JP2001064272A - ラクトン類の製造法 - Google Patents

ラクトン類の製造法

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JP2001064272A
JP2001064272A JP23688299A JP23688299A JP2001064272A JP 2001064272 A JP2001064272 A JP 2001064272A JP 23688299 A JP23688299 A JP 23688299A JP 23688299 A JP23688299 A JP 23688299A JP 2001064272 A JP2001064272 A JP 2001064272A
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hydrogenation
solvent
butyrolactone
catalyst
weight
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JP23688299A
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English (en)
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Kenji Kobayashi
健司 小林
Nagato Hamashima
長登 浜島
Takeshi Ishihara
毅 石原
Tatsumi Ichiki
達美 市来
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応混合物からのラクトン類の分離精製が容
易であり、かつラクトン類を除去した後の、溶媒を主成
分とする残部を精製することなく、水素化溶媒として循
環使用し得るラクトン類の製造方法を提供する。 【解決手段】 ジカルボン酸無水物を水素化してラクト
ン類を製造する方法において、生成するラクトン類の沸
点以上の沸点を持つ溶媒を使用し、かつ第VIII族から選
ばれる少なくとも一つの金属と、第I B族、第II A族、
第IV B族及び第VIIB族から成る群から選ばれる少なくと
も一つの金属とを含む触媒を使用し、更に、反応混合物
からラクトン類及びそれ未満の沸点を持つ物質を除去し
た後、残部を精製せずに水素化溶媒として循環使用する
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジカルボン酸無水
物を水素化してラクトン類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ラクトン類は、炭化水素と酸素を
気相で反応させてジカルボン酸類を含むガスを生成せし
め、次いで、得られたジカルボン酸類を触媒の存在下に
液相で水素化して製造されていた。該水素化に用いられ
る触媒としては、ルテニウム系触媒、ニッケル系触媒、
コバルト系触媒、パラジウム系触媒、銅‐クロム系触
媒、銅‐亜鉛系触媒等が知られている。
【0003】特開昭63‐218636号公報には、水性反応媒
体、及びパラジウム又はそのレニウムとの組合せ、及び
チタン、ジルコニウム、及びハフニウムの酸化物から成
る群から選ばれる少なくとも一の支持体を包含する触媒
の存在下で水素化するブチロラクトンの製造方法が開示
されている。該方法は、水性反応媒体、即ち、水又は水
溶性物質を含む水溶液を溶媒として使用するものであ
る。更に、上記の方法においては、水素化において、生
成するブチロラクトンより低沸点の溶媒を使用するた
め、高純度のブチロラクトンを得るためには、反応混合
物からまず溶媒を除去しなければならず、その後、溶媒
を除去して得られたブチロラクトン中に少なからず含ま
れる高沸点成分を除去しなければならない。従って、溶
媒の分離、続く高沸点成分の分離と工程が複雑になり、
コスト高を招く。また、これらの溶媒を使用すると水素
化に際して酸の生成が激しく、従って、水素化反応器等
を耐酸性にしなければならないという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ジカルボン
酸無水物を溶媒及び触媒の存在下に水素化してラクトン
類を製造するに際して、水素化後、反応混合物からのラ
クトン類の分離精製が容易であり、かつラクトン類を除
去した後の、溶媒を主成分とする残部を精製することな
く、そのまま水素化の溶媒として循環使用し得る方法を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1)ジカルボン酸無水物を溶媒及び触媒の存在下に水
素化してラクトン類を製造する方法において、溶媒とし
て、生成するラクトン類の沸点以上の沸点を持つ溶媒を
使用し、かつ触媒として、第VIII族から選ばれる少なく
とも一つの金属と、第I B族、第II A族、第IV B族及び
第VII B族から成る群から選ばれる少なくとも一つの金
属とを含む触媒を使用し、更に、水素化後の反応混合物
から生成したラクトン類及び該ラクトン類の沸点未満の
沸点を持つ物質を除去した後、残部を精製することなし
に、水素化の溶媒として循環使用することを特徴とする
方法である。
【0006】生成するラクトン類より低沸点の溶媒を使
用する従来法では、高純度のラクトン類を得るために
は、水素化後の反応混合物から溶媒、例えば水等を除去
した後、生成したラクトン類と高沸点成分とを分離する
操作が必要であった。一方、生成するラクトン類より高
沸点の溶媒を使用すれば、反応混合物から低沸点のラク
トン類を除去することで、高純度のラクトン類を得ると
いう目的は一応達成される。しかし、ラクトン類除去後
