JP2001070476A - 反発性に優れた糸巻きゴルフボール及びその製造方法 - Google Patents

反発性に優れた糸巻きゴルフボール及びその製造方法

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JP2001070476A
JP2001070476A JP2000189944A JP2000189944A JP2001070476A JP 2001070476 A JP2001070476 A JP 2001070476A JP 2000189944 A JP2000189944 A JP 2000189944A JP 2000189944 A JP2000189944 A JP 2000189944A JP 2001070476 A JP2001070476 A JP 2001070476A
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rubber
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golf ball
thermoplastic polyurethane
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Masatoshi Yokota
政利 横田
Satoshi Kato
聡 加藤
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性ポリウレタンエラストマーカバーを
有する糸巻きゴルフボールであって、反発性、コントロ
ール性、成形性に優れた糸巻きゴルフボール及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 センターと、該センターに糸ゴムを巻き
付けた糸ゴム層と、該糸ゴム層の周囲にカバーを被覆し
てなる糸巻きゴルフボールにおいて、前記カバーは、流
動開始温度が140℃以下の熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマーを主成分としている。前記熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマーのショアーD硬度が35〜60であるこ
とが好ましく、前記カバーは、該カバーを構成する熱可
塑性ポリウレタンエラストマーの流動開始温度より5〜
20℃高い温度でプレス成形されたものであることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリウレ
タンエラストマーカバーを有する糸巻きゴルフボールに
関するもので、反発性、コントロール性、成形性に優れ
た糸巻きゴルフボール及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】糸巻きゴルフボールの一般的構造は、芯
となるセンターと、センターに巻き付けられた糸ゴムか
らなる糸ゴム層、及び糸ゴム層を覆うカバーの3層構造
になっていて、センターとしては、固形のゴム球である
ソリッドセンターと液体を詰めたゴム袋の球であるリキ
ッドセンターがあり、カバーとしては、バラタという天
然の硬質ゴム製のものと、アイオノマー樹脂製のものと
が一般に用いられている。
【0003】バラタゴムのカバーは、変形量が大きいの
で、打球感が軟らかく、インテンショナルフックスやス
ライスなどボールのコントロールがしやすく、また狙っ
たように飛んでくれるなど、コントロール性が良好なこ
とから、特に上級者やプロゴルファーに好まれて使用さ
れている。しかし、原料のバラタゴムは高価であり、ま
たアイオノマー樹脂製カバーと比べて、打撃耐久性が低
く、しかも個々のボールの生産に時間がかかり、生産性
が低いという問題がある。
【0004】一方、アイオノマー樹脂製カバー(以下、
単に「アイオノマーカバー」ということがある)は、バ
ラタゴム製カバー(以下、単に「バラタカバー」という
ことがある)と比べて、安価で生産性が高いという利点
がある。しかし、アイオノマーカバーはバラタカバーと
比べて硬いために、打球感が硬く、またショットによる
ボール変形に対する復元力が大きいため、クラブフェー
スに対する接触面積が小さくなって、スベリ現象が起
き、スピンがかかりにくくなるのでコントロール性に劣
るという欠点がある。このようなアイオノマーカバーの
欠点を解消するために、エチレン−(メタ)アクリル酸
エステル2元共重合体の金属塩というような硬質アイオ
