JP2001064158A - リポソーム - Google Patents

リポソーム

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JP2001064158A
JP2001064158A JP2000190860A JP2000190860A JP2001064158A JP 2001064158 A JP2001064158 A JP 2001064158A JP 2000190860 A JP2000190860 A JP 2000190860A JP 2000190860 A JP2000190860 A JP 2000190860A JP 2001064158 A JP2001064158 A JP 2001064158A
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liposome
compound
inhibitors
basic compound
drug
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JP2000190860A
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Masayo Kondo
真代 近藤
Takashi Harikae
貴志 張替
Junji Kimura
順治 木村
Masashi Isozaki
正史 磯崎
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薬物を封入し、酸性領域下で炎症部位や腫瘍部
位などのpHが低下した標的部位へのターゲッティング
性が非常に高い薬物運搬体を得る。 【解決手段】構成成分が、塩基性化合物、リン酸モ
ノエステル誘導体またはカルボキシル基またはその塩を
有する化合物である酸性化合物、および他のリポソー
ム構成成分からなるリポソームにより達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬物を内包するリ
ポソームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、薬物、DNA、ペプチドおよびタ
ンパク質を目的の部位、例えば癌、肺炎、肝炎、腎炎、
リンパ腫、血管内皮損傷部位などの病巣部位に確実に、
効率良くかつ安全に薬物のターゲッティングが行えるド
ラッグデリバリーシステム(DDS)の研究が盛んにな
ってきている。
【0003】例えば、リポソーム、エマルジョン、リピ
ッドマイクロスフェア、ナノパーテイクルなどの閉鎖小
胞を薬物運搬体として利用する方法、高分子合成ポリマ
−ミセルや多糖体等の高分子運搬体に薬物を包含または
結合させる方法、これら閉鎖小胞や高分子運搬体に抗
体、蛋白質等の高分子機能性分子や、特定の糖鎖、ペプ
チド等の低分子機能性分子で表面を修飾して標的指向性
を高める方法などが挙げられる。しかしながら、これら
薬物運搬体の実用化に際しては、克服すべき様々な問題
点があり、中でも生体側の異物認識機構からの回避や、
体内動態の制御の困難さが問題となっている。特に閉鎖
小胞は、血液中のオプソニン蛋白質や血しょう蛋白質と
の相互作用による凝集や、肝臓、脾臓等の細網内皮系組
織(RES)での捕捉のため、標的とする組織や細胞へ
の選択性の高い送達が困難な状況であった。
【0004】この問題点を解決する手段として、これら
閉鎖小胞をはじめとする高分子運搬体の表面をポリエチ
レングリゴ−ル(PEG)等の親水性高分子で被覆する
ことにより、血しょう蛋白やオプソニン蛋白質などの吸
着を防止して血中安定性を高め、RESでの捕捉を回避
することが可能となってきた。リポソームのような閉鎖
小胞は、高い血中滞留性を得られることにより、腫瘍組
織や炎症部位などの血管透過性が亢進した組織に受動的
に集積させられるようになり、効率よく治療できるよう
になった。一方、上記の修飾に基づいた閉鎖小胞が、R
ESを回避する性質を得た場合、リポソームと標的組織
との相互作用が低下する。これにより、閉鎖小胞の標的
組織への送達が向上する反面、標的組織における細胞に
よる閉鎖小胞の取り込みの効率が低下し、その結果該閉
鎖小胞に封入された薬物の細胞への送達の効率が低下し
たり、血液中の蛋白などの生体成分との相互作用により
引き起こされるリポソームの崩壊が抑制されその結果該
閉鎖小胞に封入された薬物の放出速度が低下するなどの
弊害がある。
【0005】これまでに多くの塩基性化合物を膜成分と
して含有するリポソームが遺伝子を細胞内へ運搬するた
めのツールとして研究されている。各種の塩基性化合物
を膜に含むリポソームは陰性荷電を持つ物質との親和性
を持つが、特に細胞表面には、ヘパラン硫酸などの硫酸
化多糖類の様な陰性電荷の物質により構成されるため、
塩基性化合物を含有するリポソームは細胞膜との親和性
が強いことが期待される。しかし、このような塩基性化
合物を含有するリポソームは、血液中に投与されると、
血清中のタンパク質や赤血球膜表面などの陰性荷電の物
質と結合してしまうため、その表面電荷が変化してしま
うか、あるいは、血中で凝集を起こしてしまい、細胞膜
との親和性能が失われてしまうことが問題とされてい
た。従って、血流中ではタンパク質や細胞との相互作用
がなく安定に循環するが、病巣部位においてのみ細胞と
の相互作用が強まり、薬物を細胞へ送達できるようなド
ラッグデリバリーシステムが望まれる。
【0006】これら問題を解決するため、各種の環境応
答性薬物運搬体、すなわち疾病に起因する環境変化、ま
たは、正常組織と病巣部位の環境の相違に応答して性質
が変化する薬物運搬体が検討されている。例えば、腫瘍
や炎症などの病巣部位では局所のpHが正常な組織より
も低下することが知られており(V.Menkin,Biochemical
Mechanism in Inflammation, Thomas, Spingfield, II
I, pp.69-7(1956))、このような病変部位でのpH変化
による環境に応答して薬物を放出したり、ターゲッティ
ングすることを目的とした検討が試みられている(Bioc
him Biophys Acta,1329(2),291-301(1997)、FEBS,421
(1),61-4(1998))。しかしながら、pHの変化に応答
し、その標的指向性が向上するリポソームの報告はされ
ていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の標的
指向性リポソームの欠点を克服し、任意の環境変化に応
答する標的指向性リポソームを提供するためになされた
ものである。すなわち、本発明の目的は、薬物、DN
A、ペプチドおよびタンパク質を病巣部位におけるpH
変化により速やかに標的指向性能を発揮するリポソーム
を提供することである。
【0008】本発明のリポソームは、循環血液中のよう
な生理的pH条件では、陰性電荷の物質との相互作用は
弱く、そのため、細胞やタンパク質などとの相互作用は
少ないため、血液中でも安定であるが、炎症部位や腫瘍
部位などのpHが低下した標的部位では、陰性荷電の物
質との相互作用が増強されて、細胞親和性が向上し、標
的部位に効率的に集積し、また、標的部位以外では集積
が抑えられる結果、副作用の軽減などの効果が期待され
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の本発明
により解決される。 (1)本発明は、治療および/または診断を目的とする
薬物を内包するリポソームであって、膜構成成分とし
て、塩基性化合物、リン酸モノエステル誘導体また
はカルボキシル基またはその塩を有する化合物から選択
される酸性化合物、および、以外のリポソーム膜
構成成分からなるリポソームである。 (2)本発明は、治療および/または診断を目的とする
薬物を内包するリポソームであって、膜構成成分とし
て、塩基性化合物、リン酸モノエステル誘導体また
はカルボキシル基またはその塩を有する化合物から選択
される酸性化合物、および他のリポソーム膜構成成分
からなり、炎症部位や腫瘍部位などの病巣部位でpHが