の溶媒中には高沸点成分が残存する。かかる高沸点成分
を溶媒から除去せずにそのまま溶媒として水素化に循環
使用すると、高沸点成分が溶媒中に蓄積し、ひいては触
媒の活性低下を引き起すという結果をもたらした。本発
明者らは、生成するラクトン類の沸点以上の沸点を持つ
溶媒を使用し、かつ溶媒中への高沸点成分の蓄積を防ぐ
ためには、いかなる手段を採用すればよいかを種々検討
した。その結果、生成するラクトン類の沸点以上の沸点
を持つ溶媒と上記の所定の触媒とを組合せれば、高沸点
成分の蓄積を防止でき、上記課題を解決し得ることを見
出した。とりわけ、溶媒として、芳香族カルボン酸エス
テル、環状脂肪族カルボン酸エステル又はラクトン類か
ら成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の溶媒を使用
し、かつ触媒として、パラジウムと銀、バリウム、ハフ
ニウム又はレニウムとの組合せを使用すれば、より良好
に本発明の効果を達成することができる。ここで高沸点
成分とは、使用する溶媒の沸点を超える沸点を持つ物質
を言う。
【0007】好ましい態様として、 (2)触媒として、パラジウムと銀を含む触媒、パラジ
ウムとバリウムを含む触媒、パラジウムとハフニウムを
含む触媒、又はパラジウムとレニウムを含む触媒を使用
する上記(1)記載の方法、
【0008】(3)パラジウム:銀、パラジウム:バリ
ウム、パラジウム:ハフニウム及びパラジウム:レニウ
ムの重量比が、いずれも1:0.1〜1:20である上
記(2)記載の方法、
【0009】(4)パラジウム:銀、パラジウム:バリ
ウム、パラジウム:ハフニウム及びパラジウム:レニウ
ムの重量比が、いずれも1:0.25〜1:10である
上記(2)記載の方法、
【0010】(5)パラジウム:銀、パラジウム:バリ
ウム、パラジウム:ハフニウム及びパラジウム:レニウ
ムの重量比が、いずれも1:0.5〜1:6である上記
(2)記載の方法、
【0011】(6)溶媒として、芳香族カルボン酸エス
テル、環状脂肪族カルボン酸エステル及びラクトン類か
ら成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の溶媒を使用す
る上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の方法、
【0012】(7)芳香族カルボン酸エステルが、o
‐、m‐又はp‐フタル酸のジアルキルエステルであ
り、環状脂肪族カルボン酸エステルが、o‐、m‐又は
p‐フタル酸水素化物のジアルキルエステルであり、こ
こで、各アルキル基の炭素原子数が4〜8個である上記
(6)記載の方法、
【0013】(8)芳香族カルボン酸エステルが、o
‐、m‐若しくはp‐フタル酸のジメチルエステル、ジ
エチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピル
エステル、ジブチルエステル、ジイソブチルエステル、
ジ(2‐ブチルエステル)又はジ(t‐ブチルエステ
ル)である上記(6)記載の方法、
【0014】(9)環状脂肪族カルボン酸エステルが、
ジヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フタル酸)、テトラ
ヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フタル酸)又はヘキサ
ヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フタル酸)のジメチル
エステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジ
イソプロピルエステル、ジブチルエステル、ジイソブチ
ルエステル、ジ(2‐ブチルエステル)又はジ(t‐ブ
チルエステル)である上記(6)記載の方法、
【0015】(10)芳香族カルボン酸エステルが、o
‐、m‐若しくはp‐フタル酸のジイソブチルエステル
又はジブチルエステルである上記(6)記載の方法、
【0016】(11)環状脂肪族カルボン酸エステル
が、ヘキサヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フタル酸)
のジイソブチルエステル又はジブチルエステルである上
記(6)記載の方法、
【0017】(12)ラクトン類がγ‐ブチロラクトン
である上記(6)記載の方法、
【0018】(13)水素化に供されるジカルボン酸無
水物の濃度が、溶媒に対して1〜50重量%である上記
(1)〜(12)のいずれか一つに記載の方法、
【0019】(14)水素化に供されるジカルボン酸無
水物の濃度が、溶媒に対して3〜40重量%である上記
(1)〜(12)のいずれか一つに記載の方法、
【0020】(15)ジカルボン酸無水物が、無水コハ
ク酸及び/又は無水マレイン酸である上記(1)〜(1
4)のいずれか一つに記載の方法、
【0021】(16)ジカルボン酸無水物の水素化生成
物が、γ‐ブチロラクトンに加えて、テトラヒドロフラ
ン及び/又はブタンジオールを含む上記(1)〜(1
5)のいずれか一つに記載の方法を挙げることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の水素化においては、触媒
として、第VIII族から選ばれる少なくとも一つの金属
と、第I B族、第II A族、第IV B族及び第VII B族から成
る群から選ばれる少なくとも一つの金属とを含む触媒が
使用される。好ましくは、第VIII族から選ばれる金属が
パラジウムであり、かつ第I B族、第II A族、第IV B族
及び第VIIB族から選ばれる金属が銀、バリウム、ハフニ
ウム及びレニウムである。特に好ましくは、パラジウム
