JP2001069080A - 光ファイバ伝送のための方法、光デバイス及びシステム - Google Patents

光ファイバ伝送のための方法、光デバイス及びシステム

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JP2001069080A JP23985499A JP23985499A JP2001069080A JP 2001069080 A JP2001069080 A JP 2001069080A JP 23985499 A JP23985499 A JP 23985499A JP 23985499 A JP23985499 A JP 23985499A JP 2001069080 A JP2001069080 A JP 2001069080A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は光ファイバ伝送のための方法、光デ
バイス及びシステムに関し、伝送可能距離を拡大するこ
とが主な課題である。 【解決手段】 本発明は伝送距離を拡大することが出来
る光ファイバ伝送のための方法に関連している。まず、
分散を有する第1の光ファイバ4が提供される。次い
で、光信号が第1の光ファイバ4を伝搬するのに従って
時間軸上で圧縮されるように、第1の光ファイバに光信
号が供給される。例えば分散が正常分散である場合に
は、光信号がダウンチャープを有するようにプリチャー
ピングが施される。そして、第1の光ファイバ4から出
力された圧縮された光信号が飽和利得を有する光デバイ
ス6に供給される。この方法によると、光信号が圧縮さ
れることと光デバイスによる波形整形との効果的な組み
合わせにより伝送距離が拡大される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ファイバ伝送のた
めの方法、光デバイス及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】低損失なシリカ光ファイバが開発された
ことにより、光ファイバを伝送路として用いる光ファイ
バ通信システムが数多く実用化されてきた。光ファイバ
それ自体は極めて広い帯域を有している。しかしなが
ら、光ファイバによる伝送容量は実際上はシステムデザ
インによって制限される。最も重要な制限は、光ファイ
バにおいて生じる波長分散による波形歪みに起因する。
光ファイバはまた例えば約0.2dB/kmの割合で光
信号を減衰させるが、この減衰による損失は、エルビウ
ムドープファイバ増幅器(EDFA)を始めとする光増
幅器の採用によって補償されてきた。
【0003】しばしば単純に分散と称される波長分散
は、光ファイバ内における光信号の群速度が光信号の波
長(周波数)の関数として変化する現象である。例えば
標準的なシングルモードファイバにおいては、1.3μ
mよりも短い波長に対しては、より長い波長を有する光
信号がより短い波長を有する光信号よりも速く伝搬し、
その結果としての分散は、通常、正常分散と称される。
1.3μmよりも長い波長に対しては、より短い波長を
有する光信号がより長い波長を有する光信号よりも速く
伝搬し、その結果としての分散は異常分散と称される。
【0004】近年、EDFAの採用による光信号パワー
の増大に起因して、非線形性が注目されている。伝送容
量を制限する光ファイバの最も重要な非線形性は光カー
効果である。光カー効果は光ファイバの屈折率が光信号
の強度に伴って変化する現象である。屈折率の変化は光
ファイバ中を伝搬する光信号の位相を変調し、その結果
信号スペクトルを変更する周波数チャーピングが生じ
る。この現象は自己位相変調(self-phase modulation:
SPM)として知られている。SPMによってスペクト
ルが拡大されることがあり、この場合波長分散による波
形歪みが更に大きくなる。
【0005】このように、光ファイバ通信においては、
光ファイバの持つ分散やファイバ内の非線形光学効果に
よる波形劣化が伝送限界の大きな要因となっている。分
散の影響は信号帯域が拡大するほど大きくなり、およそ
信号速度の二乗に比例して厳しくなる。従って、高速信
号においては著しく伝送距離が制限される。これを補償
するために各種の分散補償法が考案され、実用化されて
いる。
【0006】分散による伝送波形歪みを補償する方法と
しては、分散補償器を用いる方法が最も一般的である。
分散補償器としては、絶対値の大きな分散を提供する分
散補償ファイバやファイバグレーティング等の補償デバ
イスが知られている。また、伝送路に正負の分散を交互
に並べて実質的にゼロ分散の伝送路を構成する方法や、
光位相共役器を伝送路内に配置して伝送路分散による位
相変化を補償する方法も分散補償法として知られてい
る。光位相共役器を用いた補償法では、非線形効果も補
償可能である。
【0007】非線形効果の影響を簡易に補償する方法の
1つとして、信号にプリチャーピングを施す方法があ
る。この方法では、伝送中の非線形効果によりパルスを
圧縮して分散によるパルス広がりを補償し、あわせて高
い光信号対雑音比(SNR)を確保して伝送距離を稼ご
うというものであり、実用システムにおいて広く採用さ
れている。
【0008】光パルスは正常分散ファイバ中では波長が
長くなる程群速度が速く、異常分散ファイバ中では波長
が短いほど郡速度が速い。そこで、パルスの立上がり部
分において長波長側に波長シフト(負チャープ)し、立
下り部分において短波長側にシフト(正チャープ)する
ようなチャーピング、即ちアップチャープを与えると、
異常分散ファイバ内では伝送によりパルス圧縮が起こ
る。一方、パルスの立上がり部分において短波長側に波
長シフト(正チャープ)し、立下り部分において長波長
側にシフト(負チャープ)するようなチャーピング、即
ちダウンチャープを与えると、正常分散ファイバ内では
伝送によりパルス圧縮が起こる。
【0009】更に、分散補償を行う際に、トータルの分
散値をゼロとせず、若干の正常分散あるいは異常分散と
なるように設定し、この設定の下でプリチャーピングを
行うことにより、やはりパルスの圧縮を起こすことが可
能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の分散補償法或い
はプリチャーピングによる場合、伝送可能距離の拡大が
十分でないという問題があった。
【0011】よって、本発明の目的は、伝送可能距離を
拡大することができる光ファイバ伝送のための方法を提
供することである。また、そのような方法の実施に適し
