JP2001066267A - Xafs測定装置 - Google Patents

Xafs測定装置

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JP2001066267A
JP2001066267A JP24320899A JP24320899A JP2001066267A JP 2001066267 A JP2001066267 A JP 2001066267A JP 24320899 A JP24320899 A JP 24320899A JP 24320899 A JP24320899 A JP 24320899A JP 2001066267 A JP2001066267 A JP 2001066267A
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rays
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JP24320899A
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Hisashi Yashiro
恒 屋代
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 XAFS測定において試料に供給する連続X
線を滑らかにすることを非常に簡単な作業だけで行うこ
とができるようにする。また、試料に供給する連続X線
を滑らかに保持した状態で、極めて短時間でXAFS測
定を行うことができるようにする。 【解決手段】 X線源Fから発散するX線を分光結晶2
で分光して試料Sへ照射しながら、入射X線強度I0及
び透過X線強度Iを測定して質量吸収係数を演算するX
AFS測定装置である。縦方向のスリット幅を連続して
変化させることができる縦可変スリット14を、X線源
Fから試料Sへ至るX線光路上に設け、入射X線強度I
0に応じて縦可変スリット14の縦スリット幅を調節す
ることにより、試料Sへ入射するX線強度を入射X線強
度I0に応じて調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料に関するX線
吸収線図に現れる吸収係数の振動構造、例えばEXAF
S及びXANESを測定するためのXAFS測定装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、試料に照射するX線のエネルギ
を徐々に変えてゆき、その各々のエネルギについて試料
に入射するX線の強度(I0)と試料を透過したX線の
強度(I)との比(I0/I)を求め、それらに基づい
て質量吸収係数μ=log e(I0/I)を算出し
て、それをグラフ上にプロットすると、図5に示すよう
なX線吸収線図が得られる。
【0003】このX線吸収線図において、吸収端Aの近
傍、例えばA±50eV程度の狭い領域に現れる吸収端
微細構造は、通常、XANES(ゼーネス:X-Ray Abso
rption Near Edge Structure)と呼ばれている。また、
XANESよりも高いエネルギ側へ1000eV程度の
広い領域に現れるX線強度比の振動構造、すなわち吸収
係数の振動構造は、EXAFS(イグザフス:Extended
X-Ray Absorption Fine Structure)と呼ばれている。
【0004】これらのXANES及びEXAFSには、
X線吸収原子とそのまわりの原子との間の結合状態、分
子の立体構造、原子間距離、あるいは原子配位等に関す
る情報が含まれている。よって、未知試料について図5
に示すようなX線吸収線図を求めれば、それに基づいて
その未知試料の構造解析を行うことができる。本発明に
係るXAFS測定装置は、そのようなXANES及びE
XAFSに基づいて試料の構造解析を行うものである。
【0005】従来のXAFS測定装置では、一般に、図
7に示すように、直径が一定不変である仮想の集中円C
0の上に、X線源F、湾曲分光結晶52及び受光スリッ
ト51を配設する。そして、X線源Fから放射されて発
散する連続X線を湾曲分光結晶52で単色X線に分光し
て試料Sに入射させ、そのX線の透過率をX線のエネル
ギ量すなわち波長との対応で測定する。
【0006】試料Sに入射するX線のエネルギを変化さ
せるため、湾曲分光結晶52を集中円C0に沿って移動
