JP2001083109A - 蛍光x線分析方法およびその装置 - Google Patents

蛍光x線分析方法およびその装置

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JP2001083109A JP25636799A JP25636799A JP2001083109A JP 2001083109 A JP2001083109 A JP 2001083109A JP 25636799 A JP25636799 A JP 25636799A JP 25636799 A JP25636799 A JP 25636799A JP 2001083109 A JP2001083109 A JP 2001083109A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対称性エネルギースペクトルだけではなく、
非対称性エネルギースペクトルの蛍光X線を発生する原
子種に対しても優れた定量分析や定性分析を行うことが
でき、蛍光X線分析の分析精度および自由度を飛躍的に
高めることのできる、新しい蛍光X線分析方法およびそ
の装置を提供する。 【解決手段】 X線または粒子線の照射により試料から
発生する蛍光X線をエネルギースペクトルとして測定
し、その実測エネルギースペクトルから試料分析を行う
蛍光X線分析方法において、非対称因子にしたがって対
称性および非対称性のエネルギープロファイルを表すこ
とのできる非対称性プロファイル関数を用いて、実測エ
ネルギースペクトルに対するプロファイルフィッティン
グを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、蛍光X線
分析方法およびその装置に関するものである。さらに詳
しくは、この出願の発明は、エネルギースペクトラムに
対するプロファイルフィッテングを高い自由度で、より
精度良く行うことのできる、新しい蛍光X線分析方法お
よびこの方法を用いた蛍光X線分析装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、試料の定量分析や
定性分析などを行う一方法として、X線(一次X線)、
または中性子線や電子線等の粒子線の照射により試料か
ら発生する蛍光X線を利用した蛍光X線分析方法が用い
られており、この蛍光X線分析方法は、波長分散(wave
length dispersive )型とエネルギー分散(energy dis
persive )型とに大別できる。
【0003】波長分散型は、試料から発生する蛍光X線
を、ソーラスリットによって平行なビームに調整した
後、分光結晶および検出器を備えた分散系によって各波
長ごとに分光したX線スペクトルとし、この波長と強度
から試料中の原子種(元素)の含有量や試料中の原子種
分析などを求めるものである。他方、エネルギー分散型
は、蛍光X線を直接半導体検出器により検出し、半導体
検出器から出力される一次X線のエネルギーに比例した
波高値の出力信号パルスを、波高分析器で電気的に一次
X線のエネルギー毎に分離することによってエネルギー
スペクトルを取得し、このエネルギースペクトルのピー
クから試料分析を行うものである。
【0004】波長分散型では、エネルギー分解能が高
く、P/B比や定量分析の精度に優れているという利点
があるものの、一定角度毎に移動しながら測定するため
に測定時間が長く、また、検出器を分光結晶の周りに回
転させるなどの可動機構や精密操作が必要であり、分析
装置自体が非常に大型となるといった欠点があった。こ
れに対し、エネルギー分散型は、上述したように蛍光X
線を分光結晶などを用いずに直接半導体検出器で検出す
るので、広範囲のエネルギー領域のX線スペクトルを同
時に測定でき、検出器の効率が極めて高く、分析装置も
小型であり、スペースの有効利用が必要な研究・開発の
現場では非常に好ましいものとなっている。しかしなが
ら、このように優れた特徴を有するエネルギー分散型の
蛍光X線分析方法にも、エネルギー分解能が波長分散型
に比べて低いという欠点がある。
【0005】蛍光X線とは、あるエネルギー以上の一次
X線を照射された試料の各原子種が発生する、それぞれ
に特有のエネルギーを持つX線のことをいう。したがっ
て、ある原子種からの蛍光X線の強度と、他の原子種か
らの強度とを比べることによって、試料中の原子種の含
有比を求めることができるのである。しかしながら、蛍
光X線は本来はそのエネルギーに対し非常に狭い幅の分
散しか持たないものであるにもかかわらず、受光したエ
ネルギーを分解する検出器(回路)の能力や、その他の
不確定な要素によって、大きな幅を持ったピークとして
観測されてしまう。このため、ピークの幅が広がってし
まうことにより、本来は試料中の各原子種のピークエネ
ルギーが互いに大きく離れている場合には独立したピー
クとしてそれぞれの積分強度を得ることができるはずで
あるのに、ピーク同士が重なり合って、分離された強度
比の取得が困難となり、また、互いに近いエネルギーを
持つピーク同士では、もともとある程度重なり合う部分
が発生しているのに、さらに重なり合いが著しくなると
いった問題があった。特に、エネルギー分散型蛍光X線
分析方法では、隣接するピークエネルギーを互いに分離
する能力がもともと劣っているので、重なり合いが波長
