JP2001078771A - 新規タンパク質及び該タンパク質をコードする遺伝子並びに該タンパク質の製造法 - Google Patents

新規タンパク質及び該タンパク質をコードする遺伝子並びに該タンパク質の製造法

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egf
acid sequence
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Eisuke Munakata
英輔 宗像
Naohiro Kobayashi
直宏 小林
Toshinori Shigematsu
俊礼 重松
Akira Miyauchi
明 宮内
Hiroaki Takagi
広明 高木
Koji Yashiro
好司 八代
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Higeta Shoyu Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 上皮細胞増殖因子(Epidermal Growth F
actor : EGF)様活性を有する新規タンパク質、及び、
固相合成法を利用する化学的合成法、遺伝子操作を利用
する生化学的合成法による該新規タンパク質の製造法が
提供される。 【効果】 EGF様活性物質の低分子化が可能となっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規タンパク質及
び該タンパク質をコードする遺伝子並びに該タンパク質
の製造方法に関する。更に詳細には、本発明は、新規な
上皮細胞増殖因子(Epidermal growth factor : EGF)様
生理活性を有するタンパク質及び該タンパク質を化学的
に合成し、更にリフォールディングさせ、これを採取す
ることを特徴とする該タンパク質の製造法に関する。ま
た、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を組み
込んだブレビバチルス属細菌を培養することにより、該
タンパク質を培養物中に生成、蓄積せしめ、これを採取
することを特徴とする該タンパク質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】EGFは、ヒトや馬の尿中やウサギ、ラ
ット及びマウスの顎下腺から単離されており、哺乳動物
の体内に存在していることが知られている(Adv. Meta
b. Dis., 8, 265(1975))。ヒト上皮細胞増殖因子(hum
an Epidermal Growth Factor :h-EGF)は、53個のア
ミノ酸からなる分子量約6,000のペプチドで、分子
内に3カ所のジスルフィド結合を持ち、配列表の配列番
号5に示されるアミノ酸配列であることが知られている
(H. Gregory, Nature, 257, 325(1975))。EGFの生
理活性として現在までに報告されているものは、細胞増
殖作用、胃酸分泌抑制作用、抗潰瘍作用、消化管粘膜保
護作用、DNA合成促進作用、角膜修復作用、カルシウ
ム遊離促進作用、創傷治癒促進作用、抗炎症作用、鎮痛
作用、肝細胞障害抑制作用及び毛胞退縮作用などがある
(日本組織培養学会編、細胞成長因子、20頁、朝倉書
店 1984年)。EGFはこのような作用を有するこ
とから創傷治癒薬、抗潰瘍剤、抗癌剤補助剤などとして
の様々な応用が試みられている(BIO INDUSTRY, 8, 275
(1991))。
【0003】このようにEGFについて種々の応用研究
が進められている一方、EGFの効率的生産方法につい
ても種々検討がなされており、遺伝子組換えによるEG
Fの製造方法も種々報告されている。特に恵比須らはバ
チルス・ブレビスHPD31(Bacillus brevis HPD31
: なおこの菌株はブレビバチルス・チョーシネンシス
HPD31(FERM BP−1087)と同一菌株で
ある)を宿主菌としたh−EGFの分泌生産系におい
て、h−EGFを培地中に約3g/l生産させることに
成功している(特開平6−133782)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、h−EGF
の医薬面からの有効性を高めるため、全く新しい構造の
h−EGFを創製する目的でなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであって、本発明者らは、従来
より、医薬品を目指した試験研究、応用研究はh−EG
Fの構造を改変させたものでも行われてきたが、薬剤の
皮膚吸収性等の改善を目的としてより低分子化させたh
−EGFに関する検討は十分なされていなかった点に鑑
