JP2002066213A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JP2002066213A
JP2002066213A JP2000257120A JP2000257120A JP2002066213A JP 2002066213 A JP2002066213 A JP 2002066213A JP 2000257120 A JP2000257120 A JP 2000257120A JP 2000257120 A JP2000257120 A JP 2000257120A JP 2002066213 A JP2002066213 A JP 2002066213A
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filter
thermoplastic resin
filter element
resin film
polymer
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JP2000257120A
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English (en)
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Toru Ogura
徹 小倉
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂フィルムの製膜時におい
て、溶融熱可塑性樹脂をろ過する際、フィルターに損傷
等を与えることなく、微小な異物を高精度で除去できる
ようにする。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの製膜に供される
ポリエチレンナフタレートを主たる成分とする溶融熱可
塑性樹脂を、外周の立ち上がり角度θが42度以下のフ
ィルターエレメントを用いてろ過する。立ち上がり角度
θは、フィルターエレメント27において、かしめ部b
と水平部cとを結ぶ直線dが、水平線hとなす角θであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンナフ
タレートを主たる成分とする熱可塑性樹脂を溶融押出し
してフィルムを製造する方法に関し、さらに詳しくは、
ポリエチレンナフタレートを主たる成分とする溶融熱可
塑性樹脂をろ過するのに適した形態を有するポリマーフ
ィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PET)
のような芳香族ポリエステルは、繊維、フィルム、透明
容器等の成形材料として広く使用されているが、最近で
はポリエチレンナフタレート(PEN)が、ポリエチレ
ンテレフタレートに比べて高い強度と柔軟性を有するこ
とから注目されている。そして、PENを用いて、電気
部品、写真用フィルム、磁気記録材料、樹脂製容器等の
品質を向上させるための研究が行われている。
【0003】写真用フィルムの代表的な例としては、X
線撮影用フィルム、製版用フィルム(例えば、集積回路
作製用ネガまたはポジフィルム)およびカットフィルム
のようにシート状形態のものや、また、ロール状形態の
ものが知られている。ロール状形態であるロールフィル
ムの代表的なものとしては、35mm幅でパトローネに
収められた、一般のカメラに装填して撮影に用いられる
カラーまたはモノクロネガフィルムがある。これらは1
35型と呼ばれているが、さらに幅広のブローニー(例
えば、120型や220型)も挙げることができる。
【0004】ロールフィルムである135型等のフィル
ムの支持体には、従来からセルローストリアセテート
(以下、TACという)フィルムが用いられている。T
ACフィルムは光学的に異方性がなく、透明性が高いこ
と、さらには現像処理後のカール解消性にも優れてお
り、写真用支持体として良好な性質を有している。
【0005】一方、カメラの小型化、あるいはパトロー
ネの小型化の要望に応えて、写真用支持体の薄膜化が検
討され、すでに実用化されている。その際、上記TAC
の利用も検討されたが、TACをさらに薄膜化すると、
写真用支持体に必要な強度を満足しないという問題があ
った。
【0006】このため、高い強度のある、ポリエチレン
テレフタレート(以下、PETという)、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート(以下、PENという)等のポ
リエステルを用いる検討が進められた。
【0007】従来、シート状のフィルムに使用されてい
る薄膜フィルムをPETで作製した場合、得られるフィ
ルムは巻き癖によるカールを起こしやすいとの問題があ
ったが、PENを用いると、このカール発生を抑えるこ
とができ、写真用支持体として優れた特性を示したこと
から、このPENを用いて薄膜フィルムが実現された
(EP0606070A1、特開平7−72584号公
報)。このPENフィルムは、新しいカメラシステムで
あるアドバンスドフォトシステム(APS)に支持体と
して採用されている。
【0008】PENフィルムは、耐熱性に優れ、巻き癖
が付きにくいので、ロール状で使用される写真フィルム
の支持体として、PETフィルムに比べて遙かに好まし
い材料である。しかしながら、上記PENは、従来から
ロール状の写真フィルムの支持体として使用されている
材料であるTACに比べ、異物が除去し難いとの問題が
ある。
【0009】TACは溶剤に溶かすことができるため常
温でも低粘度に調製した溶液をろ過することができ、そ
の結果、画像の欠陥となる微小な異物の除去を比較的簡
単に行うことができる。
【0010】しかし、PENは溶剤に溶解することが困
難なため、加熱溶融しなければならず、270℃から3