ノマーの他に、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メ
タ)アクリル酸エステル3元共重合体やその金属塩とい
うような軟質のアイオノマーを混合して、打球感の硬さ
を抑え、コントロール性を改善することが提案されてい
る(例えば、米国特許第4884814号、特開平1−
308577号、特開平5−277208号)。
【0005】しかし、アイオノマー樹脂カバーにおい
て、軟質アイオノマーを混合することによりカバーを軟
らかくする場合、アイアンの打撃による耐擦過傷性が低
下し、さらに反発性が極端に低下するという問題があ
る。
【0006】このため、現在、バラタゴムやアイオノマ
ー樹脂以外のカバー材料で、アイオノマーカバーと同程
度の生産性を有し、しかも打球感やコントロール性につ
いてはバラタカバーに近いものが求められている。近
年、かかる要求に答えるべく、新たなカバー材料として
ポリウレタンエラストマーが注目されている。
【0007】ポリウレタンは、バラタゴムと比べて比較
的価格が安く、バラタカバーのクリックと打球感を実現
できる。また、アイオノマーカバーよりもコントロール
性が良いことから、カバー材料として期待されている。
【0008】ここで、市場におけるポリウレタンエラス
トマーの範疇には、熱硬化性ポリウレタンと熱可塑性ポ
リウレタンとがある。熱可塑性ウレタン樹脂とは、ジイ
ソシアネートと低分子ジオール及び高分子グリコールと
で硬化するポリウレタンである。熱硬化性ウレタン樹脂
は、ジイソシアネートとポリアミン又はトリオール等の
ポリオールが反応してなる硬化物である。
【0009】熱硬化性ポリウレタンエラストマーカバー
は、例えば特開平4−241881号公報で提案されて
いる。軟質アイオノマー樹脂のブレンドによるソフト化
の欠点である耐擦過傷性の低下を招くことはない。しか
し、カバーの形成については、原料たるポリオールやイ
ソシアネートまたはプレポリマー状態で、注型した後、
硬化させなければならず、予めハーフカップシェルを作
って、そこにコアを入れてプレス成形する方法や射出成
形というような製造方法を適用することが困難であり、
量産化には種々の工夫が必要である。また、工程の複雑
化は、カバー特性のばらつきの原因となる。生産による
ばらつき防止のために種々の工夫を施すことが可能であ
るが、このことは、アイオノマーカバーに比べて熱硬化
性ポリウレタンの生産性が劣っている原因となる。
【0010】一方、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
の場合、ポリウレタンエラストマーとしての利点、すな
わち打球感が軟らかくて良好なコントロール性を有し、
さらにアイオノマーと同様の生産方法を採用することが
できて、カバー材料の変更による新たな生産設備も必要
ない。このような理由から、ポリウレタンエラストマー
カバーはアイオノマーカバーの代替え材料として最適で
あると考えられている。
【0011】しかし、熱可塑性ポリウレタンカバーを用
いた場合、アイオノマーカバーと比べて、反発性が劣
り、飛距離が伸びないという別の問題があり、かかる問
題の解決のために、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
カバーについても種々の提案がなされている。
【0012】例えば、ジイソシアネートが脂肪族であ
り、粘弾性測定によるtanδピーク温度が−20℃以
下である熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いるこ
とによって、初速の低下を小さくすることが提案されて
いる(特開平9−271538号)。また、熱可塑性ポ
リウレタンエラストマーを主成分とし、センター比重と
カバー比重の差を0.2以上とすることにより、慣性モ
ーメントを最適化して、飛翔安定性を向上させ、飛距離
の増大を達成し得ることが提案されている(特開平9−
294830号、特開平9−294831号)。
【0013】ここで、これらの熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマーを用いる場合、一般に160℃以上の高温
で、5分間以上プレス成形することにより、カバーを作
製している。このような条件で製造する場合、糸ゴムの
種類によっては、やはり、反発性が低下する場合があっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、熱可塑性ポリウレタンエラストマーカバーを有す
