JP2001071926A - 車両の協調制御装置 - Google Patents

車両の協調制御装置

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JP2001071926A
JP2001071926A JP24818799A JP24818799A JP2001071926A JP 2001071926 A JP2001071926 A JP 2001071926A JP 24818799 A JP24818799 A JP 24818799A JP 24818799 A JP24818799 A JP 24818799A JP 2001071926 A JP2001071926 A JP 2001071926A
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steering
driving force
distribution device
braking force
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JP24818799A
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Hiromi Inagaki
裕巳 稲垣
Tatsuhiro Tomari
辰弘 泊
Masakatsu Hori
昌克 堀
Tomoyuki Niimura
智之 新村
Shinji Okuma
信司 大熊
Akihiro Iwasaki
明裕 岩崎
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動力配分装置および電動パワーステアリン
グ装置を協調制御してトルクステア現象を軽減する車両
の協調制御装置において、駆動力配分装置が誤作動した
ときにトルクステア現象が発生するのを防止する。 【解決手段】 駆動力配分装置を制御する第1電子制御
ユニットU1 の補正操舵トルク算出手段M8に操舵トル
ク検出手段S5 で検出した操舵トルクTQ を入力し、そ
の操舵トルクTQ を駆動力配分装置が発生する実トルク
配分量TL ′,T R ′で補正して補正操舵トルクTQ
を算出する。第2電子制御ユニットU2 は、前記補正操
舵トルクTQ ′に基づいて電動パワーステアリング装置
を制御し、駆動力配分装置が出力する実トルク配分量T
L ′,TR ′に応じて発生するトルクステア現象を抑制
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右輪間あるいは
前後輪間で駆動力あるいは制動力を配分する駆動力・制
動力配分装置と、操舵系に操舵補助トルクを付加する電
動パワーステアリング装置とを併せ備えた車両の協調制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動力を左右の駆動輪に配分
する比率を可変とし、旋回外輪に配分する駆動力を増加
するとともに旋回内輪に配分する駆動力を減少させるこ
とにより、旋回方向のヨーモーメントを発生させて旋回
性能を高める技術は公知である。かかる駆動力配分装置
を備えた車両において、左右の駆動輪に配分する駆動力
を変化させると、操舵輪を兼ねる左右の駆動輪に望まし
くない操舵力が発生してしまう問題がある(トルクステ
ア現象)。そこで、車両に備えられた電動パワーステア
リング装置を利用し、その電動パワーステアリング装置
に前記望ましくない操舵力を打ち消すような操舵補助ト
ルクを発生させてトルクステア現象を軽減するものが、
本出願人により既に提案されている(特願平11−63
113号参照)。
【0003】このものは、操舵トルク検出手段で検出し
た操舵トルクを駆動力・制動力配分装置の第1制御手段
に入力して該駆動力・制動力配分装置の制御量に応じて
補正し、その補正操舵トルクを電動パワーステアリング
装置の第2制御手段に入力して該電動パワーステアリン
グ装置に操舵補助トルクを発生させるとにより、駆動力
・制動力配分装置の作動により発生するトルクステア現
象を軽減するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記従来のも
のは、電動パワーステアリング装置の第2制御手段に入
力する補正操舵トルクを、第1制御手段が出力する駆動
力・制動力配分装置の制御量に応じて補正するので、例
えば、車両の直進走行中に駆動力・制動力配分装置の制
御量が0であるにも拘わらず該駆動力・制動力配分装置
が故障して勝手に作動したような場合に、次のような事
態が発生してしまう。即ち、駆動力・制動力配分装置が
故障して左右の駆動輪に駆動力を配分すると望ましくな
いトルクステア現象が発生するが、このとき第1制御手
段が出力している駆動力・制動力配分装置の制御量は0
であるため、電動パワーステアリング装置が発生する操
舵補助トルクも0のままになり、前記故障により発生し
たトルクステア現象を抑えることができなくなる。
【0005】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、駆動力・制動力配分装置および電動パワーステアリ
ング装置を協調制御してトルクステア現象を軽減する車
両の協調制御装置において、駆動力・制動力配分装置が
誤作動したときにトルクステア現象が発生するのを防止
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、左右輪間ある
いは前後輪間で駆動力あるいは制動力を配分する駆動力
・制動力配分装置と、駆動力・制動力配分装置の作動を
制御する第1制御手段と、操舵系に操舵補助トルクを付
加する電動パワーステアリング装置と、少なくとも操舵
トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電動パ
ワーステアリング装置の作動を制御する第2制御手段
と、駆動力・制動力配分装置の出力量を検出する出力量
検出手段と、を備えた車両の協調制御装置であって、操
舵トルク検出手段で検出した操舵トルクを第1制御手段
に入力し、第1制御手段は、出力量検出手段で検出した
駆動力・制動力配分装置の出力量に応じて前記操舵トル
クを補正した補正操舵トルクを算出して第2制御手段に
出力し、第2制御手段は前記補正操舵トルクに基づいて
前記操舵補助トルクを算出することを特徴とする車両の
協調制御装置が提案される。
【0007】上記構成によれば、操舵トルク検出手段で
検出した操舵トルクを電動パワーステアリング装置の第
2制御手段に直接入力することなく、その操舵トルクを
駆動力・制動力配分装置の第1制御手段に入力して該駆
動力・制動力配分装置の出力量に応じて補正し、その補
正操舵トルクを第2制御手段に入力して電動パワーステ
アリング装置の操舵補助トルクを算出するので、電動パ
ワーステアリング装置および駆動力・制動力配分装置の
協調制御を行わない車両の第2制御手段を変更せずにそ
のまま使用しながら、前記協調制御を可能にしてコスト
ダウンに寄与することができる。しかも駆動力・制動力
配分装置が故障して該駆動力・制動力配分装置の制御量
と出力量とが不一致になった場合、操舵トルクを前記制
御量でなく前記出力量(つまり駆動力・制動力配分装置
が実際に発生している駆動力あるいは制動力の配分量)
に応じて補正するので、駆動力・制動力配分装置の誤作
動によって発生したトルクステア現象を打ち消し得る操
舵補助トルクを電動パワーステアリング装置に確実に発
生させることができる。
【0008】また請求項2に記載された発明によれば、
左右輪間あるいは前後輪間で駆動力あるいは制動力を配
分する駆動力・制動力配分装置と、駆動力・制動力配分
装置の作動を制御する第1制御手段と、操舵系に操舵補
助トルクを付加する電動パワーステアリング装置と、少
なくとも操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基
づいて電動パワーステアリング装置の作動を制御する第
2制御手段と、駆動力・制動力配分装置の出力量を検出
する出力量検出手段と、を備えた車両の協調制御装置で
あって、第1制御手段は、出力量検出手段で検出した駆
動力・制動力配分装置の出力量に応じて操舵トルク補正
量を算出して第2制御手段に出力し、第2制御手段は、