と銀を含む触媒、パラジウムとバリウムを含む触媒、パ
ラジウムとハフニウムを含む触媒、又はパラジウムとレ
ニウムを含む触媒が使用される。上記の触媒において、
パラジウム:銀、パラジウム:バリウム、パラジウム:
ハフニウム及びパラジウム:レニウムの重量比は、いず
れも好ましくは1:0.1〜1:20、より好ましくは
1:0.25〜1:10、特に好ましくは1:0.5〜
1:6である。本発明の触媒を使用することにより、水
素化後の反応混合物から生成したラクトン類及び該ラク
トン類の沸点未満の沸点を持つ物質を除去した後、溶媒
を主成分とする残部を精製することなしに、そのまま水
素化の溶媒として循環使用しても溶媒中に高沸点成分が
蓄積しない。
【0023】上記触媒は、好ましくは担体と組合せて使
用される。担体としては公知のものを使用することがで
き、例えば、黒鉛化炭素類、黒鉛類、活性炭素類、シリ
カ類、アルミナ類、シリカ/アルミナ類、ジルコニア類
等が挙げられる。
【0024】本発明の水素化における溶媒としては、製
品として生成するラクトン類の沸点以上の沸点を持つ溶
媒が使用される。好ましくは、芳香族カルボン酸エステ
ル、環状脂肪族カルボン酸エステル又はラクトン類から
成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の溶媒が使用され
る。芳香族カルボン酸エステルは、より好ましくはo
‐、m‐若しくはp‐フタル酸のジアルキルエステル
(ここで、各アルキル基の炭素原子数は4〜8個であ
る)であり、特に好ましくはo‐、m‐若しくはp‐フ
タル酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロ
ピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジブチルエス
テル、ジイソブチルエステル、ジ(2‐ブチルエステ
ル)又はジ(t‐ブチルエステル)である。環状脂肪族
カルボン酸エステルは、より好ましくはo‐、m‐若し
くはp‐フタル酸水素化物のジアルキルエステル(ここ
で、各アルキル基の炭素原子数は4〜8個である)であ
り、特に好ましくはジヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐
フタル酸)、テトラヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フ
タル酸)又はヘキサヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フ
タル酸)のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプ
ロピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジブチルエ
ステル、ジイソブチルエステル、ジ(2‐ブチルエステ
ル)又はジ(t‐ブチルエステル)である。これら溶媒
のうち、とりわけ、o‐、m‐若しくはp‐フタル酸又
はヘキサヒドロ(o‐、m‐若しくはp‐フタル酸)の
ジイソブチルエステル又はジブチルエステル、あるいは
γ‐ブチロラクトンが好ましい。
【0025】本発明において、水素化に供されるジカル
ボン酸無水物の濃度は、溶媒に対して、上限が好ましく
は50重量%、より好ましくは40重量%、特に好まし
くは30重量%であり、下限が好ましくは1重量%、よ
り好ましくは3重量%、特に好ましくは5重量%であ
る。上記上限を超えては、水素化において発生する反応
熱の除去が困難となり、上記下限未満では、ラクトン類
の製造効率が悪くなるため好ましくない。
【0026】ジカルボン酸無水物としては、好ましくは
炭素数3〜7個の飽和又は不飽和のジカルボン酸の無水
物が挙げられ、特に好ましくは無水マレイン酸、無水コ
ハク酸が使用される。
【0027】本発明における水素化生成物はラクトン類
であり、これに加えて、ラクトン類が更に水素化された
物質を含んでいてもよい。ジカルボン酸無水物として無
水コハク酸及び/又は無水マレイン酸を使用した際に
は、水素化生成物はγ‐ブチロラクトンであり、これに
加えて、テトラヒドロフラン及び/又は1,4−ブタン
ジオールを含むことができる。
【0028】本発明の方法における水素化の条件は下記
の通りである。水素化温度は、好ましくは120〜300℃、
特に好ましくは170〜250℃であり、水素化反応系内の圧
力は、好ましくは常圧〜10MPa、特に好ましくは1〜9MPa
である。また、水素/無水マレイン酸のモル比は、好ま
しくは3〜5,000、特に好ましくは5〜1,500である。ガス
空間速度は、好ましくは100〜30,000hr−1、特に好ま
しくは200〜15,000 hr−1であり、液空間速度は、好
ましくは0.05〜10hr−1、特に好ましくは0.1〜5hr
−1である。
【0029】該水素化反応は、バッチ式又は連続式のい
ずれにおいても実施することができる。触媒は固定床又
は流動床のいずれにおいて使用してもよい。
【0030】本発明の方法によれば、水素化後の反応混
合物からラクトン類例えばγ‐ブチロラクトン、及び該
ラクトン類の沸点未満の沸点を持つ物質例えばテトラヒ
ドロフラン等を除去した後、溶媒を主成分とする残部を
精製することなしに、即ち、溶媒から高沸点成分を除去
することなしに、そのまま水素化の溶媒として循環使用
することができる。
【0031】溶媒としてのγ‐ブチロラクトンは、ジカ
ルボン酸無水物、好ましくは無水コハク酸及び/又は無
水マレイン酸を水素化してγ‐ブチロラクトンを製造す
る際に使用され得る。この際、水素化後の反応混合物か
ら製品として除去されるγ‐ブチロラクトンの量は、溶
媒として循環使用されるγ‐ブチロラクトンが系内でバ
