JP2001080941A - ガラス層をもつ基体の防汚処理方法及びその製品 - Google Patents

ガラス層をもつ基体の防汚処理方法及びその製品

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JP2001080941A
JP2001080941A JP25424199A JP25424199A JP2001080941A JP 2001080941 A JP2001080941 A JP 2001080941A JP 25424199 A JP25424199 A JP 25424199A JP 25424199 A JP25424199 A JP 25424199A JP 2001080941 A JP2001080941 A JP 2001080941A
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antibacterial
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Hiroaki Kuno
裕明 久野
Shigeo Imai
茂雄 今井
Hiroyuki Miyamoto
博幸 宮本
Haruyuki Mizuno
治幸 水野
Arata Matsumoto
新 松本
Shinji Ito
慎二 伊藤
Takahiro Morita
隆博 森田
Noriyuki Sugiyama
紀幸 杉山
Akito Suzuki
昭人 鈴木
Shozo Yamamoto
章造 山本
Kazuhiko Hattori
和彦 服部
Shungo Tokushima
俊吾 徳島
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Inax Corp
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Inax Corp
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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】汚れ防止効果のさらなる向上を実現できるガラ
ス層をもつ基体の防汚処理方法及びその製品を提供す
る。 【解決手段】ガラス層1bをもつ基体1と抗菌金属を含
む抗菌処理剤とを用意し、ガラス層1bに抗菌処理剤を
接触させることにより、ガラス層1b中のアルカリ金属
イオン又はアルカリ土類金属イオンを抗菌金属のイオン
にイオン交換してガラス層1bの少なくとも表面側を抗
菌処理する。次いで、ガラス層1bの表面を撥水処理す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス層をもつ基
体の防汚処理方法と、ガラス層をもつ製品とに関する。
この処理方法は、ガラス層をもつ基体からなる製造後又
は使用後の製品に抗菌機能及び撥水機能をもたせるため
に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】Ag、Cu、Zn等の金属は抗菌性を有
することが知られている。このため、従来、抗菌機能を
有する例えばガラス製品、セラミックス製品又はホウロ
ウ製品を製造せんとする場合、それらの抗菌機能を付与
する前の半製品全体がガラス層であったり、それら半製
品が基体上に釉薬層というガラス層を有するため、基体
の製造時又は釉薬層の形成時に同時に抗菌剤をガラス層
中に分散させることが一般的になされている。こうして
ガラス層中に抗菌剤を分散させることとすれば、基体を
製造すると同時に又は基体の表面に釉薬層を形成すると
同時にそれらの製品に抗菌機能を付与することができ
る。
【0003】他方、ガラス製品等では、使用時に水の他
に接触する屎尿、石鹸液、洗顔液、洗髪液、口紅、毛染
め液等が水性であり、これらが使用する水とともに内面
等に付着し、その後にこれらが乾燥して汚れとなると考
えられたことから、ガラス層の表面に撥水機能を付与す
べく、ガラス層の表面を撥水処理し、これらがその表面
に残留しないようにすることもなされつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
して得られた製品はガラス層の表面に抗菌機能及び撥水
機能の一方しか付与されていない。このため、ガラス層
の表面に抗菌機能だけが付与された製品では、その表面
が撥水機能を有していないため、使用後に抗菌機能だけ
では不充分な程汚れ成分を多く含んだ水分が残留する場
合があり、汚れ防止効果が不充分になるおそれがある。
他方、ガラス層の表面に撥水機能だけが付与された製品
では、その表面が抗菌機能を有していないため、使用後
に少ない水分の下で汚れ成分だけが残留する場合があ
り、やはり汚れ防止効果が不充分になるおそれがある。
このため、かかる製品では、汚れ防止効果のさらなる向
上が望まれる。
【0005】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされ
たものであって、汚れ防止効果のさらなる向上を実現で
きるガラス層をもつ基体の防汚処理方法及びその製品を
提供することを解決すべき課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のガラス層をもつ
基体の防汚処理方法は、ガラス層をもつ基体と抗菌金属
を含む抗菌処理剤とを用意し、該ガラス層に該抗菌処理
剤を接触させることにより、該ガラス層中のアルカリ金
属イオン又はアルカリ土類金属イオンを該抗菌金属のイ
オンにイオン交換して該ガラス層の少なくとも表面側を
抗菌処理する抗菌処理工程と、該ガラス層の表面を撥水
処理する撥水処理工程と、を有することを特徴とする。
【0007】本発明のガラス層をもつ製品は、ガラス層
をもつ基体からなり、該ガラス層の表面側には、該ガラ
ス層中のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオ
ンからイオン交換された抗菌金属のイオンを高い濃度で
含む金属リッチ層と、該金属リッチ層より上層側で撥水
成分を含む撥水層をもつことを特徴とする。本発明にお
いて、基体としてはガラス製品、セラミックス製品又は
ホウロウ製品を採用することができる。セラミックス製
品としてはタイルや衛生陶器を採用することができる。
【0008】本発明の防汚処理方法では、抗菌処理工程
と撥水処理工程とを実行して製品を製造するため、得ら
れた製品はガラス層の表面に抗菌機能及び撥水機能の両
方が付与される。このため、本発明の製品では、使用後
に抗菌機能だけでは不充分な程汚れ成分を多く含んだ水
分もその撥水機能により残留しにくく、汚れ防止効果が
向上する。また、本発明の製品では、使用後に少ない水
分の下で汚れ成分だけが残留しても、その抗菌機能によ
りやはり汚れ防止効果が向上する。
【0009】したがって、本発明の防汚処理方法によれ
ば、汚れ防止効果のさらなる向上を実現できる製品を製
造することができる。他方、本発明の製品によれば、汚
れ防止効果のさらなる向上を実現することができる。こ
こで、発明者らの試験結果によれば、基体のガラス層に
抗菌処理剤を接触させるだけでガラス層中のアルカリ金
属イオン又はアルカリ土類金属イオンが抗菌金属のイオ