5〜7の環境下において、能率的に集積するリポソーム
である。
【0010】(3)本発明は、上記(1)に記載のリポ
ソームであって、塩基性化合物のモル比が全リポソーム
膜構成成分中1〜30mol%であるリポソームである。 (4)本発明は、上記(1)に記載のリポソームであっ
て、リン酸モノエステル誘導体またはカルボン酸誘導体
である酸性化合物のモル比が全リポソーム膜構成成分中
0.5〜30mol%であるリポソームである。 (5)本発明は、前記塩基性化合物が、下記式1から4
のいずれかに示される塩基性化合物である(1)に記載
のリポソームである。
【0011】
【化7】
【0012】(式1中、Aは芳香環を表す。R1 及びR
2 は炭素数10〜25のアルキル基またはアルニケル基
を表し、R1 およびR2 は同一であっても異なっていて
もよい。X1 およびX2 は−O−、−S−、−COO
−、−OCO−、−CONH−またはNHCO−を表
し、X1 およびX2 は同一であっても異なっていてもよ
い。mは0または1、nは0または1〜6の整数を表
す。)
【0013】
【化8】
【0014】(式2中、R3 は水素または炭素数1〜8
のアルキル基もしくはアルニケル基を表す。R5 および
6 は水素または炭素数1〜25のアルキル基もしくは
アルニケル基を表し(但し、R5 およびR6 が共に水素
である場合を除く。)、R5 およびR6 は同一であって
も異なっていてもよい。X3 は−O−または−S−を表
す。pは0または1、qは0または1〜10の整数を表
す。)
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】(6)本発明は、前記塩基性化合物が、4
級アミン又は3級アミンを有する塩基性化合物である上
記(1)に記載のリポソームである。 (7)本発明は、前記塩基性化合物が、下記式5から6
のグループから選ばれる上記(1)記載のリポソームで
ある。
【化11】 (式5中R7 およびR8 は、炭素数1〜8のアルキル基
またはアルケニル基を表し、R7 およびR8 は同一であ
っても異なってもよい。X4 およびX5 は−O−または
−OCO−を表し、X4 およびX5 は同一であっても異
なってもよい。R 9 およびR10は炭素数10〜20のア
ルキル基またはアルケニル基を表し、R9およびR10
同一であっても異なってもよい。tは1〜6の整数を表
す。)
【化12】 (式6中、R7 ,R8 およびR9 は、炭素数1〜8のア
ルキル基またはアルケニル基を表し、R7 、R8 および
9 は同一であっても異なってもよい。X4 およびX5
は−O−または−OCO−を表し、X4 およびX5 は同
一であっても異なってもよい。R9 およびR10は炭素数
10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し、R
9 およびR10は同一であっても異なってもよい。tは1
〜6の整数を表す。)
【0018】(8)本発明は、前記リン酸モノエステル
誘導体が、リン酸プレドニゾロン、リン酸リボフラビ
ン、ホスファチジン酸から選ばれる上記(1)に記載の
リポソームである。
【0019】(9)本発明は、前記カルボキシル基また
はその塩を有する化合物である酸性化合物が、脂肪酸で
ある上記(1)に記載のリポソームである。 (10)本発明は、前記脂肪酸が、オレイン酸、ステア
リン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸である上記(9)
に記載のリポソームである。
【0020】(11)本発明は、前記他のリポソーム膜
構成成分が、リン脂質あるいはその誘導体、および/ま
たはステロールまたはその誘導体である上記(1)に記
載のリポソームである。 (12)本発明は、前記治療および/または診断を目的
とする薬物が、抗癌剤、抗生物質、酵素剤、酵素阻害
剤、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、抗炎
症剤、ステロイド剤、血管拡張剤、アンジオテンシン変
換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、平滑筋
細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤,抗凝固
剤、ケミカルメデイエーターの遊離抑制剤、血管内皮細
胞の増殖または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、メ
サンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、
免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤、メイラード反
応抑制剤,アミロイドーシス阻害剤、NOS阻害剤、A
GEs 阻害剤あるいはラジカルスカベンチャーである上
記(1)に記載のリポソームである。
【0021】(13)本発明は、前記治療および/また
は診断を目的とする薬物が、核酸、ポリヌクレオチド、
遺伝子およびその類縁体である上記(1)に記載のリポ
ソームである。 (14)本発明は、前記治療および/または診断を目的
とする薬物が、グリコサミノグリカンおよびその誘導体
である上記(1)に記載のリポソームである。 (15)本発明は、前記治療および/または診断を目的
とする薬物が、オリゴおよび/または多糖、およびそれ
らの誘導体である上記(1)に記載のリポソームであ
る。 (16)本発明は、前記治療および/または診断を目的
とする薬物が、タンパク質またはペプチドである上記
(1)に記載のリポソームである。 (17)本発明は、前記治療および/または診断を目的
とする薬物が、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学
診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等の各種体内診断薬で
ある上記(1)に記載のリポソームである。 (18)治療および/ または診断を目的とする薬物を
内包するリポソーム基質に、pH6.5とpH7.4の
リン酸緩衝液中におけるリポソームへのコンドロイチン
硫酸Cの吸着量比が、pH6.5における吸着量/pH
7.4における吸着量≧1.5となるように塩基性化
合物とリン酸モノエステル誘導体またはカルボキシル
基またはその塩を有する化合物である酸性化合物とを添
加して、リポソームの病巣部位への集積率を高める方
法。
【0022】本発明のリポソームには、表面修飾剤とし
て親水性高分子の脂質誘導体を必要に応じ加えることが
でき、その分子量は、1000〜7000が望ましい。
前記親水性高分子の脂質誘導体としては、ポリエチレン
グリコール誘導体が望ましく、特にポリエチレングリコ
ール鎖とジアシルグリセロールを一分子内に含む化合物
が望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明のリポソームの構成成分は、それ単
独で、膜に埋め込まれたときに、生理的pH付近から酸
性条件下では膜に正電荷を与える塩基性化合物と、それ
単独で膜に埋め込まれたときに生理的pHでは陰電荷を
持つが、生理的pH付近から酸性側ではイオン化が抑制
されて陰電荷が減少するような酸性化合物と、その他の
リポソーム構成成分からなり、小球状の構造を形成し、
かつ安全性があれば特に限定せず使用することができ
る。
【0024】ここで、生理的pH条件とは、生体内のp
H、すなわち7.4前後、概ね7.2から7.6の範囲
である。生理的pH付近より酸性側とは、pH7.4付
近より酸性側、概ねpH6〜8の範囲で酸性側を指す。
この領域から解離が抑制される酸性化合物であれば塩基
性化合物との組み合わせにより性能を発揮することが期
待される。しかし、pH4以下のような極端な酸性領域
でのみ解離が抑制される化合物、例えばリン酸ジエステ
ル誘導体などはこのような作用を持たないため、本発明
の酸性化合物には含まれないことは後述する実施例によ
り明らかにされる。
【0025】具体的な本発明のリポソームの膜構成成分