20℃程度の溶融温度で4000poiseから800
0poiseの高粘度を示すポリマーを熱劣化を進行さ
せないように短時間でろ過する必要がある。このため、
フィルター面積を小さくしてポリマー流速を上げ、滞留
を抑制しようとすると、溶融ポリマーが高粘度のため、
フィルターでの圧力損失が非常に大きくなり、フィルタ
ーの変形、損傷や、配管継ぎ手や切り替えバルブでのポ
リマー漏洩などのトラブルが発生しやすくなる。
【0011】この問題を解決する方法として特開平11
−34144号公報に開示されたような低圧損、高精度
のメディアを用いたポリマーフィルターでろ過をする方
法がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記フ
ィルターのような低圧損、高精度のメディアを用いたポ
リマーを長期間に亘り使用してみると、このような特性
のメディアでも、フィルターが損傷し、満足のできるろ
過が行えない場合があることが分かってきた。すなわ
ち、フィルターを構成する主要な要素である、耐熱性不
織布は、多層構造であることが多いが、ろ過精度を向上
させるためには、一般的に層厚さを厚くしたり、出来上
がった不織布を圧縮したり、繊維径を細くしたりする手
法がとられる。しかし、これらの方法のうち、層厚さを
厚くしたり、不織布を圧縮したりする方法は、ろ過抵抗
を増加させる問題があり、特にPENの場合には、溶融
粘度が高く、特有の非ニュートニアン性を示すことか
ら、前述したように、フィルターでの圧力損失が非常に
大きくなって、フィルターの変形、損傷や、配管継ぎ手
や切り替えバルブでのポリマー漏洩などのトラブルが発
生しやすくなり、好ましくない。
【0013】繊維径を細くする方法は、ろ過抵抗を増加
させにくく、PENのろ過に適したメディアを製造する
のに良い手法ではある。しかし、繊維径が細くなるとフ
ィルターの耐久性に問題が発生しやすく、特にメディア
を加工してディスク状のフィルターエレメントを製作す
ると、比較的低い圧力損失であってもメディアに皺が寄
ったり、破損したりすることが、フィルターの長期使用
の結果明らかになってきた。
【0014】ディスク状のフィルターエレメントの場
合、フィルター外周付近では、フィルター面に対して斜
めにポリマーが押し込まれるため、大きな剪断応力が加
わり、焼結処理を行って変形しにくくしてある不織布メ
ディアでも皺が寄って目開きが変化したり、破損したり
することがある。特に最外周の溶接部分から立ち上がる
部分は、流速も大きく損傷しやすい。
【0015】本発明者らは、かかる問題点に鑑み、写真
用支持体等に用いるPENフィルムを溶融製膜により製
造する場合において、画像欠陥となりうる異物を高精度
に除去し、かつ、ポリマーフィルターでの圧力損失、寿
命低下、切り替え頻度増大によるロス増大、滞留による
ゲルやコゲ等の異物増加および色価の悪化をバランス良
く抑制して、高品質の要求される写真支持体等のPEN
フィルムを提供する際、フィルターの損傷を抑制し、そ
の性能を充分発揮できるようにした熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解決するために鋭意検討した結果、フィルターエレメン
トの外周部分の形状に着目し、その立ち上がり角度が所
定範囲内であれば損傷が防止できることを見出し、本発
明を完成させたものである。
【0017】すなわち、本発明による熱可塑性樹脂フィ
ルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの製膜に供さ
れるポリエチレンナフタレートを主たる成分とする溶融
熱可塑性樹脂を、外周の立ち上がり角度θが42度以下
のフィルターエレメントを用いてろ過することを特徴と
して構成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法により、ポリエ
ステルフィルムが製造されるが、そのポリエステルフィ
ルムの製造には、エチレン−2,6−ナフタレート単位
を主成分とするポリエステルが用いられる。このポリエ
ステルの合成に使用される多塩基酸は、全塩基酸の少な
くとも70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸ま
たは、2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキル
エステル(即ちジアルキル)であることが好ましい(現
時点では純度の高いものを得ることが比較的容易な2,
6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルが好ましい)。低
級アルキルとしてはメチル、エチル、イソプロピル、プ
ロピル、またはブチルが好ましく、特にメチルが好まし
い。
【0019】一般に、全多塩基酸の30モル%以下の量
で、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、およびジフェニルカルボン酸などの芳香族ジカル
ボン酸およびその低級アルキルエステル(低級アルキル
としてはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ま
たはブチルが好ましく、特にメチルが好ましい)が使用
される。特にイソフタル酸およびその低級アルキルエス
テルが好ましい。
【0020】上記以外の多塩基酸としては、シクロプロ
パンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、および
ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸お
よびその低級アルキルエステル(好ましいアルキルは上
記と同じ)およびアジピン酸、コハク酸、シュウ酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸およびダイマー酸などの脂肪族
