JP2001064333A - グラフト共重合体及びこれを含む被覆用組成物 - Google Patents

グラフト共重合体及びこれを含む被覆用組成物

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JP2001064333A
JP2001064333A JP23849099A JP23849099A JP2001064333A JP 2001064333 A JP2001064333 A JP 2001064333A JP 23849099 A JP23849099 A JP 23849099A JP 23849099 A JP23849099 A JP 23849099A JP 2001064333 A JP2001064333 A JP 2001064333A
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cellulose ester
coating composition
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Kunio Shimizu
邦雄 清水
Yasuteru Kajikawa
泰照 梶川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毒性や刺激性の問題がなく、乾燥性に優れ、
膜物性を損なうことのない1液タイプの塗料やシーリン
グ剤に有用な湿気硬化型のグラフト共重合体及びこれを
含む被覆用組成物を提供すること。 【解決手段】 水酸基を有するセルロースエステルに環
状エステル類を開環グラフト重合させて得られるセルロ
ースエステル誘導体(a)1〜30重量%と重合性不飽
和モノマー(b)70〜99重量%((a)と(b)の
合計は100重量%である。)を共重合させてなるグラ
フト共重合体(I)であり、グラフト共重合体へのイソ
シアネート基成分の導入が、(i)重合性不飽和モノマ
ー(b)の一部としてイソシアネート基含有不飽和モノ
マー(f)を使用することにより行われ、イソシアネー
ト基含有量がグラフト共重合体(I)の0.5〜28.
5重量%であることを特徴とするグラフト共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用部品、建
築用や補修用などの塗料やシーリング剤に有用な湿気硬
化型のグラフト共重合体及びこれを含む被覆用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、産業機械、建造物、構築物、家
具、自動車等の塗装や補修に際し、乾燥性、仕上り性、
耐候性などの点からアクリルウレタン塗料が主に使用さ
れている。該塗料は常温硬化型として優れた性能を有す
る塗膜を形成しうるものである。しかしながらアクリル
ウレタン塗料は、通常、2液タイプであるため、一定の
可使時間内に使用しなければならず、塗装作業性に問題
があった。また該塗料は比較的低分子量のポリイソシア
ネート化合物を硬化剤として用いるため、現場施工時に
その蒸気による毒性や刺激性も問題であった。
【0003】これに対して、従来より1液化が可能であ
るイソシアネート基による湿気硬化型の塗料が種々提案
されている。例えば特開昭56−118409号公報や
特開昭64−75578号公報などには、イソシアネー
ト基含有共重合体を用いてなる塗料が開示されており、
塗装作業性、安全衛生面での改善がなされた。しかしな
がら、これらは、常温乾燥型塗料として特に望まれる乾
燥性及び物性面で、2液タイプのアクリルウレタン塗料
に匹敵するに至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、毒性
や刺激性の問題がなく、乾燥性に優れ、膜物性を損なう
ことのない1液タイプの塗料やシーリング剤に有用な湿
気硬化型のグラフト共重合体及びこれを含む被覆用組成
物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討した結果、水酸基を有するセルロ
ースエステルに環状エステル類を開環グラフト重合させ
て得られるセルロースエステル誘導体と重合性不飽和モ
ノマーを共重合してなるグラフト共重合体の幹部にイソ
シアネート基成分を導入したグラフト共重合体を被膜成
分として用いること、及び必要に応じて硬化剤や樹脂成
分を配合することにより、上記課題が解決できることを
見出し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明の第1は、水酸基を有す
るセルロースエステルに環状エステル類を開環グラフト
重合させて得られるセルロースエステル誘導体(a)1
〜30重量%と重合性不飽和モノマー(b)70〜99
重量%((a)と(b)の合計は100重量%であ
る。)を共重合させてなるグラフト共重合体(I)であ
り、グラフト共重合体へのイソシアネート基成分の導入
が、(i)重合性不飽和モノマー(b)の一部としてイ
ソシアネート基含有不飽和モノマー(f)を使用するこ
と、又は(ii)重合性不飽和モノマー(b)の一部とし
て活性水素含有重合性モノマー(h)を使用し、該活性
水素含有重合性モノマー(h)にポリイソシアネート化
合物(c)を反応させること(この場合、(b)と
(c)の合計が上記(b)70〜99重量%に相当す
る。)により行われ、イソシアネート基含有量がグラフ
ト共重合体(I)の0.5〜28.5重量%であること
を特徴とするグラフト共重合体を提供する。本発明の第
2は、重量平均分子量が2,000〜150,000で
あることを特徴とする本発明の第1に記載のグラフト共
重合体を提供する。本発明の第3は、ガラス転移温度が
0〜90℃であることを特徴とする本発明の第1に記載
のグラフト共重合体を提供する。本発明の第4は、本発
明の第1又は2に記載のグラフト共重合体(I)、並び
に、必要に応じて添加される少なくとも一種以上の下記