として、上記式1から6のいずれかに示される塩基性化
合物、およびリン酸モノエステル誘導体またはカルボキ
シル基またはその塩を有する化合物である酸性化合物、
およびその他のリポソーム膜構成成分があげられ、小球
状の構造を形成し、かつ安全性があるものであれば特に
限定せず使用することができる。
【0026】上記式1から4のいずれかに示される塩基
性化合物としては、どれも適選使用できるが、特に、ア
ミジン誘導体、ピペリジン誘導体、1級アミン誘導体、
2級アミン誘導体、3級アミン誘導体、4級アミン誘導
体などが望ましい。塩基性化合物の量は、全リポソーム
膜構成成分中の1〜30、さらには、5〜30mol%であ
るのが好ましい。この範囲であると、pHが5〜7の炎
症部位や腫瘍部位などの病巣部位への集積性が向上す
る。
【0027】リン酸モノエステル誘導体とは、ホスホネ
ート基(phosphonato )を有する化合物をいい、ホスホ
ネート基とは、
【0028】
【化13】 6 、X7 は水素またはナトリウム、カリウムなどの医
薬上許容されるカチオンを表わし、X6 、X7 は同一で
あっても異なっていてもよい。リポソームの構造安定を
損なうものでなければ特に限定されない。具体的には、
リン酸プレドニゾロンなどのステロイドのリン酸エステ
ル、リン酸リボフラビン、ホスファチジン酸などがあげ
られる。特に、リン酸モノエステル誘導体の酸性化合物
は、pH酸性領域下で、炎症部位や腫瘍部位などの病巣
部位に特異的に集積するため、本発明のリポソームの構
成成分として望ましい。
【0029】カルボキシル基またはその塩を有する化合
物は、−COOX8 基を有する化合物であり、X8 は水
素またはナトリウム、カリウムなどの医薬上許容される
カチオンを表わす。脂肪酸としては、リポソームの構造
安定を損なうものでなければ特に限定されない。具体的
には、天然または合成の、オレイン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ミリスチン酸、リノレン酸等があげられ
る。リン酸モノエステル誘導体またはカルボン酸誘導体
である酸性化合物の量は、全リポソーム膜構成成分中の
0.5〜30mol%であるのが好ましい。この範囲である
と、pHが5〜7の炎症部位や腫瘍部位などの病巣部位
への集積性が向上する。
【0030】本発明は、リポソーム膜構成成分として
塩基性化合物に加えて特定の酸性化合物を加えること
が特徴であり、従来、脂質として使用されているホスフ
ァチジルコリンはリン酸ジエステル化合物ではあるが、
1分子の中に酸性基と塩基性基を有する双性イオン性化
合物なので生理的pH付近で中性である。
【0031】前記塩基性化合物および前記酸性化合物を
除く、他のリポソーム膜構成成分としては、リン脂質や
コレステロール等のステロールがあげられる。リン脂質
としては、例えばホスファチジルコリン(レシチン)、
ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノー
ルアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノ
シトール、スフィアンゴミエリン、カルジオリピン等の
天然または合成のリン脂質、これらを常法に従って水素
添加したものが挙げられる。
【0032】本発明のリポソーム膜は、さらに安定化剤
を含んでもよく、例えば、膜流動性を低下させるコレス
テロール等のステロール、グリセロール、シュクロース
等の糖類が挙げられる。酸化防止剤は、例えば、トコフ
ェロール同族体、即ち、ビタミンEが挙げられる。トコ
フェロールにはα、β、γおよびδの4個が異性体で存
在するが、本発明にはいずれも用いることができる。
【0033】リポソーム表面を修飾する親水性高分子の
脂質誘導体は、リポソームの構造安定を損なうものでな
ければ特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコー
ル、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニル
アルコール、合成ポリアミノ酸、アミロース、アミロペ
クチン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カ
ラギーナン、及びこれらの誘導体が挙げられる。中でも
ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコール
誘導体が望ましい。
【0034】親水性高分子の脂質誘導体の分子量は、1
000〜7000であるのが好ましい。特に分子量10
00〜7000のポリエチレングリコールおよびポリエ
チレングリコール誘導体は、血中滞留性を向上させる効
果が顕著であり、好ましい。ポリエチレングリコール誘
導体は、特に限定されないが、ポリエチレングリコール
鎖とジアシルグリセロールを一分子内に有する化合物で
あるのが望ましい。
【0035】リポソーム表面を親水性高分子により修飾
するには、様々な方式が挙げられ、特に限定されない
が、前記親水性高分子を長鎖脂肪族アルコール、ステロ
ール、ポリオキシプロピレンアルキル、またはグリセリ
ン脂肪酸エステル、リン脂質等の疎水性化合物と結合さ
せて、前記疎水性化合物の部分をリポソーム表面へ挿入
する方式が好ましい。
【0036】診断および/または治療のための薬物は、
目的に応じて、薬学的に許容し得る薬理的活性物質、生
理的活性物質および/または診断用物質を用いることが
できる。薬物の種類としては、リポソームの形成を損な
うものでなければ特に限定されない。
【0037】具体的には、抗癌剤、抗生物質、酵素剤、
抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、抗炎症
剤、ステロイド剤、血管拡張剤、アンジオテンシン変換
酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、平滑筋細
胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤,抗凝固剤、
ケミカルメデイエーターの遊離阻害剤、血管内皮細胞の
増殖促進または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、メ
サンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、
免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤、メイラード反
応抑制剤、アミロイドーシス阻害剤、一酸化窒素合成阻
害剤、Advanced glycation endproducts阻害剤、ラジカ
ルスカベンチャー、タンパク質、ペプチド、核酸、ポリ
ヌクレオチド、遺伝子およびその類縁体などが挙げられ
る。
【0038】例えば、抗癌剤の例としては、シクロホス
ファミド、イホスファミド、塩酸ナイトロジェンマスタ
ード−N−オキシド、チオテパ、ブルスファン、カルボ
コン、塩酸ニムスチン、ラニムスチン、メルファラン、
トシル酸インプロスルファン、ダカルバジン、塩酸プロ
カルバジン、シタラビン、シタラビンオクスファート、
エノシタビン、メルカプトプリン、チオイノシン、フル
オロウラシル、ドキシフルリジン、テガフール、メトト
レキサート、カルモフール、ヒドロキシカルバミド、硫
酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシ
ン、エトポシド、クロモマイシンA3 、塩酸ダウノルビ
シン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アラクルビシン、ピラ
ルビシン、塩酸エピルビシン、ダクチノマイシン、塩酸
ミトキサントロン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマ
イシン、マイトマイシンC、ネオカルノスタチン、L−
アスパラギナーゼ、アセグラトンミトプロニトール、デ
キストラン硫酸ナトリウム、酢酸オクトレオチド、シス
プラチン、カルボプラチン、クエン酸タモキシフェン、
