JP2001079927A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JP2001079927A
JP2001079927A JP25987899A JP25987899A JP2001079927A JP 2001079927 A JP2001079927 A JP 2001079927A JP 25987899 A JP25987899 A JP 25987899A JP 25987899 A JP25987899 A JP 25987899A JP 2001079927 A JP2001079927 A JP 2001079927A
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filter
thermoplastic resin
film
molten
polymer
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JP25987899A
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Fumiyuki Suzuki
文行 鈴木
Toru Ogura
徹 小倉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 フィラーを含むポリエステル樹脂組成物
を、溶融濾過のフィルターでの圧力損失、寿命低下、切
り替え頻度増大によるロス増大、滞留によるゲルやコゲ
等の異物増加、色価の悪化、ポリマー中の異物の除去、
フィルムの貼り付き、巻きしわ、擦り傷の発生をバラン
ス良く抑制して、高品質の写真フィルム用支持体に適す
る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 濾過を放射状に配置された多数の長穴の
側縁から上下方向に板面に対して30度から90度の角
度で折曲された立片部を有する円盤状サポート部材の両
側に濾材層が設けられているフィルターエレメントを用
い、溶融熱可塑性樹脂の押出し量が式(1)を満足するよ
うに行う。 5<V<45 …… (1) (但し、Vは濾過面積1cm2当たり1時間に濾過される
溶融熱可塑性樹脂のg数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィラーを含むポ
リエステルを溶融押出しするポリエステルフィルムを製
造する方法に関するものであり、特に、ハロゲン化銀写
真フィルム支持体に適するポリエチレンナフタレートフ
ィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PET)
の様な芳香族ポリエステルは、繊維、フィルム及び透明
容器等の成形材料として広く使用されているが、最近で
はポリエチレンナフタレート(PEN)が、ポリエチレ
ンテレフタレートに比べて高い強度と柔軟性を有する事
から注目されている。そして、PENを用いて、電気部
品、写真用フィルム、磁気記録材料、樹脂製容器等の品
質を向上させるための研究が行われている。
【0003】写真用フィルムの代表的な例としては、X
線撮影用フィルム、製版用フィルム(例えば集積回路作
成用ネガまたはポジフィルム)及びカットフィルムのよ
うにシート状形態のもの、そしてロール状の形態のもの
が知られている。ロールフィルムの代表的なものとして
は、35mm幅でパトローネに収められた、一般のカメ
ラに装填して撮影に用いられるカラーまたはモノクロネ
ガフィルムがある。これらは135型と呼ばれている
が、さらに幅広のブローニー(例えば120型や220
型)も挙げる事ができる。
【0004】ロールフィルムである135型等のフィル
ムの支持体には、従来からセルローストリアセテート
(TAC)フィルムが用いられており、TACフィルム
は光学的に異方性がなく、透明性が高いこと、さらには
現像処理後のカール解消性にも優れており、写真用支持
体として良好な性質を有している。
【0005】一方、カメラの小型化、あるいはパトロー
ネの小型化の要望に応えて、写真フィルム用支持体の薄
膜化が検討され、すでに実用化されている。その際、上
記TACの利用も検討されたがTACをさらに薄膜化す
ると写真フィルム用支持体に必要な強度を満足出来ない
という問題があった。
【0006】このため、高い強度を持つポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート(PEN)等のポリエステルを用いる検討が進めら
れた。従来、シート状のフィルムに使用されているPE
Tで薄膜フィルムを作成した場合、得られるフィルム
は、巻き癖によるカールを起こしやすいという問題があ
った。しかし、PENを用いることにより、このカール
発生を抑える事ができ、PENフィルムは写真フィルム
用支持体として優れた特性を示した。そこで、このPE
Nを用いて薄膜フィルムが実現された(EP06060
70A1、特開平7−72584)。このPENフィル
ムは、新しいカメラシステムであるアドバンスドフォト
システム(APS)に支持体として採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】PENフィルムは、耐
熱性にすぐれ、巻き癖が付きにくいので、ロール状で使
用される写真フィルムの支持体として、PETフィルム
に比べて遙かに好ましい材料である。しかしながら、上
記PENは、従来からロール状の写真フィルムの支持体
として使用されている材料であるTACに比べて異物が
除去し難いとの問題があった。
【0008】TACは溶剤に溶かすことが出来るため常
温でも低粘度に調製した溶液を濾過することが出来るた
め、目開きの小さいフィルター即ち濾過精度の高いフィ
ルターの使用が可能となり、その結果、画像の欠陥とな
る微小な異物の除去を比較的簡単に行うことが出来る。
【0009】しかし、PENは溶剤に溶解することが困
難なため、加熱溶融して濾過しなければならない。この
PENの溶融物は、270℃から320℃程度の溶融温
度で4000poiseから8000poiseの高粘
度を示すのでこれを熱劣化を進行させないように短時間
で濾過するのは容易ではない。このため、フィルター面