させることにより、その湾曲分光結晶52に入射するX
線の入射角度θをθ1、θ2、… … のように変化さ
せる。そして、そのように時々刻々エネルギ量が変化す
るX線を試料Sに照射することによって図5に示すX線
吸収線図を得る。
【0007】このXAFS測定装置によって信頼性の高
い測定データを得るためには、試料に入射するX線I0
が、例えば図6に符号L0で示すように、滑らかな連続
X線であることが必要である。このような滑らかな入射
連続X線を得るため、従来、X線源Fに関して次のよう
な工夫が加えられることがあった。
【0008】X線源Fは、一般に、フィラメントとター
ゲットとの組み合わせによって構成される。また、フィ
ラメントとしてLaB6 (ランタンヘキサボライド)を
用い、ターゲットとしてMo(モリブデン)を用いる組
み合わせや、フィラメント及びターゲットの両方をW
(タングステン)を用いて構成することが知られてい
る。
【0009】Wの特性X線は7KeV〜12KeVにか
けて存在し、Fe、Ni、Cu等の元素の測定点がこの
中に含まれるため、フィラメント及びターゲットの両方
をWによって構成した場合には、Fe、Ni、Cu等の
元素に関して満足できるデータを得ることは困難であ
る。
【0010】同様に、La(ランタン)の特性X線は、
Ti(チタン)、Cr(クロム)、V(バナジウム)等
といった元素の測定点と重なるので、これらの元素に関
する測定に用いるのは好ましくない。また、Moの特性
X線は、Y(イットリウム)、Nb(ニオブ)、Mo等
といった元素の測定点と重なるので、これらの元素に関
する測定に用いるのは好ましくない。なお、B(ホウ
素)の特性X線は実験室系でのXAFSスペクトル測定
の領域外にあるため問題とはならない。
【0011】以上のことから、従来は、フィラメント及
びターゲットを構成する物質すなわち元素の特性X線の
影響を受けないようにするため、各測定元素に対応させ
てフィラメント及びターゲットの組み合わせを変えてい
た。例えば、Feを測定する場合にはLaB6 とMoの
組み合わせを用い、Tiを測定する場合にはWとWの組
み合わせを用いてX線を発生させて測定を行っていた。
【0012】しかしながら、フィラメントは小さくて壊
れやすく、ターゲットはその重量が大きいので、それら
を交換することは非常に面倒であった。また、フィラメ
ント及びターゲットを別のものと交換した場合には、そ
の交換後、測定可能な通常状態まで戻すのに約1日を要
するので、この面からもフィラメント及びターゲットの
交換作業は面倒であった。
【0013】さらに、上記のようにフィラメント及びタ
ーゲットの構成物質を測定元素に対応して選択するとい
う方策を採ったとしても、X線源すなわち管球部を形成
する物質がコンタミネーションとしてターゲットに付着
し、この物質すなわち元素による特性X線がXAFSス
ペクトルを歪ませるという問題が考えられる。
【0014】例えば、管球部にはその構成物質としてス
テンレスが含まれることがあり、このステンレスに含ま
れる元素であるFe、Ni、Crがコンタミネーション
としてターゲットに付着すると、図8に符号Eで示すよ
うに、それぞれの元素の特性X線に起因して、試料に入
射する連続X線に不要なピーク波形が生じてXAFSス
ペクトルを歪ませる。
【0015】上記のような、コンタミネーションに起因
する問題を解消するため、ターゲットをサンドペーパー
等で研磨する方法が知られているが、ターゲットはその
重量が大きいのでその研磨作業は非常に困難であった。
また、研磨終了後のターゲットを測定可能な通常状態ま
で戻すのに約1日の復旧期間を要するので、この面から
も、ターゲットの研磨によるコンタミネーションの解消
法はその実施が面倒であった。
【0016】試料に入射する連続X線を滑らかにするた
めの他の従来方法として、管電流制御方法が知られてい
る。これは、XAFS測定の測定範囲の全領域にわたっ
て試料に入射する連続X線の強度を測定開始点での強度
と同じになるように、管電流すなわちフィラメントに供
給する電流を制御するという方法である。例えば、図8
に示すように、管電流制御をしない場合に不要なピーク
波形を有する強度分布Bを強度一定な分布Cへと制御す
る方法である。
【0017】しかしながら、この管電流制御法に関して
は、測定領域の全域で管電流を制御する可能性があるた