ン(以下、抗菌金属イオンという。)にイオン交換さ
れ、抗菌金属イオンがガラス層中に取り込まれる。そし
て、ガラス層中に置換する抗菌金属イオンの量は、抗菌
処理剤の濃度、接触温度及び接触時間等の調整により決
定し得る。そして、これにより抗菌金属イオンはガラス
層全体に亘って満遍なく拡散せず、ガラス層の表面側に
イオン交換された抗菌金属イオンを高い濃度で含む金属
リッチ層をもつこととなる。
【0010】また、本発明の防汚処理方法では、抗菌処
理剤をガラス層に接触させることから、基体の製造後又
は釉薬層の形成後にその処理を行うことができる。この
ため、接触の温度によっては、焼成等の過程において抗
菌処理剤の抗菌金属が表面から炉内に揮発することがな
いとともに、低温下での処理のためにエネルギーの消費
も抑制することができる。
【0011】さらに、本発明の防汚処理方法では、ガラ
ス層のガラス転移点よりかなり低温下で抗菌処理剤の接
触を行うことができるので、処理中にガラス層が軟化す
ることはない。このため、処理後の製品に未反応の抗菌
金属イオンがガラス層の表面に付着したりすること等が
なく、抗菌金属の無駄使いを生じないとともに、製品の
表面性状、美観が維持される。
【0012】本発明の防汚処理方法では、抗菌処理剤か
らなる抗菌処理層を形成する抗菌処理層形成工程と、余
分な該抗菌処理層を除去する抗菌処理層除去工程と、を
有して抗菌処理工程を実行することができる。こうであ
れば、除去後の抗菌処理剤を再利用することができ、製
品コストの低廉化を実現できる。ガラス層上の余分な抗
菌処理層を除去するためには、例えば、スクレーバ等に
より抗菌処理層を拭き取ったり、掻き取ったりする手段
を採用することができる。また、水や空気等をノズルか
ら勢い良く噴霧して吹き飛ばす手段を採用することもで
きる。さらに、基体を含む全体を水等の液体中に浸漬す
る手段を採用することもできる。
【0013】本発明の防汚処理方法では、ガラス層及び
/又は抗菌処理剤を処理温度と同等の温度にして抗菌処
理層形成工程を行うことが好ましい。ガラス層又は抗菌
処理剤が処理温度と同等の温度であれば、一方から他方
への熱の移動がなく、接触時間により決定したガラス層
中に置換する抗菌金属イオンの量を変化させないことが
できる。特に、ガラス層及び抗菌処理剤を処理温度と同
等の温度にしてガラス層に抗菌処理剤を接触させること
が好ましい。ガラス層及び抗菌処理剤が処理温度と同等
の温度であれば、熱の移動がほとんどをなくなり、品質
を安定させることができる。
【0014】抗菌処理剤としては、蒸着によるAg、C
u、Zn等の抗菌金属、これら抗菌金属の微粉末を含む
粉末状のものの他、これら抗菌金属と溶媒とを含む抗菌
処理液を採用することができる。例えば、抗菌金属をそ
のまま抗菌処理剤とし、これを蒸着によってガラス層に
接触させることができる。
【0015】また、抗菌金属の微粉末を抗菌処理剤とす
る場合、界面活性剤とともに抗菌金属の微粉末粉末を存
在させ、これをノズルによりガラス層の表面にスプレー
してガラス層に接触させることができる。また、粉末状
の抗菌処理剤を篩内に入れ、仕切板を後退させることに
よって篩の網目からガラス層の表面に塗布する方法を採
用することもできる。この場合、ガラス層の表面に抗菌
処理剤を振りかけ、ガラス層上の抗菌処理剤が所定量に
なった時点で仕切板により網目を塞ぎ、網目から抗菌処
理剤が落下しないようにすることができる。
【0016】さらに、抗菌処理液としては、抗菌金属を
含むコロイド、抗菌金属をイオンで溶解させた溶液を採
用することができる。具体的には、有機銀・銅化合物や
銀・銅担持無機化合物であり、(1)銀、銅、銀−銅合
金、(2)リン酸銀、硝酸銀、塩化銀、硫化銀、酸化
銀、硫酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、(3)リン酸第一
銅、リン酸第二銅、有機銅化合物、塩化第一銅、塩化第
二銅、硫化第一銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫化第二
銅、硫化第一銅、硫化第二銅、クエン酸銅、乳酸銅等を
採用することができる。また、亜鉛についても、同様
に、有機亜鉛化合物や亜鉛担持無機化合物であり、亜
鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜
鉛等を採用することができる。抗菌処理液を採用する場
合、ノズルによりガラス層の表面にスプレーすることが
できる。また、基体を含めて全体を抗菌処理液中に浸漬
するどぶ漬け方法(ディッピング)を採用することもで
きる。さらに、スクリーン状に抗菌処理液を垂らし、そ
の中を基体を通過させる幕掛け法を採用することもでき
る。また、超音波により抗菌処理液のミストを発生さ
せ、このミストをガラス層に付着させる方法を採用する
こともできる。
【0017】これらの抗菌金属は、単体であってもよ
く、合金であってもよく、また化合物であってもよい。
しかし、本発明の防汚処理方法において、低温下での接
触によりイオン交換を行わしめる場合には、接触時間の
短縮化を図るためには、抗菌金属の大きさがより小さい
コロイドや溶液を採用することが好ましい。より好まし
くは、硝酸銀、硫酸銀等の溶液を採用することである。
コロイドでは抗菌金属の大きさが原子より大きいのに対
し、これらの溶液では抗菌金属の大きさが原子と同等だ
からである。また、コロイドは抗菌金属微粒子を大量に
含有することが好ましく、溶液は抗菌金属イオンを高濃
度で溶解させていることが好ましい。抗菌処理液は70
重量%以上で金属又は金属化合物を含むことが好まし
い。これらにより接触時間の短縮化を図ることができる
からである。
【0018】本発明の防汚処理方法では、抗菌処理層形
成工程として、未乾燥の抗菌処理層を形成することが好
ましい。こうであれば、除去後の抗菌処理液を回収、再
利用しやすく、製品コストの低廉化を実現できる。本発
明の防汚処理方法では、抗菌処理層形成工程を溶媒の沸
点未満の温度で行うことが好ましい。つまり、溶媒が水
の場合は100°C未満となる。溶媒の沸点未満の温度
で接触させれば、抗菌処理液からなる未乾燥の抗菌処理
層が乾燥しにくく、余分な抗菌処理層を高い割合で除去
することができる。こうして除去すれば、抗菌処理後の
製品に未反応の金属イオンがガラス層の表面に付着した
りすること等がなく、抗菌金属の無駄使いを生じないと
ともに、製品の表面性状、美観が維持される。また、除
去後の抗菌処理液を高い割合で再利用することが可能で
あり、製造コストの低廉化を実現できる。
【0019】接触温度が100°Cより低い範囲でより
高ければ、接触時間を短くできる。このため、冬場の工
場内の常温を考慮し、15°C以上の温度でガラス層に
処理剤を接触させることが好ましい。また、焼成炉の余
熱等を考慮し、40°C以上の温度でガラス層に処理剤
を接触させることが好ましい。従来は、抗菌金属の微粉
末を含む粉末状の抗菌処理剤や抗菌金属の塩を接触させ
た後、抗菌金属イオンの拡散と浸透とを一体とした加熱
により行っていたと考えられる(特開平6−23458
5号公報、特開平8−217492号公報)。このた
め、従来におけるガラス層中における抗菌金属イオン
は、加熱時間によって全体の量が増加しやすく、抗菌の
ために必要な量を超えてさらに抗菌金属イオンを拡散、
