数によって、人間の頭部ま
たは耳部を回折または透過した音響の、回折前または透
過前の音響に対する周波数特性を実現するためのデジタ
ルフィルタ演算が実行される。この場合、回折前または
透過前の音響としては、音像位置が水平方向0度かつ垂
直方向+−0度の音像であって水平正面からの音響が両
耳に届く音響が用いられる。むろんこれらと異なる音像
位置からの音響が基準とされてもよい。
【0122】これらのフィルタ係数及び上述のレベル係
数I、J並びにディレイ係数DTは、上記音楽的ファク
タ(因子)情報ごとに記憶されて、入力され、読み出さ
れまたは供給された音楽的ファクタ(因子)情報に応じ
て、形成される音像位置が変化される。
【0123】したがって、形成される音像位置は、上述
の音高(音域)情報(音高決定因子)、発音時間情報、
音像情報、演奏分野情報、発音数情報、共鳴度情報、音
色情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作の
速さ/強さ)、発音数情報、共鳴度情報、エフェクト情
報、リズム情報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ
情報、エンベロープ情報の変化に応じて変化される。
【0124】16.前後左右の音像制御のフィルタ特性 図16は上記デジタルフィルタ121、141、12
6、146、131、151、136、156それぞれ
のフィルタ特性つまり周波数特性、減衰特性及び共振特
性の一例を示す。上述の4組のフィルタ係数f、g、
h、i、j、k、l、m、さらに上記フィルタ係数K及
び(1−K)、L及び(1−L)、M及び(1−M)、
N及び(1−N)、P及び(1−P)、Q及び(1−
Q)、R及び(1−R)、S及び(1−S)、O、Tに
よって、各デジタルフィルタ121、141、126、
146、131、151、136、156でデジタルフ
ィルタ演算が実行され、前後左右方向の音像位置または
音像特性が実現制御される。上記4組のフィルタ係数
f、g、h、i、j、k、l、mによって、図16
(A)(B)(C)(D)のそれぞれの特性が実現され
る。この図16の縦軸はゲイン(減衰量、レベル)値、
横軸は周波数値である。
【0125】この例では、左水平特性回路34Lのデジ
タルフィルタ121、126、131、136の周波数
特性と、右水平特性回路34Rのデジタルフィルタ14
1、146、151、156の周波数特性とが同じとな
る。ステレオ音像の位置が変化して、音像データSIが
前後左右に変化すると、読み出される上記フィルタ係数
の値も左右で異なり、左右の周波数特性も異なるように
なる。
【0126】このようなフィルタ特性は、実際に計測し
て求められる。計測に用いられる音響がバイノーラルマ
イク(ダミーヘッドマイク)に向かって発音される。こ
の場合、計測に用いられる音響の周波数帯域は全周波数
帯域である。しかし、例えば、低音、中低音、中高音、
高音の4帯域でもよく、この4帯域の音響が各音像方向
からバイノーラルマイクに向かって発音されてもよい。
バイノーラルマイク(ダミーヘッドマイク)とは人間の
耳を備えた人間の頭部の両耳の位置にマイクが設けられ
たマイクである。
【0127】これらの計測音響につき、水平方向0度か
ら+360度まで所定度数刻み例えば1度、5度、10
度、20度、45度または90度刻みで発音が行われ、
上記バイノーラルマイクで集音された左右の音響と発音
音響との周波数特性の差が求められる。この差の周波数
特性を実現するフィルタ係数が計算される。この周波数
特性からフィルタ係数を求める手法は周知である。
【0128】こうして、人間の頭部及び耳部の水平方
向、垂直方向、左右方向、前後方向または上下方向、こ
れら左右方向、前後方向または上下方向の間の斜めの各
方向について、人間の頭部及び耳部での音響の回折及び
透過に応じた周波数特性が計測され、それぞれの方向に
対応する上記フィルタ係数が求められる。
【0129】この求められたフィルタ係数が上記プログ
ラム/データ記憶部4に記憶された図15のフィルタ係
数となる。なお、上記フィルタ配分回路112、11
3、114が省略され、デジタルフィルタ126、13
1、136も省略されてもよい。
【0130】上記図9はフィルタ係数K(L、M、N、
P、Q、R、S)の変化に対する上記デジタルフィルタ
121(126、131、136、141、146、1
51、156)のフィルタ特性(周波数特性、減衰特性
及び共振特性)の変化例も示す。フィルタ係数K=0の
ときは、入力される楽音波形データMW全てにフィルタ
制御がなされる。
【0131】これに対してフィルタ係数Kの値を徐々に
「1」に近づけると、入力楽音波形データMWのうちフ
ィルタ制御される成分割合が減り、周波数特性の変化の
大きさが周波数全般にわたって小さくなる。しかも、共
振周波数(共振ポイント)も移動する。このような変化
は、上記ステレオ音像データSIの値の変化に応じてお
り、ステレオ音像位置が前後左右水平方向に変化され
る。
【0132】17.クロストークキャンセル回路35 図17は上記クロストークキャンセル回路35を示す。
このクロストークキャンセル回路35は、7次のディレ
イ回路185L、乗算器186L、キャンセルデジタル
フィルタ187L、減算器188L、波形成形回路18
9Lからなり、これらの回路185L、186L、18
7L、188L、189Lは左右1対185R、186
R、187R、188R、189R設けられている。
【0133】上記左水平特性回路34Lからの左楽音波
形データMW(L1)は、そのまま上記左ヘッドホンス
ピーカー30HLへ送られて発音され、上記右水平特性
回路34Rからの左楽音波形データMW(R1)は、そ
のまま上記右ヘッドホンスピーカー30HRへ送られて
発音される。
【0134】このようにヘッドホンを使用するときに
は、クロストークキャンセル回路35は使用されないよ
うに切り換えられる。これは、上記上下垂直特性回路3
1L、上下垂直特性回路31D、左水平特性回路34
L、右水平特性回路34Rでのフィルタ演算は、バイノ
ーラルマイクの特性に基づくものであり、相殺音響成分
を生成しなくても済むからである。
【0135】上記左水平特性回路34Lからの左楽音波
形データMW(L1)は、7次のディレイ回路185L
で遅延され、乗算器186Lでフィルタ係数pが乗算さ
れてレベル制御され、キャンセルデジタルフィルタ18
7Lで左相殺音響成分L2が生成され、右の減算器18
8Rへ送られる。右の減算器188Rでは、上記右水平
特性回路34Rからの右楽音波形データMW(R1)に
対して、上記左相殺音響成分L2が減算される。この減
算された右楽音波形データMW(R1)は、波形成形回
路189Rで波形成形され、上記右スピーカー30SR
より発音される。
【0136】上記右水平特性回路34Rからの右楽音波
形データMW(R1)は、7次のディレイ回路185R
で遅延され、乗算器186Rでフィルタ係数pが乗算さ
れてレベル制御され、キャンセルデジタルフィルタ18
7Rで右相殺音響成分R2が生成され、左の減算器18
8Lへ送られる。左の減算器188Lでは、上記左水平
特性回路34Lからの左楽音波形データMW(L1)に
対して、上記右相殺音響成分R2が減算される。この減
算された左楽音波形データMW(L1)は、波形成形回
路189Lで波形成形され、上記左スピーカー30SL
より発音される。
【0137】このように左右のスピーカー30SR及び
30SLを使用するときには、クロストークキャンセル
