JP2001079982A - 成形性・摺動性に優れ、かつ積層時の横滑りやコイル潰れを起こしにくい潤滑処理金属板およびその製造方法 - Google Patents

成形性・摺動性に優れ、かつ積層時の横滑りやコイル潰れを起こしにくい潤滑処理金属板およびその製造方法

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JP2001079982A
JP2001079982A JP25573699A JP25573699A JP2001079982A JP 2001079982 A JP2001079982 A JP 2001079982A JP 25573699 A JP25573699 A JP 25573699A JP 25573699 A JP25573699 A JP 25573699A JP 2001079982 A JP2001079982 A JP 2001079982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形加工時の摺動性や保管時の横滑り、コイル
潰れ、巻き緩み等の問題が無く、6価クロムの溶出が少
ないか含有しない金属板とその製造方法の提供。 【解決手段】バインダーとなる樹脂 (a)、主成分元素と
して炭素を含有する潤滑剤粒子(b) 、および酸化物添加
剤(c)からなる混合皮膜を有する潤滑性金属板におい
て、混合皮膜の潤滑剤粒子直上でのC−Kα X線強度
(CW )およびO−Kα X線強度(OW )、潤滑剤粒
子から離れた周辺のバインダー樹脂上でのC−Kα X
線強度(CR )およびO−Kα X線強度(OR )の間
に、下式(A)(B)の関係がある潤滑処理金属板。 (CW /OW ) < 6.0
(A) (CW /OW ) < (CR /OR ) + 5.0
(B)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電・建材・自動
車等の用途に広く適用可能であって、成形性・摺動性に
優れながらも、積層時の横滑りやコイル潰れといった問
題を起こしにくく、かつ環境負荷物質である6価クロム
の溶出が少ない、もしくは6価クロムを含有しない潤滑
処理金属板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家電・建材製品や自動車部材用の金属
板、例えば鋼板、各種めっき鋼板、ステンレス板、アル
ミ板、チタン板等においては、多くの場合、何らかの加
工、例えば曲げ加工、プレス成形、ロールフォーミング
等をうけたのちに製品となるが、加工時にかじりが起こ
って金属表面が損傷・脱落したり、より厳しい加工にお
いては摺動性不足から母材に割れが起こって成形できな
い場合すらある。この問題を解決するために、1)成形
時に潤滑液(プレス油、速乾油、フォーミング液等)を
金属板に塗布しつつ成形する 2)金属板の表面処理層
として摺動性に優れた皮膜を設ける の2通りの対策が
とられている。これらは併用されることもあるが、2)
の対策を主体とし、1)の対策を省略するか簡略化する
ことが、素材組み立てメーカーにおける作業性の改善や
地球環境保護の観点からは望ましい。
【0003】プレス油省略可能な金属表面処理として
は、クロメート皮膜の上層に、潤滑剤を添加した樹脂層
を第2層として設ける方法が一般的であり、例えば、特
開平6−57441号公報、特開平6−145559号
公報、特開平7−34260号公報、特開平8−267
003号公報などが例示できる。具体的な皮膜構成とし
ては、クロメート皮膜として電解型、反応型、塗布型の
いずれかのクロメート、樹脂として水分散性もしくは溶
剤型のウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂等、潤滑剤としてポリエチレンワック
ス、テフロン、パラフィンワックス等を用いるのが代表
的である。また、同様の2層構造ではあるが、皮膜の導
電性を向上させるため、静電塗布により上層有機膜を不
連続膜とした特開平1−130762号公報のような例
もある。
【0004】一方、金属板上に1工程で潤滑性を有する
クロメート皮膜を形成させる技術も開示されており、特
開平7−216555号公報、特開平8−176845
号公報、特開平8−333688号公報、特開平9−1
57893号公報、特開平9−291370号公報など
が例示できる。これらは、潤滑剤表面を界面活性剤やコ
ロイダルシリカで修飾したり、アクリルモノマーと共重
合させるなどの方法で安定化させたのちクロム酸浴中に
分散させ、塗布もしくは電解により、金属板上に1工程
で潤滑性を有するクロメート皮膜を成膜させるもので、
潤滑剤以外に樹脂成分を含有するタイプとしないタイプ
とがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術には課題がある。クロメート皮膜の上層に、
潤滑剤を添加した樹脂層を第2層として設ける方法は、
確かに良好な潤滑性を発揮させることができるが、潤滑
性が良好なゆえに、切板で積層すると横滑りが起こりや
すく危険であること、コイル状態でもコイルが潰れた
り、巻き緩みが生じやすく輸送時、保管時に注意が必要
であることなど、製造後のハンドリング性に改善の余地
がある。
【0006】一方、金属板上に1工程で潤滑性を有する
クロメート皮膜を形成させる方法は、コスト的には2層
処理よりも有利ではあるが、特開平9−291370号
公報に述べられているように、やはり切板積層での横滑
りを防ぐためには、動摩擦係数を臨界値(該公報では0.
