JP2001071430A - 多層延伸ポリプロピレン系フィルム - Google Patents

多層延伸ポリプロピレン系フィルム

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JP2001071430A
JP2001071430A JP25258899A JP25258899A JP2001071430A JP 2001071430 A JP2001071430 A JP 2001071430A JP 25258899 A JP25258899 A JP 25258899A JP 25258899 A JP25258899 A JP 25258899A JP 2001071430 A JP2001071430 A JP 2001071430A
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polypropylene film
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JP25258899A
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Gen Kanai
玄 金井
Hiroshi Omori
浩 大森
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Japan Polychem Corp
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Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、滑り性、耐ブロッキング性、耐スク
ラッチ性、及び耐脱落性に優れた多層延伸ポリプロピレ
ン系フィルムを提供することを課題とする。 【解決手段】 結晶性プロピレン系重合体により形成さ
れる基材層の少なくとも片面に、MFR1〜30g/1
0分のプロピレン系重合体100重量部に対し、体積平
均粒径1.5μm〜5μm、90%累積粒径(D90)
と10%累積粒径(D10)の比(D90/D10)が
5.0以下、かつ粒径10μm以上の粒子が存在しない
立方体状カルサイト型炭酸カルシウム粒子0.05〜
0.5重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成
物により形成されるスキン層を積層し、少なくとも一軸
方向に延伸して多層延伸ポリプロピレン系フィルムを得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、滑り性、
耐ブロッキング性、耐スクラッチ性、及び耐脱落性に優
れた多層延伸ポリプロピレン系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】延伸ポリオレフィンフィルム、中でも延
伸ポリプロピレンフィルムは、その優れた透明性、機械
的特性の故に食品包装、繊維包装等広範囲な用途に使用
されている。しかし、延伸ポリプロピレンフィルム自身
は、耐ブロッキング性に劣るという欠点を有している。
このような問題点を解決するため、従来から多くの検討
がなされており、無機系の微粒子を添加する方法(特公
昭52−16134号公報)、有機系微粒子を添加する
方法(特公昭50−36262号公報)等のアンチブロ
ッキング剤を添加する方法が提案されている。
【0003】無機系の微粒子をアンチブロッキング剤と
して用いた場合、無機微粒子とポリオレフィン系樹脂と
の親和性が不十分であるため、フィルム延伸時に空孔
(ボイド)が発生し、透明性が悪化する。さらに、フィ
ルム表面の突起形状ならびに硬度に由来するフィルム同
士の擦れ合いによる表面傷つき性、いわゆる耐スクラッ
チ性が不良になるなどの問題がある。また、有機系の微
粒子を添加する方法でも有機微粒子として、架橋ポリメ
チルメタクリレート微粒子等を用いる方法(特開平5−
214120号公報)等があるが、ポリオレフィン系樹
脂との親和性が不十分であるためフィルム延伸時にボイ
ドが発生し、透明性が悪化したり、成膜時又は二次加工
時にアンチブロッキング剤が脱落してしまう等の欠点を
有している。二次加工時にアンチブロッキング剤が脱落
すると、印刷抜けや傷つき等、フィルム品質が劣化する
