JP2001076931A - ネジ形電子部品 - Google Patents

ネジ形電子部品

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JP2001076931A
JP2001076931A JP24719799A JP24719799A JP2001076931A JP 2001076931 A JP2001076931 A JP 2001076931A JP 24719799 A JP24719799 A JP 24719799A JP 24719799 A JP24719799 A JP 24719799A JP 2001076931 A JP2001076931 A JP 2001076931A
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printed wiring
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Minoru Ishikawa
実 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子機器にシールドとして設けた筐体とプリ
ント配線基板とを結合するとともに、筐体に流れる電流
の周波数成分を制御することにより、筐体の設計を容易
に行うことを可能としたネジ形電子部品を提供する。 【解決手段】 ネジ形電子部品は、導電性の頭部10、
接続部40、端子部30と非導電性のネジ部20からな
り、接続部40がインダクタンスをもつローパスフィル
タを構成している。プリント配線基板50には、ネジ形
電子部品のネジ部20を挿通する挿通孔52が形成さ
れ、また上面には、挿通孔52の外周にグランド54が
形成されている。筐体60にはネジ孔64が形成され、
ネジ形電子部品のネジ部20が締め込まれる。プリント
配線基板50内で発生し、グランド54でコモンコード
電流に変換された電流は、ネジ形電子部品の頭部10、
接続部40、端子部30の経路で筐体60に伝達され、
高周波成分が除去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子部品のネ
ジ止めに用いることが可能なネジ形電子部品に関し、特
にインダクタンス機能を備えたネジ形電子部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の電子機器において、IC、LS
I、トランジスタのような回路素子を搭載したプリント
配線基板は、各種の電磁ノイズを発生するものである。
この電磁ノイズは、その電子機器自体あるいは他の電子
機器に悪影響を及ぼすことが知られており、日本では自
主規制により、また海外の多くの国では法律により、電
磁波の発生量及びその周波数が規制されている。この電
磁ノイズを発生させる大きな原因として、コモンコード
電流といわれる電流が知られている。このコモンコード
電流は、回路の寄生インダクタンスを主原因として発生
し、実際のプリント配線基板では、ICやLSIが高速
にスイッチングしたとき、パワーとグランドとの間をC
MOSを経由して貫通電流が流れ、この貫通電流がパワ
ープレーンまたはグランドプレーンの寄生インダクタン
スによってコモンコード電流に変換されることにより発
生する。そして、このようなコモンコード電流の発生に
対し、パワープレーンやグランドプレーンにおけるイン
ダクタンスの分布が複雑なため、これまで有効な対策を
とることができないものであった。
【0003】そこで、従来はプリント配線基板の外部に
シールドを設け、このシールドとプリント配線基板のグ
ランドを電気的に接続することにより、電磁波の発生を
抑制する対策がとられていた。ここで、シールドとプリ
ント配線基板のグランドを電気的に接続する方法として
は、通常金属製のネジにより、基板のグランドとシール
ドの電極を接続する方法がとられていた。また、多くの
電子部品では、シールドとして筐体を利用しており、そ
の結果、筐体の内壁にコモンコード電流が流れるように
なっていた。そして、筐体に何らかの穴が開いていない
状態では、コモンコード電流による電磁波が外部に放射
する量は小さいが、筐体に穴が開いている状態では、こ
の穴からコモンコード電流による電磁波が遠方に放射
し、その穴のサイズや個数等により、電磁波の放射量が
増減することが知られている。
【0004】そこで従来は、例えば特開平9−4608
4号にあるように、穴の開け方やサイズを工夫したり、
特願平6−8987号にあるように、筐体同士の嵌合を
工夫することにより、コモンコード電流による電磁波の
筐体外への放射を抑制することが提案されている。しか
しながら、これらの提案では、電子機器内部の放熱性が
悪くなるという問題や、筐体を作成コストが増加すると