成分:ポリイソシアネート化合物(II)、セルロースエ
ステル誘導体(III)、セルロースエステル誘導体(II
I)5〜75重量%及びその他の重合性不飽和モノマー
(g)25〜95重量%((III)と(g)の合計は1
00重量%である。)を共重合してなるイソシアネート
基成分を含まない変性ビニル系共重合体(III')、マク
ロモノマー(m)3〜30重量%とそれ以外の重合性不
飽和モノマー(j)((h)成分以外の(b)成分であ
る。)70〜97重量%((m)と(j)の合計は10
0重量%である。)を共重合させてなるグラフト共重合
体(IV)、及び非水分散樹脂(V)からなり、これら
(I)、(II)、(III)、(III')、(IV)、及び
(V)の樹脂分の合計100重量%を全樹脂固形分とし
て、全樹脂固形分中にグラフト共重合体(I)が50重
量%以上含まれる被覆用組成物を提供する。本発明の第
5は、全樹脂固形分中に、ポリイソシアネート化合物
(II)が0.5〜40重量%含まれる本発明の第4に記
載の被覆用組成物を提供する。本発明の第6は、ポリイ
ソシアネート化合物(II)が、1分子中に少なくとも2
個以上イソシアネート基を含有する低分子化合物
(d)、又はイソシアネート基含有不飽和モノマー
(f)を構成単位として含んでなる重合体(e)である
本発明の第5に記載の被覆用組成物を提供する。本発明
の第7は、全樹脂固形分中に、セルロースエステル誘導
体(III)が0.5〜20重量%含まれる本発明の第4
〜6のいずれか1項記載の被覆用組成物を提供する。本
発明の第8は、全樹脂固形分中に、変性ビニル系共重合
体(III')が1〜30重量%含まれる本発明の第4〜7
のいずれか1項記載の被覆用組成物を提供する。本発明
の第9は、全樹脂固形分中に、グラフト共重合体(IV)
が1〜20重量%含まれる本発明の第4〜8のいずれか
1項記載の被覆用組成物を提供する。本発明の第10
は、全樹脂固形分中に、非水分散樹脂(V)(樹脂分)
が0.5〜50重量%未満含まれる本発明の第4〜9の
いずれか1項記載の被覆用組成物を提供する。本発明の
第11は、非水分散樹脂(V)が、重量平均分子量3,
000〜150,000の重合体(p)である分散安定
剤の存在下、非水溶媒中で重合性不飽和モノマー(g)
を重合させて得られるガラス転移温度が0〜100℃の
重合体(q)の粒子の分散液中の樹脂分である本発明の
第10記載の被覆用組成物を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。初めに、本発明に係る各種成分を表す記号及びそ
れらの関係の概略を示す。 セルロースエステル誘導体(a):水酸基を有するセル
ロースエステルに環状エステル類を開環グラフト重合さ
せて得られる。 重合性不飽和モノマー(b):イソシアネート基含有不
飽和モノマー(f)、活性水素含有重合性モノマー
(h)及びその他の重合性不飽和モノマー(g)等から
なる。 グラフト共重合体(I):セルロースエステル誘導体
(a)と重合性不飽和モノマー(b)を共重合させて得
られる。イソシアネート基含有不飽和モノマー(f)活
性水素含有重合性モノマー(h)ポリイソシアネート化
合物(c) ポリイソシアネート化合物(II):低分子イソシアネー
ト化合物(d)及びイソシアネート基含有不飽和モノマ
ー(f)を構成単位として含む重合体(e)等からな
る。低分子イソシアネート化合物(d)イソシアネート
基含有不飽和モノマーを含む重合体(e)オキサゾリン
化合物(II') セルロースエステル誘導体(III):セルロースエステ
ル誘導体(a)と同じ種類であればよく、同一物である
必要はない。 変性ビニル系共重合体(III'):セルロースエステル誘
導体(III)(上記セルロースエステル誘導体(III)と
同じ種類であればよく、同一物である必要はない。)と
その他の重合性不飽和モノマー(g)を共重合して得ら
れる。 グラフト共重合体(IV):マクロモノマー(m)とそれ
以外の重合性不飽和モノマー(j)を共重合させて得ら
れる。 それ以外の重合性不飽和モノマー(j):(h)成分以
外の(b)成分である。 非水分散樹脂(V):重合体(p)を分散安定剤とし
て、非水溶媒中でその他の重合性不飽和モノマー(g)
を重合させて得られる重合体(q)の粒子の分散液中の
樹脂分。 重合体(p):分散安定剤、重量平均分子量3,000
〜150,000。 重合体(q):分散安定剤(p)の存在下、非水溶媒中
で重合性不飽和モノマー(g)を重合させて得られる。
ガラス転移温度0〜100℃。
【0008】1.セルロースエステル誘導体(a) 本発明に用いられるセルロースエステル誘導体(a)
は、水酸基を有するセルロースエステルに環状エステル
類を開環グラフト重合させて得られる。水酸基を有する
セルロースエステルとは、セルロースの水酸基がその一
部を残して酸によりエステル化されたものである。セル
ロースエステルとしては例えば、セルロースアセテー
ト、セルロースアセテートプロピオネート、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテートフタレー
ト、硝酸セルロース等のセルロースエステル類が例示で
きる。これらの内セルロースアセテート、セルロースア
セテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレ
ートが好ましく、特にセルロースアセテートが有用であ
る。酸とセルロースのグルコース単位の有する水酸基
(最大3個である。)とからなるエステル結合は、グル
コース単位中に、平均1〜2.9個含まれ、即ち置換度
1〜2.9となる。従って、水酸基を有するセルロース
エステルは残存水酸基を平均0.1〜2個、好ましくは
0.2〜1.3個有する。
【0009】上記水酸基を有するセルロースエステルの
水酸基に開環グラフト重合させる環状エステルとして
は、開環重合し得るものであれば特に限定されるもので