酢酸メドロキシプロゲステロン、リン酸エストラムスチ
ンナトリウム、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロレリ
ン、塩酸イリノテカンなどが挙げられる。
【0039】抗生物質の例としては、ベンジルペニシリ
ンカリウム、ベンジルペニシリンベンザチン、フェノキ
シメチルペニシリンカリウム、フェネチシリンカリウ
ム、クロキサシリンナトリウム、フルクロキサシリンナ
トリウム、アンピシリン、トシル酸スルタミシリン、塩
酸バカンピシリン、塩酸タランピシリン、レナンピシリ
ン、ヘタシリンカリウム、シクラシリン、アモキシシリ
ン、塩酸ピブメシリナム、アスポキシシリン、カルベニ
シリンナトリウム、カリンダシリンナトリウム、スルベ
ニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウム、ピペラ
シリンナトリウム、セファロリジン、セファロチンナト
リウム、セファゾリンナトリウム、セファピリンナトリ
ウム、セフラジン、セファレキシン、セファトリジンプ
ロピレングリコール、セフロキサジン、セファクロル、
セファドロキシル、塩酸セフォチアム、塩酸セフォチア
ムヘキセチル、セフロキシムナトリウム、セフロキシム
アキセチル、セファマンドールナトリウム、セフジニ
ル、塩酸セフェタメトピポキシル、セフチプテン、セフ
メタゾールナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セ
フォテタンナトリウム、セフミノクスナトリウム、セフ
プペラゾンナトリウム、セフピラミドナトリウム、セフ
スロジンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフ
ォペラゾンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、塩
酸セフメノキシム、セフトリアキソンナトリウム、セフ
タジジム、セフピミゾールナトリウム、セフィキシム、
セフテラムピポキシル、セフゾナムナトリウム、セフポ
ドキシプロキセチル、セフォジジム、硫酸セフピロム、
ラタモキセフナトリウム、フロモキセフナトリウム、イ
ミペネム、シラスタチンナトリウム、アズトレオナム、
カルモナムナトリウム、硫酸ステレプトマイシン、硫酸
カナマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸アミカシ
ン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸パロモマイシン、硫酸ペ
カナマイシン、硫酸リポスタマイシン、硫酸ジベカシ
ン、トブラマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ミスロノ
マイシン、硫酸アストロマイシン、硫酸ネチルマイシ
ン、硫酸イセパマイシン、硫酸アルベカシン、エリスロ
マイシン、キタサマイシン、アセチルキタサマイシン、
リン酸オレアンドマイシン、ジョサマイシン、アセチル
スピラマイシン、ミデカマイシン、酢酸ミデカマイシ
ン、ロキタマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロ
マイシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサ
イクリン、メタリン酸テトラサイクリン、塩酸デメチル
クロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、塩酸
ドキシサイクリン、塩酸ミノサイクリン、クロラムフェ
ニコール、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、
パルミチン酸クロラムフェニコール、チアンフェニコー
ル、塩酸アミノ酢酸チアンフェニコール、硫酸コリスチ
ン、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、硫酸ポリ
ミキシンB、バシトラシン、塩酸バンコマイシン、塩酸
リンコマイシン、クリンダマイシン、塩酸スペクチノマ
イシン、ホスホマイシンナトリウム、ホスホマイシンカ
ルシウムなどが挙げられる。
【0040】酵素剤の例としては、キモトリプシン、結
晶トリプシン、ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナ
ーゼ、ヒアルロニダーゼ、ウロキナーゼ、ナサルプラー
ゼ、アルテプラーゼ、塩化リゾチーム、セミアルカリプ
ロティナーゼ、セラペプターゼ、チソキナーゼ、デュテ
プラーゼ、バトロキソビン、プロナーゼ、プロメライン
などが挙げられる。
【0041】抗酸化剤の例としては、トコフェロール、
アスコルビン酸、尿酸などが挙げられる。
【0042】抗炎症剤の例としては、サリチル酸コリ
ン、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、
ジフルニサル、フルフェナム酸、メフェナム酸、フロク
タフェニン、トルフェナム酸、ジクロフェナクナトリ
ム、トルメチンナトリウム、スリンダク、フェンブフェ
ン、フェルビナクエチル、インドメタシン、インドメタ
シンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログル
メタシン、アンフェナクナトリウム、ナブメトン、イブ
プロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェン
アキセチル、ケトプロフェン、ナプロキセン、プロチジ
ン酸、プラノプロフェン、フェノプロフェンカルシウ
ム、チアプロフェン酸、オキサプロジン、ロキソプロフ
ェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェ
ン、フェニルブタゾン、クロフェゾン、ケトフェニルブ
タゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカ
ム、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、塩酸ベンジダミ
ン、エピリゾール、エルモファゾンなどが挙げられる。
【0043】ステロイド剤の例としては酢酸コルチゾ
ン、ヒドロコルチゾン(リン酸エステル、酢酸塩)、酪
酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリ
ウム、プレドニゾロン(アセテート、サクシネート、第
三級ブチル酢酸エステル、リン酸エステル)、メチルプ
レドニゾロン(アセテート)、コハク酸メチルプレドニ
ゾロンナトリウム、トリアムシノロン、トリアムシノロ
ンアセトニド(酢酸トリアムシノロン)、デキサメタゾ
ン(リン酸エステル、酢酸塩、リン酸ナトリウム塩、硫
酸エステル)、パルミチン酸デキサメタゾン、ベタメタ
ゾン(リン酸塩、2ナトリウム塩)、酢酸パラメタゾ
ン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ハロプレドン、プロ
ピオン酸クロベタゾール、ハルシノニド、プロピオン酸
ベクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾ
ン、酢酸コルチゾンなどが挙げられる。
【0044】アンジオテンシン変換酵素阻害剤の例とし
ては、アラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸テモカプ
リル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリ
ル、シラザプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプ
リルなどが挙げられる。血管拡張剤の例としては、テオ
フィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、アミノ
フィリン、コリンテオフィリン、プロスタグランジン、
プロスタグランジン誘導体、アルプロスタジルアルファ