浸透させやすく、抗菌金属の無駄な消費を生じやすいと
考えられる。
【0020】これに対し、本発明の防汚処理方法では、
抗菌処理層除去工程後、ガラス層のガラス転移点未満の
温度で該ガラス層を加熱し、該ガラス層中に取り込んだ
該抗菌金属を該ガラス層中に浸透させる浸透工程を有す
ることができる。こうであれば、イオン交換によりガラ
ス層中に必要な量だけ取り込まれた抗菌金属イオンがか
かる加熱によりガラス層中に浸透することとなる。こう
して加熱したとしても、その際に既に抗菌処理剤を取り
除いておくのであれば、ガラス層中における抗菌金属イ
オンは、加熱前に比して、全体の量が増加することはな
く、濃度の傾斜が変化するだけであると考えられる。こ
のため、抗菌のために必要な量を超えてさらに抗菌金属
イオンを取り込み、浸透させることはないため、抗菌金
属の無駄な消費を防止することができる。また、抗菌金
属イオンにおける濃度の傾斜変化はガラス層中において
緩やかに生じるため、むやみに長時間加熱しない限り、
ガラス層全体に亘って満遍なく抗菌金属イオンが拡散す
ることはなく、ガラス層の表面側に未だ金属リッチ層を
存在させやすい。さらに、加熱前に抗菌処理剤を取り除
いておくのであれば、加熱中、抗菌処理剤に含まれる金
属の還元による黒色化及びそれによるガラス層の斑点状
汚れの付着を防止できる。
【0021】かかる加熱は、ガラス層のガラス転移点未
満の温度という比較的低温下で行われるため、抗菌金属
が表面から揮発しにくく、かつ表面の金属リッチ層の存
在を維持することができる。また、エネルギーの消費も
小さい。さらに、ガラス層の軟化も生じないため、製品
の表面性状、美観を維持することができる。300°C
未満の温度でガラス層を加熱することが好ましく、より
好ましくは200°C未満、更に好ましくは150°C
未満の温度である。この理由は、300°C未満であれ
ば十分にガラス層中に金属のイオンを浸透させやすく、
200°C未満であれば未だ十分にガラス層中に金属の
イオンを浸透させやすいからである。また、150°C
未満であれば、未だガラス層中に金属のイオンを浸透さ
せやすい一方、加熱直後に製品を室温状態に出すという
急激な温度変化に対してもガラス層に微少なクラック等
の欠陥を発生させることはないからである。
【0022】なお、本発明の防汚処理方法では、抗菌金
属と溶媒とを含む液体状の抗菌処理剤からなる未乾燥の
抗菌処理層を形成する抗菌処理層形成工程と、ガラス層
のガラス転移点未満の温度で該ガラス層を加熱すること
により、該ガラス層中に該抗菌金属のイオンを取り込む
とともに浸透させる高度浸透工程と、余分な該抗菌処理
層を除去する抗菌処理層除去工程と、を有してイオン交
換工程を実行することができる。こうであれば、未乾燥
の抗菌処理層から抗菌処理液を除去する場合に比しては
劣るものの、除去後の抗菌処理剤を回収、再利用するこ
とができ、製品コストの低廉化を実現できる。
【0023】ガラス層のガラス転移点未満の温度でガラ
ス層を加熱する場合、ガラス層又は素地及びガラス層を
トンネルキルン、ローラーハースキルン等の焼成炉で焼
成した後、これに連続した加熱炉内に搬入する手段を採
用することができる。また、焼成炉による焼成とは不連
続で加熱炉による加熱を行う場合、焼成炉による焼成
後、一旦これを冷却し、その後に加熱炉内に搬入する手
段を採用することもできる。
【0024】また、加熱を連続式に行う場合、まず、基
体を焼成炉内で移動させながら焼成(例えば1200°
Cで焼成)する。そして、焼成炉内又は焼成炉外におい
て、例えば100°C程度までこれが冷却すれば、続い
て基体のガラス層の表面に抗菌処理剤を接触させ、抗菌
処理層を形成する。ここで余分な抗菌処理層を除去する
ことができる。次いで、連続的に加熱炉内にこれを搬入
し、移動させ、所定の加熱温度で所定時間かけて加熱を
行う。この際、スプレーをかけながら、又はミストを発
生させた密閉された加熱炉内を所定の時間移動させなが
ら、抗菌処理剤を接触させるとともに、加熱することも
できる。抗菌処理層を形成後に余分な処理層の除去を行
わない場合、加熱炉から出た時点で余分な抗菌処理層を
除去することができる。既に焼成された基体に対して防
汚処理を行う場合には、その基体に抗菌処理層を接触さ
せ、必要により余分な抗菌処理層の除去し、加熱炉に搬
入する。そして、抗菌処理層を形成後に余分な抗菌処理
層の除去を行わない場合、加熱炉から出た時点で余分な
抗菌処理層を除去する。
【0025】他方、加熱をバッチ式で行う場合、まず一
定量の基体をまとめて焼成炉内に挿入した後、出入口の
炉蓋を閉じた状態で基体を焼成(例えば1200°Cで
焼成)する。そして、例えば100°C程度までこれが
冷却すれば、基体のガラス層の表面に例えば抗菌処理剤
を接触させ、抗菌処理層を形成する。ここで余分な抗菌
処理層を除去することもできる。次いで、加熱炉内に所
定の加熱温度で所定時間保持し、加熱を行う。そして、
加熱が済んだ時点で製品を外に取り出す。この後、抗菌
処理層を形成後に余分な抗菌処理層の除去を行わない場
合には、余分な抗菌処理層を除去する。
【0026】抗菌処理層を一度除去しただけでは抗菌処
理剤がガラス層の表面に残留するのであれば、その状態
のまま加熱すると製品のガラス層の表面が汚れることと
なる。このため、加熱前にガラス層の表面を水等により
洗浄することもできる。そして、本発明の防汚処理方法
では、撥水処理工程により、金属リッチ層より上層側で
撥水成分を含む撥水層をもつ製品となる。かかる製品で
は、金属リッチ層の抗菌金属イオンが細菌に作用し、こ
れを死減させ、或いはその繁殖を抑制することができ
る。また、撥水層は撥水成分により水をはじく。
【0027】この撥水処理工程は、ガラス層の表面に存
在する水酸基と脱水反応又は脱水素反応により結合する
ケイ素含有官能基を有する撥水処理液からなる被膜を形
成することにより行うことが好ましい。撥水処理液がケ
イ素含有官能基(X−Si−O−)を有し、このケイ素
含有官能基がガラス層の表面に存在する水酸基(−O
H)と脱水反応又は脱水素反応により結合してその水酸
基をシールドする。このため、多くの溶性シリカ等の金
属イオンを含む水を使用するとしても、その水酸基はも
はや不能化されてそれら金属イオンと結合せず、屎尿等
の成分を結合しなくなる。特に、金属イオンとして溶性
シリカを含む水を使用しても、網目構造をなすケイ酸と
して析出せず、又は析出しにくく、汚れを取り込みにく
い。こうして、撥水処理液がこのケイ素含有官能基を有
すれば、溶性シリカ等の金属イオンを多く含む水を同時
に使う製品にあって、屎尿等の汚れがこびり付きにく
く、その清掃が容易となる。
【0028】なお、撥水処理液のケイ素含有官能基は製
品のガラス層にあるケイ素と同様に高い耐久性を発揮す
る。撥水処理液として、ケイ素含有官能基同士では結合
していないものを採用することが好ましい。発明者らの
試験結果によれば、これにより耐水アカ汚れ、耐毛染め
液汚れ、耐摩耗性及び耐アルカリ性に対して効果が高い
からである。撥水処理液のケイ素含有官能基同士が結合
しておれば、ケイ素が多くなって被膜に網目構造をなす
ケイ酸が析出し、そこに汚れが取り込まれやすいと考え
られるからである。
【0029】また、撥水処理液としては、ケイ素含有官
能基と結合した末端のフッ化炭素基を有するものを採用