ジカルボン酸およびその低級アルキルエステル(好まし
いアルキルは上記と同じ)を10モル%以下の量で使用
してもよい。
【0021】上記ポリエステルの合成に使用される多価
アルコールは、全多価アルコールの少なくとも70モル
%がエチレングリコールであることが好ましい。より好
ましくは、90モル%以上であり、100モル%が最も
好ましい。他の多価アルコールとして、プロピレングリ
コール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、p−キシレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノ
ールA、p−p’−ジフェノキシスルフォン、1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポ
リアルキレン(例、エチレン、プロピレン)グリコー
ル、およびp−フェニレンビス(ジメチロールシクロヘ
キサン)などを使用することができる。
【0022】上記ポリエステルは、エステル交換反応
後、重縮合させる所謂『エステル交換法』およびエステ
ル化反応後重縮合させる『直接重合法(直重法とも称
す)』のいずれでも製造することができ、また、連続式
でも、回分式でも製造することができる。
【0023】また、ポリエステルの製造における、エス
テル化反応、エステル交換反応、重縮合には、それぞれ
公知の触媒を使用することができる。さらに公知の熱安
定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、
蛍光漂白剤、顔料、染料、遮光剤、フィラー類等が添加
できる。
【0024】エステル化反応は特に触媒を添加しなくて
も進行するが、下記の触媒を用いることにより効率よく
反応を進めることができる。例えば、エステル交換反応
の触媒としては、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸マ
グネシウム、酢酸カルシウム、酢酸カドミウム、酢酸亜
鉛、酢酸鉛、酸化マグネシウムおよび酸化鉛等が一般に
使用されるが、これらは単独で使用しても、2種類以上
組み合わせて使用しても良い。
【0025】また、重縮合反応触媒には、三酸化アンチ
モン、五酸化アンチモン、三弗化アンチモン、硫化アン
チモン、アンチモントリブチレート、アンチモンエチレ
ングリコラート、アンチモン酸カリウム、酢酸アンチモ
ン、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物が使用さ
れるが、これらは単独でも2種類以上組み合わせて使用
しても良い。さらに、これらの化合物に加えて二酸化ゲ
ルマニウム、三酸化ゲルマニウム、酢酸マンガン、酢酸
亜鉛、酢酸鉛、安息香酸アルカリ金属塩、チタンアルコ
キシド(例、チタンブトキサイド)、およびチタン酸の
アルカリ金属塩等も使用することができる。
【0026】熱安定剤として、燐酸、亜燐酸もしくはこ
れらのエステル化合物を添加することができる。例え
ば、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニ
ル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリメチル、亜燐酸ト
リエチル、亜燐酸トリフェニル、および燐酸または亜燐
酸のモノあるいはジフェニル等を挙げることができる。
【0027】また、酸化防止剤としては、例えば、公知
のヒンダードフェノール類を添加しても良い。
【0028】本発明で使用されるエチレン−2,6−ナ
フタレートを主繰り返し単位とするポリエステルは、例
えば下記のように合成される。ポリエチレン−2,6−
ナフタレートのエステル交換法を、例にとって説明す
る。
【0029】ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、
前述したように2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ル(多塩基酸)とエチレングリコール(多価アルコー
ル)をエステル交換反応あるいはエステル交換反応させ
ることによりオリゴマーを得、ついで、減圧下で重縮合
反応を行って合成することができる。
【0030】すなわち、エステル交換反応は多塩基酸と
多価アルコールを98kPa(1kg/cm)から1
86kPa(2kg/cm)の加圧下あるいは大気圧
下で160℃から290℃(好ましくは230℃から2
70℃)で、0.5時間から10時間(好ましくは2時
間から4時間)反応させ、副生アルコールを留出させる
ことにより行う。ついで合成したオリゴマーを目開き5
μm以下のオリゴマーフィルターを通して重合槽に移液
し、槽内の圧力を6.7kPa(50mmhg)から
0.067kPa(0.5mmhg)の減圧にするとと
もに240℃から300℃に昇温させ、1時間から4時
間加熱してポリエステルを得る。
【0031】オリゴマーフィルターは、ステンレス、チ
タン、ブロンズ、真鍮、ニッケル、クローム、銅などの
金属の細かい網を積層したもの、不織布を1以上種類積
層したもの、微小な粒子を焼結させたもの、細かい網に
微小な粒子を焼結させたものなどを用いることができ、
これらを組み合わせても良い。一般的にはSUS30
4、SUS316、SUS316L、SUS410、S
US430などのステンレスが活性、強度、コスト、再
生使用のし易さから好ましい。セラミックなども不活性
な材質という観点でオリゴマーに含まれる触媒、添加剤
を酸化還元等、化学的変化により析出させることがなく
有用である。オリゴマーの溶融粘度は、10から500
CP程度とポリマーに比べて格段に低く、オリゴマーフ
ィルターを積層してろ過精度を上げてもろ過圧損は0.
