JP2001078591A - 農業用フィルム - Google Patents

農業用フィルム

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JP2001078591A
JP2001078591A JP26137699A JP26137699A JP2001078591A JP 2001078591 A JP2001078591 A JP 2001078591A JP 26137699 A JP26137699 A JP 26137699A JP 26137699 A JP26137699 A JP 26137699A JP 2001078591 A JP2001078591 A JP 2001078591A
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resin
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Yuji Okada
雄二 岡田
Keizo Mitsunaga
恵三 満永
Takashi Kobayakawa
隆 小早川
Shingo Matsuoka
信吾 松岡
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Tokan Kogyo Co Ltd
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokan Kogyo Co Ltd
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 日照量によって光線透過率の自動調整が可能
で、屋外で長期間使用が可能な耐久性に優れた農業用フ
ィルムを提供すること。 【解決手段】 非水溶性又は難水溶性の熱可塑性樹脂と
フォトクロミック化合物を含む樹脂組成物を用いて、例
えば押出成形やインフレーション成形等の成形方法によ
り製造される、上記樹脂組成物からなる層を有するフィ
ルムからなる農業用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用フィルムに
関する。さらに詳しくは、農作物のハウス栽培またはト
ンネル栽培等に使用する農業用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】農業用フィルムは野菜や花卉等のハウス
栽培やトンネル栽培等に広く用いられている。一般に、
これら栽培においては、例えば夏場の晴天時などの日照
量が多いときに、ハウス内の温度が著しく上昇して農作
物の生育に対する障害を防止するために農業用フィルム
の上に遮光ネット等を掛けて、日照量を調整してハウス
内の温度の上昇を防ぐ方法が実施されている。
【0003】しかしながら、上記のような方法で日照量
を調整する場合、遮光ネットを掛けるという多大な労力
を要する作業を炎天下でという過酷な作業環境下で行う
必要があるばかりでなく、曇天時には一旦掛けた遮光ネ
ットを再び取り外さなければならず、煩雑で作業効率が
著しく悪い。
【0004】この様な問題を解決する手段として、特開
平11−113427号公報などには、有機顔料等を配
合した農業用フィルムを用いることが提案されている。
しかしながら、この場合は、晴天時には日照量を調整で
きるが、曇天時には日照量が不足し、作物の生育に支障
をきたす。
【0005】これらの問題点を改良する方法として、特
開平7−274741号公報には、ヒドロキシ基を有す
る熱可塑性合成樹脂からなる不繊布の表面にポリビニル
アルコールのような水溶性の高分子結合材と有機フォト
クロミック色素とからなる層を設けた農業用フィルムを
用いることが提案されている。フォトクロミック化合物
は、光照射により可逆的に発色し、しかも発色濃度が照
射される光の強度によって変わるため、この方法によれ
ば前記の問題の発生を回避することが可能である。
【0006】しかしながら、該方法で用いる農業用フィ
ルムでは、フォトクロミック化合物は水溶性樹脂からな
る結合材表面に分散しているため、空気や雨などの水分
との接触による機能の低下が避けれらないばかりでな
く、水と接触しない場合においてもフォトクロミック性
が経時的に失われてしまい、実用上の耐久性に問題があ
る。また、フィルムに使用する基材樹脂やその形態が限
定されており、フィルムの製造が容易で且つ安価である
ために汎用的に使用されているポリオレフィンやポリ塩
化ビニル等への適用が困難であるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような従来の農業用フィルムの有する欠点を解消し
て、晴天時には日照量を一部遮光し、ハウス内の温度上
昇を防止するとともに、曇天時にはできるだけ遮光しな
いというように天候によってハウス内の日照量の調整が
可能であり、且つ耐久性に優れて屋外で長期間使用が可
能であり、しかも製造も容易である農業用フィルムを提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明らは、前記の特徴
を有する農業用フィルムを開発するために、鋭意検討を
重ねた結果、ポリオレフィン樹脂や塩化ビニル樹脂など
の汎用樹脂にフォトクロミック化合物を分散させて得た
フィルムがこれらの問題点を克服した農業用フィルムと
して有用であることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち、本発明は、非水溶性又は難水溶
性の熱可塑性樹脂100重量部及びフォトクロミック化
合物0.001〜10重量部を含む樹脂組成物(以下、
フォトクロ含有樹脂組成物ともいう。)からなる層(以
下、フォトクロ層ともいう。)を有するフィルムからな
ることを特徴とする農業用フィルムである。
【0010】上記本発明の農業用フィルムは、フォトク
ロミック性により遮光率を調整できるばかりなく、基本
