JP2001082470A - 直動転がり案内ユニット - Google Patents

直動転がり案内ユニット

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JP2001082470A
JP2001082470A JP26009399A JP26009399A JP2001082470A JP 2001082470 A JP2001082470 A JP 2001082470A JP 26009399 A JP26009399 A JP 26009399A JP 26009399 A JP26009399 A JP 26009399A JP 2001082470 A JP2001082470 A JP 2001082470A
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JP
Japan
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track
linear motion
guide unit
slider
rolling
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Application number
JP26009399A
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English (en)
Inventor
Takeshi Matsui
松井  武
Takahiro Shimo
貴博 志茂
Noriaki Kataoka
典昭 片岡
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Nippon Thompson Co Ltd
Original Assignee
Nippon Thompson Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、無限循環路に配置される鋼製転動
体の対向する位置に二個のセラミックス製の転動体を配
置することにより、スライダ側の軌道溝(面)に生じる
圧痕を潰して長寿命化を図る直動転がり案内ユニットを
提供する。 【解決手段】 軌道レール1の軌道溝4及びスライダ2
の軌道溝14で形成されている負荷軌道路21と、エン
ドキャプ11に形成されている方向転換路23と、スラ
イダ2に形成されているリターン通路孔22とで無限循
環路が構成されている。無限循環路を循環する転動体
は、鋼製ボール20と無限循環路を略二等分する対向し
た位置に配置された二つのセラミックス製ボール27と
から成る。何れかのセラミックス製ボール27が、常
に、スライダ2の軌道溝14を転走し、鋼製ボール20
の転走で軌道溝14に生じる可能性のある圧痕を自動修
復する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、転動体のころが
りを介して軌道レールとスライダとを相対的に直線摺動
自在に案内する直動転がり案内ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、直動案内機器として、長尺の軌道
レール(又は軌道軸)に対してスライダを複数の転動体
(ボール又はころ)を介して摺動自在に構成し、転動体
を軌道レールとスライダとに形成された軌道溝(又は軌
道面)間の負荷軌道路を含む無限循環路を循環させた直
動転がり案内ユニットが知られている。直動転がり案内
ユニットは、正常運転を続けていても、軌道溝(又は軌
道面)や転動体には、常に繰り返し荷重が作用し、材料
の転がり疲れによるフレーキングと称されるうろこ状の
損傷(疲労剥離)を生じ、使用に耐えなくなる。また、
軌道溝と転動体との金属接触を防止して定格の耐久寿命
(定格寿命;転がり疲れによる材料の損傷を起こさず走
行できる総距離)を達成するには、軌道溝と転動体との
間に潤滑剤を切らさず供給して両者間の潤滑を確保する
ことが不可欠である。軌道溝と転動体との間における潤
滑の確保は、通常、定期的な給油によって行われてい
る。
【0003】複数の転動体のための環状の軸受空間を形
成する外輪と内輪とが鋼材で作られているころがり軸受
において、少なくとも一つの転動体がセラミックのよう
な他の転動体よりも高硬度の材料で構成してころがり軸
受の長寿命化を図ったものが提案されている(特開平8
−210358号公報)。殆どの転動体を鋼材で製作す
ることで、鋼材から成る複数の転動体で等しく荷重を分
担して軸受の負荷荷重を確保すると共に、内外輪の軌道
面と転動体との間での圧力で生じた圧痕を高硬度の転動
体によって潰して、軌道面をスムーズな面に回復させる
ことが図られている。
【0004】また、本出願人は、ケーシング軌道溝とレ
ール軌道溝とから成る軌道を転動する転動体をセラミッ
クスで製作した直動転がり案内ユニットを提案している
(特開平5−149335号公報)。転動体を窒化ケイ
