JP2001071722A - 空気入りタイヤ用外輪 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気入りタイヤの性能を損なうことがなく、
走行性に優れ、構造的にも簡易な構造の空気入りタイヤ
用外輪を提供する。 【解決手段】 外周端の路面接地部にゴム２が固着され
ている中空プレート状の外輪であって、その外径が空気
入りタイヤの外径よりも小さく、該空気入りタイヤがパ
ンクしたときにパンクしたタイヤに代わって車両の走行
を可能にする空気入りタイヤ用外輪である。内径がリム
径と実質的に同程度であり、内周の縁部に沿って円形凹
部３が形成され、該円形凹部３内にリムに固着するため
の開孔部４を有し、該円形凹部３端から外周までのプレ
ート面に、走行時に空気を取り入れるための空気取入口
５が設けてある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りタイヤが
パンクしたときにおいても、タイヤ交換することなく、
所定の距離を走行することができる空気入りタイヤ用外
輪に関する。

【０００２】

【従来の技術】空気入りタイヤがパンクした場合、通
常、その場でのスペアタイヤへのタイヤ交換が必要であ
る。しかし、不慣れな人のタイヤ交換には時間がかかっ
たり、また、治安の悪い地域ではタイヤ交換作業中に暴
漢に襲われたりするおそれがある。さらに、タイヤ交換
の仕方がわからない人は、その場に専門の業者に来ても
らう必要があった。

【０００３】かかる問題に対して、ランフラットタイヤ
と呼ばれる、パンクしても所定の距離走行可能なタイヤ
が開発された。しかし、ランフラットタイヤでは、サイ
ド部のゴムの厚みを厚くしたり、内部の繊維層を強化し
たりと、タイヤ構造自体を頑丈にする必要があるため、
コスト高になることや転がり抵抗が増すこと、さらには
乗り心地が悪くなることなど、通常使用時の性能の低下
を招くという問題があった。また、パンク後、長い距離
を走りきることのできるランフラットタイヤの開発は容
易ではなく、かかるランフラットタイヤの開発が望まれ
ている。

【０００４】一方、別の発想として、空気入りタイヤが
パンクしても別の補助タイヤが接地して所定の距離を走
りきるようにした提案も幾つかなされている。例えば、
米国特許第３５０８７９０号明細書には、タイヤリムに
補助外輪を装着することが提案されている。また、特開
平６−２７８４２５号公報には、パンクしたタイヤに代
わって自動車の運転を許容する、タイヤ径にほぼ等しい
径の円形プレートを備えた装置が開示されている。さら
には、リムフランジに外輪の機能を持たせたホイールも
提案されている（米国特許第４１５３３０２号明細
書）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ランフラットタイヤ以
外の上記技術、例えば、補助外輪等により、パンクする
前の通常使用時のタイヤ性能を落とすことなくパンク時
にもかなり長い距離を走ることが可能となったが、走行
性や装置としての複雑さ等の面でなお改良の余地が残さ
れていた。

【０００６】そこで本発明の目的は、空気入りタイヤの
性能を損なうことがなく、走行性に優れ、構造的にも簡
易な構造の空気入りタイヤ用外輪を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、下記の構成とすることに
より上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。

【０００８】（１）外周端の路面接地部にゴムが固着さ
れている中空プレート状の外輪であって、その外径が空
気入りタイヤの外径よりも小さく、該空気入りタイヤが
パンクしたときにパンクしたタイヤに代わって車両の走
行を可能にする空気入りタイヤ用外輪において、内径が
リム径と実質的に同程度であり、内周の縁部に沿って円
形凹部が形成され、該円形凹部内にリムに固着するため
の開孔部を有し、該円形凹部端から外周までのプレート
面に、走行時に空気を取り入れるための空気取入口が設
けてあることを特徴とする空気入りタイヤ用外輪であ
る。この外輪は、タイヤがパンクする前には地面に接触
せず、タイヤがパンクしたときに地面と接触して、車の
加重を支え、ランフラット走行を可能とする。さらに
は、上記空気取入口により、外輪の外部の低い温度の空
気を内部に吸気してパンクしたタイヤを冷却して故障を
抑制する。同時に、外輪内部のブレーキにより加熱され
た空気を外側に排気して、ブレーキを冷却して制動性能
を向上させることができる。