いう問題が依然として残るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来例のよう
に、コモンコード電流による電磁波の筐体外への放射を
抑制するために、筐体に開ける穴の数やサイズを制限し
ても、放射強度は筐体に流れるコモンコード電流の波長
の関数になっているため、今後の製品の高性能化に伴う
動作周波数の高速化に対して十分な効果を期待できな
い、または、十分に効果を上げるだけの設計ができない
可能性がある。また、放熱の問題により筐体に穴を開け
ざるを得ない場合や、筐体作成コスト的に対策が困難で
あるといった問題がある。さらに、筐体内壁の電流分布
は非常に複雑なため、電流の分布を解析することは極め
て困難であり、効果的な対策が設計できないという問題
もあった。
【0006】そこで本発明の目的は、例えば電子機器に
シールドとして設けた筐体とプリント配線基板とを結合
するとともに、筐体に流れる電流の周波数成分を制御す
ることにより、筐体の設計を容易に行うことを可能とし
たネジ形電子部品を提供することにある。また、本発明
の他の目的は、例えば上述した筐体に外部からのスパー
ク電流が流れた場合、この電流を所定の経路でアースに
逃がすことにより、プリント配線基板上の重要な電子部
品を保護することができるネジ形電子部品を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、非導電性材料よりなるネジ部と、導電性材料
よりなり、前記ネジ部の基端部に一体化された頭部と、
導電性材料よりなり、前記ネジ部の先端部から外方に突
出した端子部と、導電性材料よりなり、前記ネジ部の内
部を軸方向に貫通し、前記頭部と前記端子部とを電気的
に接続することにより、インダクタンスを形成する接続
部とを有することを特徴とする。本発明のネジ形電子部
品は、ネジ部を非導電性とし、かつ、頭部とネジ部の先
端に設けた端子部との間をネジ部内を貫通する接続部で
接続して導電性とし、この頭部から端子部を接続する部
分がインダクタンスをもつように構成した。
【0008】したがって、このネジ形電子部品によって
例えば電子機器を構成するプリント配線基板とそのシー
ルド用筐体とを接合する場合に、ネジ部をプリント配線
基板に形成した挿通孔に挿通し、さらにシールド用筐体
に形成したネジ孔に締め込むことにより、プリント配線
基板上に形成したグランド電極部とシールド用筐体とを
電気的に接続することができる。そして、このネジ形電
子部品の接続部におけるインダクタンスにより、シール
ド用筐体に流れる電流の周波数成分を制御することによ
り、筐体の設計を容易に行うことが可能となり、また、
筐体に外部からのスパーク電流が流れた場合、この電流
を所定の経路でアースに逃がすことにより、プリント配
線基板上の重要な電子部品を保護することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるネジ形電子部
品の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実
施の形態によるネジ形電子部品の外観を示す正面図であ
り、図2(A)(B)は、図1に示すネジ形電子部品の
非導電性部分と導電性部分とを分離して示す正面図であ
る。図3は、図1に示すネジ形電子部品の回路シンボル
図であり、図4は、図1に示すネジ形電子部品において
インダクタンスが形成される様子を説明する正面図であ
る。
【0010】これらの図において、本例のネジ形電子部
品は、頭部10とネジ部20と端子部30と接続部40
とから構成されている。このうち、ネジ部20は、非導
電性材料として例えばアクリル等の合成樹脂の一体成型
品よりなり、外周部にネジ溝が形成されている。また、
頭部10、端子部30、接続部40は、それぞれ銅等の
導電性材料より形成されている。頭部10は、一般のプ
ラスネジまたはマイナスネジのネジ頭部を形成するもの
であり、ネジ部20の基端部に配置されている。また、
端子部30は、例えば球状または柱状(図示の例では球
状)に形成されており、ネジ部20の先端部より外方に
突出した状態で配置されている。また、接続部40は、
ネジ部20を軸方向に貫通して頭部10と端子部30と
をつなぐものであり、例えば円形断面を有する細径棒状
に形成されている。このような構成のネジ形電子部品
は、まず頭部10、端子部30、接続部40の一体品を
形成した後、接続部40に外周にネジ部20を樹脂成型
することにより作成することができる。
【0011】1本の導体に電流が流れるとき、その電流
が作る磁界により誘導起電力が生じ、電流の流れが妨害
され、そのために交流インピーダンスが発生する。この
妨害の程度を自己インダクタンスと呼び、この値は導体
を流れる電流には依存しないものである。ここで、導体
が円柱状の場合、この自己インダクタンスの値Lは、電