操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに前記操舵ト
ルク補正量を加算あるいは減算した値に基づいて前記操
舵補助トルクを算出することを特徴とする車両の協調制
御装置が提案される。
【0009】上記構成によれば、駆動力・制動力配分装
置の第1制御手段で該駆動力・制動力配分装置の出力量
に応じた操舵トルク補正量を算出し、その操舵トルク補
正量を入力された第2制御手段は、操舵トルク検出手段
で検出した操舵トルクに前記操舵トルク補正量を加算あ
るいは減算した値に基づいて電動パワーステアリング装
置の操舵補助トルクを算出するので、電動パワーステア
リング装置および駆動力・制動力配分装置の協調制御を
行わない車両の第2制御手段の変更を最小限に抑えなが
ら、前記協調制御を可能にしてコストダウンに寄与する
ことができる。しかも駆動力・制動力配分装置が故障し
て該駆動力・制動力配分装置の制御量と出力量とが不一
致になった場合、駆動力・制動力配分装置の前記制御量
ではなく前記出力量(つまり駆動力・制動力配分装置が
実際に発生している駆動力あるいは制動力の配分量)に
応じて操舵トルク補正量を算出するので、駆動力・制動
力配分装置の誤作動によって発生したトルクステア現象
を打ち消し得る操舵補助トルクを電動パワーステアリン
グ装置に確実に発生させることができる。
【0010】また請求項3に記載された発明によれば、
左右輪間あるいは前後輪間で駆動力あるいは制動力を配
分する駆動力・制動力配分装置と、駆動力・制動力配分
装置の作動を制御する第1制御手段と、操舵系に操舵補
助トルクを付加するモータを有する電動パワーステアリ
ング装置と、少なくとも操舵トルク検出手段で検出した
操舵トルクに基づいてモータを駆動する操舵補助制御信
号を算出する第2制御手段と、駆動力・制動力配分装置
の出力量を検出する出力量検出手段と、を備えた車両の
協調制御装置であって、第1制御手段は、トルクステア
を防止すべくモータを駆動するトルクステア防止制御信
号を算出可能であり、第2制御手段は、出力量検出手段
で検出した駆動力・制動力配分装置の出力量に応じて操
舵補助制御信号およびトルクステア防止制御信号の一方
を選択して電動パワーステアリング装置に出力する切換
手段を備えたことを特徴とする車両の協調制御装置が提
案される。
【0011】上記構成によれば、駆動力・制動力配分装
置の非作動時には、第2制御手段で算出した操舵補助制
御信号に基づいて電動パワーステアリング装置のモータ
を制御し、駆動力・制動力配分装置の作動時には、第2
制御手段に設けた切換手段を切り換えて第1制御手段で
算出したトルクステア防止制御信号に基づいて電動パワ
ーステアリング装置のモータを駆動するので、電動パワ
ーステアリング装置および駆動力・制動力配分装置の協
調制御を行わない車両の第2制御手段に切換手段を付加
する最小限の変更を行うだけで、前記協調制御を可能に
してコストダウンに寄与することができる。しかも駆動
力・制動力配分装置が故障して該駆動力・制動力配分装
置の制御量と出力量とが不一致になった場合、駆動力・
制動力配分装置の前記制御量ではなく前記出力量(つま
り駆動力・制動力配分装置が実際に発生している駆動力
あるいは制動力の配分量)に応じて切換手段を作動させ
るので、駆動力・制動力配分装置の誤作動によって発生
したトルクステア現象を打ち消し得る操舵補助トルクを
電動パワーステアリング装置に確実に発生させることが
できる。
【0012】また請求項4に記載された発明によれば、
左右輪間あるいは前後輪間で駆動力あるいは制動力を配
分する駆動力・制動力配分装置と、駆動力・制動力配分
装置の作動を制御する第1制御手段と、操舵系に操舵補
助トルクを付加するモータを有する電動パワーステアリ
ング装置と、少なくとも操舵トルク検出手段で検出した
操舵トルクに基づいてモータを駆動するモータ制御信号
を算出する第2制御手段と、駆動力・制動力配分装置の
出力量を検出する出力量検出手段と、を備えた車両の協
調制御装置であって、第1制御手段は、出力量検出手段
で検出した駆動力・制動力配分装置の出力量に応じて前
記モータ制御信号を補正する補正信号を算出可能であ
り、第2制御手段は、モータ制御信号に補正信号を加算
あるいは減算する加・減算手段を備えたことを特徴とす
る車両の協調制御装置が提案される。
【0013】上記構成によれば、駆動力・制動力配分装
置を制御する第1制御手段で該駆動力・制動力配分装置
の出力量に応じた補正信号を算出し、電動パワーステア
リング装置を制御する第2制御手段はモータ制御信号に
前記補正信号を加算あるいは減算してモータを駆動する
ので、電動パワーステアリング装置および駆動力・制動
力配分装置の協調制御を行わない車両の第2制御手段に
加・減算手段を付加する最小限の変更を行うだけで、前
記協調制御を可能にしてコストダウンに寄与することが
できる。しかも駆動力・制動力配分装置が故障して該駆
動力・制動力配分装置の制御量と出力量とが不一致にな
った場合、駆動力・制動力配分装置の前記制御量ではな
く前記出力量(つまり駆動力・制動力配分装置が実際に
発生している駆動力あるいは制動力の配分量)に応じて
モータ制御信号を補正する補正信号を算出するので、駆
動力・制動力配分装置の誤作動によって発生したトルク
ステア現象を打ち消し得る操舵補助トルクを電動パワー
ステアリング装置に確実に発生させることができる。
【0014】また請求項5に記載された発明によれば、
請求項1〜4の何れかの構成に加えて、駆動力・制動力
配分装置はアクチュエータとして電磁クラッチを有して
おり、前記出力量は電磁クラッチの磁束密度であること
を特徴とする車両の協調制御装置が提案される。
【0015】上記構成によれば、駆動力・制動力配分装
置のアクチュエータである電磁クラッチの磁束密度を検
出することにより、駆動力・制動力配分装置の出力量を
正確に知ることができる。
【0016】また請求項6に記載された発明によれば、
請求項1〜4の何れかの構成に加えて、第2制御手段は
第1制御手段よりも短いループタイムを有するもので、
駆動力・制動力配分装置の制御量と出力量とを比較して
故障診断を行うことを特徴とする車両の協調制御装置が
提案される。
【0017】上記構成によれば、第1制御手段よりもル
ープタイムが短い第2制御手段が駆動力・制動力配分装
置の制御量と出力量とを比較して故障診断を行うので、
駆動力・制動力配分装置の故障を早期に検出することが
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0019】図1〜図8は本発明の第1実施例を示すも
ので、図1は駆動力配分装置の構造を示す図、図2は第
1電子制御ユニットの回路構成を示すブロック図、図3
は中低車速域での右旋回時における駆動力配分装置の作
用を示す図、図4は中低車速域での左旋回時における駆
動力配分装置の作用を示す図、図5は電動パワーステア
リング装置の構造を示す図、図6は第2電子制御ユニッ
トの回路構成を示すブロック図、図7は操舵トルクと実
トルク配分量の差の絶対値との関係を示す図、図8は実
トルク配分量の差の絶対値から操舵トルク補正量を検索
するマップを示す図である。
【0020】図1に示すように、フロントエンジン・フ
ロントドライブの車両の車体前部に横置きに搭載したエ
ンジンEの右端にトランスミッションMが接続されてお
り、これらエンジンEおよびトランスミッションMの後
部に駆動力配分装置Tが配置される。駆動力配分装置T
の左端および右端から左右に延びる左ドライブシャフト
L および右ドライブシャフトAR には、それぞれ左前
輪WFLおよび右前輪W FRが接続される。駆動力配分装置
Tは、本発明の駆動力・制動力配分装置を構成する。
【0021】駆動力配分装置Tは、トランスミッション
Mから延びる入力軸1に設けた入力ギヤ2に噛み合う外
歯ギヤ3から駆動力が伝達される差動装置Dを備える。
差動装置Dはダブルピニオン式の遊星歯車機構よりな
り、前記外歯ギヤ3と一体に形成されたリングギヤ4
と、このリングギヤ4の内部に同軸に配設されたサンギ
ヤ5と、前記リングギヤ4に噛み合うアウタプラネタリ
ギヤ6および前記サンギヤ5に噛み合うインナプラネタ
リギヤ7を、それらが相互に噛み合う状態で支持するプ
ラネタリキャリヤ8とから構成される。差動装置Dは、