積を小さくしてポリマー流速を上げ、滞留を抑制しよう
とすると、溶融ポリマーが高粘度のため、フィルターで
の圧力損失が非常に大きくなり、フィルターの変形、損
傷や、配管継ぎ手や切り替えバルブでのポリマー漏洩な
どのトラブルが発生しやすくなる。
【0010】製造装置ではフィルターを2系統以上設置
し汚れ具合に応じて順次切り替えて使用するのが一般的
であるが、特にフィルター1次側の切り替えバルブは高
圧が掛かった状態で切り替えなければならず更に滞留の
少ない構造でなくてはならない。このような要件を満た
そうとすれば、直線運動による切り替え方式よりも回転
式の、テーパー状の摺動面を持つバルブが有利である
が、摺動面に高圧が掛かったままで漏れなしに切り替え
る技術は、摺動面の損傷など満足できるレベルになく苦
心しているのが実状である。切り替えの際に摺動面を5
μmから20μm程度引き離して回転させることはポリ
マーの溶融粘度が充分高ければ実用上可能だが、切り替
えの自動化、切り替え時の流量変動等解決すべき課題が
多い。
【0011】ところで、拡大倍率が大きく、画像上のわ
ずかな欠陥が商品価値を著しく損なう製品である写真フ
ィルム用支持体では、フィルム内の異物が光を遮蔽する
ことで発生する画像の白抜け等のトラブルは許容するこ
とが出来ない。いきおい異物を厳しく濾過する必要から
濾過精度を上げざるを得ず、フィルターの圧力損失は更
に増加して、配管の高耐圧化、フィルター寿命も短くな
るという問題がある。フィルター面積を大きくすれば、
圧力損失の問題は回避できるが、滞留によるゲル、コゲ
の発生(これも異物として問題になる)や、色価の悪化
が回避できないという問題が新たに生ずる。
【0012】更に、製造上、ハンドリング即ち延伸され
た熱可塑性樹脂フィルムの搬送上の問題として、フィル
ムと製造装置(たとえば搬送用の回転ロールなど)の間
や、重なっているフィルム同士での貼り付き(これは巻
きしわの発生原因となる)、擦り傷の発生を抑制するた
めにフィルムにフィラーが添加されている。ところが、
フィラー径が小さいと貼り付き、擦れ傷を抑制する効果
が少なく、さらにフィルムのヘイズ(曇り)増加を招い
てしまう。フィラー径が大きいとフィラーがフィルター
内に堆積してフィルターが詰まってしまうだけでなく、
ポリマー中のフィラーが所定濃度にならなくなるトラブ
ルを発生させ、安定製造が出来なく問題がある。これを
回避するためにフィルターの濾過精度を悪くする(大き
な粒子が通過できるようにする)と本来濾過して除去し
たいポリマー中の異物や粗大粒径のフィラーが充分濾過
できず、商品価値を損なう結果となる。
【0013】ポリエチレン−2,6−ナフタレートの濾
過方法は、特開昭63−49417号公報や特開平9−
80684号公報に開示されている。特開昭63−49
417号公報は一定の粗大粒子濃度以下の樹脂に対して
フィルターの目開きを規定しているが、選択されるフィ
ラーの粒径によっては、充分に濾過されず写真フィルム
用支持体としての要求される特性を満足できないことが
あった。また、特開平9−80684号公報では、溶融
樹脂中のゲルの切断を目的とするため、フィラーを添加
した溶融樹脂ではフィラーの一部が濾過詰りを起こした
り、フィラーの濃度が変化することがあり、安定した製
造が出来なかった。
【0014】本発明は、フィラーを含むポリエステル樹
脂組成物を、溶融濾過のフィルターでの圧力損失、寿命
低下、切り替え頻度増大によるロス増大、滞留によるゲ
ルやコゲ等の異物増加、色価の悪化、ポリマー中の異物
の除去、フィラーの詰りやフィラー濃度変動による、フ
ィルムの貼り付き、巻きしわ、擦り傷の発生をバランス
良く抑制して、高品質の要求される写真フィルム用支持
体に適する熱可塑性樹脂フィルムを製造する方法を提供
することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するべくなされたものであり、ポリエステルを主たる
成分とし、フィラーを含む熱可塑性樹脂を溶融濾過し、
該濾過物を製膜する方法において、該濾過を、放射状に
配置された多数の長穴の側縁から上下方向に板面に対し
て30度から90度の角度で折曲された立片部を有する
円盤状サポート部材の両側に濾材層が設けられているフ
ィルターエレメントを用い、溶融熱可塑性樹脂の押出し
量が式(1)を満足するように行うことを特徴とする熱可
塑性樹脂フィルムの製造方法 5<V<45 …… (1) (但し、Vは濾過面積1cm2当たり1時間に濾過される
溶融熱可塑性樹脂のg数を表す。)によってかかる目的
を達成したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、ポリエステ
ル樹脂組成物を溶融押出ししてポリエステルフィルムを
製造する際の、溶融樹脂を濾過する積層耐熱性フィルタ
ーの構造と当該フィルターの負荷の範囲選択に特徴を有
するものである。
【0017】本発明のポリエステルは好ましくはポリエ
チレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートで
あり、特に好ましくはポリエチレンナフタレートであ
る。
【0018】本発明で好ましく用いられるエチレン−
2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステル
の合成に使用される多塩基酸は、全塩基酸の少なくとも
70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸または、
2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステ
ル(即ちジアルキル)であることが好ましい。低級アル
キルエステルとしては、メチル、エチル、イソプロピ
ル、プロピル、またはブチルが好ましく、特に2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチルが好ましい。多塩基酸
は全塩基酸の80モル%以上が更に好ましく、特に好ま
しくは90モル%である。
【0019】一般に、全多塩基酸の30モル%以下の量
で、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、およびジフェニルカルボン酸などの芳香族ジカル