5Kから10K程度で収まるため、オリゴマーフィルタ
ーの目開きは、フィラーの通過を阻害しない限り細かい
ほうが好ましい。フィラーを重縮合反応に添加する場合
(即ちオリゴマーにフィラーが含まれない場合)は、
0.1μmから10μmの目開きが実用的である。特に
高品質の製品を製造するためには、オリゴマーフィルタ
ーでの高精度ろ過が重要である。
【0032】上記ポリエチレン−2,6−ナフタレート
の製造の任意の段階でフィルムの滑り性を改善するため
にフィラーを添加することができる。添加時期は、特に
限定はしないが、重縮合反応を行う直前が好ましい。
【0033】フィラーはタルク、シリカ、二酸化チタ
ン、二酸化ジルコニウム、カオリン、硫酸バリウム、酸
化アルミニウム、炭酸カルシウムなどのポリエステルに
不溶な無機化合物や、架橋されたアクリル樹脂、スチレ
ン、シリコーン、ポリメチルメタクリレート、ベンゾグ
アナミン樹脂等の架橋高分子などの有機化合物を挙げる
ことができる。これらの中でシリカが好ましく、特に破
砕型シリカが、低濃度でも効果が高い。
【0034】フィラーの粒子径は0.1μmから5.0
μmの範囲が好ましく、特に0.1μmから3.0μm
の範囲が好ましい。平均粒子径が5μmを超える粗大粒
子は、フィルムの表面の平滑性を低下させたり、フィル
ム延伸時にボイドを発生させたり、フィルムのヘイズを
いたずらに高くする問題がある。また、0.1μm未満
の粒子は滑り性の向上に殆ど寄与しない。ヘイズと滑り
性の両特性を満足するために、非常に狭い粒径分布を持
つ粒子を数種類混合して用いる方法は効果が高い。
【0035】フィラーの添加量はポリマー重量に対して
500ppm以下、望ましくは300ppm以下が好ま
しい。
【0036】触媒、添加剤として添加した金属化合物と
燐化合物をポリエステル重合工程で反応させ、燐酸金属
塩として析出させた内部粒子をフィラーの全部または一
部として使用することもできる。
【0037】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
は、上記のようにして得られたポリエステルを用いて、
溶融製膜装置により実施することができる。溶融製膜装
置の例を図1を参照して説明する。
【0038】図1は縦型のポリマーフィルターを用いた
溶融製膜装置の概略図である。図1において、1は乾燥
機付きホッパー、2は押出し機、3はポリマーフィルタ
ー、4はダイヘッド、5はキャスティングロールであ
り、ダイヘッド4の近傍には静電印加電極7が設けら
れ、キャスティングロール5に隣接して剥ぎ取りロール
8及びニップロール9が設けられている。なお、T1、
T2及びT3は温度計、P1及びP2は圧力計である。
【0039】以上のような溶融製膜装置でフィルムを製
造するには、予め減圧下で加熱乾燥(一般に150℃か
ら250℃で5時間から30時間)、あるいは常圧下に
おいて連続式乾燥機で乾燥(一般に100℃から200
℃で1時間から10時間)し、結晶化したポリマーペレ
ットを乾燥機付きホッパー1を介して押出し機2に投入
する。投入されたポリマーペレットは押し出し機2内で
加熱溶融され、スクリュー(図示せず)で前方(ポリマ
ーフィルター3方向)に送られる。
【0040】押し出し機2における加熱は、小型機の場
合は電熱ヒーターで行われることが多いが、均一な加熱
をするため、特にホットスポットを発生させないために
は、熱媒油などを循環して加熱する方式が好ましく、特
に、押し出し機バレルの加熱部分は3つ以上に分割し、
それぞれ単独に温度制御することが望ましい。PENは
溶融粘度の温度依存性が大きく、2℃から3℃の温度変
動でも吐出が安定せず、均一なシートが得られにくい。
バレルの熱容量が大きく、温度調節が難しい場合は、冷
却装置の併用、制御系の1次遅れによる発散を防止する
ためのサンプリングPID制御などを用いることが好ま
しい。
【0041】押し出し機2を通過した溶融ポリマーはポ
リマーフィルター3に送られ、ポリマーフィルター3に
おいてろ過された後、ダイヘッド4に送られる。そし
て、ダイヘッド4において溶融ポリマーが、キャスティ
ングロール5にシート状に押出され、冷却されて未延伸
のポリエステルフィルム10が製造される。なお、ダイ
ヘッド4より押出された直後の溶融ポリマーは、静電印
加電極7により5kvから30kvの電圧が印加され、
キャスティングロール5に密着するようになっている。
【0042】得られた未延伸のポリエステルフィルム1
0は、は剥ぎ取りロール8でキャスティングロール5か
ら剥ぎ取られた後、ニップロール9により延伸処理工程
(図示せず)に搬送され、2軸延伸される。2軸延伸処
理は縦および横の2軸延伸でも、同時2軸延伸でも良
い。また縦または横の延伸を数回に分けて行っても、縦
および横の2軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれか、
あるいは両方向に再延伸してもかまわない。延伸条件と
しては、特に制限されるものではなく、従来用いられて
いる条件を任意に選択することができ、一般的には延伸
倍率が2.0から5.0倍の範囲が好ましい。横延伸工
程の後には熱固定処理を行う工程が設けられる。また必
要に応じて、横延伸と熱処理工程の間に中間ゾーンを設
けることもできる。こうして得られる2軸延伸フィルム
の厚みは50〜200μm程度、通常70〜120μm
程度である。
【0043】図2は溶融製膜装置の他の例の概略図で、
この図に示す溶融製膜装置は、ポリマーフィルター3に
横型のものを用いる他は、図1に示す溶融製膜装置と略
同様である。
【0044】図1の溶融製膜装置に用いた縦型のポリマ
ーフィルターについて、図3を参照して説明する。
【0045】図3は縦型のポリマーフィルターの縦断面
図である。図3において、21はハウジング本体で、こ
のハウジング本体21の上下に上部フランジ22及び下
部フランジ23がボルト(図示せず)で固着されてい