回路35を使用するように切り換えられる。これは、上
記上下垂直特性回路31L、上下垂直特性回路31D、
左水平特性回路34L、右水平特性回路34Rでのフィ
ルタ演算は、バイノーラルマイクの特性に基づくもので
あり、相殺音響成分を生成しなくてはならないからであ
る。
【0138】こうして、異なる発音システムの1つから
発音される音響のうち、一方の耳に届く音響を相殺して
他方の耳に届く音響のみが有効とされる音響成分が他の
発音システムから発音される。また、ヘッドホンなどの
1つの発音システムから一方の耳にのみ音響が届き他方
の耳には当該音響が届かない発音システムにおいては、
上記相殺音響成分は発生されない。一方、複数スピーカ
ーなどの1つの発音システムから一方の耳ばかりでなく
他方の耳にも当該音響が届く発音システムにおいては、
上記相殺音響成分は発生される。このような相殺音響成
分の発生及び非発生が使用される発音システムによって
切り換えられる。
【0139】この相殺音響成分の生成/非生成の切り換
えは、上記ヘッドホンスピーカー30HR及び30HL
を使用するか、スピーカー30SR及び30SLを使用
するかによる。しかし、ヘッドホンスピーカー30HR
及び30HL、スピーカー30SR及び30Sの前段に
それぞれスイッチが設けられ、ヘッドホンスピーカー3
0HR及び30HLが導通するとき、スピーカー30S
R及び30Sが非導通とされ、ヘッドホンスピーカー3
0HR及び30HLが非導通とされるとき、スピーカー
30SR及び30Sが導通されてもよい。
【0140】この場合、ヘッドホンの接続端子を本装置
に差し込んだときに、上記各スイッチが切り換えられ
る。このスイッチのオン/オフはセンサによって行われ
てもよい。このセンサによって、上記ヘッドホンの接続
端子を本装置に差し込んだまたは取り外したことが検出
される。この検出データは上記コントローラ2にも送ら
れる。
【0141】上記乗算器186L、186Rからの楽音
波形データMW(L1)、(R1)は乗算器193でフ
ィルタ係数qが乗算されて加算器196へ送られ、同じ
く楽音波形データMW(L1、R1)は遅延器191で
遅延され乗算器194でフィルタ係数rが乗算されて加
算器196へ送られる。
【0142】この加算器196で合成された楽音波形デ
ータMWは遅延器192で遅延され乗算器195でフィ
ルタ係数sが乗算されて加算器196へ送られ、帰還合
成される。上記ディレイ回路185L、185R、遅延
器191、192の遅延量はデジタルの楽音波形データ
MWのサンプリング周期と同じまたは整数倍若しくは整
数分の1である。
【0143】上記減算器188L、188Rからの楽音
波形データMW(L1−R2)(R1−L2)は遅延器
201で遅延され、乗算器202でフィルタ係数tが乗
算されて加算器215へ送られ、同じく楽音波形データ
MW(L1−R2)(R1−L2)は遅延器201、2
02で遅延され乗算器209でフィルタ係数uが乗算さ
れて加算器215へ送られる。
【0144】この加算器215で合成された楽音波形デ
ータMWは遅延器203で遅延され乗算器210でフィ
ルタ係数vが乗算されて加算器215へ送られて帰還合
成され、上記加算器215で合成された楽音波形データ
MWは遅延器203、204で遅延され乗算器211で
フィルタ係数wが乗算されて加算器215へ送られて帰
還合成され、上記加算器215で合成された楽音波形デ
ータMWは遅延器203、204、205で遅延され乗
算器212でフィルタ係数xが乗算されて加算器215
へ送られて帰還合成される。
【0145】上記加算器215で合成された楽音波形デ
ータMWは遅延器203、204、205、206で遅
延され乗算器213でフィルタ係数yが乗算されて加算
器215へ送られて帰還合成され、上記加算器215で
合成された楽音波形データMWは遅延器203、20
4、205、206、207で遅延され乗算器214で
フィルタ係数zが乗算されて加算器215へ送られて帰
還合成される。
【0146】上記加算器215の出力が上記左(右)ス
ピーカー30SL(30SR)へ送られる。上記遅延器
201、202、203、204、205、206、2
07の遅延量はデジタルの楽音波形データMWのサンプ
リング周期と同じまたは整数倍若しくは整数分の1であ
る。遅延器201、202、203、204、206、
207は1次であり、遅延器205は12次である。
【0147】なお、上記右スピーカー30SR及び右ヘ
ッドホンスピーカー30HRの前には、上述の右累算回
路27R、右D−A変換器28R、右アンプ29Rがそ
れぞれ設けられ、上記左スピーカー30SL及び左ヘッ
ドホンスピーカー30HLの前には、上述の左累算回路
27L、左D−A変換器28L、左アンプ29Lがそれ
ぞれ設けられているが、図17では省略されている。
【0148】18.相殺音響成分のフィルタ係数 図18はプログラム/データ記憶部4に記憶された上記
フィルタ係数p、q、r、s、t、u、v、w、x、
y、zを示す。このフィルタ係数p、q、r、s、t、
u、v、w、x、y、zは、上記左右のシステムつまり
キャンセルデジタルフィルタ187L、187R、波形
成形回路189L、189Rでは同じあるが、異なって
いてもよい。
【0149】このようなフィルタ係数p、q、r、s、
t、u、v、w、x、y、zは以下のようにして求めら
れる。図19の1つのスピーカー例えば右スピーカー3
0SRから発音される右音響R1は右の耳だけに到達さ
せたいものである。しかし、現実には右音響R1は人間
の頭部または耳で回折または透過され余分音響R2とな
って左に耳にも余分に到達してしまう。これを相殺する
のが左スピーカー30SLからの相殺音響成分R2であ
る。図19は相殺音響成分R2による相殺を示す。反対
側の相殺音響成分L2による相殺も同様であり、左右対
称となる。
【0150】この右音響R1と相殺音響成分R2との周
波数特性の差がまず求められる。この周波数特性の差は
左右の各スピーカー30SL及び30SRの位置と聴者
との位置ごと、つまり左右のスピーカー30SL及び3
0SRに対する聴者頭部の離間角度ごとに求められる。
この離間角度ごとに、各差の周波数特性を実現するフィ
ルタ係数が計算される。この周波数特性からフィルタ係
数を求める手法は周知である。
【0151】この計算されたフィルタ係数が上記フィル
タ係数p、q、r、s、t、u、v、w、x、y、zと
なる。左右のスピーカー30SR及び30SLは左右対
称の位置に設置されるので、左右のフィルタ係数p、
q、r、s、t、u、v、w、x、y、zの値は同じと
なる。しかし、左右のスピーカー30SL及び30SR
から等距離の位置に聴者がいないとき、または聴者の左
右の耳の聴力が異なる場合には、左右のフィルタ係数の
値は異なる。
【0152】こうして、右スピーカー30SRから発音
される音響が右の耳に届く音響と左の耳に届く音響との
周波数特性の相違に基づいたデジタルフィルタ演算、つ
まり右スピーカー30SRから発音される音響が頭部を
回折または透過して左の耳に到達する変化に応じたデジ
タルフィルタ演算が、当該右スピーカー30SRから発
音される音響に対してなされ、これが上記相殺音響成分
として左スピーカー30SLから発音される。この場
合、右スピーカー30SRから発音される音響と右の耳
に届く音響ととの周波数特性変化はほとんどないかまた
はわずかである。
【0153】また、左スピーカー30SLから発音され
る音響が左の耳に届く音響と右の耳に届く音響との相違
に基づいたフィルタ演算、つまり左スピーカー30SL