ボン酸およびその低級アルキルエステル(低級アルキル
としてはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ま
たはブチルが好ましく、特にメチルが好ましい)が使用
される。特にイソフタル酸およびその低級アルキルエス
テルが好ましい。
【0020】上記以外の多塩基酸としては、シクロプロ
パンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、および
ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸お
よびその低級アルキルエステル(好ましいアルキルは上
記と同じ)及びアジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸及びダイマー酸などの脂肪族ジカ
ルボン酸及びその低級アルキルエステル(好ましいアル
キルは上記と同じ)を10モル%以下の量で使用しても
よい。
【0021】上記ポリエステルの合成に使用される多価
アルコールは、全多価アルコールの少なくとも70モル
%がエチレングリコールである。好ましくは、90モル
%以上であり、100モル%が特に好ましい。他の多価
アルコールとして、プロピレングリコール、トリメチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p−p'−
ジフェノキシスルフォン、1,4−ビス(β−ヒドロキ
シエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、
エチレン、プロピレン)グリコール、およびp−フェニ
レンビス(ジメチロールシクロヘキサン)などを使用す
ることが出来る。
【0022】上記ポリエステルは、エステル交換反応
後、重合させるエステル交換法及びエステル化反応後重
合させる直接重合法(直重法)のいずれでも製造するこ
とが出来、また、連続式でも、回分式でも製造すること
が出来る。また、ポリエステルの製造における、エステ
ル化反応、エステル交換反応、エステル化反応あるいは
エステル交換反応後の重縮合には、それぞれ公知の触媒
を使用することが出来る。更に公知の熱安定剤、酸化防
止剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、蛍光漂白剤、
顔料、染料、遮光剤、フィラー類等が添加できる。
【0023】エステル化反応は特に触媒を添加しなくて
も進行するが、下記の触媒を用いることにより効率よく
反応を進めることができる。たとえば、エステル交換反
応の触媒としては、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸
マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸カドミウム、酢酸
亜鉛、酢酸鉛、酸化マグネシウムおよび酸化鉛等が一般
に使用されるが、これらは単独で使用しても、2種類以
上組み合わせて使用しても良い。
【0024】また、重縮合反応触媒には、三酸化アンチ
モン、五酸化アンチモン、三弗化アンチモン、硫化アン
チモン、アンチモントリブチレート、アンチモンエチレ
ングリコラート、アンチモン酸カリウム、酢酸アンチモ
ン、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、三酸化ゲ
ルマニウム、酢酸マンガン、酢酸亜鉛、酢酸鉛、安息香
酸アルカリ金属塩、チタンアルコキシド(例、チタンブ
トキサイド)、及びチタン酸のアルカリ金属塩等が一般
に使用される。これらは単独で使用しても2種類以上組
み合わせて使用しても良い。
【0025】熱安定剤として、燐酸、亜燐酸もしくはこ
れらのエステル化合物を添加することができる。たとえ
ば、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニ
ル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリメチル、亜燐酸ト
リエチル、亜燐酸トリフェニル、および燐酸または亜燐
酸のモノあるいはジフェニル等を挙げることが出来る。
また酸化防止剤としては、例えば公知のヒンダードフェ
ノール類を添加しても良い。
【0026】本発明で使用されるエチレン−2,6−ナ
フタレートを主繰り返し単位とするポリエステルは、例
えば下記のように合成される。ポリエチレン−2,6−
ナフタレートを、例にとって説明する。ポリエチレン−
2,6−ナフタレートは、前述したように2,6−ナフ
タレンジカルボン酸ジメチル(多塩基酸)とエチレング
リコール(多価アルコール)をエステル交換反応あるい
はエステル交換反応させることによりオリゴマーを得、
ついで、減圧下で重縮合反応を行って合成することが出
来る。
【0027】即ち、エステル交換反応は多塩基酸と多価
アルコールを1から2kg/cm2の加圧下あるいは大
気圧下で160℃から290℃(好ましくは230℃か
ら270℃)で、0.5時間から10時間(好ましくは2
時間から4時間)反応させ、副生アルコールを留出させ
ることにより行う。ついで、合成したオリゴマーを目開
き5μm以下のオリゴマーフィルターを通して重合槽に
移液し、槽内の圧力を50mmHgから0.5mmHg
の減圧にすると共に240℃から300℃加熱し、1時
間から4時間加熱してポリエステルを得る。
【0028】オリゴマーフィルターは、ステンレス、チ
タン、ブロンズ、真鍮、ニッケル、クローム、銅などの
金属の細かい網を積層したもの、不織布を1以上種類積
層したもの、微小な粒子を焼結させたもの、細かい網に
微小な粒子を焼結させたものなどを用いることが出来、
これらを組み合わせても良い。一般的にはSUS30
4、SUS316、SUS316L、SUS410、S
US430などのステンレスが活性、強度、コスト、再
生使用のし易さから好ましい。セラミックなども不活性
な材質という観点でオリゴマーに含まれる触媒、添加剤
を酸化還元等、化学的変化により析出させることがなく
有用である。オリゴマーの溶融粘度は、10から500
CP程度とポリマーに比べて格段に低く、オリゴマーフ
ィルターを積層して濾過精度を上げても濾過圧損は0.