み、h−EGF様活性を有する低分子化した新規タンパ
ク質を創製するという新規技術課題を設定した。
【0006】上記技術課題を解決するために、本発明者
らは、鋭意研究の結果、化学合成法又は遺伝子工学的手
法によってh−EGF様活性をもつ低分子化した新規タ
ンパク質を製造することに成功し、本発明を完成するに
至った。
【0007】すなわち本発明は、新規タンパク質及び該
タンパク質を化学的に合成し、更にリホールディングさ
せ、これを採取することを特徴とする該タンパク質の製
造法に関する。また、該タンパク質をコードする遺伝
子、該遺伝子を組み込んだブレビバチルス属細菌を培養
することにより、該タンパク質を培養物中に生成、蓄積
せしめ、これを採取することを特徴とする該タンパク質
の製造法に関するものである。以下、本発明を詳細に説
明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の新規タンパク質は、配列
表の配列番号1に示すように35アミノ酸から成る。ま
た、本タンパク質のN末端から数えて8番目のアミノ酸
はCysteine又はSerineである(配列番号
1において、Xaa:CysまたはSer)。(図2)
【0009】本タンパク質は、化学合成法、遺伝子操作
による方法のいずれによっても製造することができる。
化学合成法としては、タンパク質、ペプチドの化学合成
に用いられる公知の方法が適宜使用可能であり、樹脂を
用い、保護基で保護したアミノ酸をC−末端側から付加
して合成する固相法等が挙げられる。固相法としては、
保護基としてBoc基(ブチルオキシカルボニル基)、
Fmoc基(9−フルオレニルメトキシカルボニル基)
をそれぞれ用いたBoc法ペプチド合成、Fmoc法ペ
プチド合成等が適宜使用され、特にFmoc(9-Fluore
nylmethyloxycarbonyl)アミノ酸誘導体を用いたMerrif
ieldの固相合成法(Sin, S. Y., et al, Peptides, 1
6, 205-210(1995),Sin, S. Y., et al., Int. J. Pept
ide Protein Res., 44, 485-490(1994))が好適に使用
できる。また、自動固相合成機を利用して本タンパク質
を合成することも可能である。
【0010】一方、本発明の新規タンパク質の製造方法
として、さらに遺伝子工学的手法を取り入れ、微生物に
生合成させる方法が挙げられる。該タンパク質をコード
する遺伝子は化学的に合成した遺伝子を用いることがで
き、合成遺伝子を用いる場合は発現系の細胞において最
も容認されたコドンを採用した遺伝子が好適に使用でき
る。具体的には配列番号2(s:gまたはc)及び/又
は配列番号3に示す塩基配列を有する遺伝子などを用い
ることができる。
【0011】このようにして得た遺伝子を宿主菌内に導
入、保持させるベクターは、宿主菌内で複製可能なプラ
スミドを使用することができる。例えば、宿主菌がブレ
ビバチルス属細菌の系ではpUB110やpNU200
(鵜高重三、日本農芸化学会誌、61、669(1987))、p
HY700( Ebisu,S., et al., Biosci. Biotech,Bi
ochem, 56, 812-813(1992))、pHT110(特開平6
−133782)やこれらの派生体などのプラスミドを
使用できる。
【0012】これらのプラスミドを構築する方法として
は、公知の方法が適宜用いられ、例えばモレキュラー・
クローニング、ア・ラボラトリーマニュアル第2版、コ
ールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Molecu
lar Cloning 2nd ed., A Laboratory Manual, Cold Spr
ing Harbor Laboratory, 1989)に記載の方法などが例
示される。
【0013】本発明において宿主菌として用いる細菌は
ブレビバチルス属細菌であればいずれの菌株でもよい
が、ブレビバチルス・チョーシネンシス(Brevibacillu
s choshinens)等が好適に使用できる。
【0014】宿主菌を形質転換する方法は公知の方法で
よく、例えば、Takahashiらの方法(Takahashi et al.,
J. Bacteriol., 156, 1130(1983))またはTakagiらの方
法(Takagi,H. et al., Agric, Biol, Chem., 53, 3099-
3100(1989))などが例示される。
【0015】得られた形質転換体の培養に用いる培地
は、形質転換体が生育して本発明タンパク質を生産しう
るものであれば如何なるものでもよい。培地に含有され
る炭素源としては、例えば、グルコース、シュークロー
ス、グリセロール、澱粉、デキストリン、糖蜜、有機酸