【０００９】（２）上記（１）の空気入りタイヤ用外輪
において、上記空気取入口が、放射状にプレート面の内
周縁部から外周縁部に向け複数設けられ、全体としてフ
ィン形態をなす空気入りタイヤである。これにより、パ
ンクしたタイヤおよびブレーキの冷却効果をより高める
ことができる。

【００１０】（３）外周端の路面接地部にゴムが固着さ
れているプレート状のタイヤ用外輪であって、その外径
が空気入りタイヤの外径よりも小さく、該空気入りタイ
ヤがパンクしたときにパンクしたタイヤに代わって車両
の走行を可能にする空気入りタイヤ用外輪において、車
軸ハブのボルトにディスクホイールと一体的にホイール
ナットにより固着することができるように、車軸部を中
心として円形凹部が形成され、該円形凹部内に上記ボル
ト用開孔部を有することを特徴とする空気入りタイヤ用
外輪である。この外輪は、現行リムおよび車両に装着可
能であり、また、外観上も高偏平タイヤに見えるという
美観向上効果がある。さらには、歩行者への配慮として
の泥跳ねの汚れ防止およびサイドカット防止に効果的で
ある。

【００１１】（４）上記（１）〜（３）のいずれかの空
気入りタイヤ用外輪において、上記ゴム以外の部分が金
属からなる空気入りタイヤ用外輪である。これにより剛
性を確保することができ、安全走行が可能となる。

【００１２】（５）上記（１）〜（３）のいずれかの空
気入りタイヤ用外輪において、上記ゴム以外の部分が合
成樹脂からなる空気入りタイヤ用外輪である。この場合
も剛性を確保することができるとともに、軽量化を図る
ことができる。

【００１３】（６）上記（１）〜（５）のいずれかの空
気入りタイヤ用外輪において、上記ゴムが空気入りタイ
ヤである空気入りタイヤ用外輪である。これにより、良
好な走行性能を得ることができる。

【００１４】（７）上記（１）〜（６）のいずれかの空
気入りタイヤ用外輪を車両に装着する空気入りタイヤ用
外輪の装着方法において、複輪の場合に、複輪の間に上
記外輪を装着することを特徴とする空気入りタイヤ用外
輪の装着方法である。複輪の場合でも上記外輪を適用す
ることができ、その場合には複輪の間に適用することが
ランフラット走行上有利である。

【００１５】（８）上記（１）〜（６）のいずれかの空
気入りタイヤ用外輪を車両に装着する空気入りタイヤ用
外輪の装着方法において、タイヤ内側に取り付けること
を特徴とする空気入りタイヤ用外輪の装着方法である。
外観上は取り付けたことがわからず、ホイール本来の美
観を損なうことがない。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図１に、本発明の一実施の形態に係る空気
入りタイヤ用外輪１を示す。この外輪１は中空プレート
状をしており、外周端の路面接地部にゴム２が固着され
ている。外径は、空気入りタイヤの外径よりも小さく
し、空気入りタイヤがパンクしたときにパンクしたタイ
ヤに代わって走行が可能となる外径とする。内径は、リ
ム径と実質的に同程度であり、この内周の縁部に沿って
円形凹部３が形成されている。この円形凹部３内にはリ
ムに固着するための複数の開孔部４がある。また、円形
凹部３の端部から外周までの面に、走行時に空気を取り
入れるための空気取入口５が設けてある。この空気取入
口５は、図１に示すように、放射状に内周縁部から外周
縁部に向けて複数設け、全体としてフィン形態とするこ
とが好ましい。この場合、空気取入口５同士間の外郭形
状の延長線が、タイヤ軸にてすべて交差するようにする
ことが好ましく、より好ましくは、空気取入口５の径方
向側面を全て同方向に傾斜させ、空気を取り込み易くす
る。