等の問題を生ずる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した状況
に鑑みなされたものであって、透明性、滑り性、耐ブロ
ッキング性、耐スクラッチ性、及び耐脱落性に優れた多
層延伸ポリプロピレン系フィルムを提供することを課題
とする
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
行った結果、プロピレン系重合体に特定性状の炭酸カル
シウム粒子をアンチブロッキング剤として特定量用いた
スキン層を有する多層フィルムとすることにより、上記
課題を解決しうることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は、少なくとも一軸方向
に延伸されたポリプロピレン系フィルムであって、以下
に示す層[1]及び[2]を有する多層延伸ポリプロピ
レンフィルムを提供する。
【0007】[1]結晶性プロピレン系重合体を主成分
とするポリプロピレン系樹脂材料により形成される基材
層。 [2]前記基材層の少なくとも片面に設けられた層であ
って、MFRが1〜30g/10分のプロピレン系重合
体100重量部に対し、体積平均粒径1.5μm〜5μ
m、90%累積粒径(D90)と10%累積粒径(D1
0)の比(D90/D10)が5.0以下、かつ粒径1
0μm以上の粒子が存在しない立方体状カルサイト型炭
酸カルシウム粒子0.05〜0.5重量部を配合してな
るポリプロピレン系樹脂組成物により形成されるスキン
層。
【0008】また、本発明は、前記プロピレン系重合体
が、プロピレン単独重合体又はプロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体である、前記多層延伸ポリプロピ
レン系フィルムを提供する。
【0009】
【発明の実際の形態】以下、本発明の実際の形態を説明
する。本発明の多層延伸ポリプロピレン系フィルムは、
その層構成中に少なくとも以下に示す基材層とスキン層
とを有する。
【0010】(1)基材層 前記基材層は、結晶性プロピレン系重合体を主成分とす
るポリプロピレン系樹脂材料により形成される。
【0011】結晶性プロピレン系重合体 本発明の基材層に用いられる結晶性プロピレン系重合体
としては、プロピレン単独重合体、あるいは過半重合割
合のプロピレンと他のα−オレフィン(エチレン、ブテ
ン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン等)、不
飽和カルボン酸又はその誘導体(アクリル酸、無水マレ
イン酸等)、芳香族ビニル単量体(スチレン等)などと
のランダム、ブロック又はグラフト共重合体である。
【0012】このような結晶性プロピレン系重合体のア
イソタクチックインデックス(I.I)は40%以上、
中でも60%以上、特に80%以上のものが好ましい。
従って、プロピレン単独重合体を使用することが最も好
ましいが、その場合にはI.Iが90%以上、中でも9
5%以上、特に98%以上のものを使用することがフィ
ルムの腰の強さ、フィルム送り出し部の紙落ち性、高速
自動包装適性の観点から好適である。
【0013】また、結晶性プロピレン系重合体のMFR
(メルトフローレート:JIS−K6758に準拠して
230℃、2.16kg荷重で測定した値)は、0.5
〜10g/10分、特に1〜5g/10分のものが好ま
しい。MFRがこの範囲であれば、操業性がよいので好
ましい。
【0014】これら結晶性プロピレン系重合体は、1種
類のみ単独で使用しても、あるいは複数種類の重合体の
混合物として使用してもよい。また、結晶性プロピレン
系重合体を主成分としてなる樹脂でもよい。
【0015】その他の配合成分 基材層を形成するポリプロピレン系樹脂材料は、上記結
晶性プロピレン系重合体を主成分とするものであり、該
重合体のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で他の
配合材を任意に添加することができる。そのような配合
材としては、エチレン重合体、ブテン重合体・、石油樹
脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂等の炭化水素重合体
(それらの水添物も含む)等の他の熱可塑性重合体を挙
げることができる。かかる他の熱可塑性重合体は、例え