る。ハウジング本体21内にはフィルター室24が設け
られており、このフィルター室24の中央に、内部に長
孔を有するスプラインシャフト25が設けられている。
スプラインフャフト25には、可動式のフィルターサポ
ートプレート26が所定間隔で組み付けられるととも
に、円盤状で通常、外径3インチから12インチ程度の
フィルターエレメント27(1枚だけ図示し、他は省略
してある)が複数組み付けられている。フィルターエレ
メント27の数は、ポリマーの吐出量に応じて適宜変更
され、通常、3枚から200枚程度である。フィルター
エレメント27の間にはスペーサー28が組み付けら
れ、フィルターエレメント27相互の間隔を保ちポリマ
ーが均一に流入するようになっている。
【0046】スプラインシャフト25の先端(図中、下
端)には、エンドプレート29が遊嵌されるとともに、
センターキャップ30が螺着され、エンドプレート29
によりフィルターエレメント27を固定している。ま
た、前記下部フランジ23にはフィルター室24と連通
するポリマー入口31が形成され、上部フランジ22に
はフィルター室24と連通するポリマー出口32が形成
されている。
【0047】なお、33はエア抜き穴、34及び35は
ブリード穴、36、37及び38はパッキン、39、4
0及び41は温度測定手段(図示せず)を配置する温度
測定穴である。
【0048】以上のようなポリマーフィルター3におい
ては、押出し機3から溶融ポリマーがポリマー入口31
を介して導入され、導入されたポリマーはフィルター室
24のフィルターエレメント27を通り、異物が除去さ
れた状態でスプラインシャフト25の長孔に入り込み、
そして、ポリマー出口32からダイヘッド4に送られ
る。
【0049】なお、上記図3においては、縦型のポリマ
ーフィルターについて説明したが、横型のポリマーフィ
ルターも、エア抜き位置が異なる場合もあるが、基本的
に縦型のポリマーフィルターと同様の構造である。
【0050】次に、フィルターエレメントについて図4
を参照して説明する。図4はフィルターエレメントの一
部切り欠いた斜視図である。図4において、51はスペ
ーサーとしての円盤状の金網で、この金網51を挟み込
むようにして円盤状のフィルターメディア52、53、
54が設けられ、これらの外周は溶接により固定され、
また、内周にシールリングとしてのハブ55が取り付け
られている。そして、ポリマーが流入する面には、保護
用の金網56が取り付けられているが、この部分を目開
きの異なる金網の積層として、ろ過効果を持たせること
もできる。
【0051】また、金網51とフィルターメディア54
との間には、パンチングメタル57が配置され、フィル
ターメディア52、53、54の変形、破損を防ぎ、フ
ィルターエレメントの形状を保つことができるようにな
っており、さらに、フィルターメディア52、53、5
4の変形によるフィルターエレメントの差圧上昇を押さ
えることができるようになっている。
【0052】フィルターメディア52、53、54に
は、様々なバリエーションがある。金網、不織布、粉体
を板状に焼結したもの、金網に粉体を焼結したもの、板
に細孔を多数開けたもの等が組み合わせて使用される。
金網はフィルターメディアの形態を保持するサポート材
やごく粗い予備ろ過をする材料として組み合わせられ
る。また、粉体を板状に焼結したもの、金網に粉体を焼
結したものは、フィルターメディア出口側に配置される
ことが多く、柔らかい異物、例えばゲルのようなものを
分散させる効果を狙うこともある。一般的に、粉体を焼
結した素材は圧力損失が大きく、高精度ろ過には不向き
である。
【0053】高粘度で高ろ過精度が要求される場合に
は、フィルターメディアの主要ろ過素材として、不織布
が使用されることが多い。これは金属や、セラミックな
どの耐熱性素材を直径0.5μmから10μmの細い短
繊維にしてポリマーの流れ方向に垂直に積層したもので
ある。層構成は、数種の不織布を重ねあわせたものや、
短繊維の直径、密度を連続的に変化させながら積層した
ものがある。
【0054】これらは、通常焼結処理を行い、目開きが
変化したり、剪断応力によって素材が変形したりしない
ように処置する。
【0055】ポリエチレンナフタレートの溶融ろ過に
は、直径1μmから5μmの短繊維を2種類以上組み合
わせたろ材を主要ろ過素材とするフィルターメディアが
好ましい。また、フィルターでの圧力損失を低減するた
めに、組み合わせられるろ過素材のうち最もろ過精度の
高い部分をできる限り薄くすることが重要であるが、あ
まり薄くすると、ろ材の不均一性のため、大きな異物を
通過させてしまう確率が高くなるほか、ろ材の強度が下
がり、変形、破損の危険が増すので、注意深く選定され
なければならない。ポリエチレンナフタレートの溶融ろ
過には、フィルターメディアを構成する不織布のうち最
もろ過精度の高い部分の厚さが、不織布全体の厚さの5
0%以下が好ましい。
【0056】フィルターエレメントの他の例を図5を参
照して説明する。図5はフィルターエレメントの一部切
り欠いた斜視図である。この図に示すフィルターエレメ
ントは、図4に示すハブ(以下、ソフトハブという)5
5を用いる替わりにハードハブ58を用いたものであ
る。このハードハブ58は、円筒状の内壁部を有し、こ
の内壁部に貫通孔59が穿設されているものである。
【0057】ソフトハブ55の場合は2枚のソフトハブ
の間からポリマーが流れ出るが、ハブ自身はポリマー流
れに対して殆ど抵抗にならず、粘度の低い流体や、フィ
ルターエレメントの差圧が低い系での使用に適してい
る。しかし、粘度の高いポリマーをろ過したり、ポリマ
ー流量を増やしたりするためには、フィルターエレメン
トの組み付け圧力を高くしなければならず、このような
条件でソフトハブのフィルターエレメントを使用する
と、高い組み付け圧力により、ソフトハブ間隔が狭まり
ソフトハブでの圧力損失が増加する。また、ハブの面当
たりが変化することにより、シール不良が発生し、現実