12)以上にしなければならないという制約がある。さら
に近年になって、環境問題に対する意識の高まりから、
6価クロムの溶出が多い素材の使用が制限される動きに
ある中、特開平7−216555号公報、特開平8−1
76845号公報、特開平9−157893号公報に見
られるような、クロム酸化合物と潤滑剤のみからなる皮
膜構成では、到底クロムの溶出を高度に抑制することは
できず、例えば特開平7−216555号公報ではクロ
メート中アルカリ不溶分が70%しかなく、特開平9−
157893号公報でも沸騰水浸漬でのクロム固定率は
高々80%である。このように可溶性成分の多いクロメ
ート皮膜を有する金属板は、例えばロールフォーミング
加工の際に、フォーミング液中に6価クロムが溶出し、
液寿命を短縮させるといった工業的な課題も内在してい
る。
【0007】本発明は、家電・建材・自動車等の用途に
広く適用可能であって、成形性・摺動性に優れながら
も、積層時の横滑りやコイル潰れといった問題を起こし
にくく、かつ環境負荷物質である6価クロムの溶出が少
ない、もしくは6価クロムを含有しない潤滑処理金属
板、および上記金属板を得る方法を提供することであ
る。
【0008】本発明者らは、従来の公知例がいずれも、
潤滑性や成形性を向上させる観点のみから開発されてき
たものであり、製造後のハンドリング性向上に関する明
確な指針が見られないことに気づいた。例えば特開平9
−157893号公報や特開平4−44840号公報に
記述があるように、1段処理皮膜、2段処理皮膜を問わ
ず、摺動性を向上させるために潤滑剤の粒子を皮膜から
大きく突出させるべきであって、皮膜により潤滑剤がカ
バーされては潤滑性能が劣ると考えられてきた。これに
対して発明者らは、むしろ酸化物添加剤や樹脂により潤
滑剤表面がある程度以上被覆された皮膜構造とすること
により、静摩擦係数が一定以上に大きく保たれるため、
製造後のハンドリング性が損なわれず、しかも成形・加
工時にはこの被覆が破れて潤滑剤が効果を発揮するよう
に設計することにより、上記課題を解決できることに思
い至った。
【0009】このような構造を有する潤滑皮膜は、潤滑
剤の粒子を皮膜から大きく突出した公知の潤滑皮膜の上
に、潤滑剤粒子を含まない皮膜を適量上塗りすれば得る
ことが出来るが、2工程処理となって経済的ではない。
そこで鋭意検討を行った結果、潤滑剤粒子の表面に、樹
脂や酸化物添加剤との混合時に反応してこれらと会合体
を形成可能な酸性分散剤をあらかじめ被覆しておき、か
つ、該潤滑剤粒子と樹脂、酸化物添加剤との混合物を所
定の条件で加温、攪拌したのち金属板上に塗布、乾燥す
ることにより、潤滑剤粒子表面が樹脂や酸化物添加剤に
よってある程度被覆されたまま成膜がなされ、結果とし
て所望の皮膜構造を1工程処理により形成できることを
見出した。
【0010】さらに、こうしてできた潤滑皮膜が所定の
性能を発現するためには、塗布・乾燥後の潤滑皮膜にお
いて、潤滑剤粒子の近傍に存在する酸化物添加剤の量
が、潤滑剤粒子から離れた周辺皮膜に存在する酸化物添
加剤の量に対して、ある特定の関係にあるべきこと、こ
の関係は潤滑皮膜表面のエネルギー分散型X線分析(E
DX)による点分析により定量的に規定されることを見
出した。
【0011】6価クロムの溶出抑制については、i )塗
布クロメート中に還元性樹脂を添加する方法、 ii )電
解型クロメートを適用する方法、 iii)非クロム処理を
適用する方法により解決した。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の(1)
〜(6)より成る。 (1)バインダーとなる樹脂 (a)、主成分元素として炭
素を含有する潤滑剤粒子(b) 、および酸化物添加剤(c)
からなる混合皮膜(R)を金属板の片面もしくは両面に
有する潤滑性金属板において、混合皮膜(R)の潤滑剤
粒子直上でのC−Kα X線強度(CW )およびO−K
α X線強度(OW )、潤滑剤粒子から離れた周辺のバ
インダー樹脂上でのC−Kα X線強度(CR )および
O−KαX線強度(OR )の間に、下式(A)(B)の
関係があることを特徴とする成形性・摺動性に優れ、か
つ積層時の横滑りやコイル潰れを起こしにくい潤滑処理
金属板 (CW /OW ) < 6.0 (A) (CW /OW ) < (CR /OR ) + 5.0 (B) (2)前記(1)の潤滑処理金属板であって、かつ、酸
化物添加剤として水溶性クロム化合物 (c-1)および鉱酸
化合物 (c-2)を含有する混合皮膜(R)を片面あたり膜
厚0.3〜8ミクロン有することを特徴とする潤滑樹脂ク
ロメート処理金属板 (3)前記(1)の潤滑処理金属板であって、かつ、酸
化物添加剤としてシリカ(c-3)を含有する膜厚0.3〜8
ミクロン(片面あたり)の混合皮膜(R)を上層に、Cr
付着量5〜50mg/m2(片面あたり)の電解クロメート皮膜
を下層に有することを特徴とする二層型潤滑処理金属板 (4)前記(1)の潤滑処理金属板であって、かつ、酸