めに測定時間が非常に長くなるという問題があった。ま
た、、管電流を変化させるとターゲット上のX線焦点位
置がずれて測定結果が不安定になるという問題もあっ
た。このようなX線焦点のずれは、管電流の変化により
ターゲットの熱膨張量が変化することが1つの原因であ
ると考えられる。
【0018】さらに、管電流制御法を用いれば、試料に
入射する連続X線に極端なピーク波形が生じることは回
避できるのではあるが、管電流制御を受けるフィラメン
トを含むX線発生装置の動作が不安定になるため、試料
に入射するX線強度にふらつきが発生するという問題が
あった。
【0019】一般に、特性X線は強度が強いのでこれを
管電流によって制御する場合にはその管電流を大幅に下
げる必要が生じる。このことに関し、通常のX線測定の
場合の管電圧が40〜60kVであるのに比べてXAF
S測定の場合の管電圧は5〜40kVとかなり低いの
で、上記のように管電流を大幅に下げるときには、XA
FS測定の場合の方が制御が不安定になる程度が大き
い。
【0020】試料に入射する連続X線を滑らかにするた
めの、さらに他の従来方法として、検出器を補正する方
法も知られている。この方法について簡単に説明すれ
ば、次の通りである。XAFSスペクトルの測定は、試
料に入射する前のX線強度I0と試料を透過した後のX
線強度Iとを同時に異なる検出器で測定することが多
い。例えば、I0強度は半透過型のプロポーショナルカ
ウンタで検出し、I強度はシンチレーションカウンタで
検出する。
【0021】I0強度とI強度は同時に測定されるの
で、それらのI0強度及びI強度に不要な特性線が存在
しても、理論的には、I0/Iによって求められる質量
吸収係数としては適正な値を得ることができると考えら
れる。しかしながら、実際問題としては、強い特性X線
に対応するカウンタの検出特性は、カウンタの種類が同
じでも、個々のカウンタによってまちまちであり、カウ
ント値の補正を行っても必ずしも正確な測定結果を得ら
れていないのが実状である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な各種の従来技術に鑑みて成されたものであって、XA
FS測定において、簡単な作業だけで、試料に供給する
連続X線から特性X線に起因する変動成分を除去して入
射連続X線の強度を滑らかにすることを目的とする。
【0023】また、本発明は、試料に供給する連続X線
から変動成分を除去してX線強度を滑らかに保持した状
態で、極めて短時間でXAFS測定を行うことができる
ようにすることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】(1) 上記の目的を達
成するため、本発明に係るXAFS測定装置は、試料に
入射するX線を発生するX線源と、該X線源からのX線
を受けて特定波長のX線を出射する分光結晶と、前記試
料へ入射するX線のX線強度値を測定する入射X線検出
器と、前記試料を透過したX線のX線強度値を測定する
透過X線検出器とを有するXAFS測定装置において、
縦方向のスリット幅を連続して変化させることができる
縦可変スリットを、前記X線源から前記試料へ至るX線
光路上に設けたことを特徴とする。
【0025】このXAFS測定装置によれば、縦可変ス
リットの縦方向のスリット幅を変化させることにより、
試料へ入射する連続X線の強度を希望通りに変化させる
ことができ、その結果、試料へ入射する連続X線を確実
に滑らかな連続X線とすることができる。
【0026】しかも、本発明によれば、X線源を構成す
るフィラメントやターゲットを交換する必要がないの
で、XAFS測定において入射連続X線を滑らかにする
ための作業が非常に簡単になる。また、従来の管電流制
御方法のように測定領域の全域にわたって制御を行う必
要はなく、制御が必要となる測定点に限って縦可変スリ
ットの縦方向のスリット幅を調整するだけで良く、この
結果、測定時間を格段に短縮できる。
【0027】(2) 上記(1)項記載のXAFS測定
装置に関しては、前記入射X線検出器による測定結果に
基づいて前記縦可変スリットの縦スリット幅を制御する
制御手段を設けることが望ましい。こうすれば、試料に
入射する連続X線を滑らかにすることを自動的に正確な
タイミングで行うことができる。
【0028】(3) 上記(2)項記載のXAFS測定