分散型蛍光X線分析方法よりも著しく生じ、エネルギー
分解能がより低いのである。
【0006】そこで、このような低エネルギー分解能に
伴う分析精度の低下を補うために、プロファイルフィッ
テング(またはホールパターンフィッテング)と呼ばれ
る技術がしばしば用いられている。
【0007】このプロファイルフィッテングとは、一般
的にはピーク形状のシグナルをもつデータから物理量を
導き出す手法の一つであり、蛍光X線分析方法において
は、分析対象の試料について、測定されるであろう各原
子種のスペクトルを予めシミュレートしておき、実際に
測定されたエネルギースペクトルに対してシミュレート
スペクトルのフィテッィングを行うことにより、実測エ
ネルギースペクトルとマッチしたシミュレートスペクト
ルを有する原子種の含有比などを求めるものである。
【0008】ここで、蛍光X線分析方法におけるプロフ
ァイルフィッティングの概要について説明する。プロフ
ァイルフィッティングでは、予め単一原子種のエネルギ
ースペクトルをシミュレートしておくため、物理的パラ
メータだけではなく、機械的、電気的、幾何学的など、
考えられる限りの誤差要因に対するシミュレーション・
パラメータを導入しなければならない。そして、シミュ
レーションの結果が、測定値に一番近くなるパラメータ
の値を最小二乗法によって決定する。ただし、個々のピ
ークの細かな形状に対しては機械、電気系統からの影響
が大きく、装置毎の形状変化や、計時変化なども起こす
可能性があり、このように形状変化するエネルギースペ
クトル全てを正確にシミュレートしておくことは非常に
困難である。そこで、シミュレートスペクトルをエネル
ギープロファイルとして比較的簡単に表す関数、いわゆ
るプロファイル関数に置き換え、プロファイル関数のパ
ラメータ値によって様々なプロファイル形状を表現でき
るようにすることが行われている。
【0009】図1は、ピーク位置を中心に左右対称とな
っているエネルギースペクトルの一例を示したものであ
る。ここで、プロファイル関数を、エネルギープロファ
イルを表すためのパラメータ群paramとエネルギー
eに対する強度を求める関数としてP(param;e) とす
る。
【0010】プロファイル解析の最も簡単な例は、一つ
のエネルギーピークに対するものである。このとき、パ
ラメータとなるのは、ピークの位置e0 とスケールファ
クタsである。つまり、次式(数3)のように、ある位
置にプロファイル関数を設定し、全体にスケールファク
ターsを掛けることによって、単一ピークのエネルギー
スペクトルI(e) を表すことができる。
【0011】
【数3】
【0012】そして、プロファイル関数のパラメータも
含めてピーク位置とスケールファクタの値を変え、実際
のピークに合う値を探すのである。図2は、このような
単一ピークフィッテングの一例を示したものである(図
中「残差」とは測定値と計算値との誤差を表してい
る)。さらに、プロファイル関数の積分値を1としてお
くことにより、スケールファクタそのものが積分強度を
示すことになる。これが図3に例示したように二つのピ
ークになった場合では、プロファイル関数を二つ用意
し、スケールファクタおよびピーク位置もそれぞれに持
たせ、全てのパラメータを合わせればよい。そして、そ
れぞれのスケールファクタが、「分離された積分強度」
となるのである。このことはピークがさらに増えても同
じであり、次式で表すことができる。
【0013】
【数4】
【0014】しかし、実際にはパラメータが増えると答
えが求めづらくなるなどの問題が含まれてしまう。そこ
で、蛍光X線の特徴をよく調べ、何がわかっていてパラ
メータからはずすことができるかを見積もることが重要
になる。まずは、ある原子種から発光するエネルギーで
ある蛍光X線は必ず特定の値を持ち変化することはな
い。つまり、ピーク位置を動かす必要がないのである。
また、一つの原子種から発光される蛍光X線の数ははっ
きりしており、その強度比も測定毎に変化することはな
い。したがって、エネルギーと相対強度についてはテー
ブルとして用意しておくことができる。これらの特徴を
ふまえて、パラメータの数を極力減らすことが好まし
い。
【0015】まず、一つの原子種からなるスペクトルを
考える。ある原子種jの蛍光X線kのエネルギーej,k
と相対強度Ij.k のテーブルをもとにして、それぞれの
ピークにプロファイル関数を割り当ててスペクトルI
j(e)を作成する。次式(数5)はこのことを表したもの
であり、また図4はこのようにして作成される単一原子
種からのスペクトルの一例を示したものである。
【0016】
【数5】
【0017】ここで、ピーク形状は全てのピークに対し
て同じであると仮定し、プロファイルのパラメータセッ
トは共通に一つだけ定義する(原子種間も共通とす
る)。このパラメータセットを解析が必要とされる原子
種全てに対して用意するとともに、それぞれの原子種に
対するスケールファクタsj を定義し、これをパラメー
タとする(数6)。図5は、2つの原子種からのスペク
トルに対して数6により得られるスペクトルI(e) の重
ね合わせの一例を示したものである。
【0018】
【数6】
【0019】つまり、最適化されるのは、各原子種のス
ケールファクタsj と、プロファイルに関するパラメー
タとなる。そして、スケールファクタの比は、そのまま
原子種毎の積分強度比となる。