ば30重量%以下の範囲で配合することができる。
【0016】さらに、酸化防止剤や耐候剤等の安定剤、
加工助剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を含ん
でいてもよい。これらの添加剤のなかでも、特に帯電防
止剤を含有しているものが好ましい。該帯電防止剤の中
でも好ましいものとしては、グリセリンの脂肪酸エステ
ル、アルキルアミン、アルキルアミンのエチレンオキサ
イド付加物、及びその脂肪酸エステル等を挙げることが
できる。良好な帯電防止性能が付与されていないフィル
ムでは、フィルム走行中に静電気が蓄積し、紙落ち性が
不良となる場合がある。
【0017】(2)スキン層 前記スキン層は、上記基材層の少なくとも片面に形成さ
れるものであり、該基材層の片面のみに形成されていて
も、両面に形成されていてもよい。該スキン層は、プロ
ピレン系重合体にアンチブロッキング剤として特定性状
の炭酸カルシウム粒子を配合してなるポリプロピレン系
樹脂組成物により形成されている。
【0018】プロピレン系重合体 前記スキン層に用いられるプロピレン系重合体として
は、プロピレン単独重合体又はプロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体が挙げられる。
【0019】プロピレン・α−オレフィンランダム共重
合体におけるコモノマーであるα−オレフィンは、好ま
しくは炭素数2もしくは4〜10のものであり、具体的
には、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げ
られる。
【0020】前記プロピレン系重合体のMFRは、1〜
30g/10分、好ましくは1〜20g/10分、さら
に好ましくは2〜20g/10分、特に好ましくは2〜
10g/10分である。MFRが上記範囲未満では押出
成形性が悪化し、生産性が低下するので好ましくなく、
上記範囲を超えるとスキン層の厚み精度が不良となるの
で好ましくない。
【0021】炭酸カルシウム粒子 本発明では、スキン層にアンチブロッキング剤として特
定性状のアンチブロッキング剤を配合する。ここで用い
られる炭酸カルシウム粒子は、立方体状カルサイト型炭
酸カルシウム粒子であり、その体積平均粒径は1.5〜
5μm、好ましくは1.5〜3.5μmである。体積平
均粒径が上記範囲未満では耐ブロッキング性が不十分で
あり、上記範囲を超えると透明性、印刷適性、耐脱落性
が低下するので好ましくない。なお、体積平均粒径は、
レーザー式粒度分布測定機を用いて測定した粒度分布に
おける小さな粒子側から起算した体積累計50%の粒子
径を平均粒径としたものである。
【0022】また、その粒度分布については、90%累
積粒径(D90)と10%累積粒径(D10)の比(D
90/D10)が5.0以下、好ましくは3.0以下で
ある。D90/D10が5.0を超えると、透明性と耐
ブロッキング性のバランスが悪化するので好ましくな
い。なお、90%累積粒径は、前記レーザー式粒度分布
測定機を用いて測定した粒度分布における小さな粒子側
から起算した体積累計90%の粒子径を意味し、10%
累積粒径は同様に体積累計10%の粒子径を意味する。
【0023】また、前記炭酸カルシウム粒子は、粒径1
0μm以上の粒子が存在しないことを特徴とする。10
μm以上の粗粒が存在すると、フィッシュアイが発生
し、フィルムの外観が悪くなる。また、フィルム印刷時
に印刷抜けが起こりやすくなる。
【0024】前記炭酸カルシウム粒子の配合量は、前記
プロピレン系重合体100重量部に対し0.05〜0.
5重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部である。炭
酸カルシウム粒子の配合量が上記範囲未満では、耐ブロ
ッキング性が不十分であり、上記範囲を超えると透明性
が低下するので好ましくない。
【0025】なお、本発明においては、最終的にスキン
層中の炭酸カルシウム粒子濃度が上記範囲となればよい
から、炭酸カルシウム粒子の配合方法としては、例えば
所定濃度のポリプロピレン樹脂組成物を調製してからフ
ィルムを成形する代わりに、高濃度のマスターバッチを
あらかじめ作成し、フィルム成形時にアフターブレンド
する方法を採用してもよい。前記炭酸カルシウム粒子の