ランスするような量であることが好ましい。水素化後の
反応混合物からγ‐ブチロラクトンと、該γ‐ブチロラ
クトンの沸点未満の沸点を持つ物質、例えばテトラヒド
ロフラン等が除去され、次いで、γ‐ブチロラクトンを
主成分とする残部は、更に精製されて高沸点成分を除去
されることなく、そのまま水素化の溶媒として循環使用
される。
【0032】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0033】
【実施例】<触媒調製> (1)触媒:2%Pd−2%Re/C 3.358グラムのPd(NO及び1.973グラムのReO
を、6.72グラムのアセトニトリル及び21.9グラムの蒸留
水に均一に溶解した後、更に蒸留水を加えて、全体の体
積を64ミリリットルにした。担体としては、活性炭[粒
状白鷺Gc(商標)、4/8インチ、武田薬品工業株式会社
製]を粉砕分級し、粒度1〜2mmのものを使用した。上記
溶液を該活性炭72グラムに含浸させ、次いで4時間室温
にて放置した後、120℃で15時間加熱し、触媒前駆体を
得た。得られた触媒前駆体を水素気流中で室温から280
℃まで11時間かけて昇温し、該温度で5時間保持した
後、室温まで放冷した。その後、水素気流を窒素気流に
切り替え、水素を完全に置換した後、0.5体積%の酸素
を含む窒素気流中に発熱がおさまるまで放置した後に回
収した。 (2)触媒:2%Pd−2%Hf/C 1.973グラムのReOに代えて、2.728グラムのHfCl
を使用した以外は、上記(1)と同じく調製した。 (3)触媒:2%Pd−2%Ba/C 1.973グラムのReOに代えて、2.893グラムのBa(N
O)を使用した以外は、上記(1)と同じく調製し
た。 (4)触媒:2%Pd−2%Ag/C 1.973グラムのReOに代えて、2.359グラムのAg(N
O)を使用した以外は、上記(1)と同じく調製した。 (5)触媒:2%Pd−2%W/C 1.973グラムのReOに代えて、3.279グラムのWCl
使用した以外は、上記(1)と同じく調製した。 (6)比較触媒:2%Pd/C 1.973グラムのReOを使用しなかった以外は、上記
(1)と同じく調製した。
【0034】<触媒の反応器への充填及び還元処理>上
記(1)〜(6)において調製した触媒について、いず
れも下記のようにして反応器への充填及び還元処理を実
施した。内径15mm、長さ600mmのSUS316鋼製反応器に粒
度1〜2mmの触媒を10ミリリットル充填した。触媒充填
後、反応器内を窒素ガスにて十分に置換した後、窒素ガ
ス空間速度(GHSV)を1500hr‐1に設定し、かつ反応器
内の圧力を3kg/cmGに設定して、窒素ガスを室温にて
反応器内に流した。次に、同一条件下において、窒素ガ
スを0.1体積%の水素を含む窒素ガスに切り替えて反応器
内に流しつつ、反応器内の触媒層の温度を120℃まで昇
温した。該温度において反応器の入口と出口における水
素濃度が等しくなったことを確認した後、触媒層の温度
を更に160℃まで徐々に昇温した。160℃まで昇温した
後、該温度で、ガス中の水素濃度を0.1体積%から0.5体
積%までゆっくりと増加し、次いで、170℃まで徐々に昇
温した。続いて、該温度で、ガス中の水素濃度を0.5体
積%から100体積%までゆっくりと増加し、100%の水素ガ
スに切り替わった後、200℃まで徐々に昇温して、触媒
の還元を終えた。上記の昇温過程及びガス中の水素濃度
を増加する過程においては、反応器の入口と出口の水素
濃度が等しくなるようにゆっくりと昇温しかつゆっくり
と水素濃度を増加し、反応器の入口と出口の水素濃度が
相違したときは、該濃度が等しくなるまでその温度又は
水素濃度に保持した。
【0035】
【実施例1】触媒として、上記のようにして調製し、か
つ反応器へ充填して還元処理した2%Pd−2%Re/C触媒を
使用した。溶媒として、高沸点成分を含まないγ‐ブチ
ロラクトン(GBL)を使用し、これに原料の無水マレ
イン酸(MAH)を溶解して、その濃度が30重量%とな
るように調製した。次いで、該溶液を4ミリリットル/
時間及び水素ガスを40リットル/時間で上記の触媒を
充填した反応器に供給し、温度200℃及び圧力3MPa
の条件下で約100時間連続運転して無水マレイン酸の
水素化を実施した。原料の無水マレイン酸に対するγ‐
ブチロラクトン収率は96.1モル%であり、反応混合
物中の高沸点成分濃度は0.13重量%であった。
【0036】次いで、この反応混合物からγ‐ブチロラ
クトンより低沸点の物質を除去した後、続いてγ‐ブチ
ロラクトンの一部を除去した。残部は、0.29重量%
の高沸点成分を含むγ‐ブチロラクトンであった。
【0037】溶媒として該γ‐ブチロラクトンを使用し
て、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該溶
液中の高沸点成分濃度は0.20重量%となった。該溶
液を上記と同一の触媒及び条件下で約100時間連続運
転して再度無水マレイン酸の水素化を実施した。原料の
無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率が9
5.9モル%であり、反応混合物中の高沸点成分濃度は
0.20重量%であった。
【0038】
【実施例2】実施例1の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施し、高沸点成分濃度0.13重量%の
反応混合物を得た。
【0039】この反応混合物からγ‐ブチロラクトンよ
り低沸点の物質を除去した後、続いてγ‐ブチロラクト
ンの一部を除去した。残部は、0.51重量%の高沸点
成分を含むγ‐ブチロラクトンであった。
【0040】溶媒として該γ‐ブチロラクトンを使用し