装置において、前記制御手段は、前記入射X線検出器に
よって測定される入射X線強度が測定点において許容限
界を越えて変動するかどうかを予備測定によって求め、
そして入射X線強度が許容限界を越えて変動する測定点
に関して、前記縦可変スリットの縦スリット幅を調節し
てXAFS測定を行うという制御を行うことが望まし
い。この構成によれば、X線強度の修正が必要な測定点
に関してのみ縦可変スリットによる強度調整を行えば良
く、その結果、XAFS測定を非常に短時間に行うこと
ができる。
【0029】(4) 上記(3)項記載のXAFS測定
装置において、前記予備測定は、基準線を求めるための
第1予備測定と、前記基準線に対する前記入射X線強度
の変動を求める第2予備測定とを含むことが望ましい。
この構成によれば、入射X線強度の変動を確実に検出で
きて、XAFS測定の測定精度を向上できる。
【0030】(5) 上記(1)項から上記(4)項記
載のXAFS測定装置において、前記縦可変スリットは
前記X線源と前記分光結晶との間に配置することができ
る。この構成によれば、縦可変スリットの縦スリット幅
を変えたときには分光結晶へのX線照射面積は直接的に
変化するが、試料に対するX線照射面積は直接的に大き
く変化することはないので、安定した測定を行うことが
できる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るXAFS測
定装置の一実施形態を示している。このXAFS測定装
置は、フィラメント6及びターゲット7によって構成さ
れたX線源Fを収納したX線管1と、連続X線を受けて
特定波長のX線を分光して出射する分光結晶2と、そし
て検出器台3とを有する。
【0032】X線管1はステンレス等によって形成され
たケーシング4を有し、フィラメント6及びそれに対向
して配置されたターゲット7はそのケーシング4の内部
に収容される。フィラメント6は管電流制御回路8から
供給される一定の管電流が通電したときに発熱して熱電
子を放出する。また、フィラメント6とターゲット7と
の間には管電圧制御回路9によって所定の管電圧が印加
され、フィラメント6から放出された熱電子がこの管電
圧によって加速されてターゲット7に衝突する。この熱
電子の衝突領域が、いわゆるX線焦点であり、このX線
焦点からX線が発生する。
【0033】検出器台3の上には、受光スリット11、
入射X線検出器12及び透過X線検出器13が設置され
る。測定対象である試料Sは、入射X線検出器12と透
過X線検出器13との間に置かれる。受光スリット11
は、散乱X線その他の不要なX線が入射X線検出器12
等に取り込まれるのを防止する。
【0034】入射X線検出器12は、試料Sに入射する
X線強度I0を測定するためのX線検出器であって、例
えば、X線を透過させることができる構造、すなわち半
透過型のPC(比例計数管:Proportional Counter)に
よって構成される。また、透過X線検出器13は、試料
Sを透過したX線Iを測定するためのX線検出器であっ
て、例えば、SC(シンチレーション計数管: Scintil
lation Counter)によって構成される。
【0035】X線源Fから試料Sへ至るX線光路上、本
実施形態では特にX線焦点Fと分光結晶2との間のX線
光路上には、縦可変スリット14が配設される。この縦
可変スリット14は、スリット縦幅駆動装置16によっ
て駆動されて、X線焦点Fから出て発散するX線の縦方
向幅、すなわち、X線回折面に対して直角方向の幅、す
なわち、図1の紙面垂直方向の幅を連続的すなわち無段
階に調節できる。これにより、分光結晶2に入射するX
線の縦方向の照射幅を調節できる。なお、X線回折面と
は、分光結晶2に入射するX線の光軸と分光結晶2から
の回折X線の光軸の両方を含む平面のことである。
【0036】以上に説明した各要素に関しては次のよう
な位置的拘束条件が加えられる。 (1)X線源FのX線焦点、分光結晶2及び受光スリッ
ト11は常に仮想の集中円C0上に位置する。 (2)分光結晶2のX線受光面は集中円C0と同じ曲率
で湾曲する。 (3)分光結晶2はX線入射角θがθ1、θ2、……の
ように徐々に変化するように集中円C0上を移動する。
このとき、X線源Fから分光結晶2に至る距離L1が変
化する。 (4)受光スリット11は分光結晶2が移動するとき、
常にL1=L2を維持するように集中円C0に沿って移