5Kから10K程度で収まるため、オリゴマーフィルタ
ーの目開きは、フィラーの通過を阻害しない限り細かい
ほうが好ましい。フィラーを重縮合反応に添加する場合
(即ちオリゴマーにフィラーが含まれない場合)は、
0.1μmから10μmの目開きが実用的である。特に
高品質の製品を製造するためには、オリゴマーフィルタ
ーでの高精度濾過が重要である。
【0029】フィラーはフィルムの滑り性を改善するた
めに使用されるもので上記ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートの製造の任意の段階で添加することが出来る。
フィラーはタルク、シリカ、二酸化チタン、二酸化ジル
コニウム、カオリン、硫酸バリウム、酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウムなどのポリエステルに不溶な無機化
合物や、架橋されたアクリル樹脂、スチレン、シリコー
ン、ポリメチルメタクリレート、ベンゾグアナミン樹脂
等の架橋高分子などの有機化合物を挙げることが出来
る。これらの中でシリカが好ましく、特に破砕型シリカ
と球状シリカが、低濃度でも効果が高い。フィラーの添
加量はポリマー重量に対して500ppm以下、望まし
くは300ppm以下が良い。添加量の下限は5ppm
以上、好ましくは20ppm以上である。
【0030】フィラーの粒子径は0.01μmから5μ
mの範囲が好ましく、特に好ましくは、平均粒径0.0
1μmから3μmである。平均粒子径が5μmを超える
粗大粒子は、フィルムの表面の平滑性を低下させたり、
フィルム延伸時にボイドを発生させ、フィルムのヘイズ
をいたずらに高くする問題がある。また、0.01μm
未満の粒子は滑り性の向上に殆ど寄与しないため、2軸
延伸時のフィルム搬送工程で問題を生ずる。特に、ポリ
マーフィルターの目開きを小さくする場合には、ポリマ
ーフィルターを閉塞させないよう、注意深くフィラー粒
子径を選択する必要がある。
【0031】また、触媒、添加剤として添加した金属化
合物と燐化合物をポリエステル重合工程で反応させ、燐
酸金属塩として析出させた内部粒子をフィラーの全部ま
たは一部として使用することも出来る。
【0032】本発明の製造方法は、上記のようにして得
られたポリエステルを用いて、下記のように溶融押出し
することにより実施することが出来る。
【0033】本発明の製造方法で使用される溶融製膜装
置の一例を図1に示す。この装置は、ポリマーペレット
を入れる乾燥機付ホッパー2と、溶融押出し機3と、縦
型ポリマーフィルター4と、ダイヘッド6と、キャステ
ィングロール8からなっている。溶融押出し機3と縦型
ポリマーフィルター4にはそれぞれ圧力計P1,P2と
温度計T1,T2が取付けられ、ダイヘッド6にも温度
計T3が取付けられている。また、縦型ポリマーフィル
ター4の入口側と出口側には過剰供給されたポリマーを
放出するブリード弁10が取付けられている。キャステ
ィングロール8のポリマーが押出される部位の近傍には
静電印加電極5が配設されている。
【0034】図2の装置も本発明の製造方法で使用され
る装置の例であり、この装置はポリマーフィルター4に
横型のものを用いたほかは図1の装置と同じである。
【0035】図1、2の装置において、押出し機3の加
熱は、小型機の場合は電熱ヒーターで行われる事が多
い。均一な加熱をするためには、特にホットスポットを
発生させないためには、熱媒油などを循環して加熱する
方式が好ましく、特に押出し機バレルの加熱部分は2つ
以上に分割し、それぞれ単独に温度制御することが望ま
しい。PENは溶融粘度の温度依存性が大きく、2℃か
ら3℃の温度変動でも吐出が安定せず、均一なシートが
得られにくい。バレルの熱容量が大きく、温度調節が難
しい場合は、冷却装置の併用、制御系の1次遅れによる
発散を防止するためのサンプリングPID制御などを用
いることが好ましい。
【0036】図3にポリマーフィルター4の一例の縦断
面を示す。このフィルター4は両端にフランジを備えた
円筒状のハウジング本体11の両端開口には蓋12,1
3が螺子止めされて閉止され、内部に円筒状の濾過室1
4が形成されている。フランジ本体11の両端面にはリ
ング状溝が設けられ、そこにパッキン28が埋め込まれ
ている。上蓋12の下面中心には管状のスプラインシャ
フト15が取着されている。スプラインシャフト15に
はフィルターエレメント16がスペーサー17と交互に
多段に挿通され、最下部はエンドプレート18で押さえ
てセンターキャップ19をねじ込み固定している。エン
ドプレート18とセンターキャップ19の間はパッキン
29でシールされている。フィルターエレメント16は
円盤状で通常、外径3インチから12インチ程度のもの
が用いられる。フィルターサポートプレート20は可動
式であり、フィルターエレメント5〜10枚毎にセット
され、フィルターエレメントの変形防止、ポリマーの流
れの均一化、安定化のために用いられる。上蓋12の下
面中心から側壁へ濾液通路21が設けられており、フィ
ルターエレメント16で濾過された濾液は、スプライン