そのリングギヤ4が入力要素として機能するとともに、
一方の出力要素として機能するサンギヤ5が左出力軸9
L を介して左前輪WFLに接続され、また他方の出力要素
として機能するプラネタリキャリヤ8が右出力軸9R
介して右前輪WFRに接続される。
【0022】左出力軸9L の外周に回転自在に支持され
たキャリヤ部材11は、円周方向に90°間隔で配置さ
れた4本のピニオン軸12を備えており、第1ピニオン
13、第2ピニオン14および第3ピニオン15を一体
に形成した3連ピニオン部材16が、各ピニオン軸12
にそれぞれ回転自在に支持される。
【0023】左出力軸9L の外周に回転自在に支持され
て前記第1ピニオン13に噛み合う第1サンギヤ17
は、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8に連結される。
また左出力軸9L の外周に固定された第2サンギヤ18
は前記第2ピニオン14に噛み合う。更に、左出力軸9
L の外周に回転自在に支持された第3サンギヤ19は前
記第3ピニオン15に噛み合う。
【0024】実施例における第1ピニオン13、第2ピ
ニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第
2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数は以下の
とおりである。
【0025】 第1ピニオン13の歯数 Z2 =17 第2ピニオン14の歯数 Z4 =17 第3ピニオン15の歯数 Z6 =34 第1サンギヤ17の歯数 Z1 =32 第2サンギヤ18の歯数 Z3 =28 第3サンギヤ19の歯数 Z5 =32 第3サンギヤ19は左電磁クラッチCL を介してケーシ
ング20に結合可能であり、左電磁クラッチCL の係合
によってキャリヤ部材11の回転数が増速される。また
キャリヤ部材11は右電磁クラッチCR を介してケーシ
ング20に結合可能であり、右電磁クラッチCR の係合
によってキャリヤ部材11の回転数が減速される。そし
て前記右電磁クラッチCR および左電磁クラッチC
L は、マイクロコンピュータを含む第1電子制御ユニッ
トU1 により制御される。第1電子制御ユニットU1
本発明の第1制御手段を構成する。
【0026】図2に示すように、第1電子制御ユニット
1 には、エンジントルクTE を検出するエンジントル
ク検出手段S1 と、エンジンEの回転数Neを検出する
エンジン回転数検出手段S2 と、車速Vを検出する車速
検出手段S3 と、操舵角θを検出する操舵角検出手段S
4 と、操舵トルクTQ を検出する操舵トルク検出手段S
5 と、左右の電磁クラッチCL ,CR の電磁アクチュエ
ータの磁束密度、つまり駆動力配分装置Tの出力値であ
る実トルク配分量TL ′,TR ′を検出する実トルク配
分量検出手段S8 ,S8 とからの信号が入力される。実
トルク配分量検出手段S8 ,S8 は本発明の出力量検出
手段を構成する。第1電子制御ユニットU1 は前記各検
出手段S1 〜S5 ,S8 ,S8 からの信号を所定のプロ
グラムに基づいて演算処理し、前記左電磁クラッチCL
および右電磁クラッチCR を制御する。
【0027】第1電子制御ユニットU1 は、ドライブシ
ャフトトルク算出手段M1と、ギヤレシオ算出手段M2
と、左右配分補正係数算出手段M3と、目標ヨーレート
算出手段M4と、横加速度算出手段M5と、左右配分補
正係数算出手段M6と、左右前輪トルク算出手段M7
と、補正操舵トルク算出手段M8とを備える。
【0028】ドライブシャフトトルク算出手段M1は、
ギヤレシオ算出手段M2においてエンジン回転数Neと
車速Vとから求めたギヤレシオNiをエンジントルクT
E に乗算することにより、ドライブシャフトトルクTD
(すなわち、左右の前輪WFL,WFRに伝達されるトクル
の総和)を算出する。尚、エンジントルクTE は吸気圧
(又はアクセル開度)とエンジン回転数Neとから求め
ることが可能であり、ドライブシャフトトルクTD は前
述した以外に動力伝達系に設けたトルク検出手段や車両
の前後加速度から求めることができる。また、車速Vは
車輪速度から求める以外に空間フィルターを用いて光学
的に求めても良く、ドップラーレーダーを用いて求めて
も良い。
【0029】左右配分補正係数算出手段M3は、ドライ
ブシャフトトルクTD に基づいて第1左右配分補正係数
T をマップ検索するとともに、車速Vに基づいて第2
左右配分補正係数KV をマップ検索する。目標ヨーレー
ト算出手段M4は、操舵角θに基づいて目標ヨーレート
Yの操舵角成分Y1 をマップ検索するともに、車速Vに
基づいて目標ヨーレートYの車速成分Y2 をマップ検索
し、それら操舵角成分Y1 および車速成分Y2 を乗算し
て目標ヨーレートYを算出する。横加速度算出手段M5
は、前記目標ヨーレートYに車速Vを乗算することによ
り横加速度YGを算出し、左右配分補正係数算出手段M
6は、前記横加速度YG に基づいて左右配分補正係数G
をマップ検索する。
【0030】而して、左右前輪トルク算出手段M7にお
いて、左前輪WFLに配分すべきトルク配分量TL と右前
輪WFRに配分すべきトルク配分量TR とが、次式に基づ
いて算出される。
【0031】 TL =(TD /2)×(1+KW ×KT ×KV ×G) …(1) TR =(TD /2)×(1−KW ×KT ×KV ×G) …(2) ここで、KT ,KV は左右配分補正係数算出手段M3で
求めた左右配分補正係数、Gは左右配分補正係数算出手
段M6で求めた左右配分補正係数、KW は定数である。
【0032】また、(1)式および(2)式の右辺の
(1±KW ×KT ×KV ×G)は左右の前輪WFL,WFR
間でのトルク配分比を決定する項であって、一方の前輪
FL,WFRのトルク配分が所定量だけ増加すると、他方
の前輪WFL,WFRのトルク配分が前記所定量だけ減少す
る。
【0033】上述のようにして左右の前輪WFL,WFR
配分すべきトルク配分量TL ,TRが求められると、左
右の前輪WFL,WFRに前記トルク配分量TL ,TR が伝
達されるように左電磁クラッチCL および右電磁クラッ
チCR が制御される。
【0034】尚、補正操舵トルク算出手段M8について
は、後から詳述する。
【0035】而して、第1電子制御ユニットU1 からの
指令により、車両の直進走行時には右電磁クラッチCR
および左電磁クラッチCL が共に非係合状態とされる。
これにより、キャリヤ部材11および第3サンギヤ19
の拘束が解除され、左ドライブシャフト9L 、右ドライ
ブシャフト9R 、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8お
よびキャリヤ部材11は全て一体となって回転する。こ
のとき、図1に斜線を施した矢印で示したように、エン
ジンEのトルクは差動装置Dから左右の前輪W FL,WFR
に均等に伝達される。
【0036】さて、車両の中低車速域での右旋回時に
は、図3に示すように第1電子制御ユニットU1 からの
指令により右電磁クラッチCR が係合し、キャリヤ部材
11をケーシング20に結合して停止させる。このと
き、左前輪WFLと一体の左出力軸9L と、右前輪WFR
一体の右出力軸9R (即ち、差動装置Dのプラネタリキ
ャリヤ8)とは、第2サンギヤ18、第2ピニオン1
4、第1ピニオン13および第1サンギヤ17を介して
連結されているため、左前輪WFLの回転数NL は右前輪
FRの回転数NR に対して次式の関係で増速される。
【0037】 NL /NR =(Z4 /Z3 )×(Z1 /Z2 ) =1.143 …(3) 上述のようにして、左前輪WFLの回転数NL が右前輪W
FRの回転数NR に対して増速されると、図3に斜線を施
した矢印で示したように、旋回内輪である右前輪WFR
トルクの一部を旋回外輪である左前輪WFLに伝達するこ
とができる。
【0038】尚、キャリヤ部材11を右電磁クラッチC
R により停止させる代わりに、右電磁クラッチCR の係
合力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を減速す
れば、その減速に応じて左前輪WFLの回転数NL を右前
輪WFRの回転数NR に対して増速し、旋回内輪である右