することが好ましい。発明者らの試験結果によれば、こ
うしてフッ化炭素基を有すれば、フッ化炭素基の小さな
臨界表面張力により撥水効果が高く、耐水アカ汚れ、耐
毛染め液汚れ及び耐アルカリ性に対して効果が高いから
である。
【0030】フッ化炭素基は−Cn2n+1(nは1≦n
≦12の自然数)であることができる。発明者らの試験
結果によれば、これによりフッ素数が多く、フルオロシ
ランが嵩高くなるため、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚
れ、耐摩耗性及び耐アルカリ性に対して効果が大きい。
また、撥水処理液として、ケイ素含有官能基と結合した
末端のアルキル基を有さないもの採用することも好まし
い。発明者らの試験結果によれば、これにより耐水アカ
汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アルカリ性に対して効果が
大きい。
【0031】他方、撥水処理液として、ケイ素含有官能
基と結合した末端のアルキル基を有するものも採用する
ことも好ましい。発明者らの試験結果によれば、こうし
てアルキル基を有すれば、アルキル基の大きな臨界表面
張力により、防汚効果が耐口紅汚れ、耐摩耗性としても
現れるからである。耐摩耗性の観点からは、アルキル基
として、メチル基を採用し得る。他方、耐アルカリの観
点からは、アルキル基として、プロピル基又はヘキシル
基を採用し得る。発明者らの試験結果によれば、アルキ
ル基がプロピル基、ヘキシル基等であれば、アルキル基
が嵩高くなって耐アルカリの点で優れる一方、耐摩耗性
の点で劣る。他方、アルキル基がメチル基であれば、耐
摩耗性の点で優れる一方、耐アルカリの点で劣る。
【0032】撥水処理液がケイ素含有官能基と結合した
末端のフッ化炭素基を有するとともに、ケイ素含有官能
基と結合した末端のアルキル基を有する場合、フッ化炭
素基よりアルキル基が多いものを採用することが好まし
い。発明者らの試験結果によれば、これにより撥水処理
液がパーフルオロアルキルシランだけでなくなり、耐口
紅汚れ及び耐摩耗性に対して効果が高い。
【0033】他方、撥水処理液がケイ素含有官能基と結
合した末端のフッ化炭素基を有するとともに、ケイ素含
有官能基と結合した末端のアルキル基を有する場合、ア
ルキル基よりフッ化炭素基が多いものを採用することも
好ましい。発明者らの試験結果によれば、これにより撥
水処理液中のパーフルオロアルキルシランが多くなり、
耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ、耐摩耗性及び耐アルカ
リ性に対して効果が高い。
【0034】ケイ素含有官能基とアルキル基とはジメチ
ルシロキサン(O−Si(CH32)により結合してい
ることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、これ
により耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ、耐摩耗性及び耐
アルカリ性に対して効果が高い。このジメチルシロキサ
ンは、直鎖状にケイ素含有官能基とアルキル基とを結合
しているものの他、環状にケイ素含有官能基とアルキル
基とを結合しているものを採用することが好ましい。発
明者らの試験結果によれば、これにより耐水アカ汚れ、
耐口紅汚れ、耐毛染め液汚れ、耐摩耗性及び耐アルカリ
性に対して安定して高い効果を発揮する。
【0035】ジメチルシロキサンが直鎖状にケイ素含有
官能基とアルキル基とを結合しているものの具体例とし
ては、特開平8−209118号公報記載の第1剤と第
2剤とを混合した撥水処理液を採用することができる。
ここで、第1剤はパーフロロアルキル基含有有機ケイ素
化合物と加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物
との親水性溶媒中での共加水分解物であり、第2剤はオ
ルガノポリシロキサンと強酸との混合物である。より具
体的には、第1剤は、C817CH2CH2Si(OC
33と、Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(CH
32O10−Si(CH32CH2CH2Si(OCH3
3とを0.1N塩酸水、t−ブタノール及びヘキサンか
らなる親水性溶媒中で共加水分解したものであり、第2
剤は、HO−(Si(CH32O30−Si(CH32
OHとメタンスルホン酸との混合物がある。
【0036】本発明の防汚処理方法は、ガラス層をもつ
基体からなる製造後又は既に設置された製品に抗菌機能
及び撥水機能をもたせるために用いることができる。既
に設置された製品に本発明の防汚処理方法を用いれば、
抗菌機能及び撥水機能を新たにもたせたり、それらを回
復させたりすることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形
態1、2を図面を参照しつつ説明する。 (実施形態1) 1.抗菌処理工程 まず、図1(A)に示すように、下記組成の陶磁器から
なる素地1aの表面に下記組成の釉薬層というガラス層
1bをもつ基体1を用意する。ここで、ガラス層1bの
ガラス転移点は700°Cである。
【0038】<素地の調合割合(重量%)> 長石:28.2 珪砂:11.8 セリサイト:15.0 粘土:45.0 <釉薬の調合割合(重量%)> 長石:53.7 珪砂:9.8 石灰:12.3 ドロマイト:4.8 蛙目:5.1 亜鉛華:2.0 ジルコン:10.1 フリット:2.2 また、抗菌金属を含む抗菌処理剤として、Ag3PO4
粉末(平均粒径0.3μm)と、AgNO3を3.0重
量%含有する水溶液(抗菌処理液)とを用意する。
【0039】さらに、撥水処理液として、第1剤と第2
剤とを重量比1:1〜5:1の割合で混合したものを用
意する。重量比は第1剤及び第2剤中の成分量によって
選択する。ここで、第1剤は、パーフロロアルキル基含
有有機ケイ素化合物としての C817CH2CH2Si(OCH33 と、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物とし
ての Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(CH32O10
−Si(CH32CH2CH2Si(OCH33 とを用意し、これらを0.1N塩酸水、t−ブタノール
及びヘキサンからなる親水性溶媒中で共加水分解したも
のである。これにより、 C817CH2CH2Si(OCH33 と Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(CH32O10
−Si(CH32CH2CH2Si(OCH33 とはそれぞれシラノール(Si−OH)基を有するもの
になると考えられる。
【0040】他方、第2剤は、オルガノポリシロキサン
(HO−(Si(CH32O30−Si(CH32
H)と、強酸としてのメタンスルホン酸との混合物であ
る。これら第1剤と第2剤とを混合すると、共加水分解
物のシラノール基はオルガノポリシロキサン及び強酸と
反応して脱水反応によりシロキサン結合(Si−O−S
i)し、複数の分子が複雑に絡み合った付加化合物にな
ると考えられる。このため、第1剤と第2剤とを混合し