化物添加剤としてシリカ(c-3) を含有し、さらに非クロ
ム系防錆インヒビター(d) を含有する混合皮膜(R)を
片面あたり膜厚0.3〜8ミクロン有することを特徴とす
る非クロム系潤滑処理金属板 (5)前記(1)の潤滑処理金属板であって、かつ、酸
化物添加剤としてシリカ(c-3)を含有する膜厚0.3〜8
ミクロン(片面あたり)の混合皮膜(R)を上層に、膜
厚0.1〜1ミクロン(片面あたり)の非クロム系下地処
理皮膜を下層に有することを特徴とする二層型非クロム
系潤滑処理金属板 (6)バインダーとなる樹脂 (a)および酸化物添加剤
(c)と反応して会合体を形成可能な酸性分散剤(e) を、
潤滑剤粒子(b) の表面にあらかじめ被覆しておき、か
つ、該潤滑剤(b) と、(a) および(c)との混合物を液温
40℃以上で1時間以上攪拌したのち、金属板上に塗布
し、乾燥することを特徴とする、前記(1)の成形性・
摺動性に優れ、かつ積層時の横滑りやコイル潰れを起こ
しにくい潤滑処理金属板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。まず、
前記(1)は、潤滑皮膜が成形性・摺動性に優れ、かつ
積層時の横滑りやコイル潰れを起こしにくいための皮膜
構造上の要件を定量的に規定したものであり、本発明の
根幹をなすものである。本発明の潤滑皮膜は、バインダ
ーとなる樹脂(a) 、主成分元素として炭素を含有する潤
滑剤粒子(b) 、および酸化物添加剤(c)からなる混合皮
膜(R)であって、かつ、混合皮膜(R)の表面を電子
線励起のエネルギー分散型X線分光法(EDX)により
点分析すると、潤滑剤粒子直上でのC−Kα X線強度
(CW )とO−Kα X線強度(OW )、潤滑剤粒子か
ら離れた周辺のバインダー樹脂上でのC−Kα X線強
度(CR )とO−Kα X線強度(OR )の間に、
(A)(B)の関係を有することを特徴とする。なお、
ここでいう強度とはいずれもKα X線の絶対強度(cp
s) を意味する。図3に実際のEDXスペクトルの例を
示す。
【0014】式(A)(B)で規定する内容につき以下
に詳述する。図1は、潤滑皮膜の断面図および平面図
(いずれも模式図)である。潤滑剤粒子直上とは、ここ
で言うpの位置、潤滑剤粒子から離れた周辺のバインダ
ー樹脂上とはqの位置に相当する。
【0015】実際の測定に用いた分析装置は、日立製走
査電子顕微鏡S-2460N形、およびそれに付加された堀場
製作所製エネルギー分散形X線分析装置EMAX-5770Xであ
る。点分析を行った際の真空度は1Pa以下、電子線ビー
ム電流は0.18nA、加速電圧は20kVであった。この際にサ
ンプルに当たる電子ビームの大きさ(すなわち電子線像
の空間分解能)は、電子線像が倍率1万倍でも明瞭な輪
郭で得られることや、水平敏知著「分析電子顕微鏡」
(昭和53年、日本メディカルセンター発行)のp4
2、図34なども参照すると、おおよそ100 〜1000オン
グストロームである。このときにサンプルから照射され
るX線の照射範囲(すなわちEDX分析の空間分解能)
は、モンテカルロ法による計算例として引用されている
上記文献のp20、図13などを参照すると、1〜3μ
m 程度と思われる。したがって、潤滑剤粒子としてこの
オーダーもしくはそれ以上の粒子径をもつものを測定す
る限りにおいては、本発明の図1におけるp点、q点の
識別は十分可能であり、p点における点分析データに周
辺皮膜の皮膜組成に関する情報が大幅に混入する恐れは
無い。
【0016】また、電子顕微鏡により潤滑剤粒子の位置
を確認する方法であるが、多くの場合、混合皮膜(R)
中の潤滑剤粒子はその形態を電子顕微鏡により直接確認
できる。また、確認が困難な場合には、粒子径に見合っ
た適切な倍率の視野で、EDXによる面分析を行い、炭
素が粒子状に分布している位置をもって潤滑剤であるこ
とを確認できる。
【0017】以上の方法により、実際のEDXによる点
分析においても、図1の模式図通り、潤滑剤粒子直上
(p)および周辺皮膜上(q)での点分析を行うことが
できる。なお、測定はバラツキを考慮して、最低でも
p、q 各々10点は行うべきである。
【0018】次に、図2を用いて式(A)、(B)の物
理的意味合いを説明する。図は横軸にCR /OR 、縦軸
にCW /OW をとったグラフで、本発明の実施例および
比較例のグラフ上の位置を示してある。横軸のCR /O
R は、潤滑皮膜中におけるバインダー樹脂と酸化物添加
剤の混合割合に対応して変化する。一方、縦軸のCW
W は、潤滑剤粒子が酸化物添加剤やバインダー樹脂に
よりどの程度被覆されているかを現す指標と考えられ、
W /OW が大きいほど、潤滑剤粒子の「露出度」が高
いと言える。
【0019】また、図中、原点を通り傾きが1の直線を
示しているが、これは潤滑剤粒子直上と、潤滑剤粒子か
ら離れた周辺のバインダー樹脂上とで、C/Oの比率が