から発音される音響が頭部を回折または透過して右の耳
に到達する変化に応じたデジタルフィルタ演算が、当該
左スピーカー30SLから発音される音響に対してなさ
れ、これが上記相殺音響成分として右スピーカー30S
Lから発音される。この場合、左スピーカー30SLか
ら発音される音響と左の耳に届く音響ととの周波数特性
変化はほとんどないかまたはわずかである。
【0154】このフィルタ係数p、q、r、s、t、
u、v、w、x、y、zは、プログラム/データ記憶部
4に図18に示すように多種類記憶され、左右のスピー
カー30SL、30SRの相互位置または/及び聴者の
位置との関係に応じたフィルタ係数がコントローラ2に
よって読み出され、上記クロストークキャンセル回路3
5に供給される。この場合、これらのフィルタ係数を記
憶する多数のラッチが図17のクロストークキャンセル
回路35には設けられているが図面では省略されてい
る。
【0155】このように、相殺音響成分のフィルタ演算
のためのフィルタ係数の値は、各発音システムの相互の
位置または/及び聴者の位置との関係(離間角度)に応
じて変化する。このような相互位置のデータは、上記パ
ネルスイッチ群13の各スイッチによって入力された
り、ミディ回路15を通じて送られたり、自動演奏情報
の中から読み出されたり、左右のスピーカー30SL、
30SRの位置と聴者の位置を検出する機構から供給さ
れる。この位置検出機構はスライド式の左右のスピーカ
ー30SL、30SRの下に設けたスライド位置検出ス
イッチ機構や、聴者の頭に付けたレーザー反射板とレー
ザー距離検出装置などである。
【0156】19.ステレオ音像の時間的移動 図20はステレオ音像を時間的に移動させるためのフロ
ーチャートを示す。イニシャライズ処理(ステップ0
1)の後、プログラマブルタイマー(図示せず)がオー
バーフローしていれば(ステップ02)、この水平方向
の角度と垂直方向の角度が計算される(ステップ0
3)。
【0157】そして、計算された水平方向の角度に応じ
たフィルタ係数f、g、h、i、j、k、l、m、K及
び(1−K)、L及び(1−L)、M及び(1−M)、
N及び(1−N)、P及び(1−P)、Q及び(1−
Q)、R及び(1−R)、S及び(1−S)、O、T
が、プログラム/データ記憶部4から読み出されて、上
記左水平特性回路34L、右水平特性回路34Rに送ら
れ、レベル係数I、Jが、同じくプログラム/データ記
憶部4から読み出されて、左右前後重み付け回路32に
送られ、ディレイ係数DTが、同じくプログラム/デー
タ記憶部4から読み出されて、左遅延回路33L及び右
遅延回路33Rに送られる(ステップ04)。
【0158】さらに、同じく計算された垂直方向の角度
に応じたフィルタ係数a、b、c、d、e、A及び(1
−A)、B及び(1−B)、C及び(1−C)、E及び
(1−E)、F及び(1−F)、G及び(1−G)、
D、Hが、プログラム/データ記憶部4から読み出さ
れ、上下垂直特性回路31L及び上下垂直特性回路31
Rに供給される(ステップ05)。
【0159】こうして、上記フィルタ係数は時間経過に
応じて変化され、これに応じて上記形成されるステレオ
音像は図21に示すように時間経過に応じて変化され
る。図21の例は、音像の移動軌跡がほぼ円形であり、
水平方向の角度の変化周期と垂直方向の角度の変化周期
がほぼ同じである。しかし、一方が他方の整数倍であれ
ば、音像の移動軌跡が波状になる。また、水平方向の角
度の変化周期と垂直方向の角度の変化周期とに若干の差
があれば、図21の音像の移動軌跡の円形のトップが周
回する。
【0160】図21の例では、音像データSIが、(水
平方向、垂直方向)=(0度、0度)−(90度、45
度)−(180度、0度)−(270度、−45度)の
ように変化する。この一周の変化速度つまり変化周期は
例えば1秒である。この変化周期は次述するプログラマ
ブルタイマーのプリセット値によって決定される。
【0161】さらに、上記プログラマブルタイマーのプ
リセット値は、コントローラ2によって変更可能であ
る。この変更により、ステレオ音像の移動スピードが変
化する。このプログラマブルタイマーのプリセット値
は、上記パネルスイッチ群13から入力され、操作者の
設定によって変更される。また、このプログラマブルタ
イマーのプリセット値は、上記音楽的ファクタ(因子)
情報ごとに記憶されて、入力され、読み出されまたは供
給された音楽的ファクタ(因子)情報に応じて、読み出
されて決定される。
【0162】したがって、形成されるステレオ音像の移
動速度は、上述の音高(音域)情報(音高決定因子)、
発音時間情報、音像情報、演奏分野情報、発音数情報、
共鳴度情報、音色情報(音色決定因子)、タッチ情報
(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情報、共鳴度情
報、エフェクト情報、リズム情報、クオンタイズ情報、
変調情報、テンポ情報、エンベロープ情報の変化に応じ
て変化される。
【0163】また、左右のスピーカー30SR及び30
SLが使用されていれば(ステップ06)、フィルタ係
数p、q、r、s、t、u、v、w、x、y、zが、プ
ログラム/データ記憶部4から読み出され、クロストー
クキャンセル回路35に供給される(ステップ07)。
こうして、相殺音響成分L2及びR2が発生される。
【0164】本発明は上記実施例に限定されず、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例え
ば、上記楽音波形データMWは、デジタルの波形データ
であったが、アナログの波形データでも良いし、上記デ
ジタルフィルタはアナログフィルタでもよい。また、上
記楽音波形データMWは、ある波形が周期的に繰り返さ
れるものであったが、複雑な変化をするアタック部分の
波形や、アタックからリリースまで必ずしも周期的とは
いえないPCM波形や、ほとんど周期的に変化しないノ
イズのような音のように、音響信号はもともと周期性が
ないものであってもよい。
【0165】また、上記上下垂直特性回路31Lからの
出力は上スピーカーに送られ、上下垂直特性回路31R
からの出力は下スピーカーに送られてもよい。この上ス
ピーカー及び下スピーカーは、上記右スピーカ30SR
及び左スピーカ30SLの間に上下に離間されて配置さ
れる。この場合、上下垂直特性回路31Lの上記乗算器
55及び上下垂直特性回路31Rの上記乗算器70によ
って、上下の発音システムに供給される各音響データの
各大きさは、ステレオ音像の位置に応じて異なる値とさ
れ、形成されるステレオ音像がより強調され明瞭にな
る。
【0166】上記上下垂直特性回路31Lからの左の音
響データ、または左右前後重み付け回路33の加算器9
7からの左の音響データは、直接左スピーカー30SL
または左ヘッドホンスピーカー30HLへ送られてもよ
い。上記上下垂直特性回路31Rからの右の音響デー
タ、または左右前後重み付け回路33の加算器98から
の右の音響データは、直接右スピーカー30SRまたは
右ヘッドホンスピーカー30HRへ送られてもよい。こ
の場合、左右前後重み付け回路33及び/または左遅延
回路33L、右遅延回路33R、左水平特性回路34L
及び右水平特性回路34Rは省略される。
【0167】また、図4の回路において、上下垂直特性
回路31L及び31R及び/または左右前後重み付け回
路33を省略してもよい。この場合、乗算器25からの
楽音波形データMWは、直接左右前後重み付け回路33