的に満足なろ過ができなくなることが多い。したがっ
て、例えば7インチのソフトハブフィルターエレメント
ではフィルターエレメントの差圧が1960kPa(2
0kg/cm)から4900kPa(50kg/cm
)程度が上限となる。
【0058】これに対し、図5に示したハードハブタイ
プでは、組み付け圧を上げてもハブが変形することがな
いため、PENのような高粘度ポリマーを大量にろ過す
る場合にも漏れずに安定したろ過ができるものである。
【0059】ただし、ハードハブで流路が絞られてしま
うため、高い圧力をかけられ変形するソフトハブほどで
はなくても、ハブでの圧力損失が無視できず、この部分
での圧力損失の低減が実用上のポイントになる。ハード
ハブ内に開けられたポリマー流路(貫通孔59)の長さ
を短くする、テーパー状にする、長穴にする、穴数を増
やす等の工夫がなされる。
【0060】フィルターエレメントの他の例を図6を参
照して説明する。図6はフィルターエレメントの一部切
り欠いた斜視図である。この図に示すフィルターエレメ
ントは、図4と図5とに示すフィルターエレメントの折
衷型であり、ソフトハブ60に挟まれたハードハブ61
を有し、セミハードタイプと称する。
【0061】フィルターエレメントの他の例を図7を参
照して説明する。図7はフィルターエレメントの一部切
り欠いた斜視図である。この図に示すフィルターエレメ
ントは、図5に示したフィルターエレメントの問題を解
決したもので、金網51の替わりに、細長い円弧状のス
ペーサー板62をスペーサーとして用い、ハードハブ6
3の貫通孔64を大きくし、ハードハブにおける圧力損
失の低減を図ったものである。
【0062】しかし、図7に示すフィルターエレメント
は、加工が難しく、高価であること等から製造上は、フ
ィルターエレメントの洗浄性も考慮して、図6に示した
フィルターエレメントが好ましい。
【0063】以上のようなフィルターエレメントの内
で、PENのろ過に用いるものとしては、図5、図6、
図7に示したタイプのものが好ましく、図6に示したも
のがより好ましい。
【0064】また、ポリマーの滞留を抑制して、熱劣化
を押さえるため、あるいは広い設置場所が確保できない
等の制約により、フィルター負荷を上げて使用する場合
などには、TP(Twisted Plate)スペー
サーという特殊な構造のスペーサーを、前記金網51や
スペーサー板62の代わりに用いることもできる。この
TPスペーサーを用いることにより、フィルターエレメ
ントの圧力損失を抑え、高負荷での使用が可能になる。
【0065】TPスペーサーを図8及び図9を参照して
説明する。図8はTPスペーサーの平面図、図9は図8
中A部の拡大斜視図である。このTPスペーサー65
は、円盤状の金属板を放射状および格子状に打ち抜いた
形状をしており、その格子66の小さなプレート部分6
7がフィルター平面に対してある角度(ψ=10°〜9
0°)を持つように形成されている。
【0066】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造法法
においては、フィルターエレメントの外周の立ち上がり
角度θが42度以下が良く、好ましくは30度以上42
度以下、特に好ましくは30度以上40度以下である。
フィルターエレメントの立ち上がり角度θについて図1
0、図11及び図12を参照して説明する。
【0067】図10はフィルターエレメントの半分を切
り取った状態の平面図、図11はフィルターエレメント
の一部切り欠いた正面図、図12は図11中B部の拡大
断面図である。
【0068】これらの図に示すフィルターエレメント2
7は、外周において水平線hと平行なかしめ部71を有
するもので、aは溶接されている最外周部、bはかしめ
部71から立ち上がっている立ち上がり部、cは外周か
ら立ち上がった面が水平線hと平行になる水平部であ
リ、本発明における外周の立ち上がり角度θは、かしめ
部bと水平部cとを結ぶ直線dが、水平線hとなす角θ
である。
【0069】図13はかしめ部の無いフィルターエレメ
ントの外周部分の拡大断面図である。このフィルターエ
レメント27においては、最外周部aから立ち上がって
おり、最外周部aと立ち上がった面が水平線hと平行に
なる水平部cとを結ぶ直線eが、水平線hとなす角θで
ある。
【0070】前記スペーサー28は、それ自身がパッキ
ンの効果を持つような形状に形成されている。スペーサ
ーの形状について、図14〜図19を参照して説明す
る。
【0071】図14はスペーサーの一例の平面図、図1
5は同縦断面図、図16はスペーサーの他の例の平面
図、図17は同縦断面図、図18もスペーサーの他の例
の平面図、図19は同縦断面図である。
【0072】図14及び図15に示すスペーサーは28
は、半円状の突起が上下に形成されているもので、図1
6及び図17に示すスペーサー28は、三角形状の突起
が複数上下に形成されているもので、図18及び図19
に示すスペーサー28は、凹部が上下に形成されている
ものである。
【0073】スペーサー28の材質としては、ステンレ
ス、チタン、ブロンズ、アルミ、真鍮、ニッケル、クロ
ーム、銅などが用いられる。
【0074】さらに、スペーサーの上下に別体であるパ
ッキンを組み付けて使用することもできる。組み付ける
パッキンとしては、比較的柔らかいアルミ、真鍮、銅な
どやチタンの薄板が用いられ、厚さは0.2mmから
0.8mm程度のものがシール性が高く良好である。こ
れ以外にステンレスの中空Oリングなども用いることが
できるが、高価であり再使用ができないので、洗浄等の
頻度が高い場合かなりコストアップになる懸念がある。
【0075】また、フィルターエレメント自身にスペー
サーとしての機能を持たせることもできる。このスペー
サーの機能を持たせたフィルターエレメントの例を図2
0及び図21を参照して説明する。
【0076】図20はフィルターエレメントを半分にし