てなる撥水処理液は、パーフロロアルキル基含有有機ケ
イ素化合物、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化
合物、オルガノポリシロキサン等の1分子だけから構成
されているのではなく、図2に示すように、これら複数
の分子が複雑に絡み合った付加化合物、一種のポリマー
として結合されて構成されていると考えられる。 1−1.抗菌処理層形成工程 そして、ガラス層1b及び/又は抗菌処理剤を処理温度
と同等の温度にし、図1(B)に示すように、ガラス層
1bの表面に抗菌処理剤からなる抗菌処理層2を形成す
る。抗菌処理液を用いる場合には100°C未満で抗菌
処理層2を形成する。これにより、図3(A)に示すよ
うに、基体1のガラス層1b中のアルカリ金属(Kイオ
ン、Naイオンなど)がAgイオンにイオン交換され、
Agイオンがガラス層1b中に取り込まれる。抗菌金属
イオンはガラス層全体に亘って満遍なく拡散せず、ガラ
ス層の表面側にイオン交換された抗菌金属イオンを高い
濃度で含む金属リッチ層3をもつこととなる。 1−2.抗菌処理層除去工程 次いで、図1(C)及び図3(B)に示すように、余分
な抗菌処理層2を除去する。これにより、除去後の抗菌
処理剤を再利用することができ、製品コストの低廉化を
実現できる。 1−3.浸透工程 この後、ガラス層1bのガラス転移点未満の温度でガラ
ス層1bを加熱し、ガラス層1b中に取り込んだ抗菌金
属をガラス層1b中に浸透させる。これにより、図1
(D)及び図3(C)に示すように、ガラス層1bの表
面側に必要な量だけ取り込まれたAgイオンにより未だ
金属リッチ層3を存在させつつ、Agイオンがガラス層
1b中に浸透する。こうして加熱したとしても、その際
に既に抗菌処理層2を取り除いているため、ガラス層1
b中におけるAgイオンは、加熱前に比して、全体の量
が増加することはなく、濃度の傾斜が変化するだけであ
ると考えられる。このため、抗菌のために必要な量を超
えてさらにAgイオンを取り込み、浸透させることはな
いため、Agの無駄な消費を防止することができる。ま
た、Agイオンにおける濃度の傾斜変化はガラス層1b
中において緩やかに生じるため、むやみに長時間加熱し
ない限り、ガラス層1b全体に亘って満遍なくAgイオ
ンが拡散することはなく、ガラス層1bの表面側に未だ
金属リッチ層3を存在させやすい。さらに、加熱前に抗
菌処理層2を取り除いているため、加熱中、抗菌処理剤
に含まれるAgの還元による黒色化及びそれによるガラ
ス層の斑点状汚れの付着を防止できる。
【0041】かかる加熱は、ガラス層1bのガラス転移
点未満の温度という比較的低温下で行うため、Agが表
面から揮発しにくく、かつ表面の金属リッチ層3の存在
を維持することができる。また、エネルギーの消費も小
さい。さらに、ガラス層1bの軟化も生じないため、製
品の表面性状、美観を維持することができる。 2.撥水処理工程 次いで、撥水処理液をティッシュペーパ、不織布等に染
み込ませ、浸透工程後のガラス層1bの表面をそのティ
ッシュペーパ、不織布等で約10回擦ることにより、そ
の表面に撥水処理液を塗布する。約10分間、表面に塗
布した撥水処理液を乾燥させる。これにより、付加化合
物のシラノール基と製品におけるガラス層1bの表面の
シラノール基とが脱水反応によりシロキサン結合(Si
−O−Si)し、付加化合物とガラス層1bの表面とが
強固に化学結合されると考えられる。この後、表面に残
った未反応の撥水処理液をエタノールで除去する。
【0042】こうして、図1(E)及び図3(D)に示
すように、基体1のガラス層1bの表面に撥水処理液か
らなる被膜(撥水層)4を形成し、表面を撥水処理す
る。これにより、金属リッチ層3より上層側で撥水成分
を含む被膜(撥水層)4をもつ製品となる。かかる製品
では、金属リッチ層3のAgイオンが細菌に作用し、こ
れを死減させ、或いはその繁殖を抑制することができ
る。また、被膜(撥水層)4は撥水成分により撥水機能
を有している。 3.抗菌試験 撥水処理工程を行わなかった場合と撥水処理工程を行っ
た場合とについて、フィルム密着法による抗菌試験に供
した。 3−1.Ag3PO4微粉末を抗菌処理剤として使用し、
これを0.3mmの厚みで積層し、抗菌処理層除去工程
の後、浸透工程として、200°C×2時間(試料
A)、150°C×2時間(試料B)、15°C×2時
間(試料C)又は4°C×2時間(試料D)の条件で加
熱した場合について、試験を行った。 3−2.AgNO3を3.0重量%含有する水溶液を抗
菌処理剤として使用し、これを0.001g/cm2
塗布し、抗菌処理層除去工程の後、浸透工程として、2
00°C×2時間(試料E)、150°C×2時間(試
料F)、15°C×2時間(試料G)又は4°C×2時
間(試料H)の条件で加熱した場合について、試験を行
った。
【0043】試験方法、試験結果の表示、試験成立条
件、試験菌株、試験の準備及び評価は下記にて行った。 <試験方法> 試験菌の培養: (1)試験菌をNA培地(普通寒天培地)にて移植し、
温度35〜37°Cで16〜24時間培養(前々培養)
した。
【0044】(2)前項(1)で前々培養した菌をNA
培地に1白金耳移植し、温度35〜37°Cで16〜2
0時間培養(前培養)した。 接種用菌液の調製:NB培地(普通ブイヨン培地)をリ
ン酸緩衝液で500倍に希釈してpHを7.0±0.2
に調製した「1/500NB培地」とし、これに前培養
した菌を均一に分散させ、接種用菌液とした。
【0045】試験片の調製: (1)上記試験試料A〜Hを50±2mm角(厚さ10
mm以内)の正方形に切断し、その全面をエタノールを
染み込ませた局方ガーゼ又は脱脂綿で軽く2〜3回拭い
た後、乾燥させる(前処理)。各々3個用意し、抗菌加
工試験片とした。
【0046】(2)比較サンプルとして、上記銀化合物
の塗布及び加熱を行わない無加工試料を用意し、これを
(1)の試験試料と同じ大きさに切断し、抗菌加工試験
片と同様に前処理する。これを3個用意し、無加工試験
片とした。 試験操作: (1)抗菌加工試験片(3個)及び無加工試験片(3
個)をそれぞれ滅菌シャーレに入れ、その試験面に接種
用菌液0.4ml(1.0〜5.0×105の菌を含
む)を接種し、その上に被覆フィルムを被せて蓋をした
後、温度35±1°C、相対湿度90%以上の条件下で
保存した。
【0047】(2)対照区用に3個の滅菌シャーレを用
意し、それぞれに置いた下敷きフィルムの上に接種用菌
液0.4mlを接種し、その上に被覆フィルムを被せて
蓋をした後、温度35±1°C、相対湿度90%以上の
条件下で保存した。 生菌数の測定: (1)3個の滅菌シャーレを用意し、それぞれ各試験片
に接種したのと同量の接種用菌液を入れ、その上に被覆
フィルムを被せる。この後、SCDLP培地(10m
l)を用いて直ちにそれぞれ被覆フィルムに付着してい
る菌をシャーレ中に十分に洗い出す。SA培地(標準寒
天培地)を使用した寒天平板培養法(温度35±1°C
で40〜48時間培養)により、洗い出した液1ml中
の生菌数を測定し、3個の生菌数(「接種直後対照
区」)の平均値を求め、それを10倍した値をAとし
た。
【0048】なお、生菌数測定時の希釈は滅菌リン酸緩
衝生理食塩水を用いて行った。 (2)保存24時間後の対照区用滅菌シャーレ(3個)