または左遅延回路33L及び右遅延回路33Rに入力さ
れる。上記ステレオ装置では左右または上下の2つのチ
ャンネルにつき2組のデジタルフィルタ手段が設けられ
たが、3組または4組以上、つまり複数組設けられても
よい。さらに、前後のチャンネルにつき別の2組または
複数組のデジタルフィルタ手段が設けられてもよい。
【0168】さらに、上記フィルタ係数a、b、c、
d、eまたはf、g、h、i、j、k、l、mまたは
p、q、r、s、t、u、v、w、x、y、zの値は、
固定値ではなく、音像データSIに応じて変更されても
よい。これによっても、形成されるステレオ音像位置も
前後左右または上下に変更される。
【0169】上記フィルタ配分回路71、72、73、
76、77、78、111、112、113、114、
116、117、118、119は、継続接続(縦属接
続)のほか並列接続されてもよい。上記デジタルフィル
タでのデジタルフィルタ演算では、DSP(デジタルシ
グナルプロセッサ)が用いられ、フィルタリングの演算
プログラム(フローチャート)に基づいてデジタルフィ
ルタ演算が実行されてもよい。
【0170】本願明細書では、「デジタルフィルタ」
は、狭義ではデジタルフィルタ41、46、51、5
6、61、66、121、126、131、136、1
41、146、151、156を指しているが、広義で
は、これらのフィルタの周囲にある乗算器42、43、
47、48、52、53、57、58、62、63、6
7、68、加算器44、49、54、59、64、6
9、乗算器122、123、127、128、132、
133、137、138、142、143、147、1
48、152、153、157、158、加算器12
4、129、134、139、144、149、15
4、159を含む。
【0171】上記フィルタ係数A、B、C、E、F、
G、K、L、M、N、P、Q、R、Sは、デジタルフィ
ルタ演算された音響データとデジタルフィルタ演算され
ない音響データとが合成される場合の配分割合を示し、
この配分割合を求める演算式は上述したが、簡略化する
と以下のようになる。一般的には音像の水平方向の角度
SIまたは垂直方向の角度SIにつき、以下の三角関数
演算例えば余弦関数演算によって求められる。
【0172】α×cos(2π×SI/Z+β)+γ×
cos(4π×SI/Z+δ)+ε ここでSIは音像の上下垂直方向の角度であって、α、
β、γ、δ、εは正または負の定数である。 μ×cos(π×SI/Z+ν)+ξ×cos(2π×
SI/Z+ρ)+σ ここでSIは音像の左右前後水平方向の角度であって、
μ、ν、ξ、ρ、σは正または負の定数であり、μ=0
の場合もある。Z=180度または90度であり、上記
SIは(360−SI)の場合もある。この余弦関数演
算式は90度の値を加算補正または減算補正すると正弦
関数演算式に置き換えることができる。
【0173】上記図17のクロストークキャンセル回路
35では、1段のクロストークキャンセルではなく、複
数段のクロストークキャンセルを行うことが可能であ
る。この場合、左スピーカー30SLの入力の右の相殺
音響成分R2が左の遅延器185Lにクロス入力され
て、第2段の相殺音響成分R3が右スピーカー30SR
から発音される。この第2段の相殺音響成分R3は、右
の耳に届く上記右の相殺音響成分R2を相殺する。
【0174】また、右スピーカー30SRの入力の左の
相殺音響成分L2が右の遅延器185Rにクロス入力さ
れて、第2段の相殺音響成分L3が左スピーカー30S
Lから発音される。この第2段の相殺音響成分L3は、
左の耳に届く上記左の相殺音響成分L2を相殺する。こ
のようなクロス入力によって、第3段、第4段、第5
段、…の相殺音響成分R4、L4、R5、L5、R6、
L6、…が、順次生成される。
【0175】本発明の実施の態様は以下の通りである。
[A] 発生される音響データをデジタルフィルタ制
御する第1のデジタルフィルタ手段と、 上記発生され
る同じ音響データをデジタルフィルタ制御する第2のデ
ジタルフィルタ手段と、であって、 上記第1のデジタ
ルフィルタ手段と、第2のデジタルフィルタ手段とは、
同じ演算処理を行うものであって、同時に並行してデジ
タルフィルタ制御を行うものであり、 上記第1のデジ
タルフィルタ手段及び第2のデジタルフィルタ手段にお
いて、デジタルフィルタ演算された音響データとデジタ
ルフィルタ演算されない音響データとを所定の配分で合
成する手段と、 この両音響データの配分合成の割合を
変えることによって、上記形成されるステレオ音像の位
置を左右、上下または前後に変化する手段と、 これら
第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィルタ演
算された音響データと、第2のデジタルフィルタ手段か
らのデジタルフィルタ演算された音響データとを、異な
る発音システムに同時に並行して供給することにより、
これら発音システムにおいてステレオ音像を形成して、
ステレオ音響を発生させる手段とを備えたことを特徴と
するステレオ音響装置。
【0176】[B] 発生される音響データをデジタル
フィルタ制御する第1のデジタルフィルタ手段と、 上
記発生される同じ音響データをデジタルフィルタ制御す
る上記第1のデジタルフィルタ手段と同じ演算処理を行
う第2のデジタルフィルタ手段であって、上記第1のデ
ジタルフィルタ手段と同時に並行してデジタルフィルタ
制御を行う当該第2のデジタルフィルタ手段とに対し
て、 上記第1のデジタルフィルタ手段及び第2のデジ
タルフィルタ手段において、デジタルフィルタ演算され
た音響データとデジタルフィルタ演算されない音響デー
タとを所定の配分で合成させ、 この両音響データの配
分合成の割合を変えることによって、上記形成されるス
テレオ音像の位置を左右、上下または前後に変化させ、
これら第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフ
ィルタ演算された音響データと、第2のデジタルフィル
タ手段からのデジタルフィルタ演算された音響データと
を、異なる発音システムに同時に並行して供給させるこ
とにより、これら発音システムにおいてステレオ音像を
形成させて、ステレオ音響を発生させることを特徴とす
るステレオ音響方法。
【0177】[C] 上記デジタルフィルタ演算された
音響データとデジタルフィルタ演算されない音響データ
とが合成される場合の配分割合もフィルタ係数の1つで
あり、この配分割合は、音像の水平方向の角度または垂
直方向の角度につき、以下の三角関数演算式によって求
められ、 α×cos(2π×SI/Z+β)+γ×cos(4π
×SI/Z+δ)+ε ここでSIは音像の上下垂直方向の角度であって、α、
β、γ、δ、εは正または負の定数であり、 μ×cos(π×SI/Z+ν)+ξ×cos(2π×
SI/Z+ρ)+σ ここでSIは音像の左右前後水平方向の角度であって、
μ、ν、ξ、ρ、σは正または負の定数であり、μ=0
の場合もあり、 Z=180度または90度であり、上
記SIは(360−SI)の場合もあり、 上記第1の
デジタルフィルタ手段及び第2のデジタルフィルタ手段
に、デジタルフィルタ演算のためのフィルタ係数を供給
し、しかもこの第1のデジタルフィルタ手段に供給され
るフィルタ係数の値と、第2のデジタルフィルタ手段に
供給されるフィルタ係数の値とは異なることを特徴とす
る請求項A記載のステレオ音響装置。
【0178】[D] 上記第1のデジタルフィルタ手段
または第2のデジタルフィルタ手段では、人間の頭部ま