同一である場合を表わす。潤滑剤粒子の主成分が炭素で
あって、かつバインダー樹脂中に酸化物添加剤が相当量
入っている場合には、常にこの直線よりも上側にプロッ
トされる。また、プロットがこの直線から左上に離れれ
ば離れるほど、潤滑剤粒子の「露出度」が高いことにな
る。
【0020】本発明の要件は、潤滑剤粒子をバインダー
樹脂や酸化物添加剤により被覆することにあるが、これ
は上記の「露出度」に上限を設定することにより達せら
れる。これが(A)式、(B)式の物理的意味合いであ
り、図中、2本の点線より下の領域(かつ、実質的には
原点を通り傾きが1の直線より上の領域)が本発明の範
囲である。(A)式、(B)式を満足しないと、潤滑剤
粒子の「露出度」が高くなり、ハンドリング性に劣る。
上記のように種々の試験を行い下記の(A)、(B)式
を本発明者らは見出した。 (CW /OW ) < 6.0 (A) (CW /OW ) < (CR /OR ) + 5.0 (B)
【0021】前記(2)〜(5)は、前記(1)記載の
特徴を有する潤滑処理金属板の具体例である。まず
(2)は、酸化物添加剤として水溶性クロム化合物と鉱
酸化合物を含有し、1工程で塗布・乾燥を行う、いわゆ
る樹脂クロメート処理金属板である。樹脂を添加するこ
とにより、6価クロムの溶出を低減することができる。
樹脂中に還元性の官能基、たとえば水酸基、グリシジル
基などを含有させると、6価クロム溶出の低減効果はさ
らに向上する。また、皮膜中にさらにシリカを含有させ
ても良い。膜厚が0.3ミクロン未満では均一膜が得られ
ず、性能が安定しない。膜厚が8ミクロン超では効果が
飽和する。
【0022】上記(3)は、下地処理としての電解クロ
メート処理層を介して、前記(1)の潤滑皮膜を有する
例である。クロメートとして電解クロメートを用いたこ
とにより6価クロムの溶出を抑制できる。Cr付着量が5m
g/m2未満では下地金属が均一に被覆されず、50mg/m2
では、凝集力に劣って下地との密着性が低下する。潤滑
皮膜中の酸化物添加剤としてシリカを必須成分とするの
は耐食性確保のためである。膜厚が0.3ミクロン未満で
は均一膜が得られず、膜厚が8ミクロン超では効果が飽
和する。
【0023】上記(4)は、酸化物添加剤としてシリカ
を含有し、さらに非クロム系防錆剤も含有し、1工程で
塗布・乾燥を行う、いわゆるノンクロメート処理金属板
である。膜厚が0.3ミクロン未満では均一膜が得られ
ず、膜厚が8ミクロン超では効果が飽和する。
【0024】上記(5)は、下地処理としてのノンクロ
メート処理層を介して、前記(1)の潤滑皮膜を有する
例である。ノンクロメート処理層の膜厚が0.1 ミクロン
未満では連続膜が得られず、1ミクロン超では、凝集力
に劣って下地との密着性が低下する。潤滑皮膜中の酸化
物添加剤としてシリカを必須成分とするのは耐食性確保
のためである。さらに、非クロム系防錆剤を含有しても
良い。膜厚が0.3ミクロン未満では均一膜が得られず、
膜厚が8ミクロン超では効果が飽和する。
【0025】なお、上記(2)、(4)の二工程処理の
場合には、下地処理層中にも酸化物が含有される場合が
あるが、(A)、(B)式はこれらをも含んだものとし
て、そのまま適用できる。
【0026】また、処理皮膜の膜厚は、処理板断面の電
子顕微鏡観察により決定した。断面観察のためのサンプ
ル作成は、樹脂にサンプルを埋め込んで断面を研磨する
方法、液体窒素で冷却したサンプルを折り曲げて直接断
面を観察する方法、ミクロトームによりサンプルをスラ
イスして直接断面を観察する方法などがある。いずれの
方法も適用可能であるが、埋め込み・研磨法では研磨時
に処理皮膜が存在する金属板表面近傍がダレないように
することが膜厚精度上重要である。また、冷却/折り曲
げ法では、折り曲げ時の皮膜の剥離や伸びに注意が必要
である。ミクロトーム法でもスライス後、電子顕微鏡観
察までの間に皮膜が剥離する場合が有る。従って、いず
れの方法においても、十分な数のサンプル観察が必要で
あり、ここでは最低5サンプル、各々、明らかな剥離部
分をはずしてランダムに選んだ10視野以上の観察結果
の平均値を求めた。1視野の測定長さは、皮膜厚の10
倍程度とすることが好ましい。
【0027】上記(6)は、上記(1)の潤滑処理金属
板を一工程で製造する方法の例である。潤滑剤粒子(b)
の表面を酸性分散剤(e) により物理的もしくは化学的に
被覆することにより、樹脂(a) および酸化物添加剤 (c)
と反応して会合体を形成し、潤滑剤粒子の表面が被覆さ
れた構造のまま、混合皮膜(R)として成膜されるた
め、前記(1)の要件を満足する潤滑皮膜が得られる。
(a) 、(b) 、(c) の混合後の液温が40℃未満、攪拌時
間が1時間未満では、会合体の形成が十分に行われな
い。
【0028】つぎに、本発明に使用可能な原料について
以下に述べる。バインダーとなる樹脂(a) は水溶性もし
くは水分散性であれば種類については特に限定しない