シャフト15の中空部から該通路21を通って、上蓋1
2側壁のポリマー出口22から流出する。上蓋12には
さらに該通路21に連通してセンサー穴としても使用さ
れるブリード穴23と濾過室14に直接連通するエア抜
き穴24が設けられている。ホルダー本体11の側壁の
適宜位置には温度測定穴25が設けられている。下蓋1
3の上面中央に擂鉢状凹所が形成され、その中心の最下
部から側壁へポリマー液通路26が形成され、その側壁
側開口がポリマー入口27となっている。このポリマー
液通路26の途中には下蓋13下面へ貫通してセンサー
穴としても使用されるブリード穴23が設けられ、下蓋
13にはさらに温度測定穴25が設けられている。
【0037】エア抜き位置が異なる場合もあるが、横型
も同様の構造である。
【0038】従来のフィルターエレメントの構造の一例
を図4に示す。このフィルターエレメント16は保護金
網33、フィルターメディア(濾材)30a,30b,
30c、パンチングメタル31、スペーサー金網32、
パンチングメタル31、フィルターメディア30c,3
0b,30a、保護金網33の順に重ねて外周縁を溶接
シールし、内周縁にはシールリングとしてのハブ34を
取り付けたものである。ポリマーが流入する面に取り付
けられた保護金網33を目開きの異なる金網の積層とし
て、濾過効果を持たせることも出来る。パンチングメタ
ル31はフィルターメディア30の変形、破損を防ぎ、
エレメント16の形状を保つためのものである。このパ
ンチングメタル31はフィルターメディア30の変形に
よるフィルターエレメント16の差圧上昇を押さえる効
果もある。
【0039】フィルターメディア30a,30b,30
cには、様々なバリエーションがある。金網、不織布、
粉体を板状に焼結したもの、金網に粉体を焼結したも
の、板に細孔を多数開けたもの等が組み合わせて使用さ
れる。金網はフィルターメディアの形態を保持するサポ
ート材やごく粗い予備濾過をする材料として組み合わせ
られる。また、粉体を板状に焼結したもの、金網に粉体
を焼結したものは、フィルターメディア出口側に配置さ
れることが多く、柔らかい異物、例えばゲルのようなも
のを分散させる効果を狙うこともある。一般的に粉体を
焼結した素材は圧力損失が大きく、高精度濾過には不向
きである。
【0040】高粘度で高濾過精度が要求される場合に
は、メディアの主要濾過素材として不織布が使用される
ことが多い。これは金属や、セラミックなどの耐熱性素
材を直径0.5μmから20μmの細い短繊維にしてポ
リマーの流れ方向に垂直に積層したものである。層構成
は、数種の不織布を重ねあわせたものや、短繊維の直
径、密度を連続的に変化させながら積層した物がある。
これらは、通常焼結処理を行い、目開きが変化したり、
剪断応力によって素材が変形しないように処置する。
【0041】本発明のポリエチレンナフタレートの溶融
濾過には直径1μmから15μmの短繊維を2種類以上
組み合わせた濾材を主要濾過素材とするフィルターメデ
ィアが好ましい。また、フィルターでの圧力損失を低減
するために、組み合わせられる濾過素材のうち最も濾過
精度の高い部分を出来る限り薄くすることが重要だが、
あまり薄くすると、濾材の不均一性のため、大きな異物
を通過させてしまう確率が高くなるほか、濾材の強度が
下がり、変形、破損の危険が増すので、注意深く選定さ
れなければならない。ポリエチレンナフタレートの溶融
濾過にはフィルターメディアを構成する不織布のうち最
も濾過精度の高い部分の厚さが、不織布全体の厚さの5
0%以下が好ましい。フィルターの目開きは添加される
フィラーの粒径によって適当なものを選択する必要があ
るが、本発明に用いるフィラーの場合、フィルターの目
開きはフィラーの平均粒径の7倍から25倍とし、特に
好ましい範囲は7倍から20倍である。
【0042】本発明においては、上記のスペーサー金網
32に代えて、放射状に配置された多数の長穴の側縁か
ら上下方向に板面に対して、30度から90度の角度で
折曲された立片部を有する円盤状サポート部材を使用す
る。この円盤状サポート部材は折曲角度が90度のもの
が知られている(特開平10−33745号公報)。
【0043】この円盤状サポート部材34の一例の部分
平面図(立片部折曲前)を図5に、そしてその拡大部分
斜視図(立片部折曲後)を図6に示す。
【0044】円盤状サポート部材34の円盤部には、図
5に示すように多数の長穴36が円盤部の中心から放射
状に設けられている。各長穴36は周方向にも列を形成
し、複数の同心円状に配置されている。各長穴36の側
縁には、図6に示すように、立片部37が設けられてい
る。図6のθは立片部37の板面に対する角度を示して
いる。この角度は板面に対して30度から90度であ
り、好ましくは60度から90度である。
【0045】これらのフィルターエレメント16をポリ
マー吐出量に応じて3枚から200枚程度スプラインシ
ャフト15に組み付ける。フィルターエレメント16は
エレメント相互の間隔を保ちポリマーが均一に流入する
よう、間にスペーサー17を組み込む。スペーサー17
はそれ自身がパッキンの効果を持つよう形状が工夫され