た光デバイス及びシステムを提供することも本発明の目
的である。本発明の他の目的は以下の説明から明らかに
なる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の側面によ
ると、光ファイバ伝送のための方法が提供される。ま
ず、分散を有する第1の光ファイバが提供される。次い
で、光信号が第1の光ファイバを伝搬するのに従って時
間軸上で圧縮されるように第1の光ファイバに光信号が
供給される。そして、第1の光ファイバから出力された
圧縮された光信号が飽和利得を有する光デバイスに供給
される。
【0013】このように、本発明による方法では、第1
の光ファイバ中で光信号を圧縮させることと圧縮された
光信号を飽和利得を有する光デバイスに供給して波形整
形を行うこととを組み合わせているので、伝送可能距離
の効果的な拡大が可能になる。
【0014】例えば、光デバイスから出力された光信号
は第2の光ファイバに供給される。この場合、本発明に
よる方法では、上述した効果的な組み合わせにより、特
に第2の光ファイバによる伝送距離が従来技術による場
合と比べて飛躍的に拡大される。
【0015】望ましくは、第1の光ファイバに沿って少
なくとも一つの光増幅器が設けられる。この場合、圧縮
された光信号のピークパワーが飽和利得を与えるパワー
の閾値よりも高くなるように容易に調節することができ
る。
【0016】第1の光ファイバの分散が正常分散である
場合には、光信号がダウンチャープを有するようにプリ
チャーピングを施すことによって、光信号が第1の光フ
ァイバを伝搬するのに従って時間軸上で圧縮され得る。
【0017】第1の光ファイバの分散が異常分散である
場合には、光信号がアップチャープを有するようにプリ
チャーピングを施すことによって、光信号が第1の光フ
ァイバを伝搬するのに従って時間軸上で圧縮され得る。
【0018】自己位相変調(SPM)を利用すると、第
1の光ファイバの分散及び光信号のパワーを適切に設定
することによっても、光信号が第1の光ファイバを伝搬
するのに従って時間軸上で圧縮され得る。
【0019】第1の光ファイバの分散を補償する分散補
償器を第1の光ファイバに沿って設けることができ、ま
た、第2の光ファイバの分散を補償する分散補償器を第
2の光ファイバに沿って設けることができる。
【0020】第1の光ファイバの分散が実質的に等分さ
れる点の近傍に光位相共役器を設けることができ、ま
た、第2の光ファイバの分散が実質的に等分される点の
近傍に光位相共役器を設けることができる。
【0021】本発明の第2の側面によると、光ファイバ
を伝搬するのに従って時間軸上で圧縮された光信号が供
給される光デバイスが提供される。この光デバイスは、
入力パワーが増大するのに従って飽和する利得を光信号
に与える半導体光増幅器を備えている。
【0022】本発明の第3の側面によると、光ファイバ
を伝搬するのに従って時間軸上で圧縮された光信号が供
給される光デバイスが提供される。この光デバイスは、
分布帰還(DFB)レーザと、DFBレーザが第1の波
長で発振するようにDFBレーザに電流を供給する回路
とを備えている。光信号は第1の波長と異なる第2の波
長を有している。その結果、DFBレーザは入力パワー
が増大するのに従って飽和する利得を光信号に与えるこ
とができる。
【0023】本発明の第4の側面によると、光ファイバ
伝送のためのシステムが提供される。このシステムは、
光送信機、第1の光ファイバ及び光デバイスを備えてい
る。光送信機は光信号を出力する。第1の光ファイバは
光信号が伝搬するのに従って時間軸上で圧縮されるよう
に設けられている。第1の光ファイバから出力された圧
縮された光信号は光デバイスに供給される。光デバイス
は飽和利得を有する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の望ましい実施形態を詳細に説明する。同様の図を通じ
て同一の符号は類似又は同様の部品を示す。
【0025】図1は本発明によるシステムの第1実施形
態を示すブロック図である。このシステムは、送信機2
と、送信機2に第1の光ファイバ4により接続される利
得飽和光アンプ6と、光アンプ6に第2の光ファイバ8
により接続される受信機10とを含む。送信機2は符号
12で示されるようにパルス状の光信号を第1の光ファ
イバ4に出力する。第1の光ファイバ4は送信機2から
出力された光信号が伝搬するのに従って符号14に示さ
れるように時間軸上で圧縮されるように設けられてい
る。第1の光ファイバ4から出力された圧縮された光信
号は、光アンプ6に供給される。光アンプ6は飽和利得
を有している。
【0026】光アンプ6に供給された圧縮された光信号
は、光アンプ6により飽和利得を与えられて、パルスの
トップ部分が平坦化されることにより波形整形される。
波形整形された光信号は符号16で示されるように第2
の光ファイバ8に供給され、光ファイバ8により受信機
10にまで伝送される。
【0027】送信機2から出力された光信号は、第1の
光ファイバ4を伝搬するのに従って時間軸上で圧縮され
る。そのために、第1の光ファイバ4が正常分散を有し
ている場合には、送信機2から出力される光信号にはダ
ウンチャープが与えられ、第1の光ファイバ4が異常分
散を有している場合には、送信機2から出力される光信
号にはアップチャープが与えられる。
【0028】このようなダウンチャープ或いはアップチ
ャープのようなプリチャーピングを施すことが可能な図
1のシステムに適した送信機の実施形態を図2により説
明する。
【0029】図2に示される送信機は、連続波(CW)
光を出力するレーザダイオード等からなる光源18と、
変調信号MSを入力するためのポート20と、変調信号
MSに基き、光源18から出力されたCW光を変調して
光信号を生成するマッハツェンダ型光変調器(MZ変調
器)22とを有している。生成された光信号は、光カプ
ラ24を通ってポート26から第1の光ファイバ4へ送
出される。
【0030】MZ変調器22は、光源18に光学的に接
続される入力ポート22Aと、光カプラ24に光学的に
接続される出力ポート22Bと、入力ポート22AにY
分岐28により光学的に結合される一対の光パス30及
び32と、光パス30及び32を出力ポート22Bに光
学的に結合するためのもう一つのY分岐34とを有して
いる。
【0031】Y分岐28及び34並びに光パス30及び
32は、例えば、LiNbO3等からなる誘電体基板上
に予め定められたパターンでTi等を熱拡散させて光導
波構造を形成することにより得ることができる。光パス