素のようなセラミックスとすることにより、転動体を軽
量化し、高速移動する転動体に作用する慣性力を軽減し
て、スライダの高速運動の応答性を向上させている。ま
た、セラミックスで製作した転動体間に鋼材で製作した
転動体を点在させることで、軽量化と剛性を確保しつ
つ、直動転がり案内ユニットの製作コストを低減してい
る。
【0005】一方、近年、省エネや設備維持に費やすコ
スト削減等により、各種機械装置においてはメンテナン
スフリーが要求されるようになっており、前記機械装置
に組み込まれる直動転がり案内ユニットにおいても、潤
滑に関してメンテナンスフリーの実現が要望されてい
る。また、半導体製造装置などのクリーンルーム仕様の
装置に組み込まれる直動転がり案内ユニットについて
は、発塵性の小さいものが要望されており、潤滑剤が微
粒子となって発塵することを考慮して、潤滑剤の使用を
最小限に抑えることが要求されている。
【0006】長手方向両側面に軌道溝が形成された軌道
レールと前記軌道レール上を相対摺動するスライダとか
らなる直動転がり案内ユニットの潤滑に関して、本出願
人は、潤滑油を含浸した多孔質構造を有する焼結樹脂部
材でなる潤滑プレートをスライダの端面に配設し、転動
体が循環する軌道溝を潤滑したものを提案している(特
開平10−205534号公報)。
【0007】ところで、直動転がり案内ユニットにおい
ては、スライダの軌道溝(軌道面)には常に何れかの転
動体が転走しているのに対して、軌道レールの軌道溝
(軌道面)にはスライダが通過するときにのみ転動体が
転走している。スライダのストローク長さが長くなれば
なるほど、スライダの軌道溝が転走する転動体から負荷
を受ける期間が軌道レールの軌道溝が負荷を受ける期間
と比較して増大することになるので、軌道レール側より
もスライダ側が先に寿命となるという直動転がり案内ユ
ニットにおいて特有の問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記鋼製の軌
道レールとスライダとの間に形成される軌道路を転走す
る複数の転動体を鋼製とした直動転がり案内ユニットに
おいては、鋼製の転動体が鋼製の軌道路を転走するとき
にスライダ側の軌道溝(又は軌道面)に生じ易い圧痕を
無くして軌道溝をスムーズに維持し、軌道溝(又は軌道
面)の損傷を防止する点で解決すべき課題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
課題を解決することであり、鋼製の転動体が鋼製の軌道
路を転走するときにスライダ側の軌道溝(面)に発生し
易くなる圧痕を自動修復して軌道溝をスムーズにし、ス
ライダの摺動抵抗を少なくし、軽快なスライド動作を確
保すると共に、長寿命化を図ることを可能にする直動転
がり案内ユニットを提供することである。
【0010】この発明は、長手方向に沿って軌道溝が形
成された長尺状の鋼製の軌道レール、前記軌道溝に対向
する軌道溝が形成され且つ前記軌道レールに対して相対
摺動する鋼製のケーシングと前記ケーシングの両端に固
着されたエンドキャップとから成るスライダ、及び前記
ケーシングに形成されたリターン通路と前記エンドキャ
ップに形成された方向転換路と前記軌道溝間に形成され
る軌道路とから構成される無限循環路を走行する複数の
転動体を具備し、前記転動体は、複数の鋼製転動体と前
記鋼製転動体間にあって前記無限循環路を略二等分する
対向した位置に配設された2つのセラミック製転動体と
で構成されていることから成る直動転がり案内ユニット
に関する。
【0011】この直動転がり案内ユニットによれば、軌
道レールに対向してスライダのケーシングに形成された
軌道溝には、スライダのストローク中に鋼製転動体より
高い硬度を有するいずれか一方のセラミック製転動体が
転走することになるので、鋼製転動体の転走時にスライ
ダ側の鋼製の軌道溝に生じることがある圧痕は、セラミ
ック製転動体が転走することにより、スライド中に潰さ
れて自動修復される。従って、転動体が常に転走するス
ライダ側の軌道溝は圧痕のないスムーズな面に修復さ
れ、スライダが軌道レール上を走行するときの摺動抵抗
が小さくなる。
【0012】この直動転がり案内ユニットにおいて、前
記セラミック製転動体は、窒化ケイ素で製作されてい
る。窒化ケイ素で転動体を製作すると、鋼で製作した場
合よりも軽量(重量で1/3〜1/4)に構成すること
が可能であり、転動体に作用する慣性力を小さくし、摩
耗も少なくすることが可能である。
【0013】この直動転がり案内ユニットにおいて、前
記リターン通路は、多孔質構造を有する焼結樹脂部材で
形成されている。焼結樹脂部材は多孔質構造を有してい
るので吸収体としての機能を奏し、組立当初に焼結樹脂
部材に潤滑油又はグリースを給油すれば、焼結樹脂部材
は潤滑剤の油分を多孔質構造の孔構造内に吸収保持し、
保持している潤滑剤はリターン通路孔内を通る転動体に
常に供給される。潤滑剤が付着した転動体が軌道レール
とスライダとの間に形成される軌道路を転走することに