【0020】さて、上述したプロファイルフィッティン
グにおいて、従来より用いられているプロファイル関数
(param;e) としては、ガウス関数およびローレンツ関
数がある。次式(数7)および図6に例示したように、
ガウス関数は比較的早く減衰するのに対し、ローレンツ
関数はかなり広い範囲まで裾野を引きずる関数である。
各関数におけるパラメータは半値幅Wである。
【0021】
【数7】
【0022】また、これら2つの関数を合わせた性質を
持つ関数も知られている。これらは次式(数8)のよう
に表すことができ、pseudo-Voigt(スード・ボイド)関
数、Peason VII(ピアソン・セブン)関数と呼ばれてお
り、ガウス関数とローレンツ関数の寄与する比率Rをパ
ラメータにして、たとえば図7に例示したようなガウス
関数とローレンツ関数との中間のようなエネルギープロ
ファイルを表すことができる(図中では混合関数と記し
ている)。
【0023】
【数8】
【0024】しかしながら、これら従来のプロファイル
関数は全てピーク位置を中心に左右対称となるエネルギ
ープロファイル(すなわち、ピーク位置を中心に低エネ
ルギー側と高エネルギー側とが対称形状となるプロファ
イルのこと)を表すものである。このため、従来の試料
解析においては、ピーク位置を中心に左右対称となるエ
ネルギースペクトル(対称性エネルギースペクトルと呼
ぶこととする)の蛍光X線を発生する原子種のみに対し
ては分析精度が高いものの、ピーク位置を中心に左右非
対称となるエネルギースペクトル(非対称性エネルギー
スペクトルと呼ぶこととする)に対するフィッティング
は当然のことながら誤差が大きくなって上手くいかず、
非対称性エネルギースペクトルの蛍光X線を発生する原
子種が試料中に含まれていると極端に分析精度が悪くな
るといった問題があった。これでは、予め対称性エネル
ギースペクトルの蛍光X線を発生する原子種のみが含ま
れていると予測される試料でなければ満足できる分析結
果は得られず、蛍光X線分析、特にエネルギー分散型に
おける分析精度の向上および自由度を妨げる一要因とな
っている。
【0025】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、
非対称性エネルギースペクトルの蛍光X線を発生する原
子種に対しても優れた定量・定性分析を行うことがで
き、蛍光X線分析の分析精度および自由度を飛躍的に高
めることのできる、新しい蛍光X線分析方法およびその
装置を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、X線または粒子線の照射
により試料から発生する蛍光X線をエネルギースペクト
ルとして測定し、その実測エネルギースペクトルから試
料分析を行う蛍光X線分析方法において、非対称因子に
したがって対称性および非対称性のエネルギープロファ
イルを表すことのできる非対称性プロファイル関数を用
いて、実測エネルギースペクトルに対するプロファイル
フィッティングを行うことを特徴とする蛍光X線分析方
法(請求項1)を提供し、この方法において、試料中の
各原子種の蛍光線テーブルと非対称性プロファイル関数
とを用いて各原子種毎のエネルギープロファイルを作成
し、各原子種毎のエネルギープロファイルをそれぞれに
各原子種の予測組成比を掛けて足し合わせることによ
り、試料のエネルギープロファイルを作成し、このエネ
ルギープロファイルと実測エネルギースペクトルとの誤
差が所望範囲となるように非対称性プロファイル関数の
パラメータおよび組成比を最適化すること(請求項4)
や、エネルギープロファイルに対してエネルギーシフト
およびバックグランドの補正を行うこと(請求項5)
や、ファンダメンタル・パラメータ法およびプロファイ
ルフィッティングを用いた回帰分析を行うこと(請求項
6)や、ファンダメンタル・パラメータ法により作成さ
れた組成比を変数として含む蛍光線強度式と、非対称性
プロファイル関数とを用い、組成比の初期値にて、試料
のエネルギープロファイルを作成し、このエネルギープ
ロファイルを実測エネルギースペクトルに対してプロフ
ァイルフィッティングすることにより組成比の計算値を
取得し、組成比の初期値と計算値とが一致するかを判定
し、両者が一致しない場合には組成比の初期値を組成比
の計算値に入れ替えるようにして、両者が一致するまで
エネルギープロファイルの作成および組成比の計算値の
取得を繰り返すこと(請求項7)などをその好ましい態
様としている。
【0027】また、この出願の発明は、上記の蛍光X線
分析方法を用いて試料分析を行うことを特徴とする蛍光
X線分析装置(請求項8)を提供し、この装置におい
て、非対称性プロファイル関数とともに、対称性プロフ
ァイル関数を用いることが可能とされており、非対称性
プロファイル関数または対称性プロファイル関数のいず
れかを、測定されたエネルギースペクトルの形状に適し
たプロファイル関数として選択するようになっているこ
と(請求項9)を一つの態様としている。
【0028】
【発明の実施の形態】この出願の発明において用いられ
る非対称性プロファイル関数としては、たとえば以下の
数9や数10と表せるものがある。
【0029】
【数9】
【0030】
【数10】
【0031】数9の非対称性プロファイル関数は、様々
な原子種からの蛍光X線の非対称性エネルギースペクト