30及び32に電界を印加するために、光パス30及び
32上にはそれぞれ接地電極42及び信号電極44が設
けられている。信号電極44は例えば進行波形に提供さ
れる。入力ポート22Aに光源18から供給されたCW
光はまず、Y分岐28においてパワーが実質的に等しい
第1及び第2の分岐ビームに分岐される。第1及び第2
の分岐ビームはそれぞれ光パス30及び32を伝搬し、
Y分岐34で合流する。
【0032】接地電極42と信号電極44との間に生じ
る電界が光パス30及び32の屈折率を互いに逆向きに
変化させることにより、第1及び第2の分岐ビームの間
には位相差が生じ、このように位相差が与えれた第1及
び第2の分岐ビームがY分岐34で干渉する結果、変調
信号MSに従って強度変調された光信号が出力ポート2
2Bから出力される。
【0033】MZ変調器22を駆動し、その動作点を安
定化するために、この送信機は、更に、重畳回路46、
バイアス回路48、ローパスフィルタ50、位相検出器
52、発振器54及びフォトディテクタ(PD)56を
有している。
【0034】また、プリチャーピングを施すために、ポ
ート58に供給された制御信号CSに基づいて動作する
チャープパラメータ設定回路60と2つの符号反転回路
62及び64とが設けられている。
【0035】動作点安定化のために、発振器54が出力
する周波数foの低周波信号が用いられる。低周波信号
は符号反転回路64を通って重畳回路46に供給され
る。変調信号MSは、符号反転回路62を通って重畳回
路46に供給される。重畳回路46では、低周波信号が
変調信号MSに重畳されその結果得られた重畳信号が信
号電極44に供給される。重畳回路46は、例えば、利
得可変型の増幅器とこの増幅器を信号電極44とAC結
合するためのキャパシタとから構成される。符号反転回
路62及び64はチャープパラメータ設定回路60によ
り制御される。この制御のより特定的な説明は後で行
う。
【0036】動作点が安定化するように制御されたバイ
アス電圧が、バイアス回路48から信号電極44に供給
される。その制御を行うために、MZ変調器22の出力
ポート22Bから出力された光信号の一部が、フォトデ
ィテクタ56により電気信号に変換される。この電気信
号には周波数foの低周波成分が含まれ得る。
【0037】位相検出器52は同期検波回路として提供
される。位相検出器52は、発振器54からの低周波信
号とフォトディテクタ56からの低周波成分との位相比
較を行う。その位相比較の結果は位相検出器52の出力
信号のDC成分に現れるので、そのDC成分がローパス
フィルタ50によって抽出されてバイアス回路48にフ
ィードバックされる。
【0038】このフィードバックループにおいては、フ
ォトディテクタ56からの低周波成分が最小となるよう
にバイアス回路48がバイアス電圧を制御する。
【0039】図3を参照すると、図2に示されるMZ変
調器22の動作点安定化の原理が示されている。符号6
5はMZ変調器22への入力電気信号(重畳信号)の波
形を示している。MZ変調器22の最適な動作点は、符
号66で示されるように、入力電気信号65の両レベル
が最大及び最小の出力光パワーを与える動作特性曲線に
よって決定される。ここで、動作特性曲線は、光パワー
と印加電圧との関係を表すサインカーブによって与えら
れ、この動作特性曲線が電圧方向にシフトするのが動作
点ドリフトである。
【0040】今、温度変動等により動作特性曲線が68
又は70で示されるようにシフトすると、出力光信号に
は低周波成分が生じるようになり、シフトの方向は低周
波成分の位相に反映される。即ち、動作特性曲線68及
び70がそれぞれ与える出力光信号の包絡線の位相は、
180°異なる。従って、図2に示されるように位相検
出器52を用いて同期検波を行うことによって、MZ変
調器22の動作点が安定化される。
【0041】次に、図4の(A)乃至(D)を参照し
て、符号反転回路62及び64を用いたチャープパラメ
ータの切り換えについて説明する。MZ変調器22にお
いては、干渉により光スイッチングが行われているの
で、干渉により本質的に生じる波長変動(チャーピン
グ)を利用してプリチャーピングを行うことができる。
プリチャーピングは、生成される光信号の1パルス内に
波長(周波数)の変動を予め与えておくことにより、光
ファイバ伝送路における分散及び/又は非線形効果によ
る伝送波形の劣化を抑制するための方法である。
【0042】MZ変調器22の動作特性曲線はサインカ
ーブで与えられるので、安定点となり得る動作点は複数
ある。
【0043】図4の(A)を参照すると、MZ変調器2
2の動作特性曲線が示されている。印加電圧として、一
つの安定点Vb1の近傍の領域72を使用して、図4の
(B)の左側に示されるような正のパルスを与えると、
領域72においては印加電圧(V)の増大に従って、光
パワー(P)が増大するので、図4の(C)の左側に示
されるように、電圧パルスと同じ極性で光パルスが出力
される。このとき、図4の(D)の左側に示されるよう
に光パルスの立上がり部分では波長が平均値よりも短く
なり立下り部分では長くなる。即ち、一つの光パルスに
おいて波長が時間(t)と共に短波長(高周波数)から
長波長(低周波数)へシフトする。この現象はダウンチ
ャープ又はレッドシフトと称される。
【0044】一方、他の安定点Vb2の近傍の領域74
を使用して、図4の(B)の右側に示されるような負の
電圧パルスを与えると、領域74においては印加電圧
(V)の増大に従って光パワー(P)が減少することか
ら、図4の(C)の右側に示されるように、電圧パルス
とは逆極性で光パルスが出力される。このとき、図4の
(D)の右側に示されるように、光パルスの立上がり部
分では波長は長波長側にシフトし、立下り部分では短波
長側にシフトする。即ち、一つの光パルスにおいて波長
が時間(t)と共に長波長(低周波数)から短波長(高
周波数)へシフトする。この現象はアップチャープ或い
はブルーシフトと称される。
【0045】光パルスのチャープパラメータαは、 α=2(dΦ/dt)(dS/dt)/S で与えられる。ここで、Φは光位相、Sは光強度であ
る。
【0046】ダウンチャープの場合、チャープパラメー
タαは正の値を取り、アップチャープの場合、チャープ
パラメータαは負の値を取る。
【0047】光信号の波長が伝送路として使用される光
ファイバのゼロ分散波長よりも短くて正常分散の領域に
あるとき、長波長の光は短波長の光よりも光ファイバ中
を速く進むので、予め、0<α(ダウンチャープ)のプ
リチャーピングを与えておくことによりパルスの圧縮が