デクス、アルプロスタジル、リマプロストアルファデク
ス、パパベリン、シクランデラート、シンナリジン、フ
マル酸ベンシクラン、マレイン酸シネパジド、塩酸ジラ
ゼプ、トラピジル、塩酸ジフェニドール、ニコチン酸、
イノシトールヘキサニコチネート、クエン酸ニカメター
ト、酒石酸ニコチニックアルコール、ニコチン酸トコフ
ェロール、ヘプロニカート、塩酸イソクスプリン、硫酸
バメタン、塩酸トラリゾン、メシル酸ジヒドロエルゴト
キシン、酒石酸イフェンプロジル、塩酸モキシシリト、
ニセルゴリン、塩酸ニカルジピン、ニルバジピン、ニフ
ェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、ニソル
ジピン、ニトレンジピン、塩酸マニジピン、塩酸バルニ
ジピン、塩酸エホニジピン、塩酸ベラパミル、塩酸トリ
メタジジン、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、
アラセプリル、塩酸デラプリル、シラザプリル、リシノ
プリル、塩酸ベナゼプリル、塩酸ヒドララジン、塩酸ト
ドララジン、ブドララジン、カドララジン、インダパミ
ド、塩酸カルボクロメン、エフロキサート、塩酸エタフ
ェノン塩酸オキシフェドリン、ニコランジル、亜硝酸ア
ミル、硝酸イソソルビドなどが挙げられる。
【0045】平滑筋細胞遊走・増殖抑制剤の例として
は、ヘパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム(低
分子ヘパリン)、ヘパリンカルシウム、デキストラン硫
酸などが挙げられる。
【0046】血小板凝集阻害剤の例としては、塩酸チク
ロピジン、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベ
ラプロストナトリウム、塩酸サルプグレラート、バトロ
キソビン、ジピリダモールなどが挙げられる。
【0047】抗凝固剤の例としては、ヘパリンナトリウ
ム、ダルテパリンナトリウム(低分子ヘパリン)、ヘパ
リンカルシウム、デキストラン硫酸、ワルファリンカリ
ウム、アルガトロバンなどが挙げられる。
【0048】ケミカルメディエーター遊離抑制剤の例と
しては、トラニラスト、フマル酸ケトフェチン、塩酸ア
ゼラスチン、オキサトミド、アンレキサノクス、レピリ
ナストなどが挙げられる。
【0049】免疫抑制剤の例としては、シクロスポリン
などが挙げられる。
【0050】抗ウイルス剤の例としては、アシクロビ
ル、ガンシクロビル、ジダノシン、ジドブジン、ソリブ
ジン、ビダラビンなどが挙げられる。
【0051】また、封入する診断するための薬剤の種類
としては、薬物担体の形成を損ねない限り特に限定され
るものではない。具体的には、X線造影剤、放射性同位
元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等が挙
げられる。
【0052】例えば、X線造影剤の例としては、アミド
トリゾ酸メグルミン、イオタラム酸ナトリウム、イオタ
ラム酸メグルミン、ガストログラフィン、ヨーダミドメ
グルミン、リピオドールウルトラフルイド、アジピオド
ンメグルミン、イオキサグル酸、イオトロクス酸メグル
ミン、イオトロラン、イオパノ酸、イオパミドール、イ
オヘキソール、イオベルソール、イオポダートナトリウ
ム、イオメプロール、イソペーク、ヨードキサム酸など
が挙げられる。
【0053】本発明のリポソームは、常法によって容易
に得ることができる。その一例を以下に示す。塩基性化
合物、酸性化合物、およびその他のリン脂質、安定化
剤、酸化防止剤等の構成成分を、フラスコ内のクロロホ
ルム等の有機溶媒中で混合し、有機溶媒を留去した後、
真空乾燥することによりフラスコ内壁に薄膜を形成させ
る。次に前記フラスコ内に薬物を加え、激しくかくはん
することにより、リポソーム分散液を得る。得られたリ
ポソーム分散液を遠心分離し、上製をデカンテーション
して封入されなかった薬物を除去する。必要に応じ、更
に、親水性高分子の脂質誘導体の溶液を加えて加温する
ことにより、本発明のリポソームが得られる。
【0054】なお、親水性高分子の脂質誘導体の溶液を
構成成分の混合時に加えることによっても、本発明のリ
ポソームが得られる。親水性高分子の脂質誘導体の溶液
を添加する方法は、いずれのときでも特に問題はない
が、構成成分の混合時に添加する方法ではリポソーム内
部にも親水性高分子の脂質誘導体が入ることとなり、実
質的な表面修飾率の低下と内封容積の低下を招く場合が
ある。
【0055】また、別の方法として、上記の構成成分を
混合し、高圧吐出型乳化機により高圧吐出させることに
より本発明のリポソームを得ることもできる。
【0056】本発明のリポソームの投与方法としては、
特に限定せず、溶液として静脈投与することなどで行わ
れる。本発明のリポソームは、生体内に投与すると炎症
部位や腫瘍部位などのpH酸性の領域に特異的に集積
し、他の領域では集積が抑えられることから、抗炎症剤
や抗腫瘍剤などの運搬体として適しており、これらの薬
剤の効力を効果的に発揮させ、かつ副作用を軽減するな
どの効果がある。
【0057】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 (実施例1) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩(塩
基性化合物)およびミリスチン酸(脂肪酸)を構成成分
とするリポソームの調製 (1−) まず、ホスファチジルコリン4.62mmo
l、コレステロール4.62mmol、3,5−ジペンタデ
シロキシベンズアミジン塩酸塩0.76mmolをt−ブチ
ルアルコール100mlに溶解させた脂質混合溶液を氷浴
で凍結し、一晩凍結乾燥を行い脂質混合物を得た。
【0058】(1−) (1−)の手法により得ら
れた脂質混合物0.06mmolを容量50mlのナス型フラ
スコにはかり取り、1.14mMのミリスチン酸/クロロ
ホルム溶液を2ml加えた。クロロホルムを除去した後、
一晩真空乾燥することによりフラスコ内壁に脂質薄膜を
形成した。これに生理食塩水6mlを加え、55℃で5分
間超音波処理することにより、リポソーム分散液を得
た。これを孔径0.4μm のポリカーボネートフィルム
を用いて圧送し、ついで0.2μm 、0.1μm のポリ
カーボネートフィルムを用いて圧送することによって整
粒を行い、平均粒子径が90〜200nmの標記のリポソ
ーム分散液を得た。本発明の塩基性化合物が7.3mo
l%、本発明の酸性化合物が3.7mol%である標記のリ
ポソーム分散液を得た。得られたリポソームの平均粒子
径は125.5nmであった。
【0059】(実施例2) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩およ
びホスファチジン酸(リン酸モノエステル誘導体)を構
成成分とするリポソームの調製 上記(1−)の手法により得られた脂質混合物0.0
6mmolを容量50mlのナス型フラスコにはかり取り、
1.14mMのホスファチジン酸/クロロホルム溶液を
0.5ml加えた。クロロホルムを除去した後、一晩真空
乾燥することによりしフラスコ内壁に脂質薄膜を形成し
た。これに生理食塩水6mlを加え、55℃で5分間超音
波処理することにより、リポソーム分散液を得た。以
下、上記(1−)と同様の方法により、平均粒子径が
90〜200nmで本発明の塩基性化合物が7.5mol
%、本発明の酸性化合物が0.9mol%である標記のリ
ポソーム分散液を得た。得られたリポソームの平均粒子
径は130.7nmであった。
【0060】(実施例3) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩(塩
基性化合物)およびリン酸プレドニゾロンナトリウム
(リン酸モノエステル誘導体)を構成成分とするリポソ
ームの調製 上記(1−)の手法により得られた脂質混合物0.6
mmolに75mMリン酸プレドニゾロンナトリウム水溶液1
0mlを加え、55℃で5分間超音波処理することによ
り、リポソーム分散液を得た。これを孔径0.4μm の
ポリカーボネートフィルムを用いて圧送し、ついで0.