て、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該溶
液中の高沸点成分濃度は0.36重量%となった。該溶
液を第一回目の水素化と同一の触媒及び条件下で約10
0時間連続運転して再度無水マレイン酸の水素化を実施
した。原料の無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクト
ン収率が96.3モル%であり、反応混合物中の高沸点
成分濃度は0.35重量%であった。
【0041】
【実施例3】実施例1の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施し、高沸点成分濃度0.13重量%の
反応混合物を得た。
【0042】この反応混合物からγ‐ブチロラクトンよ
り低沸点の物質を除去した後、続いてγ‐ブチロラクト
ンの一部を除去した。残部は、0.74重量%の高沸点
成分を含むγ‐ブチロラクトンであった。
【0043】溶媒として該γ‐ブチロラクトンを使用し
て、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該溶
液中の高沸点成分濃度は0.52重量%となった。該溶
液を第一回目の水素化と同一の触媒及び条件下で約10
0時間連続運転して再度無水マレイン酸の水素化を実施
した。原料の無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクト
ン収率が96.0モル%であり、反応混合物中の高沸点
成分濃度は0.52重量%であった。
【0044】
【実施例4】触媒として、上記のようにして調製し、か
つ反応器へ充填して還元処理した2%Pd−2%Ag/C触媒を
使用した。
【0045】実施例1の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施した。原料の無水マレイン酸に対する
γ‐ブチロラクトン収率が96.5モル%であり、反応
混合物中の高沸点成分濃度は0.15重量%であった。
【0046】次いで、この反応混合物からγ‐ブチロラ
クトンより低沸点の物質を除去した後、続いてγ‐ブチ
ロラクトンの一部を除去した。残部は、0.29重量%
の高沸点成分を含むγ‐ブチロラクトンであった。
【0047】溶媒として該γ‐ブチロラクトンを使用し
て、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該溶
液中の高沸点成分濃度は0.20重量%となった。該溶
液を第一回目の水素化と同一の触媒及び条件下で約10
0時間連続運転して再度無水マレイン酸の水素化を実施
した。原料の無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクト
ン収率が95.7モル%であり、反応混合物中の高沸点
成分濃度は0.19重量%であった。
【0048】
【比較例1】触媒として、上記のようにして調製し、か
つ反応器へ充填して還元処理した2%Pd/C触媒を使用し
た。
【0049】実施例1の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施した。原料の無水マレイン酸に対する
γ‐ブチロラクトン収率が85.0モル%であり、反応
混合物中の高沸点成分濃度は1.98重量%であった。
【0050】次いで、この反応混合物からγ‐ブチロラ
クトンより低沸点の物質を除去した後、続いてγ‐ブチ
ロラクトンの一部を除去した。残部は、3.01重量%
の高沸点成分を含むγ‐ブチロラクトンであった。
【0051】溶媒として該γ‐ブチロラクトンを使用し
て、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該溶
液中の高沸点成分濃度は2.11重量%となった。該溶
液を第一回目の水素化と同一の触媒及び条件下で約10
0時間連続運転して再度無水マレイン酸の水素化を実施
した。第二回目の水素化開始20時間後において、原料
の無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率が5
6.3モル%、反応混合物中の高沸点成分濃度は12.
1重量%であり、既に触媒の著しい活性低下が認められ
た。
【0052】
【比較例2】実施例1の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施し、高沸点成分濃度0.13重量%の
反応混合物を得た。
【0053】この反応混合物からγ‐ブチロラクトンよ
り低沸点の物質を除去した後、続いてγ‐ブチロラクト
ンの一部を除去した。残部は、0.29重量%の高沸点
成分を含むγ‐ブチロラクトンであった。
【0054】溶媒として該γ‐ブチロラクトンを使用し
て、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該溶
液中の高沸点成分濃度は0.20重量%となった。
【0055】触媒として、上記のようにして調製し、か
つ反応器へ充填して還元処理した2%Pd/C触媒を使用し
て、該溶液を第一回目の水素化と同一の条件下で約10
0時間連続運転して再度無水マレイン酸の水素化を実施
した。原料の無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクト
ン収率が80.2モル%であり、反応混合物中の高沸点
成分濃度は3.02重量%であった。
【0056】
【実施例5】溶媒として、ヘキサヒドロ(o‐フタル
酸)のジイソブチルエステル(DIBE)を使用して無水マ
レイン酸の5重量%溶液を調製し、かつ該溶液を24ミ
リリットル/時間で反応器に供給した以外は、上記の実
施例1の前半と同一の条件において水素化を実施した。