はなく、例えば、β−プロピオラクトン、δ−バレロラ
クトン、ε−カプロラクトン、α、α−ジメチル−β−
プロピオラクトン、β−エチル−δ−バレロラクトン、
α−メチルラクトン、β−メチル−ε−カプロラクト
ン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、3,3,5ート
リメチル−ε−カプロラクトン、3,5,5ートリメチ
ル−ε−カプロラクトン、エナントラクトン等のラクト
ン類、グリコリド、ラクチドなどの環状二量体エステ
ル、及びこれらの混合物などが挙げられる。環状エステ
ルとしては、とりわけ工業的に入手しやすく、比較的安
価であり、セルロースアセテート等、本発明に係るセル
ロースエステルとの相溶性の優れたε−カプロラクトン
が特に好適である。
【0010】本発明において、セルロースエステル誘導
体(a)を得るための水酸基を有するセルロースエステ
ルと環状エステルの仕込み比率には特に制限はなく、被
覆用組成物の使用形態によって、適宜選択することがで
きる。しかし、水酸基を有するセルロースエステルに環
状エステルをグラフト重合させるには、一般に前者の1
〜85wt%に対して後者の99〜1wt%の比率(両
者の合計は100wt%である。)が望ましい。水酸基
を有するセルロースエステルの仕込み比率が85wt%
を越えると反応系の粘度が著しく高くなり、取り扱いに
くくなる。また、逆に、1wt%未満では耐熱性などの
セルロースエステルの特徴が失われて好ましくない。反
応中に粘度が高くて取り扱い難いときには、補助的に第
三成分として、セルロースエステル及び環状エステルと
の相溶性の良い活性水素を持たない有機溶剤を加えるこ
とによって系の粘度を下げ、反応させやすくすることも
可能である。グラフト重合により得られるセルロースエ
ステル誘導体(a)の平均的な構造は、グルコース単位
中の残存水酸基(平均0.1〜2個)当たり、ε−カプ
ロラクトン2〜50モル、好ましくは3〜30モル、更
に好ましくは5〜20モル付加重合してなる構造を有す
るものである。
【0011】上記水酸基を有するセルロースエステルに
環状エステル、特にラクトン類をグラフト重合させる反
応に用いられる触媒としては、通常環状エステルの開環
反応に用いられる触媒、即ち、ナトリウムやカリウムな
どのアルカリ金属及びそのアルコキシドなどの誘導体、
トリエチルアルミニウムで代表されるアルキルアルミニ
ウム及びその誘導体、チタン酸テトラブチルで代表され
るアルコキシチタン化合物、オクチル酸スズ、ジブチル
スズラウリレート等の有機金属又は金属錯体、有機スズ
などの金属ハロゲン化物が挙げられる。尚、本発明に係
るセルロースエステル誘導体を製造するために用いられ
る好ましい触媒はオクチル酸スズである。
【0012】上記グラフト重合に使用する反応器として
は、攪拌機、乾燥管付き還流冷却器を備えた反応器や、
二軸押出機が好ましく使用される。グラフト重合温度
は、通常、環状エステルの開環重合に適用されている温
度が好適であり、100〜210℃である。また、グラ
フト重合時間は、水酸基を有するセルロースエステルと
環状エステルのそれぞれの種類、仕込み比率、触媒の種
類と量、反応温度、さらには反応装置により異なり、特
に制限されるものではないが、好ましくは1時間〜8時
間である。また本発明に係るグラフト重合体を得るに際
して、重合反応に用いられる各原料、置換またはパージ
用窒素ガス、反応器等については、十分乾燥させておく
ことが望ましい。更に反応系の水分は0.1wt%以
下、好ましくはは0.01wt%以下、より好ましくは
0.001wt%以下である。
【0013】2.重合性不飽和モノマー(b) 本発明に用いられる重合性不飽和モノマー(b)として
は、イソシアネート基含有不飽和モノマー(f)、活性
水素含有重合性モノマー(h)及びその他の重合性不飽
和モノマー(g)が挙げられる。
【0014】その他の重合性不飽和モノマー(g)とし
ては、次のものが例示される。(メタ)アクリル酸エス
テルとして、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリ
ル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜
20のアルキル又は環状アルキルエステル;(メタ)ア
クリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシ
エチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メ
タ)アクリル酸の炭素数2〜8のアルコキシアルキルエ
ステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル以外
のものとして、例えばグリシジル(メタ)アクリレー
ト;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、ブ
タジエン、イソプレン等が挙げられ、これらは混合して
使用することができる。
【0015】活性水素含有重合性モノマー(h)として
は、下記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、アミ
ノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、こ
れらは混合して使用することができる。水酸基含有(メ
タ)アクリル酸エステルとしては、例えばヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜
8のヒドロキシアルキルエステル;市販品としてダイセ
ル化学工業社製の製品であるプラクセルFA−1(アク
リル酸2−ヒドロキシエチル1モルにε−カプロラクト
ン1モルを付加したモノマー)、プラクセルFM−1、
