JP2001079052A - 浴室用背中マッサージ器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水圧駆動で、コンパクトで浴槽内に設置可能
で、温浴と身体の機械的刺激による相乗的作用を得るこ
とができる背中マッサージ器を得る。 【解決手段】 固定フレームに連結されて上下方向に延
びる左右一対の背面フレームと、水圧アクチュエータ
と、各背面フレームの前縁に設けられている湾曲したガ
イドと、相互の間隔を保持してこのガイドに沿って連結
されて移動する複数の昇降ブラケットと、この複数の昇
降ブラケットに水平方向の軸回りに自由回転可能に軸着
された左右で対となる複数の押圧ローラとを備えてい
る。固定フレームは、浴槽に固定するか、浴槽自体とす
るか、椅子とすることができる。押圧ローラ４は、使用
者の背中を上下に押圧転動して刺激する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、浴槽や浴室で用
いる椅子に取付けて使用するマッサージ器に関するもの
で、背中に機械的（力学的）刺激を与えて筋肉の弛緩や
血行を促進する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】椅子の背凭れ内に装着して、座った人の
背中に機械的刺激を与えることにより、疲労回復やスト
レス解消を図る背中マッサージ器は、種々の構造のもの
が提唱されている。これらのマッサージ器では、人体を
押圧するローラなどの押圧部材を進退、振動又は移動さ
せるエネルギー源として、電気を用いている。人体に機
械的刺激を与えて筋肉の弛緩や血行の促進、ストレスの
解消などを図るマッサージは、温浴と同時に行うことに
よって相乗的な効果が得られる。しかし電気をエネルギ
ー源とする装置は、感電や漏電の危険があるため、浴室
内で使用することはできない。そこで従来のこの種の背
中マッサージ器は、浴室の脱衣所等に置かれて、温浴直
後に使用するようにしている。

【０００３】浴室内で使用する機器のエネルギー源とし
て、水圧を用いる装置が種々提案されており、例えば高
齢者の入浴を介護する装置等に、水道の圧力をエネルギ
ー源として入浴者の立ち居を助ける装置などが種々提案
されている。水圧をエネルギー源として利用することに
より、浴室内での使用を可能にした背中マッサージ器
は、実開昭６２−７８９２９号公報により既に提案され
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記公報で提案
されている装置は、背流しと兼用の装置であること及び
水道水をモップやローラの昇降運動に変換する機構に重
点が置かれた装置であるため、マッサージ器としての機
能が不十分である。またその構造や大きさの点で、浴槽
内に設置することが困難であるため、温浴しながらマッ
サージするということができず、温浴と機械的刺激によ
る疲労回復やストレス解消の相乗的効果を十分に享受で
きない。またその構造上、装置高さが高くなり、装置の
転倒を防止するにはある程度の設置面積が必要であるた
め、装置が大型になり、比較的狭い一般家庭の浴室内で
使用するには困難がある。

【０００５】そこでこの発明は、浴室内で使用しても感
電や漏電の心配のない水圧を利用した背中マッサージ器
であって、コンパクトで浴槽内に設置することが可能
で、従って温浴と身体の機械的刺激による相乗的作用を
得ることができ、かつマッサージ機能も優れた、浴室用
の背中マッサージ器を得ることを課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の浴室用背中マ
ッサージ器は、固定フレーム１と、固定フレームに連結
されて上下方向に延びる左右一対の背面フレーム６と、
水圧アクチュエータ８と、各背面フレームの前縁に設け
られている湾曲したガイド１６と、相互の間隔を保持し
てこのガイドに沿って連結されて当該ガイドに沿って移
動する複数の昇降ブラケット１１と、この複数の昇降ブ
ラケットに水平方向の軸回りに自由回転可能に軸着され
た左右で対となる複数の押圧ローラ４とを備えている。

【０００７】請求項２の発明は、昇降ブラケット１１を
往復動させる構造としたものである。昇降ブラケットを
往復動させる構造では、水圧アクチュエータとして最も
一般的な水圧シリンダを用いることができ、背面フレー
ムの前縁に設けるガイド１６も一本で良く、複数の昇降
ブラケットを前記水圧シリンダのロッドに連結して駆動
できるから、構造が簡単でコンパクトにできる。

【０００８】固定フレーム１は、例えば吸盤やフックの
ような固定具によって浴槽や浴室の壁面に固定される。
背面フレーム６は、固定フレーム１と一体に連結しても
よいが、背面フレーム６の上部または下部に設けた水平
方向の軸回りに揺動可能に連結すれば、背面フレームの
傾斜を使用者の背中の角度に合せて調整できる。このと
きは、背面フレーム６の固定フレーム１に対する角度を
固定する止めねじなどの締結具を設けるか、あるいは背
面フレーム６を前方（使用者側）に付勢するバネないし
クッション材を設けて、使用者の押付け力によって背面
フレーム６の角度が変わるようにする。