ルの特性を考慮して、前述した数8のpseudo-Voigt関数
に非対称因子を導入したものであり(分散型pseudo-Voi
gt関数と呼ぶこととする)、数10の非対称性プロファ
イル関数は、前述した数8のPeason VII関数に非対称因
子を導入したものであり(分散型Peason VII関数と呼ぶ
こととする)、両関数とも、パラメータとしての非対称
因子の値によって対称性および非対称性のエネルギープ
ロファイルの両方を表すことができる。
【0032】さらに、これらの関数では、ガウス関数と
ローレンツ関数の寄与する比率R(混合比とも呼べる)
を、エネルギープロファイルの低エネルギー側と高エネ
ルギー側(一般にはそれぞれピーク中心の左側と右側と
になる)でRlow とRhighに分けて定義しており、これ
によって、低エネルギー側に対してはRlow を導入した
関数、高エネルギー側にはRhighを導入した関数を適宜
用い、各関数において半値幅Wおよび比率Rlow 或いは
Rhigh、並びに非対称因子を最適化することで、左右の
形状毎により的確に対応したエネルギープロファイルを
表すことができ、プロファイルフィッティングのさらな
る自由度の向上、且つ精度の向上を実現することができ
る。
【0033】この数9および数10の非対称性プロファ
イル関数における非対称因子は、低エネルギー側の関数
においては(1+1/A)2 、高エネルギー側の関数に
おいては(1+A)2 である。これらの非対称因子にお
いて変数Aの値を変えることにより非対称因子自体の値
が変わり、たとえば、変数Aが1ならば非対称因子は4
となって対称性エネルギープロファイルを表し、変数A
が1から離れるときは非対称因子も対称性から離れて非
対称エネルギープロファイルを表すことができ、非常に
汎用性の高いプロファイル関数となっている。このた
め、対称性エネルギースペクトルに対してはもちろんの
こと、様々な非対称形状の非対称性エネルギースペクト
ルに対しても十分な精度でプロファイルフィッティング
を行い、より汎用的で扱いやすい解析を実現できる。図
8は、このようなこの発明における非対称性プロファイ
ル関数により表された非対称性エネルギープロファイル
の一例を示したものであり、低エネルギー側と高エネル
ギー側が異なる形状となっていることがわかる。
【0034】ところで、実際のエネルギースペクトルの
測定では、前述したような検出器(または計測器)の分
解能力だけでなく、さらに不確定要因が含まれてくる。
まずは、検出器のエネルギー精度である。検出器により
測定されるエネルギーは検出器のゲインとオフセットの
設定で決められることが多いため、蛍光X線のエネルギ
ーを1次式で補正する必要がある。また、バックグラン
ドについても補正が必要となるが、測定方法、環境等の
影響を加味する必要がある。
【0035】そこで、この発明では、このような補正を
可能とすべく、蛍光X線のエネルギーに対して1次式に
なるバックグランドを定義し、これを上述した非対称性
プロファイル関数に適用させることで、さらなるプロフ
ァイルフィッティング精度の向上を図ることができる。
【0036】下記の数11は蛍光X線のエネルギーe’
j,k とバックグランドb(e) との関係を表した一例を示
しており、これを非対称性プロファイル関数に適用させ
た場合の最終的なスペクトル関数は下記の数12のよう
になる。
【0037】
【数11】
【0038】
【数12】
【0039】となる。この場合において、プロファイル
フィッティングにおける最適化を行うパラメータは、 プロファイルに関するパラメータ群(param) 各原子種毎のスケールファクタ(sj,k ) エネルギーシフトに関するパラメータ(shift
1,shift2) バックグランドに関するパラメータ(back1,b
ack2) である。また、最適化に関しては、各原子種毎の蛍光X
線のエネルギーej,k と相対強度Ij,k のテーブルが必
要である(ej,k ⇒Ij,k )。このようなテーブルを蛍
光線テーブルと呼ぶこととする。
【0040】非対称性の発生原因としては試料自体の特
性よりも装置的なものが多く、同じ測定・検出装置であ
っても設置場所や、使用頻度、再調整後によって非対称
性が変化することがあるため、非対称性プロファイル関
数が実現されていなかった従来では、これらの不確定要
因を吸収すべく、蛍光X線の測定の度に標準サンプルを
測定してデータベース化しておく必要があったのに対
し、この発明では、上述したように、非対称性の装置的
な不確定要因を十分に吸収できる自由度の高いプロファ
イル関数を実現し、その結果、同じ種類の装置の個体差
は完全に吸収でき、また異なる種類の装置でも従来のよ
うな蛍光X線測定毎の標準サンプルの再測定が不要とな
るほどに十分に不確定要因を吸収できるようになり、物
理的に予測できるエネルギーと相対強度のみを蛍光線テ
ーブルとしてデータベース化しておくだけで、標準サン
プルの測定なしにすぐに蛍光X線の測定が可能で、精度
および汎用性に優れたプロファイルフィッティングを容
易に行うことができる。
【0041】さらにまた、この出願の発明では、上述し
たような非対称性プロファイル関数を用いたプロフィル
フィッティングの精度をさらに高めるため、ファンダメ
ンタル・パラメータ法(以下、FP(Fundamental Param
eter) 法と呼ぶ)をプロファイルフィッティングに組み