FM−3、FM−5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル1モルにε−カプロラクトンをそれぞれ1モル、3モ
ル、5モル付加したモノマー)、ユニオンカーバイド社
(米)製の製品であるTONEM−100(アクリル酸
2−ヒドロキシエチル1モルにε−カプロラクトン2モ
ルを付加したモノマー)などの水酸基含有(メタ)アク
リル酸エステル1モルとラクトン類1〜5モルとの付加
物等が挙げられ、これらは混合して使用することができ
る。アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとして
は、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの
(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;(メ
タ)アクリルアミド等が挙げられ、これらは混合して使
用することができる。
【0016】イソシアネート基含有モノマー(f)とし
ては、例えばイソシアネートエチル(メタ)アクリレー
ト、イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イ
ソシアネートブチル(メタ)アクリレート、イソシアネ
ートヘキシル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニ
ル−α、α´−ジメチルベンジルイソシアネート、m−
エチレニル−α、α´−ジメチルベンジルイソシアネー
トなどが挙げられ、さらにヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート等の活性水素含有重合性モノマー(h)にヘ
キサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート
化合物を付加してなる不飽和化合物が挙げられ、これら
は混合して使用することができる。上記の(f)、
(g)及び(h)に例示される重合性不飽和モノマー
(b)は、混合して使用することも可能であり、所望の
物性に応じて選択して使用される。
【0017】3.グラフト共重合体(I) 本発明のグラフト共重合体(I)は、上記セルロースエ
ステル誘導体(a)及び不飽和モノマー(b)を溶液重
合法によりラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合
することによって製造され、(b)成分が幹ポリマー
(幹部ともいう。)を形成し、(a)成分が枝ポリマー
を形成して、本発明のグラフト共重合体(I)を得るこ
とができる。重合性不飽和モノマー(b)の一部として
活性水素含有重合性モノマー(h)を使用し、該活性水
素含有重合性モノマー(h)にポリイソシアネート化合
物(c)を反応させる場合には、上記セルロースエステ
ル誘導体(a)及び不飽和モノマー(b)を溶液重合法
によりラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合する
ことによって製造され、(b)成分が幹ポリマーを形成
し、(a)成分が枝ポリマーを形成して、次にモノマー
(h)の有する活性水素にポリイソシアネート化合物
(c)を反応させる。
【0018】上記ラジカル重合開始剤としては、過酸化
ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミ
ルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物開
始剤や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチ
ルバレロニトリル等のアゾ系開始剤が使用できる。溶液
重合に用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエ
ン、キシレン;酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、セロソルブアセテート等のエステル系;ジオキサ
ン、エチレングリコールジブチルエ−テル等のエ−テル
系;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン系などの溶剤が挙げられ、これらは単独又は2種
以上混合して使用できる。
【0019】上記(a)及び(b)成分の使用割合は、
(a)成分が1〜30重量%、好ましくは5〜20重量
%で(b)成分が70〜99重量%、好ましくは80〜
95重量%である((a)と(b)の合計は100重量
%である。)。重合性不飽和モノマー(b)の一部とし
て活性水素含有重合性モノマー(h)を使用し、該活性
水素含有重合性モノマー(h)にポリイソシアネート化
合物(c)を反応させる場合には、(b)と(c)の合
計が上記(b)70〜99重量%に相当する。上記
(a)成分が1重量%未満では、得られる塗膜の乾燥
性、硬度が不十分となり、(a)成分が30重量%を超
えると、得られる塗膜の耐久性が低下するので好ましく
ない。
【0020】本発明のグラフト共重合体(I)は、重合
性不飽和モノマー(b)がラジカル重合してなる幹部に
イソシアネート基を有し、該イソシアネート基の含有率
が共重合体(I)の全重量の0.5〜28.5重量%、
好ましくは3〜15重量%である。該イソシアネート基
含有率が0.5重量%未満では、得られる塗膜の耐溶剤
性、耐久性が低下し、乾燥性、硬度も不十分となり、一
方28.5重量%を越えると塗膜が脆くなり、かえって
耐久性が低下するので好ましくない。
【0021】本発明のグラフト共重合体(I)は、幹部
にイソシアネート基を有するものであり、該幹部にイソ
シアネート基を導入するには、下記(i)又は(ii):
(i)重合性不飽和モノマー(b)として上記イソシア
ネート基含有モノマーを使用する、又は(ii)重合性不
飽和モノマー(b)として上記水酸基やアミノ基などの