【０００９】固定フレーム１は使用者の尻を乗せる座板
とすることができ、これに短い脚を付けることによって
椅子を形成することもできる。固定フレームで座板や椅
子を形成したときは、背面フレーム６が背凭れを形成す
る。

【００１０】また浴槽自体を固定フレームとすることも
できる。傾斜させた浴槽の内壁面に凹所を設け、その凹
所内に背面フレーム６を収容する。背面フレームは、浴
槽に固定した状態で設けることもできるし、入浴者のレ
バー操作などで迫り出してくるように、出没機構を介し
て浴槽に装着することもできる。

【００１１】昇降ブラケット１１は、その左右両側に設
けられたガイドローラ１７ないしガイドシューを背面フ
レームのガイド１６に転動ないし摺動自在に嵌合するこ
とによって案内される。複数の昇降ブラケット１１は互
いに連結されているので、それらの内の一つを水圧アク
チュエータ８に連結することにより、全体が同期して昇
降する。

【００１２】背面フレームのガイド１６は、周回路を形
成するように設けることもでき、このときはエンドレス
に連結した昇降ブラケットを当該ガイドに沿って周回さ
せる。周回方向は、背面フレームの前縁側（使用者側）
のガイドに沿って昇降ブラケットが上昇する方向であ
る。昇降ブラケットの周回駆動は、水圧シリンダの往復
動をワンウェイクラッチで間欠一方向回転に変換する構
造が実用的であるが、回転出力軸を有するモータ型の水
圧アクチュエータを用いることもできる。

【００１３】押圧ローラ４は、使用者の背中に当接して
上下に転動することにより、使用者の背中を押圧して刺
激する。複数の押圧ローラが上下に配置されることとな
るため、短い往復ストロークで背中全体をマッサージす
ることが可能で、水圧シリンダ８の作動ストロークが小
さくて済み、装置全体をコンパクトにできる。

【００１４】請求項３の浴室用背中マッサージ器は、昇
降ブラケットを往復動させるものにおいて、押圧ローラ
４をその押圧方向に進退させるローラ進退機構２２を設
け、昇降ブラケット１１のストローク下端と上端とにロ
ーラ進退機構２２を進出方向と退避方向とに動作させる
下ストッパ２５と上ストッパ２４とを設けたものであ
る。。

【００１５】往復動する昇降ブラケット１１のストロー
ク端においてローラ進退機構を動作させる上下のストッ
パは、例えば斜面カムのような部材とすることもできる
し、下記実施例に示すようにローラ軸２１を進退させる
レバー２２に当接する衝突部材とすることもできる。

【００１６】ローラ進退機構は、死点を越えて揺動する
部材を含めることによって、バネ力または背中への押圧
力を利用して、押圧ローラの進出状態及び退避状態を保
持できる。このような機構を用いることにより、押圧ロ
ーラのストローク下端で押圧ローラが進出して上昇し、
ストローク上端で押圧ローラが後退して下降するという
運動を行わせることができ、往復上下動する押圧ローラ
４に背中を揉み上げるような動きをさせることができ
る。

【００１７】請求項４のは、昇降ブラケットを往復動さ
せるものにおいて、背面フレーム６の上端に枢着されて
水圧シリンダ８のロッドの進退に連動して上下方向に揺
動するアーム２８を設け、このアームの先端に肩揉みロ
ーラ５を装着したものである。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下実施例を示す図面を参照し
て、この発明の実施の形態を具体的に説明する。図の実
施例は、固定フレーム１を浴槽の壁面に吸盤２で固定し
て浴槽内で使用するようにした構造で、偏心ローラ軸３
による押圧ローラ４の進退機構を備え、かつ肩揉みロー
ラ５をも備えた構造である。

【００１９】２枚の板状の部材からなる背面フレーム６
は、その下方の支点軸７で吸盤２を備えた固定フレーム
１に軸着されている。左右の背面フレーム６は、水圧シ
リンダ８を固定するためのブラケットで連結されて一体
化されている。この水圧シリンダ固定用のブラケット
は、水圧シリンダ８のヘッドエンド側とロッドエンド側
に設けられている。支点軸７より上方の固定フレーム１
と背面フレーム６との間には、背面フレーム６を使用者
９側へ押動するバネ（図示せず）が設けられている。

【００２０】支点軸７の中間部には、左右一対のリンク
状部材からなる駆動レバー１０の基端が枢着されてお
り、この駆動レバーの先端が後述する昇降ブラケット１
１の最下端のものにリンクピン１２で枢支連結されてい
る。水圧シリンダ８のロッド１３の先端には、使用者９
側を向いたヨーク１４が固定されており、左右の駆動レ
バー１０の先端側を連結している駆動ピン１５をヨーク
１４に嵌挿することにより、水圧シリンダのロッド１３
の往復動が駆動レバー１０に伝達されている。