製造方法は特に問われず、市販のものを用いることがで
きる。例えば、丸尾カルシウム(株)製CUBEシリー
ズなどが挙げられる。
【0026】その他の配合成分 本発明のスキン層を形成するポリプロピレン系樹脂組成
物には、上記必須成分(すなわちプロピレン系重合体及
び炭酸カルシウム粒子)のほかに、本発明の効果を損な
わない範囲で、ポリプロピレン系樹脂材料に一般的に用
いられる補助添加成分を任意に配合することができる。
かかる補助添加成分としては、酸化防止剤、耐候剤、帯
電防止剤、中和剤、滑剤などが挙げられる。
【0027】また、上記必須成分のほかに、より一層の
改善を行うために、あるいは他の目的のために上記必須
成分以外の付加的成分を添加することができる。該付加
的成分としては、例えば、酸変性ポリオレフィン系樹
脂、結晶性ブテン−1系重合体やプロピレン・ブテン−
1共重合体等を挙げることができる。例えば、酸変性ポ
リオレフィン系樹脂を前記プロピレン系重合体に添加す
ることによって、透明性、耐脱落性をさらに改良するこ
とができる。
【0028】かかる酸変性ポリオレフィン系樹脂として
は、少なくとも一部の末端が酸変性されたポリオレフィ
ン系樹脂であって、JIS−K0070で規定される酸
価が1.0〜100mgKOH/g、好ましくは5〜6
0mgKOH/gのものが好ましいものとして挙げられ
る。酸価が上記範囲未満であると、透明性のさらなる改
良効果や炭酸カルシウム粒子の脱落防止性のさらなる向
上効果が期待できなくなる場合がある。一方、上記範囲
を超えると操業性が悪化する。ポリオレフィンとして
は、プロピレン、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、4−メチルペンテン−1等の単独重合体もしくは共
重合体又はこれら重合体の混合物が例示され、中でも低
分子量ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0029】上記低分子量ポリプロピレンを用いた酸変
性ポリオレフィン系樹脂としては、数平均分子量800
〜20,000、好ましくは1,000〜18,000
の酸変性低分子量ポリプロピレン(以下、単に「酸変性
低分子量PP」と略記する場合がある。)が挙げられ
る。酸変性低分子量PPは、末端二重結合を有する低分
子量ポリプロピレンに、後述する不飽和カルボン酸及び
/又はその無水物を化学的に付加させることによって、
あるいは通常の酸変性ポリプロピレンを低分子量化する
ことによって合成されたもので、少なくともその一部が
末端を酸変性されたものである。該酸変性によって得ら
れる酸変性ポリプロピレンは、その軟化点が一般に13
0〜170℃、好ましくは140〜160℃の温度を示
すものである。
【0030】好ましい末端二重結合を有する低分子量ポ
リプロピレンとしては、1,000炭素当たり1〜1
0、好ましくは2〜7の末端二重結合を有し、数平均分
子量で800〜20,000、好ましくは1,000〜
18,000のものである。末端二重結合が上記範囲未
満のものは、所望の酸変性を行うことができないことが
あり、末端二重結合が上記範囲を超えると、酸変性低分
子量PPの耐熱性が低下する傾向にある。また、数平均
分子量が上記範囲を超えると透明性のさらなる改良効果
や炭酸カルシウム粒子の脱落防止性のさらなる向上効果
が期待できなくなる傾向がある。
【0031】上記酸変性は、溶融グラフト法や溶液グラ
フト法によって行われるが、溶融グラフト法では、通常
100〜270℃、好ましくは130〜240℃の反応
温度で、通常0.5〜30時間、好ましくは1〜20時
間の反応時間の条件下に実施される。また、溶液グラフ
ト法では、キシレンに完全に溶解された後、パーオキサ
イドを併用し、不飽和カルボン酸及び/又はその無水物
との反応をん通常120〜180℃、好ましくは140
〜160℃の反応温度で、通常1〜20時間、好ましく
は3〜15時間の反応時間の需要ケン化に実施される。
そして、大量のアセトン等を使用して沈殿物を得る。該
酸変性によって得られるものは、不飽和カルボン酸及び
/又はその無水物が一般に0.01〜20重量%、好ま
しくは0.05〜15重量%、特に好ましくは0.1〜
10重量%の割合で含有されていることが望ましい。
【0032】変性剤である不飽和カルボン酸としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、及びナジック酸等を挙げるこ