たは耳部を回折または透過した音響の、回折前または透
過前の音響に対する周波数特性を実現するためのフィル
タ演算が、一方の耳と他方の耳について実行され、 こ
の回折または透過は人間の頭部または耳部の水平方向、
垂直方向、左右方向、前後方向または上下方向、これら
左右方向、前後方向または上下方向の間の斜め方向につ
いて、計測されまたは演算されたものであることを特徴
とする請求項A記載のステレオ音響装置。
【0179】[E] 上記異なる発音システムの1つか
ら発音される音響のうち、上記一方の耳に届く音響を相
殺して他方の耳に届く音響のみが有効とされる音響成分
が他の発音システムから発音され、 1つの発音システ
ムから発音される音響が一方の耳に届く音響と他方の耳
に届く音響との相違に基づいたフィルタ演算が、当該1
つの発音システムから発音される音響に対してなされ、
これが上記相殺音響成分として他方の発音システムから
発音され、 上記音響が頭部を回折または透過して上記
一方の耳に到達する変化に応じたデジタルフィルタ演算
が行われて上記相殺音響成分が生成され、 この相殺音
響成分のデジタルフィルタ演算のためのフィルタ係数の
値は、各発音システムの相互の位置若しくは/及び聴者
の位置との関係またはこれらの離間角度に応じて変化
し、 ヘッドホンなどの1つの発音システムから一方の
耳にのみ音響が届き他方の耳には当該音響が届かない発
音システムにおいては、上記相殺音響成分は発生され
ず、複数スピーカーなどの1つの発音システムから一方
の耳ばかりでなく他方の耳にも当該音響が届く発音シス
テムにおいては、上記相殺音響成分は発生され、このよ
うな相殺音響成分の発生及び非発生が使用される発音シ
ステムによって切り換えられることを特徴とする請求項
A記載のステレオ音響装置。
【0180】[F] 上記異なる発音システムに供給さ
れる各音響データの各大きさは、上記ステレオ音像の位
置に応じて異なる値とされ、この大きさは上記フィルタ
係数の値の変化と連動しており、 上記異なる発音シス
テムに供給される各音響データの各位相または各開始タ
イミングは、上記ステレオ音像の位置に応じて異なる値
とされ、各位相または各開始タイミングは上記フィルタ
係数の値の変化と連動しており、 上記デジタルフィル
タ制御される音響には、当該デジタルフィルタ制御され
ない音響が合成され、これらの合成割合つまり配分割合
が、各周波数特性に特徴のある箇所ごとまたは周波数帯
域ごとに異なることを特徴とする請求項A記載のステレ
オ音響装置。
【0181】[G] 上記フィルタ係数は時間経過に応
じて変化され、これに応じて上記形成されるステレオ音
像は時間経過に応じて変化され、 この変化の速度は音
楽的ファクタに応じてまたは操作者の設定によって変更
されることを特徴とする請求項A記載のステレオ音響装
置。
【0182】[a] 発生される音響データをデジタル
フィルタ制御することにより、一方の耳における垂直方
向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第1のデジタ
ルフィルタ手段と、 上記発生される音響データをデジ
タルフィルタ制御することにより、他方の耳における垂
直方向の音像形成のためのデジタルフィルタ演算を行う
第2のデジタルフィルタ手段と、であって、 上記第1
のデジタルフィルタ手段と、第2のデジタルフィルタ手
段とは、同じ演算処理を行うものであって、同時に並行
してデジタルフィルタ演算を行うものであり、さらに供
給されるフィルタ係数が異なり、これら両デジタルフィ
ルタ手段のうち、一方のデジタルフィルタ手段は頭部を
回折または透過して一方の耳における垂直方向の音像形
成のためのデジタルフィルタ演算を行い、他方のデジタ
ルフィルタ手段は他方の耳における垂直方向の音像形成
のためのデジタルフィルタ演算を行うものであり、 こ
れら第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィル
タ制御された音響データと、第2のデジタルフィルタ手
段からのデジタルフィルタ制御された音響データとを、
異なる発音システムに同時に並行して供給することによ
り、これら発音システムにおいて垂直方向のステレオ音
像を形成して、ステレオ音響を発生させる手段とを備え
たことを特徴とするステレオ音響装置。
【0183】[b] 発生される音響データをデジタル
フィルタ制御することにより、一方の耳における垂直方
向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第1のデジタ
ルフィルタ手段、及び、 上記発生される音響データを
デジタルフィルタ制御することにより、他方の耳におけ
る垂直方向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第2
のデジタルフィルタ手段、に対して、 上記第1のデジ
タルフィルタ手段と第2のデジタルフィルタ手段とに同
じ演算処理を行わせ、かつ同時に並行してデジタルフィ
ルタ演算を行わせ、これら両デジタルフィルタ手段に異
なる値のフィルタ係数を供給させ、これら両デジタルフ
ィルタ手段のうち、一方のデジタルフィルタ手段には頭
部を回折または透過して一方の耳における垂直方向の音
像形成のためのデジタルフィルタ演算を行わせ、他方の
デジタルフィルタ手段には他方の耳における垂直方向の
音像形成のためのデジタルフィルタ演算を行わせ、 こ
れら第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィル
タ制御された音響データと、第2のデジタルフィルタ手
段からのデジタルフィルタ制御された音響データとを、
異なる発音システムに同時に並行して供給させることに
より、これら発音システムにおいて垂直方向のステレオ
音像を形成して、ステレオ音響を発生させることを特徴
とするステレオ音響方法。
【0184】[c] 上記ステレオ音響装置は、さら
に、 上記発生される音響データまたは上記第1のデジ
タルフィルタ手段からの音響データを、デジタルフィル
タ演算することにより、一方の耳における水平方向の音
像形成のためのフィルタ処理を行う第3のデジタルフィ
ルタ手段と、 上記発生される音響データまたは上記第
2のデジタルフィルタ手段からの音響データを、デジタ
ルフィルタ演算することにより、他方の耳における水平
方向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第4のデジ
タルフィルタ手段とを備え、 上記第3のデジタルフィ
ルタ手段と、第4のデジタルフィルタ手段とは、同じ演
算処理を行うものであって、同時に並行してデジタルフ
ィルタ演算を行うものであり、さらに供給されるフィル
タ係数が異なり、これら両デジタルフィルタ手段のう
ち、一方のデジタルフィルタ手段は頭部を回折または透
過して一方の耳における水平方向の音像形成のためのデ
ジタルフィルタ演算を行い、他方のデジタルフィルタ手
段は他方の耳における水平方向の音像形成のためのデジ
タルフィルタ演算を行うものであり、 これら第3のデ
ジタルフィルタ手段からのデジタルフィルタ制御された
音響データと、第4のデジタルフィルタ手段からのデジ
タルフィルタ制御された音響データとを、異なる発音シ
ステムに同時に並行して供給することにより、これら発
音システムにおいて上記垂直方向のほか水平方向のステ
レオ音像も形成して、ステレオ音響を発生させる手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項a記載のステレ