活性水素含有重合性モノマーを用いて本発明の共重合体
(I)となるべきポリマーの幹部に活性水素基を導入
し、該活性水素基にその等モル以上のポリイソシアネー
ト化合物を反応させる等の方法を採用することができ
る。
【0022】上記活性水素含有重合性モノマー(h)を
重合性不飽和モノマー(b)として用いた場合に、活性
水素基と反応させるポリイソシアネート化合物(c)と
しては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシア
ネート類;キシリレンジイソシアネート等の脂肪族基置
換芳香族イソシアネート化合物、イソホロンジイソシア
ネート等の脂環族ジイソシアネート類等が挙げられる。
なお、ポリイソシアネート化合物(c)を使用する場合
には該(c)も含めた重合性不飽和モノマー(b)の合
計が、上記重合性不飽和モノマー(b)70〜99重量
%である。
【0023】このようにして得られる本発明のグラフト
共重合体(I)の構造を示すと、(b)成分が幹ポリマ
ー(幹部)を形成し、幹部にイソシアネート基を有し、
(a)成分が枝ポリマーを形成している。グラフト共重
合体(I)の重量平均分子量(GPCにおいて、クロロ
ホルム中の標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した
ものである。)は2,000〜150,000、好まし
くは5,000〜50,000で、ガラス転移温度が0
〜90℃、好ましくは15〜75℃である。重量平均分
子量が2,000未満では、得られる塗膜の乾燥性、硬
度が満足に得られ難く、一方150,000を越えると
貯蔵性が低下し、得られる塗膜の仕上り性が満足に得ら
れ難いので好ましくなく、またガラス転移温度が0℃未
満では、得られる塗膜の乾燥性、硬度が満足に得られ難
く、一方90℃を越えると塗膜が脆くなり、かえって耐
久性が低下する傾向がみられるので好ましくない。本発
明のグラフト共重合体(I)は、単独で湿気硬化により
被膜を形成することができる。
【0024】4.被覆用組成物 また、本発明は該グラフト共重合体(I)を主成分とし
て含み、必要に応じて種々の硬化剤や樹脂成分を配合し
てなる1液型の被覆用組成物をも提供するものである。
すなわち、本発明の被覆用組成物はグラフト共重合体
(I)、並びに、必要に応じて添加される少なくとも一
種以上の下記成分:ポリイソシアネート化合物(II)、
水酸基を有するセルロースエステルに環状エステル類を
開環グラフト重合させて得られるセルロースエステル誘
導体(III)、水酸基を有するセルロースエステルに環
状エステル類を開環グラフト重合させて得られるセルロ
ースエステル誘導体(III)5〜75重量%及びその他
の重合性不飽和モノマー(h)25〜95重量%((II
I)と(h)の合計は100重量%である。)を共重合
してなるイソシアネート基成分を含まない変性ビニル系
共重合体(III')、マクロモノマー(m)3〜30重量
%とそれ以外の重合性不飽和モノマー(j)70〜97
重量%((m)と(j)の合計は100重量%であ
る。)を共重合させてなるグラフト共重合体(IV)、及
び非水分散樹脂(V)からなる。上記被覆用組成物で
は、これら(I)、(II)、(III)、(III')、(I
V)、及び(V)の樹脂分の合計100重量%を全樹脂
固形分として、全樹脂固形分中にグラフト共重合体
(I)が50重量%以上含まれる。
【0025】ポリイソシアネート化合物(II)及びオキ
サゾリジン化合物(II') 上記硬化剤成分としては、1液型とする点から、ポリイ
ソシアネート化合物(II)やオキサゾリジン化合物(I
I')などを配合することができる。ポリイソシアネート
化合物(II)としては、1分子中に2個以上のイソシア
ネート基を含有する低分子イソシアネート化合物(d)
やイソシアネート基含有不飽和モノマーを構成単位とし
て含む重合体(e)等が使用できる。低分子化合物
(d)としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂
肪族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシア
ネート類、これらジイソシアネートと多価アルコールや
低分子量ポリエステル樹脂や水との付加物、これらジイ
ソシアネート同士の重合体(ジイソシアネート単量体ア
ダクトであり、コロネートL(日本ポリウレタン(株)
製)、タケネートD102(武田薬品(株)製)などが
挙げられる。)、さらにはイソシアヌレート・ビウレッ
ト体などが挙げられる。イソシアネート基含有不飽和モ
ノマーを含む重合体(e)としては、特に前記イソシア
ネート基含有モノマー(f)をスチレンや(メタ)アク
リル酸エステル類等のその他の重合性不飽和モノマー
(g)と共重合して得られるイソシアネート基含有共重
合体などが挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物
(II)は、全樹脂固形分に対して0.5〜40重量%、
好ましくは1〜20重量%の範囲で配合するのが適当で
ある。
【0026】上記オキサゾリジン化合物(II')は、全
樹脂固形分に対して0.5〜5重量%、好ましくは1〜
3重量%の範囲で配合するのが適当である。
【0027】セルロースエステル誘導体(III)及び変
性ビニル系共重合体(III') 本発明の被覆用組成物には、樹脂成分として、水酸基を
有するセルロースエステルに環状エステル類を開環グラ
フト重合させて得られるセルロースエステル誘導体(II
I)や、該セルロースエステル誘導体(III)とその他の
重合性不飽和モノマー(g)を共重合してなる変性ビニ
ル系共重合体(III')を乾燥性向上の点から配合するこ
とができる。水酸基を有するセルロースエステルに環状
エステル類を開環グラフト重合させて得られるセルロー
スエステル誘導体(III)は、上記グラフト共重合体