前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルク
を伝達することができる。
【0039】一方、車両の中低車速域での左旋回時に
は、図4に示すように第1電子制御ユニットU1 からの
指令により左電磁クラッチCL が係合し、第3ピニオン
15が第3サンギヤ19を介してケーシング20に結合
される。その結果、左出力軸9 L の回転数に対してキャ
リヤ部材11の回転数が増速され、右前輪WFRの回転数
R は左前輪WFLの回転数NL に対して次式の関係で増
速される。
【0040】 NR /NL ={1−(Z5 /Z6 )×(Z2 /Z1 )} ÷{1−(Z5 /Z6 )×(Z4 /Z3 )} =1.167 …(4) 上述のようにして、右前輪WFRの回転数NR が左前輪W
FLの回転数NL に対して増速されると、図4に斜線を施
した矢印で示したように、旋回内輪である左前輪WFL
トルクの一部を旋回外輪である右前輪WFRに伝達するこ
とができる。この場合にも、左電磁クラッチCL の係合
力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を増速すれ
ば、その増速に応じて右前輪WFRの回転数NR を左前輪
FLの回転数NL に対して増速し、旋回内輪である左前
輪WFLから旋回外輪である右前輪WFRに任意のトルクを
伝達することができる。而して、車両の中低速走行時に
は旋回外輪に旋回内輪よりも大きなトルクを伝達して旋
回性能を向上させることが可能である。尚、高速走行時
には前記中低速走行時に比べて旋回外輪に伝達されるト
ルクを少なめにしたり、逆に旋回外輪から旋回内輪にト
ルクを伝達して走行安定性能を向上させることが可能で
ある。そして、それらは第1電子制御ユニットU1 の左
右配分補正係数算出手段M3において、車速Vに対する
第2左右配分補正係数KV のマップの設定により達成さ
れる。
【0041】(3)式および(4)式を比較すると明ら
かなように、第1ピニオン13、第2ピニオン14、第
3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18
および第3サンギヤ19の歯数を前述の如く設定したこ
とにより、右前輪WFRから左前輪WFLへの増速率(約
1.143)と、左前輪WFLから右前輪WFRへの増速率
(約1.167)とを略等しくすることができる。
【0042】次に、図5に基づいて車両の操舵系を説明
する。
【0043】ドライバーによってステアリングホイール
21に入力された操舵トルクは、ステアリングシャフト
22、連結軸23およびピニオン24を介してラック2
5に伝達され、更にラック25の往復動は左右のタイロ
ッド26,26を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達さ
れて該前輪WFL,WFRを転舵する。操舵系に設けられた
電動パワーステアリング装置Sは、モータ27の出力軸
に設けた駆動ギヤ28と、この駆動ギヤ28に噛み合う
従動ギヤ29と、この従動ギヤ29と一体のスクリュー
シャフト30と、このスクリューシャフト30に噛み合
うとともに前記ラック25に連結されたナット31とを
備える。
【0044】本発明の第2制御手段を構成する第2電子
制御ユニットU2 は、単独で電動パワーステアリング装
置Sの作動を制御するものではなく、駆動力配分装置T
の作動と関連して電動パワーステアリング装置Sの作動
を協調制御する。そのために、操舵トルク検出手段S5
により検出された操舵トルクTQ は、駆動力配分装置T
を制御する前記第1電子制御ユニットU1 に一旦入力さ
れて補正され、その補正操舵トルクTQ ′が入力される
第2電子制御ユニットU2 により、モータドライバー3
2を介して電動パワーステアリング装置Sのモータ27
の作動が制御される。第2電子制御ユニットU2 には、
前記補正操舵トルクTQ ′に加えて、電圧検出手段S6
で検出したモータ27の電圧VM と電流検出手段S7
検出したモータ27の電流IM とが入力される。
【0045】図6に示すように、第2電子制御ユニット
2 は、目標電流設定手段M9と、操舵回転速度算出手
段M10と、駆動制御手段M11と、故障判定手段M1
2とを備える。
【0046】目標電流設定手段M9は、第1電子制御ユ
ニットU1 から入力される補正操舵トルクTQ ′と、操
舵回転速度算出手段M10から入力される操舵回転速度
Nとに基づいてモータ27を駆動する目標電流IMSを算
出する。操舵回転速度Nはステアリングホイール21の
回転速度(つまり、ピニオン24の回転速度)であっ
て、タコジェネレータ等の回転速度検出手段によっても
検出可能であるが、本実施例では操舵回転速度算出手段
M10において、電圧検出手段S6 で検出したモータ2
7の電圧VM と、電流検出手段S7 で検出したモータ2
7の電流IM と、第1電子制御ユニットU1 から入力さ
れる補正操舵トルクTQ ′とに基づいて算出される。
【0047】目標電流IMSは、補正操舵トルクTQ ′が
所定値以下のときには該補正操舵トルクTQ ′の増加に
応じてリニアに増加するが、補正操舵トルクTQ ′が前
記所定値を越えると、操舵回転速度Nが小さいときほど
目標電流IMSの上限値が小さく抑えられる。目標電流I
MSの上記特性により、ドライバーがステアリングホイー
ル21を限界位置まで回転させてラックエンドに達した
とき、つまり補正操舵トルクTQ ′が大きくなり、かつ
操舵回転速度Nが小さくなったとき、モータ27が大き
な目標電流INSで駆動されて過負荷状態になるのを防止
することができる。
【0048】駆動制御手段M11は、目標電流設定手段
M9で算出した目標電流IMSをPWM制御信号に変換し
たモータ制御電圧V0 を算出し、モータドライバ32
は、前記モータ制御電圧V0 に基づいてモータ駆動電圧
M をPWM制御することにより、電動パワーステアリ
ング装置Sのモータ27を駆動して操舵補助トルクを発
生させる。
【0049】故障判定手段M12には、実トルク配分量
検出手段S8 ,S8 で検出した左右の電磁クラッチ
L ,CR の実トルク配分量TL ′,TR ′が入力され
る。故障判定手段M12は、駆動力配分装置Tの制御量
である前記トルク配分量TL ,T R と、駆動力配分装置
Tの出力量である前記実トルク配分量TL ′,TR ′と
を比較した結果に基づいて駆動力配分装置Tの故障を判
定し、故障の発生が判定されると、第1電子制御ユニッ
トU1 の左右前輪トルク算出手段M7に故障判定信号F
を出力する。
【0050】次に、第1電子制御ユニットU1 において
行われる操舵トルクTQ の補正について説明する。
【0051】エンジンEから駆動力配分装置Tを介して
左右の前輪WFL,WFRに配分される駆動力が変化する
と、操舵輪である左右の前輪WFL,WFRにいわゆるトル
クステア現象によって望ましくない操舵力が発生してし
まう。電動パワーステアリング装置Sを備えた車両で
は、駆動力配分装置Tの作動によりトルクステア現象が
発生したときに、トルクステア現象による操舵力を打ち
消すように電動パワーステアリング装置Sを作動させて
逆方向の操舵補助トルクを発生させることにより、前記
トルクステア現象を軽減することができる。
【0052】図2から明らかように、第1電子制御ユニ
ットU1 の補正操舵トルク算出手段M8には、操舵トル
ク検出手段S5 で検出した操舵トルクTQ と、実トルク
配分量検出手段S8 ,S8 で検出した左右の電磁クラッ
チCL ,CR の磁束密度、つまり駆動力配分装置Tの実
トルク配分量TL ′,TR ′とが入力される。トルクス
テア現象により発生する操舵力は左右の前輪WFL,WFR
に配分される実トルク配分量TL ′,TR ′の差の絶対
値である|TL ′−TR ′|と、操舵系のジオメトリに
より決まるスクラブ半径Rとに比例するため、補正操舵
トルク算出手段M8は、操舵トルク補正量ΔTQ を、 ΔTQ =K×|TL ′−TR ′|×R …(5) で算出する。ここでKは変換係数である。更に補正操舵
トルク算出手段M8は、操舵トルク検出手段S5 で検出
した操舵トルクTQ に前記操舵トルク補正量ΔT Q を加
算あるいは減算して補正操舵トルクTQ ′を算出し、こ
の補正操舵トルクTQ ′を、電動パワーステアリング装