生じる。逆に、異常分散の領域にあるときには、短波長
の光は長波長の光よりも光ファイバ中を速く進むので、
予め、α<0(アップチャープ)のプリチャーピングを
与えておくことによりパルスの圧縮が生じる。
【0048】図2の実施形態では、チャープパラメータ
設定回路60が安定点Vb1及びVb2を切り替えるこ
とによって、チャープパラメータαの正負が切換えられ
る。
【0049】より特定的には、発振器54から重畳回路
46に供給される低周波信号の極性を反転させるため
に、符号反転回路64が設けられている。符号反転回路
64によって低周波信号の極性が切換えられると、重畳
回路46に供給される低周波信号の位相が逆転し、その
結果、フォトディテクタ56を含むフィードバックルー
プにおける制御の方向が逆になる。これにより、切換え
前の安定点が図4の(A)におけるVb1であるとすれ
ば、切り替え後の安定点はVb2となる。その結果、チ
ャープパラメータαの正負が逆転する。このようにし
て、ダウンチャープ及びアップチャープを選択すること
ができる。
【0050】この場合、元の安定点Vb1においては、
印加電圧の増大に従って光パワーが増大するが、切換え
後の安定点Vb2においては、印加電圧の増大に従って
光パワーが減少する。そこで、変調信号MSにおけるハ
イレベル及びローレベルと、MZ変調器22から出力さ
れる光信号におけるハイレベル及びローレベルとの間の
関係を同一に保つために、変調信号MSのための符号反
転回路62が設けられているのである。
【0051】図5は図1に示される利得飽和光アンプ6
の特性の例を示すグラフである。入力パワーPS-inに対
する出力パワーPS-outの変化が示されている。入力パ
ワーの閾値PS0までは、出力パワーPS-outは入力パワ
ーPS-inに比例し、入力パワーが閾値PS0に等しくなる
かそれよりも大きくなると、出力パワーはPsatで一定
となる。
【0052】従って、図1に示されるシステムにおいて
利得飽和光アンプ6に供給される光信号のピークパワー
をPS0よりも大きな値に設定することによって、パルス
のトップを平坦化して光信号を波形整形することができ
る。一般に、時間軸上で圧縮されたパルスのピーク付近
には最も高速の変調成分が含まれ易い。従って、利得飽
和光アンプ6を用いた波形整形により、信号スペクトル
の狭窄化が可能である。分散による波形歪みは、スペク
トル広がり(ビットレート)の二乗に比例して厳しくな
るので、スペクトルの狭窄化を行うことにより波形歪み
を低減し、伝送距離を拡大することができる。
【0053】利得飽和光アンプ6に光信号が供給される
と、その光信号のパルスのピーク付近では立上り及び立
下り付近に比べてフォトン数が多くなるため利得飽和が
強くなる。この現象を用いると、圧縮された光信号のよ
うに振幅揺らぎを持ったパルスのピーク付近の振幅揺ら
ぎを抑圧することができる。利得飽和状態にない光半導
体等の光アンプにおいては、吸収回復時間或いはキャリ
ア密度変動の速度制限(通常数GHz)のために入力光
信号の速度が制限され、制限速度よりも高速の信号に対
しては波形歪みが付加される。これに対して、利得飽和
状態にある光アンプにおいては、誘導放出によって過剰
なキャリアを活性層で再結合させるため、吸収回復時間
を短縮化することが可能である。十分な飽和状態におい
ては、数十ps以下の高速応答となるから、数十ps程
度或いはそれ以下の短パルス或いは数十から100Gb
/s程度の超高速信号に対しても波形整形が可能であ
る。
【0054】このように、本発明によると、飽和利得を
有する光デバイスを用いて信号光のビットレートやパル
ス形状等に依存しない簡易な全光波形整形器を提供する
ことができる。また、その波形整形作用と光ファイバ伝
送路における光信号の時間軸上での圧縮とを組み合わせ
ることにより、伝送可能距離を拡大することができる。
【0055】図1に示されるシステムにおいて、伝送距
離の拡大が可能になるのは次のように解釈することがで
きる。即ち、本発明が適用されない場合に第2の光ファ
イバ8のある長さ(或いはある分散)が伝送限界を与え
ていたとすると、本発明を適用して利得飽和光アンプ6
を用いて波形整形を行うことによって、波形整形された
光信号の波形及びスペクトルを送信時の波形及びスペク
トルに近づけることができ、第1の光ファイバ4の長さ
(あるいは分散)分だけ伝送限界を拡大することが可能
である。従って、分散に対するトレランスを第1の光フ
ァイバ4内の分散分だけ大きくすることができることに
なる。分散補償が適用されるシステムにおいては、信号
の高速化に伴って分散補償の精度に対する要求が高まっ
ている。これは、分散に対するトレランスがビットレー
トの二乗に比例して厳しくなるからである。本発明によ
ると、こうした分散トレランスを拡大することができ、
システム全体の分散に対するマージンを拡大して、ひい
てはシステムのコストダウンが可能になる。
【0056】図6は本発明による光デバイスの実施形態
を示すブロック図である。この光デバイスは図1に示さ
れるシステムにおいて利得飽和光アンプ6として用いる
ことができる。この光デバイスは半導体光増幅器(SO
A)66を備えている。光ファイバを伝搬するのに従っ
て時間軸上で圧縮された光信号が、符号68で示される
ように、半導体光増幅器66に供給される。
【0057】半導体光増幅器66は、入力パワーが増大
するのに従って飽和する利得を供給された光信号に与え
るように、駆動回路70によって駆動電流を与えられて
いる。それにより、供給された光信号の波長がλSであ
る場合には、同じく波長λSの波形整形された光信号
が、符号72で示されるように、半導体光増幅器66か
ら出力される。
【0058】但し、半導体光増幅器66は自然放出光
(ASE)雑音を放出し、信号のオフレベルにおいて
は、このASE雑音が主に増幅されるため、特にオフレ
ベルにおいて雑音による劣化が顕著になることがある。
そこでこの実施形態では、供給される光信号の波長λS
と異なる波長λAを有するアシスト光を半導体光増幅器
66に供給するために、光源74が設けられている。こ
れにより、信号のオフレベルにおいても半導体光増幅器
66ではアシスト光の増幅に殆どの利得が費やされるた
め、雑音による劣化を小さく抑えることが可能になる。
【0059】図7は本発明による光デバイスの他の実施
形態を示すブロック図である。この光デバイスは図1に
示されるシステムにおいて利得飽和光アンプ6として用
いることができる。この光デバイスは、レーザ発振可能