原料の無水マレイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率
が96.1モル%であり、反応混合物中の高沸点成分濃
度は0.12重量%であった。
【0057】この反応混合物から生成したγ‐ブチロラ
クトン及びそれより低沸点の物質を除去した後、続いて
ヘキサヒドロ(o‐フタル酸)のジイソブチルエステル
の一部を除去した。残部は、高沸点成分濃度が0.32
重量%のヘキサヒドロ(o‐フタル酸)のジイソブチル
エステルであった。
【0058】溶媒として該ヘキサヒドロ(o‐フタル
酸)のジイソブチルエステルを使用して、無水マレイン
酸の5重量%溶液を調製した。該溶液中の高沸点成分濃
度は0.30重量%となった。該溶液を第一回目の水素
化と同一の触媒及び条件下で約100時間連続運転して
再度無水マレイン酸の水素化を実施した。原料の無水マ
レイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率が95.4モ
ル%であり、反応混合物中の高沸点成分濃度は0.30
重量%であった。
【0059】
【実施例6】触媒として、上記のようにして調製し、か
つの反応器へ充填して還元処理した2%Pd−2%Hf/C触媒
を使用した。
【0060】実施例5の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施した。原料の無水マレイン酸に対する
γ‐ブチロラクトン収率が96.9モル%であり、反応
混合物中の高沸点成分濃度は0.15重量%であった。
【0061】この反応混合物を実施例5と同様に処理し
て、高沸点成分濃度が0.32重量%のヘキサヒドロ
(o‐フタル酸)のジイソブチルエステルを得た。
【0062】溶媒として該ヘキサヒドロ(o‐フタル
酸)のジイソブチルエステルを使用して、無水マレイン
酸の5重量%溶液を調製した。該溶液中の高沸点成分濃
度は0.30重量%となった。該溶液を第一回目の水素
化と同一の触媒及び条件下で約100時間連続運転して
再度無水マレイン酸の水素化を実施した。原料の無水マ
レイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率が96.3モ
ル%であり、反応混合物中の高沸点成分濃度は0.30
重量%であった。
【0063】
【実施例7】触媒として、上記のようにして調製し、か
つの反応器へ充填して還元処理した2%Pd−2%Ba/C触媒
を使用した。
【0064】実施例5の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施した。原料の無水マレイン酸に対する
γ‐ブチロラクトン収率が94.2モル%であり、反応
混合物中の高沸点成分濃度は0.12重量%であった。
【0065】この反応混合物を実施例5と同様に処理し
て、高沸点成分濃度が0.32重量%のヘキサヒドロ
(o‐フタル酸)のジイソブチルエステルを得た。
【0066】溶媒として該ヘキサヒドロ(o‐フタル
酸)のジイソブチルエステルを使用して、無水マレイン
酸の5重量%溶液を調製した。該溶液中の高沸点成分濃
度は0.30重量%となった。該溶液を第一回目の水素
化と同一の触媒及び条件下で約100時間連続運転して
再度無水マレイン酸の水素化を実施した。原料の無水マ
レイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率が93.1モ
ル%であり、反応混合物中の高沸点成分濃度は0.30
重量%であった。
【0067】
【実施例8】触媒として、上記のようにして調製し、か
つの反応器へ充填して還元処理した2%Pd−2%W/C触媒
を使用した。
【0068】実施例5の前半と同様にして無水マレイン
酸の水素化を実施した。原料の無水マレイン酸に対する
γ‐ブチロラクトン収率が90.7モル%であり、反応
混合物中の高沸点成分濃度は0.13重量%であった。
【0069】この反応混合物を実施例5と同様に処理し
て、高沸点成分濃度が0.32重量%のヘキサヒドロ
(o‐フタル酸)のジイソブチルエステルを得た。
【0070】溶媒として該ヘキサヒドロ(o‐フタル
酸)のジイソブチルエステルを使用して、無水マレイン
酸の5重量%溶液を調製した。該溶液中の高沸点成分濃
度は0.30重量%となった。該溶液を第一回目の水素
化と同一の触媒及び条件下で約100時間連続運転して
再度無水マレイン酸の水素化を実施した。原料の無水マ
レイン酸に対するγ‐ブチロラクトン収率が89.2モ
ル%であり、反応混合物中の高沸点成分濃度は0.30
重量%であった。
【0071】上記の実施例1〜8及び比較例1〜2の結
果を表1に示す。表1中、第一回目水素化及び第二回目
水素化におけるγ‐ブチロラクトンの収率及び反応混合
物中の高沸点成分濃度は、比較例1の第二回目水素化に
おいて運転開始20時間後に採取した試料を使用した以
外は、いずれも第一回目水素化及び第二回目水素化の夫
々の運転開始100時間後において採取した試料につい
てのガスクロマトグラフィー測定の結果から求めたもの
である。
【0072】
【表1】 *1:第一回目の水素化に使用した触媒Pd-Re/第二回目の
水素化に使用した触媒Pd表1中、各略語は下記の内容を
示す。 GBL:γ‐ブチロラクトン DIBE:ヘキサヒドロ(o‐フタル酸)のジイソブチルエ
ステル
【0073】実施例1は、触媒としてPd-Reを使用し、
溶媒としてγ‐ブチロラクトンを使用したものである。
第一回目の水素化後に反応混合物中の高沸点成分濃度は
0.13重量%へと増加した。しかし、溶媒として、第
一回目水素化後の高沸点成分を含むγ‐ブチロラクトン
を循環使用した第二回目の水素化において、高沸点成分
濃度の増加は認められず、第二回目の水素化前後で0.
