JP7514399B2 - 電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車載用として用いるのに好適な電子制御装置に関する。
特開2011-221541号公報(特許文献1)には、上ケース部と下ケース部とを有するケース内に各種回路部品が搭載されている基板を設けた光電変換モジュールが記載されている(段落0019,0020参照)。特許文献1の光電変換モジュールでは、上ケース部と下ケース部とが導電性の金属で形成されている。
国際公開第2020/194652号(特許文献2)には、基板に実装されるシールドケースが記載されている。シールドケースは、基板の実装面に設けられた回路パターンの少なくとも一部を覆うケース本体と、ケース本体の外周端部から、実装面に沿って前記ケース本体から離れる方向に延びるフランジ部と、フランジ部の外周端部から、実装面に対して離れる方向に曲がって延びる屈曲部とを備え、フランジ部とフランジ部が配置される基板に設けられたケース実装領域との間、及び屈曲部とケース実装領域との間に設けられる接合部材によって基板に実装される(要約参照)。なおシールドケースは、フランジ部とフランジ部が配置されるグランドパターンとの間、及び屈曲部とグランドパターンとの間に設けられる接合部材としての半田によって、基板(高周波回路基板)に実装される(段落0017参照)。
特開2011-221541号公報 国際公開第2020/194652号
特許文献1のケース及び特許文献2のシールドケース(以下、ケースという)は金属製である。金属製のケースを使用する場合、コストがかかる。特許文献1及び特許文献2のケースを電子制御装置に用いる場合、コスト低減に対して課題がある。また特許文献2のシールドケースの場合、シールドケースが半田によって基板に実装されるため、実装された部品の電気的な接続を確認するためのICT(In-circuit Test)、自動外観検査AOI(Automated Optical Inspection)、X線検査ができない。このため特許文献2のケースを電子制御装置に用いる場合、信頼性の検証に課題がある。
上記課題に対して樹脂製のケースを用いることが有効であるが、その場合、EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)に対する対策が必要となる。
本発明の目的は、金属製のケースを使用せず、樹脂製のケースを使用した際のEMC耐性向上可能な電子制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明に係る電子制御装置の一例は、
基板と、前記基板の電子部品搭載面の上に配置される電子部品と、前記基板を収納する樹脂製のケースと、を備え、
前記ケースは、前記基板の前記電子部品搭載面と対向する面に導電性部材を有し、
前記基板は、前記電子部品搭載面の上に、前記電子部品を囲うように実装された複数の導電性面実装部材を有し、
前記複数の導電性面実装部材は、それぞれが前記電子部品搭載面の上に離間して配置され、前記導電性部材と接触することによって電気的シールドを形成する。
本発明によれば、金属製のケースを使用せず、樹脂製のケースを使用した際のEMC耐性向上可能な電子制御装置を提供することができる。
上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1実施例に係る電子制御装置10の外観を示す斜視図。 第1実施例に係る電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10の分解斜視図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10の基板101の上面図。 本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、導電性部材102の正面からみた断面図。 本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、導電性部材102の横からみた断面図。 電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図であり、図6および図7に示す導電性部材102と導電性基板実装部材301との接続図。 本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、凸部102aを円錐形状とした導電性部材102の正面からみた断面図。 本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、凸部102aを円柱形状とした導電性部材102の正面からみた断面図。 導電性部材102の応力説明図。 導電性部材102の応力説明図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10における導電性面実装部材301と導電性部材102との接続図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図。 導電性面実装部材301に剥がれが生じた場合の電子制御装置の基板挿入方向に沿う断面図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10に用いられる基板101の上面図。 本発明の実施例に係る電子制御装置10に用いられる基板101の上面図。