ることもあるが、スペーサー17の上下に別にパッキン
を組み付けて使用することもある。スペーサー17の材
質としてはステンレス、チタン、ブロンズ、アルミ、真
鍮、ニッケル、クローム、銅などが用いられる。SUS
304、SUS316、SUS316L、SUS41
0、SUS430などのステンレス強度、加工のしやす
さ、価格などの点で良く用いられるがパッキンとしての
シール性も同時に持たせようとするとあまり厚さを厚く
出来ない。チタンは硬いため加工がしにくいが繰り返し
使用出来るほか、馴染みが良く、シール性が良いため、
特に濾過差圧が高い場合(フィルターエレメントの締め
付け圧力を高くする必要がある場合)、パッキンなしで
も使用することが出来るメリットがある。スペーサー1
7の上下に組み込むパッキンとしては、比較的柔らかい
アルミ、真鍮、銅などの薄板が用いられ、厚さは0.2
mmから0.8mm程度のものがシール性が高く良好で
ある。これ以外にステンレスの中空Oリングなども用い
ることが出来るが、高価であり再使用が出来ないので、
洗浄等の頻度が高い場合かなりコストアップになる懸念
がある。なお、フィルター自身にスペーサーとしての機
能を持たせることも出来る。
【0046】スプラインシャフト15に組み付けられた
フィルターエレメント16は最終的にセンターキャップ
19により固定されるが、この時、フィルターエレメン
ト16のシール面の面圧をフィルターエレメント16使
用時のフィルターエレメント差圧より充分高くしなけれ
ばならない。本発明においては、{フィルターエレメン
トのシール面の面圧(kg/cm2)}>{使用時のフィ
ルターエレメントの最大差圧(kg/cm2)の1.2
倍}とするのが、適当である。
【0047】上記の製膜装置において予め減圧下で加熱
乾燥(一般に150℃から250℃で7時間から30時
間)、あるいは常圧下でマイクロ波加熱乾燥(一般に1
00℃から200℃で2時間から8時間)し、結晶化し
たポリマーペレットは乾燥機付きホッパー2に投入され
る。投入されたポリマーは押出し機3内で加熱溶融さ
れ、スクリュー(図示せず)で押出し機3と直結された
フィルターに送られ、ここで濾過される。本発明におい
ては、この濾過工程における溶融熱可塑性樹脂の押出し
量が前述の式(1)の範囲になるようにする。
【0048】濾過された溶融ポリマーはダイヘッド6よ
りキャスティングロール8上にシート状に押出しされ、
冷却されてポリエステルフィルム7が製造される。な
お、ダイヘッド6より押出された直後の溶融ポリマーは
静電印加用電極5により5kvから30kvの電圧が印
加され、キャスティングロール8上に押し出される。溶
融押出しの樹脂温度は、一般に270℃から330℃の
範囲であり、シート状に押出した後の冷却固化(即ちキ
ャスティングロールの温度)は30℃から120℃で行
うことが好ましい。また、キャスティングロール表面の
速度は0.5m/minから300m/minの範囲が
好ましく、より好ましくは1m/minから150m/
minが段むらも悪化せず良い結果が得られた。
【0049】得られた未延伸のポリエステルフィルム
は、ニップロール9で搬送され、延伸処理工程で2軸延
伸される。2軸延伸処理は縦及び横の逐次2軸延伸で
も、同時2軸延伸でも良い。また縦または横の延伸を数
回に分けて行っても、縦及び横の2軸延伸後、さらに
縦、横方向のいずれか、あるいは両方向に再延伸しても
かまわない。延伸条件としては、特に制限されるもので
はなく、従来より用いられている条件を任意に選択する
ことが出来、一般的には延伸倍率が2.0から5.0倍
の範囲が好ましい。横延伸工程の後には熱固定処理を行
う工程が設けられる。また、必要に応じて、横延伸工程
と熱処理工程の間に中間ゾーンを設けることも出来る。
こうして得られる2軸延伸フィルムの厚みは50〜20
0μm程度、通常70〜120μm程度である。
【0050】なお、本発明に於ける種々の物性値及び特
性は以下の如く測定したものである。
【0051】[固有粘度] フェノール:テトラクロルエタン=3:2混合溶媒に2
5℃で溶解して、ウベローデ粘度計を用いて測定する。
【0052】[b値]b値は2軸延伸後のフィルムを測
色色差計(日本電色工業製「ND−101D型」)で測
定する。
【0053】[異物]上記2軸延伸ポリエステルフィル
ムを30mm×30mmの大きさに切り出して、偏光顕
微鏡で観察し、10μm以上の異物をカウントし、形態
(形及び色)によりゲルとそれ以外の異物に分類する。
この作業を繰り返し、50cm2当たりの異物数をカウ
ントする。
【0054】[ダイすじ]2軸延伸後のフィルム100
mについて、当該フィルムを白色ケント紙上に順次送り
出し、目視で確認する。
【0055】
【実施例】[実施例1]熱可塑性樹脂として固有粘度
(IV)が0.596のポリエチレン−2,6−ナフタ
レートのペレットを常法にて乾燥し、1軸押出し機で2
90℃で溶融し、フィルター装置を通して溶融押し出し
を行った。
【0056】ポリマーには合成時に破砕型シリカを50
ppm添加しておいた。破砕型シリカは平均粒径を0.