的に水溶性の樹脂を含まないため、使用環境下でのフィ
ルム自体の耐久性が高い。
【0011】特に、本発明の農業用フィルムが、フォト
クロ層が外気と直接接触しないように、その少なくとも
一方の表面上に被覆層を設けた積層フィルムである場合
は、フォトクロミック性の耐久性が特に良好である。こ
の様な積層フィルムでは、フォトクロミック化合物が空
気中の酸素と直接接触して分解反応が起こることがない
ため、高い耐久性が実現されるものと思われる。
【0012】また、他の本発明は、非水溶性又は難水溶
性の熱可塑性樹脂100重量部及びフォトクロミック化
合物0.001〜10重量部を含んでなる樹脂組成物を
用いて押出成形、インフレーション成形、又はカレンダ
ー成形することを特徴とする上記本発明の農業用フィル
ムの製造方法である。該方法では、従来の農業用フィル
ムで汎用されている樹脂を用い、工業的な規模で効率よ
く本発明の農業用フィルムを製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の農業用フィルムは非水溶
性又は難水溶性の熱可塑性樹脂100重量部に対してフ
ォトクロミック化合物0.001〜10重量部を含む樹
脂組成物からなるフォトクロ層を有するフィルムからな
る。なお、ここでフィルムとは、薄い平板状の成型品を
意味し、シート、織布、及び不織布を含む概念である。
【0014】本発明に用いる非水溶性又は難水溶性の熱
可塑性樹脂としては、室温における水100gに対する
溶解度が0.1g以下、好ましくは0.01g以下であ
る熱可塑性樹脂であれば特に制限無く、従来の農業用フ
ィルムに慣用されているものの中から任意のものを選択
して用いることができる。この様な熱可塑性樹脂を使用
することにより水と接触した場合の耐久性を高くするこ
とができる。
【0015】かかる熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル酸エ
ステル系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリ
スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂やポリカーボネー
ト系樹脂やポリアミド系樹脂などが挙げられる。
【0016】これらの中で、特に経済性、被覆材の強度
等の観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂又はポリオレフィ
ン系樹脂が特に好ましい。
【0017】ここで、ポリ塩化ビニル系樹脂としては、
塩化ビニル単量体の単独重合体ばかりでなく、塩化ビニ
ルと該塩化ビニルと共重合可能な塩化ビニリデン、エチ
レン、プロピレン、酢酸ビニルなどの単量体との共重合
体樹脂やポリ塩化ビニル樹脂と相溶性の良いポリ塩化ビ
ニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−酢酸ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどとのブレンド樹
脂などが有用である。用いるポリ塩化ビニル樹脂の数平
均分子量は1000〜2000程度のものが好適に用い
られる。
【0018】また、ポリオレフィン系樹脂とは、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、及び4−メチル−1−ペンテ
ンなどのα−オレフィンの単独重合体、これらα−オレ
フィンの2種以上の共重合体、並びにこれらα−オレフ
ィンと該α−オレフィンと共重合可能なアクリル酸エス
テル類、酢酸ビニル、アイオノマーなどとの共重合体が
挙げられる。
【0019】本発明で使用するフォトクロミック化合物
はフォトクロミック性を有する化合物であれば特に限定
されず、例えばH.C.Brown著”Photoch
romism”(Weley−Interscienc
e)、USP4,882,438、USP4,960,
678、USP5,130,058、USP5,10
6,998等に記載されているような、スピロオキサジ
ン化合物(以下、単にオキサジン化合物ともいう。)、
クロメン化合物、フルギド化合物およびアゾベンゼン化
合物等の公知のフォトクロミック化合物が制限無く使用
できる。
【0020】これらフォトクロミック化合物の中でも耐
久性の点から、オキサジン化合物、又はクロメン化合物
を用いるのが好適である。
【0021】オキサジン化合物としては、スピロオキサ
ジン骨格を有し、フォトクロミック性を有する化合物で
あれば特に限定されないが、耐久性の観点から、下記式
(1)
【0022】
【化1】
【0023】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ
基、アルキルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル
基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基、アリーロキシ基、アルキルチオアルキル
基、アシル基、アシロキシ基、飽和複素環基、アミノ基
または置換アミノ基であり、R1、R2およびR3は置換
基を有してもよく、R2およびR3は、一緒になって環を
形成してもよく、下記式
【0024】
【化2】
【0025】で示される基は、置換されていてもよい芳
香族炭化水素基または置換されていてもよい不飽和複素
環基であり、下記式
【0026】
【化3】
【0027】で示される基は、置換されていてもよい芳
香族炭化水素基または置換されていてもよい不飽和複素
環基である。)で示されるオキサジン化合物を使用する
のが好適である。
【0028】以下、上記一般式(1)においてR1、R2
又はR3がとり得る各基について説明する。アルキル基
としてはメチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキ
ル基が挙げられる。
【0029】シクロアルキル基としてはシクロプロピル
基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基等の炭素数3
〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
【0030】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
【0031】アルキルオキシアルキル基としては、メチ
ルオキシエチル基、エチルオキシエチル基、メチルオキ
シアルキル基等の炭素数3〜10のアルキルオキシアル
キル基が挙げられる。
【0032】アルコキシカルボニル基としては、メトキ
シカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜
6のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0033】アルコキシカルボニルアルキル基として
は、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニル
メチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカル
ボニルプロピル基等の炭素数2〜10のアルコキシカル
ボニルアルキル基が挙げられる。
【0034】アリール基としてはフェニル基、トリル
基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げ
られる。
【0035】アラルキル基としては、ベンジル基、フェ
ニルエチル基、フェニルプロピル基等の炭素数7〜13
のアラルキル基が挙げられる。
【0036】アリーロキシ基としては、フェノキシ基、
ナフトキシ基等の炭素数6〜10のアリーロキシ基が挙
げられる。
【0037】アルキルチオアルキル基としてはメチルチ
オメチル基、メチルチオエチル基、メチルチオプロピル
基、エチルチオエチル基等の炭素数2〜10のアルキル
チオアルキル基が挙げられる。
【0038】アシル基としては、アセチル基、エチルカ
ルボニル基等の炭素数2〜6のアシル基が挙げられる。
【0039】アシロキシ基としては、アセチルオキシ
基、エチルカルボニルオキシ基等の炭素数3〜7のアシ
ロキシ基が挙げられる。
【0040】置換アミノ基としては、上記したようなア
ルキル基またはアリール基で水素原子の少なくとも1つ
が置換されたアミノ基を挙げることができる。
【0041】また、飽和複素環基としては、ピロリジン
環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、
モルホリン環等の窒素原子、酸素原子、またはイオウ原
子を環構成原子として1〜2個含む5〜6員環から誘導
される一価の基を挙げることができる。
【0042】なお、上記の各基はそれぞれ置換基を有し
てもよく、該置換基としては上記と同様な各基の他、塩
素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、ニト
ロ基、シアノ基または複素環基等が挙げられる。
【0043】また、R2およびR3が一緒になって環を形
成する場合の環としては、シクロペンタン環、シクロヘ
キサン環、シクロヘプタン環等が挙げられる。
【0044】また、前記一般式(1)中の下記式
【0045】
【化4】 及び下記式
【0046】
【化5】
【0047】で示される基は、それぞれ置換されていて
もよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい不
飽和複素環基である。
【0048】上記芳香族炭化水素基としては、ベンゼン
環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導されるもの
が挙げられ、具体的にはベンゼン環、ナフタレン環、フ
ェナンスレン環およびアントラセン環から誘導される二
価の基が例示される。また、不飽和炭化水素基として
は、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を環構成原子
として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環
との縮合環から誘導されるものが挙げられ、具体的に
は、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン
環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、ベン
ゾチオフェン環等から誘導される二価の基が例示され
る。また、これら各基が有していてもよい置換基として
は上記で述べたものと同じ基を選択できるが、中でも−
NR45(但し、R4およびR5は置換されても良いアル
キル基、アルコキシ基またはアリル基等であり、またR
4およびR5は互いに結合して環化し含窒素複素環を形成
してもよい。)で示される基が初期のフォトクロミック
性能においてその発色濃度が特に高い点で好適である。
【0049】本発明において、好適に使用できるオキサ
ジン化合物を具体的に示すと、次のような化合物を例示
することができる。 (1) 1’−メトキシカルボニルメチル−8''−メト
キシ−6''−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ(シク
ロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−
(1’H),3''−(3H)ナフト(3,2−a)
(1,4)オキサジン) (2) 6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6''
−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−