本発明に係る電子制御装置は、車載用電子制御装置として用いるのに好適であり、情報安全系ECU(Electronic Control Unit)を構成するのに適している。情報安全系ECUにおいては、通信の高速化に対応する必要がある。高速通信を実現した場合、電子回路から放出される高周波の電磁放射ノイズ及び電動ノイズなどの電磁ノイズが発生すると共に、ノイズ源が増加する。このような電磁ノイズの増加に対して、情報安全系ECUでは、さらなるEMC対策が必要となる。またECUでは、ECU筐体の低コスト化の要求もあり、EMC特性の向上と低コスト化の両立が必須となる。なお本発明に係る電子制御装置は、車載用に限定される訳ではない。
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。なお、各実施例において同一の符号を付された構成は、特に言及しない限り同様の機能を有するので、重複する説明は省略する。
[実施例1]
本発明の第1実施例を図1及び図2を用いて説明する。図1は、第1実施例に係る電子制御装置10の外観を示す斜視図である。図2は、第1実施例に係る電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図である。
図1に示すように、電子制御装置10は、基板101と、基板101が収納されるケース100と、カバー105と、を備える。ケース100及びカバー105は金属よりも安価な材料で構成され、例えば樹脂製のケース及びカバーが用いられる。ケース100は、基板101が収納される空間を有する有底の筒状に形成され、その一端はケース100を構成する部材で塞がれており、他端の開口部100aにカバー105が取り付けられる。なお本実施例のケース100は、基板101の挿入方向に垂直な断面が矩形を成している。
図2に示すように、基板101には、電子部品302が実装され、電子部品302を囲うように少なくとも2つ以上の導電性部材301が、各々が独立した配置で実装される。導電性部材301は、導体や誘電体であって、基板101に面実装される部材であり、後述する導電性部材102と区別するため、導電性面実装部材と呼んで説明する。
電子部品302を搭載する基板101の電子部品搭載面101aと対向するケース100の面には、導電性部材102が設けられる。導電性部材102は、導電性を有する部材であり、例えば金属板または導電性樹脂である。
基板101はシグナルグランド(SG: Signal Ground)103を有する。シグナルグランド103は基板101の電子部品搭載面101a、反電子部品搭載面101b、または基板101の内層に設けられる。本実施例では、シグナルグランド103は基板101の内層に設けられる例を示しており、電子部品302は基板101の厚み方向においてシグナルグランド103と導電性部材102との間に配置される。
電子部品302から発生する放射ノイズの放射ルートは、例えばRGMII(Reduced Gigabit Media Independent Interface)ラインであり、動作周波数は125MHzほどである。上記の放射ルートを封止または遮断しないと放射ノイズが外部に漏れる。本実施例では、導電性面実装部材301と導電性部材102とを同電位にすることで、電気的シールドが形成される。本実施例では、導電性面実装部材301を導電性部材102と接触させることで同電位にし、電気的シールドを形成する。この場合、導電性面実装部材301及び導電性部材102は基板SG103と同電位にすることが好ましい。このために、導電性面実装部材301を用い、導電性部材102を基板SG103と同電位にするとよい。
電子部品302の周囲を導電性面実装部材301及び導電性部材102により同電位にすることで、ノイズ電界を抑制することが可能となり、ノイズ源から放射された高周波の放射ノイズの外部への漏洩を抑制することができる。
電子部品搭載面101aは電気的シールドを必要とする電子部品302が搭載される面であり、電気的シールドを必要としない電子部品を電子部品搭載面101aとは反対側の面(反電子部品搭載面)101bに搭載してもよい。電気的シールドを構成する上で、電子部品302は基板101の厚み方向においてシグナルグランド103と導電性部材102との間に配置されることが好ましく、この場合、基板101の内層または反電子部品搭載面101bの少なくともいずれか一方にシグナルグランド103が配置されることが好ましい。
基板101はケース100の開口部100aからケース100の内側に挿入され、ケース100の奥側に向けてスライドさせることでケース100の内部に装着される。