磁気学の教えるところにより、次の式で表される。 L=(μ0b/8π)+(μ0/2π){a+b log(b
+(a2+b21/2)/a−(a2+b21/2} ただし、 μ0;真空中の誘電率(4π×10-7[H/m]) a;導体の断面の半径[m] b;導体の長さ[m] π;円周率 である。
【0012】この式から、導体の半径が導体の長さに対
して短いときには、導体の自己インダクタンスは、導体
の長さにおおよそ比例することがわかる。自己インダク
タンスLのとき、交流インピーダンスZはZ=2πfL
で表される。ただし、fは周波数である。以上の式か
ら、交流インピーダンスZは、自己インダクタンスLが
一定のとき、周波数が高くなるに従い大きくなるため、
本形態のネジ形電子部品では、頭部10、接続部40、
端子部30の経路で、伝送する信号の周波数が低いほど
抵抗が小さくなり、ローパスフィルタを形成している。
本形態のネジ形電子部品では、導体(接続部40)の長
さb、すなわち頭部10と端子部30の間隔を10m
m、導体(接続部40)の断面の半径aを1mmとした
ので、Lの値は、おおよそ0.8nHとなった。また、
導体(接続部40)の直流抵抗成分は、ほぼ無視できる
ので、100MHzでの抵抗値は0.5Ωとなり、1G
Hzでの抵抗値は5Ωとなる。
【0013】図5は、本形態によるネジ形電子部品によ
ってプリント配線基板とシールド用筐体を結合した状態
を示す図であり、図5(A)は全体断面図、図5(B)
は結合部分の要部断面図である。図5(A)に示すよう
に、プリント配線基板50は、銅等の導電性部材よりな
る筐体60に包囲される状態で設けられており、外部か
ら電磁的にシールドされている。筐体60の内側には、
プリント配線基板50をネジ止めするためのネジ止め部
62が複数箇所に形成されており、本形態のネジ形電子
部品を用いてプリント配線基板50を固定するようにな
っている。
【0014】そして、図5(B)に示すように、プリン
ト配線基板50には、本形態によるネジ形電子部品のネ
ジ部20を挿通する挿通孔52が形成され、プリント配
線基板50の上面側からネジ形電子部品が挿着されるよ
うになっている。また、プリント配線基板50の上面に
は、挿通孔52の外周にグランド54がパターン形成さ
れている。また、筐体60のネジ止め部62には、プリ
ント配線基板50の挿通孔52に対応してネジ孔64が
形成されており、このネジ孔64に本形態によるネジ形
電子部品のネジ部20が締め込まれるようになってい
る。筐体60は、外部電極(GND)を介してアースさ
れており、プリント配線基板50のグランド54は、本
形態によるネジ形電子部品と筐体60を介してアースさ
れている。
【0015】以上のような構成において、プリント配線
基板50内で発生し、グランド54でコモンコード電流
に変換された電流は、頭部10、接続部40、端子部3
0の経路で筐体60に伝達される。筐体60に各種の穴
がある場合には、これが原因になって電磁波となり、放
射するが、上述のように本形態によるネジ形電子部品が
ローパスフィルタになっているため、GHz帯の電流成
分は抑制される。筐体60の穴のサイズと、筐体60に
流れる電流の波長と放射電界とは相関関係があり、穴に
対して波長が短いほど放射強度が高くなることが知られ
ているから、ローパスフィルタを形成することによっ
て、より短い波長の電流成分は減るため、放射電界も抑
制することが可能になる。
【0016】本形態によるネジ形電子部品を、例えばク
ロック周波数66MHzで、筐体60のサイズが20m
m×200mm×300mmで、筐体60に6mm×5
5mmの穴をもつ電子機器に応用したところ、従来に比
べて500MHz以上で、10dB以上の放射電界の減
少が得られた。また、人間が電子機器を触ったときに起
こるように、筐体60に電流パルスがきた場合、このパ
ルス電流は非常に高い周波数成分をもっている。パルス
幅が数psといわれていることから、周波数成分として
GHz帯を多く含んでいるが、本形態によるネジ形電子
部品を筐体60とプリント配線基板50との接続に用い
た場合、この高周波電流を流さないようにすることが可
能になった。また、従来、静電放電試験で、10KVま
での耐圧しかなかった電子機器が、本形態によるネジ形
電子部品を使用することにより、12KV以上の耐圧を
確保することが可能になった。
【0017】なお、以上の例では、導電性材料に銅を使
用し、非導電性樹脂にはアクリルを使用したが、もちろ
ん銅以外の金属やカーボン等の非金属の導電性材料を使
用することができる。また、非導電性樹脂としてアクリ
ルのほか、ABS、ポリカーボネート等のエンジニアリ
ングプラスチックを使うことも可能である。また、以上
の例では、本形態によるネジ形電子部品によってプリン
ト配線基板とシールド用筐体とを結合するようにした