(3H)インドール−2’−(1’H),3''−(3
H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン) (3) 6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブ
チル−6''−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−
1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),
3''−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサ
ジン) (4) 1’−メチル−ジスピロ(シクロヘキサン−
1,3’−3(H)インドール−2’−(2’H),
3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキ
サジン)
【0050】また、クロメン化合物としては、発色濃度
等のフォトクロミック特性の観点から下記式(2)
【0051】
【化6】
【0052】〔式中し、R6、R7、R8およびR9は、そ
れぞれ独立に水素原子、置換若しくは非置換のアルキル
基、置換若しくはまたは非置換のアリール基、置換アミ
ノ基または置換若しくは非置換の飽和複素環基であり、
8およびR9は、一緒になって環を形成していてもよ
く、下記式
【0053】
【化7】
【0054】で示される基は、炭素数1〜20のアルキ
ル基または炭素数1〜20のアルコキシ基で置換されて
いてもよい芳香族炭化水素基、または炭素数1〜20の
アルキル基または炭素数1〜20のアルコキシ基で置換
されていてもよい不飽和複素環基である。〕で示される
クロメン化合物が好適に使用される。
【0055】上記式(2)中、R6、R7、R8およびR9
で示される置換若しくは非置換のアルキル基、置換若し
くは非置換のアリール基、置換アミノ基、及び置換若し
くは非置換の飽和複素環基としては前記式(1)につい
て説明したのと同じ基が採用できる。
【0056】また、上記式(2)中、R8およびR9が一
緒になって形成する環としては、ノルボルニリデン基、
ビシクロ[3.3.1]9−ノニリデン基等をあげるこ
とができる。
【0057】また、上記式(2)中、
【0058】
【化8】
【0059】で示される非置換の芳香族炭化水素基とし
ては、ベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から
誘導される二価の基を挙げることができ、また、非置換
の不飽和複素環基としては、酸素原子、窒素原子、また
はイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員
環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二
価の基を挙げることができる。これら基を具体的に例示
すれば、芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフ
タレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘
導される炭素数6〜14の二価の基をあげることができ
る。また、二価の不飽和複素環基としては、フラン環、
ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリ
ン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベン
ゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の二価の
基を挙げることができる。
【0060】これらの各基は、置換基を有していてもよ
く、該置換基としては特に制限されないが、例えば、塩
素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル
基等の炭素数1〜20のアルキル基:メトキシ基、エト
キシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基:フェニル
基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリー
ル基:アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示すること
ができる。
【0061】前記一般式(2)で示されるクロメン化合
物の中でも、R6およびR7が共に水素原子であり、R8
およびR9がそれぞれ独立に炭素数(但し置換基の炭素
数は含まない。)1〜4のアルキル基又は炭素数(但し
置換基の炭素数は含まない。)6〜20の置換または無
置換のアリール基であるか、又はこれらが一緒になって
ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基或いはノルボ
ルニリデン基を形成したものであり、下記
【0062】
【化9】
【0063】で示される基が炭素数1〜20のアルキル
基または炭素数1〜20のアルコキシ基で置換されてい
てもよいナフタレン環から誘導される基である化合物が
特に好適に使用できる。
【0064】本発明において好適に使用できるクロメン
化合物を示すと、次のような化合物を例示することがで
きる。 (1) スピロ〔ノルボルナン−2,2′−〔2H〕ベ
ンゾ〔h〕クロメン〕 (2) スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,
2′−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕 (3) 7′−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.