などが用いられる。また、窒素源としては、カゼイン、
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸、尿素、
グリシンなどの有機窒素源、硫酸アンモニウムなどの無
機窒素源などが用いられる。その他、塩化カリウム、リ
ン酸一カリウム、リン酸二カリウム、塩化ナトリウム、
硫酸マグネシウムなどの無機塩が必要に応じて培地に加
えられる。栄養要求性を示す菌はその生育に必要な栄養
物質を培地に添加すればよい。該栄養物質としては、ア
ミノ酸類、ビタミン類、核酸などが挙げられる。
【0016】また、培養に際して必要があれば、培地に
抗生物質例えばペニシリン、エリスロマイシン、クロラ
ムフェニコール、バシトラシン、D−サイクロセリン、
アンピシリン、ネオマイシンなどを加える。更に必要に
より、消泡剤例えば大豆油、ラード油、各種界面活性剤
などを加えてもよい。
【0017】培地の初発pHは5.0〜9.0、さらに
好ましくは6.5〜7.5である。培養温度は通常15
℃〜42℃、さらに好ましくは24℃〜37℃であり、
培養時間は通常16〜166時間、さらに好ましくは2
4〜96時間である。
【0018】本発明で、形質転換体を前記の条件で培養
することによって、培養液中に本発明タンパク質が生
成、蓄積され、安定に生産される。このようにして得ら
れた本発明タンパク質は公知の方法により、例えば膜処
理、硫安分画法、クロマトグラフィーなど(タンパク質
・核酸の基礎実験法、南江堂(1985))で精製する
ことができる。
【0019】このようにして得られた本発明タンパク質
の生理活性については既存の方法で測定することができ
る。例えば細胞増殖活性は、ラットの初代培養肝実質細
胞を用いた細胞増殖試験(J. Antibiotics, 38, 1767-1
773(1985))や、MTTによる検出法(Mossmsnn, T.,
J. Immunol. Method, 65, 55-63(1983))を用いて、H
ela細胞に対する増殖を指標に確認することができ
る。また、DNA合成刺激作用は3H−チミジンのヒト
繊維芽細胞などを用いた取り込み試験(細胞成長因子、
朝倉書店(1984))で確認することができる。
【0020】本発明では、新規なタンパク質を創製する
ことによって、今まで天然EGFでしか適用できなかっ
た分野以外にも、より広範な分野への適用が期待され
る。
【0021】以下本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、これは例示的なものであり、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0022】
【実施例1】[Ser8]−EGF(1−35)の化学
合成 [Ser8]h−EGF(1−35)は、Merrifieldの
固相合成法に基づき、Fmocにて合成した(Shin,S.
Y., et al., Peptides, 16, 205-210(1995))。合成し
た[Ser8]−EGF(1−35)は天然hEGFの
配列において、20位のCysをSerに置換し、N端
側を1〜12位、C端側を48〜53位削除したもので
ある。各アミノ酸の保護基として、α−アミノ基はFm
oc基、側鎖保護基は、Cys、Asn、Gln、Hi
sはOtBu(1-hydroxybenzotriazole)基、Ser、
TyrはtBu(tert-butyl)基、ArgはPmc(Ng
-2,2,5,78-pentamethylchroman-6-sulphonyl-L-arginin
e)基をそれぞれ用いた。
【0023】樹脂へのFmocアミノ酸の導入は、以下
に示すDCC−DMAP法(Wang,S.‐S., et al., In
t. J. Peptide Protein Res., 6, 103-109(1974))を用
いた。樹脂は、HMP(hydroxymethylphenoxy)-PEG(po
lyethyleneglycol)樹脂を用いた。まず、樹脂をDCM
(dichloromethane)、MeOHで洗浄後、DCM−DM
F(N,N′-dimethylformamide)混合溶媒中で樹脂に対
して3当量のFmoc−Leu、1.5当量のDCC
(N,N′-dicyclohexylcarbodiimide)、0.15当量の
DMAP(dimethylaminopyridine)、1.5当量のD
IEA(N,N′,N″-diisopropylethylamine)を室温で
1.5時間反応させ、HMP−PEG樹脂にFmoc−
Leuを導入した。樹脂へのアミノ酸の導入量は、Fm
oc−Leu−HMP−PEG樹脂を30%piperidine
/DMF中、30分間反応した後に生成するN-9-fluore