置Sを制御する第2電子制御ユニットU2に出力する。
【0053】而して、駆動力配分装置Tの作動によりド
ライバーのステアリング操作と同方向の操舵力が作用す
る場合には、操舵トルクTQ から操舵トルク補正量ΔT
Q を減算して補正操舵トルクTQ ′を算出し、またドラ
イバーのステアリング操作と逆方向の操舵力が作用する
場合には、操舵トルクTQ に操舵トルク補正量ΔTQ
加算して補正操舵トルクTQ ′を算出することにより、
駆動力配分装置Tの作動に伴うトルクステア現象を軽減
することができる。
【0054】尚、操舵トルク補正量ΔTQ を前記(5)
式に基づいて算出する代わりに、操舵トルクTQ および
実トルク配分量の差の絶対値|TL ′−TR ′|に基づ
いてマップから検索することも可能である。即ち、操舵
トルクTQ および実トルク配分量の差の絶対値|TL
−TR ′|は、通常図7の実線で示すような関係にある
が、路面摩擦係数等の変化でトルクステア量が大きくな
ると一点鎖線で示すような関係となり、トルクステア量
が小さくなると破線で示すような関係となる。従って、
入力される操舵トルクTQ と実トルク配分量の差の絶対
値|TL ′−T R ′|との関係が図7の3つの特性線の
うちどれに一番近いかを特定し、図8のマップから、図
7で特定した特性線に対応する特性線を選択し、その特
性線に実トルク配分量の差の絶対値|TL ′−TR ′|
を適用して操舵トルク補正量ΔT Q を検索することによ
り、トルクステア現象を更に効果的に軽減することがで
きる。
【0055】以上のように、操舵トルク検出手段S5
検出した操舵トルクTQ を駆動力配分装置Tの第1電子
制御ユニットU1 に一旦入力して補正操舵トルクTQ
を算出し、この補正操舵トルクTQ ′を第2電子制御ユ
ニットU2 に入力して電動パワーステアリング装置Sを
制御するので、操舵トルク検出手段S5 で検出した操舵
トルクTQ が第2電子制御ユニットU2 に直接入力され
る従来の電動パワーステアリングSをそのまま使用し、
前記第2電子制御ユニットU2 に操舵トルクT Q を直接
入力する代わりに補正操舵トルクTQ ′を入力するだけ
でトルクステア現象を軽減することができる。その結
果、駆動力配分装置Tを備えている車両と備えていない
車両とに同じ仕様の第2電子制御ユニットU2 を適用し
ても、駆動力配分装置Tを備えている車両においてトル
クステア現象の軽減制御を支障なく行うことが可能にな
り、第2電子制御ユニットU2 の種類を減らしてコスト
ダウンに寄与することができる。
【0056】ところで、駆動力配分装置Tが故障すると
左右前輪トルク算出手段M7が出力する制御量であるト
ルク配分量TL ,TR と、駆動力配分装置Tの出力量で
ある実トルク配分量TL ′,TR ′とが一致しなくな
る。例えば、左右前輪トルク算出手段M7が出力するト
ルク配分量TL ,TR が0であるときに、駆動力配分装
置Tが勝手に作動すると望ましくないトルクステア現象
が発生する。このトルクステア現象を軽減すべく第1電
子制御ユニットU1 の補正操舵トルク算出手段M8が算
出する補正操舵トルクTQ ′は、左右前輪トルク算出手
段M7が出力するトルク配分量TL ,TR ではなく、駆
動力配分装置Tが実際に発生している実トルク配分量T
L ′,TR ′に基づいている。従って、駆動力配分装置
Tの故障によって実トルク配分量TL ′,TR ′が発生
した場合でも、それに伴うトルクステア現象を確実に抑
えることが可能となる。
【0057】第2電子制御ユニットU2 の故障判定手段
M12は、駆動力配分装置Tの制御量である前記トルク
配分量TL ,TR と、駆動力配分装置Tの出力量である
実トルク配分量TL ′,TR ′とを比較し、トルク配分
量TL ,TR に対して実トルク配分量TL ′,TR ′が
所定の関係にない場合に、駆動力配分装置Tに故障が発
生したと判定して第1電子制御ユニットU1 の左右前輪
トルク算出手段M7に故障判定信号Fを出力する。故障
判定信号Fを受けた左右前輪トルク算出手段M7は、ト
ルクステア現象の影響を最小限に抑えるべく、左右の電
磁クラッチCL,CR を実トルク配分量TL ′,TR
を減少方向に制御する。
【0058】第2電子制御ユニットU2 のループタイム
は0.5msecであり、第1電子制御ユニットU1
ループタイムである15msecに比べて大幅に短いた
め、第2電子制御ユニットU2 によって駆動力配分装置
Tの故障診断を行うことにより早期に故障を検出するこ
とができる。
【0059】次に、図9に基づいて本発明の第2実施例
を説明する。
【0060】上述した第1実施例では、第1電子制御ユ
ニットU1 で算出した補正操舵トルクTQ ′を第2電子
制御ユニットU2 に入力しているが、第2実施例では第
1電子制御ユニットU1 が操舵トルク補正量ΔTQ の算
出を分担し、この操舵トルク補正量ΔTQ が入力される
第2電子制御ユニットU2 の内部で、操舵トルク検出手
段S5 から入力された操舵トルクTQ と前記操舵トルク
補正量ΔTQ とを加算(あるいは減算)して補正操舵ト
ルクTQ ′を算出するようになっている。そして第2電
子制御ユニットU2 が前記補正操舵トルクTQ ′に基づ
いて電動パワーステアリング装置Sを制御することによ
り、第1実施例と同様にトルクステア現象を軽減するこ
とができる。
【0061】この操舵トルク補正量ΔTQ は、左右前輪
トルク算出手段M7が出力するトルク配分量TL ,TR
ではなく、駆動力配分装置Tが実際に発生している実ト
ルク配分量TL ′,TR ′に基づいて算出されるため、
上述した第1実施例と同様に駆動力配分装置Tの故障時
に発生するトルクステア現象を的確に補償することが可
能となる。
【0062】また本実施例の第2電子制御ユニットU2
も第1実施例のものと同じ故障判定手段M12を備えて
おり、駆動力配分装置Tの制御量である前記トルク配分
量T L ,TR と出力量である前記実トルク配分量
L ′,TR ′とを比較して駆動力配分装置Tの故障を
判定し、故障が判定された場合には第1電子制御ユニッ
トU 1 が左右の電磁クラッチCL ,CR を実トルク配分
量TL ′,TR ′を減少方向に制御する。そしてループ
タイムが短い第2電子制御ユニットU2 に駆動力配分装
置Tの故障判定を行わせることにより、駆動力配分装置
Tの故障を早期に検出することができる。
【0063】また本実施例によれば、第1電子制御ユニ
ットU1 で算出した操舵トルク補正量ΔTQ を操舵トル
クTQ に加算あるいは減算する加・減算手段34を第2
電子制御ユニットU2 に付加するだけで、その第2電子
制御ユニットU2 を駆動力配分装置Tを備えた車両と備
えていない車両とに共用することが可能となる。
【0064】次に、図10〜図12に基づいて本発明の
第3実施例を説明する。
【0065】図10に示すように、第1電子制御ユニッ
トU1 は、ドライブシャフトトルク算出手段M1と、ギ
ヤレシオ算出手段M2と、左右配分補正係数算出手段M
3と、目標ヨーレート算出手段M4と、横加速度算出手
段M5と、左右配分補正係数算出手段M6と、左右前輪
トルク算出手段M7と、目標操舵トルク算出手段M13
と、PIコントロール手段M14とを備える。
【0066】ドライブシャフトトルク算出手段M1、ギ
ヤレシオ算出手段M2、左右配分補正係数算出手段M
3、目標ヨーレート算出手段M4、横加速度算出手段M
5、左右配分補正係数算出手段M6および左右前輪トル
ク算出手段M7の機能は、前記第1、第2実施例と同じ
である。
【0067】目標操舵トルク算出手段M13は、横加速
度算出手段M5で算出した横加速度YG と車速検出手段
3 で検出した車速Vとに基づいて、図11に示すマッ
プから目標操舵トルクTQDを検索する。この目標操舵ト
ルクTQDは、基本的にはトルクステア現象が発生してい
ない場合における、横加速度YG の大小に応じた操舵ト
ルクTQ の好ましい特性であって、車速Vの大小に応じ
ても変化するように設定されている。
【0068】目標操舵トルク算出手段M13で算出した
目標操舵トルクTQDと、操舵トルク検出手段S5 で検出
した操舵トルクTQ とが入力された減算手段38は、両
者の偏差TQD−TQ を算出してPIコントロール手段M
14に出力する。PIコントロール手段M14は、電動