1〕ノナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメ
ン〕 (4) 7′−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,
2′−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕 (5) 2,2−ジメチル−7−オクトキシ〔2H〕ベ
ンゾ〔h〕クロメン (6) 3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシフ
ェニル)−6−モルホリノ−3H−ベンゾ(f)クロメ
【0065】これらのフォトクロミック化合物は、1種
またはそれ以上の化合物を用いても良く、またその種類
と配合量は農業用フィルムの要求される物性(日照量の
調整の程度や光線の吸収波長領域)によって適時選択す
ればよい。
【0066】前記フォトクロ含有樹脂組成物におけるフ
ォトクロミック化合物の配合量は、熱可塑性樹脂100
重量部に対して0.001〜10重量部の範囲である。
該配合量が0.001重量部未満のときは、十分な発色
濃度が得られず、10重量部を越えるときは、曇天時で
も太陽光を遮断するばかりでなく、フィルムの機械的な
特性が損なわれる等の問題がある。フォトクロミック特
性と経済性の観点から特に好適な配合量は、熱可塑性樹
脂100重量部に対して0.001〜3重量部である。
【0067】なお、上記フォトクロ含有樹脂組成物に
は、フォトクロミック化合物以外に必要に応じて、通常
用いられる可塑剤、充填剤、安定剤、滑剤、熱安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、粘着防止
剤、帯電防止剤、着色剤などの各種添加物を配合するこ
とができる。
【0068】本発明の農業用フィルムは、フォトクロ層
を有するフィルムであれば特に限定されず、該フォトク
ロ層単独から成る単層フィルムであってもよく、他の層
が積層された積層フィルムであってもよい。また、フォ
トクロ層は均一な厚みを有する連続層であっても、フォ
トクロ含有樹脂組成物からなる繊維ウェブを用いた不織
布であってもよく、該層が連続層である場合には、該連
続層は多孔性であってもよい。
【0069】例えば、フォトクロ層の外側の面(ハウス
等に用いたときに屋外に面する面)の表面に防塵塗料か
ら成る防塵層を設けたり、内側の面(ハウス等に用いた
ときに屋内に面する面)の表面に防曇塗料から成る防曇
層を設けることもできる。更に、フォトクロ層の少なく
とも一方の表面をポリエチレンやポリビニルアルコール
等の層で被覆した積層構造とした場合には、フォトクロ
ミック性の耐久性が高くなるので好ましい。
【0070】なお、本発明のフィルムの厚さは特に制限
されないが、使用時の操作性等を考慮すると10〜20
0μmであるのが好ましい。
【0071】本発明の農業用フィルムの製造には、公知
の方法が何ら制限なく採用できる。例えば、いわゆるフ
ィルム状若しくはシート状のものを製造する場合には、
フォトクロ含有樹脂組成物を直接あるいは必要に応じて
予め溶融混練してから原料として用い、押出成形、イン
フレーション成形、カレンダー成形、圧縮成形、キャス
ト成形などにより成形する方法が採用できる。また、押
出成形等により原反シートを製造した後、1軸または2
軸に延伸してフィルムとすることもできる。さらに、不
織布状のものを製造する場合には、予め成形して得たフ
ォトクロ含有樹脂組成物からなる繊維もしくはウェブを
乾式法や湿式法により不織布とすればよい。さらに、積
層フィルムからなる本発明の農業用フィルムを製造する
場合には、ウェットラミネーション、ドライラミネーシ
ョンなどのグルラミネーション法;多層Tダイ法、多層
インフレーション法、押出コーティングなどの押出ラミ
ネーション法により製造することができる。
【0072】生産性の観点から、本発明の農業用フィル
ムの製造方法としては、押出成形、インフレーション成
形、又はカレンダー成形法を採用するのが好ましい。
【0073】なお、上記各製造方法において使用するフ
ォトクロ含有樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、
所定量の熱可塑性樹脂およびフォトクロミック化合物、
並びに必要に応じて各種添加剤を秤取り、ミキサーなど
を用いて混合することにより行うことができる。また、
この様にして得た混合物はフィルム成形に際し、予め溶
融混練し、ペレット状にしておいてもよい。
【0074】また、上記溶融混練の際、或いは各種成形
法において溶融成形する場合の条件は従来の方法と特に
変わるところはなく、使用する樹脂の種類などに応じて
適宜設定すればよいが、フォトクロミック化合物の熱に
よる分解を防ぐために、加熱温度は200℃以下になる
ようにするのが好ましい。
【0075】この様にして得られたフィルムは、フォト