より、軌道溝(面)への潤滑(給油)も行われる。焼結
樹脂部材の多孔質構造には、油分のみならず、特殊成分
(固形潤滑微粒子、皮膜形成微粒子、その他の添加剤)
をも吸収することが可能である。前記焼結樹脂部材は、
合成樹脂微粒子を所定の金型に充填して加熱成形した高
分子焼結多孔質体で成形され、前記合成樹脂微粒子は、
ポリエチレン、ポリプロピレン、又は四フッ化エチレン
重合体から成形するのが好ましい。前記焼結樹脂部材は
スリーブ状に成形され、前記リターン通路孔は前記スラ
イダに形成されている嵌挿孔に嵌挿された前記焼結樹脂
部材のスリーブ内部に形成することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、こ
の発明による直動転がり案内ユニットの実施例を説明す
る。図1はこの発明による直動転がり案内ユニットの一
実施例を一部を破断して示す斜視図、図2は図1に示す
直動転がり案内ユニットの無限循環路と無限循環路を転
走する転動体とを示す断面図である。
【0015】図1及び図2に示す実施例においては、直
動転がり案内ユニットU1は、一般に、ベッドとテーブ
ルのような相対移動すべき部材間に適用される直動転が
り案内ユニットであって、軌道レール1と、軌道レール
1上を摺動自在なスライダ2とを備えている。軌道レー
ル1の外側に面した一対の長手方向両側面3,3にそれ
ぞれ第1軌道溝4,4が形成されている。軌道レール1
には、軌道レール1をベッド8に取り付けるための取付
け孔6が貫通して形成されており、取付け孔6は軌道レ
ール1の上面5に開口している。
【0016】スライダ2は、軌道レール1の上面5を跨
ぐケーシング10、ケーシング10の長手方向両端面に
当接して取り付けられたエンドキャップ11、及び軌道
レール1とエンドキャップ11との間の隙間をシールす
るためエンドキャップ11の端面に配設されたエンドシ
ール12から構成されている。エンドキャップ11とエ
ンドシール12とは、取付けねじ13によってケーシン
グ10に取り付けられている。ケーシング10には、軌
道レール1の第1軌道溝4に対向する位置に第2軌道溝
14が形成されている。ケーシング10には、更にスラ
イダ2をテーブルに取り付けるため頂面15に開口する
ねじ穴16が形成されている。ケーシング10及びエン
ドキャップ11と軌道レール1の長手方向両側面3との
間の隙間をシールするため、エンドキャップ11及びケ
ーシング10の下面には下面シール17が取り付けられ
ている。
【0017】スライダ2を軌道レール1に対して摺動可
能にするため、転動体としての複数のボールが、軌道レ
ール1に形成されている第1軌道溝4とケーシング10
に形成されている第2軌道溝14との間に形成される負
荷軌道路21を転走可能である。負荷軌道路21を転走
した各ボールは、ケーシング10に形成されたリターン
通路孔22と両エンドキャップ11に形成され且つ負荷
軌道路21とリターン通路孔22とに接続する方向転換
路23とを走行することにより無限循環可能である。リ
ターン通路孔22と方向転換路23とは無負荷軌道路を
構成し、負荷軌道路21と無負荷軌道路とで無限循環路
が構成されている。無限循環路にグリースを供給するた
めのグリースニップル25がエンドシール12の外面か
ら突出した状態でエンドキャップ11に取り付けられて
いる。上記の構造は、従来の直動転がり案内ユニットも
備えている構成である。
【0018】無限循環路内のボールは、鋼製でなる多数
のボール、即ち、鋼製ボール20と、鋼製ボール20の
間にあって無限循環路を略二等分する対向した位置に配
置され鋼製ボール20よりも高い硬度を有する二つのセ
ラミックス製ボール27とから成る。ボール20,27
は、スライダ2を軌道レール1から分離した状態にして
も散逸しないように、保持バンド24によってケーシン
グ10に保持されている。セラミックス製ボール27
は、無限循環路内で対向した位置、即ち、無限循環路内
のボールの列を略二等分する位置に配置されている。二
つのセラミックス製ボール27をこのように配置するこ
とにより、常に何れか一方のセラミックス製ボール27
が、ケーシング10に形成された軌道溝14を転走する
ことになる。従って、鋼製ボール20が、軌道溝4と軌
道溝14とから成る負荷軌道路21を転走するときに、
スライダ2側の軌道溝14に圧痕を形成することがある
が、セラミックス製ボール27はそのような軌道溝14
の圧痕を潰して滑らかにし、圧痕の周縁での高い応力集
中が生じている部位に亀裂や疲労が発生することを軽減
する。
【0019】上記の実施例では、軌道溝14の修復は、
セラミックス製ボール27がケーシング10の軌道溝1
4の全長を走行する通常の使用、即ちスライダ2がケー
シング10の全長の二倍を超えるストロークで使用され
るときに有効になっている。
【0020】図1及び図2に示す直動転がり案内ユニッ
トU1について、クランク式寿命試験機を用いて寿命試
験を行った。試験条件は、負荷荷重が8041N(0.