とができる。また、不飽和カルボン酸無水物としては、
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、
無水アリルコハク酸、及び無水ナジック酸等を挙げるこ
とができる。これらの中でも無水マレイン酸を用いるこ
とが好ましい。
【0033】このような酸変性ポリオレフィンは、直接
変性されたものを未変性のもので希釈したものであって
もよく、市販のものから適宜選択して用いてもよい。市
販のものとしては、例えばユーメックスシリーズ(三洋
化成工業(株)製)等の無水マレイン酸変性ポリプロピ
レンを用いることができる。
【0034】酸変性ポリオレフィン系樹脂の好ましい配
合量は、前記プロピレン系重合体100重量部に対して
0.01〜5重量部、より好ましくは0.03〜4.5
重量部である。この配合量が上記範囲未満であると、透
明性のさらなる改良効果や炭酸カルシウム粒子の脱落防
止性のさらなる向上効果が期待できなくなる場合があ
る。一方、配合量が上記範囲を超えると、フィルムの外
観が悪化し、また高コストにもなるので好ましくない。
【0035】このほかに、使用できる付加的成分として
上記した結晶性ブテン−1重合体としては、ブテン−1
の単独重合体のほかに、ブテン−1と他のα−オレフィ
ン、例えばエチレン、プロピレン等との共重合体があ
る。また、これらの共重合体のMFRが180〜300
℃の範囲での同一温度において、上記プロピレン系重合
体のMFRと等しいか、あるいはより大であるものを使
用するのが透明性の改良を行うことができることから好
ましい。
【0036】ポリプロピレン系樹脂組成物 本発明のスキン層を形成するポリプロピレン樹脂組成物
は、必須成分である上記プロピレン系重合体、炭酸カル
シウム粒子、及び必要に応じて用いられる酸変性ポリオ
レフィン系樹脂等の任意成分を、ヘンシェルミキサー、
Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機で混合し
た後、一軸又は二軸押出機等の混練機で混練して調製す
るのが好ましい。また、炭酸カルシウム粒子は、所定量
より多量に配合したマスターバッチを調合し、これを成
形時に希釈して使用してもよい。
【0037】前記ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR
は1〜30g/10分m、好ましくは1〜20g/10
分、さらに好ましくは2〜20g/10分、特に好まし
くは2〜10g/10分である。MFRが上記範囲未満
では押出成形性が悪化し、生産性が低下するので好まし
くなく、上記範囲を超えるとスキン層の厚み精度が不良
となるので好ましくない。
【0038】(3)多層延伸ポリプロピレン系フィルム 本発明の多層延伸ポリプロピレン系フィルムは、少なく
ともその層構成中に上述した基材層[1]及びスキン層
[2]を有する多層フィルムである。前記スキン層は、
基材層の少なくとも片面に形成され、該基材層の片面の
みに形成されていても、両面に形成されていてもよい。
また、前記基材層とスキン層の他に、必要に応じて接着
層、ガスバリヤー層等の各種機能を備えた層を、基材層
とスキン層の間等に適宜設けることができる。
【0039】このような層構成を有する本発明の多層延
伸ポリプロピレン系フィルムは、少なくとも一軸方向に
延伸されていればよく、一軸延伸フィルムであっても、
二軸延伸フィルムであってもよい。
【0040】前記多層延伸ポリプロピレン系フィルムの
厚みは、その用途に応じて適宜決められるが、通常5〜
100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
スキン層の基材層に対する割合は、通常1〜20%、好
ましくは1.5〜10%である。より具体的には、スキ
ン層の厚み部分は、一般に0.2〜3μm、好ましくは
0.3〜2μmである。スキン層の厚みが上記範囲を超
える場合には透明性が不良になる場合がある。
【0041】(4)多層延伸ポリプロピレン系フィルム
の製造方法 本発明の多層延伸ポリプロピレン系フィルムは、結晶性
プロピレン系重合体を主成分とするポリプロピレン系樹
脂材料により形成される基材層の表面に、スキン層用ポ
リプロピレン系樹脂組成物により形成されるスキン層を