6μに調製し、フィルター詰まりの原因となる長径1μ
m以上の粗大粒子は予め風力分級とそれに次ぐ精密濾過
で除去しておいた。
【0057】フィルターエレメントには、図4のフィル
ターエレメントにおいて、スペーサー金網32を図5、
6のサポート部材(「Twisted Plate」(T
P),長瀬産業製、立片部角度90度)と交換したセミ
ハードタイプの外径7インチのものを用いた。フィルタ
ーメディアには、4層のSUS316製不織布を焼結し
た濾材からなり、公称目開き(濾過精度)が1.6μm
であって、最緻密層の厚さがメディア全厚さの約25%
のものを用いた。フィルター装置にはこのフィルターエ
レメントを必要に応じて1枚から50枚の範囲でセット
した。
【0058】溶融ポリマーの押し出し量は、フィルター
の単位面積当たり10g/cm2・Hrとなるように調
整した。溶融ポリマーを所定の流量で押出しを開始し、
10時間後のフィルター差圧ΔP(フィルターの入口圧
力と出口圧力の差)を初期圧損とした。
【0059】この後、ダイから押し出された溶融ポリマ
ーは、内部に80℃の温水を循環する回転冷却体で冷却
した。これを縦延伸機で加熱ローラー温度128℃、赤
外線ヒーター温度600℃にて3.7倍に延伸し、続い
て、横延伸機で160℃で3.8倍に延伸した。さら
に、200℃のバッファーゾーンを通過させた後、25
0℃で熱固定し、120℃で冷却した。熱固定から冷却
にかけて横方向に3%緩和させ、厚さ約90μmの2軸
延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得
た。
【0060】本実施例における本発明記載のフィルター
使用における予期せぬ効果として、得られた2軸延伸フ
ィルムの厚みむらが少なくなることが挙げられる。これ
により搬送、巻き取りに際して、擦り傷等の発生が少な
くなるほか、削れたフィルム粉がフィルムに再度付着し
下塗り・乳剤塗布工程での斑点状塗りむらの発生薹が抑
制され、NG品の発生(トラブル発生)が少なくなっ
た。また、ハンドリング製の向上と共にフィルムの巻き
乱れが少なくなりフィルム巻き取り、送り出しが安定し
た。さらにフィルムの色むらが少なくなり高精度の品質
管理が可能になった。
【0061】[実施例2]熱可塑性樹脂として固有粘度
(IV)が0.596のポリエチレン−2,6−ナフタ
レートのペレットを常法にて乾燥し、1軸押出し機で2
90℃で溶融し、フィルター装置を通して溶融押し出し
を行った。押出し方法は特に記述が無い限り実施例1に
準じて行った。
【0062】溶融ポリマーの押し出し量は、フィルター
の単位面積当たり40g/cm2・Hrとなるように調
整した。溶融ポリマーを所定の流量で押出しを開始し、
10時間後のフィルター差圧ΔP(フィルターの入口圧
力と出口圧力の差)を初期圧損とした。
【0063】この後、ダイから押し出された溶融ポリマ
ーは、内部に80℃の温水を循環する回転冷却体で冷却
した。これを縦延伸機で加熱ローラー温度128℃、赤
外線ヒーター温度600℃にて3.7倍に延伸し、続い
て、横延伸機で160℃で3.8倍に延伸した。さら
に、200℃のバッファーゾーンを通過させた後、25
0℃で熱固定し、120℃で冷却した。熱固定から冷却
にかけて横方向に3%緩和させ、厚さ約90μmの2軸
延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得
た。
【0064】以下の比較例も特に記載のある点を除き、
実施例と同様の方法でテストを行った。
【0065】[比較例1]実施例1において、溶融ポリ
マーの押し出し量を、フィルターの単位面積当たり3g
/cm2・Hrとなるように調整した。 初期圧損は大幅
に下がるが、IV(極限粘度)の低下が著しく、溶融ポリ
マーの粘度が大幅に変化しているため、実施例1と同一
条件での延伸は膜破れが発生し困難であった。また、着
色(b値)も大きかった。さらにダイ筋がほぼ連続的に発
生し、収率が大幅に低下したほか、ゲル等の異物が増加
し、とてもハロゲン化銀写真フィルム用支持体には使用
できない状況であった。
【0066】[比較例2]実施例1において、溶融ポリ
マーの押し出し量を、フィルターの単位面積当たり50
g/cm2・Hrとなるように設定し押出しを開始した
ところ、 フィルター1次側の溶融ポリマー配管圧力が
200kg/cm2以上となり、 圧力逃がし弁が作動し
て、装置が緊急停止してしまった。フィルター自身の初
期圧損もフィルターの耐圧100Kに対し、97Kと極
めて高く、たとえ運転が継続できても、圧力変動や、異
物捕捉に伴うフィルター圧力上昇を勘案すると、とても
安定的な製造運転は出来ない状況であった。
【0067】[比較例3]フィルターのサポートを本特
許の構造であるTPから直径1.0mmのSUS製金網
とした。初期圧損が122Kと高く、フィルターの保証
圧力を超えていて、フィルター圧縮・変形・破損の危険
があり安定運転が出来なかった。フィルムにもゲルの発
生がありハロゲン化銀写真フィルム用支持体として使用
できるレベルに無かった。
【0068】[比較例4]実施例1において、フィルタ