4C)、ストローク長さが270mm、速度が最大で6
4m/min,平均で32.8m/minであり、毎分
往復回数が60cpmであり、潤滑条件としては厳しい
低粘度のグリース(NOK製TOPAS NB52)と
した。試験結果は、従来品の鋼製ボールのみから成る転
動体を用いた直動転がり案内ユニットの使用可能時間が
291時間であるのに対して、セラミックス製ボール2
7を対向位置に配置したこの発明品では951時間の使
用可能時間を記録した。
【0021】図3はこの発明による直動転がり案内ユニ
ットの別の実施例を一部を破断して示す斜視図、図4は
図3に示す直動転がり案内ユニットの無限循環路と無限
循環路を転走する転動体とを示す断面図である。図3及
び図4は、それぞれ、スライダのケーシングに形成され
るリターン通路孔の構造が異なる以外に基本的に相違し
ていないので、同じ機能を奏する構成要素及び部位には
同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0022】図3及び図4に示す直動転がり案内ユニッ
トU2では、リターン通路孔22は、ケーシング10に
スリーブ状の焼結樹脂部材30を配設することにより、
焼結樹脂部材30のスリーブ内部の空間として形成され
ている。ケーシング10には、鋼製ボール20及びセラ
ミックス製ボール27が通ることが可能な通路径に焼結
樹脂部材30の肉厚を加算した径、即ち、焼結樹脂部材
30の外径に相当する内径を備えた嵌挿孔26が形成さ
れており、嵌挿孔26に焼結樹脂部材30が嵌挿されて
いる。焼結樹脂部材30は、両端がエンドキャップ11
の内面側に当接することにより、嵌挿孔26の長手方向
への移動が規制されている。
【0023】組立当初、グリースニップル25から充填
されたグリース等の潤滑油は、方向転換路23から焼結
樹脂部材30に達して焼結樹脂部材30の多孔質構造内
に吸収され、焼結樹脂部材30から、長期にわたって、
微量ずつリターン通路孔22を通るボール20,27に
供給される。潤滑油は、ボール20,27を介して負荷
軌道路21を構成する軌道レール1側の軌道溝4及びス
ライダ側の軌道溝14に供給され、負荷軌道路21を潤
滑し、負荷軌道路21におけるボール20,27の転走
を一層スムーズにする。
【0024】焼結樹脂部材30は、スリット等が何等形
成されていないストレートなスリーブ形状を有している
が、焼結樹脂部材30の長手方向に潤滑油溜まり部分と
しての機能を有する1条又は複数条のスリットを形成し
てもよい。焼結樹脂部材には、両端に大径部を形成し、
両大径部間に小径部を形成してもよい。小径部にはスリ
ットを形成して、小径部の外周面と嵌挿孔26との間に
グリースを保持可能な潤滑油溜まり部分としての環状の
凹部を形成してもよい。凹部内の潤滑油は焼結樹脂部材
に吸収され、長期にわたって、リターン通路孔22を通
るボール20,27に供給される。更に、焼結樹脂部材
30の内周面には、長手方向に複数条の溝を形成するこ
とにより、凹凸面に形成してもよい。焼結樹脂部材30
の変形例の詳細については、本出願人による特許出願
(特願平11−257648号)に開示されている。
【0025】上記の多孔質構造を有する焼結樹脂部材3
0は、高分子焼結多孔質体で成っており、超高分子量
(又は高分子量)の合成樹脂微粒子を所定の金型に充填
して加熱成形することにより成形されている。合成樹脂
微粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フ
ッ化エチレン重合体等を挙げることができる。超高分子
量のポリエチレン微粒子は成形品を高精度に製作できる
素材であり、成形された焼結樹脂部材30は耐摩耗性に
優れている。超高分子量のポリエチレン微粒子は、例え
ば、細粒径が30μmで、粗粒径が250〜300μm
の粉末でなり、加熱成形して焼結すると、多孔質構造
は、空間率が例えば40〜50%のオープンポアからな
る構造となる。多孔質構造への潤滑油の吸収は、例え
ば、タービン油に漬けて含浸した場合、30分程度で潤