nylpiperidineの301nm波長における吸光度を測定
し、Fmoc基のモル吸光係数(6800)から求め
た。また、樹脂の未反応水酸化メチル基に対するキャッ
ピングは、樹脂に存在するHMP基に対し、10当量の
安息香酸無水物、2当量のDCC、0.2当量のDMA
PをDMF−DCM混合溶媒中、1時間室温で反応させ
行った。
【0024】ペプチド鎖の伸長は、以下のように行っ
た。Fmoc−Leu−HMP−PEG樹脂を20%pi
peridine/NMP中で30分間処理し、Fmoc基を除
去した。その後、樹脂をDCM、MeOHで交互に洗浄
し、Leu−HMP−PEGのα−アミノ基とFmoc
−Asp(OtBu)を縮合反応させた。縮合反応は、
樹脂に導入されたC末端アミノ酸に対して、2〜3当量
のFmocアミノ酸、HOBt、HBTU(2(1-hydrox
ybenzotriazol-1-yl)-1,1,3,3,-tetrametyluroniumhexa
fluorophosphate)、DIEAをNMP(N-metylpyrorr
idone)中で攪拌しながら、2〜5時間反応させた。こ
のようにしてC末端から配列に従って順次縮合を行い、
ペプチド鎖を伸長させた。このようにFmoc基の除去
とFmocアミノ酸の縮合反応を繰り返すことにより、
保護ペプチド樹脂を得た。
【0025】ペプチド鎖の脱保護及び樹脂からの切断
は、以下のように行った。縮合反応を終えた保護ペプチ
ド樹脂はFmoc基を除去した後、TFA処理によりペ
プチドから脱保護、樹脂の切断を行った。TFA処理
は、氷冷下、保護ペプチド樹脂(50〜300mg)に
対してTFA(8.25ml)、チオアニソール(0.
50ml)、水(0.50ml)、フェノール(0.5
6g)、1,2−エタンジオール(0.25ml)を加
え、室温で2時間反応させ、反応終了後、樹脂をろ別
し、ろ液中のTFAを減圧濃縮した。次にジエチルエー
テルを加え、冷却下で約1時間静置してスカベンジャー
を除去し、粗ペプチドを50%アセトニトリルで抽出し
凍結乾燥した。
【0026】以上の方法により、固相担体には樹脂1g
あたり0.26mmolのHMP基を有するHMP−P
EG樹脂を用い、DCC−DMAP法により[Se
8]−EGF(1−35)のC末端アミノ酸の誘導体
であるFmoc−Leuの導入を試みた。その結果、F
mocアミノ酸が0.206mmol/g樹脂導入され
たHMP−PEG樹脂を1.0g得た。
【0027】
【実施例2】化学合成[Ser8]−hEGF(1−3
5)の精製 粗ペプチドは、0.2M DTT(dithiothreitol)お
よび6Mグアニジン塩酸塩中に溶解することにより、分
子内にジスルフィド結合を含まない還元型粗ペプチドに
した後、逆相高速液体クロマトグラフィー(reverse-ph
ase high performance liquid chromatography, RP-HPL
C)で精製を行った。カラムは、和光純薬工業製、WA
KOSIL 5C18−ARカラム(内径:10mm、
長さ:300mm)を使用した。溶媒はA液として0.
1%TFA水溶液、B液として0.1%TFA(triflu
oroacetic acid)アセトニトリルを利用し、B液の直線
的な濃度勾配をつけて目的のペプチドを溶出させた(流
速:5ml/min、勾配:1%/min、検出波長:
214nm)。得られたペプチドをWAKOSIL5C
18(内径:4.6mm、長さ:250mm)を用い、
流速1ml/min、検出波長214nmで精製ペプチ
ドの純度を検定した。また、6M塩酸中、微量の結晶フ
ェノール存在下で加水分解後、アミノ酸分析計(日立L-
8500 Amino Acid Analyzar)によりアミノ酸組成、ア
ミノ酸配列分析装置(島津製作所PPSQ-10)により一次
構造を決定した。
【0028】以上のように、粗ペプチドは単一物質でな
かったため、RP−HPLCにより精製し、還元型[S
er20]−hEGF(13−47)を得た。精製物をR
P−HPLCで単一ピークであることを確認したうえ
で、アミノ酸分析、アミノ酸配列分析を行ったところ、
それぞれ目的とするものに一致した。以上のことより、
還元型[Ser8]−EGF(1−35)が目的どおり
に合成されていることが示唆された。収量はTFA処理
により、粗還元型[Ser8]−EGF(1−35)は
750mg得られた。その後、RP−HPLCを用いて
精製することにより、還元型[Ser8]−EGF(1
−35)がそれぞれ68mg得られた。
【0029】精製した[Ser8]−EGF(1−3
5)を還元、変性処理した後、酸化還元剤の存在下でリ
フォールディングさせた。2.0mgの[Ser8]−
EGF(1−35)を20mM DTT(dithiothreit
ol)、6Mグアニジン塩酸塩を含んだ0.2mlの0.