が、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、フルオロカーボン系樹脂等、あるいはこれらの混合
物や共重合物が使用可能である。水分散性樹脂を用いる
場合、その粒子径は望む膜厚に比べて小さく、かつ浴中
で容易に凝集しない程度に大きければ良いが、通常50
〜300nm程度である。である。
【0029】潤滑剤粒子(b) としては、主成分として炭
素を含有する有機潤滑剤、例えばポリエチレンワック
ス、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マ
イクロワックス、酸化ポリオレフィンワックス、ステア
リン酸カルシウムなどの有機潤滑剤が使用可能である。
潤滑剤の粒径は特に制限は無いが、膜厚範囲や潤滑材粒
子の皮膜からの露出しやすさとも考え合わせると、0.5
〜10ミクロンである。
【0030】酸化物添加剤として前記(2)で使用可能
な水溶性クロム化合物(c-1) には、無水クロム酸、
(重)クロム酸カリウム、(重)クロム酸ナトリウム、
(重)クロム酸アンモニウム、クロム酸バリウム、クロ
ム酸ストロンチウムなどのクロム酸、クロム酸塩、重ク
ロム酸塩、または/および、これらを出発物質としてデ
ンプン、アルコール、過酸化水素等で部分還元した還元
クロム酸、さらにはりん酸クロム等の3価クロムが含ま
れる。また、鉱酸化合物(c-2) としては、りん酸、硝
酸、硫酸、塩酸とこれらの塩などが使用可能であるが、
耐食性、浴中安定性の観点からは、りん酸もしくは硝酸
が好ましい。
【0031】酸化物添加剤として前記(3)〜(5)で
使用可能なシリカ(c-3) としては、コロイダルシリカが
ある。このうち湿式シリカ(水性シリカ)が特に好まし
いが、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)でもよい。平均
粒子径としては、5〜100nmの範囲のものが使用できる
が、好ましくは10〜50nmである。これら以外に使用可能
な酸化物添加剤としては、例えばアルミナ、チタニア、
ジルコニア等の無機系ゾルがある。
【0032】非クロム系防錆インヒビター(d) として
は、タンニン酸、フィチン酸などの多価フェノール類、
含窒素化合物、含硫黄化合物、モリブデン酸、タングス
テン酸、りん酸化合物、ケイ酸化合物などが使用でき
る。なお、前記(5)で使用する非クロム系下地処理と
しては、これらの防錆インヒビターそのもの、もしくは
これらの防錆インヒビターを含有する前記(4)の非ク
ロム系皮膜、あるいは前記(4)から潤滑剤を除いた皮
膜のいずれも使用可能である。
【0033】上記(6)において潤滑剤粒子(b) の表面
を被覆する酸性分散剤(e) としては、スルフォン酸基含
有高分子化合物、およびりん酸基含有高分子化合物が特
に有効である。これらは、できれば潤滑剤粒子の表面に
共有結合させるのが好ましいが、通常の界面活性剤のよ
うに物理吸着させても所定の効果は得られる。一方、高
級アルコール系界面活性剤、ポリアルキレングリコール
系界面活性剤、アルキルフェノール系界面活性剤、アル
キルベンゼンスルフォン酸塩、セルロース、ポリアルキ
レングリコール系界面活性剤、ポリビニルアルコール、
脂肪酸石鹸、シリカ、などについても同様に試したが、
本発明に規定する皮膜構造は得られなかった。これは、
これらの分散剤が樹脂との会合体形成能力が弱いためと
考えられる。また、単にりん酸を含む水溶液に潤滑剤を
浸漬するだけでも不十分であった。さらに、潤滑剤表面
をカルボキシル化したものについても試したが、やはり
本発明の皮膜構造は得られなかった。
【0034】金属表面への潤滑皮膜の形成方法は特に限
定するものではなく、ロールコーターによる塗布、スプ
レー塗布+リンガーロール絞り、スプレー塗布+エアナ
イフ絞り、バーコーターによる塗布、刷毛塗りなど通常
の方法が使用可能である。また、塗布後の乾燥について
も、熱風乾燥、直火炉での乾燥、誘導加熱による乾燥な
ど、通常の方法が適用できる。乾燥後に水冷・水洗を行
う場合には、水浴中への浸漬、シャワーによる水洗、ミ
ストによる水冷などが適用可能である、水冷・水洗後の
乾燥は、水が除去できれば良く、リンガーロール絞り+
エアブローなどの方法で十分である。
【0035】本発明が適用可能な金属としては、熱延鋼
板、冷延鋼板、珪素鋼板、および電気めっき、溶融めっ
き、蒸着めっき、無電解めっき、溶融塩電解めっき等の
方法により作成された各種めっき鋼板があげられる。た
とえば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛とニッケル、鉄、アルミ
ニウム、クロム、チタン、マグネシウム、マンガン、コ
バルトなどの1種または2種以上の金属との合金めっき
鋼板、アルミニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼
板、鉛または鉛合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき
鋼板、さらにこれらのめっき層に他の金属または/およ
びシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機
物、または/および有機化合物を意図的に含有させた、
もしくは不純物として含有するめっき鋼板、さらには、
上述の2種類以上のめっきを複層有するめっき鋼板など
がある。さらには亜鉛または亜鉛合金板、アルミニウム
またはアルミニウム合金板、マグネシウムまたはマグネ
シウム合金板、チタンまたはチタン合金板、ステンレス
板などがある。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例を用いて非限定的に説
明する。 実施例1 (1)供試した金属板 以下の2種類の亜鉛めっき鋼板を用いた。 GI(溶融亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片
面あたり60g/m2の溶融亜鉛めっきを施した鋼板 EG(電気亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼板に片
面あたり20g/m2の亜鉛めっきを電析させた鋼板
【0037】(2)バインダー樹脂 下記の3種類を用いた。 アクリル樹脂−A:アクリル酸エステル/アクリル酸共
重合体のエマルジョン樹脂、平均粒径120nm 、Tg=20℃ アクリル樹脂−B:エチレン/アクリル酸共重合体のエ
マルジョン樹脂、平均粒径170nm 、Tg=50℃ ウレタン樹脂 :ポリカーボネート系ウレタン樹脂エ
マルジョン平均粒径170nm 、Tg=80℃
【0038】(3)潤滑剤 下記の4種類のポリエチレンワックスを用いた。 ポリエチレン−1:スルフォン酸基含有高分子化合物で
表面被覆したもの、mp130 ℃、平均粒径1.0 μm ポリエチレン−2:アルキルフェノール系界面活性剤で
表面被覆したもの、mp130 ℃、平均粒径2.5 μm ポリエチレン−3:りん酸基含有高分子化合物で表面被
覆したもの、mp130 ℃、平均粒径1.7 μm ポリエチレン−4:表面にカルボキシル基を導入したも
の、mp130 ℃、平均粒径1.0 μm
【0039】(4)表面処理方法 請求項2〜5に相当する4種類の表面処理を以下のよう
にして行った。 (4−1) 皮膜タイプ2(請求項2に相当) アクリル樹脂(A)、ポリエチレンワックス(1または
4)、部分還元クロム酸(還元率50%)、およびりん酸
を混合した下記組成の処理液を作成し、液温40℃で1
時間以上攪拌した。これをロールコーターで供試板両面
に塗布し、熱風乾燥炉で到達板温50℃となるよう乾燥し
た。膜厚は0.7 μmとし、処理板断面の電子顕微鏡観察
により確認した。 処理液1(表1、番号1〜4の実施例に使用) アクリル樹脂−A :150 g/l (固形分換算) ポリエチレンワックス−1:添加量を変化 部分還元クロム酸 :30 g/l(CrO 3 換算) りん酸 :60 g/l(純分換算) コロイダルシリカ :70 g/l(SiO 2 換算) 処理液2(表1、番号14〜15の比較例に使用) アクリル樹脂−A :150 g/l (固形分換算) ポリエチレンワックス−4:添加量を変化 部分還元クロム酸 :10 g/l(CrO 3 換算) りん酸 :30 g/l(純分換算) コロイダルシリカ :30 g/l(SiO 2 換算) (4−2) 皮膜タイプ3(請求項3に相当) 供試板の両面に電解によりクロメート皮膜を金属Cr換算
で20mg/m2 付着させた。つぎに、下記のいずれかの処理
液を液温40℃で1時間以上攪拌したのち、ロールコー
ターで供試板の両面に塗布し、乾燥板温130 ℃で乾燥し
た。乾燥後の皮膜厚さは1.5 μmとし、処理板断面の電
子顕微鏡観察により確認した。 処理液3(表1、番号5〜7の比較例に使用) アクリル樹脂−B :150 g/l (固形分換算) ポリエチレンワックス−2:添加量を変化 コロイダルシリカ :40 g/l(SiO 2 換算) 処理液4(表1、番号8〜9の実施例に使用) アクリル樹脂−B :150 g/l (固形分換算) ポリエチレンワックス−3:添加量を変化 コロイダルシリカ :50 g/l(SiO 2 換算) (4−3) 皮膜タイプ4(請求項4に相当) 下記組成の処理液を作成し、液温40℃で1時間以上攪
拌した。これをロールコーターで供試板両面に塗布し、
熱風乾燥炉で到達板温100 ℃となるよう乾燥した。膜厚
は1.8 μmとし、処理板断面の電子顕微鏡観察により決
定した。 処理液5(表1、番号10〜11の実施例に使用) ウレタン樹脂 :150 g/l (固形分換算) ポリエチレンワックス−3:添加量を変化 コロイダルシリカ :40 g/l(SiO 2 換算) タンニン酸 :40 g/l (純分換算) 処理液6(表1、番号16の比較例に使用) アクリル樹脂−B :150 g/l (固形分換算) ポリエチレンワックス−4:添加量を変化 コロイダルシリカ :20 g/l(SiO 2 換算) フィチン酸 :40 g/l (純分換算) (4−4) 皮膜タイプ5(請求項5に相当) 供試板の両面に、上記の処理液5からポリエチレンワッ