積層し、延伸することによって製造される。
【0042】積層 積層する方法としては、例えば、基材層用のポリプロピ
レン系樹脂材料の片面又は両面に、スキン層用ポリプロ
ピレン系樹脂組成物を溶融共押出することによってシー
ト状となし、これを一軸又は二軸延伸する方法が、スキ
ン層を容易に均一にかつ薄く積層できることから好まし
い。なお、あらかじめ未延伸の基材層シートを成形し、
これにスキン層用ポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押
出して被覆した後、一軸又は二軸延伸する方法、あるい
は一軸延伸した基材層シートにスキン層用ポリプロピレ
ン系樹脂組成物を溶融押出して被覆した後、該基材層の
延伸方向と直角方向に延伸して二軸延伸とする方法も採
用することができる。
【0043】延伸 一軸延伸の場合は、例えば、ロール周速差を利用して行
う方法が挙げられ、90〜160℃、好ましくは110
〜140℃で3〜8倍、好ましくは4〜6倍に延伸す
る。
【0044】二軸延伸の方法は、逐次二軸延伸でも同時
二軸延伸でもよいが、逐次二軸延伸の場合は、前記縦延
伸に引き続いて横方向にテンターオーブン中で3〜12
倍、好ましくは6〜11倍に延伸する。なお、経時収縮
及び二次加工時の熱収縮防止のため、上記延伸工程に引
き続き120〜170℃の温度で熱セットするのが好ま
しい。
【0045】その他の処理 本発明では、得られる多層延伸フィルムに、さらに印刷
適性を付与する、帯電防止剤のブリードを促進するなど
の目的で、コロナ放電処理、火炎処理等の公知の表面処
理を施すことができる。
【0046】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。なお、実施例中の各項目の測定値は、以下
の方法で測定した。
【0047】(1)MFR(単位:g/10分) JIS−K6758ポリプロピレン試験方法のメルトフ
ローレート(条件;230℃、荷重2.16kgf)に
従って測定した。
【0048】(2)ヘイズ(単位:%) JIS−K7105に準拠して測定し、透明性の尺度と
して用いた。数値が小さい方が透明性が良好である。
【0049】(3)ブロッキング性(単位:g/10c
2) 得られたフィルムより、2cm(幅)×15cm(長
さ)の試料フィルムのコロナ処理面同士を長さ5cmに
わたり重ね、100g/cm2の荷重下、40℃の雰囲
気下で24時間放置した後、荷重を除き、23℃の温度
に充分調整した後、引張試験機を用いて200mm/分
の速度で試料の剪断剥離に要する力を測定した。数値が
小さい方が良好である。
【0050】(4)滑り性 ASTM−D1894に準拠し、得られたフィルムにつ
いてスリップテスター法によって静摩擦係数(μs)及
び動摩擦係数(μd)を測定した。数値が小さい程、滑
り性が優れていることを意味する。
【0051】(5)耐スクラッチ性 100×300mmのフィルム(フィルムA)をフェル
ト布を貼った木製の板にたるみ、しわがないようにコロ
ナ処理面を上にして固定した。さらに50×150mm
のフィルム(フィルムB)をコロナ処理面同士が接する
ようにフィルムAに乗せ、フィルムBの中央部に3kg
のおもりを5×5cmの面積で接触させるように乗せ
た。次に、フィルムBを水平移動させることによって、
300mmの間を一方向に3回擦り合わせた。このよう
にして擦り合わせたフィルムAを4枚重ねてヘイズ
(「4枚重ねヘイズ」)を測定し、擦り合わせる前のフ
ィルムAの「4枚重ねヘイズ」との差である「Δ4枚重
ねヘイズ」を求め、フィルムの耐スクラッチ性の尺度と
した。数値が小さいほど良好である。
【0052】(6)耐脱落性 100×300mmのフィルムを、コロナ処理面を上に
してガラス板にたるみ、しわがないように固定した。ま
た、100×50mmの黒紙を、ガーゼを三重に巻き付
けた100×10mmの接触面積を有する棒に巻き付
け、固定した。両者を振幅200mm、振とう速度72
回/分の条件で、10分間擦り合わせた。黒紙へのアン
チブロッキング剤の付着状況を目視により観察し、次の
基準で評価した。 ○:ほとんど付着が認められない。 △:わずかに付着が認められる。 ×:付着が認められる。 ××:激しく付着が認められる。
【0053】(7)粒径測定(体積平均粒径、90%累