(I)の構成単位となるセルロースエステル誘導体
(a)成分の説明で述べたもの(セルロースエステル誘
導体(a)と同一物である必要はない。)が使用でき、
全樹脂固形分に対して0.5〜20重量%の範囲で配合
するのが適当である。また変性ビニル系共重合体(II
I')は、上記で述べたセルロースエステル誘導体(II
I)(セルロースエステル誘導体(III)やセルロースエ
ステル誘導体(a)と同一物である必要はない。)5〜
75重量%及びその他の重合性不飽和モノマー(g)2
5〜95重量%を共重合してなるイソシアネート基成分
を含まないグラフト共重合体である。その他の重合性不
飽和モノマー(g)としては、前記グラフト共重合体
(I)の構成単位となる重合性不飽和モノマー(b)の
説明で述べたモノマー(イソシアネート基含有モノマー
(f)及び活性水素含有モノマーを除く(h)。)から
適宜選択して使用できる。上記変性ビニル系共重合体
(III')は、全樹脂固形分に対して1〜30重量%の範
囲で配合するのが適当である。
【0028】グラフト共重合体(IV) また本発明の被覆用組成物には、樹脂成分として、エチ
レン性重合性モノマー類の共重合体、特にマクロモノマ
ー(m)3〜30重量%とその他の重合性不飽和モノマ
ー(j)70〜97重量%を共重合させてなるグラフト
共重合体(IV)を乾燥性向上の点から配合してもよい。
該マクロモノマーは、末端に重合性不飽和基を有するオ
リゴマー又はポリマーであり、従来公知の方法で製造さ
れたものが使用でき、特にガラス転移温度が、50℃以
上で重量平均分子量が1,000〜25,000である
ものが好適である。マクロモノマーとしては、メチルメ
タクリレートをセグメントとして持つメタクリロイル、
ブチルアクリレートをセグメントとして持つメタクリロ
イル等のオリゴマー又はポリマーが挙げられる。市販品
としては、東亜合成化学社製のAA−2、AA−6、A
B−2、AB−6などが挙げられる。上記その他の重合
性不飽和モノマー(j)としては、前記グラフト共重合
体(I)の構成単位となる重合性不飽和モノマー(b)
の説明で述べたモノマー(活性水素含有モノマー(h)
を除く。)から適宜選択して使用できる。該グラフト共
重合体(IV)は、全樹脂固形分に対して1〜20重量%
の範囲で配合するのが適当である。
【0029】さらに本発明組成物には、樹脂成分とし
て、非水分散樹脂(V)を耐久性、乾燥性向上の点から
配合してもよい。該非水分散樹脂(V)は、分散安定剤
の存在下に、モノマー(g)は溶解するが該モノマー
(g)から形成される重合体は実質的に溶解しない有機
液体中で、該モノマー(g)を重合することにより得ら
れるものであり、特に該非水分散樹脂(V)として、重
量平均分子量3,000〜150,000の重合体
(p)を分散安定剤として、この存在下、その他の重合
性不飽和モノマー(g)からモノマーを適宜選択し、重
合させて得られるガラス転移温度が0〜100℃の重合
体の粒子分散液が好適である。重合体(p)としては、
(メタ)アクリル、スチレン及びその共重合体等が挙げ
られる。該分散液中の非水分散樹脂(V)の濃度は10
〜60重量%であり、非水分散樹脂(V)は該分散液中
の樹脂分のことである。該非水分散樹脂(V)は、全樹
脂固形分に対して0.5〜50重量%、好ましくは1〜
30重量%の範囲で配合するのが適当である。
【0030】本発明の被覆用組成物は、前記グラフト共
重合体(I)を主成分とし、必要に応じて(II)〜
(V)の硬化剤や樹脂成分などを配合してなるものであ
るが、組成物全体として樹脂固形分中に含まれるイソシ
アネート基の含有率が0.5〜28.5重量%、好まし
くは3.0〜15.0重量%の範囲内となるように組成
を選択することが貯蔵安定性や塗膜物性の点から好適で
ある。
【0031】本発明の被覆用組成物には、さらに必要に
応じて顔料類、溶剤、紫外線吸収剤、硬化触媒、脱水剤
などの通常の塗料用添加剤を配合することができる。
【0032】本発明の被覆用組成物は希釈溶剤で塗装粘
度に調整するだけで塗装可能となる1液型の塗料として
使用できる。本発明の被覆用組成物の塗装方法として
は、スプレー塗り、ハケ塗り、ローラー塗り等の従来公
知の方法が利用でき、通常、乾燥膜厚10〜80μm程
度塗装される。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。尚、文中「部」及び「%」は夫々「重量部」及び
「重量%」を意味する。
【0034】[合成例例1および2] セルロースエステ
ル誘導体の合成 攪拌機、温度計、上部に乾燥管付き還流冷却管を備えた
反応器に、絶乾燥セルロースアセテート(ダイセル化学
工業(株)製、酢化度55%、置換度2.45、表1で
は酢綿と記す。)および精製ε−カプロラクトンを表1
に示す重量比率で加え、反応系内の水分濃度を0.1w
t%以下にして、180℃に加熱し、攪拌してセルロー
スアセテートを均一に溶解させた。溶解を確かめた後、
触媒としてオクチル酸スズ(スズII価)を0.24部を
滴下により加え、4時間反応させた後、グラフト物を反
応器より取り出した。
【0035】
【表1】
【0036】グラフト共重合体(I)の製造 [実施例1]撹拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下ロー
トを備えた反応器に、酢酸ブチル104部及び合成例1
で得られたセルロースエステル誘導体10部を仕込み、
窒素気流中で加熱し、100℃まで昇温し、セルロース
エステル誘導体が完全に溶解したことを確認した後、加
熱還流し、水分離器を通じてセルロースエステル誘導体
中の水分を除いた。次いで同温度で、重合性不飽和モノ
マーとして、スチレン9部、メチルメタクリレート2
2.5部、2−エチルヘキシルアクリレート9部、n−
ブチルアクリレート13.5部、i−ブチルメタクリレ
ート22.5部、イソシアネートエチルメタクリレート
13.5部、及び重合開始剤としてt−ブチルパーオキ