について、それぞれ前項の滅菌シャーレと同様にして測
定した3個の生菌数(「対照区」)の平均値を求め、そ
れを10倍した値をBとした。 (3)保存24時間後の無加工試験片(3個)につい
て、SCDLP培地(10ml)を用いてそれぞれ試験
片及び被覆フィルムに付着している菌を滅菌シャーレ中
に十分洗い出す。SA培地を使用した寒天平板培養法
(温度35±1°Cで40〜48時間培養)により、洗
い出した液1mlの中の生菌数を測定し、3個の生菌数
(「無加工試験区」)の平均値を求め、それを10倍し
た値をCとした。
【0049】(4)保存24時間後の抗菌加工試験片
(3個)について、それぞれ無加工試験片と同様にして
測定した3個の生菌数(「抗菌加工試験区」)の平均値
を求め、それを10倍した値をDとした。 <試験結果の表示>次式により「増減値差」を計算し
た。小数点以下2桁目は切り捨てた。
【0050】{log(C/A)−log(D/A)}
={log(C/D)} <試験成立条件>下記4項目の試験成立条件をすべて満
たすとき、その試験は有効と見なす。 (1)「接種直後対照区」及び「対照区」の各3個の生
菌数について、次式による計算を行ない、その計算値が
0.2以下であること。
【0051】 (最高対数値−最低対数値)/(対数平均値)≦0.2 (2)A(「接義直後後対照区」の平均値)に対するB
(「対照区」の平均値)の滅少率が90%以下であるこ
と。 {(A−B)/A}×100≦90 (3)「接種直後対照区」の各3個の生菌数について、
それらの平均値が1.0〜5.0×105/枚の範囲に
あること。
【0052】(4)「無加工試験区」の各3個の生菌数
がすべて1.0×103/枚以上であること。 <試験菌株> (1)Staphylococcus aureus IFO12732(AT
CC6538P) (2)Escherichia coil IFO3972(ATCC8
739) <試験の準備> 器具、機器および材料: (1)ピペット(牛乳ピペット、1mlおよび10ml
以上分注可能なメスピペット、あるいは自動ピペッタ
ー) (2)恒温器(±1°C以内の精度で運転可能な機種) (3)デシケーター (4)滅菌シャーレ(内径80mm〜100mm、高さ
15mm〜25mmのもの) (5)被覆フィルム(微生物検査用として市販されてい
る「ストマッカー400型用ポリ袋(オルガノ:180
mm×300mm×0.09mm)」などを無菌的に4
0±2mm角の大きさに切って作る) (6)下敷きフィルム(被覆フィルムを50mm角以上
の大きさに切って作る) 培地等: (1)普通プイヨン培地(NB培地) 肉エキス:5.0g ペプトン:10.0g 塩化ナトリウム:5.0g 精製水:1,000ml pH:7.0〜7.2 (2)普通寒天培地(NA培地) NB培地(1)に寒天を1.5%添加したもの (3)標準寒天培地(SA培地) 酵母エキス:2.5g トリプトン:5.0g グルコース:1.0g 寒天:15.0g 精製水:1,000ml pH:7.1±0.1 (4)SCDLP培地 カゼイン製ペプトン:17.0g 大豆製ペプトン:3.0g 塩化ナトリウム:5.0g リン酸−水素カリウム:2.5g グルコース:2.5g レシチン:1.0g ポリソルベート80:7.0g 精製水:l,000ml pH:6.8〜7.2 (5)エタノール(純度99%以上) (7)リン酸緩衝生理食塩水 KH2PO434gを精製水500mlに溶解し、1N
NaOHでpH7.2に調整後、精製水を加えて100
0mlとする。この液1.25mlを生理用食塩水
(0.85%NaCl)で800倍に希釈して1000
mlとする。
【0053】<評価>撥水処理工程を行った試料A〜D
のフィルム密着法による試験の結果を表1に示す。そし
て、撥水処理工程を行わなかった場合と撥水処理工程を
行った場合とについての試科A〜Dの増減値差の結果を
表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】また、撥水処理工程を行った試料E〜Hの
フイルム密着法による抗菌力試験の結果を表3に示す。
そして、撥水処理工程を行わなかった場合と撥水処理工
程を行った場合とについての試料E〜Hの増減値差の結
果を表4に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】これらにおいて、増減値差2.0以上が抗
菌力有りと判定した。なお、<10は検出不能を示す。
表1〜4より、15〜200°Cの温度で加熱したもの
(試料A〜C、E〜G)は優れた抗菌能力を有すること
が分る。これは、抗菌処理剤の接触によりAgイオンが
ガラス層1b中に取り込まれ、さらに加熱によりAgイ
オンが浸透したこと、またそのAgイオンがガラス層1
bの表面に近い程高い濃度で含まれ、Agリッチ層3を
有することによる効果である。 4.撥水試験 撥水処理工程を行わなかった場合と撥水処理工程を行っ
た場合とについて、以下の耐水アカ汚れ試験、耐口紅汚
れ試験、耐毛染め液汚れ試験、耐摩耗性試験及び耐アル
カリ性試験を撥水試験として行った。
【0060】<耐水アカ汚れ試験>200ppmのケイ
酸ナトリウムを含む水溶液を用意し、70°Cのこの水
溶液に約3時間各製品の表面を浸漬する。この後、各製
品の喫水部の境界である喫水面に析出したケイ酸を着色
する。そして、目視により、最もよいものを○、ややよ
いものを△、悪いものを×として評価した。
【0061】<耐口紅汚れ試験>市販の油性の口紅を各
製品の表面に塗り付け、48時間放置した後でふき取
る。そして、目視により、最もよいものを○、ややよい
ものを△、悪いものを×として評価した。 <耐毛染め液汚れ試験>市販の毛染め液を各製品の釉薬
層に塗り付け、48時間放置した後でふき取る。そし
て、目視により、最もよいものを○、ややよいものを
△、悪いものを×として評価した。
【0062】<耐摩耗性試験>ガーゼを約17g/cm
2の荷重で各製品の表面に押し付けつつ、12往復/分
の速さで2000回摩耗する。そして、水接触角の変化
を調べた。 <耐アルカリ性試験>0.05wt%のNaOH水溶液
を用意し、この水溶液に24時間各製品の表面を浸漬す
る。そして、水接触角の変化を調べた。
【0063】結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】表5より、撥水処理工程を行った場合の製
品では、被膜(撥水層)4の撥水成分により優れた撥水
機能を有していることがわかる。また、撥水処理液がケ
イ素含有官能基を有し、このケイ素含有官能基が釉薬層
である処理面に存在する水酸基と脱水反応によりシロキ
サン結合してその水酸基をシールドすると考えられ、多
くの溶性シリカを含む水を使用しても、その水酸基はも
はや不能化されてそれら溶性シリカと結合しないと考え
られる。このため、網目構造をなすケイ酸が析出せず、
又は析出しにくく、汚れを取り込みにくい。こうして、
撥水処理液がこのケイ素含有官能基を有すれば、溶性シ
リカを多く含む水を同時に使う製品にあって、屎尿等の
汚れがこびり付きにくく、その清掃が容易となることが
わかる。また、撥水処理液のケイ素含有官能基は製品の
ガラス層1bにあるケイ素と同様に高い耐久性を発揮す
る。
【0066】以上より、実施形態1の防汚処理方法で
は、抗菌処理工程と撥水処理工程とを実行して製品を製