動する。 (5)分光結晶2及び受光スリット11が移動すると
き、集中円C0の直径は常に一定に維持される。 (6)入射X線検出器12、試料S及び透過X線検出器
13は、受光スリット11が集中円C0に沿って移動す
るときでも、常に、受光スリット11を通過したX線を
受光する。
【0037】以上のような位置拘束条件は任意の機構に
よって実現可能であるが、例えば、第1リンク(図示せ
ず)上にX線管1、縦可変スリット14及び分光結晶2
を設置し、第1リンクに回転自在に接合した第2リンク
(図示せず)上に分光結晶2及び検出器台3を設置し、
集中円C0の中心OとX線源F、分光結晶2及び受光ス
リット11のそれぞれまでの距離が常に等しくなるよう
に位置拘束し、そして、第1リンク上でX線源Fと分光
結晶2との距離を変化させることによって分光結晶2に
入射するX線の入射角度θを変化させ、そのとき、第1
リンクに対する第2リンクの角度を変化させると共に分
光結晶2と検出器台3との間の距離を変化させる。
【0038】入射X線検出器12はX線を受光してその
強度に対応した信号、例えばパルス信号I0を出力し、
その出力信号I0は質量吸収係数演算器16及びCPU
17に入力される。また、透過X線検出器13はX線を
受光してその強度に対応した信号、例えばパルス信号I
を出力し、その出力信号Iは質量吸収係数演算器16に
入力される。
【0039】質量吸収係数演算器16は、入力された入
射X線強度I0及び透過X線強度Iに基づいて質量吸収
係数μ=log e (I0/I)を演算し、その演算結
果を、信号としてCPU17へ伝送する。CPU17に
はメモリ18が接続され、これらによって制御装置19
が構成される。
【0040】メモリ18は、ROM(Read Only Memor
y)、RAM(Random Access Memory)等といった内部
メモリや、ハードディスク等といった外部メモリ等とい
った各種の記憶媒体を総称的に示したものである。この
メモリ18には、XAFS測定を実行するために必要と
なる動作手順をプログラムとして記憶した領域、CPU
17のためのワークエリアやテンポラリファイルとして
用いられる領域等といった各種の記憶領域が確保され
る。
【0041】CPU17の入力ポートには、キーボー
ド、マウス型入力器具等といった入力装置21が接続さ
れる。また、CPU17の出力ポートには、CRTディ
スプレイ、液晶ディスプレイ等といった表示装置22が
接続される。
【0042】以下、上記構成より成るXAFS測定装置
の動作について図2に示すフローチャートを参照して説
明する。このフローチャートは、図1のメモリ18に格
納されたプログラムに従って実行される処理手順を示す
ものである。
【0043】まず、ステップ1において、XAFS測定
の測定範囲θ1〜θn(図5参照)がオペレータによっ
て指示されているかどうかがチェックされる。オペレー
タは希望する測定範囲がある場合には、入力装置21
(図1参照)を通してその希望範囲をCPU17に伝送
する。
【0044】測定範囲の指示があったとき(ステップS
1でYES)、CPU17は所定の記憶場所に記憶して
いた測定範囲θ1〜θnのデータを伝送された新しいデ
ータに更新する。オペレータによる測定範囲の指示がな
い場合(ステップS1でNO)には、測定範囲データを
更新することなく前回用いた測定範囲データをそのまま
利用する。
【0045】次に、ステップS3において、第1予備測
定を行うことがオペレータによって指示されているかど
うかがチェックされる。この第1予備測定は、試料Sに
入射する連続X線の強度の変動の程度を測定する際の基
準線を決めるための予備測定であり、これはオペレータ
の希望に従って実行される。オペレータがこの第1予備
測定を希望する場合には、入力装置21を操作してCP
U17に指示する。
【0046】第1予備測定を行うことが指示された場合
(ステップS3でYES)には、ステップS4において
第1予備測定が実行される。具体的には、XAFS測定
の測定領域θ1〜θn(図5参照)の範囲内で縦可変ス
リット14のスリット縦幅を大きく開いた状態で、X線
源FからのX線を分光結晶2へ照射し、該分光結晶2を
所定のθステップスキャンで移動させながら、入射X線
検出器12によってX線入射強度I0を測定して、図3
(a)に示すような入射X線強度分布曲線L1を求め
る。