20重量%と一定であった。γ‐ブチロラクトンの収率
は第一回目の水素化における収率と殆ど変らなかった。
実施例2及び3は、第二回目の水素化における反応器へ
の供給液中の高沸点成分濃度を実施例1に比べて高くし
たものである。いずれの場合にも、第二回目の水素化前
後において高沸点成分濃度の増加は認められなかった。
γ‐ブチロラクトンの収率は第一回目の水素化における
収率と殆ど変らなかった。実施例4は、触媒としてPd-A
gを使用したものである。上記と同様に第二回目の水素
化前後において高沸点成分濃度の増加は認められず、γ
‐ブチロラクトンの収率も第一回目の水素化における収
率と殆ど変らなかった。
【0074】一方、比較例1は、触媒としてPdを使用し
たものである。第二回目の水素化後に高沸点成分濃度の
著しい増加が認められた。γ‐ブチロラクトンの収率は
第一回目の水素化における収率と比較して著しく低下し
た。第二回目の水素化開始20時間後、既に触媒の著し
い活性低下が認められた。比較例2は、第一回目の水素
化においては触媒としてPd-Reを使用し、第二回目の水
素化においては触媒としてPdを使用したものである。第
二回目の水素化における反応器への供給液中の高沸点成
分濃度を実施例1と同じく0.20重量%とした。第二
回目の水素化前後で高沸点成分濃度の著しい増加が認め
られた。γ‐ブチロラクトンの収率は第一回目の水素化
における収率と比較して著しく低下した。
【0075】実施例5〜8は、溶媒としてDIBEを使用
し、かつ種々の触媒を使用したものである。いずれの場
合にも、第二回目の水素化前後の高沸点成分濃度の増加
は認められなかった。γ‐ブチロラクトンの収率も第一
回目の水素化における収率と殆ど変らなかった。
【0076】このように本発明の方法を使用すれば、水
素化後の溶媒から高沸点成分を除去せずに、高沸点成分
を含む溶媒をそのまま水素化に循環使用しても反応混合
物中の高沸点成分濃度が増加して溶媒中に蓄積すること
がない。従って、γ‐ブチロラクトン収率もほぼ一定に
保つことができることが分かった。
【0077】
【実施例9】触媒として、上記のようにして調製し、か
つの反応器へ充填して還元処理した2%Pd−2%Re/Cを使
用した。溶媒として、水素化開始後100時間までは高
沸点成分を含まないγ‐ブチロラクトンを使用した。こ
れに原料の無水マレイン酸(MAH)を溶解して、その濃
度が30重量%となるように調製した。次いで、該溶液
を4ミリリットル/時間及び水素ガスを40リットル/
時間で上記の触媒を充填した反応器に供給し、温度20
0℃及び圧力3MPaの条件下で連続運転して無水マレイ
ン酸の水素化を実施した。
【0078】上記水素化により製造された反応混合物か
ら、γ‐ブチロラクトンより低沸点の物質を除去した
後、続いて製品とするγ‐ブチロラクトンを溶媒として
のγ‐ブチロラクトンがバランスする量で除去した。残
部は、0.29重量%の高沸点成分を含むγ‐ブチロラ
クトンであった。
【0079】該γ‐ブチロラクトンを溶媒として循環使
用して無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。該
溶液中の高沸点成分濃度は0.20重量%となった。該
溶液を上記と同一の触媒及び条件下で該溶液がなくなる
まで更に約100時間連続運転を継続した。
【0080】次いで、順次、この反応混合物からγ‐ブ
チロラクトンより低沸点の物質を除去した後、続いて製
品とするγ‐ブチロラクトンを、溶媒としてのγ‐ブチ
ロラクトンがバランスする量で除去した。残部は、0.
29重量%の高沸点成分を含むγ‐ブチロラクトンであ
った。
【0081】該γ‐ブチロラクトンを溶媒として循環使
用して、無水マレイン酸の30重量%溶液を調製した。
該溶液中の高沸点成分濃度は0.20重量%となった。
該溶液を上記と同一の触媒及び条件下で水素化した。
【0082】このような溶媒の循環使用を水素化開始約
100時間後から1000時間後まで継続した。運転開
始1000時間後は、溶媒を再び高沸点成分を含まない
γ‐ブチロラクトンに変更し、更に約100時間水素化
を継続した。
【0083】
【比較例3】触媒として、上記のようにして調製し、か
つの反応器へ充填して還元処理した2%Pd/C触媒を使用
した。溶媒として、水素化開始後100時間までは実施
例9と同じく高沸点成分を含まないγ‐ブチロラクトン
を使用し、同一条件下で連続運転して無水マレイン酸の
水素化を実施した。
【0084】水素化開始100時間経過後に、溶媒とし
て、予め調製した0.29重量%の高沸点成分を含むγ
‐ブチロラクトンを使用して、無水マレイン酸の30重
量%溶液を調製した。該溶液中の高沸点成分濃度は0.