合わせるようにしてもよい。すなわち、FP法を用い
て、原子種が発する蛍光線の強度比(または相対強度)
の蛍光線テーブルを作成し、このテーブルを用いて上述
したプロファイルフィッティングを行う。さらにこの場
合、FP法の立式に関わり、一回のフィッティングだけ
では十分に満足できる解を求めることができないので、
プロファイルフィッティングを含んだ回帰分析を行うこ
とが好ましい。より具体的には、たとえば以下のように
FP法およびプロファイルフィッティングを組み込んだ
回帰分析を行う。なお、以下の説明は、既知原子種から
なる物質試料の組成比を分析する場合のものである。
【0042】まずFP法の簡単な一例について説明す
る。励起源は単色X線とし、バルク表面での強度を
0 、エネルギーをe0(keV)とする。また、解析試料
は、単一結晶のバルク状のものを考え、その厚さをd(c
m)とする。図9は、この場合の光学系を例示したもので
ある。励起線の入射角はΦ(rad) で、出射角Ψ(rad) の
蛍光線を観測する。
【0043】まず、図1に例示したような深さh(cm)に
存在する原子種jからの蛍光線について考える。最初
に、原子種jに照射する励起線の強度は次式(数13)
のようになる。
【0044】
【数13】
【0045】ここで、μ(e) (1/cm)はバルク状結晶のエ
ネルギーe(keV) に対する線吸収係数である。この励起
線によって、原子種jが発するk番目の蛍光線の強度
は、単位体積あたり次式(数14)のように表される。
【0046】
【数14】
【0047】ここで、ρ(g/cm3) はバルク結晶の密度を
示し、Qj,k は原子種jのk番目の蛍光線の発生効率を
示す。実際は次式(数15)のようになる。
【0048】
【数15】
【0049】ここで、組成比以外は全て、物質固有の物
理定数であることに注目し、上式(数15)を次式(数
16)のように表すことにする。
【0050】
【数16】
【0051】従って、Q' j,k は次式(数17)のよう
になる。
【0052】
【数17】
【0053】次に、この蛍光線がバルク表面に達したと
きの強度は次式(数18)となる。
【0054】
【数18】
【0055】これはある一層からの蛍光線強度である。
バルク全体からの蛍光強度は、次式(数19)のように
深さ方向に0からdまで積分することによって求めるこ
とができる。
【0056】
【数19】
【0057】積分の結果、原子種jが発するk番目の蛍
光線の強度Ij,k は次式(数20)から求めることがで
きる。
【0058】
【数20】
【0059】このようにFP法により作成された組成比
を変数として含む蛍光線強度式(数20)において、決
定すべき値は組成比c(=cj の集合体を表す)である
ので、このパラメータに注目して上式をさらに変形す
る。まず、原子種jの組成比cj がダイレクトに含まれ
ていることが分かる。また、バルクの線吸収係数は次式
(数21)のように計算される値であり、全ての原子種
の組成比が含まれている。
【0060】
【数21】
【0061】このように、数20は組成比cに対して、
非常に非線形性の強い式である。ここで、次式(数2
2)のようにAj,k(c)とスケールファクターsj を導入
する。
【0062】
【数22】
【0063】原子種jが発するk番目の蛍光線の強度を
次式(数23)のように表し、組成比に対して線形性の
部分と、非線形性の部分に分ける。
【0064】
【数23】
【0065】続いて、このように蛍光線強度式を変形し
た式(数23)を用いてプロファイルフィッティングを
組み込んだ回帰分析を行う。図10は、この回帰分析の
各処理ステップを例示したフロー図である。
【0066】<ステップ>まず、分析すべき全原子種
の組成比cの初期値を仮定する。 <ステップ>仮定した組成比cを用いることによっ
て、Aj,k(c)を組成比cによらない係数Aj,k として扱
う。
【0067】<ステップ>次式(数24)のようにス
ペクトル関数S(e) 、つまり試料のエネルギープロファ
イルを表す関数、を作成する。
【0068】
【数24】
【0069】P(param;e) はプロファイル関数で、pa
ramはこのプロファイル関数によりプロファイル形状
を決めるパラメータ群、eはエネルギー(keV) を示す。
また、このスペクトル関数S(e) では、エネルギーシフ
トおよびバックグランドについての補正も含まれてお
り、b(e) はバックグランドの形状を示す関数で、パラ
メータとしてback1,back2を持ち、shif
t1,shift2はピークのシフト量を求めるための
パラメータである。
【0070】<ステップ>実測エネルギースペクトル
に対して、上記スペクトル関数S(e ) を用いてプロファ
イルフィッティングを行う。つまり、スペクトル関数S
(e) により表されるエネルギープロファイルを実測エネ
ルギースペクトルに対してプロファイルフィッティング
する。ここでのパラメータは、sj 、param、ba
ck1・back2、shift1・shift2であ
り、これらを最小二乗法により求める。
【0071】<ステップ>次式により、求めれらたス
ケールファクタsj から、組成比c' j を算出する。
【0072】
【数25】
【0073】<ステップ>Aj,k の定義で使用したス
タート時の組成比c(=組成比の初期値)とプロファイ