オ音響装置。
【0185】[d] 上記第1のデジタルフィルタ手段
と第2のデジタルフィルタ手段とで、特定の水平方向に
ついての音像についての、人間の両耳にそれぞれ対応し
たデジタルフィルタ演算が行われ、 これらのデジタル
フィルタ演算結果が重み付け合成されて、他の水平方向
についての音像が形成され、 または上記第1のデジタ
ルフィルタ手段と第2のデジタルフィルタ手段でのデジ
タルフィルタ演算結果が左右対称に反転されて左右対称
の音像が形成されることを特徴とする請求項a記載のス
テレオ音響装置。
【0186】[e] 上記第1のデジタルフィルタ手
段、第2のデジタルフィルタ手段、第3のデジタルフィ
ルタ手段または第4のデジタルフィルタ手段では、人間
の頭部または耳部を回折または透過した音響の、回折前
または透過前の音響に対する周波数特性を実現するため
のデジタルフィルタ演算が実行され、 この回折または
透過は人間の頭部または耳部の水平方向、垂直方向、左
右方向、前後方向または上下方向、これら左右方向、前
後方向または上下方向の間の斜め方向について、計測さ
れまたは演算されたものであることを特徴とする請求項
c記載のステレオ音響装置。
【0187】[f] 上記異なる発音システムの1つか
ら発音される音響のうち、上記一方の耳に届く音響を相
殺して他方の耳に届く音響のみが有効とされる音響成分
が他の発音システムから発音され、 1つの発音システ
ムから発音される音響が一方の耳に届く音響と他方の耳
に届く音響との相違に基づいたフィルタ演算が、当該1
つの発音システムから発音される音響に対してなされ、
これが上記相殺音響成分として他方の発音システムから
発音され、 上記音響が頭部を回折または透過して上記
一方の耳に到達する変化に応じたデジタルフィルタ演算
が行われて上記相殺音響成分が生成され、 この相殺音
響成分のデジタルフィルタ演算のためのフィルタ係数の
値は、各発音システムの相互の位置若しくは/及び聴者
の位置との関係またはこれらの離間角度に応じて変化
し、 ヘッドホンなどの1つの発音システムから一方の
耳にのみ音響が届き他方の耳には当該音響が届かない発
音システムにおいては、上記相殺音響成分は発生され
ず、複数スピーカーなどの1つの発音システムから一方
の耳ばかりでなく他方の耳にも当該音響が届く発音シス
テムにおいては、上記相殺音響成分は発生され、このよ
うな相殺音響成分の発生及び非発生が使用される発音シ
ステムによって切り換えられることを特徴とする請求項
a記載のステレオ音響装置。
【0188】[g] 上記異なる発音システムに供給さ
れる各音響データの各大きさは、上記ステレオ音像の位
置に応じて異なる値とされ、この大きさは上記フィルタ
係数の値の変化と連動しており、 上記異なる発音シス
テムに供給される各音響データの各位相または各開始タ
イミングは、上記ステレオ音像の位置に応じて異なる値
とされ、各位相または各開始タイミングは上記フィルタ
係数の値の変化と連動しており、 上記デジタルフィル
タ演算される音響には、当該デジタルフィルタ演算され
ない音響が合成され、これらの合成割合つまり配分割合
が、各周波数特性に特徴のある箇所ごとまたは周波数帯
域ごとに異なることを特徴とする請求項a記載のステレ
オ音響装置。
【0189】[h] 上記フィルタ係数は時間経過に応
じて変化され、これに応じて上記形成されるステレオ音
像は時間経過に応じて変化され、 この変化の速度は音
楽的ファクタに応じてまたは操作者の設定によって変更
されることを特徴とする請求項a記載のステレオ音響装
置。
【0190】[K] 発生される音響データをデジタル
フィルタ制御することにより、一方の耳における垂直方
向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第1のデジタ
ルフィルタ手段と、 上記発生される音響データをデジ
タルフィルタ制御することにより、他方の耳における垂
直方向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第2のデ
ジタルフィルタ手段と、であって、 上記第1のデジタ
ルフィルタ手段と、第2のデジタルフィルタ手段とは、
同じ演算処理を行うものであって、同時に並行してデジ
タルフィルタ制御を行うものであり、さらに供給される
フィルタ係数が異なり、これら両デジタルフィルタ手段
のうち、一方のデジタルフィルタ手段は頭部を回折また
は透過して一方の耳における音像形成のためのデジタル
フィルタ演算を行い、他方のデジタルフィルタ手段は他
方の耳における音像形成のためのデジタルフィルタ演算
を行うものであり、 これら第1のデジタルフィルタ手
段からのデジタルフィルタ演算された音響データと、第
2のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィルタ演算
された音響データとを、異なる発音システムに同時に並
行して供給することにより、これら発音システムにおい
てステレオ音像を形成して、ステレオ音響を発生させる
手段と、 上記異なる発音システムの1つから発音され
る音響のうち、一方の耳に届く音響を相殺して他方の耳
に届く音響のみが有効とされる相殺音響成分を生成して
他の発音システムに供給する手段であって、この手段で
は、当該音響が頭部を回折または透過して当該一方の耳
に到達する変化に応じたデジタルフィルタ演算が行われ
て当該相殺音響成分が生成されることを特徴とするステ
レオ音響装置。
【0191】[L] 発生される音響データをデジタル
フィルタ制御することにより、一方の耳における垂直方
向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第1のデジタ
ルフィルタ手段と、 上記発生される音響データをデジ
タルフィルタ制御することにより、他方の耳における垂
直方向の音像形成のためのフィルタ処理を行う第2のデ
ジタルフィルタ手段と、に対して、 上記第1のデジタ
ルフィルタ手段と、第2のデジタルフィルタ手段とに、
同じ演算処理を行わせ、しかも同時に並行してデジタル
フィルタ制御を行わせ、さらに異なるフィルタ係数を供
給させ、 これら両デジタルフィルタ手段のうち、一方
のデジタルフィルタ手段に頭部を回折または透過して一
方の耳における音像形成のためのデジタルフィルタ演算
を行わせ、他方のデジタルフィルタ手段に他方の耳にお
ける音像形成のためのデジタルフィルタ演算を行わせ、
これら第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフ
ィルタ演算された音響データと、第2のデジタルフィル
タ手段からのデジタルフィルタ演算された音響データと
を、異なる発音システムに同時に並行して供給させるこ
とにより、これら発音システムにおいてステレオ音像を
形成させて、ステレオ音響を発生させ、 上記異なる発
音システムの1つから発音される音響のうち、一方の耳
に届く音響を相殺して他方の耳に届く音響のみが有効と
される相殺音響成分を生成して他の発音システムに供給
させることであって、当該音響が頭部を回折または透過
して当該一方の耳に到達する変化に応じたデジタルフィ
ルタ演算を行わせて当該相殺音響成分を生成させること
を特徴とするステレオ音響方法。
【0192】[M] 上記異なる発音システムの1つか
ら発音される音響のうち、上記一方の耳に届く音響を相
殺して他方の耳に届く音響のみが有効とされる音響成分
が他の発音システムから発音され、 1つの発音システ