クロミック化合物を含有しているので光照射量に応じて
発色し、日照量に応じて透過光の光量制御することがで
き、農業用フィルムとして好適に使用することができ
る。
【0076】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、得られた農業用フィルムの物性は以下
の方法で測定した。
【0077】 透過率: 晴天時と曇天時に試料フィ
ルムを10分間屋外放置し、照度計を用いてフィルムに
照射された光の日照量(LUX)、及びフィルムを透過
した光透過量(LUX)を測定した。次いで該測定値か
ら下記式に基づいて、それぞれの気象条件下における透
過率を算出した。 透過率(%)=(透過量/日照量)×100 晴天時(日照量が多いとき)における透過率が低く、曇
天時(日照量が少ないとき)における透過率が高いこと
は透過量が日照量に余り影響を受けないことを意味し、
このような特性を有するフィルムは農業用フィルムとし
て優れていると言える。
【0078】 耐久性: 光照射による試料フィルム
のフォトクロミック性の耐久性を評価するために次のよ
うにして劣化促進試験を行った。
【0079】即ち、得られたフィルム(試料)をスガ試
験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により1
00時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価
を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および
試験後の発色濃度(A200)を測定した。
【0080】なお、発色濃度は以下の手順で測定した。
試料フィルムに浜松ホトニクス製のキセノンランプL−
2480(300W)SHL−100をエアロマスフィ
ルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合
体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/c
2,245nm=24μW/cm2で120秒間照射し
て発色させ、(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間
マルチチャンネルフォトディテクターMCPD100
0)によりこのフィルムの発色後発色濃度を測定した。
【0081】上記測定結果に基づき、次式に示されるフ
ォトクロミック性の残存率を測定し、耐久性の指標とし
た。残存率が高いほど耐久性が高いと言える。 残存率(%)={(A200/A0)×100}
【0082】実施例1 エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)100重量部
に対して、フォトクロミック化合物として6’−フルオ
ロ−1’,5’−ジメチル−6’’−モルホリノジスピ
ロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−
2’−(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−
a)(1,4)オキサジン)(以下、「OS−1」略記
する。)0.1重量部を混合し、スクリュー直径Φ50
mmの単軸押出機、ダイリップ直径100mmの円形ダ
イおよび引取機からなるインフレーション法製膜装置を
用いて、ブローアップレシオ2〜2.5で厚さ100μ
m(0.1mm)の均一な肉厚分布を有する単層フィル
ムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
【0083】なお、表1の日照量と透過率の欄が2段に
なっているのは、透過量の測定を晴天時(上段)と曇天
時(下段)の2回に行ったことに対応している。
【0084】
【表1】
【0085】実施例2〜10 表1に示した各種樹脂に表1に示す量のOS−1を配合
した樹脂組成物用い、実施例1と同様の方法で各種厚さ
の単層フィルムを製造した。絵あれたフィルムについて
測定した結果をあわせて表1に示した。
【0086】実施例11〜16 フォトクロミック化合物として以下の化合物を用いた以
外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られ
たフィルムについて測定した物性を表2に示す。
【0087】フォトクロミック化合物: CM−1:スピロ〔ノルボルナン−2,2′−〔2H〕
ベンゾ〔h〕クロメン〕 CM−2:スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−
9,2′−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕 CM−3:7′−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.