な波長の範囲として定義される阻止帯域(ストップバン
ド)を有する分布帰還(DFB)レーザとしてのDFB
レーザダイオード(DFB−LD)76を備えている。
阻止帯域の幅は例えば0.5乃至1.0nmである。D
FB−LD76は、阻止帯域に含まれる波長λ 0でレー
ザ発振するように、駆動回路78によって駆動電流を与
えられている。発振の結果得られた発振レーザ光は、符
号80で示されるように、DFB−LD76から出力さ
れる。発振レーザ光は一般的には連続波(CW)光であ
る。
【0060】発振状態にあるDFB−LD76は、クラ
ンプされた一定の利得を発振レーザ光に関して有してい
る。この発振状態にあるDFB−LD76に、阻止帯域
に含まれない波長λSを有する光信号が、符号82で示
されるように供給される。供給された光信号はDFB−
LD76内で波形整形され、その結果得られた光信号が
符号84で示されるようにDFB−LD76から出力さ
れる。出力光信号は波長λSを有している。
【0061】DFB−LD76の駆動は、図示されたよ
うに駆動回路78を用いてDFB−LD76に一定の駆
動電流(バイアス電流)を供給することにより行い得る
が、本発明はこれに限定されず、光ポンピング等の他の
方法によりDFBレーザが駆動されても良い。
【0062】DFB−LD76が電流駆動される場合、
その駆動電流を一定値に設定すれば、レーザ発振及び信
号増幅に寄与するキャリア総数は一定であり、DFB−
LD76から出力される総フォトン数も一定となる。従
って、光パルスとして与えられる光信号を入射すると、
パルスのピーク付近では立上り及び立下り付近に比べて
フォトン数が多くなるため、利得飽和が強くなるという
効果が生じる。この効果を用いると、振幅揺らぎを持っ
た光信号のパルスのピーク付近の振幅揺らぎを抑圧する
ことができ、波形整形を行うことができる。
【0063】このように、本発明のある側面によると、
出力飽和特性或いは飽和利得を有するDFBレーザが用
いられ、その特性に基き、波形整形して得られた光信号
がDFBレーザから出力される。
【0064】本発明によると、カスケード接続された複
数の光増幅器を用いた多段中継伝送システム等におい
て、ASEの累積による振幅雑音の累積を抑圧すること
も可能である。ASEの累積による波形劣化は、主に信
号/ASEビート雑音によるものであり、波形劣化は信
号パルスのピーク付近で最も顕著となる。従って、本発
明を適用することとなり、このような波形劣化を有効に
補償することができる。
【0065】図7に示される実施形態のようにDFBレ
ーザを用いた場合に、図5に示される特性において、一
定の飽和出力パワーPsatが得られる理由は、入力パワ
ーPs -inが閾値PS0に達するとレーザ発振が停止し、そ
れよりも大きな入力パワーでは利得が飽和して出力パワ
ーが一定になるところにある。従って、光信号がハイレ
ベル及びローレベルを有する光パルスによって与えられ
ている場合には、例えば、ローレベルをゼロレベルに設
定し、且つ、ハイレベルを閾値PS0よりも大きな値に設
定することによって、光信号のハイレベルでの振幅揺ら
ぎはDFBレーザ内で有効に抑圧され得る。
【0066】このように本発明のある側面によると、光
信号のハイレベルでの振幅揺らぎがDFBレーザ(或い
は利得飽和光アンプ)内で抑圧されるように、光信号の
パワーが調節される。しかし、本発明はこれに限定され
ず、光信号のハイレベルが閾値PS0よりも小さな値に設
定されても良い。なぜならば、DFBレーザの動的特性
等によっては、閾値よりも小さな入力パワーに対しても
出力パワーが飽和する傾向にある場合があるからであ
る。
【0067】図7に示される実施形態では、圧縮された
光信号をDFB−LD76に供給するために、第1の光
ファイバ4(図1参照)の出力端とDFB−LD76の
第一端とを光学的に結合するための図示しないレンズを
使用し得る。また、DFB−LD76から出力された光
信号を第2の光ファイバ8に効率良く導入するために、
第2の光ファイバ8の入力端とDFB−LD76の第2
端とを光学的に結合する図示しないレンズが使用され得
る。各レンズは各ファイバの先端を加熱することにより
各ファイバと一体に形成され得る。
【0068】DFB−LD76の阻止帯域は、レーザ発
振可能な波長の範囲として定義されるので、発振レーザ
光の波長λ0は阻止帯域に含まれている。供給されるべ
き光信号の波長λSは阻止帯域に含まれないことのみに
よって限定される。
【0069】図7に示される光デバイスは、アシスト光
をDFB−LD76に供給する光源86を付加的に備え
ている。アシスト光はDFB−LD76の阻止帯域に含
まれない波長λAを有している。波長λAは光信号の波長
λSに一致するか否かによって限定されないが、後段で
の信号処理を考慮すると、波長λAはλSと異なることが
望ましい。
【0070】アシスト光を用いることにより、特に光信
号のローレベルにおいて過剰なノイズの増加を抑えるこ
とができ、又、光信号のローレベルが連続する場合に不
所望なレーザ発振を防止して光デバイスの動作が安定に
なる、という技術的効果が生じる。アシスト光が用いら
れていない場合、光信号のローレベルに累積するAES
−ASEビート雑音や伝送波形歪みによるローレベルの
乱れを効果的に抑圧することができないことがある。ま
た、光信号のハイレベル及びローレベルの変化に伴って
DFB−LD76の発振状態と発振停止状態とが繰り返
されるので、光デバイスの動作が不安定になることがあ
る。
【0071】この実施形態では、アシスト光は一定のパ
ワーを有している。従って、光信号のローレベルにおい
ても一定のパワーのアシスト光がDFB−LD76に供
給されることとなり、上述した技術的効果が得られるも
のである。アシスト光のパワーは、例えば光信号のロー
レベルでの雑音の増加を抑圧するように調節される。
【0072】図6及び図7に示される実施形態の各々に
おいては、アシスト光が光信号と同じ向きに伝搬するよ
うに光源74及び86が設けられているが、アシスト光
が光信号と逆向きに伝搬するように光源74及び86の
光学的な接続が変更されても良い。
【0073】図6及び図7に示される実施形態の各々に
おいては、波形整形された光信号を抽出するために、波
長λSを含む通過帯域を有する光バンドパスフィルタを
用いるのが望ましい。これにより、図6に示される実施
形態では光信号をアシスト光と容易に分けることがで
き、又、図7に示される実施形態では光信号をアシスト
光及び発振レーザ光と容易に分けることができる。又、
必要に応じて光アンプ及び光アイソレータ等の付加的な