【００２１】左右の背面フレーム６の前縁内側には、人
間の背中の形状に合せて側面視で緩いＳ字状に湾曲した
ガイド溝１６が設けられており、このガイド溝に昇降ブ
ラケットの両側に位置するガイドローラ１７が転動自在
に嵌合している。ガイドローラ１７は、隣接する上下の
昇降ブラケット相互を連結している枢支ピンの両端に自
由回転自在に軸着されている。

【００２２】昇降ブラケット１１は、左右の背面フレー
ム６の間に嵌まり込む、平面視で浅いコの字形の板状の
部材で、その上縁中央に設けた凹部１８と下縁中央に設
けた凸部１９とが互いに嵌まり合って枢支連結された構
造をしている。すなわち複数の昇降ブラケット１１は、
チェンのリンクのように連結されて、各昇降ブラケット
の左右端に設けたガイドローラ１７によりガイド溝１６
に案内されて、ガイド溝の湾曲に沿って全体が蛇行する
ように昇降する。前述したように、昇降ブラケットの下
端のもの２０に駆動レバー１０の先端が枢着されて、複
数の昇降ブラケット１１全体を昇降させている。

【００２３】各昇降ブラケット１１には、左右一対の押
圧ローラ４の各々が、水平方向のローラ軸２１で自由回
転可能に軸支されている。ローラ軸２１は偏心した中心
孔を有する偏心軸で、その中心孔は、昇降ブラケット１
１に固定された水平方向の軸に回動自在に挿通されてい
る。従って、ローラ軸２１を所定角度回動させることに
より、押圧ローラ４が進退する。

【００２４】各ローラ軸には、先端に進退ローラ２３を
軸着した短い進退レバー２２が固定されており、各押圧
ローラの上昇ストローク端と下降ストローク端の位置で
進退ローラ２３に当接してこれを揺動させる上ストッパ
２４と下ストッパ２５とが背面フレーム６に固定して設
けられている。

【００２５】図の実施例のものでは、押圧ローラ４の上
下方向の配置ピッチ間距離より押圧ローラの昇降ストロ
ークを大きくしているため、隣接する押圧ローラの進退
レバー２２を操作するためのストッパ相互が干渉する。
そこでこれを避けるために、進退ローラ２３を進退レバ
ー２２の内側と外側とに互い違いに配置し、ストッパ２
４、２５が交互に進退レバーの外側と内側とになるよう
にして、ストッパ相互の干渉を回避している。

【００２６】マッサージ器を使用しているときは、使用
者の背中との当接力により、押圧ローラ４にこれを退避
させる方向の力Ｆが常に作用している。押圧ローラ４が
ストローク上端に達して、上ストッパ２４が進退レバー
２２を押し下げた図５に示す押圧ローラ退避状態では、
進退レバー２２が上死点（押圧ローラ進出側の死点）を
越えて図で右回りに回動した位置になるため、使用者の
背面との押接力Ｆが進退レバー２２を昇降ブラケット側
の軸心３回りに更に右回りに回動させるように働いて、
押圧ローラ４の退避状態を保持し、従って押圧ローラ４
は、退避状態を保ったまま下方にストロークする。

【００２７】一方、押圧ローラ４が下方のストローク端
に達して、進退レバー２２が下ストッパ２５で上方に押
動させられた図６に示す状態では、進退レバー２２の昇
降ブラケット側の軸心３と押圧ローラの回転中心２１と
を繋ぐ線２６が上死点を越えて図の左回りに揺動するた
め、使用者の背中との押接力Ｆ及び移動抵抗力Ｒが進退
レバー２２を図の左回りに揺動させるように作用し、従
って押圧ローラ４は、図６に示す進出状態を保持したま
ま上方にストロークする。

【００２８】従って上記機構により、水圧シリンダ８の
ロッド１３の進退動作により、複数個の押圧ローラ４が
同期して上下に往復動し、かつ各押圧ローラは、ストロ
ーク下端に達したときに前方すなわち使用者側に進出し
てその状態を保持したまま上動し、上端に達したときに
後退してその状態を保持したまま下降するという運動を
繰返し、使用者の背中を揉み上げるように刺激する。

【００２９】左右の背面フレーム６の上端外側には、ピ
ン２７が立設され、前端に肩揉みローラ５を軸支したシ
ーソー状のアーム２８が枢着されている。アーム２８の
後端には、クロスヘッド２９を介して下端を駆動レバー
１０に連結した連結ロッド３０の上端が連結されてい
る。連結ロッド３０は、クロスヘッド２９を貫通して、
その上端に止めナット３１が設けられており、かつクロ
スヘッド２９を止めナット３１に向けて付勢するコイル
バネ３２が設けられている。また肩揉みローラ５は、左
右の幅方向位置を調整できるように、上下方向のピン回
りに揺動可能なローラブラケット３３を介して装着され
ている。