以上のように構成した実施例1の形態における効果を説明する。電子部品302の周囲を基板SG103、導電性面実装部材301、導電性部材102で同電位にすることでシールドを形成し、放射ノイズを低減できる。また、基板101にシールドは実装せず導電性面実装部材301のみを実装するため、基板101の組立後にAOI、ICTでの検査が可能となる。これにより、従来の検査設備を用いることができることで、新規の検査設備が不要となり、低コスト化が可能となる。
また従来から電子制御装置には金属筐体を用いることが多かったが、本実施例の電子制御装置10では、ケース100は樹脂製であって、低コスト化が実現できる。
以上に説明したように、本実施例の車載用電子制御装置10は、
基板101と、基板101の電子部品搭載面101aの上に配置される電子部品302と、基板101を収納する樹脂製のケース100と、を備え、
ケース100は、基板101の電子部品搭載面101aと対向する面に導電性部材102を有し、
基板101は、電子部品搭載面101aの上に、電子部品302を囲うように実装された複数の導電性面実装部材301を有し、
複数の導電性面実装部材301は、それぞれが電子部品搭載面101aの上に離間して配置され、導電性部材102と接触することによって電気的シールドを形成する。
次に、図3及び図4を用いて、基板101のケース100へ実装構造について説明する。図3は、本発明の実施例に係る電子制御装置10の分解斜視図である。図4は、本発明の実施例に係る電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図である。なお図4では、基板101をケース100に挿入する途中の状態を示している。
図3に示すように、ケース100は開口部100aを有する。ケース100の内部の側壁100bには挿入ガイド107が設けられる。基板101は開口部100aからガイド107に従って、スライドして挿入されることにより、ケース100に装着される。基板100には外部機器と電気的に接続するためのコネクタ104が設けられている。基板101をケース100に装着した後、ケース100の開口部100aを塞ぐようにカバー105をケース100に装着する。このときカバー105は、開口部105aからコネクタ104が露出するにケース100に装着される。図3に示す構成により、基板101をケース100に固定する際のネジ締め工程が不要となり、作業性が向上する。
図4に示すように、基板101が挿入されると同時に基板101に設けられた導電性実装部材301と導電性部材102とが接触する。図4は基板101をケース100に挿入する途中の状態を示しており、ケース100の奥側に位置する導電性実装部材301が導電性部材102と接触した状態を示している。基板101のケース100への装着が完了した状態では、開口部100a側に位置する導電性実装部材301も導電性部材102と接触した状態になる。
導電性実装部材301は基板101に実装される段階でシグナルグランド103と電気的に接続される。従って、基板101のケース100への装着が完了した状態では、導電性部材102は導電性面実装部材301を介してシグナルグランド103に電気的に接続され、基板SG103と導電性面実装部材301と導電性部材102とが同電位となり電気的シールドが形成される。導電性面実装部材301と導電性部材102を同電位にすることで、ノイズ電界を抑制することが可能となり、ノイズ源から放射された高周波の放射ノイズの外部への漏洩を抑制することができる。ケース100の内部に導電性部材102を備えることにより、樹脂製のケース100を使用できるため、コスト低減が可能となる。
次に、図5を用いて、導電性面実装部材301の配置について説明する。図5は、本発明の実施例に係る電子制御装置10の基板101の上面図である。
基板101上には電子部品302の周囲に導電性面実装部材301を少なくとも2つ以上備える。すなわち基板101の電子部品搭載面101aに、複数の導電性面実装部材301が設けられる。ここで導電性面実装部材301同士の間隔は、導電性面実装部材301aと導電性面実装部材301bとの間隔がL1、導電性面実装部材301aと導電性面実装部材301cとの間隔がL2、導電性面実装部材301bと導電性面実装部材301cとの間隔がL3となるように、3つの導電性面実装部材が配置される。
複数の導電性面実装部材301は電子部品302を囲うように配置される。図5では3つの導電性面実装部材301a,301b,301cで電子部品302を囲う場合を例示しているが、2つの導電性面実装部材で電子部品302を囲うこともできる。例えば、図5の2つの導電性面実装部材301aと導電性面実装部材301bとを連続した1つの導電性面実装部材とすることにより、2つの導電性面実装部材で電子部品302を囲うことができる。
ここで電子部品302が発するノイズ成分の波長をλとする。
導電性面実装部材301a,301b,301cの配置間隔L1,L2,L3がλ/2のとき、共振を起こしEMI(Electromagnetic Interference)放射量が最大となる。そのため、導電性面実装部材301a,301b,301cの配置間隔L1,L2,L3は電子部品302が発するノイズ成分の波長λに対し、λ/2よりも小さい間隔となるよう配置するとよい。このような構成とすることで、複数の導電性面実装部材301のすき間から、λ/2までのノイズ放射を低減できるため、EMC耐性を向上させることができる。また導電性面実装部材301同士の間隔を調整の上、導電性面実装部材301の個数を最小限にすることで、電子部品302の実装スペースを大きく確保できると共に、コスト低減が可能となる。