【0047】そして、ステップS5において、測定領域
θ1〜θnの範囲内に特性X線がないと仮定したときの
基準線Lrを図3(b)のように演算によって決定し、
そのデータを所定の記憶場所に記憶する。なお、基準線
Lrを決めるための演算手法は希望に応じて決定する。
また、ステップS3において、第1予備測定を行うこと
が指示されない場合(ステップS3でNO)には、基準
線Lrの更新を行うことなく、前回の測定で用いた基準
線Lrの結果を利用するか、予め記憶されている既製の
基準線Lrを利用する。
【0048】次に、ステップS6において、既に決まっ
ている基準線を用いて第2予備測定を行う。具体的に
は、測定範囲θ1〜θn内のある測定点において所定時
間だけ入射X線検出器12によってX線入射強度I0を
測定して、図3(b)の基準線Lrからの偏差量を測定
する。
【0049】そして、この偏差量が所定の許容限界、例
えば0.5〜1%よりも小さい場合(ステップS7でY
ES)には縦可変スリット14の縦スリット幅を広いま
まにした状態で、当該測定点に関して本測定を行う(ス
テップS8)。具体的には、図1において、分光結晶2
で分光した所定波長すなわち所定エネルギのX線を試料
Sへ入射させ、入射X線検出器12によって入射X線強
度I0を測定し、同時に透過X線検出器13によって試
料Sを透過したX線の強度Iを測定する。そして、質量
吸収係数演算器16によって質量吸収係数μ=log
e(I0/I)を演算し、その演算結果を所定記憶場所
に記憶する。
【0050】一方、ステップS6の第2予備測定によっ
て得られる入射X線強度I0が基準線Lr(図3b)に
比べて許容限界以上、例えば0.5〜1%以上に変動す
る場合(ステップS7でNO)には、その変動量に応じ
て縦可変スリット14の縦スリット幅を調節して分光結
晶2へ照射されるX線の照射面積を調節した上で、入射
X線強度I0及び透過X線強度Iが測定され、さらに質
量吸収係数μ=loge(I0/I)が演算される。
【0051】以上のような第2予備測定から本測定に至
る処理は、測定範囲θ1〜θn内にある全ての測定点に
関して行われるまで繰り返される(ステップS10)。
そしてその結果、図5に示すようなX線吸収線図が得ら
れて、例えば表示装置22に表示される。そして、この
X線吸収線図により、試料Sに入射するX線のエネルギ
を変化させたときに得られる質量吸収係数μの変動が測
定され、その変動に基づいて試料Sの振動構造を解析す
ることができる。
【0052】本実施形態では、試料に入射する連続X線
の強度I0に図3(a)に符号Dで示すような特性X線
等に起因する変動が発生する場合には、縦可変スリット
14によって分光結晶2へのX線照射面積を調節するよ
うにしたので、試料Sへ入射する連続X線の強度分布を
測定範囲θ1〜θnの全域にわたって図6に示すような
滑らかな分布L0にすることができ、その結果、非常に
信頼性の高い安定したXAFS測定を行うことができ
る。
【0053】なお、本実施形態においては、分光結晶2
に入射するX線の照射面積を調節するために縦可変スリ
ット、すなわちX線回折面(図1の紙面平行面)に対し
て直角方向のスリット幅を変化させることができる可変
スリットを用いた。X線の断面積を変化させることだけ
を考える場合には、X線回折面と平行方向のスリット幅
を変化させることができる可変スリット、すなわち横可
変スリットを用いることも考えられるが、そのような横
スリット幅を調節する場合には、分光結晶2へ入射する
X線の集中円C0の円周方向の長さが変化するので、受
光スリット11に対する集光条件に大きな変化が出てし
まうおそれがあり、あまり好ましくない。これに対し、
縦可変スリット14を用いる本実施形態によれば、分光
結晶2に対するX線照射範囲は集中円C0の円周方向に
関しては変化がないので、試料Sへ入射する連続X線を
その強度が滑らかに変化するように調節することができ
る。
【0054】図4は、図1の制御装置19によって行う
制御の他の実施形態を示している。図2に示した先の実
施形態では、ステップS6〜ステップS10において、
測定範囲θ1〜θn内の全ての測定点に関して第2予備
測定を行って、縦可変スリット14の縦スリット幅を調
節すべきかどうかを検査した。
【0055】これに対し、図4に示す本実施形態では、
ステップS11〜ステップS17に至る処理により、オ