る糸巻きゴルフボールであって、反発性、コントロール
性、成形性に優れた糸巻きゴルフボール及びその製造方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ウレタン
エラストマーカバーを用いた糸巻きゴルフボールの反発
性低下の原因を鋭意検討した結果、糸巻きボールの反発
性の低下はカバー成形時の糸ゴムの劣化に関係あること
を見い出し、本発明を完成した。
【0016】すなわち、本発明の反発性に優れた糸巻き
ゴルフボールは、センターと、該センターに糸ゴムを巻
き付けた糸ゴム層と、該糸ゴム層の周囲にカバーを被覆
してなる糸巻きゴルフボールにおいて、前記カバーは、
流動開始温度が140℃以下の熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマーを主成分としていることを特徴とする。
【0017】前記糸ゴムは、シス−1,4結合含有率9
7%以下のイソプレンゴムの含有率が40質量%以上の
ゴム組成物の加硫硬化物であることが好ましく、前記熱
可塑性ポリウレタンエラストマーのショアーD硬度が3
5〜60であることが好ましい。また、前記カバーは、
該カバーを構成する熱可塑性ポリウレタンエラストマー
の流動開始温度より5〜20℃高い温度でプレス成形さ
れたものであることが好ましい。
【0018】本発明の糸巻きゴルフボールの製造方法
は、センターに糸ゴムを巻き付けてなる糸巻きコアを熱
可塑性ポリウレタンエラストマーのカバーで被覆する糸
巻きゴルフボールの製造方法において、前記熱可塑性ポ
リウレタンエラストマーとして、流動開始温度が140
℃以下の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分と
するエラストマー組成物を使用し、該エラストマー組成
物で作製した半球殻状のハーフカップで、前記糸巻きコ
アを被包し、次いで、前記熱可塑性ポリウレタンエラス
トマーの流動開始温度よりも5〜20℃高い温度で、3
分間以下プレス成形することを特徴とする。
【0019】ここで、流動開始温度とは、直径1mmで
長さ10mm、1000kg荷重をかけた状態で、5℃
/minで昇温したときに流動しはじめる温度をいう。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の糸巻きゴルフボールは、
図1に示すように、ソリッドセンター1の外周に糸ゴム
層2を形成した糸巻きコア3にカバー4を被覆してなる
糸巻きゴルフボールで、前記カバーが、流動開始温度が
140℃以下の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主
成分とする。
【0021】熱可塑性ポリウレタンエラストマーとは、
主として高分子グリコールとジイソシアネートからなる
ソフトブロックと、低分子グリコールとジイソシアネー
トにより構成されるハードブロックにより組み立てられ
たものである。グリコール、高分子ポリオール、ジイソ
シアネートの配合比率を変えることによって、種々の性
能をもった熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得るこ
とができるが、本発明で用いられるものは、流動開始温
度が140℃以下、好ましくは120℃以下のものであ
る。
【0022】140℃以下で流動する熱可塑性ポリウレ
タンをカバー材料の主成分として用いることにより、1
60℃以下というアイオノマーと同程度の温度で、しか
も3分以下という短い時間で成形することが可能となる
からである。すなわち、160℃超という高温で、しか
も3分超という長い時間でプレス成形する場合、糸ゴム
が高温に長時間晒されることにより劣化してしまうから
である。一方、流動開始温度が140℃以上であっても
160℃未満であれば、160℃でプレス成形すること
が可能である。すなわちハーフカップシェルを作製して
プレス成形する方法において、ハーフカップを結着して
一体化することによりカバーを作製することが可能であ
る。しかし、プレス時間を十分取らないと(例えば5分
以上のプレス時間)、糸巻き層に十分密着したカバーが
形成されないおそれがあり、ひどい場合には、カバーと
糸巻きコアとの間に空間ができて、反発性低下の原因と
なり得る。
【0023】熱可塑性ウレタンエラストマーのハードセ
グメントを構成する低分子グリコールとしては、エチレ
ングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−
ヘキサンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等
が挙げられる。
【0024】ソフトセグメントを構成する高分子グリコ
ールとは、水酸基を2個有する高分子であって、主鎖を
構成する高分子の種類によりポリエステル系ポリオー
ル、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポ
リオールなどが挙げられる。ポリエステル系ポリオール
としては、ポリカプロラクトングリコール、ポリ(エチ
レン−1,4−アジぺート)グリコール、ポリ(ブチレ
ン−1,4−アジぺート)グリコール、ポリ(ジエチレ
ングリコールアジぺート)グリコール等が挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、(ヘキサンジ
オール−1,6−カーボネート)グリコール等が挙げら
れる。ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリオキシ
テトラメチレングリコールなどが挙げられる。これらの
数平均分子量は5万〜20万である。これらのうち、特
にポリエーテル系ポリオールが、耐水性と反発性が良好
であることから好ましく用いられる。
【0025】ジイソシアネートとしては、カバーの耐黄
変性を考慮して、脂肪族ジイソシアネートが好適に用い
られる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、2,2,4(2,2,4)−トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジ
イソシアネート(LDI)などが挙げられる。また、耐
黄変性は悪いが、反発性が良好なことから、4,4′−
ジフェニルメタンジイオシアネート(MDI)を用いて
いもよい。
【0026】本発明で使用される熱可塑性ポリウレタン
エラストマーは、以上のような高分子グリコール、低分
子グリコール、及びジイソシアネートとを反応させて得
られるもので、その配合割合、組み合せの種類は、流動
開始温度が140℃以下となるように、選択すればよ
い。好ましくは、ショアD硬度が35〜60となるよう
な組み合わせを選択する。35未満ではスピンがかかり
すぎるために飛距離が低下するので好ましくなく、60
を超えると、スピンがかかりにくくなって、コントロー
ルしづらいからである。
【0027】本発明のカバーを構成する材料としては、
上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーのほかに、他の
熱可塑性樹脂を、ポリマー成分の30質量%以下の範囲
内であれば適宜配合することができる。配合され得る熱
可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミドエラストマ
ー、ポリエステルエラストマー、アイオノマー、スチレ
ンブロックエラストマー、水添ブタジエン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。
【0028】上記カバー材には、さらに必要に応じて、
上記樹脂成分以外に、種々の添加剤、例えば顔料、分散
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤等を常用量添加
することができる。
【0029】ソリッドセンター1としては、シス−1,
4−ポリブタジエンを主成分とするエラストマーを用い
て、公知の方法により製造することができる。
【0030】ソリッドセンターの外径、質量、及び硬度
は、特に制限されるものではないが、通常、外径28〜
38mm、好ましくは30〜36mm、質量15〜35
g、好ましくは20〜33g、JIS−C硬度20〜9
0、好ましくは30〜85であることが好ましい。ここ
で、ソリッドセンターのJIS−C硬度は、JIS−K
6301に規定するスプリング式硬度計C型(高分子計
器社製)を用いてソリッドセンターの表面の硬度を測定
した。
【0031】センターは、ソリッドに限定されず、リキ
ッドセンターであってもよい。リキッドセンターとして
は、公知のゴム成分等からなる中空球状のセンターバッ
グの中空部に水あるいは水に硫酸バリウム、硫酸ナトリ
ウム、カルボキシメチルセルロース等を加えて作られる
ペーストを充填して得ることができる。このセンターバ
ッグの厚さは、通常、0.5〜3.0mm、特に1.0
〜2.5mmとすることができる。またセンターバック