次に、図6~図8を用いて、導電性部材102の変更例について説明する。図6は、本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、導電性部材102の正面(基板101の挿入方向)からみた断面図である。図7は、本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、導電性部材102の横(基板101の電子部品搭載面101aに平行で、且つ基板101の挿入方向に垂直な方向)からみた断面図である。図8は、電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図であり、図6および図7に示す導電性部材102と導電性基板実装部材301との接続図である。
図6では、図の左側から、図7のVIA-VIA断面、VIB-VIB断面、VIC-VIC断面、VID-VID断面を示す。ケース100に設けられた導電性部材102は、接触する導電性面実装部材301と対向する位置にあわせて高さHを調整する。
図7に示すように、導電性部材102の導電性面実装部材301との対向面102aは、ケース100の電子部品搭載面101aとの対向面100cから突出する凸部を構成し、その突出高さHが、基板101の挿入方向における手前側(開口部100a側)から奥側に向かって、次第に高くなる。すなわち、基板101の挿入方向に垂直な導電性部材102の断面積は、基板101の挿入方向奥側に向かって次第に大きくなるよう構成され、基板101の挿入方向と反対方向に向かって次第に小さくなるように構成される。
なお図7において、ケース100の、導電性部材102に対して奥側に形成される部分100dは、ケース100の型抜きの関係で、導電性部材102の突出高さHが最も高くなる部分(VID-VID断面の部分)と同じ高さになる。すなわち、導電性部材102はケース100と一体にモールド成型される。
図8では、基板101がケース100に組み込まれた状態を示している。ケース100の側壁100b(図3参照)の内面は基板101の縁部が挿入されるガイド107を備え、基板101はガイド107に従ってケース100の内部に装着される。ケース100の電子部品搭載面101aとの対向面100cには、導電性面実装部材301との対向面(接触面)102aが傾斜面で構成される導電性部材102が設けられている。基板101の電子部品搭載面101aに実装された導電性面実装部材301は導電性部材102と接触することで、シグナルグランド103と導電性面実装部材301と導電性部材102とが同電位になり、電気的シールドが形成される。
導電性部材102には凸部102aが設けられており、基板101がガイド107に従ってケース100の内側に挿入される際に、導電性面実装部材301は導電性部材102で押し潰されながら導電性部材102に接触する。このように構成することで、導電性部材102、導電性面実装部材301及びガイド107に寸法ばらつきがあっても、導電性面実装部材301と導電性部材102とを確実に接触させることができ、電子制御装置10におけるEMC耐性の信頼性が向上する。また、ケース100及び基板101の精密な寸法管理が不要になる。
次に、図9~図12を用いて、導電性部材102の更なる変更例について説明する。図9は、本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、凸部102aを円錐形状とした導電性部材102の正面からみた断面図である。図10は、本発明に係る導電性部材102の変更例を示す図であり、凸部102aを円柱形状とした導電性部材102の正面からみた断面図である。図11及び図12は、導電性部材102の応力説明図であり、図11は基板101の挿入方向に垂直な断面が矩形状を成す場合の応力説明図、図12は図9及び図10に示す導電性部材102の応力説明図である。なお図9及び図10では、図6と同様な、図7のVIA-VIA断面、VIB-VIB断面、VIC-VIC断面、VID-VID断面に相当する断面を示す。
図9の変更例では、凸部102aの形状は半円錐形である。また図10の変更例では、凸部102aの形状は半円柱形である。図9及び図10の例では、凸部102aの先端(頂部)が導電性面実装部材301に点接触する。
図11に示す応力説明図は、例えば図6及び図7に示すような凸部102aの場合の応力説明図である。図6及び図7に示すような凸部102aの場合、導電性部材102が導電性面実装部材301と接触する際に、接触部(接続部)の面積が大きくなる。このため、導電性面実装部材301に発生する応力が大きくなり、導電性面実装部材301が基板101から剥がれ易くなる。この場合、導電性部材102と導電性面実装部材301と接触力及び導電性面実装部材301に発生する応力を考慮して、導電性部材102の凸部102aと導電性面実装部材301とを所定の形状精度で加工する。