1M Tris−HCl緩衝液(pH7.3)に溶解し
て90分還元、変性処理し、アンフォールドした。還
元、変性処理をした[Ser8]−hEGF(1−3
5)溶液0.2mlを[Ser8]−hEGF(1−3
5)の濃度が0.1mg/mlになるように酸化還元緩
衝液に希釈し、リフォールディングを開始させた(酸化
還元緩衝液:30mM酸化型グルタチオン、10mM還
元型グルタチオン/0.1M Tris−HCl緩衝液
(pH7.3))。各経過時間毎に反応溶液を少量分取
し、88%蟻酸を加えてSH−SS交換反応を止め、R
P−HPLCで分取した。
【0030】このピークを分取し、還元型[Ser20
−hEGF(13−47)68mgから最終酸化により
得られた酸化型[Ser8]−EGF(1−35)は、
2.3μmol(9.3mg)であり、反応収率は1
3.7%であった。WAKOSIL 5C18(内径:
4.6mm、長さ:250mm)を用い、流速1ml/
min、検出波長214nmで最終に得られた精製ペプ
チドの純度を検定した。また質量分析の結果、このペプ
チドは、(M+H)+=4061.3を示し、この値は
酸化型[Ser8]−EGF(1−35)の理論値M/
Z 4061.7とよく一致した。以上のことから酸化
型[Ser8]−EGF(1−35)が合成されたこと
を確認した。
【0031】
【実施例3】組換え[Cys8]−EGF(1−35)
のブレビバチルス・チョーシネンシスHPD31での生
産 バチルス・ブレビスHP926(FERM BP−53
82)が保有するプラスミドpHT926より調製した
プラスミドpHT110−EGF(特開平6−1337
82)をApaLIとPstIで切断後、0.8%アガ
ロース電気泳動を行い、3.3kbのDNA断片を切り
出し、GENE CLEAN(Bio 101,USA)にて回収
した。[Cys8]−hEGF(1−35)のアミノ酸
配列をコードする合成遺伝子である配列番号3のDNA
および配列番号4のDNAを常法に従いアニーリング
し、上記3.3kbの回収DNA断片とT4リガーゼで
ライゲーションし、配列番号1の[Cys8]−EGF
(1−35)のアミノ酸配列をコードする遺伝子を保有
するプラスミドpHT110−[Cys8]−EGF
(1−35)を得た。(なお、配列番号3にかえて配列
番号2(s:c)のDNAを用いて同様に処理し、上記
プラスミドを得ることも可能であった。)
【0032】得られたプラスミド中のタンパク質をコー
ドする塩基配列をダイデオキシ法(Sanger, F., Nickel
en, S.& Colusion, A. R., Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA,74, 5493(1977))によって決定し、目的どおりの塩
基配列であることを確認した。本プラスミドpHT11
0−[Cys8]−EGF(1−35)をブレビバチル
ス・チョーシネンシスHPD31(FERM BP−1
087)にエレクトロポレーション法( Takagi, H.,et
al., Agric. Biol. Chem., 53, 3099-3100(1989))に
よって導入した。このプラスミドを保持するブレビバチ
ルス・チョーシネンシスHPD31/pHT−(FER
M−6862)を2SL培地(ペプトン4%、酵母エキ
ス0.5%、グルコース2%、MgSO4 0.01
%、FeSO4 0.001%、MnSO4 0.001
%、ZnSO4 0.0001%、エリスロマイシン1
0μg/ml pH7.2)を3ml分注した試験管を
オートクレーブで120℃、15分滅菌し、冷却後、こ
の10本に植菌し、30℃で3日間振とう培養を行っ
た。
【0033】
【実施例4】組換え[Cys8]−EGF(1−35)
の精製 実施例3で生産した目的ペプチドを含む培養液を遠心分
離し、上清液を回収し、さらに逆相高速液体クロマトグ
ラフィー(RP−HPLC)で精製を行った。カラム
は、和光純薬工業製、WAKOSIL 5C18−AR
カラム(内径:10mm、長さ:300mm)を使用し
た。溶媒はA液として0.1%TFA水溶液、B液とし
て0.1%TFAアセトニトリルを利用し、B液の直線
的な濃度勾配をつけて目的のペプチドを溶出させた(流
速:5ml/min、勾配:1%/min、検出波長:
214nm)。目的ペプチドのピークを含む画分を回収
し、凍結乾燥し、精製組換え[Cys8]−EGF(1
−35)を15mg得た。
【0034】
【実施例5】[Ser20]−EGF(1−35)及びの
[Cys8]−EGF(1−35)生物活性の測定 生物活性は、生細胞数を測定するMTT法を用いて、H
ela細胞に対する増殖あるいは生存維持活性を指標と
した。HeLa細胞は、260mlフラスコ(80cm
2)を用い、37℃で5%CO2存在下10%の非働処理