2μm 、0.1μm のポリカーボネートフィルムを用い
て圧送することによって整粒を行った。得られたリポソ
ーム分散液をカラム(Sepharose 4 Φ3cm X20cm、
溶離液:生理食塩水)にかけてリポソーム画分を回収
し、粒子径が90〜200nm(平均粒子径130.7n
m)の標記のリポソーム分散液を得た。
【0061】(実施例4) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩(塩
基性化合物)およびリン酸リボフラビンナトリウム(リ
ン酸モノエステル誘導体)を構成成分とするリポソーム
の調製 上記(1−)の手法により得られた脂質混合物0.6
mmolに75mMリン酸リボフラビンナトリウム水溶液10
mlを加え、55℃で5分間超音波処理することにより、
リポソーム分散液を得た。以下、実施例3と同様に操作
し、標記のリポソーム分散液を得た。得られたリポソー
ムの平均粒子径は117.9nmであった。
【0062】(実施例5) 1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウム
プロパン(塩基性化合物)およびミリスチン酸(脂肪
酸)を構成成分とするリポソームの調製 ホスファチジルコリン25μmol 、コレステロール25
μmol 、1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアン
モニウムプロパン25μmol 、ミリスチン酸25μmol
を10mlのクロロホルムに溶解させてから、エバポレ
ーターでクロロホルムを除去した後、一晩真空乾燥する
ことによりフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。これに
生理食塩水5mlを加え、55℃で5分間超音波処理する
ことにより、リポソーム分散液を得た。以下、上記(1
−)と同様の方法により、平均粒子径が90〜200
nmでリポソーム分散液を得た。0.4mMポリエチレング
リコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体生食
溶液とリポソーム分散液を等容量加えた後60℃で30
分加温することによって、本発明の塩基性化合物が2
5mol%、本発明の酸性化合物が25mol%、ポリエチレ
ングリコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体
2mol%である標記のリポソーム分散液を得た。
【0063】(実施例6) 1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウム
プロパン(塩基性化合物)およびミリスチン酸(脂肪
酸)を構成成分とするリポソームの調製 ホスファチジルコリン20μmol 、コレステロール20
μmol 、1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアン
モニウムプロパン30μmol 、ミリスチン酸30μmol
を10mlのクロロホルムに溶解させてから、エバポレ
ーターでクロロホルムを除去した後、一晩真空乾燥する
ことによりフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。これに
生理食塩水5mlを加え、55℃で5分間超音波処理する
ことにより、リポソーム分散液を得た。以下、上記(1
−)と同様の方法により、平均粒子径が90〜200
nmでリポソーム分散液を得た。0.4mMポリエチレング
リコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体生食
溶液とリポソーム分散液を等容量加えた後60℃で30
分加温することによって、本発明の塩基性化合物が3
0mol%、本発明の酸性化合物が30mol%、ポリエチレ
ングリコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体
2mol%である標記のリポソーム分散液を得た。なお、ホ
スファチジルコリン10μmol 、コレステロール10μ
mol 、1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモ
ニウムプロパン40μmol 、ミリスチン酸40μmol で
同様に調製を試みたが、リポソーム分散液を得ることは
できなかった。
【0064】(実施例7) 1,2−ジパルミトイル−3−ジメチルアンモニウムプ
ロパン(塩基性化合物)およびパルミチン酸(脂肪酸)
を構成成分とするリポソームの調製 ホスファチジルコリン35μmol 、コレステロール35
μmol 、1,2−ジパルミトイル−3−ジメチルアンモ
ニウムプロパン20μmol 、パルミチン酸10μmol を
10mlのクロロホルムに溶解させてから、エバポレー
ターでクロロホルムを除去した後、一晩真空乾燥するこ
とによりフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。これに生
理食塩水5mlを加え、55℃で5分間超音波処理するこ
とにより、リポソーム分散液を得た。以下、上記(1−
)と同様の方法により、平均粒子径が90〜200nm
でリポソーム分散液を得た。0.4mMポリエチレングリ
コール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体生食溶
液とリポソーム分散液を等容量加えた後60℃で30分
加温することによって、本発明の塩基性化合物が20
mol%、本発明の酸性化合物が10mol%、 ポリエチレン
グリコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体2
mol%である標記のリポソーム分散液を得た。
【0065】(実施例8) 1,2−ジパルミトイル−3−ジメチルアンモニウムプ
ロパン(塩基性化合物)およびパルミチン酸(脂肪酸)
を構成成分とするリポソームの調製 ホスファチジルコリン30μmol 、コレステロール30
μmol 、1,2−ジパルミトイル−3−ジメチルアンモ
ニウムプロパン20μmol 、パルミチン酸20μmol を
10mlのクロロホルムに溶解させてから、エバポレー
ターでクロロホルムを除去した後、一晩真空乾燥するこ
とによりフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。これに生
理食塩水5mlを加え、55℃で5分間超音波処理するこ
とにより、リポソーム分散液を得た。以下、上記(1−
)と同様の方法により、平均粒子径が90〜200nm
でリポソーム分散液を得た。0.4mMポリエチレングリ
コール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体生食溶
液とリポソーム分散液を等容量加えた後60℃で30分
加温することによって、本発明の塩基性化合物が20
mol%、本発明の酸性化合物が20mol%、ポリエチレン
グリコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体2
mol%である標記のリポソーム分散液を得た。
【0066】(実施例9) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩(塩
基性化合物)およびホスファチジン酸を構成成分とする
リポソームの調製 ホスファチジルコリン44μmol 、コレステロール44
μmol 、3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩
酸塩10μmol 、ホスファチジン酸2μmol を10ml
のクロロホルムに溶解させてから、エバポレーターでク
ロロホルムを除去した後、一晩真空乾燥することにより
フラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。これに生理食塩水
5mlを加え、55℃で5分間超音波処理することによ
り、リポソーム分散液を得た。以下、上記(1−)と
同様の方法により、平均粒子径が90〜200nmでリポ
ソーム分散液を得た。ポリエチレングリコール−ホスフ
ァチジルエタノールアミン誘導体生食溶液とリポソーム