一方、図9及び図10の例では、凸部102aは、挿入方向に垂直な断面における表面の形状が断面の中央部で高くその断面の両端部に近づくほど低くなる曲線を成しており、挿入方向に垂直な断面の面積が挿入方向に向かって大きくなる形状をしている。また本例においても、基板101の挿入方向に垂直な導電性部材102の断面積は、基板101の挿入方向奥側に向かって次第に大きくなるよう構成される。このような形状の一例として、例えば図9に示すようなテーパー形状、より具体的には半円錐形や、図10に示すような形状(本例では半円柱形と呼ぶ)がある。凸部102aの突出方向の先端(頂部)は導電性面実装部材301と接触する。本例では、導電性面実装部材301と凸部102aとの接触部(接続部)の面積が小さくなることにより、導電性面実装部材301に発生する応力を小さくすることができる。この場合、導電性面実装部材301が基板101から剥がれ難くなるといった効果が得られる。
図9及び図10の例では、さらに導電性部材102の形状をより小さくすることができ、低コスト化を実現できる。導電性部材102の凸部102aと導電性面実装部材301との形状精度を緩くできるので、低コスト化が可能になる。
次に、図13を用いて、導電性面実装部材301の配置について説明する。図13は、本発明の実施例に係る電子制御装置10における導電性面実装部材301と導電性部材102との接続図である。
複数の導電性面実装部材301が挿入方向に対して重なる位置に配置された場合、手前側(開口部100a側)に配置された導電性部材102は、基板101を挿入する際に、奥側の導電性部材102に接続される導電性面実装部材301に潰されてしまい、本来接続されるはずの導電性面実装部材301と接続できなくなる可能性がある。この課題に対し、図13を示すように、複数の導電性面実装部材301は基板101の挿入方向に対して、相互に重ならない位置に配置されるようにする。すなわち複数の導電性面実装部材301は、基板101の電子部品搭載面101aに平行で、且つ基板101の挿入方向(奥行き方向)に垂直な幅方向に、オーバーラップしないように配置される。
このような構成により、導電性部材102が本来接続されるはずの導電性面実装部材301以外の導電性面実装部材301と接触して破損することを回避できる。
次に、図14~図16を用いて、導電性部材102の更なる変更例について説明する。図14は、本発明の実施例に係る電子制御装置10の基板挿入方向に沿う断面図である。図15は、導電性面実装部材301に剥がれが生じた場合の電子制御装置の基板挿入方向に沿う断面図である。図16は、本発明の実施例に係る電子制御装置10に用いられる基板101の上面図である。
図14及び図15に示すように、導電性部材102の凸部102aは導電性面実装部材301の数に対応するように複数設けられる。また複数の凸部102aのうち1つの凸部102a1は、他の凸部102a2よりも導電性面実装部材301と接触する面の傾きが急であるよう構成される。すなわち1つの凸部102a1の傾斜面の傾斜角θ1は、他の凸部102a2の傾斜面の傾斜角θ2よりも大きな角度(急な傾斜角)とする(θ1>θ2)。
図14及び図15の例では、応力のかかり易い導電性面実装部材301と凸部102a1との組み合わせを故意に設けている。これは、応力のかかり易い箇所の導電性面実装部材301を調べることで、全数の検査を不要にする。すなわち応力のかかり易い箇所の導電性面実装部材301が導電性部材102に付いていれば、応力のかかり難い他の導電性面実装部材301は導電性部材102に付いていると判断できる。
また図16に示すように、1つの凸部102a1に接触する導電性面実装部材301が電気的に接続される基板101のパッド106は、信号線106aで、ピンコネクタ109に電気的に接続される。電気特性検査で、凸部102a1に接触する導電性面実装部材301に電流が流れるかどうかを、ピンコネクタ109を通じて確認できる。図14に示すように、導電性面実装部材301と導電性部材102とが電気的に接続されている場合は、ピンコネクタ109に電気が流れる。一方図15を示すように、導電性面実装部材301が剥がれている場合は、ピンコネクタ109に電流が流れなくなる。
基板101をケース100に挿入する際に最も大きな応力のかかる導電性面実装部材301についてピンコネクタ109を通じてオープンショートチェックを行うことで、複数の導電性面実装部材301についてオープンショートを確認することができる。このオープンショートチェックは、従来の出荷検査方法(装置)を使用して行うことが可能である。このため、新たな検査工程や装置が不要であり、低コスト化が可能である。
次に、図17を用いて、導電性部材102の更なる変更例について説明する。図17は、本発明の実施例に係る電子制御装置10に用いられる基板101の上面図である。
図17に示すように、導電性部材102のうち、導電性面実装部材301との接触がない部分は例えばパンチなどにより穴抜きされ、穴102bが開けられる。説明のため穴102bの直径をR4と呼ぶ。