ペレータが測定範囲θ1〜θnのうち第2予備測定を行
う範囲を指定できるようにして、その指定範囲以外の範
囲では第2予備測定を行うことなく、いきなり本測定を
行うように制御が行われる。
【0056】すなわち、ステップS11において、オペ
レータによって第2予備測定範囲が特定されたかどうか
がチェックされる。オペレータは、第1予備測定によっ
て図3(a)に符号Dで示すような入射X線強度I0の
変動が見つかったときには、そのような変動が存在する
範囲θ2〜θ3だけに関して縦可変スリット14の縦ス
リット幅の調節を行い、それ以外の範囲では縦可変スリ
ット14による調節を行わないことを指示できる。この
ような指示は、図1の入力装置21を通して行うことが
できる。
【0057】オペレータが第2予備測定の範囲を指定し
ない場合(ステップS11でNO)には、ステップS1
3〜ステップS17の手順に従って、図2に示した実施
形態の場合のステップS6〜ステップS10の手順と同
じ処理、すなわち、測定範囲θ1〜θnにある全ての測
定点に関して第2予備測定を行った上で、必要に応じて
縦可変スリット14の縦スリット幅の調節を行ってから
本測定を行って質量吸収係数を求めるという処理が行わ
れる。この場合には、全ての測定点に関して第2予備測
定を行うので、測定時間が長くなることが考えられる。
【0058】オペレータによって第2予備測定を行うべ
き範囲が図3(a)のθ2〜θ3のように特定されると
(ステップS11でYES)、CPU17は今測定を行
おうとしている測定点がその範囲θ2〜θ3の範囲内に
あるか、あるいはその範囲外にあるかをチェックする
(ステップS12)。指示された範囲θ2〜θ3の範囲
内に測定点がない場合(ステップS12でYES)に
は、分光結晶2に入射するX線は変動のない滑らかな部
分に属すると考えられるので、この場合にはステップS
15のように、縦可変スリット14の縦スリット幅を調
節することなく本測定を行って質量吸収係数を求める。
【0059】一方、指示された範囲θ2〜θ3の範囲内
に測定点が入っている場合(ステップS12でNO)に
は、ステップS13〜ステップS16の手順により、第
2予備測定を行って、入射X線強度I0が許容限界を越
えて変動していると考えられるときに限って、縦可変ス
リット14の縦スリット幅の調節を行って入射X線強度
I0の変動を補償する。
【0060】本実施形態によれば、図1の分光結晶2に
入射するX線の強度が基準線からどの程度変動している
かを測定する第2予備測定を、XAFS測定範囲θ1〜
θn内の全ての測定点に関して行うのではなくて、オペ
レータによって特定された範囲θ2〜θ3(図3a参
照)に関してだけ行うようにしたので、XAFS測定の
測定時間をより一層短縮化できる。
【0061】以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を
説明したが、本発明はその実施形態に限定されるもので
なく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変
できる。
【0062】例えば、図1に示した各X線光学要素、す
なわちX線管1から透過X線検出器13に至るX線光学
系に含まれる要素は単なる一例であり、その他任意の光
学要素によって代えることができる。また、それらのX
線光学要素をXAFS測定のための所定の位置拘束条件
で動かすための機構も、図1に関連して説明した機構以
外の任意の機構を採用できる。
【0063】また、図1の実施形態ではではX線源Fと
分光結晶2との間のX線光路上に縦可変スリット14を
配設したが、これに代えて、分光結晶2と受光スリット
11との間に縦可変スリット14を配設することもでき
る。
【0064】
【発明の効果】本発明に係るXAFS測定装置によれ
ば、縦可変スリットの縦方向のスリット幅を希望通りに
変化させることにより、試料へ入射するX線強度を希望
通りに変化させることができ、その結果、試料へ入射す
るX線を確実に滑らかな連続X線とすることができる。
【0065】しかも、本発明では、X線源を構成するフ
ィラメントやターゲットを交換する必要がないので、X
AFS測定において試料へ入射させる連続X線を滑らか
にするための作業が非常に簡単になる。また、従来の管
電流制御方法のように測定領域の全域にわたって制御を
行う必要はなく、制御が必要となる測定点に限って縦可