積粒径及び10%累積粒径) あらかじめメタノールを分散媒として120秒間超音波
分散せしめた粒子について、レーザー式粒度分布測定機
(「SK LASER MICRON SIZER PRO-7000S」:SEISHIN ENTE
RPRISE CO. LTD 製)を用いて粒度分布を測定し、得ら
れた粒度分布における小さな粒子側から起算した体積累
計50%の粒子径を体積平均粒径とし、体積累計10%
の粒子径を10%累積粒径(D10)、体積累計90%
の粒子径を90%累積粒径(D90)とした。
【0054】
【実施例1】(1)アンチブロッキング剤マスターバッ
チの製造 MFR5g/10分のポリプロピレンパウダー(プロピ
レン単独重合体)94重量%、丸尾カルシウム(株)
製、CUBE18BHS(立方体状カルサイト型炭酸カ
ルシウム粒子:体積平均粒径=1.8μm、D90/D
10=2.0、粒径10μm以上の粒子なし)1重量
%、及び酸変性ポリプロピレン(三洋化成(株)製「ユ
ーメックス1001」、酸価=26mgKOH/g)5
重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、ステ
アリン酸カルシウム0.05重量部、BHT(2,6−
ジターシャリーブチルヒドロキシトルエン)0.2重量
部、Irganox1010(チバガイギー社製)0.
05重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、30m
m単軸押出機で造粒してペレット化し、アンチブロッキ
ング剤マスターバッチを得た。
【0055】(2)スキン層用樹脂組成物の調製 MFR2.3g/10分のポリプロピレンパウダー(プ
ロピレン単独重合体);100重量部、ステアリン酸カ
ルシウム;0.05重量部、BHT;0.2重量部、I
rganox1010;0.05重量部をヘンシェルミ
キサーで混合した後、50mm単軸押出機で造粒してポ
リプロピレンペレットを得た。得られたポリプロピレン
ペレットと、上記(1)で得られたアンチブロッキング
剤マスターバッチとを、炭酸カルシウム粒子濃度がポリ
プロピレン100重量部に対して0.1重量部となるよ
うリボンミキサーにて混合し、ペレット混合物(多層延
伸ポリプロピレン系フィルムのスキン層用樹脂組成物)
を得た。
【0056】(3)基材層用樹脂材料の調製 MFR2.3g/10分のポリプロピレンパウダー(プ
ロピレン単独重合体);100重量部、ステアリン酸カ
ルシウム;0.05重量部、BHT;0.2重量部、I
rganox1010;0.05重量部、及びポリオキ
シエチレンアルキルアミンの脂肪酸エステル0.9重量
部をヘンシェルミキサーで混合した後、50mm単軸押
出機で造粒してポリプロピレンペレット(多層延伸ポリ
プロピレン系フィルムの基材層用樹脂材料)を得た。
【0057】(4)多層延伸ポリプロピレン系フィルム
の製造 上記(2)で得られたペレット混合物をスキン層とし、
上記(3)で得られたポリプロピレンペレットをコア層
(基材層)として、スキン層/コア層の2層シートが形
成されるようにTダイから共押出し、冷却ロールで急冷
することにより、厚さ約1mmのシートを得た。このシ
ートをテンター式逐次二軸延伸装置にて140℃で縦方
向に5倍の延伸倍率で延伸し、引き続きテンター炉内で
164℃に予熱をかけた後160℃で横方向に8倍の延
伸倍率で延伸し、さらにスキン層面をコロナ放電処理し
た。このようにして、フィルム全厚み25μm(このう
ちスキン層厚み2μm)の2種2層の二軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0058】
【実施例2】実施例1のアンチブロッキング剤マスター
バッチの製造において、「CUBE18BHS」を、丸
尾カルシウム(株)製CUBE25BHS(体積平均粒
径2.5μm、D90/D10=1.9、粒径10μm
以上の粒子なし、立方体状カルサイト型炭酸カルシウム
粒子)に変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結
果を表1に示す。
【0059】
【比較例1】実施例1のアンチブロッキング剤マスター
バッチの製造において、「CUBE18BHS」を、冨
士シリシア社製サイリシア350(不定形シリカ微粒
子:体積平均粒径1.8μm、D90/D10=4.