ムから発音される音響が一方の耳に届く音響と他方の耳
に届く音響との相違に基づいたフィルタ演算が、当該1
つの発音システムから発音される音響に対してなされ、
これが上記相殺音響成分として他方の発音システムから
発音され、 上記音響が頭部を回折または透過して上記
一方の耳に到達する変化に応じたデジタルフィルタ演算
が行われて上記相殺音響成分が生成され、 この相殺音
響成分のデジタルフィルタ演算のためのフィルタ係数の
値は、各発音システムの相互の位置若しくは/及び聴者
の位置との関係またはこれらの離間角度に応じて変化
し、 上記相殺音響成分は垂直方向または水平方向の音
像形成のための音響についても発生され、 ヘッドホン
などの1つの発音システムから一方の耳にのみ音響が届
き他方の耳には当該音響が届かない発音システムにおい
ては、上記相殺音響成分は発生されず、複数スピーカー
などの1つの発音システムから一方の耳ばかりでなく他
方の耳にも当該音響が届く発音システムにおいては、上
記相殺音響成分は発生され、このような相殺音響成分の
発生及び非発生が使用される発音システムによって切り
換えられることを特徴とする請求項K記載のステレオ音
響装置。
【0193】[N] 上記異なる発音システムに供給さ
れる各音響データの各大きさは、上記ステレオ音像の位
置に応じて異なる値とされ、この大きさは上記フィルタ
係数の値の変化と連動しており、 上記異なる発音シス
テムに供給される各音響データの各位相または各開始タ
イミングは、上記ステレオ音像の位置に応じて異なる値
とされ、各位相または各開始タイミングは上記フィルタ
係数の値の変化と連動しており、 上記デジタルフィル
タ演算される音響には、当該デジタルフィルタ演算され
ない音響が合成され、これらの合成割合つまり配分割合
が、各周波数特性に特徴のある箇所ごとまたは周波数帯
域ごとに異なることを特徴とする請求項K記載のステレ
オ音響装置。
【0194】[O] 上記フィルタ係数は時間経過に応
じて変化され、これに応じて上記形成されるステレオ音
像は時間経過に応じて変化され、 この変化の速度は音
楽的ファクタに応じてまたは操作者の設定によって変更
されることを特徴とする請求項K記載のステレオ音響装
置。
【0195】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、発生さ
れる音響データが第1のデジタルフィルタ手段及び第2
のデジタルフィルタ手段でフィルタ制御され、この第1
のデジタルフィルタ手段と第2のデジタルフィルタ手段
とは同じ演算処理が行われ、供給されるフィルタ係数の
みが異なり、かつ同時に並行してフィルタ制御が行わ
れ、これら第1のデジタルフィルタ手段からのフィルタ
制御された音響データと、第2のデジタルフィルタ手段
からのフィルタ制御された音響データとが、異なる発音
システムに同時に供給される。したがって、元は同じ音
響データであっても、各発音システムで発生される音響
の音質がそれぞれ異なったものとなり、この音質の違い
によって微妙なステレオ音像を形成することができる等
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステレオ音響装置を内蔵またはステレオ音響方
法を実現する電子音響装置または電子楽器の全体回路を
示す。
【図2】楽音信号発生部5を示す。
【図3】サウンドシステム6を示す。
【図4】パンポット回路26を示す。
【図5】上下垂直特性回路31L及び上下垂直特性回路
31Rを示す。
【図6】デジタルフィルタ126、131、146、1
51の1つを示す。
【図7】プログラム/データ記憶部4に記憶されたフィ
ルタ係数を示す。
【図8】デジタルフィルタ41、46、51、56、6
1、66それぞれのフィルタ特性つまり周波数特性、減
衰特性及び共振特性の一例を示す。
【図9】フィルタ係数A(B、C、E、F、G)の変化
に対する上記デジタルフィルタ41(46、51、5
6、61、66)のフィルタ特性(周波数特性、減衰特
性及び共振特性)の変化例を示す。
【図10】左右前後重み付け回路32を示す。
【図11】右遅延回路33R(左遅延回路33L)を示
す。
【図12】左水平特性回路34L及び右水平特性回路3
4Rを示す。
【図13】デジタルフィルタ121、136、141、
156の1つを示す。
【図14】デジタルフィルタ126、131、146、
151の1つを示す。
【図15】プログラム/データ記憶部4に記憶されたフ
ィルタ係数及び上述のレベル係数I、J並びにディレイ
係数DTを示す。
【図16】デジタルフィルタ121、141、126、
146、131、151、136、156それぞれのフ
ィルタ特性つまり周波数特性、減衰特性及び共振特性の
一例を示す。
【図17】クロストークキャンセル回路35を示す。
【図18】プログラム/データ記憶部4に記憶された上
記フィルタ係数p、q、r、s、t、u、v、w、x、
y、zを示す。
【図19】左スピーカー30SLからの相殺音響成分R
2によって余分音響R2を相殺する状態を示す。
【図20】ステレオ音像を時間的に移動させるためのフ
ローチャートを示す。
【図21】時間的に移動するステレオ音像の移動軌跡を
示す。
【符号の説明】
2…コントローラ(CPU)、3…タイミング発生部、
4…プログラム/データ記憶部、5…楽音信号発生部、
6…サウンドシステム、7…情報記憶部、11…キーボ
ード、12…キースキャン回路、13…パネルスイッチ
群、14…スイッチスキャン回路、15…ミディ回路、
20…アサインメントメモリ、22…周波数ナンバ累算
器、23…楽音波形メモリ、24…エンベロープジェネ
レータ、25…乗算器、26…パンポット回路、27R
…右累算回路、27L…左累算回路、28R…右D−A
変換器、28L…左D−A変換器、29R…右アンプ、
29L…左アンプ、30SR…右スピーカー、30SL
…左スピーカー、30HR…右ヘッドホンスピーカー、
30HL…左ヘッドホンスピーカー、31L…上下垂直
特性回路(左)、31R…上下垂直特性回路(右)、3
2…左右前後重み付け回路、33R…右遅延回路、33
L…左遅延回路、34R…右水平特性回路、34L…左
水平特性回路、35…クロストークキャンセル回路、7
1、72、73、76、77、78…フィルタ配分回
路、41、46、51、56、61、66…デジタルフ
ィルタ、42、43、47、48、52、53、57、
58、62、63、67、68…乗算器、44、49、
54、59、64、69…加算器、55、70…乗算
器、85、86、87、88、89…乗算器、90…加
算器、81、82、83、84…遅延器、93、94、
95、96…乗算器、97、98…加算器、100…デ
ィレイ回路、101…データセレクタ、102…ラッ
チ、111、112、113、114、116、11
7、118、119…フィルタ配分回路、121、12
6、131、136、141、146、151、156
…デジタルフィルタ、122、123、127、12
8、132、133、137、138、142、14
3、147、148、152、153、157、158
…乗算器、124、129、134、139、144、
149、154、159…加算器、115、120…乗
算器、162、163、164、173、174、17
5、176、177…乗算器、167、180…加算
器、161、162、171、172、173、174
…遅延器、185R、185L、191、192、20
1、202、203、204、205、206、207
…ディレイ回路、186R、186L、192、19