【００３０】上記構造により肩揉みローラ５は、駆動レ
バー１０の上動動作時に下降して使用者の肩に当接し、
コイルバネ３２のバネ力によって使用者の肩を押さえる
動作をする。クロスヘッドやコイルバネを設ける代わり
に、アーム２８を上下方向に撓む板バネとすることによ
り、同じ作用を行なわせることができる。

【００３１】水圧シリンダ８は、切換弁３４を介して水
道の蛇口３５または浴槽の水を循環するポンプの吐出口
に連結されて往復動する。切換弁３４は、短いストロー
クで切換弁のスプールないしタペットを切換える切換レ
バー３６と、これより大きなストロークで上下方向に動
作するスライダ３７とを備えている。

【００３２】切換弁３４は、水圧シリンダ８に沿わせて
一体化した構造をしており、スライダ３７は水圧シリン
ダのストローク方向の両側に延びるように設けられてい
る。水圧シリンダ８は、両ロッドシリンダで、その両側
のロッドに押動ストッパ３８が固定されており、水圧シ
リンダ８の進退ストロークの上下端部分において、押動
ストッパ３８がスライダ３７の軸端に当接して、これを
上下動させる。

【００３３】切換弁の切換レバー３６は、フリップフロ
ップ機構を備えており、水圧シリンダがストローク端に
達する直前でスライダ３７に押されて中立位置を越え、
その時点で切換弁が瞬間的に切換えられる。切換弁のこ
のような構造により、水道または浴槽の湯の循環ポンプ
から連続的に供給される水ないし湯によって、水圧シリ
ンダ８の正確で円滑な連続往復動作が保証される。

【図面の簡単な説明】

【図１】使用状態の例を示す側面図

【図２】図１のマッサージ器の内部機構を示す側面図

【図３】図２のマッサージ機の要部の正面図

【図４】図２のマッサージ機の要部の平面図

【図５】押圧ローラの退避状態を示す部分拡大側面図

【図６】押圧ローラの進出状態を示す部分拡大側面図

【図７】押圧ローラ昇降用水圧シリンダの駆動系を示す
図

【符号の説明】

１ 固定フレーム ４ 押圧ローラ ５ 肩揉みローラ ６ 背面フレーム ８ 水圧シリンダ 11 昇降ブラケット 16 ガイド溝 22 進退レバー 24 上ストッパ 25 下ストッパ 28 アーム

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定フレーム(1)と、固定フレームに連
   結されて上下方向に延びる左右一対の背面フレーム(6)
   と、水圧アクチュエータ(8)と、各背面フレームの前縁
   に設けられている湾曲したガイド(16)と、相互の間隔を
   保持してこのガイドに沿って連結されて当該ガイドに沿
   って移動する複数の昇降ブラケット(11)と、この複数の
   昇降ブラケットに水平方向の軸回りに自由回転可能に軸
   着された左右で対となる複数の押圧ローラ(4)とを備
   え、前記複数の昇降ブラケットが前記水圧アクチュエー
   タに連結されて前記ガイドに沿って移動する、浴室用背
   中マッサージ器。
2. 【請求項２】 固定フレーム(1)と、固定フレームに連
   結されて上下方向に延びる左右一対の背面フレーム(6)
   と、背面フレームの間に配置された水圧シリンダ(8)
   と、各背面フレームの前縁に設けられている湾曲したガ
   イド(16)と、相互の間隔を保持してこのガイドに沿って
   連結されて当該ガイドに沿って往復動する複数の昇降ブ
   ラケット(11)と、この複数の昇降ブラケットに水平方向
   の軸回りに自由回転可能に軸着された左右で対となる複
   数の押圧ローラ(4)とを備え、前記複数の昇降ブラケッ
   トが前記水圧シリンダのロッドに連結されて往復駆動さ
   れる、浴室用背中マッサージ器。
3. 【請求項３】 押圧ローラ(4)をその押圧方向に進退さ
   せるローラ進退機構(22)を備え、昇降ブラケット(11)の
   ストローク下端と上端とにローラ進退機構(22)を進出方
   向と退避方向とに動作させる下ストッパ(25)と上ストッ
   パ(24)とが設けられている、請求項２記載の浴室用背中
   マッサージ器。
4. 【請求項４】 背面フレーム(6)の上端に枢着されて水
   圧シリンダ(8)のロッドの進退に連動して上下方向に揺
   動するアーム(28)と、このアームの先端に装着された肩
   揉みローラ(5)とを備えている、請求項２または３記載
   の浴室用背中マッサージ器。