クス−3を除いたものを、乾燥後の皮膜厚さが0.5 μm
となるようにロールコーターで塗布し、乾燥板温100 ℃
で乾燥した。つづいて、この上に、上記の処理液4を、
乾燥後の皮膜厚さが1.5 μmとなるようにロールコータ
ーで塗布し、乾燥板温100 ℃で乾燥した。乾燥後の皮膜
厚さは、処理板断面の電子顕微鏡観察により確認した。
【0040】(5)表面分析 分析装置としては、日立製走査電子顕微鏡S-2460N 形、
およびそれに付加された堀場製作所製エネルギー分散形
X線分析装置EMAX-5770Xを用いた。点分析を行った際の
真空度は1Pa以下、電子線ビーム電流は0.18nA、加速電
圧は20kVであった。潤滑剤粒子の位置確認については、
多くの場合、潤滑剤粒子の形態を電子顕微鏡により直接
観察できたが、念のためEDXによる面分析を行い、炭
素が粒子状に分布している位置をもって潤滑剤であるこ
とを確認した。測定は潤滑剤粒子直上(p)および周辺
皮膜上(q)で各々10点行い、それぞれのEDXスペ
クトルからCW /OW 、CR /OR の値を求め、10点
の平均値を採用した。
【0041】(6)性能評価 (6−1)成形性 供試材に防錆油(パーカー興産、Nox Rust 550)を塗油
したのち、以下の条件でビード付き円筒絞り試験を行
い、成形高さを調べた。 ポンチ径 50.0mm(肩9mmR)、ダイス径 68mm(肩1mmR) ブランク径130mm 、しわ押さえ圧2ton ビード形状 凸型 高さ3.2mm 、90mmΦ 凹型 高さ5.
0mm ◎:成形高さ40mm(絞り抜け) ○:35mm ≦ 成形高さ < 40mm △:25mm ≦ 成形高さ < 35mm ×:成形高さ < 25mm (6−2)横滑り性 供試材を 300mm× 300mmに切り出し、これを30枚重ねて
台車に乗せ、速度30m/min で台車を押したのち急停止さ
せたときの荷崩れの状態から以下のように評価した。 ◎:荷崩れが全く起こらない ○:横滑りにより荷崩れした板が5枚以内 △:横滑りにより荷崩れした板が6枚以上、15枚以内 ×:横滑りにより荷崩れした板が15枚以上 (6−3)Cr溶出性 供試材のCr付着量を蛍光X線で測定したのち、沸騰水中
に30分間浸漬し、再び蛍光X線で残存Cr量を測定するこ
とにより、沸騰水浸漬によるCr溶出率(減少率)を下式
により求めた。 Cr溶出率=100 ×(沸水浸漬によるCr溶出量)/(初期
のCr付着量) なお、皮膜タイプ4、5はクロムを含有しないため、ク
ロム溶出率は0%である。 ◎: Cr 溶出率=0% ○:0% < Cr 溶出率 ≦ 5% △:5% < Cr 溶出率 ≦ 10% ×:10% < Cr 溶出率 結果を表1に示す。前述の(A) 式、(B) 式を満たす本発
明の潤滑処理金属板は、成形性に優れるうえに、積層板
の横滑りが起こり難く、ハンドリング性にも優れてい
る。またCrの溶出がきわめて少ないもしくはゼロであ
る。一方、比較例は、成形性、Cr溶出性には優れるもの
の、横滑りが起こりやすくハンドリング性に劣る。
【0042】実施例2 (1)供試した金属板 実施例1のEG、GIと下記のGAを用いた。 GA(合金化溶融亜鉛めっき鋼板):板厚0.8mm の軟鋼
板に片面あたり45g/m2の溶融亜鉛めっきを施したのちこ
れを加熱、合金化した鋼板 (2)表面処理方法 表2、番号17〜20については、実施例1の処理液1
を用いて、また、番号21〜23については、処理液5
を用いて、実施例1と同様に処理した。ただし、表2に
示すように、潤滑皮膜の付着量を変化させた。表面分
析、性能評価は実施例1と同様に行った。結果を表2に
示す。
【0043】実施例3 (1)供試した金属板 EG、GIを用いた。 (2)表面処理方法 表3、番号24〜26については、実施例1の番号8
と、また、番号27〜29については、実施例1の番号
12と同様に処理した。ただし、下層皮膜の付着量を変
化させた。結果を表3に示す。
【0044】実施例4 (1)供試した金属板 EG、GIを用いた。 (2)表面処理方法 表4、番号30〜32については、実施例1の番号1と
同様に行い、表4、番号33〜35については、実施例
10と同様に行った。ただし、処理浴の攪拌条件(温
度、時間)を変化させた。結果を表4に示す。処理浴の
攪拌は、浴温40℃以上で1時間以上行う必要があるこ
とがわかる。
【0045】
【発明の効果】本発明により、成形性・摺動性に優れな
がらも、積層時の横滑りやコイル潰れといった問題を起
こしにくく、かつ環境負荷物質である6価クロムの溶出
が少ない、もしくは6価クロムを含有しない潤滑処理金
属板、および上記金属板を得る方法を提供することがで
きる。したがって、工業的にきわめて価値が高い発明で