造するため、得られた製品はガラス層1bの表面に抗菌
機能及び撥水機能の両方が付与されていることがわか
る。このため、実施形態1の製品では、使用後に抗菌機
能だけでは不充分な程汚れ成分を多く含んだ水分もその
撥水機能により残留しにくく、汚れ防止効果が向上する
ことがわかる。また、実施形態1の製品では、使用後に
少ない水分の下で汚れ成分だけが残留しても、その抗菌
機能によりやはり汚れ防止効果が向上することがわか
る。 5.また、試料Aについてのガラス層1b中のAg濃度
を二次イオン質量分析にて測定した結果を図4に示す。
図中、Aは試料Aについての測定結果を示す。また、X
は、従来法に従って子めAg3PO4を含有させた釉薬に
より素地1a上に施釉し、続いて焼成したものについて
の測定結果を示す。
【0067】図4より、従来法によるXの場合は、ガラ
ス層1bの表面に近くなる程Agの濃度が低くなってい
ることがわかる。これに対し、実施例による試料Aの場
合は、低温度での加熱にもかかわらず、Agイオンが取
り込まれ、さらに浸透していること、またAgイオンが
ガラス層1bの表面に近づく程高い濃度で含まれ、Ag
リッチ層3を有することがわかる。
【0068】したがって、実施形態1の防汚処理方法に
よれば、汚れ防止効果のさらなる向上を実現できる製品
を製造できることがわかる。他方、実施形態1の製品に
よれば、汚れ防止効果のさらなる向上を実現できること
がわかる。 (実施形態2) 1.抗菌処理工程 まず、実施形態1と同種の基体1と、抗菌処理液とし
て、AgNO3を0.01重量%含有する水溶液、Ag
NO3を2重量%含有する水溶液、AgNO3を10重量
%含有する水溶液、AgNO3を70重量%含有する水
溶液及びAgNO3を80重量%含有する水溶液と、実
施形態1と同種の撥水処理液とを用意する。 1−1.抗菌処理層形成工程 そして、4°C、10°C、30°C又は50°Cの接
触温度の下、実施形態1と同様、ガラス層1bの表面に
抗菌処理液0.001g/cm2で塗布し、未乾燥のか
らなる抗菌処理層2を形成する。 1−2.抗菌処理層除去工程 次いで、実施形態1と同様、余分な抗菌処理層2を除去
する。 1−3.浸透工程 この後、実施形態1と同様、ガラス層1bを100°C
×30秒間の条件で加熱し、ガラス層1b中に取り込ん
だ抗菌金属をガラス層1b中に浸透させる。 2.撥水処理工程 次いで、実施形態1と同様、ガラス層1bの表面に撥水
処理液からなる被膜(撥水層)を形成し、表面を撥水処
理する。
【0069】こうして、実施形態1と同様、基体1のガ
ラス層1bの表面に撥水処理液からなる被膜(撥水層)
4を形成し、表面を撥水処理する。これにより、金属リ
ッチ層3より上層側で撥水成分を含む被膜(撥水層)4
をもつ製品となる。 3.抗菌試験 抗菌処理液の濃度、接触温度、接触時間及び加熱の有無
に相違をもたせた各試料について、耐久性を評価するた
めに90°Cで16時間の水浸漬後、抗菌試験を行っ
た。なお、水浸漬は試料表面が単位面積(cm2)当り
10mlの水に接触するように設定した。表2及び表4
と同様、結果を表6〜15に示す。表6〜10は大腸菌
による結果を示し、表11〜15は黄色ブドウ球菌によ
る結果を示す。また、表6及び表11は0.01重量%
でAgNO3を含有する水溶液を抗菌処理液とした場合
の結果を示し、表7及び表12は2重量%でAgNO3
を含有する水溶液を抗菌処理液とした場合の結果を示
し、表8及び表13は10重量%でAgNO3を含有す
る水溶液を抗菌処理液とした場合の結果を示し、表9及
び表14は70重量%でAgNO3を含有する水溶液を
抗菌処理液とした場合の結果を示し、表10及び表15
は80重量%でAgNO3を含有する水溶液を抗菌処理
液とした場合の結果を示す。
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】また、釉薬中に抗菌剤を含有させた試料の
各処理による増減値差を表16に示す。
【0081】
【表16】
【0082】表9、表10、表14及び表15並びに表
16より、70重量%以上でAgNO3を含有する水溶
液を抗菌処理液とすれば、例え4°Cという接触温度で
あっても、Agイオンがガラス層1b中に取り込まれる
ことがわかる。特に、接触時間を長くすればその傾向が
大きい。また、接触温度が溶媒である水の沸点である1
00°Cより低い範囲でより高ければ、接触時間を短く
できることがわかる。
【0083】また、表6〜15より、接触後、100°
C×30秒間の条件で加熱するのであれば、例え1秒間
の接触時間後に抗菌処理層2を除去しても、優れた抗菌
能力を有することが分る。これは、抗菌処理液の接触に
より必要量のAgイオンがガラス層1b中に取りこま
れ、さらに加熱により浸透したこと、またそのAgイオ
ンがガラス層1bの表面に近い程高い濃度で含まれ、A
gリッチ層3を有することによる効果である。
【0084】さらに、接触後加熱を行った場合は、Ag
イオンがガラス層1b中により浸透しているために90
°Cで16時間の水浸漬後も抗菌効果が減衰しない。 4.撥水試験 また、実施形態1と同様、撥水試験を行った。この結
果、実施形態1と同様の効果が確認できた。 5.また、抗菌処理液中のAgNO3の濃度が2重量
%、接触温度が30°C、接触時間が1分であり、接触
後100°Cで30秒の加熱を行った試料と、抗菌処理
液中のAgNO3の濃度が70重量%、接触温度が30
°C、接触時間が1秒であり、接触後100°Cで30
秒の加熱を行った試料とについて、ガラス層1bの表面
の微量元素の量(atom%)をX線光電子分光(XP
S)法により測定した。ここで、XPS法は、超真空中
においた試料のガラス層1bの表面に湾曲した単結晶で
分光した集束軟X線を照射し、表面から出た光電子をア
ナライザーで検出し、その情報を元素の定量に用いる方
法である。AgNO3の濃度が2重量%の試料について
の結果を表17に示し、AgNO3の濃度が70重量%
の試料についての結果を表18に示す。
【0085】
【表17】
【0086】
【表18】
【0087】表17より、試料のガラス層1bは、内部
に比べて表面側でAgイオンが多く、逆にNaイオンと
比べてKが極端に少なくなっていることがわかる。この
ため、イオン交換は、互いにイオン半径の近い主にKイ
オンとAgイオンとで生じたことがわかる。したがっ
て、抗菌処理液の接触により基体1のガラス層1b中の
KイオンがAgイオンにイオン交換されて取り込まれ、
さらに加熱によりAgイオンがガラス層1bの内部に浸
透することがわかる。
【0088】また、表18より、AgNO3の濃度が7
0重量%という高濃度の抗菌処理液を用いれば、接触時
間が1秒であっても、AgNO3の濃度が2重量%とい
う低濃度の抗菌処理液を用いる場合に比し、略同量のA
gイオンをガラス層1bの内部に浸透できることがわか
る。したがって、実施形態2の防汚処理方法及び製品も
実施形態1の防汚処理方法及び製品と同様の効果を奏す
ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1、2の工程を示し、図(A)は防汚
処理前の基体の断面図、図(B)は抗菌処理工程の抗菌
処理層形成工程後の基体等の断面図、図(C)は抗菌処
理工程の抗菌処理層除去肯定後の基体等の断面図、図