ルフィッティングにより求められた組成比c' (=組成
比の計算値)を比較し、両者が同一であれば分析を終了
し(Yes→END)、この組成比の計算値(c=
c’)を求める試料の組成比とする。両者が同じでなけ
れば次ステップに進む(No→) <ステップ→>cをc' に入れ替え、ステップに
戻り、c=c' となるまで上記各ステップを繰り返す。
【0074】以上のような2重の回帰分析を行うこと
で、試料を構成する原子種jの組成比cをさらに精度良
く、容易に求めることができる。ところで、1次蛍光線
により2次励起が起こって原子種から2次蛍光線が発生
される場合、この2次蛍光線の影響も場合によっては無
視できないほどになることがある。このため、上述した
プロファイルフィッティングにおいて2次蛍光線に係わ
る補正をも行うようにすることもできる。この補正は、
吸収補正のように線形性の部分と非線形性の部分とに分
けることができ、上述と同様の回帰分析を行うことで実
現できる。
【0075】この出願の発明は、以上のとおりの特徴を
持つものであるが、以下に添付した図面に沿って実施例
を示し、さらに詳しくこの出願の発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0076】
【実施例】図11は、この発明の方法を用いて蛍光X線
分析を行う蛍光X線分析装置の一実施例を示したブロッ
ク構成図である。この図11において、(1)はX線
管、(2)は試料、(3)は半導体検出器、(4)は増
幅器、(5)は波高分析器、(6)はコンピュータであ
り、コンピュータ(6)によりこの発明の蛍光X線分析
方法のプロファイルフィッティングを実行するようにな
っている。コンピュータ(6)は、数9および数10の
非対称性プロファイル関数P(W,A,Rlow,Rhigh; e)ならび
に数7の対称性プロファイル関数P(W;e) を用いること
ができ、これらの非対称性プロファイル関数および対称
性プロファイル関数の中からいずれかを選択して、半導
体検出器(3)により測定され、増幅器(4)および波
高分析器(5)を介して得られた蛍光X線のエネルギー
スペクトルに対するプロファイルフィッティングを行
い、試料(2)を分析する。
【0077】より具体的には、このコンピュータ(6)
は、たとえばコンピュータソフトウェアとして、非対称
性プロファイル関数および対称性プロファイル関数を記
憶した関数記憶部(61)と、原子種毎の蛍光X線のエ
ネルギーおよび相対強度の蛍光線テーブルをデータベー
ス化して記憶したデータベース部(62)と、関数記憶
部(61)からの非対称性または対称性プロファイル関
数およびデータベース部(62)からの蛍光線テーブル
を用いてプロファイルフィッティングを行うプロファイ
ルフィッティング部(63)とを備えている。なお、1
種類の原子種からの蛍光X線は通常、数種類あり、それ
ぞれが同時にある特定の強度比を持って現れるので、デ
ータベース部(62)に記憶されている蛍光線テーブル
は、各原子種毎にその複数の蛍光X線それぞれのエネル
ギーおよび相対強度を有している。前述した各数式では
各原子種がj、その各蛍光X線がkとなって示されてい
る。このようなデータベース部(62)および関数記憶
部(61)はコンピュータメモリ手段であってもよい。
【0078】このコンピュータ(6)によりたとえば薄
膜などの既知の原子種で成り立つ試料(2)の組成比を
分析する場合では、プロファイルフィッティング部(6
3)は、まず、データベース部(62)から試料(2)
を構成する各原子種の蛍光線テーブルを読み出し、且
つ、関数記憶部(61)から非対称性または対称性プロ
ファイル関数を読み出し、単一原子種毎のエネルギープ
ロファイルを作成する。すなわち、単一原子種毎に、そ
の蛍光線テーブルに提示された複数の蛍光X線それぞれ
のピーク位置(エネルギー値で表されている)および相
対強度にて、非対称性または対称性プロファイル関数に
より適当なプロファイルを定義し、さらにこれらの各エ
ネルギープロファイルをコンボリューション(畳込み)
することで、単一原子種毎のエネルギープロファイルI
j(e)を作成する(前記数5参照;P(param;e) =P
(W,A,Rlow,Rhigh;e)またはP(W;e) )。次いで、予測さ
れる組成比をスケールファクタsj として各単一原子種
のエネルギープロファイルIj(e) に掛けて、それらを重
ね合わせ、試料(2)のエネルギー(以下、混合プロフ
ァイルと呼ぶ)を作成する(前記数6参照)。そして、
この混合プロファイルと実測スペクトルとが一致するま
で(つまり両者の誤差が所望範囲のものとなるまで)、
関数パラメータおよび組成比を変えてフィッティングを
繰り返し、最終的に両者が一致した時の組成比が求める
組成比となる。
【0079】さらにまた、本実施例におけるコンピュー
タ(6)では、エネルギーに対して一次式となるバック
グランドを導入し、且つエネルギーシフトについても一
次式によるシフト量を導入して、蛍光X線のエネルギー
およびバックグランドについて補正を行うことができ
る。具体的には、前述した数11および数12を用い、
プロファイルフィッティングにおいて、プロファイル
に関するパラメータ群(param)、各原子種毎の
スケールファクタ(sj,k )、エネルギーシフトに関
するパラメータ(shift1,shift2)、バ