シベンゾエート3部の混合液を3時間かけて滴下し、さ
らに同温度で2時間熟成し、不揮発分約50%のグラフ
ト共重合体溶液(I−1)を得た。得られたグラフト共
重合体溶液及び共重合体の性状値を表2に示す。
【0037】[実施例2〜4及び比較例1、2]合成例1
又は2で得られたセルロースエステル誘導体、重合性不
飽和モノマー及び重合開始剤の混合液を表1に示す配合
とする以外は、実施例1と同様に行ない、グラフト共重
合体溶液(I−2)〜(I−6)を得た。得られたグラ
フト共重合体溶液及び共重合体の性状値を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】グラフト共重合体(IV)の製造 撹拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下ロートを備えた
反応器に、キシレン67部を仕込み、撹拌しながら12
0℃まで昇温し、「AA−6」(東亜合成化学社製、メ
チルメタクリレートをセグメントに持つメタクリロイル
系マクロモノマー)15部、その他の重合性不飽和モノ
マーとしてスチレン10部、メチルメタクリレート20
部、n−ブチルメタクリレート30部、i−ブチルメタ
クリレート15部、n−ブチルアクリレート10部、及
び重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘ
キサノエート3部の混合液を3時間かけて滴下し、さら
に同温度で2時間熟成した後、キシレン15部を加えて
希釈し,不揮発分55%のグラフト共重合体(IV)の溶
液を得た。
【0040】非水分散樹脂(V)の製造 撹拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下ロートを備えた
反応器に、キシレン70部を仕込み、撹拌しながら10
0℃まで昇温し、スチレン10部、n−ブチルメタクリ
レート25部、i−ブチルメタクリレート35部、t−
ブチルメタクリレート15部、2−エチルヘキシルメタ
クリレート15部及び2,2´−アゾビスイソブチロニ
トリル1.0部の混合液を3時間かけて滴下し、さらに
同温度で2時間熟成した後、キシレン30部を加えて希
釈し不揮発分50%、粘度Vの分散安定剤としての重合
体の溶液を得た。該重合体の重量平均分子量は45,0
00、ガラス転移温度は45℃であった。得られた分散
安定剤としての重合体の溶液133部及びヘプタン85
部を反応器に仕込み加熱還流させ、スチレン5部、メチ
ルメタクリレート23部、アクリロニトリル6部、メチ
ルアクリレート66部及び2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル1.5部の混合液を3時間滴下し、滴下後2
時間熟成を行って不揮発分52%、粘度EF、重合体粒
子の粒径0.3μmの乳白色の安定な重合体分散液を得
た。
【0041】1液型クリヤー塗料の作成 [実施例5〜14及び比較例3〜5]上記の通り得られた
グラフト共重合体溶液(I−1)〜(I−6)、並びに
ポリイソシアネート化合物、セルロースエステル誘導
体、変性ビニル系共重合体、グラフト共重合体(IV)、
及び非水分散樹脂(V)を、表3に示す配合で加えて混
合撹拌し、1液型クリヤー塗料を調製した。次いで各ク
リヤー塗料をトルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブ
チル=50/20/10/20重量比の組成のシンナー
にて13〜14秒(フォードカップ#4/25℃)にて
粘度調整し、室温(20℃)にて、市販ラッカープライ
マー、ラッカープライマーサーフェーサー、メタリック
ベースが順次塗装されてなる工程板上に、乾燥膜厚40
μmとなるようにスプレー塗装を行った後、塗膜性能試
験を行った。結果を表3に合わせて示す。
【0042】
【表3】
【0043】尚、表3中の(注1)〜(注4)及び試験
方法は下記の通りである。 (注1)ポリイソシアネート化合物:「N−350
0」、住友バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートのイソシアヌレート型、不揮発分100
%、NCO基含有量21.6% (注2)オキサゾリジン化合物:「IncozolL
V」、インダストリアルコポリマー社製、純度99% (注3)硬化触媒A:ジブチルスズジラウレート (注4)硬化触媒B:リン酸ジイソプロピルエステル 試験方法 乾燥性:20℃で塗装後、塗板を水平に20分間保った
後、温度20℃、湿度75%RHの恒温・恒湿室内に静
置し、塗膜表面にガーゼを8枚重ねたものを載せ、その
上に接触面積12.56cm2である200gの重りを
載せ、ガーゼ跡が全くつかなくなるまでの静置時間
(秒)を測定した。 塗膜硬度:20℃で塗装後、塗板を水平に20分間保っ
た後、温度20℃、湿度75%RHの恒温・恒湿室内に
1日又は7日間静置し、塗膜のツーコン硬度をAmerican
Chain & Cable Company製ツーコン硬度計を用いて20
℃条件下で測定した。数値が大きいほど硬質である。 仕上り外観:20℃で塗装後、塗板を水平に20分間保
った後、温度20℃、湿度75%RHの恒温・恒湿室内
に1日静置した塗板の塗膜の平滑性、肉持感と透明性を
目視判定した。 ○:良好 △:やや悪い ×:不良 促進耐候性:20℃で塗装後、塗板を水平に20分間保
った後、温度20℃、湿度75%RHの恒温・恒湿室内
に7日間放置した塗板をサンシャインウェザオメーター
にて1,000時間試験した後の塗面の変化の有無を確
認した。 ○:塗面にほとんど変化がない ×:塗面に水跡が認められ光沢低下が大きい。 貯蔵安定性:不揮発分45%の塗料を40℃で6ケ月間
密封保存したときの粘度の変化を評価した。 ○:粘度の変化がほとんどない △:多少増粘している ×:著しい増粘、あるいはゲル化を起こしている