(D)は抗菌処理工程の浸透工程後の基体等の断面図、
図(E)は撥水処理工程後の基体等の断面図である。
【図2】実施形態1、2に用いた撥水処理液の模式分子
構造を示す図である。
【図3】実施形態1、2の要部工程を示し、図(A)は
図1における図(B)の模式拡大図、図(B)は図1に
おける図(C)の模式拡大図、図(C)は図1における
図(D)の模式拡大図、図(D)は図1における図
(E)の模式拡大図である。
【図4】実施形態1の試料において得られたガラス層の
Agの濃度の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基体 1a…素地 1b…ガラス層 2…抗菌処理層 3…金属(Ag)リッチ層 4…被膜(撥水層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 (72)発明者 宮本 博幸 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 水野 治幸 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 松本 新 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 伊藤 慎二 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 森田 隆博 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 杉山 紀幸 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 鈴木 昭人 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 山本 章造 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 服部 和彦 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 徳島 俊吾 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 Fターム(参考) 4G059 AA01 AC22 AC30 FA22 FA27 FA30 HB11 4H011 AA02 BA01 BB18 BC18 DA01 DC11 4H020 BA36

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス層をもつ基体と抗菌金属を含む抗菌
    処理剤とを用意し、該ガラス層に該抗菌処理剤を接触さ
    せることにより、該ガラス層中のアルカリ金属イオン又
    はアルカリ土類金属イオンを該抗菌金属のイオンにイオ
    ン交換して該ガラス層の少なくとも表面側を抗菌処理す
    る抗菌処理工程と、 該ガラス層の表面を撥水処理する撥水処理工程と、を有
    することを特徴とするガラス層をもつ基体の防汚処理方
    法。
  2. 【請求項2】抗菌処理工程は、抗菌処理剤からなる抗菌
    処理層を形成する抗菌処理層形成工程と、 余分な該抗菌処理層を除去する抗菌処理層除去工程と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のガラス層をも
    つ基体の防汚処理方法。
  3. 【請求項3】ガラス層及び/又は抗菌処理剤を処理温度
    と同等の温度にして抗菌処理層形成工程を行うことを特
    徴とする請求項2記載のガラス層をもつ基体の防汚処理
    方法。
  4. 【請求項4】抗菌処理剤は抗菌金属の微粉末を含む粉末
    状であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のガ
    ラス層をもつ基体の防汚処理方法。
  5. 【請求項5】抗菌処理剤は抗菌金属と溶媒とを含む抗菌
    処理液であることを特徴とする請求項1、2又は3記載
    のガラス層をもつ基体の防汚処理方法。
  6. 【請求項6】抗菌処理液は抗菌金属をイオンで溶解させ
    た溶液であることを特徴とする請求項5記載のガラス層
    をもつ基体の防汚処理方法。
  7. 【請求項7】抗菌処理層形成工程では、未乾燥の抗菌処
    理層を形成することを特徴とする請求項5又は6記載の
    ガラス層をもつ基体の防汚処理方法。
  8. 【請求項8】抗菌処理層形成工程を溶媒の沸点未満の温
    度で行うことを特徴とする請求項7記載のガラス層をも
    つ基体の防汚処理方法
  9. 【請求項9】抗菌処理層除去工程後、ガラス層のガラス
    転移点未満の温度で該ガラス層を加熱し、該ガラス層中
    に取り込んだ該抗菌金属を該ガラス層中に浸透させる浸
    透工程を有することを特徴とする請求項2、3、4、
    5、6、7又は8記載のガラス層をもつ基体の防汚処理
    方法。
  10. 【請求項10】撥水処理工程は、ガラス層の表面に存在
    する水酸基と脱水反応又は脱水素反応により結合するケ
    イ素含有官能基を有する撥水処理液からなる被膜を形成
    することにより行うことを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8又は9記載のガラス層をもつ基
    体の防汚処理方法。
  11. 【請求項11】撥水処理液は、ケイ素含有官能基同士で
    は結合していないことを特徴とする請求項10記載のガ
    ラス層をもつ基体の防汚処理方法。
  12. 【請求項12】撥水処理液は、ケイ素含有官能基と結合
    した末端のフッ化炭素基を有することを特徴とする請求
    項10又は11記載のガラス層をもつ基体の防汚処理方
    法。
  13. 【請求項13】フッ化炭素基は−Cn2n+1(nは1≦
    n≦12の自然数)であることを特徴とする請求項12
    記載のガラス層をもつ基体の防汚処理方法。
  14. 【請求項14】撥水処理液は第1剤と第2剤とを混合し
    たものであり、該第1剤はパーフロロアルキル基含有有
    機ケイ素化合物と加水分解性基含有メチルポリシロキサ
    ン化合物との親水性溶媒中での共加水分解物であり、該
    第2剤はオルガノポリシロキサンと強酸との混合物であ
    ることを特徴とする請求項13記載のガラス層をもつ基
    体の防汚処理方法。
  15. 【請求項15】基体は、ガラス製品、セラミックス製品
    又はホウロウ製品であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
    13又は14記載のガラス層をもつ基体の防汚処理方
    法。
  16. 【請求項16】ガラス層をもつ基体からなり、該ガラス
    層の表面側には、該ガラス層中のアルカリ金属イオン又
    はアルカリ土類金属イオンからイオン交換された抗菌金
    属のイオンを高い濃度で含む金属リッチ層と、該金属リ
    ッチ層より上層側で撥水成分を含む撥水層をもつことを
    特徴とするガラス層をもつ製品。
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