ックグランドに関するパラメータ(back1,bac
k2)を最適化するようにしている。
【0080】また、この蛍光X線分析装置では、非対称
性プロファイル関数のみを用いてプロファイルフィッテ
ィングが行われるようになっていてもよいが、解析の自
由度をより高いものとするには、上述したように非対称
性プロファイル関数および対称性プロファイル関数の両
者を用い、適宜選択できるようになっていることが好ま
しい。
【0081】ここで、このようなこの発明の蛍光X線分
析装置によりバリウムBa/チタンTi混合物の組成比
解析を行ったので説明する。半導体検出器(3)として
はSI−PINを用いた。励起源としてはWのLβ線
(9.7keV)を用いた。WのLβ線による励起で
は、BaのL系列およびTiのK系列の蛍光線が発生さ
れるので(BaK吸収端:32.7keV、BaL吸収
端:6keV、TiK吸収端:5keV)、これらの蛍
光線テーブルを用意する。蛍光線テーブルはコンピュー
タ(6)のデータベース部(62)に予め記憶されてい
る(もちろんデータベース部(62)に記憶されていな
ければ解析時に入力してもよい)。下記の表1および表
2は、各々、BaL系列蛍光線テーブルおよびTiK系
列蛍光線テーブルの一例を示したものである。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】まず、上述したように、この蛍光線テーブ
ルを用いて、前記数11および数12によりBaおよび
TiそれぞれのエネルギープロファイルIj(e)を作成す
る。プロファイル関数P(param;e) としては数9の分散
型pseudo-Voigt関数を用いた。次いで、BaおよびTi
それぞれのエネルギープロファイルIj(e)に組成比であ
るスケールファクタsj を掛け、それぞれを足し合わせ
て、混合プロファイルI(e) を作成する。そして、この
混合プロファイルI(e) がBa/Ti混合物からの蛍光
X線の実測エネルギースペクトルに一致する(両者の誤
差が許容範囲となる)ように、分散型pseudo-Voigt関
数のパラメータ群(W,A,Rlow ,Rhigh)、各B
aおよびTiの組成比=スケールファクタ(sj )、
エネルギーシフトに関するパラメータ(shift1,
shift2)、バックグランドに関するパラメータ
(back1,back2)を最小二乗法により探し出
す。
【0085】図12は、誤差が許容範囲となったときの
実測スペクトル(=図中「測定値」)、上記混合スペク
トル(=図中「計算値」)、誤差(=図中「残差」)、
ならびに各パラメータ値を示したものであり、この図1
2から明らかなように、実測エネルギースペクトルに十
分にフィットした混合スペクトルが得られていることが
わかる。このときのBaのスケールファクタ(図中「Ba
Scale」)は0.32095(0.0017331)、
Tiのスケールファクタ(図中「Ti Scale」)は0.6
72(0.0023086)であり、これらがBaおよ
びTiの組成比である。他のパラメータは図中に記載し
た通りである(「Max. count」=解析範囲内の最大強
度、「shift1,shift2 」=エネルギーシフトパラメータ
shift1,shift2、「back1,back2 」=バッ
クグランドパラメータback1,back2、「W 」
=半値幅W、「A 」=非対称因子の変数A、「Rlow,Rhi
gh」=低エネルギー側混合比Rlow ,高エネルギー側混
合比Rhigh)。
【0086】したがって、上述したこの発明の蛍光X線
分析方法および装置によって、複数本のピークからなら
蛍光X線の実測エネルギースペクトルに対して十分満足
のいく高精度のフィッティングを実現して、試料の組成
比を精度良く分析することができる。各ピークが重なり
合って分解能の悪い実測エネルギースペクトルに対する
分解能力を高め、検出器の適用範囲の向上をも図ること
ができるようになる。
【0087】またさらに、前述したFP法とプロファイ
ルフィッティングとを組み込んだ回帰分析を行えば、さ
らに高精度の試料分析を実現することができる。この発
明は以上の例に限定されるものではなく、細部について
は様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0088】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明の蛍
光X線分析方法およびその装置によって、非対称性エネ
ルギースペクトルの蛍光X線を発生する原子種に対して
も優れた定量分析、さらには定性分析を行うことがで
き、エネルギースペクトルの対称性・非対称性にかかわ
らずに自由度の高い、汎用的で扱いやすい蛍光X線分析
を実現できる。
【0089】すなわち、自由度の高い非対称性プロファ
イル関数の適用によって、各種装置による変化、検出器
の計時変化、再調整後の変化を吸収することが可能とな
り、そのような変化に対する補正を補正の度に行う必要
がなく、また頻繁に各原子種のリファレンス強度を再測
定する必要がなくなり、蛍光X線分析をより容易に行う
ことができるようになる。
【0090】さらにまた、単一原子種からの複数の蛍光
X線のピーク位置および強度比というのは純粋な物理現
象によって起こるものなので、励起X線源が同じもので
あれば、様々な蛍光X線の測定装置や測定方法に対して