光デバイスを設けてもよい。
【0074】尚、DFBレーザを用いた波形整形に関す
る付加的な詳細については特願平11−133576号
に記載されている。
【0075】図8は本発明によるシステムの第2実施形
態を示すブロック図である。このシステムは、図1に示
される第1実施形態と対比して、第1の光ファイバ4の
分散を補償する分散補償器88が第1の光ファイバ4に
沿って付加的に設けられている点で特徴付けられる。第
1の光ファイバ4での伝送中に分散により歪んだ波形
は、分散補償器88により補償される。このとき、第1
の光ファイバ1及び分散補償器88の分散と、送信機2
から出力される光信号に与えられるプリチャーピング、
光パワー及び分散補償量を適切に設定して、利得飽和光
アンプ6に供給される光信号が時間軸上で圧縮されるよ
うにする。そして、利得飽和光アンプ6により波形整形
を行った後、第2の光ファイバ8により光信号を受信機
10まで伝送する。
【0076】通常、高い光SNRを確保するためには、
できるだけ高いパワーで伝送するのが望ましいが、こう
すると非線形効果によりスペクトルが広がり、分散によ
り波形歪みが大きくなる。しかしながら、異常分散とア
ップチャープとの組み合わせの場合のようにパルス圧縮
を与えることにより、波形歪みを少なくして、光SNR
を高くすることができる。この場合、パルス圧縮を受け
た信号は帯域が拡大しているため、更に伝送をするため
の波形歪みが特に著しくなるが、本発明に従って最も高
速変調成分の多いパルスのトップ部分を平坦化すること
によりスペクトルを狭め、第2の光ファイバ8における
伝送波形歪みをより小さく抑えることにより、伝送距離
を拡大することができる。また、分散補償を光アンプに
よる多段中継伝送に適用した長距離伝送においては、信
号光と光アンプのASE雑音光とのビート雑音が伝送距
離の制限要因となるが、本発明によればこのビート雑音
を抑圧でき、更に伝送距離の拡大が可能となる。
【0077】図示はしないが、第2の光ファイバ8の分
散を補償する分散補償器を第2の光ファイバ8に沿って
設けることによって、更なる伝送距離の拡大が可能にな
る。
【0078】図9は本発明によるシステムの第3実施形
態を示すブロック図である。このシステムは、図1に示
される第1実施形態と対比して、送信機2から出力され
る光信号に与えられるプリチャーピング、光パワー、フ
ァイバの分散値及び位相共役器90を設置する位置を適
切に設定して、利得飽和光アンプ6に供給される光信号
が時間軸上で圧縮されるようにしている点で特徴付けら
れる。光位相共役器90は例えば第1の光ファイバ4の
分散が実質的に等分される点の近傍に設けられる。
【0079】光位相共役器90は、例えば、非線形光学
媒質と、非線形光学媒質において非縮退型の四光波混合
により光信号が位相共役変換(波長変換)されるように
ポンプ光を非線形光学媒質に供給するポンプ源とから構
成することができる。非線形光学媒質として光ファイバ
が用いられる場合には、その光ファイバのゼロ分散波長
にポンプ光の波長を一致させておくことによって、位相
整合条件が満たされ易くなり、高い変換効率及び広い変
換帯域を得ることができる。
【0080】光位相共役器90を採用したことにより、
第1の光ファイバ4において生じる伝送路分散による位
相変化を補償することができることに加えて、光信号の
高いパワー等に起因する第1の光ファイバ4内における
非線形効果も補償可能である。従って、本発明による効
果と相俟って、伝送距離を拡大することができる。ま
た、光位相共役による波形歪補償を光アンプによる多段
中継伝送に適用した長距離伝送においては、信号光と光
アンプのASE雑音光とのビート雑音が伝送距離の制限
要因となるが、本発明によればこのビート雑音を抑圧で
き、更に伝送距離の拡大が可能となる。
【0081】図示はしないが、第2の光ファイバ8の分
散が実質的に等分される点の近傍に光位相共役器を付加
的に設けても良い。この場合、第2の光ファイバ8にお
ける伝送波形歪みをより小さく抑えることができ、伝送
距離を更に拡大することができる。
【0082】図10は本発明によるシステムの第4実施
形態を示すブロック図である。このシステムは、図1に
示される第1実施形態と対比して、第1及び第2の光フ
ァイバ4及び8の各々に沿って少なくとも一つの光アン
プ92が付加的に設けられている点で特徴付けられる。
このような多中継伝送システムにおいては、前述したよ
うに、本発明を適用することによって、ASEの累積に
よる振幅雑音の累積を抑圧することができる。また、第
1の光ファイバ4に沿って設けられる光アンプ92の利
得を調節することによって、利得飽和光アンプ6に供給
される圧縮された光信号のピークパワーを光アンプ6に
おいて飽和利得を与えるパワーの閾値よりも高く設定す
るのが容易である。
【0083】以上説明した本発明によるシステムの実施
形態では、利得飽和光アンプ6は送信機2と受信機10
とを結ぶ光ファイバ伝送路の途中に設けられている。従
って、利得飽和光アンプ6は、全光2R再生中継器或い
は全光3R再生中継器の波形整形セクションとして用い
ることができる。図示はしないが、第2の光ファイバ8
を省略して、利得飽和光アンプ6を受信機内に設けても
良い。
【0084】本発明はWDM(波長分割多重)と組み合
わせて実施しても良い。例えば、図1に示されるシステ
ムにおいては、利得飽和光アンプ6により全チャネルを
一括して補償することができる場合には、図1に示され
るシステムをそのままWDMに適用することができる。
WDMのチャネル間クロストーク等の影響により1台の
利得飽和光アンプ6で全チャネルを一括して補償するこ
とができない場合には、第1の光ファイバ4により伝送
されたWDM信号光を例えば光デマルチプレクサを用い
てチャネルごとに或いは適当な数の複数のチャネルごと
に分岐した後、複数の利得飽和光アンプを用いて各チャ
ネルごとに或いは適当な数の各複数のチャネルごとに波
形整形を行ってその後光マルチプレクサを用いて合流し
て第2の光ファイバ8により伝送するようにすれば良
い。
【0085】続いて、本発明の実証実験について図11
乃至図14により説明する。
【0086】図11は実証実験に用いたシステムのブロ
ック図である。波長1558nmの信号光(Signa
l)を電界吸収(EA)型変調器(EA mod.)を
用いて10GHzの正弦波で強度変調し、更にLN変調
器(LN mod.)を用いて10Gb/sのランダム
信号(PN:223-1)で変調した。生成されたパルスは
幅約30psのRZパルスであった。