したFCSおよび硫酸ストレプトマイシン100mg/
l、ペニシリンG 50,000unit/l、NaHCO3
0.7g/lを含むDMEM(増殖培地)10ml中
で培養した。血清は非働処理(56℃、30min)し
た牛胎児血清(FCS)を使用し、基本培地に血清を1
0%加え増殖培地とした。細胞は4〜5×106個フラ
スコまで増殖させ、実験に供した。細胞の継代は増殖培
地を10%トリプシンを含むDMEM5mlに置換、5
分間37℃でインキュベートし細胞を剥離させ、この細
胞懸濁液に増殖培地5mlを加えて1000rpmで5
分間遠心し、沈殿した細胞を1×105個/mlの密度
となるように増殖培地に懸濁、これを各フラスコあたり
10ml播種し行った。
【0035】MTT法は、テトラゾリウム塩であるMT
T(黄色)が生細胞中のミトコンドリア内のデヒドロゲ
ナーゼ酵素によってテトラゾリウム環が開裂し、青紫色
のフォルマザンを形成することから、生細胞数をフォル
マザンの吸光度として測定する方法である。HeLa細
胞を2.5%トリプシン処理で離脱後、増殖培地で懸濁
し96wellプレートに5,000cells/wellの密度で9
0μlずつまいた。37℃、5%CO2で24時間イン
キュベートした後培地を除去し、DMEM培地(無血
清)を1回洗浄後90μl加え、24時間培養した。こ
こに各サンプル10μlまたはネガティブコントロール
として滅菌水10μl、またはポジティブコントロール
として5%FCS/DMEM培地をそれぞれ10μl加
え、3日間培養した。次に10μlのMTT溶液(12
mM MTT、0.15M NaCl、8mM Na2
HPO4、5mM EDTA・2Na、pH7.25)
を加えさらに4時間インキュベートした。その後、培地
を除去しフォルマザン溶解液(20% SDS、50%
DMF)を100μl加え、翌日プレートリーダーに
より550nmの吸光度を測定した。化学合成[Ser
8]−EGF(1−35)と組換え[Cys8]−EGF
(1−35)およびネイティブ型hEGFの増殖活性に
ついてMTT法を用いて検討した(図1)。
【0036】その結果、ネイティブ型hEGFは、He
la細胞に対し濃度依存的に増殖を促進し、10-8Mで
最大増殖活性を示し、これ以上高い濃度では、逆に阻害
された(EC50=5.0×10-11M)。これに対し、
C末端6残基、N末端12残基が削除された、化学合成
された新規[Ser8]−EGF(1−35)および組
換体によって製造された新規[Cys8]−EGF(1
−35)はいずれも10-7で最大増殖活性を示し、これ
以上の濃度では逆に阻害され、ネイティブ型hEGFに
対して約10分の1の活性を示した(EC50=6.0×
10-10M)。
【0037】
【発明の効果】本発明によって新規タンパク質が提供さ
れた。本タンパク質はh−EGF様活性を有するが、h
−EGFよりも低分子化されている点に特徴を有し、経
皮投与剤等医薬品の面で新しい分野への適用が期待され
る。
【0038】本発明によれば、本タンパク質の製造方法
を新たに開発され、固相合成法による化学的合成法及び
遺伝子工学的手法による生化学的製造法が確立された。
また、後者において使用する本タンパク質をコードする
遺伝子のDNA配列も明らかにされた。
【0039】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Higeta Shoyu Co., Ltd. <120> Novel Protein, Gene Encoding thereof and Producing Method of the Novel Protein <130> 6188 <141> 1999-9-7 <160> 5 <210> 1 <211> 35 <212> PRT <213> Artificial sequence <400> 1 Tyr Cys Leu His Asp Gly Val Xaa Met Tyr Ile Glu Ala Leu Asp 1 5 10 15 Lys Tyr Ala Cys Asn Cys Val Val Gly Tyr Ile Gly Glu Arg Cys 20 25 30 Gln Tyr Arg Asp Leu 35 <210> 2 <211> 152 <212> DNA <213> Artificial sequence <400> 2 gtgcactcgc acttactgtt gctccaatgg ctttcgcata ctgcctccat 50 gacggcgtgt ctatstatat tgaagcacta gacaaatacg catgcaactg 100 tgtagttggc tatattggtg aacgatgcca gtaccgagat ctgtaactgc 150 ag 152 <210> 3 <211> 150 <212> DNA <213> Artificial sequence <400> 3 tgcactcgca cttactgttg ctccaatggc tttcgcatac tgcctccatg 50 acggcgtgtc tatgtatatt gaagcactag acaaatacgc atgcaactgt 100 gtagttggct atattggtga acgatgccag taccgagatc tgtaactgca 150 <210> 4 <211> 143 <212> DNA <213> Artificial sequence <400> 4 gttacagatc tcggtactgg catcgttcac caatatagcc aactacacag 50 ttgcatgcgt atttgtctag tgcttcaata gacatagaca cgccgtcatg 100 gaggcagtat gcgaaagcca ttggagcaac agtaagtgcg agt 143 <210> 5 <211> 53 <212> PRT <213> Urine <400> 5 Asn Ser Asp Ser Glu Cys Pro Leu Ser His Asp Gly Tyr Cys Leu 1 5 10 15 His Asp Gly Val Cys Met Tyr Ile Glu Ala Leu Asp Lys Tyr Ala 20 25 30 Cys Asn Cys Val Val Gly Tyr Ile Gly Glu Arg Cys Gln Tyr Arg 35 40 45 Asp Leu Lys Trp Trp Glu Leu Arg 50
【図面の簡単な説明】
【図1】天然型hEGF、化学合成[Ser8]−EG
F(1−35)、組換え[Cys8]−hEGF(1−
35)によるHeLa細胞における増殖活性の濃度応答
曲線(MTT法)を示す。
【図2】本発明に係る新規タンパク質のアミノ酸配列を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:07) (C12N 1/21 C12R 1:07) (C12P 21/02 C12R 1:07) (72)発明者 高木 広明 茨城県鹿島郡波崎町7707−8 (72)発明者 八代 好司 千葉県銚子市三軒町8−9 第二玄蕃寮 203号 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 CA05 DA07 EA04 GA14 GA19 HA01 4B064 AG01 CA02 CA19 CC24 DA01 DA08 4B065 AA16X AA16Y AB01 AC14 BA03 CA24 CA44 4H045 AA10 AA20 BA18 CA40 DA20 EA22 EA28 FA34 FA44 FA74 GA25

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1のアミノ酸配列で示
    される新規タンパク質。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の新規タンパク質のアミノ
    酸配列をコードする、新規タンパク質遺伝子のDNA。
  3. 【請求項3】 配列番号2又は3の塩基配列で示され
    る、請求項2に記載の新規タンパク質遺伝子のDNA。
  4. 【請求項4】 固相合成法によることを特徴とする配列
    番号1のアミノ酸配列で示される新規タンパク質の製造
    法。
  5. 【請求項5】 Merrifieldの固相合成法によること、を
    特徴とする請求項4に記載の新規タンパク質の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のアミノ酸配列をコードす
    る新規タンパク質遺伝子のDNAを組み込んだ発現プラ
    スミドを保有するブレビバチルス属細菌を培養すること
    により、新規タンパク質を培養液中に生成、蓄積せし
    め、これを採取することを特徴とする新規タンパク質の
    製造法。
  7. 【請求項7】 新規タンパク質遺伝子のDNAが配列番
    号2又は3のDNAであることを特徴とする請求項6に
    記載の新規タンパク質の製造法。
  8. 【請求項8】 ブレビバチルス属細菌がブレビバチルス
    ・チョーシネンシスであることを特徴とする請求項6に
    記載の新規タンパク質の製造法。
  9. 【請求項9】 Brevibacillus choshinensis HPD 31/pH
    T-EGF’(FERM BP-6862)。
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