【００１７】外輪１のゴム２以外の部分には、好ましく
は金属、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チ
タニウム、ボロン等、または合成樹脂、例えば、ポリア
ミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアセタール等
を適用することができる。ゴム２は、走行性能を高める
ため、空気入りタイヤとしてもよい。

【００１８】図２に、上記外輪１をリム６に装着したと
きの状態を示す。外輪１は、内周の縁部に沿って円形凹
部３が形成されているため、走行中に外輪１がタイヤ１
０に接触することはない。図示する例では、外輪１は開
孔部４を介してビス７で係止されている。外輪１のリム
６への係止はビス止めに限定されず、ネジ止め等、他の
固着手段を採用することができる。

【００１９】図３に、本発明の他の実施の形態に係る空
気入りタイヤ用外輪１１を示す。この外輪１１はプレー
ト状をしており、外周端の路面接地部にゴム１２が固着
されている。外径は、空気入りタイヤの外径よりも小さ
くし、空気入りタイヤがパンクしたときにパンクしたタ
イヤに代わって車両の走行が可能となる外径とする。こ
の外輪１１には、車軸部を中心として円形凹部１３が形
成されている。この円形凹部１３内に、車軸ハブのボル
ト用開孔部１４が形成されている。これにより外輪１１
を、直接、車軸ハブのボルトにディスクホイールと一体
的にホイールナットにより固着することができる。

【００２０】この外輪１１も、上述の場合と同様に、金
属または合成樹脂を適用することが好ましく、またゴム
２は、走行性能を高めるため、空気入りタイヤとしても
よい。

【００２１】図４に、上記外輪１１を車軸ハブ１５に装
着したときの状態を示す。外輪１１は、ディスクホイー
ル１８の装着後、円形凹部１３内のボルト用開孔部１４
に車軸ハブ１５のボルト１６を通し、しかる後、ホイー
ルナット１７で締め付けることにより固着させることが
できる。

【００２２】本発明の外輪は、複輪の場合には複輪間に
装着することが好ましい。また、タイヤの内側および外
側のいずれにも適用可能である。

【００２３】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。実施例１ 図１および図２に示す外輪１を以下の条件で製造した。
外輪１は鉄製とし、厚み（幅）は３０ｍｍとした。外径
はタイヤの外径より小さくし、パンクしたときにタイヤ
の代わりを果たし得る外径とした。鉄輪の外側にはゴム
２を取り付けた。ゴム２の幅は鉄輪の幅と同じである３
０ｍｍとし、径方向の厚みは１０ｍｍとした。パターン
は設けなかった。外輪１は、ビス７でリム６に取り付け
た。なお、リム６は、ビス止めできるよう専用リムを作
製した。

【００２４】外輪１が装着されたディスクホイールにサ
イズ２０５／５５Ｒ１６の空気入りタイヤを取り付け、
これを自動車の四輪に装着し、フロントタイヤを１本パ
ンクさせてテストコースを走行させ、耐久試験を行っ
た。結果は、時速４０ｋｍで２００ｋｍを走行したが、
特に故障は見られなかった。

【００２５】実施例２ 図３および図４に示す外輪１１を以下の条件で製造し
た。外輪１１は合成樹脂製とし、厚み（幅）は３０ｍｍ
とした。外径はタイヤの外径より小さくし、パンクした
ときにタイヤの代わりを果たし得る外径とした。合成樹
脂輪の外側にはゴム１２を取り付けた。ゴム１２の幅は
鉄輪の幅と同じである３０ｍｍとし、径方向の厚みは１
０ｍｍとした。パターンは設けなかった。外輪１１は、
ディスクホイール１８に重ねた状態で車軸ハブ１５のボ
ルト１６を通し、しかる後ホイールナット１７で止め
た。特に、特殊な取り付けではないため、専用リムは不
要であった。

【００２６】ディスクホイール１８にサイズ１８５／６
５Ｒ１４の空気入りタイヤを取り付け、外輪１１が四輪
に装着された自動車のフロントタイヤを１本パンクさせ
てテストコースを走行させ、耐久試験を行った。結果
は、時速４０ｋｍで２００ｋｍを走行したが、特に故障
は見られなかった。