た状態の平面図、図21はフィルターエレメントの縦断
面図である。これらの図に示すフィルターエレメント2
7は、軸方向に長いハードハブ72が用いられており、
ハードハブ72の上下に突出した部分がスペーサーとし
ての機能を奏している。
【0077】
【実施例】以下、本発明について実施例を上げて具体的
に説明するが、本発明は、この例に限定されるものでは
ない。
【0078】[実施例1]熱可塑性樹脂として固有粘度
(IV)=0.59〜0.60のポリエチレン−2,6
−ナフタレートのペレットをマイクロ波乾燥機を使って
連続的に乾燥・結晶化させ、直径120mm、L/D=
26の1軸押し出し機を用いて280℃で溶融し、29
5℃に加熱したポリマーフィルターを通してろ過した
後、溶融押し出しを行った。
【0079】ポリマーフィルターは、7インチのセミハ
ードタイプのディスク型フィルターエレメントを50枚
セットした縦型のハウジングを用いた。ディスク型フィ
ルターエレメントはSUS316の不織布を3層積層し
たもので、トータルの目開きは2μm、1次側には60
メッシュの保護金網層、2次側には800メッシュと6
0メッシュの金網層を積層したものである。フィルター
外周の立ち上がり角度は30度であった。
【0080】ポリマーの押し出し量は、フィルター単位
面積・単位時間当たり20g/cm ・hrとした。
【0081】この条件で、100時間の押し出しを行っ
た後、フィルターを取り出して、280℃のTEG(ト
リエチレングリコール)で洗浄し、検査した。
【0082】検査の結果、50枚すべてのフィルターは
目視での異常は見られず、バブルポイント(MAX)の
測定値も合格範囲で、目開きの変化は認められなかっ
た。
【0083】[実施例2]ディスク型フィルターエレメ
ントのフィルター外周立ち上がり角度が40度であるこ
と以外は、実施例1と同じ条件で押し出しを行い、実施
例1と同じ条件でTEG洗浄を行った後、フィルターの
点検を行った。
【0084】目視での検査では50枚とも異常は見られ
ず、バブルポイント(MAX)の測定値も合格範囲で、
目開きの変化は認められなかった。
【0085】[実施例3]ディスク型フィルターエレメ
ントのフィルター外周立ち上がり角度が42度であるこ
と以外は、実施例1と同じ条件で押し出しを行い、実施
例1と同じ条件でTEG洗浄を行った後、フィルターの
点検を行った。
【0086】目視での検査では、50枚のうち2枚の外
周立ち上がり部分に4〜5cmのわずかな皺が発生し
た。これは、斜め方向から光を当ててようやく陰影が確
認できる程度のものであった。
【0087】これら2枚のフィルターエレメントのバブ
ルポイント(MAX)の測定値は合格範囲で、目開きの
変化は認められなかった。
【0088】[比較例]ディスク型フィルターエレメン
トの、フィルター外周立ち上がり角度が45度であるこ
と以外は、実施例1と同じ条件で押し出しを行い、実施
例1と同じ条件でTEG洗浄を行った後、フィルターの
検査をした。目視での検査では50枚のうち3枚の外周
立ち上がり部分に異常が見られた。2枚は、フィルター
メディアにそれぞれ約3cm、約4cmの皺が発生し
た。残りの1枚はフィルターメディアが約3cmに渡っ
て破断しており、これら3枚のフィルターエレメントの
バブルポイント(MAX)は大幅に低下し測定不可であ
った。
【0089】上記実施例及び比較例において示される特
性値は、下記の方法によって測定した。
【0090】<フィルター目開きの測定方法> 1.粒径が0.1μmから10μmの範囲のポリスチレ
ン標準粒子を必要に応じ3から10種類選択し、50p
pmから300ppmの濃度で純水に懸濁させた試験液
(原液)を、直径20mmのフィルターでろ過し、この
ろ液を0.5ml取ってアルミトレーの上に滴下する。 2.このサンプルを常圧、40℃で乾燥し、SEM(電
子顕微鏡)サンプルを調製する。 3.SEM画像のうち中心の250μm×200μmの
範囲の写真を撮影し、この面積に含まれる粒子を粒径ご
とにカウントする。 4.この操作を1セットとして必要回数繰り返し、25
00μm×2000μm相当の面積の粒子数をカウント
する。 5.フィルターでろ過をしない試験液(原液)も同様に
SEMサンプルを調製して2500μ×2000μmの
粒子数をカウントしブランクとする。 6.それぞれの粒子について以下の式にて捕集率を計算
する。 捕集率(%)=(1−(ろ過液SEM写真の粒子カウン
ト数÷ブランクSEM写真の粒子カウント数))×10
0 7.捕集率が99.98%の粒径をもって、フィルター
の目開きf(μm)とする。
【0091】<固有粘度> フェノール:テトラクロルエタン=3:2混合溶媒に2
5℃で溶解して、ウベローデ粘度計で測定する。
【0092】<フィルターバブルポイントの測定方法> 1.フィルターをエタノール中に水平に沈め、フィルタ
ー表面とエタノール液面の距離が15mmになるよう調
整する。 2.清浄な空気源から減圧弁にて0.2kg/cm
減圧した空気を、流量調整弁とマノメーターを介してフ
ィルター2次側(内側のハブ側)に供給する。 3.流量調節弁を全閉から徐々に開き、フィルター表面
にはじめて気泡が発生した時のマノメーターの値をバブ
ルポイントとする。 4.フィルターは上下を逆にして同様の測定を行い、一
番低い値をバブルポイント(MAX)とする。
【0093】
【発明の効果】本発明は、フィルターメディアに皺がよ
ったり、破損したりすること無く、ポリエチレンナフタ
レートを主たる成分とする溶融熱可塑性樹脂をろ過して
微小な異物を高精度に除去することができる。したがっ
て、高品質な熱可塑性樹脂フィルムを効率よく製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができる縦型のポリマーフィルターを
用いた溶融製膜装置の概略図。
【図2】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができる横型のポリマーフィルターを