変スリットの縦方向のスリット幅を調整するだけで良
く、この結果、測定時間を格段に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るXAFS測定装置の一実施形態の
機構部分及び電気制御系を示す図である。
【図2】図1のXAFS測定装置によって実行される処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】(a)は図1のXAFS測定装置によって得ら
れる予備測定の一例を示すグラフであり、(b)は図1
のXAFS測定装置を構成する制御装置によって決めら
れる基準線の一例を示すグラフである。
【図4】本発明に係るXAFS測定装置の他の実施形態
における制御手順を示すフローチャートである。
【図5】X線吸収線図の一例を示すグラフである。
【図6】XAFS測定において用いられる理想的な連続
X線を示すグラフである。
【図7】従来のXAFS測定装置の一例を示す図であ
る。
【図8】従来のXAFS測定方法の一例である管電流制
御法を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1 X線管 2 分光結晶 3 検出器台 4 ケーシング 6 フィラメント 7 ターゲット 11 受光スリット 12 入射X線検出器 13 透過X線検出器 14 縦可変スリット A 吸収端 C0 集中円 D 入射X線の変動部分 F X線源 S 試料 θ X線入射角度

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に入射するX線を発生するX線源
    と、該X線源からのX線を受けて特定波長のX線を出射
    する分光結晶と、前記試料へ入射するX線のX線強度値
    を測定する入射X線検出器と、前記試料を透過したX線
    のX線強度値を測定する透過X線検出器とを有するXA
    FS測定装置において、 縦方向のスリット幅を連続して変化させることができる
    縦可変スリットを、前記X線源から前記試料へ至るX線
    光路上に設けたことを特徴とするXAFS測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記入射X線検出器
    による測定結果に基づいて前記縦可変スリットの縦スリ
    ット幅を制御する制御手段を有することを特徴とするX
    AFS測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記制御手段は、 前記入射X線検出器によって測定される入射X線強度が
    測定点において許容限界を越えて変動するかどうかを予
    備測定によって求め、 入射X線強度が許容限界を越えて変動する測定点に関し
    て、前記縦可変スリットの縦スリット幅を調節してXA
    FS測定を行うことを特徴とするXAFS測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記予備測定は、基
    準線を求めるための第1予備測定と、前記基準線に対す
    る前記入射X線強度の変動を求める第2予備測定とを含
    むことを特徴とするXAFS装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4の少なくともいず
    れか1つにおいて、前記縦可変スリットは前記X線源と
    前記分光結晶との間に配置されることを特徴とするXA
    FS測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014109579A (ja) * 2012-11-30 2014-06-12 Anton Paar Gmbh 中性子またはx線ビーム源から放射されるビームによって試料を検査する方法および装置

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JP2014109579A (ja) * 2012-11-30 2014-06-12 Anton Paar Gmbh 中性子またはx線ビーム源から放射されるビームによって試料を検査する方法および装置

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