パワーステアリング装置Sを作動させて前記偏差TQD
Q を0に収束させるべく、電動パワーステアリング装
置Sのモータ27を駆動する第1目標電流IMS1 を第2
電子制御ユニットU2 に出力する。この第1目標電流I
MS1 は本発明のトルクステア防止制御信号に対応するも
ので、電動パワーステアリング装置Sがトルクステア現
象により発生する操舵力を打ち消すことが可能な操舵ト
ルクを発生する電流に相当する。
【0069】図12に示すように、第2電子制御ユニッ
トU2 は、第2目標電流設定手段M9と、操舵回転速度
算出手段M10と、駆動制御手段M11と、故障判定手
段M12と、切換手段33とを備える。第2目標電流設
定手段M9、操舵回転速度算出手段M10、駆動制御手
段M11および故障判定手段M12の機能は、第1、第
2実施例の目標電流設定手段M9、操舵回転速度算出手
段M10、駆動制御手段M11および故障判定手段M1
2の機能と同じである。第2目標電流設定手段M9が出
力する第2目標電流IMS2 は本発明の操舵補助制御信号
に対応する。
【0070】切換手段33には、第1電子制御ユニット
1 からの第1目標電流IMS1 と、第2目標電流設定手
段M9からの第2目標電流IMS2 とが入力され、第1電
子制御ユニットU1 から入力される駆動力配分装置作動
フラグfに応じて前記第1目標電流IMS1 および第2目
標電流IMS2 の一方を駆動制御手段M11に出力する。
駆動力配分装置作動フラグfは、駆動力配分装置Tが作
動しているとき、つまり実トルク配分量検出手段S8
8 で検出した駆動力配分装置Tの実トルク配分量
L ′,TR ′の差の絶対値|TL ′−TR ′|が所定
値以上のときに「1」にセットされ、駆動力配分装置T
が作動していないとき、つまり前記実トルク配分量
L ′,TR ′の差の絶対値|TL ′−TR ′|が所定
値未満のときに「0」にリセットされるフラグで、それ
が「1」にセットされていて駆動力配分装置Tが作動し
ているときには、第1電子制御ユニットU1 からのから
の第1目標電流IMS1 が駆動制御手段M11に出力さ
れ、逆に「0」にリセットされていて駆動力配分装置T
が作動していないときには、第2目標電流設定手段M9
からの第2目標電流IMS2 が駆動制御手段M11に出力
される。
【0071】駆動制御手段M11は、第1目標電流I
MS1 あるいは第2目標電流IMS2 をPWM制御信号に変
換したモータ制御電圧V0 を算出し、モータドライバ3
2は、前記モータ制御電圧V0 に基づいてモータ駆動電
圧VM をPWM制御することにより、電動パワーステア
リング装置Sのモータ27を駆動してトルクステア防止
トルクあるいは操舵補助トルクを発生させる。これによ
り、駆動力配分装置Tが作動していないときには、電動
パワーステアリング装置Sに通常の操舵補助トルクを発
生させてドライバーのステアリング操作をアシストし、
駆動力配分装置Tが作動してトルクステア現象が発生し
たときには、電動パワーステアリング装置Sにトルクス
テア防止トルクを発生させてトルクステア現象を軽減す
ることができる。
【0072】以上のように、電動パワーステアリング装
置Sにトルクステア防止トルクを発生させるための第1
目標電流IMS1 を、駆動力配分装置Tの作動を制御する
第1電子制御ユニットU1 の内部で算出するので、その
第1目標電流IMS1 を電動パワーステアリング装置Sの
作動を制御する第2電子制御ユニットU2 の内部で算出
する必要がなくなり、駆動力配分装置Tとの協調制御を
行わない電動パワーステアリング装置Sの第2電子制御
ユニットU2 に最小限の変更(即ち、図12における切
換手段33と、第1目標電流IMS1 およびフラグFを入
力する2個の端子)を加えるだけでトルクステア現象を
軽減することができる。その結果、駆動力配分装置Tを
備えている車両と備えていない車両とに、図12に示す
同じ仕様の第2電子制御ユニットU2 を適用することに
より、駆動力配分装置Tを備えている車両においてトル
クステア現象の軽減制御を支障なく行うことが可能にな
り、第2電子制御ユニットU2 の種類を減らしてコスト
ダウンに寄与することができる。
【0073】しかも、切換手段33を作動させる駆動力
配分装置作動フラグfは、左右前輪トルク算出手段M7
が出力するトルク配分量TL ,TR ではなく、駆動力配
分装置Tが実際に発生している実トルク配分量TL ′,
R ′に基づいてセットおよびリセットされるので、駆
動力配分装置Tが故障してトルク配分量TL ,TR およ
び実トルク配分量TL ′,TR ′が不一致になっても、
そのときに実際に発生している実トルク配分量TL ′,
R ′に基づいて切換手段33を作動させ、トルクステ
ア現象を的確に軽減することができる。
【0074】次に、図13基づいて本発明の第4実施例
を説明する。
【0075】前記第3実施例では、駆動力配分装置Tの
作動・不作動に応じて切換手段33が第1目標電流I
MS1 および第2目標電流IMS2 を切り換えているが、第
1目標電流IMS1 および第2目標電流IMS2 間の偏差が
大きいときに前記切換が急激に行われると、電動パワー
ステアリング装置Sによる操舵補助トルクが急変してド
ライバーに違和感を与える虞がある。そこで本第4実施
例では、切換手段33が第1目標電流IMS1 および第2
目標電流IMS2 を切り換える際に、第1目標電流IMS1
から第2目標電流IMS2 への切換、あるいは第2目標電
流IMS2 から第1目標電流IMS1 への切換を徐々に行う
ようになっている。
【0076】即ち、駆動力配分装置Tが作動から不作動
になって第1目標電流IMS1 から第2目標電流IMS2
の切換が行われるときには、2目標電流IMS2 を、 IMS2 =IMS1 +(IMS2 −IMS1 )×(n/100) …(6) で算出し、駆動力配分装置Tが不作動から作動になって
第2目標電流IMS2 から第1目標電流IMS1 への切換が
行われるときには、1目標電流IMS1 を、 IMS1 =IMS2 +(IMS1 −IMS2 )×(n/100) …(7) で算出する。ここで、nは制御プログラムが実行される
ループ数であって0から100までループ毎にインクリ
メントされる。これにより、第1目標電流IMS1および
第2目標電流IMS2 の一方から他方への切換が、100
ループが経過する間に徐々に行われることになり、電動
パワーステアリング装置Sによる操舵補助トルクが急変
してドライバーに違和感を与えることが防止される。
【0077】次に、図14に基づいて本発明の第5実施
例を説明する。
【0078】前記第3実施例および第4実施例では、第
1電子制御ユニットU1 で算出した第1目標電流IMS1
を第2電子制御ユニットU2 に入力しているが、第5実
施例では第1電子制御ユニットU1 が補正電流算出手段
M15による電流補正量ΔIの算出を分担し、この電流
補正量ΔIが入力される第2電子制御ユニットU2 の内
部で、該第2電子制御ユニットU2 で算出した目標電流
MSと前記電流補正量ΔIとを加算(あるいは減算)し
て補正目標電流IMS′を算出するようになっている。前
記電流補正量ΔIは、トルクステアを防止するためにモ
ータ27が発生すべきトルク量を目標電流に変換した量
であり、実トルク配分量検出手段S8 ,S8 で検出した
駆動力配分装置Tの実トルク配分量TL ′,TR ′に基
づいて算出される。目標電流IMSは本発明のモータ制御
信号に対応し、電流補正量ΔIは本発明の補正信号に対
応する。
【0079】而して、第2電子制御ユニットU2 が前記
補正目標電流IMS′に基づいて電動パワーステアリング
装置Sを制御することにより、電動パワーステアリング
装置Sの本来の機能であるドライバーのステアリング操
作のアシストと、トルクステア現象の軽減とを同時に行
わせることができる。尚、駆動力配分装置Tの作動によ
りドライバーのステアリング操作と同方向の操舵力が作
用する場合には、目標電流IMSから電流補正量ΔIを減
算して補正目標電流IMS′を算出し、またドライバーの
ステアリング操作と逆方向の操舵力が作用する場合に
は、目標電流IMSに電流補正量ΔIを加算して補正目標
電流IMS′を算出することにより、駆動力配分装置Tの
作動に伴うトルクステア現象を軽減することができる。
【0080】この第5実施例によれば、第2電子制御ユ