分散液を等容量加えた後60℃で30分加温することに
よって、本発明の塩基性化合物が10mol%、本発明
の酸性化合物が2mol%、0.12mMポリエチレングリコ
ール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体0.6mo
l%である標記のリポソーム分散液を得た。
【0067】(比較例1)上記(1−)の手法により
得られた脂質混合物0.6mmolに生理食塩水10mlを加
え、55℃で5分間超音波処理することにより、リポソ
ーム分散液を得た。これを、上記(1−)と同様の方
法により平均粒子径が90〜200nmの標記のリポソー
ム分散液を得た。得られたリポソームの平均粒子径は1
10.5nmであった。
【0068】(比較例2) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩およ
びホスファチジルグリセロールを構成成分とするリポソ
ームの調製 上記(1−)の手法により得られた脂質混合物0.0
6mmolを容量50mlのナス型フラスコにはかり取り、
1.14mMのホスファチジルグリセロール/クロロホル
ム溶液を2ml加えた。クロロホルムを除去した後、一晩
真空乾燥することによりしフラスコ内壁に脂質薄膜を形
成した。これに生理食塩水6mlを加え、55℃で5分間
超音波処理することにより、リポソーム分散液を得た。
上記(1−)と同様の方法により、平均粒子径が90
〜200nmである標記のリポソーム分散液を得た。得ら
れたリポソームの平均粒子径は138.8nmであった。
【0069】(比較例3) 3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩およ
びポリエチレングリコール−ホスファチジルエタノール
アミン誘導体を構成成分とするリポソームの調製 比較例1により得られたリポソーム分散液の脂質濃度を
20mMに調整した。このリポソーム分散液にポリエチレ
ングリコール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体
溶液(分子量約6000、濃度1.214mg/ml )を等
容量加えた後60℃で30分加温することによって、粒
子径が90〜200nm(平均粒子径117.4nm)であ
る標記のリポソーム分散液を得た。
【0070】(比較例4) 1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウム
プロパン(塩基性化合物)を構成成分とするリポソーム
の調製 ホスファチジルコリン37.5μmol 、コレステロール
37.5μmol 、1,2−ジパルミトイル−3−トリメ
チルアンモニウムプロパン25μmol を10mlのクロロ
ホルムに溶解させてから、エバポレーターでクロロホル
ムを除去した後、一晩真空乾燥することによりフラスコ
内壁に脂質薄膜を形成した。これに生理食塩水5mlを加
え、55℃で5分間超音波処理することにより、リポソ
ーム分散液を得た。以下、上記(1−)と同様の方法
により、平均粒子径が90〜200nmでリポソーム分散
液を得た。0.4mMポリエチレングリコール−ホスファ
チジルエタノールアミン誘導体2mol%生食溶液とリポソ
ーム分散液を等容量加えた後60℃で30分加温するこ
とによって、標記のリポソーム分散液を得た。
【0071】(比較例5) 1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアンモニウム
プロパン(塩基性化合物)を構成成分とするリポソーム
の調製 ホスファチジルコリン35μmol 、コレステロール35
μmol 、1,2−ジパルミトイル−3−トリメチルアン
モニウムプロパン30μmol を10mlのクロロホルムに
溶解させてから、エバポレーターでクロロホルムを除去
した後、一晩真空乾燥することによりフラスコ内壁に脂
質薄膜を形成した。これに生理食塩水5mlを加え、55
℃で5分間超音波処理することにより、リポソーム分散
液を得た。以下、上記(1−)と同様の方法により、
平均粒子径が90〜200nmでリポソーム分散液を得
た。0.4mMポリエチレングリコール−ホスファチジル
エタノールアミン誘導体生食溶液とリポソーム分散液を
等容量加えた後60℃で30分加温することによって、
標記のリポソーム分散液を得た。
【0072】(比較例6)ホスファチジルコリン50μ
mol 、コレステロール50μmol を10mlのクロロホル
ムに溶解させてから、エバポレーターでクロロホルムを
除去した後、一晩真空乾燥することによりフラスコ内壁
に脂質薄膜を形成した。これに生理食塩水5mlを加え、
55℃で5分間超音波処理することにより、リポソーム
分散液を得た。以下、上記(1−)と同様の方法によ
り、平均粒子径が90〜200nmでリポソーム分散液を
得た。ポリエチレングリコール−ホスファチジルエタノ
ールアミン誘導体0.12mM生食溶液とリポソーム分散
液を等容量加えた後60℃で30分加温することによっ
て、本発明の塩基性化合物と本発明の酸性化合物を
含まないリポソーム分散液を得た。
【0073】(比較例7)ホスファチジルコリン45μ
mol 、コレステロール45μmol 、3,5−ジペンタデ
シロキシベンズアミジン塩酸塩10μmol を10mlのク
ロロホルムに溶解させてから、エバポレーターでクロロ
ホルムを除去した後、一晩真空乾燥することによりフラ
スコ内壁に脂質薄膜を形成した。これに生理食塩水5ml
を加え、55℃で5分間超音波処理することにより、リ
ポソーム分散液を得た。以下、上記(1−)と同様の
方法により、平均粒子径が90〜200nmでリポソーム
分散液を得た。ポリエチレングリコール−ホスファチジ
ルエタノールアミン誘導体0.12mM生食溶液とリポソ
ーム分散液を等容量加えた後60℃で30分加温するこ
とによって、リポソーム分散液を得た。
【0074】(比較例8)ホスファチジルコリン49μ
mol 、コレステロール49μmol 、ホスファチジン酸2
μmol を10mlのクロロホルムに溶解させてから、エバ
ポレーターでクロロホルムを除去した後、一晩真空乾燥
することによりフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。こ
れに生理食塩水5mlを加え、55℃で5分間超音波処理
することにより、リポソーム分散液を得た。以下、上記
(1−)と同様の方法により、平均粒子径が90〜2
00nmでリポソーム分散液を得た。ポリエチレングリコ
ール−ホスファチジルエタノールアミン誘導体0.12
mM生食溶液とリポソーム分散液を等容量加えた後60℃
で30分加温することによって、アニオニック脂質を含
むリポソーム分散液を得た。
【0075】(試験例1)各種リポソームのプロテオグ
リカンとの親和性 この試験の目的は酸性下および中性付近において、リポ
ソームと炎症部位や腫瘍部位などで過剰産生しているプ
ロテオグリカンとの親和性を調べたものである。
【0076】(方法)プロテオグリカンに含まれるアニ
オン性糖鎖高分子であるグリコサミノグリカンを各実施
例および各比較例のリポソームと混合したときに、各リ
ポソームに吸着するグリコサミノグリカンの量を測定し
た。グリコサミノグリカンとしてコンドロイチン硫酸C
(分子量:3万〜6万)をpH7.4であるリン酸緩衝
液に溶解させ0.1mg/ml となるよう調製し、さらに6
NHClによってpH6.0、あるいはpH6.5に調
整した。得られたpH7.4あるいはpH6.0の0.
1mg/ml コンドロイチン硫酸C溶液0.3mlと、脂質濃
度を生理食塩水によって10mMに調整した各リポソーム
分散液0.3mlを混合し、37℃で1時間加温した。冷
却後、100000gで1時間超遠心し、上清を採取し
た。上清中のコンドロイチン硫酸Cを Blyscan proteog
lycan assay kit により定量し、各リポソームへのコン
ドロイチン硫酸Cの吸着量を算出した。
【0077】(結果)結果を図1〜3に示す。酸性化合
物を含まない比較例1、及び酸性化合物がリン酸ジエス
テル誘導体である比較例2〜5と7のリポソームは、p
H6.0あるいは6.5とpH7.4でコンドロイチン
硫酸Cの吸着量は同じであった。塩基性化合物を含まな
い比較例6と8のリポソームはpH6.5でもpH7.