穴102bの直径(L4)がλ/2にて共振を起こしEMI(Electromagnetic Interference)放射量が最大となるため、実施例3の説明と同様な理由から、穴102bの直径(L4)を電子部品302が発するノイズ成分の波長λに対し、λ/2よりも小さく設定する。このような構成を有することでλ/2までのノイズ放射を低減できる。さらに、穴102bの直径(L4)を調整の上、穴102bの個数を最大限にすることで、電子制御装置10の軽量化と、材料費低減とが可能である。
本発明に係る上記の実施例及び変更例によれば、ノイズ源の周囲をシグナルグランド103、導電性面実装部材301及び導電性部材102で同電位にすることで、電気的なシールドを形成することができ、結果的に放射ノイズを低減できる。また樹脂製のケース100を使用することで低コスト化が可能となる。また、基板101にシールドは実装せず導電性面実装部材301のみを基板101に実装するため、基板組立後にAOI、ICTが可能となる。このため新規の検査設備不要であり、低コスト化が可能である。さらに基板をスライドして入れる方式とすれば、カバーとケースをネジ締めする工程が不要となるため、さらにコスト低減が可能となる。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100…筒状樹脂ケース、101…基板、102…導電性部材、102a…導電性部材102の凸部、102b…穴、103…シグナルグランド、104…コネクタ、105…カバー、106…パッド、106a:信号線、107…ガイド、109…ピンコネクタ、301…導電性面実装部材、302…電子部品(ノイズ源)。

Claims (13)

  1. 基板と、前記基板の電子部品搭載面の上に配置される電子部品と、前記基板を収納する樹脂製のケースと、を備え、
    前記ケースは、前記基板の前記電子部品搭載面と対向する面に導電性部材を有し、
    前記基板は、前記電子部品搭載面の上に、前記電子部品を囲うように実装された複数の導電性面実装部材を有し、
    前記複数の導電性面実装部材は、それぞれが前記電子部品搭載面の上に離間して配置され、前記導電性部材と接触することによって電気的シールドを形成する電子制御装置。
  2. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    複数の前記導電性面実装部材の配置間隔は、前記電子部品が発するノイズ成分の波長λに対し、λ/2よりも小さい電子制御装置。
  3. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記ケースの前記電子部品搭載面との対向面から突出する凸部を構成し、
    前記凸部の突出高さは、前記基板の挿入方向における手前側から奥側に向かって、次第に高くなる電子制御装置。
  4. 請求項3に記載の電子制御装置であって、
    前記挿入方向に垂直な前記凸部の断面積は、前記挿入方向と反対方向に向かって小さくなるように構成される電子制御装置。
  5. 請求項4に記載の電子制御装置であって、
    前記凸部の形状はテーパー形状であって、前記凸部の突出方向の先端は前記導電性面実装部材と接触する電子制御装置。
  6. 請求項5に記載の電子制御装置であって、
    前記凸部の形状は半円錐形であって、前記凸部の突出方向の先端は前記導電性面実装部材と接触する電子制御装置。
  7. 請求項4に記載の電子制御装置であって、
    前記凸部の形状は半円柱形であって、前記凸部の突出方向の先端は前記導電性面実装部材と接触する電子制御装置。
  8. 請求項3に記載の電子制御装置であって、
    前記複数の導電性面実装部材は、前記基板の前記電子部品搭載面に平行で、且つ前記挿入方向に垂直な幅方向に、オーバーラップしないように配置される電子制御装置。
  9. 請求項3に記載の電子制御装置であって、
    前記凸部は前記導電性面実装部材の数に対応するよう複数設けられ、
    複数の前記凸部のうち1つの凸部は、他の凸部よりも前記導電性面実装部材と接触する面の傾きが急である電子制御装置。
  10. 請求項9に記載の電子制御装置であって、
    前記1つの凸部に接触する導電性面実装部材が電気的に接続される前記基板のパッドは、信号線で、コネクタに電気的に接続される電子制御装置。
  11. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記導電性部材のうち、前記導電性面実装部材との接触がない部分は穴抜きされ、
    開けられる穴の直径はノイズ成分の波長λに対し、λ/2よりも小さい電子制御装置。
  12. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記導電性部材は、金属板である電子制御装置。
  13. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記導電性部材は、導電性樹脂である電子制御装置。
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