は、10mm×50mm×2mmの試験片を作製し、そ
れを3枚重ねてJIS−K6301に規定するスプリン
グ式硬度計C型を用いてその硬度を測定した時に、JI
S−C硬度が20〜90、さらに30〜85となる材質
にて構成することが好ましい。ペーストを充填してなる
リキッドセンターの比重は1.0〜2.0である。リキ
ッドセンターの直径は、25〜35mmである。
【0032】糸ゴム層は、上記センター1の外周に、糸
ゴムを高伸長状態で巻回することにより形成されたもの
であり、通常は糸ゴム層の質量は10〜30g、好まし
くは15〜25g、厚み2〜15mm、好ましくは5〜
10mmである。
【0033】糸ゴム層に用いられる糸ゴムの組成は特に
限定しないが、ゴム成分におけるシス−1,4結合含有
率が97%以下、好ましくは95%以下で80%以上で
あるイソプレンゴムの含有率が40質量%以上、好まし
くは50質量%以上であるゴム組成物を用いることが好
ましい。シス−1,4結合含有率が97%以下のイソプ
レンゴムはゴムの中でも反発性に優れているので、ゴル
フボールの反発性を高めることができるからである。一
方、シス−1,4結合含有率が80%未満では、強度が
低下しすぎるので好ましくない。
【0034】シス−1,4結合含有率が97%以下のイ
ソプレンゴムは反発性は優れているが、熱劣化しやすい
ゴムである。このため、カバーが160℃以上、3分間
超というような条件でプレス成形することにより作製さ
れる場合、イソプレンゴムの熱劣化がひどくて反発性の
向上を期待することができなかった。しかし、本発明の
ゴルフボールでは、160℃未満、3分間以下で成形す
ることが可能であるため、シス−1,4結合含有率が9
7%以下のイソプレンゴムの含有率を高くした反発性の
高い糸巻きコアを用いることができる。尚、糸ゴムに用
いるゴム成分の天然ゴム以外のゴムとしては、耐熱性に
優れたシス−1,4結合含有率が97%超のイソプレン
ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム等を用いる
ことが好ましく、加硫剤としては硫黄が好ましく用いら
れる。
【0035】糸ゴムの寸法等については特に限定しない
が、一般に、糸ゴムの比重0.8〜1.1、糸ゴム寸法
は幅0.5〜2mm、厚み0.5〜2mmである。糸巻
き方法は、従来より公知の方法を採用することができ
る。
【0036】上記センター1と糸ゴム層2とからなる糸
巻きコア3の直径は、34〜41mm、好ましくは36
〜40mmである。
【0037】本発明の糸巻きゴルフボールは、カバー材
料の樹脂成分の主体が流動開始温度140℃以下の熱可
塑性ポリウレタンエラストマーであることから、従来の
アイオノマカバーと同様の方法を採用することができ
る。例えば、糸巻きコアにカバー材をそのまま射出成形
する方法、半球殻状の2個のハーフカップを形成し、こ
れらのハーフカップで糸巻きコアを被包しプレス成形す
る方法が挙げられる。プレス成形条件は、従来の成形条
件である160℃以下で、5分以下であればよいが、糸
ゴムの熱劣化を防止するためには、本発明の製造方法に
より製造することが好ましい。
【0038】本発明の糸巻きゴルフボールの製造方法
は、センターに糸ゴムを巻きつけて糸巻きコアを作製す
る段階までは従来公知の方法を採用でき、カバーの成形
条件に特徴がある。すなわち、本発明の糸巻きゴルフボ
ールで説明したカバー材料で半球殻状の2個のハーフカ
ップを形成し、これらのハーフカップで糸巻きコアを被
包し、プレス成形する方法において、プレス成形温度
を、カバー材料の主成分である熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマーの流動開始温度よりも5〜20℃高い温度と
し、プレス時間を3分以下とする。
【0039】主成分である熱可塑性ポリウレタンエラス
トマーの流動開始温度とプレス成形温度との差が5℃未
満では、ハーフカップと糸ゴム層との密着が不十分とな
り、ひどい場合には、糸ゴム層とカバーとの間に空間が
残る場合もあり、反発性が低下するからである。一方、
流動開始温度よりも20℃超高い温度でプレス成形する
と、糸ゴム層とカバーとの密着の程度は温度差が5〜2
0℃の場合と変わらず、一方糸ゴムの劣化が大きくなる
だけだからである。流動開始温度とプレス成形温度との
差を20℃以上とすることは、不必要に高温で成形する
こととなり、反発性に優れたシス−1,4−結合含有率
97%以下の含有率が高いゴム組成物で形成される糸ゴ
ムの使用を制限することになる。