1)に変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果
を表1に示す。このものは、実施例に比べ、耐ブロッキ
ング性、滑り性、耐スクラッチ性に劣るものであった。
【0060】
【比較例2】実施例1のアンチブロッキング剤マスター
バッチの製造において、「CUBE18BHS」を、根
上工業(株)製アートパールF4P(架橋PMMA微粒
子:体積平均粒径1.8μm、D90/D10=2.
0)に変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果
を表1に示す。このものは、実施例に比べ、耐脱落性に
劣るものであった。
【0061】
【比較例3】実施例1のアンチブロッキング剤マスター
バッチの製造において、「CUBE18BHS」を、東
芝シリコン社製トスパール120(球状合成シリカ微粒
子:体積平均粒径2.0μm、D90/D10=1.
9)に変えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果
を表1に示す。このものは、実施例に比べ、耐スクラッ
チ性、耐脱落性に劣るものであった。
【0062】
【比較例4】実施例1の多層延伸ポリプロピレンフィル
ム製造において、コア層樹脂をスキン層用樹脂に置き換
えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1
に示す。このものは実施例のものに比べ、透明性に劣る
ものであった。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明の多層延伸ポリプロピレン系フィ
ルムは、透明性、滑り性、耐スクラッチ性、耐ブロッキ
ング性、及び耐脱落性に優れている。また、それゆえに
操業性、二次加工適性に優れ、なおかつその優れた透明
性により、食品包装、繊維包装などの広範囲の使用に適
している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA08B AK07 AK07A AK07B AK66B AL03B AL07 AT00A BA02 CA05 CA06 CA19 DE01B EJ37 GB15 JA11A JK14 JL01 JN01 YY00B 4F210 AA11 AB11 AB16 AG01 AG03 AH54 QA02 QC06 QD13 QG01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一軸方向に延伸されたポリプ
    ロピレン系フィルムであって、以下に示す層[1]及び
    [2]を有する多層延伸ポリプロピレンフィルム。 [1]結晶性プロピレン系重合体を主成分とするポリプ
    ロピレン系樹脂材料により形成される基材層。 [2]前記基材層の少なくとも片面に設けられた層であ
    って、MFRが1〜30g/10分のプロピレン系重合
    体100重量部に対し、体積平均粒径1.5μm〜5μ
    m、90%累積粒径(D90)と10%累積粒径(D1
    0)の比(D90/D10)が5.0以下、かつ粒径1
    0μm以上の粒子が存在しない立方体状カルサイト型炭
    酸カルシウム粒子0.05〜0.5重量部を配合してな
    るポリプロピレン系樹脂組成物により形成されるスキン
    層。
  2. 【請求項2】 前記プロピレン系重合体が、プロピレン
    単独重合体又はプロピレン・α−オレフィンランダム共
    重合体である、請求項1記載の多層延伸ポリプロピレン
    系フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20190034235A (ko) * 2016-07-21 2019-04-01 옴야 인터내셔널 아게 이축 배향 폴리프로필렌 필름에 대한 공동화제로서의 탄산칼슘

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