滑剤の含有率を41%にして完了する。グリースの場合
には、その油分を2日間で前記41%の70%程度を吸
収する。
【0026】焼結樹脂部材30は、シート状に成形され
たものを丸めたり、一対の半割りスリーブを整合させる
ことにより内部にリターン通路孔22が作られるスリー
ブ状に容易に製作することができる。焼結樹脂部材30
は、それ自体が充分な強度を有しているので補強材によ
って補強をすることを要せず、しかも摩耗粉の発生が少
なく摩耗粉によって多孔質構造の目詰まりが生じないの
で、多孔質構造に保持された潤滑油又はグリースを長期
にわたってボール及びボールを介して負荷軌道路21に
供給することができる。焼結樹脂部材30は、高温等の
特殊環境使用下や少量の潤滑剤使用下などにおいても、
ボール20,27と負荷軌道路21を構成する軌道溝
(面)との金属接触が防止されて潤滑性が一層改善さ
れ、直動転がり案内ユニットとしての耐久性を増すこと
ができる。更に、定期的な潤滑剤の塗布や潤滑油の供給
等のメンテナンスを不要にし、高速化・高サイクル化し
た装置にも負荷軌道路21における摺動抵抗を抑制して
適用することができる。
【0027】図5及び図6には、この発明による直動転
がり案内ユニットの更に別の実施例が示されている。図
5はこの発明による直動転がり案内ユニットをスプライ
ン軸に適用した実施例であって、一部を破断して示す斜
視図であり、図6は図5に示す直動転がり案内ユニット
の横断面図である。図5及び図6に示す直動転がり案内
ユニットU3は、図2及び図3に示す直動転がり案内ユ
ニットU2と比較して、軌道レールとして、断面角状の
軌道レール1に代えて断面丸軸状の軌道軸41を用い、
スライダとして、軌道レール1を跨ぐスライダ2に代え
て軌道軸41を取り囲む筒状のスライダ42を用いたボ
ールスプラインに適用されている点で異なるが、その他
の点では機能上変わるところはないので、同様の機能を
奏する構成要素には、直動転がり案内ユニットU2にお
いて付された符号と同じ符号を付して詳細な説明を省略
する。筒状のスライダ42には、嵌挿孔26が長手方向
に延びて形成され、嵌挿孔26内に、直動転がり案内ユ
ニットU2で用いられたのと同様のスリーブ状の焼結樹
脂部材30が嵌挿されており、焼結樹脂部材30のスリ
ーブ状内部にリターン通路孔22が形成されている。な
お、スライダ42の外面には、取付け用のキー溝43が
形成されている。転動体は、多数の鋼製ボール20と二
個のセラミックス製ボール27とから成り、いずれか一
方のセラミックス製ボール27が、軌道軸41に形成さ
れている軌道溝4と軌道溝4に対向して筒状のスライダ
42に形成された軌道溝14との間の軌道路を転走し、
軌道溝14に生じ易い圧痕を潰して滑らかにし、圧痕の
周縁での高い応力集中が生じている部位に亀裂や疲労が
発生することを軽減する。
【0028】以上の各実施例においては、転動体として
ボールを用いた例を示したが、転動体としては、ボール
に代えて、ころ(円筒ころ)とすることができる。即
ち、複数のころの内、大多数を鋼製のころ(円筒ころ)
とし、二つのころをセラミックス製のころ(円筒ころ)
とすることができる。
【0029】
【発明の効果】この発明によるこの直動転がり案内ユニ
ットは、軌道レールに対向してスライダのケーシングに
形成された軌道溝に、スライダのストローク中に鋼製の
転動体より高い硬度を有するいずれか一方の転動体を常
に転走させているので、鋼製の転動体の転走時に鋼製の
軌道溝に生じる可能性がある圧痕は、高い硬度を有する
転動体が転走することにより、スライド中に自動修復さ
れる。従って、軌道溝はスムーズにされ、スライダが軌
道レール上を走行するときの摺動抵抗が小さくなり、軽
快なスライド動作が確保されると共に、転動体の転走を
常に受けるスライダの長寿命化を図ることができる。ま
た、スライダに形成した嵌挿孔に焼結樹脂部材を嵌挿し
て、焼結樹脂部材内部に転動体のためのリターン通路孔
を形成しているので、焼結樹脂部材は、潤滑油やグリー
スを多孔質構造内に吸収する吸収体としての機能を奏