用いた溶融製膜装置の概略図。
【図3】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができる縦型のポリマーフィルターの
縦断面図。
【図4】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができるフィルターエレメントの一部
切り欠いた斜視図。
【図5】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができるフィルターエレメントの一部
切り欠いた斜視図。
【図6】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができるフィルターエレメントの一部
切り欠いた斜視図。
【図7】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができるフィルターエレメントの一部
切り欠いた斜視図。
【図8】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を実施することができるTPスペーサーの部分平面
図。
【図9】 図8中A部の拡大斜視図。
【図10】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるフィルターエレメントの半
分を切り取った状態の平面図。
【図11】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるフィルターエレメントの一
部切り欠いた正面図。
【図12】 図11中B部の拡大断面図。
【図13】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるかしめ部の無いフィルター
エレメントの外周部分の拡大断面図。
【図14】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるスペーサーの1例の平面
図。
【図15】 同上縦断面図。
【図16】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるスペーサーの他の例の平面
図。
【図17】 同上縦断面図。
【図18】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるスペーサーの他の例の平面
図。
【図19】 同上縦断面図。
【図20】 フ本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製
造方法を実施することができるフィルターエレメントを
半分にした状態の平面図。
【図21】 本発明による熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法を実施することができるフィルターエレメントの縦
断面図。
【符号の説明】
1…ホッパー 2…押出し機 3…ポリマーフィルター 4…ダイヘッド 5…キャスティングロール 10…ポリエステルフィルム 21…ハウジング本体 22…上部フランジ 23…下部フランジ 24…フィルター室 25…スプラインシャフト 27…フィルターエレメント 28…スペーサー 31…ポリマー入口 32…ポリマー出口 51…金網 52…フィルターメディア 53…フィルターメディア 54…フィルターメディア 55…ハブ 56…金網 57…パンチングメタル 58…ハードハブ 62…スペーサー板 a…最外周部 b…立ち上がり部 c…水平部 d…かしめ部bと水平部cとを結ぶ直線 e…最外周部aと水平部cとを結ぶ直線 h…水平線 θ…フィルター外周の立ち上がり角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/795 B29K 67:00 // B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 67:02 C08L 67:02 B01D 29/34 510C 520B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの製膜に供される
    ポリエチレンナフタレートを主たる成分とする溶融熱可
    塑性樹脂を、外周の立ち上がり角度θが42度以下のフ
    ィルターエレメントを用いてろ過することを特徴とする
    熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリエチレンナフタレートの多塩基
    酸部分の少なくとも70モル%が2,6−ナフタレンジ
    カルボン酸であって、多価アルコール部分の少なくとも
    70モル%がエチレングリコールである請求項1に記載
    の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 製膜された熱可塑性樹脂フィルムが2軸
    延伸されたハロゲン化銀写真フィルム用支持体である請
    求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009538726A (ja) * 2006-05-31 2009-11-12 ナムローゼ・フエンノートシャップ・ベカート・ソシエテ・アノニム ディスク状フィルタ要素およびディスク状フィルタ要素を供給するための方法

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JP2009538726A (ja) * 2006-05-31 2009-11-12 ナムローゼ・フエンノートシャップ・ベカート・ソシエテ・アノニム ディスク状フィルタ要素およびディスク状フィルタ要素を供給するための方法

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