【0040】プレス時間を3分以下とするのは、160
℃以下の温度であっても、プレス時間が長くなる程、糸
ゴムの劣化が進むからである。
【0041】
【実施例】〔評価方法〕はじめに、本実施例で用いた評
価方法について説明する。
【0042】反発係数 静止しているゴルフボールに200gのアルミニウム製
円筒物を45m/sの速度で衝突させ、衝突前後の円筒
物及びゴルフボールの速度を測定し、夫々の速度及び質
量からの算出結果を、No.6の反発係数を100とし
て指数化した。指数が大きい程反発力が大きいことを示
す。
【0043】飛距離(m) ツルーテンパー社製のスイングロボットに、ゴルフクラ
ブW#1(ヘッドスピード:45m/秒)を取り付け
て、各ゴルフボールを打球し、落下点までの飛距離を測
定した。
【0044】コントロール性 10名のゴルファーに、ピッチングウェッジのクラブで
実打撃を行なっったときのスピンのかかりやすさに基づ
いて、下記基準で評価してもらい、その評価が最も多い
評価を、そのボールについての結果とした。 「○」:スピンがかかりやすく、コントロール性が良い 「△」:普通 「×」:すべる感じでスピンがかかりにくく、コントロ
ール性が悪い
【0045】ショアD硬度 カバー材料を用いて10mm×50mm×2mmの試験
片を作製し、3枚重ねてJIS−K7215に定められ
るスプリング式硬度計D型(高分子計器社製)を用いて
ショアD硬度を測定した。
【0046】〔糸巻きゴルフボールの作製〕表1に示す
ゴム組成物を、165℃で20分間加熱プレスすること
により、直径36mm、質量26.5gのソリッドセン
ターを作製した。次に、作製したソリッドセンターの周
囲に、表1に示すゴム組成物の加硫硬化体を糸状に裁断
してなる糸ゴムを巻き付けて、外径39.0mmの糸巻
きコアを作製した。表1中、ブタジエンゴムとしてはJ
SR社製のBR11を用い、イソプレンゴムとしては、
シェル化学社製の低シスイソプレンゴムであるIR−3
09(シス−1,4結合含有率92%)を用い、老化防
止剤としては、大内新興化学工業社製のノクラックNS
−6を用いた。
【0047】
【表1】
【0048】一方、カバー材料としては、表2に示すよ
うなA〜Eの5種類のカバー材料を用いて、半球殻状の
ハーフカップを成形し、そのハーフカップで、上記で作
製した糸巻きコアを包み、表3に示す条件でプレス熱圧
縮成形をして球体とし、その後、シーム部分をバフ研
磨、表面をペイントすることにより、直径42.8m
m、質量45.4gのゴルフボールNo.1〜6を作製
した。尚、流動開始温度が140℃以下の熱可塑性ポリ
ウレタンを用いたカバー材料A,Bを用いたボールN
o.1〜3が、本発明にかかるゴルフボールであり、そ
れ以外のカバー材料であるC,D,Eを用いたゴルフボ
ールNo.4〜6が比較例に該当する。ここで、PU−
140T、PU−202A、ET−890は、いずれも
表2に示すような流動開始温度を有する武田バーディシ
ュウレタン工業株式会社製のポリエーテル系ウレタンエ
ラストマーであり、YS2006は大日本精化製のポリ
エーテル系ウレタンエラストマーである。またサーリン
8120は、デュポン社製のNaイオン中和3元アイオ
ノマーである。
【0049】
【表2】
【0050】作製したゴルフボールNo.1〜6につい
て、ショアD硬度、反発係数、飛距離、コントロール性
を測定、評価した。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3からわかるように、アイオノマーカバ
ー材料を用いたゴルフボール(No.6)は、ウレタン
エラストマーカバーを用いたゴルフボール(No.1〜
5)よりもショア硬度が高く、コントロール性が悪い。
【0053】ウレタンエラストマーカバーを用いたゴル
フボールであっても、流動温度が高いために、成形温度
を高くしたゴルフボール(No.4)は、反発性係数が
低く、飛距離が劣っていた。
【0054】流動開始温度が140℃以下であるウレタ
ンエラストマーカバーを有するゴルフボール(No.1
〜3)は、いずれもアイオノマーカバーのゴルフボール
(No.6)よりも軟らかくコントロール性に優れてい
るだけでなく、反発性も優れていた。No.1のボール
よりも、No.2のボールの方が、飛距離が大きかった
のは、No.2のボールの方が、硬度が高いためである
と考えられる。また、No.2とNo.3との比較か
ら、同じ熱可塑性ポリウレタンエラストマーであって
も、プレス温度と流動開始温度との差を20℃以内とす
るほうが、反発性が優れ、飛距離が伸びていた(No.