共通の蛍光線テーブルを用いて高精度のプロファイルフ
ィッティングを実現できる。なお、X線の吸収効果が大
きくなるような物質試料に対しては、FR法と連系する
ことによって適用範囲がさらに広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】対称性エネルギースペクトルの一例を示した図
である。
【図2】単一ピークの対称性エネルギースペクトルに対
するプロファイルフィッテングの一例を示した図であ
る。
【図3】重なり合った二つのピークの一例を示した図で
ある。
【図4】単一原子種からのエネルギースペクトルの一例
を示した図である。
【図5】2つの原子種からのエネルギースペクトルの重
ね合わせの一例を示したものである。
【図6】ガウス関数およびローレンツ関数によるプロフ
ァイルを例示した図である。
【図7】ガウス関数とローレンツ関数との混合関数によ
るプロファイルを例示した図である。
【図8】この発明における非対称性プロファイル関数に
よるプロファイルの一例を示したものである。
【図9】測定光学系の一例を示した概念図である。
【図10】FP法を用いた回帰分析における各処理ステ
ップを例示したフロー図である。
【図11】この発明の一実施例である蛍光X線分析装置
を例示したブロック構成図である。
【図12】この発明によるプロファイルフィッティング
の一結果を示した図である。
【符号の説明】
1 X線管 2 試料 3 半導体検出器波高分析器 4 増幅器 5 波高分析器 6 コンピュータ 61 関数記憶部 62 データベース部 63 プロファイルフィッティング部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 仁平 東京都昭島市松原町3−9−12 理学電機 株式会社拝島工場内 Fターム(参考) 2G001 AA01 AA09 BA04 BA28 CA01 DA01 EA03 FA01 FA06 FA08 FA09 FA10 FA11 FA18 FA29 FA30 GA01 KA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線または粒子線の照射により試料から
    発生する蛍光X線をエネルギースペクトルとして測定
    し、その実測エネルギースペクトルから試料分析を行う
    蛍光X線分析方法において、 非対称因子にしたがって対称性および非対称性のエネル
    ギープロファイルを表すことのできる非対称性プロファ
    イル関数を用いて、実測エネルギースペクトルに対する
    プロファイルフィッティングを行うことを特徴とする蛍
    光X線分析方法。
  2. 【請求項2】 非対称性プロファイル関数が、 【数1】 である請求項1の蛍光X線分析方法。
  3. 【請求項3】 非対称性プロファイル関数が、 【数2】 である請求項1の蛍光X線分析方法。
  4. 【請求項4】 試料中の各原子種の蛍光線テーブルと非
    対称性プロファイル関数とを用いて各原子種毎のエネル
    ギープロファイルを作成し、 各原子種毎のエネルギープロファイルをそれぞれに各原
    子種の予測組成比を掛けて足し合わせることにより、試
    料のエネルギープロファイルを作成し、 このエネルギープロファイルと実測エネルギースペクト
    ルとの誤差が所望範囲となるように非対称性プロファイ
    ル関数のパラメータおよび組成比を最適化する請求項1
    または3のいずれかの蛍光X線分析方法。
  5. 【請求項5】 エネルギープロファイルに対してエネル
    ギーシフトおよびバックグランドの補正を行う請求項4
    の蛍光X線分析方法。
  6. 【請求項6】 ファンダメンタル・パラメータ法および
    プロファイルフィッティングを用いた回帰分析を行う請
    求項1ないし5のいずれかの蛍光X線分析方法。
  7. 【請求項7】 ファンダメンタル・パラメータ法により
    作成された組成比を変数として含む蛍光線強度式と、非
    対称性プロファイル関数とを用い、組成比の初期値に
    て、試料のエネルギープロファイルを作成し、 このエネルギープロファイルを実測エネルギースペクト
    ルに対してプロファイルフィッティングすることにより
    組成比の計算値を取得し、 組成比の初期値と計算値とが一致するかを判定し、両者
    が一致しない場合には組成比の初期値を組成比の計算値
    に入れ替えるようにして、両者が一致するまでエネルギ
    ープロファイルの作成および組成比の計算値の取得を繰
    り返す請求項6の蛍光X線分析方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかの蛍光X線
    分析方法を用いて試料分析を行うことを特徴とする蛍光
    X線分析装置。
  9. 【請求項9】 非対称性プロファイル関数とともに、対
    称性プロファイル関数を用いることが可能とされてお
    り、非対称性プロファイル関数または対称性プロファイ
    ル関数のいずれかを、測定されたエネルギースペクトル
    の形状に適したプロファイル関数として選択するように
    なっている請求項8の蛍光X線分析装置。
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