し、多孔質構造に吸収保持された潤滑油又はグリースを
リターン通路孔内を通る転動体が焼結樹脂部材に接触す
るときに微量ずつ転動体に付着させ、転動体が軌道路を
通過するときに転動体に付着させた潤滑油又はグリース
を軌道路に供給する。従って、軌道路は充分に潤滑され
て摩耗や損傷が軽減され、スライダの摺動抵抗は低減さ
れてスライダは一層軽快にスライドする。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による直動転がり案内ユニットの一実
施例を一部を破断して示す斜視図である。
【図2】図1に示す直動転がり案内ユニットの無限循環
路と無限循環路を転走する転動体とを示す断面図であ
る。
【図3】この発明による直動転がり案内ユニットの別の
一実施例を一部を破断して示す斜視図である。
【図4】図3に示す直動転がり案内ユニットの無限循環
路と無限循環路を転走する転動体とを示す断面図であ
る。
【図5】この発明による直動転がり案内ユニットをスプ
ライン軸に適用した実施例を一部を破断して示す斜視図
である。
【図6】図5に示す直動転がり案内ユニットの横断面図
である。
【符号の説明】
U1,U2,U3 直動転がり案内ユニット 1,41 軌道レール 2,42 スライダ 3 長手方向側面 4 第1軌道溝 10 ケーシング 11 エンドキャップ 14 第2軌道溝 20 鋼製ボール(転動体) 21 負荷軌道路 22 リターン通路孔 23 方向転換路 25 グリースニップル 26 嵌挿孔 27 セラミックス製ボール(転動体) 30 焼結樹脂部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 典昭 神奈川県鎌倉市常盤392番地 日本トムソ ン株式会社内 Fターム(参考) 3J104 AA03 AA23 AA34 AA64 AA69 AA74 AA76 BA23 BA32 CA11 CA14 CA15 DA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って軌道溝が形成された長
    尺状の鋼製の軌道レール、前記軌道溝に対向する軌道溝
    が形成され且つ前記軌道レールに対して相対摺動する鋼
    製のケーシングと前記ケーシングの両端に固着されたエ
    ンドキャップとから成るスライダ、及び前記ケーシング
    に形成されたリターン通路と前記エンドキャップに形成
    された方向転換路と前記軌道溝間に形成される軌道路と
    から構成される無限循環路を走行する複数の転動体を具
    備し、前記転動体は、複数の鋼製転動体と前記鋼製転動
    体間にあって前記無限循環路を略二等分する対向した位
    置に配設された2つのセラミック製転動体とで構成され
    ていることから成る直動転がり案内ユニット。
  2. 【請求項2】 前記セラミック製転動体は、窒化ケイ素
    で製作されていることから成る請求項1に記載の直動転
    がり案内ユニット。
  3. 【請求項3】 前記リターン通路は、多孔質構造を有す
    る焼結樹脂部材で形成されていることから成る請求項1
    又は2に記載の直動転がり案内ユニット。
  4. 【請求項4】 前記焼結樹脂部材は、合成樹脂微粒子を
    所定の金型に充填して加熱成形した高分子焼結多孔質体
    で成形され、前記合成樹脂微粒子は、ポリエチレン、ポ
    リプロピレン、又は四フッ化エチレン重合体から成る請
    求項3に記載の直動転がり案内ユニット。
  5. 【請求項5】 前記焼結樹脂部材はスリーブ状に成形さ
    れ、前記リターン通路孔は前記スライダに形成されてい
    る嵌挿孔に嵌挿された前記焼結樹脂部材のスリーブ内部
    に形成されていることから成る請求項3又は4に記載の
    直動転がり案内ユニット。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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