1〕ノナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメ
ン〕 CM−4:3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシ
フェニル)−6−モルホリノ−3H−ベンゾ(f)クロ
メン SO−2:1’−メチル−ジスピロ(シクロヘキサン−
1,3’−3(H)インドール−2’−(2’H),
3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキ
サジン)
【0088】
【表2】
【0089】実施例17〜20 フォトクロミック化合物としてOS−1を用い、表3に
示す各種組成のを調整し、これを用いてT−ダイを用い
た多層押出成形を行い、外表層(光照射を受ける側の最
外層)−内層−内表層(外表層と反対側の最外層)の3
層構造を有する積層フィルム(実施例17〜19)及び
外表層−内層の2構造を有する積層フィルムをとから成
るフィルムを製造した。得られたフィルムについて測定
した物性を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
【発明の効果】本発明の農業用フィルムは、光線の透過
性を日照量にあわせて自動的に調整できる。このため、
遮光ネットを掛けたり外したりする従来の日照量調節作
業を省略することが可能となる。
【0092】また、該フィルムは、基本的に従来使用さ
れている農業用フィルムと同様の原料樹脂を用いている
ため、従来の製造装置をそのまま用いて製造できる。ま
た、このため、フォトクロミック性以外の各種物性や耐
久性についても従来と同等である。
【0093】また、フォトクロミック特性についても、
本発明の農業用フィルムではフォトクロミック化合物が
フィルムの基材層の内部にも均一に分散しているので、
その耐久性が高い。さらに、フォトクロミック層の少な
くとも一方の面を被覆することにより、フォトクロミッ
ク耐久性をより高くすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小早川 隆 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内 (72)発明者 松岡 信吾 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内 Fターム(参考) 2B024 DB01 2B029 EB03 EC02 EC04 EC19 EC20 4F071 AA14 AA24 AC04 AC12 AH01 BB04 BB06 BB09 BC01 4F100 AH02H AH03H AH05H AH07H AK01A AK01B AK63 AK68 BA01 BA02 BA03 BA07 CA13 CA30 EH112 EH172 EH202 GB01 JB06A JB16A JN01 JN28A YY00A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水溶性又は難水溶性の熱可塑性樹脂1
    00重量部及びフォトクロミック化合物0.001〜1
    0重量部を含む樹脂組成物からなる層を有するフィルム
    からなることを特徴とする農業用フィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムが積層フィルムである請求項1
    記載の農業用フィルム。
  3. 【請求項3】 非水溶性又は難水溶性の熱可塑性樹脂1
    00重量部及びフォトクロミック化合物0.001〜1
    0重量部を含んでなる樹脂組成物を用いて押出成形、イ
    ンフレーション成形、又はカレンダー成形することを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載の農業用フィルムの
    製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254826A (ja) * 2009-04-25 2010-11-11 Mitsubishi Plastics Inc ポリエステルフィルム
GR20150100198A (el) * 2015-05-06 2017-01-17 Δαϊος, Αστεριος Δημητριου Πολυστρωματικο πλαστικο φυλλο για πολυετη αγροτικη χρηση με αυτορυθμιζομενη σκιαση
CN108018725A (zh) * 2018-01-22 2018-05-11 闽江学院 一种调节透光量的寒冷纱及其应用

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GR20150100198A (el) * 2015-05-06 2017-01-17 Δαϊος, Αστεριος Δημητριου Πολυστρωματικο πλαστικο φυλλο για πολυετη αγροτικη χρηση με αυτορυθμιζομενη σκιαση
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