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、毒性や刺激性の問題が
なく、乾燥性に優れ、膜物性を損なうことのない1液タ
イプの塗料やシーリング剤に有用な湿気硬化型のグラフ
ト共重合体及びこれを含む被覆用組成物が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 175/04 C09D 175/04 Fターム(参考) 4J026 AA02 AC33 AC34 BA27 BA29 BA30 BB02 DB02 DB12 DB13 FA04 GA01 4J034 BA02 BA03 BA09 CA02 CA13 CB01 CB02 CB07 CC02 CE01 DC12 DF11 DF12 DQ04 EA08 FA02 FB01 FB03 FC01 HA01 HA02 HC03 HC12 HC22 HC61 HC64 4J038 CA021 CA022 CC041 CC042 CC071 CC072 CG141 CG142 CG161 CG162 CH031 CH032 CH041 CH042 CH071 CH072 CH121 CH122 CH131 CH132 CH171 CH172 CP011 CP012 DB221 DB222 DG262 GA03 GA08 GA11 MA13 MA14 NA23 NA27 PB05 PB07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を有するセルロースエステルに環
    状エステル類を開環グラフト重合させて得られるセルロ
    ースエステル誘導体(a)1〜30重量%と重合性不飽
    和モノマー(b)70〜99重量%((a)と(b)の
    合計は100重量%である。)を共重合させてなるグラ
    フト共重合体(I)であり、グラフト共重合体へのイソ
    シアネート基成分の導入が、(i)重合性不飽和モノマ
    ー(b)の一部としてイソシアネート基含有不飽和モノ
    マー(f)を使用すること、又は(ii)重合性不飽和モ
    ノマー(b)の一部として活性水素含有重合性モノマー
    (h)を使用し、該活性水素含有重合性モノマー(h)
    にポリイソシアネート化合物(c)を反応させること
    (この場合、(b)と(c)の合計が上記(b)70〜
    99重量%に相当する。)により行われ、イソシアネー
    ト基含有量がグラフト共重合体(I)の0.5〜28.
    5重量%であることを特徴とするグラフト共重合体。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が2,000〜150,
    000であることを特徴とする請求項1に記載のグラフ
    ト共重合体。
  3. 【請求項3】 ガラス転移温度が0〜90℃であること
    を特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載のグラフト共重合
    体(I)、並びに、必要に応じて添加される少なくとも
    一種以上の下記成分:ポリイソシアネート化合物(I
    I)、セルロースエステル誘導体(III)、セルロースエ
    ステル誘導体(III)5〜75重量%及びその他の重合
    性不飽和モノマー(g)25〜95重量%((III)と
    (g)の合計は100重量%である。)を共重合してな
    るイソシアネート基成分を含まない変性ビニル系共重合
    体(III')、マクロモノマー(m)3〜30重量%とそ
    れ以外の重合性不飽和モノマー(j)((h)成分以外
    の(b)成分である。)70〜97重量%((m)と
    (j)の合計は100重量%である。)を共重合させて
    なるグラフト共重合体(IV)、及び非水分散樹脂(V)
    からなり、これら(I)、(II)、(III)、(II
    I')、(IV)、及び(V)の樹脂分の合計100重量%
    を全樹脂固形分として、全樹脂固形分中にグラフト共重
    合体(I)が50重量%以上含まれる被覆用組成物。
  5. 【請求項5】 全樹脂固形分中に、ポリイソシアネート
    化合物(II)が0.5〜40重量%含まれる請求項4に
    記載の被覆用組成物。
  6. 【請求項6】 ポリイソシアネート化合物(II)が、1
    分子中に少なくとも2個以上イソシアネート基を含有す
    る低分子化合物(d)、又はイソシアネート基含有不飽
    和モノマー(f)を構成単位として含んでなる重合体
    (e)である請求項5に記載の被覆用組成物。
  7. 【請求項7】 全樹脂固形分中に、セルロースエステル
    誘導体(III)が0.5〜20重量%含まれる請求項4
    〜6のいずれか1項記載の被覆用組成物。
  8. 【請求項8】 全樹脂固形分中に、変性ビニル系共重合
    体(III')が1〜30重量%含まれる請求項4〜7のい
    ずれか1項記載の被覆用組成物。
  9. 【請求項9】 全樹脂固形分中に、グラフト共重合体
    (IV)が1〜20重量%含まれる請求項4〜8のいずれ
    か1項記載の被覆用組成物。
  10. 【請求項10】 全樹脂固形分中に、非水分散樹脂
    (V)(樹脂分)が0.5〜50重量%未満含まれる請
    求項4〜9のいずれか1項記載の被覆用組成物。
  11. 【請求項11】 非水分散樹脂(V)が、重量平均分子
    量3,000〜150,000の重合体(p)である分
    散安定剤の存在下、非水溶媒中で重合性不飽和モノマー
    (g)を重合させて得られるガラス転移温度が0〜10
    0℃の重合体(q)の粒子の分散液中の樹脂分である請
    求項10記載の被覆用組成物。
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