3、194、208、209、210、211、21
2、213、214…乗算器、196、215…加算
器。188R、188L…減算器、187R、187L
…キャンセルデジタルフィルタ、189R、189L…
波形成形回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 健二 静岡県浜松市寺島町200番地 株式会社河 合楽器製作所内 Fターム(参考) 5D062 AA65 AA73 AA74 5D378 JA01 JA02 JA03 JA08 XX05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発生される音響データをデジタルフィル
    タ制御することにより、一方の耳における垂直方向の音
    像形成のためのフィルタ処理を行う第1のデジタルフィ
    ルタ手段と、 上記発生される音響データをデジタルフィルタ制御する
    ことにより、他方の耳における垂直方向の音像形成のた
    めのフィルタ処理を行う第2のデジタルフィルタ手段
    と、であって、 上記第1のデジタルフィルタ手段と、第2のデジタルフ
    ィルタ手段とは、同じ演算処理を行うものであって、同
    時に並行してデジタルフィルタ制御を行うものであり、
    さらに供給されるフィルタ係数が異なり、これら両デジ
    タルフィルタ手段のうち、一方のデジタルフィルタ手段
    は頭部を回折または透過して一方の耳における音像形成
    のためのデジタルフィルタ演算を行い、他方のデジタル
    フィルタ手段は他方の耳における音像形成のためのデジ
    タルフィルタ演算を行うものであり、 これら第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィ
    ルタ演算された音響データと、第2のデジタルフィルタ
    手段からのデジタルフィルタ演算された音響データと
    を、異なる発音システムに同時に並行して供給すること
    により、これら発音システムにおいてステレオ音像を形
    成して、ステレオ音響を発生させる手段と、 上記異なる発音システムの1つから発音される音響のう
    ち、一方の耳に届く音響を相殺して他方の耳に届く音響
    のみが有効とされる相殺音響成分を生成して他の発音シ
    ステムに供給する手段であって、この手段では、当該音
    響が頭部を回折または透過して当該一方の耳に到達する
    変化に応じたデジタルフィルタ演算が行われて当該相殺
    音響成分が生成されることを特徴とするステレオ音響装
    置。
  2. 【請求項2】 発生される音響データをデジタルフィル
    タ制御することにより、一方の耳における垂直方向の音
    像形成のためのフィルタ処理を行う第1のデジタルフィ
    ルタ手段と、 上記発生される音響データをデジタルフィルタ制御する
    ことにより、他方の耳における垂直方向の音像形成のた
    めのフィルタ処理を行う第2のデジタルフィルタ手段
    と、に対して、 上記第1のデジタルフィルタ手段と、第2のデジタルフ
    ィルタ手段とに、同じ演算処理を行わせ、しかも同時に
    並行してデジタルフィルタ制御を行わせ、さらに異なる
    フィルタ係数を供給させ、 これら両デジタルフィルタ手段のうち、一方のデジタル
    フィルタ手段に頭部を回折または透過して一方の耳にお
    ける音像形成のためのデジタルフィルタ演算を行わせ、
    他方のデジタルフィルタ手段に他方の耳における音像形
    成のためのデジタルフィルタ演算を行わせ、 これら第1のデジタルフィルタ手段からのデジタルフィ
    ルタ演算された音響データと、第2のデジタルフィルタ
    手段からのデジタルフィルタ演算された音響データと
    を、異なる発音システムに同時に並行して供給させるこ
    とにより、これら発音システムにおいてステレオ音像を
    形成させて、ステレオ音響を発生させ、 上記異なる発音システムの1つから発音される音響のう
    ち、一方の耳に届く音響を相殺して他方の耳に届く音響
    のみが有効とされる相殺音響成分を生成して他の発音シ
    ステムに供給させることであって、当該音響が頭部を回
    折または透過して当該一方の耳に到達する変化に応じた
    デジタルフィルタ演算を行わせて当該相殺音響成分を生
    成させることを特徴とするステレオ音響方法。
  3. 【請求項3】 上記異なる発音システムの1つから発音
    される音響のうち、上記一方の耳に届く音響を相殺して
    他方の耳に届く音響のみが有効とされる音響成分が他の
    発音システムから発音され、 1つの発音システムから発音される音響が一方の耳に届
    く音響と他方の耳に届く音響との相違に基づいたフィル
    タ演算が、当該1つの発音システムから発音される音響
    に対してなされ、これが上記相殺音響成分として他方の
    発音システムから発音され、 上記音響が頭部を回折または透過して上記一方の耳に到
    達する変化に応じたデジタルフィルタ演算が行われて上
    記相殺音響成分が生成され、 この相殺音響成分のデジタルフィルタ演算のためのフィ
    ルタ係数の値は、各発音システムの相互の位置若しくは
    /及び聴者の位置との関係またはこれらの離間角度に応
    じて変化し、 上記相殺音響成分は垂直方向または水平方向の音像形成
    のための音響についても発生され、 ヘッドホンなどの1つの発音システムから一方の耳にの
    み音響が届き他方の耳には当該音響が届かない発音シス
    テムにおいては、上記相殺音響成分は発生されず、複数
    スピーカーなどの1つの発音システムから一方の耳ばか
    りでなく他方の耳にも当該音響が届く発音システムにお
    いては、上記相殺音響成分は発生され、このような相殺
    音響成分の発生及び非発生が使用される発音システムに
    よって切り換えられることを特徴とする請求項1記載の
    ステレオ音響装置。
  4. 【請求項4】 上記異なる発音システムに供給される各
    音響データの各大きさは、上記ステレオ音像の位置に応
    じて異なる値とされ、この大きさは上記フィルタ係数の
    値の変化と連動しており、 上記異なる発音システムに供給される各音響データの各
    位相または各開始タイミングは、上記ステレオ音像の位
    置に応じて異なる値とされ、各位相または各開始タイミ
    ングは上記フィルタ係数の値の変化と連動しており、 上記デジタルフィルタ演算される音響には、当該デジタ
    ルフィルタ演算されない音響が合成され、これらの合成
    割合つまり配分割合が、各周波数特性に特徴のある箇所
    ごとまたは周波数帯域ごとに異なることを特徴とする請
    求項1記載のステレオ音響装置。
  5. 【請求項5】 上記フィルタ係数は時間経過に応じて変
    化され、これに応じて上記形成されるステレオ音像は時
    間経過に応じて変化され、 この変化の速度は音楽的ファクタに応じてまたは操作者
    の設定によって変更されることを特徴とする請求項1記
    載のステレオ音響装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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