が、本発明は、他の電子部品を結合するためのネジ形電
子部品としても同様に適用し得るものである。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明のネジ形電子
部品では、ネジ部を非導電性とし、かつ、頭部とネジ部
の先端に設けた端子部との間をネジ部内を貫通する接続
部で接続して導電性とし、この頭部から端子部を接続す
る部分がインダクタンスをもつように構成したことによ
り、以下のような効果を得ることができる。まず、第1
の効果として、ネジ部の内部にインダクタンスを形成す
るので、本発明を適用する場合に、接合する電子部品
(例えば配線基板やシールド部品)に特別の部品を新た
に装着する必要がなく、既に存在するネジ孔等を用いて
実現することができる。このため、接合する電子部品を
新たに設計し直す必要がなく、効果的にEMC(不要輻
射)の問題を解決することが可能となる。
【0019】また、第2の効果として、ネジの種類を変
えることにより、自由にインダクタンスの値を変えるこ
とができ、使用する電子機器の周波数や電子機器の電波
暗室での測定結果に応じて抑制する周波数が簡単に調整
できるため、設計、製造の容易化、期間の短縮を実現す
ることができる。また、第3の効果として、上述のよう
に本発明のネジ形電子部品によってシールド用筐体と配
線基板を結合する構成において、シールド用筐体から配
線基板の内部に高周波電流が進入するのを防止でき、人
体からの放電等によるESD(静電放電)問題の発生を
防止することができる。また、第4の効果として、既に
市販されている、または設計が終了している電子機器に
も、ネジを付け替えるたけで対応できるので、市場にお
ける信頼性の向上を既に市販されている電子機器にも実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるネジ形電子部品の外
観を示す正面図である。
【図2】図1に示すネジ形電子部品の非導電性部分と導
電性部分とを分離して示す正面図である。
【図3】図1に示すネジ形電子部品の回路シンボル図で
ある。
【図4】図1に示すネジ形電子部品においてインダクタ
ンスが形成される様子を説明する正面図である。
【図5】本発明の実施の形態によるネジ形電子部品によ
ってプリント配線基板とシールド用筐体を結合した状態
を示す断面図である。
【符号の説明】
10……頭部、20……ネジ部、30……端子部、40
……接続部、50……プリント配線基板、52……挿通
孔、54……グランド、60……筐体、62……ネジ止
め部、64……ネジ孔。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非導電性材料よりなるネジ部と、 導電性材料よりなり、前記ネジ部の基端部に一体化され
    た頭部と、 導電性材料よりなり、前記ネジ部の先端部から外方に突
    出した端子部と、 導電性材料よりなり、前記ネジ部の内部を軸方向に貫通
    し、前記頭部と前記端子部とを電気的に接続することに
    より、インダクタンスを形成する接続部と、 を有することを特徴とするネジ形電子部品。
  2. 【請求項2】 前記接続部は、細径棒状に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載のネジ形電子部品。
  3. 【請求項3】 前記ネジ部は、合成樹脂の成型品よりな
    ることを特徴とする請求項1記載のネジ形電子部品。
  4. 【請求項4】 前記頭部、端子部、及び接続部が金属材
    料よりなることを特徴とする請求項1記載のネジ形電子
    部品。
  5. 【請求項5】 前記端子部は球状または柱状に形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載のネジ形電子部
    品。
  6. 【請求項6】 電子機器を構成するプリント配線基板と
    そのシールド用部品とを互いに位置決め配置し、前記ネ
    ジ部を前記プリント配線基板に形成した挿通孔に挿通
    し、さらに前記シールド用部品に形成したネジ孔に締め
    込むことにより、プリント配線基板とシールド用部品と
    を機械的に接合するとともに、前記プリント配線基板上
    に形成したグランド電極部と前記シールド用部品とを電
    気的に接続することを特徴とする請求項1記載のネジ形
    電子部品。
  7. 【請求項7】 前記シールド用部品は、前記プリント配
    線基板を包囲する状態で設けられる電子機器のシールド
    筐体であり、前記ネジ孔は、シールド筐体に形成したネ
    ジ止め用の取り付け部に形成されていることを特徴とす
    る請求項6記載のネジ形電子部品。
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