ニットU2 に、第1電子制御ユニットU1 から電流補正
量ΔIを入力する端子と、この電流補正量ΔIを目標電
流I MSに加算あるいは減算する加・減算手段37とを付
加するだけで、その第2電子制御ユニットU2 を駆動力
配分装置Tを備えた車両と備えていない車両とに共用す
ることができ、第2電子制御ユニットU2 に僅かな変更
を加えるだけでコストの上昇を最小限に抑えながら汎用
性を高めることができる。
【0081】しかも、電流補正量ΔIをトルク配分量T
L ,TR ではなく、駆動力配分装置Tが実際に発生して
いる実トルク配分量TL ′,TR ′に基づいて算出する
ので、駆動力配分装置Tが故障してトルク配分量TL
R および実トルク配分量T L ′,TR ′が不一致にな
っても、そのときに実際に発生している実トルク配分量
L ′,TR ′に基づいて目標電流IMSを補正して補正
目標電流IMS′を算出することが可能となり、トルクス
テア現象を的確に軽減することができる。
【0082】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0083】例えば、本発明における駆動力配分装置は
左右輪間で駆動力を配分するものに限定されず、前後輪
間で駆動力を配分するものであっても良い。更に本発明
は、制動力を左右輪間あるいは前後輪間で配分するもの
に対しても適用することができる。
【0084】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクを
電動パワーステアリング装置の第2制御手段に直接入力
することなく、その操舵トルクを駆動力・制動力配分装
置の第1制御手段に入力して該駆動力・制動力配分装置
の出力量に応じて補正し、その補正操舵トルクを第2制
御手段に入力して電動パワーステアリング装置の操舵補
助トルクを算出するので、電動パワーステアリング装置
および駆動力・制動力配分装置の協調制御を行わない車
両の第2制御手段を変更せずにそのまま使用しながら、
前記協調制御を可能にしてコストダウンに寄与すること
ができる。しかも駆動力・制動力配分装置が故障して該
駆動力・制動力配分装置の制御量と出力量とが不一致に
なった場合、操舵トルクを前記制御量でなく前記出力量
(つまり駆動力・制動力配分装置が実際に発生している
駆動力あるいは制動力の配分量)に応じて補正するの
で、駆動力・制動力配分装置の誤作動によって発生した
トルクステア現象を打ち消し得る操舵補助トルクを電動
パワーステアリング装置に確実に発生させることができ
る。
【0085】また請求項2に記載された発明によれば、
駆動力・制動力配分装置の第1制御手段で該駆動力・制
動力配分装置の出力量に応じた操舵トルク補正量を算出
し、その操舵トルク補正量を入力された第2制御手段
は、操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに前記操
舵トルク補正量を加算あるいは減算した値に基づいて電
動パワーステアリング装置の操舵補助トルクを算出する
ので、電動パワーステアリング装置および駆動力・制動
力配分装置の協調制御を行わない車両の第2制御手段の
変更を最小限に抑えながら、前記協調制御を可能にして
コストダウンに寄与することができる。しかも駆動力・
制動力配分装置が故障して該駆動力・制動力配分装置の
制御量と出力量とが不一致になった場合、駆動力・制動
力配分装置の前記制御量ではなく前記出力量(つまり駆
動力・制動力配分装置が実際に発生している駆動力ある
いは制動力の配分量)に応じて操舵トルク補正量を算出
するので、駆動力・制動力配分装置の誤作動によって発
生したトルクステア現象を打ち消し得る操舵補助トルク
を電動パワーステアリング装置に確実に発生させること
ができる。
【0086】また請求項3に記載された発明によれば、
駆動力・制動力配分装置の非作動時には、第2制御手段
で算出した操舵補助制御信号に基づいて電動パワーステ
アリング装置のモータを制御し、駆動力・制動力配分装
置の作動時には、第2制御手段に設けた切換手段を切り
換えて第1制御手段で算出したトルクステア防止制御信
号に基づいて電動パワーステアリング装置のモータを駆
動するので、電動パワーステアリング装置および駆動力
・制動力配分装置の協調制御を行わない車両の第2制御
手段に切換手段を付加する最小限の変更を行うだけで、
前記協調制御を可能にしてコストダウンに寄与すること
ができる。しかも駆動力・制動力配分装置が故障して該
駆動力・制動力配分装置の制御量と出力量とが不一致に
なった場合、駆動力・制動力配分装置の前記制御量では
なく前記出力量(つまり駆動力・制動力配分装置が実際
に発生している駆動力あるいは制動力の配分量)に応じ
て切換手段を作動させるので、駆動力・制動力配分装置
の誤作動によって発生したトルクステア現象を打ち消し
得る操舵補助トルクを電動パワーステアリング装置に確
実に発生させることができる。
【0087】また請求項4に記載された発明によれば、
駆動力・制動力配分装置を制御する第1制御手段で該駆
動力・制動力配分装置の出力量に応じた補正信号を算出
し、電動パワーステアリング装置を制御する第2制御手
段はモータ制御信号に前記補正信号を加算あるいは減算
してモータを駆動するので、電動パワーステアリング装
置および駆動力・制動力配分装置の協調制御を行わない
車両の第2制御手段に加・減算手段を付加する最小限の
変更を行うだけで、前記協調制御を可能にしてコストダ
ウンに寄与することができる。しかも駆動力・制動力配
分装置が故障して該駆動力・制動力配分装置の制御量と
出力量とが不一致になった場合、駆動力・制動力配分装
置の前記制御量ではなく前記出力量(つまり駆動力・制
動力配分装置が実際に発生している駆動力あるいは制動
力の配分量)に応じてモータ制御信号を補正する補正信
号を算出するので、駆動力・制動力配分装置の誤作動に
よって発生したトルクステア現象を打ち消し得る操舵補
助トルクを電動パワーステアリング装置に確実に発生さ
せることができる。
【0088】また請求項5に記載された発明によれば、
駆動力・制動力配分装置のアクチュエータである電磁ク
ラッチの磁束密度を検出することにより、駆動力・制動
力配分装置の出力量を正確に知ることができる。
【0089】また請求項6に記載された発明によれば、
第1制御手段よりもループタイムが短い第2制御手段が
駆動力・制動力配分装置の制御量と出力量とを比較して
故障診断を行うので、駆動力・制動力配分装置の故障を
早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】駆動力配分装置の構造を示す図
【図2】第1電子制御ユニットの回路構成を示すブロッ
ク図
【図3】中低車速域での右旋回時における駆動力配分装
置の作用を示す図
【図4】中低車速域での左旋回時における駆動力配分装
置の作用を示す図
【図5】電動パワーステアリング装置の構造を示す図
【図6】第2電子制御ユニットの回路構成を示すブロッ
ク図
【図7】操舵トルクと実トルク配分量の差の絶対値との
関係を示す図
【図8】実トルク配分量の差の絶対値から操舵トルク補
正量を検索するマップを示す図
【図9】本発明の第2実施例に係る、前記図6に対応す
る図
【図10】本発明の第3実施例に係る、前記図2に対応
する図
【図11】横加速度および車速から目標操舵トルクを検
索するマップを示す図
【図12】本発明の第3実施例に係る、前記図6に対応
する図
【図13】本発明の第4実施例に係る切換手段の機能を
説明する図
【図14】本発明の第5実施例に係る、前記図6に対応
する図
【符号の説明】
L 電磁クラッチ CR 電磁クラッチ IMS 目標電流(モータ制御信号) IMS1 第1目標電流(トルクステア防止制御信
号) IMS2 第2目標電流(操舵補助制御信号) ΔI 電流補正量(補正信号) S 電動パワーステアリング装置 S5 操舵トルク検出手段 S8 実トルク配分量検出手段(出力量検出手
段) T 駆動力配分装置(駆動力・制動力配分装