【００２７】次に、水跳ね試験を行った。水深１０ｍｍ
の路面を、外輪１１が四輪に装着された自動車が走行し
たときの車横２ｍの位置での水の跳ねをみた。車は時速
４０ｋｍで走行させた。その結果、外輪を取り付けない
タイヤの場合は、２ｍ位置での水跳ねが１ｍに達したの
に対して、外輪を取り付けたタイヤは、２０ｃｍ程度で
あった。

【００２８】また、外輪１１を艶のある銀色に塗装して
自動車に取り付け、取り付け前と後での美観を検査し
た。検査方法は、老若男女１００名に外観を比べてもら
い、アンケート調査形式で行った。集計の結果、７０％
の人がきれいであると答え、外観が向上していることが
わかった。なお、塗装は、車の色に合わせて自由に行え
る。

【００２９】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、パンク時においてもタイヤ交換なしで、かつ、タイ
ヤの性能を損なうことなく所定の距離を走行することが
でき、構造的にも簡易であり、さらには外観上の美観に
も優れた空気入りタイヤ用外輪を提供することが可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤ用
外輪の側面図である。

【図２】図１に示す外輪をリムに装着した状態を示す断
面図である。

【図３】本発明の他の実施の形態に係る空気入りタイヤ
用外輪の側面図である。

【図４】図３に示す外輪を車軸ハブに装着した状態を示
す断面図である。

【符号の説明】

１，１１ 空気入りタイヤ用外輪 ２，１２ ゴム ３，１３ 円形凹部 ４，１４ 開孔部 ５ 空気取入口 ６ リム ７ ビス １０ タイヤ １５ 車輪ハブ １６ ボルト １７ ホイールナット １８ ディスクホイール

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周端の路面接地部にゴムが固着されて
   いる中空プレート状の外輪であって、その外径が空気入
   りタイヤの外径よりも小さく、該空気入りタイヤがパン
   クしたときにパンクしたタイヤに代わって車両の走行を
   可能にする空気入りタイヤ用外輪において、 内径がリム径と実質的に同程度であり、内周の縁部に沿
   って円形凹部が形成され、該円形凹部内にリムに固着す
   るための開孔部を有し、該円形凹部端から外周までのプ
   レート面に、走行時に空気を取り入れるための空気取入
   口が設けてあることを特徴とする空気入りタイヤ用外
   輪。
2. 【請求項２】 上記空気取入口が、放射状にプレート面
   の内周縁部から外周縁部に向け複数設けられ、全体とし
   てフィン形態をなす請求項１記載の空気入りタイヤ用外
   輪。
3. 【請求項３】 外周端の路面接地部にゴムが固着されて
   いるプレート状のタイヤ用外輪であって、その外径が空
   気入りタイヤの外径よりも小さく、該空気入りタイヤが
   パンクしたときにパンクしたタイヤに代わって車両の走
   行を可能にする空気入りタイヤ用外輪において、 車軸ハブのボルトにディスクホイールと一体的にホイー
   ルナットにより固着することができるように、車軸部を
   中心として円形凹部が形成され、該円形凹部内に上記ボ
   ルト用開孔部を有することを特徴とする空気入りタイヤ
   用外輪。
4. 【請求項４】 上記ゴム以外の部分が金属からなる請求
   項１〜３のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ用外
   輪。
5. 【請求項５】 上記ゴム以外の部分が合成樹脂からなる
   請求項１〜３のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ
   用外輪。
6. 【請求項６】 上記ゴムが空気入りタイヤである請求項
   １〜５のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ用外
   輪。
7. 【請求項７】 請求項１〜６のうちいずれか一項記載の
   空気入りタイヤ用外輪を車両に装着する空気入りタイヤ
   用外輪の装着方法において、 複輪の場合に、複輪の間に上記外輪を装着することを特
   徴とする空気入りタイヤ用外輪の装着方法。
8. 【請求項８】 請求項１〜６のうちいずれか一項記載の
   空気入りタイヤ用外輪を車両に装着する空気入りタイヤ
   用外輪の装着方法において、 タイヤ内側に取り付けることを特徴とする空気入りタイ
   ヤ用外輪の装着方法。