【0087】このRZ変調パルスを長さ20km、分散
約+16ps/nm/kmの単一モードファイバ(Fi
ber−1)で伝送後、波長1540nmのアシスト光
(Assist)と合波した後、利得飽和光アンプ或い
は利得クランプト光アンプとしてのDFB−LDに入力
した。このとき、DFB−LDに入力したアシスト光の
パワーは約15mWであった。DFB−LDの駆動電流
は400mAであり、発振波長は1550nm、発振パ
ワーは約40nWであった。DFB−LDから出力した
信号光は、Fiber−1と同じ分散を持ち、長さLの
単一モードファイバ(Fiber−2)で伝送した後、
受信機(Receiver)により受信した。
【0088】図12は実験で用いられたDFB−LDの
入力パワーPSinに対する出力パワーPSoutの変化の測
定結果を示すグラフである。この測定では、変調されて
いない信号光を用いた。入力が約8mW以上で出力パワ
ーが飽和していることがわかる。
【0089】次に、変調されたRZパルスに対して、そ
のピークパワーが上述の測定された閾値8mWを十分超
えるように設定を行って、伝送実験を行った。波形の変
化の様子を図13の(A)〜(E)に示す。(A)はオ
リジナルの波形、(B)はDFB−LDの入力波形、
(C)はDFB−LDの出力波形、(D)はDFB−L
Dによる波形整形を行わなかった場合におけるL=40
kmでの受信波形、(E)はDFB−LDによる波形整
形を行った場合におけるL=40kmでの受信波形であ
る。DFB−LDを用いた波形整形により、パルスのピ
ーク付近が若干縦方向に潰されており、40km伝送に
おける波形整形による波形の劣化抑制の効果が顕著に見
られた。DFB−LDを通さない場合には、分散と非線
形効果により著しく波形が歪んでいるが(D)、DFB
−LDを通すことにより、その歪みが抑圧されているの
が明白である(E)。
【0090】図14に伝送距離に対するパワーペナルテ
ィ(BER=10-9)の変化の様子を示す。DFB−L
Dを用いることにより、伝送距離が15乃至20km拡
大していることがわかる。即ち、本発明による方法によ
り、分散補償無しにDFB−LDを設けた点の前20k
m分伝送距離を拡大可能であることが確認された。
【0091】本発明の方法による効果はビットレートや
パルス形状に依存しない。実際、この実験で用いた30
psのRZパルスは30Gb/s以上のビットレートに
相当するものであり、十分高速伝送に適用可能であるこ
とが明らかである。本発明は簡易な方法でありながら、
伝送距離を(分散補償無しに)拡大可能である。また、
システムの分散に対するトレランスを拡大可能であり、
特に高ビットレートにおいて大きな問題となる分散補償
の厳しい設定精度を緩和可能である。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
伝送可能距離を拡大することができる光ファイバ伝送の
ための方法の提供が可能になるという効果が生じる。ま
た、そのような方法に適用可能な新規な光デバイス及び
システムの提供が可能になるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明によるシステムの第1実施形態を
示すブロック図である。
【図2】図2は本発明によるシステムに適用可能な送信
機の実施形態を示すブロック図である。
【図3】図3は動作点安定化の原理を説明するための図
である。
【図4】図4の(A)〜(D)はチャープパラメータの
切り替えを説明するための図である。
【図5】図5は利得飽和光アンプの特性の例を示すグラ
フである。
【図6】図6は本発明による光デバイスの実施形態を示
すブロック図である。
【図7】図7は本発明による光デバイスの他の実施形態
を示すブロック図である。
【図8】図8は本発明によるシステムの第2実施形態を
示すブロック図である。
【図9】図9は本発明によるシステムの第3実施形態を
示すブロック図である。
【図10】図10は本発明によるシステムの第4実施形
態を示すブロック図である。
【図11】図11は実証実験に用いたシステムのブロッ
ク図である。
【図12】図12は実験で用いたDFB−LDの特性を
示すグラフである。
【図13】図13の(A)〜(E)は実験結果を示す波
形図である。
【図14】図14は実験におけるパワーペナルティの改
善を示すグラフである。
【符号の説明】
2 送信機 4 第1の光ファイバ 6 利得飽和光アンプ 8 第2の光ファイバ 10 受信機

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 分散を有する第1の光ファイバ
    を提供するステップと、 (b) 上記第1の光ファイバに光信号を供給し、上記
    光信号が上記第1の光ファイバを伝搬するのに従って時
    間軸上で圧縮されるようにするステップと、 (c) 上記第1の光ファイバから出力された圧縮され
    た光信号を飽和利得を有する光デバイスに供給するステ
    ップとを備えた方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、 上記光デバイスから出力された光信号を第2の光ファイ
    バに供給するステップを更に備えた方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法であって、 上記第1の光ファイバに沿って少なくとも一つの光増幅
    器を設けるステップと、 上記圧縮された光信号のピークパワーが上記飽和利得を
    与えるパワーの閾値よりも高くなるように調節するステ
    ップとを更に備えた方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、 上記第1の光ファイバの分散は正常分散であり、 上記ステップ(b)は上記光信号がダウンチャープを有
    するようにプリチャーピングを施すステップを含む方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、 上記第1の光ファイバの分散は異常分散であり、 上記ステップ(b)は上記光信号がアップチャープを有
    するようにプリチャーピングを施すステップを含む方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法であって、 上記ステップ(b)は上記第1の光ファイバの分散及び