あるといえる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の潤滑金属板を説明する模式図で、Aは
潤滑皮膜の断面図、Bは潤滑皮膜の平面図である。
【図2】本発明の物理的意味合いを説明するためのグラ
フである。
【図3】本発明の実施例および比較例を示すEDXによ
るX線分析図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 302 B05D 7/24 302P Fターム(参考) 4D075 CA09 CA33 DA06 DB01 DC01 DC13 DC38 EA37 EB13 EB22 EB38 EC15 EC49 4F100 AA04 AA17B AA17D AA20B AA20D AA20E AA22B AA22C AA22D AA37B AA37D AB01A AB03A AB05 AB18 AK01B AK01D AK04 AK25 AK25J AK51 AL01 AL05B AL05D BA03 BA05 BA08 BA10B BA10D CA14B CA14D DE01B DE01D EA061 EH462 EH71 EJ641 EJ69C EJ69E EJ862 GB07 GB32 GB48 JB09B JB09D JK16 JK16B JK16D JL00 JL01 JL04 JM02B JM02D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダーとなる樹脂 (a)、主成分元素
    として炭素を含有する潤滑剤粒子(b) 、および酸化物添
    加剤(c) からなる混合皮膜(R)を金属板の片面もしく
    は両面に有する潤滑性金属板において、混合皮膜(R)
    の潤滑剤粒子直上でのC−Kα X線強度(CW )およ
    びO−Kα X線強度(OW )、潤滑剤粒子から離れた
    周辺のバインダー樹脂上でのC−Kα X線強度
    (CR )およびO−Kα X線強度(OR )の間に、下
    式(A)(B)の関係があることを特徴とする成形性・
    摺動性に優れ、かつ積層時の横滑りやコイル潰れを起こ
    しにくい潤滑処理金属板。 (CW /OW ) < 6.0 (A) (CW /OW ) < (CR /OR ) + 5.0 (B)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の潤滑処理金属板であっ
    て、かつ、酸化物添加剤として水溶性クロム化合物 (c-
    1)および鉱酸化合物 (c-2)を含有する混合皮膜(R)を
    片面あたり膜厚0.3〜8ミクロン有することを特徴とす
    る潤滑樹脂クロメート処理金属板。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の潤滑処理金属板であっ
    て、かつ、酸化物添加剤としてシリカ (c-3)を含有する
    膜厚0.3〜8ミクロン(片面あたり)の混合皮膜(R)
    を上層に、Cr付着量5〜50mg/m2(片面あたり)の電解ク
    ロメート皮膜を下層に有することを特徴とする二層型潤
    滑処理金属板。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の潤滑処理金属板であっ
    て、かつ、酸化物添加剤としてシリカ(c-3) を含有し、
    さらに非クロム系防錆インヒビター(d) を含有する混合
    皮膜(R)を片面あたり膜厚0.3〜8ミクロン有するこ
    とを特徴とする非クロム系潤滑処理金属板。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の潤滑処理金属板であっ
    て、かつ、酸化物添加剤としてシリカ (c-3)を含有する
    膜厚0.3〜8ミクロン(片面あたり)の混合皮膜(R)
    を上層に、膜厚0.1〜1ミクロン(片面あたり)の非ク
    ロム系下地処理皮膜を下層に有することを特徴とする二
    層型非クロム系潤滑処理金属板。
  6. 【請求項6】 バインダーとなる樹脂 (a)および酸化物
    添加剤(c)の水分散体と反応して会合体を形成可能な酸
    性分散剤(e) を、潤滑剤粒子(b) の表面にあらかじめ被
    覆しておき、かつ、該潤滑剤粒子(b) と、(a) および
    (c)との混合物を液温40℃以上で1時間以上攪拌した
    のち、金属板上に塗布し、乾燥することを特徴とする、
    請求項1〜5記載の成形性・摺動性に優れ、かつ積層時
    の横滑りやコイル潰れを起こしにくい潤滑処理金属板の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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