置) TQ 操舵トルク TQ ′ 補正操舵トルク TL トルク配分量(制御量) TR トルク配分量(制御量) TL ′ 実トルク配分量(出力量) TR ′ 実トルク配分量(出力量) ΔTQ 操舵トルク補正量 U1 第1電子制御ユニット(第1制御手段) U2 第2電子制御ユニット(第2制御手段) 27 モータ 33 切換手段 37 加・減算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B62D 101:00 119:00 (72)発明者 堀 昌克 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 新村 智之 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 大熊 信司 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 岩崎 明裕 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3D032 CC02 CC21 CC35 CC48 DA09 DA15 DA23 DA29 DA64 DA65 DA99 DB11 DC01 DC02 DD10 EA01 EB11 EC23 FF05 GG01 3D033 CA04 CA14 CA16 CA22 CA28 3D041 AA31 AA74 AB01 AC00 AC01 AC10 AD00 AD02 AD51 AE00 AE16 AF09 3D043 AA10 AB01 AB17 EA03 EA23 EA24 EA43 EB03 EB07 EB09 EE03 EE08 EE11 EE18 EF02 EF09 EF25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右輪間あるいは前後輪間で駆動力ある
    いは制動力を配分する駆動力・制動力配分装置(T)
    と、 駆動力・制動力配分装置(T)の作動を制御する第1制
    御手段(U1 )と、 操舵系に操舵補助トルクを付加する電動パワーステアリ
    ング装置(S)と、 少なくとも操舵トルク検出手段(S5 )で検出した操舵
    トルク(TQ )に基づいて電動パワーステアリング装置
    (S)の作動を制御する第2制御手段(U2 )と、 駆動力・制動力配分装置(T)の出力量(TL ′,
    R ′)を検出する出力量検出手段(S8 )と、を備え
    た車両の協調制御装置であって、 操舵トルク検出手段(S5 )で検出した操舵トルク(T
    Q )を第1制御手段(U1 )に入力し、 第1制御手段(U1 )は、出力量検出手段(S8 )で検
    出した駆動力・制動力配分装置(T)の出力量
    (TL ′,TR ′)に応じて前記操舵トルク(TQ )を
    補正した補正操舵トルク(TQ ′)を算出して第2制御
    手段(U2 )に出力し、 第2制御手段(U2 )は前記補正操舵トルク(TQ ′)
    に基づいて前記操舵補助トルクを算出することを特徴と
    する車両の協調制御装置。
  2. 【請求項2】 左右輪間あるいは前後輪間で駆動力ある
    いは制動力を配分する駆動力・制動力配分装置(T)
    と、 駆動力・制動力配分装置(T)の作動を制御する第1制
    御手段(U1 )と、 操舵系に操舵補助トルクを付加する電動パワーステアリ
    ング装置(S)と、 少なくとも操舵トルク検出手段(S5 )で検出した操舵
    トルク(TQ )に基づいて電動パワーステアリング装置
    (S)の作動を制御する第2制御手段(U2 )と、 駆動力・制動力配分装置(T)の出力量(TL ′,
    R ′)を検出する出力量検出手段(S8 )と、を備え
    た車両の協調制御装置であって、 第1制御手段(U1 )は、出力量検出手段(S8 )で検
    出した駆動力・制動力配分装置(T)の出力量
    (TL ′,TR ′)に応じて操舵トルク補正量(Δ
    Q)を算出して第2制御手段(U2 )に出力し、第2
    制御手段(U2 )は、操舵トルク検出手段(S5 )で検
    出した操舵トルク(TQ )に前記操舵トルク補正量(Δ
    Q )を加算あるいは減算した値に基づいて前記操舵補
    助トルクを算出することを特徴とする車両の協調制御装
    置。
  3. 【請求項3】 左右輪間あるいは前後輪間で駆動力ある
    いは制動力を配分する駆動力・制動力配分装置(T)
    と、 駆動力・制動力配分装置(T)の作動を制御する第1制
    御手段(U1 )と、 操舵系に操舵補助トルクを付加するモータ(27)を有
    する電動パワーステアリング装置(S)と、 少なくとも操舵トルク検出手段(S5 )で検出した操舵
    トルク(TQ )に基づいてモータ(27)を駆動する操
    舵補助制御信号(IMS2 )を算出する第2制御手段(U
    2 )と、 駆動力・制動力配分装置(T)の出力量(TL ′,
    R ′)を検出する出力量検出手段(S8 )と、を備え
    た車両の協調制御装置であって、 第1制御手段(U1 )は、トルクステアを防止すべくモ
    ータ(27)を駆動するトルクステア防止制御信号(I
    MS1 )を算出可能であり、 第2制御手段(U2 )は、出力量検出手段(S8 )で検
    出した駆動力・制動力配分装置(T)の出力量
    (TL ′,TR ′)に応じて操舵補助制御信号
    (IMS2)およびトルクステア防止制御信号(IMS1
    の一方を選択して電動パワーステアリング装置(S)に
    出力する切換手段(33)を備えたことを特徴とする車
    両の協調制御装置。
  4. 【請求項4】 左右輪間あるいは前後輪間で駆動力ある
    いは制動力を配分する駆動力・制動力配分装置(T)
    と、 駆動力・制動力配分装置(T)の作動を制御する第1制
    御手段(U1 )と、 操舵系に操舵補助トルクを付加するモータ(27)を有
    する電動パワーステアリング装置(S)と、 少なくとも操舵トルク検出手段(S5 )で検出した操舵
    トルク(TQ )に基づいてモータ(27)を駆動するモ
    ータ制御信号(IMS)を算出する第2制御手段(U2
    と、 駆動力・制動力配分装置(T)の出力量(TL ′,
    R ′)を検出する出力量検出手段(S8 )と、を備え
    た車両の協調制御装置であって、 第1制御手段(U1 )は、出力量検出手段(S8 )で検
    出した駆動力・制動力配分装置(T)の出力量
    (TL ′,TR ′)に応じて前記モータ制御信号
    (IMS)を補正する補正信号(ΔI)を算出可能であ
    り、 第2制御手段(U2 )は、モータ制御信号(IMS)に補
    正信号(ΔI)を加算あるいは減算する加・減算手段
    (37)を備えたことを特徴とする車両の協調制御装
    置。
  5. 【請求項5】 駆動力・制動力配分装置(T)はアクチ
    ュエータとして電磁クラッチ(CL ,CR )を有してお
    り、前記出力量(TL ′,TR ′)は電磁クラッチ(C
    L ,CR )の磁束密度であることを特徴とする、請求項
    1〜4の何れかに記載の車両の協調制御装置。
  6. 【請求項6】 第2制御手段(U2 )は第1制御手段
    (U1 )よりも短いループタイムを有するもので、駆動
    力・制動力配分装置(T)の制御量(TL ,T R )と出
    力量(TL ′,TR ′)とを比較して故障診断を行うこ
    とを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の車両の
    協調制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007076579A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Toyota Motor Corp 車輌の操舵補助力制御装置
JP2007269062A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Honda Motor Co Ltd 車両用操舵装置
JP2016094038A (ja) * 2014-11-12 2016-05-26 富士重工業株式会社 車両の走行制御システム

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