20重量%となった。該溶液を上記と同一の触媒及び条
件下で更に約400時間水素化を継続した。
【0085】水素化開始500時間後、溶媒を再び高沸
点成分を含まないγ‐ブチロラクトンに代えて更に約1
00時間水素化を継続した。
【0086】上記の実施例9及び比較例3の結果を表2
に示す。表2中、γ‐ブチロラクトンの収率及び高沸点
成分濃度は、各時間において採取した試料についてのガ
スクロマトグラフィー測定の結果から求めたものであ
る。
【0087】
【表2】 表2中、各略語は下記の内容を示す。 GBL:γ‐ブチロラクトン
【0088】実施例9は、触媒としてPd-Reを使用し、
溶媒としてγ‐ブチロラクトンを使用して溶媒の循環使
用により、無水マレイン酸の水素化を連続的に行ったも
のである。水素化開始100時間までは、溶媒として、
高沸点成分を含まないγ‐ブチロラクトンを使用した。
水素化後に反応混合物中の高沸点成分濃度は0.12〜
0.13重量%へと増加した。次いで、該溶媒を循環使
用して水素化を継続した。表2中、水素化開始121時
間後がその結果を示している。高沸点成分濃度は水素化
前後で変化なく0.20重量%であった。また、γ‐ブ
チロラクトンの収率は、高沸点成分を含まないγ‐ブチ
ロラクトンを使用した水素化における収率と殆ど変らな
かった。その後、水素化後の溶媒を順次循環使用した。
表2中、水素化開始359時間後、717時間後、98
6時間後がその結果を示している。いずれも、高沸点成
分濃度は水素化前後で殆ど変化がなかった。また、γ‐
ブチロラクトンの収率は、高沸点成分を含まないγ‐ブ
チロラクトンを使用した水素化における収率と殆ど変ら
なかった。水素化開始1000時間後は、溶媒を高沸点
成分を含まないγ‐ブチロラクトンに再び戻して水素化
を継続したものである。水素化開始100時間以内の結
果と殆ど変らず、触媒の活性が継続して維持されている
ことが分かった。
【0089】比較例3は、触媒としてPdを使用し、溶媒
としてγ‐ブチロラクトンを使用して溶媒の循環使用に
より、実施例9と同様にして無水マレイン酸の水素化を
連続的に行ったものである。但し、比較例1の結果か
ら、溶媒を実施例9のように循環使用すれば、反応混合
物中の高沸点成分濃度が著しく増加し、かつγ‐ブチロ
ラクトンの収率が著しく低下することが容易に予想され
た。そこで、水素化開始100時間後は、供給液中の高
沸点成分濃度が0.20重量%と実施例9と同じになる
ように予め溶媒を調製してそれを使用して水素化を実施
した。水素化開始100時間までは、溶媒として、高沸
点成分を含まないγ‐ブチロラクトンを使用した。水素
化後に反応混合物中の高沸点成分濃度は1.98〜1.
99重量%へと著しく増加した。次いで、水素化開始1
00時間後から500時間後までは、上記のように供給
液中の高沸点成分濃度を0.20重量%として水素化を
継続した。表2中、水素化開始119時間後、363時
間後、486時間後がその結果を示している。いずれ
も、高沸点成分濃度は水素化後に著しく増加した。ま
た、γ‐ブチロラクトンの収率は、高沸点成分を含まな
いγ‐ブチロラクトンを使用した水素化における収率と
比べて著しく低下した。更に、水素化時間の経過と共に
高沸点成分濃度は増加し、γ‐ブチロラクトンの収率は
低下した。水素化開始500時間後は、溶媒として、高
沸点成分を含まないγ‐ブチロラクトンに再び戻して水
素化を継続した。水素化開始100時間以内の結果と比
べて、水素化後に高沸点成分濃度の著しい増加が認めら
れ、かつγ‐ブチロラクトンの収率も著しく低下し、明
らかな触媒活性の低下が認められた。
【0090】
【発明の効果】本発明は、ジカルボン酸無水物を溶媒及
び触媒の存在下に水素化してラクトン類を製造するに際
して、水素化後、反応混合物からのラクトン類の分離精
製が容易であり、かつラクトン類を除去した後の、溶媒
を主成分とする残部を精製して高沸点成分を除去するこ
となく、水素化の溶媒として循環使用し得る方法を提供
するものである。
フロントページの続き (72)発明者 市来 達美 神奈川県横浜市保土ヶ谷区瀬戸ケ谷町190 −1−607 Fターム(参考) 4C037 EA02 4H039 CA40 CB10 CB40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸無水物を溶媒及び触媒の存
    在下に水素化してラクトン類を製造する方法において、
    溶媒として、生成するラクトン類の沸点以上の沸点を持
    つ溶媒を使用し、かつ触媒として、第VIII族から選ばれ
    る少なくとも一つの金属と、第I B族、第II A族、第IV
    B族及び第VII B族から成る群から選ばれる少なくとも一
    つの金属とを含む触媒を使用し、更に、水素化後の反応
    混合物から生成したラクトン類及び該ラクトン類の沸点
    未満の沸点を持つ物質を除去した後、残部を精製するこ
    となしに、水素化の溶媒として循環使用することを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】 触媒として、パラジウムと銀を含む触
    媒、パラジウムとバリウムを含む触媒、パラジウムとハ
    フニウムを含む触媒、又はパラジウムとレニウムを含む
    触媒を使用する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 パラジウム:銀、パラジウム:バリウ
    ム、パラジウム:ハフニウム及びパラジウム:レニウム
    の重量比が、いずれも1:0.1〜1:20である請求
    項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 溶媒として、芳香族カルボン酸エステ
    ル、環状脂肪族カルボン酸エステル及びラクトン類から
    成る群から選ばれる一つ又はそれ以上の溶媒を使用する
    請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 ラクトン類がγ‐ブチロラクトンである
    請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 ジカルボン酸無水物が、無水コハク酸及
    び/又は無水マレイン酸である請求項1〜5のいずれか
    一つに記載の方法。
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