    上記光信号のパワーを適切に設定するステップを含む方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の方法であって、 上記第1の光ファイバの分散を補償する分散補償器を上
    記第1の光ファイバに沿って設けるステップを更に備え
    た方法。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の方法であって、 上記第2の光ファイバの分散を補償する分散補償器を上
    記第2の光ファイバに沿って設けるステップを更に備え
    た方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の方法であって、 上記第1の光ファイバの分散が実質的に等分される点の
    近傍に光位相共役器を設けるステップを更に備えた方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項2に記載の方法であって、 上記第2の光ファイバの分散が実質的に等分される点の
    近傍に光位相共役器を設けるステップを更に備えた方
    法。
  11. 【請求項11】 光ファイバを伝搬するのに従って時間
    軸上で圧縮された光信号が供給される光デバイスであっ
    て、 入力パワーが増大するのに従って飽和する利得を上記光
    信号に与える半導体光増幅器を備えた光デバイス。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の光デバイスであっ
    て、 上記光信号の波長と異なる波長を有するアシスト光を上
    記半導体光増幅器に供給する光源を更に備えた光デバイ
    ス。
  13. 【請求項13】 光ファイバを伝搬するのに従って時間
    軸上で圧縮された光信号が供給される光デバイスであっ
    て、 分布帰還(DFB)レーザと、 上記DFBレーザが第1の波長で発振するように上記D
    FBレーザに電流を供給する回路とを備え、 上記光信号は上記第1の波長と異なる第2の波長を有
    し、それにより上記DFBレーザは入力パワーが増大す
    るのに従って飽和する利得を上記光信号に与える光デバ
    イス。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の光デバイスであっ
    て、 上記第1の波長と異なる第3の波長を有するアシスト光
    を上記DFBレーザに供給する光源を更に備えた光デバ
    イス。
  15. 【請求項15】 光信号を出力する光送信機と、 上記光信号が伝搬するのに従って時間軸上で圧縮される
    ように設けられた第1の光ファイバと、 上記第1の光ファイバから出力された圧縮された光信号
    が供給される飽和利得を有する光デバイスとを備えたシ
    ステム。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記光デバイスから出力された光信号が供給される第2
    の光ファイバを更に備えたシステム。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記光デバイスは入力パワーが増大するのに従って飽和
    する利得を上記光信号に与える半導体光増幅器を備えて
    いるシステム。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のシステムであっ
    て、 上記光デバイスは上記光信号の波長と異なる波長を有す
    るアシスト光を上記半導体光増幅器に供給する光源を更
    に備えているシステム。
  19. 【請求項19】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記光デバイスは、分布帰還(DFB)レーザと、上記
    DFBレーザが第1の波長で発振するように上記DFB
    レーザに電流を供給する回路とを備えており、 上記光信号は上記第1の波長と異なる第2の波長を有
    し、それにより上記DFBレーザは入力パワーが増大す
    るのに従って飽和する利得を上記光信号に与えるシステ
    ム。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のシステムであっ
    て、 上記光デバイスは上記第1の波長と異なる第3の波長を
    有するアシスト光を上記DFBレーザに供給する光源を
    更に備えているシステム。
  21. 【請求項21】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記第1の光ファイバに沿って設けられた少なくとも一
    つの光増幅器を更に備え、 上記圧縮された光信号のピークパワーは上記飽和利得を
    与えるパワーの閾値よりも高くなるように設定されるシ
    ステム。
  22. 【請求項22】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記第1の光ファイバは正常分散を有し、 上記光送信機は上記光信号がダウンチャープを有するよ
    うにプリチャーピングを施す手段を含むシステム。
  23. 【請求項23】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記第1の光ファイバは異常分散を有し、 上記光送信機は上記光信号がアップチャープを有するよ
    うにプリチャーピングを施す手段を含むシステム。
  24. 【請求項24】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記第1の光ファイバに沿って設けられ上記第1の光フ
    ァイバの分散を補償する分散補償器を更に備えたシステ
    ム。
  25. 【請求項25】 請求項16に記載のシステムであっ
    て、 上記第2の光ファイバに沿って設けられ上記第2の光フ
    ァイバの分散を補償する分散補償器を更に備えたシステ
    ム。
  26. 【請求項26】 請求項15に記載のシステムであっ
    て、 上記第1の光ファイバの分散が実質的に等分される点の
    近傍に設けられた光位相共役器を更に備えたシステム。
  27. 【請求項27】 請求項16に記載のシステムであっ
    て、 上記第2の光ファイバの分散が実質的に等分される点の
    近傍に設けられた光位相共役器を更に備えたシステム。
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