ーのサポート部材を直径1.0mmのSUS製金網とし
た。初期圧損は71Kと実用可能な範囲ではあったが、
フィルター内のポリマー流れが均一でないため滞留が発
生し、これが原因と思われるb値の上昇が見られた。ま
たフィルム中にはゲル等の発生による品質低下が見られ
た。
【0069】結果をまとめて表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明に用いられる溶融樹脂濾過用フィ
ルターはポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタ
レート(PETと称す)フィルムの製造においても有用で
ある。特に、圧力損失の小さいメリットを生かし、フィ
ルターだけを入れ替えることによって、配管、フィルタ
ーハウジング等、設備の改造なしに押し出し量を増量す
ることが出来る。また、従来の使用条件においても各部
の圧力が低減することにより、特にポリマーの切り替え
弁での漏れ・固着トラブルが軽減される。また、本発明
のフィルター構造によって樹脂滞留が大幅に少なくな
り、樹脂の熱劣化に伴う、b値悪化、ノロ・ゲルの発
生、ダイ筋生成等、フィルムの性能を損なう要因が改善
されるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法に使用される製膜装置の一例の
構成を示す図である。
【図2】 本発明の方法に使用される製膜装置の他の一
例の構成を示す図である。
【図3】 図1の装置のポリマーフィルターの構造を示
す縦断面図である。
【図4】 ポリマーフィルターに用いられる従来のフィ
ルターエレメントの一例を一部切欠いて示した斜視図で
ある。
【図5】 本発明で使用されるサポート部材の一例の部
分平面図(立片部折曲前)である。
【図6】 同上拡大部分斜視図(立片部折曲後)であ
る。
【符号の説明】
2…ホッパー P1,P2…圧力計 3…溶融押出し機 T1,T2,T3…温度計 4…ポリマーフィルター 5…静電印加電極 6…ダイヘッド 7…ポリエステルフィルム 8…キャスティングロール 9…ニップロール 10…ブリード弁 11…ハウジング本体 12…上蓋 13…下蓋 14…濾過室 15…スプラインシャフト 16…フィルターエレメント 17…スペーサー 18…エンドプレート 19…センターキャップ 20…フィルターサポートプレート 21…濾過通路 22…ポリマー出口 23…ブリード穴 24…エア抜き穴 25…温度測定穴 26…ポリマー液通路 27…ポリマー入口 28…パッキン 29…パッキン 30,30a,30b,30c…フィルターメディア
(濾材) 31…パンチングメタル 32…スペーサー金網 33…保護金網 34…円盤状サポート部材 36…長穴 37…立片部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H023 FA01 FA13 4F207 AA24 AB11 AG01 AR14 KA01 KA17 KF01 KL38 KL40 KM15 KW41

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルを主たる成分とし、フィラ
    ーを含む熱可塑性樹脂を溶融濾過し、該濾過物を製膜す
    る方法において、該濾過を、放射状に配置された多数の
    長穴の側縁から上下方向に板面に対して30度から90
    度の角度で折曲された立片部を有する円盤状サポート部
    材の両側に濾材層が設けられているフィルターエレメン
    トを用い、溶融熱可塑性樹脂の押出し量が式(1)を満足
    するように行うことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム
    の製造方法 5<V<45 …… (1) (但し、Vは濾過面積1cm2当たり1時間に濾過される
    溶融熱可塑性樹脂のg数を表す。)
  2. 【請求項2】 ポリエステルがポリエチレン−2,6−
    ナフタレートである請求項1記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂フィルムが2軸延伸された
    ハロゲン化銀写真フィルム用支持体である請求項1また
    は2記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005179497A (ja) * 2003-12-19 2005-07-07 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート
JP2016185666A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 富士フィルター工業株式会社 リーフディスクフィルタ装置
WO2016203908A1 (ja) * 2015-06-16 2016-12-22 長瀬産業株式会社 濾材、濾材を備えたフィルタ部材及び濾材を用いて樹脂フィルムを製造する方法

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