3)。プレス成形温度が高いほど、糸ゴムの劣化が進ん
で、反発性が低下するためと考えられる。
【0055】一方、ウレタンエラストマーカバーである
No.5のゴルフボールについては、硬度がNo1〜3
よりも大きかったにも拘わらず、飛距離がアイオノマー
カバーのボール(No.6)よりも劣っていた。No.
5で用いたウレタンエラストマーは、流動開始温度が成
形温度以下であるので成形はできたが、成形温度と流動
開始温度との差が4℃と大変近接しているため、カバー
と糸巻き層との密着が不十分なボールが成形されたため
と考えられる。
【0056】
【発明の効果】本発明の糸巻きゴルフボールは、カバー
成形時の糸ゴムの劣化熱が少なくて済む流動開始温度の
低い可塑性ポリウレタンエラストマー製のカバーを用い
ているので、コントロール性、打球感を保持しつつ、ア
イオノマーカバーと同程度以上の反発性を有している。
【0057】また、本発明の糸巻きゴルフボールの製造
方法によれば、従来のウレタンエラストマーカバー成形
の場合より低い温度、短い時間でプレス成形することが
できるので、反発性に優れたシス−1,4結合含有率9
7%以下のイソプレンゴムの含有割合が高いゴム組成物
を用いた糸ゴムを用いることができ、より反発性の高い
糸巻きゴルフボールを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】糸巻きゴルフボールの構成を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 ソリッドセンター 2 糸ゴム層 3 糸巻きコア 4 カバー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センターと、該センターに糸ゴムを巻き
    付けた糸ゴム層と、該糸ゴム層の周囲にカバーを被覆し
    てなる糸巻きゴルフボールにおいて、 前記カバーは、流動開始温度が140℃以下の熱可塑性
    ポリウレタンエラストマーを主成分としていることを特
    徴とする反発性に優れた糸巻きゴルフボール。
  2. 【請求項2】 前記糸ゴムは、シス−1,4−結合含有
    率が97%以下のイソプレンゴムを、ゴム成分の40質
    量%以上含有しているゴム組成物の加硫硬化物である請
    求項1に記載の糸巻きゴルフボール。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー
    のショアーD硬度が35〜60である請求項1又は2に
    記載の糸巻きゴルフボール。
  4. 【請求項4】 前記カバーは、該カバーを構成する熱可
    塑性ポリウレタンエラストマーの流動開始温度より5〜
    20℃高い温度でプレス成形されたものである請求項1
    〜3のいずれかに記載の糸巻きゴルフボール。
  5. 【請求項5】 センターに糸ゴムを巻き付けてなる糸巻
    きコアを熱可塑性ポリウレタンエラストマーのカバーで
    被覆する糸巻きゴルフボールの製造方法において、 前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして、流動開
    始温度が140℃以下の熱可塑性ポリウレタンエラスト
    マーを主成分とするエラストマー組成物を使用し、 該エラストマー組成物で作製した半球殻状のハーフカッ
    プで、前記糸巻きコアを被包し、 次いで、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの流動
    開始温度よりも5〜20℃高い温度で、3分間以下プレ
    ス成形することを特徴とする糸巻きゴルフボールの製造
    方法。
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