4でもコンドロイチン硫酸Cが吸着しなかった。本発明
にかかる実施例1〜9のリポソームは、pH6.0ある
いは6.5とpH7.4ではコンドロイチン硫酸Cの吸
着量は差があり、pH7.4においては吸着量が抑えら
れることが確認された。すなわち、本発明のリポソーム
は中性付近ではプロテオグリカンに対する親和性が抑え
られるのに対して酸性環境では高い親和性を有すること
が示された。
【0078】(試験例2)各種リポソームの細胞に対す
る親和性の評価 (方法)ヒト大動脈平滑筋初代細胞(Clonetics社製)を
3.8×10+4 cells/well となるように12-well cult
ure plate (Falcon,Becton Dikinson社製)にまき、24
時間培養した。RPMI1640(シグマ社製)/10% FBS(pH
6.0またはpH7.4) の培地に変えて(1ml/well)、実
施例9と比較例6〜8のリポソームを50μg PC/well ず
つ添加し、24時間反応させた(n=3)。PBS(-)で2
回洗浄後、細胞溶解剤(50mM Tris(pH 8.0)/150mM NaCl
/0.5% DOC/1% NP-40/0.1% SDS)で細胞を溶解し、蛍光強
度測定した。蛍光強度からPC濃度を換算し、蛋白量で補
正後、各リポソームの細胞への結合量を算出した。
【0079】(結果)結果を図4に示す。比較例7のリ
ポソームは、pH6.0とpH7.4で細胞への結合量
はほぼ同じであった。比較例6と8のリポソームはpH
6.0でもpH7.4でも細胞に結合しなかった。本発
明にかかる実施例9のリポソームは、pH6.0あるい
は6.5とpH7.4では細胞への結合量は差があり、
pH7.4においては結合量が抑えられることが確認さ
れた。すなわち、本発明のリポソームは中性付近では細
胞に対する親和性が抑えられるのに対して酸性環境では
高い親和性を有することが示された。
【0080】(試験例3)急性毒性 この試験の目的は、本発明のリポソームの毒性が、従来
のものの毒性と比較してどの程度であるかを知ることで
ある。そのために、本発明のリポソームのラットに対す
る致死毒性試験を行った。
【0081】(方法)実施例1〜9のリポソーム分散液
を限外ろ過膜を用いて濃縮し、さらに必要に応じて注射
用滅菌蒸留水で希釈して被験液とした。検疫した5週齢
のマウスを1群5匹に区分し、尾静脈より上記の被験液
を100ml/kg 投与した。一方、溶媒対照群は、生理食
塩水を100ml/kg 投与した。被験液投与後、7日間に
わたって少なくとも1日1回、注意深く一般状態を観察
して毒性徴候、死亡状況を記録した。また、7日後に剖
検し、各臓器を摘出した。各臓器について病理切片を作
成し観察を行った。
【0082】(結果)本発明のリポソームはいずれも、
観察期間中、死亡例を認めなかった。また、7日後の各
臓器の病理観察においては、問題となるような病理所見
は認められなかった。即ち、本発明のリポソームは、極
めて毒性が低く、安全性の高いものであることが確認さ
れた。
【0083】
【発明の効果】本発明のリポソームは、酸性領域下で炎
症や腫瘍などのpHが低下した病巣部位へのターゲッテ
ィング性が非常に高い。また、安全性も非常に高い。従
って、診断および/または治療を目的とする薬物を運搬
する本発明のリポソームは、炎症や腫瘍病変を起こした
組織および/または臓器における診断及び治療という目
的に対して非常に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各リポソームとプロテオグリカン(コンドロ
イチン硫酸C)との親和性を表したグラフである。
【図2】 各リポソームとプロテオグリカン(コンドロ
イチン硫酸C)との親和性を表したグラフである。
【図3】 各リポソームとプロテオグリカン(コンドロ
イチン硫酸C)との親和性を表したグラフである。
【図4】 各リポソームとヒト大動脈平滑筋初代細胞と
の親和性を表したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/06 A61P 37/06 43/00 105 43/00 105 111 111 C12N 15/09 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 C12N 15/00 A (72)発明者 木村 順治 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 磯崎 正史 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】治療および/または診断を目的とする薬物
    を内包するリポソームであって、リポソーム膜構成成分
    として、塩基性化合物、リン酸モノエステル誘導体
    またはカルボキシル基またはその塩を有する化合物であ
    る酸性化合物、および、以外のリポソーム膜構成
    成分を含有し、pHが5〜7の病巣部位に集積するリポ
    ソーム。
  2. 【請求項2】前記塩基性化合物のモル比が、 全リポソー
    ム膜構成成分中の1〜30mol%である請求項1記載のリ
    ポソーム。
  3. 【請求項3】前記酸性化合物のモル比が、 全リポソーム
    膜構成成分中の0.5〜30mol%である請求項1または
    2に記載のリポソーム。
  4. 【請求項4】前記塩基性化合物が、下記式1から4のい
    ずれかで示される塩基性化合物である請求項1ないし3
    のいずれかに記載のリポソーム。 【化1】 (式1中、Aは芳香環を表す。R1 及びR2 は炭素数1
    0〜25のアルキル基またはアルニケル基を表し、R1
    およびR2 は同一であっても異なっていてもよい。X1
    およびX2 は−O−、−S−、−COO−、−OCO
    −、−CONH−またはNHCO−を表し、X1 および
    2 は同一であっても異なっていてもよい。mは0また
    は1、nは0または1〜6の整数を表す。) 【化2】 (式2中、R3 は水素または炭素数1〜8のアルキル基
    もしくはアルニケル基を表す。R5 およびR6 は水素ま
    たは炭素数1〜25のアルキル基もしくはアルニケル基
    を表し(但し、R5 およびR6 が共に水素である場合を
    除く。)、R5 およびR6 は同一であっても異なってい
    てもよい。X3 は−O−または−S−を表す。pは0ま
    たは1、qは0または1〜10の整数を表す。) 【化3】 【化4】
  5. 【請求項5】前記塩基性化合物が、4級アミン又は3級
    アミンを有する塩基性化合物である請求項1ないし4の
    いずれかに記載のリポソーム。
  6. 【請求項6】前記塩基性化合物が、下記式5から6のグ
    ループから選ばれる請求項1ないし5のいずれかに記載
    のリポソーム。 【化5】 (式5中R7 およびR8 は、炭素数1〜8のアルキル基
    またはアルケニル基を表し、R7 およびR8 は同一であ
    っても異なってもよい。X4 およびX5 は−O−または
    −OCO−を表し、X4 およびX5 は同一であっても異
    なってもよい。R 9 およびR10は炭素数10〜20のア
    ルキル基またはアルケニル基を表し、R9およびR10
    同一であっても異なってもよい。tは1〜6の整数を表
    す。) 【化6】 (式6中、R7 ,R8 およびR9 は、炭素数1〜8のア
    ルキル基またはアルケニル基を表し、R7 、R8 および
    9 は同一であっても異なってもよい。X4 およびX5
    は−O−または−OCO−を表し、X4 およびX5 は同
    一であっても異なってもよい。R9 およびR10は炭素数
    10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し、R
    9 およびR10は同一であっても異なってもよい。tは1
    〜6の整数を表す。)
  7. 【請求項7】前記リン酸モノエステル誘導体が、リン酸
    プレドニゾロン、リン酸リボフラビン、ホスファチジン
    酸から選ばれる請求項1ないし6のいずれかに記載のリ
    ポソーム。
  8. 【請求項8】前記カルボキシル基またはその塩を有する
    化合物が、脂肪酸である請求項1ないし7のいずれかに
    記載のリポソーム。
  9. 【請求項9】前記脂肪酸が、オレイン酸、ステアリン
    酸、パルミチン酸、ミリスチン酸である請求項1ないし
    8のいずれかに記載のリポソーム。
  10. 【請求項10】前記以外のリポソーム膜構成成分
    が、リン脂質あるいはその誘導体、および/またはステ
    ロールあるいはその誘導体である請求項1ないし9のい
    ずれかに記載のリポソーム。
  11. 【請求項11】前記治療および/または診断を目的とす
    る薬物が、抗癌剤、抗生物質、酵素剤、酵素阻害剤、抗
    酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、抗炎症剤、
    ステロイド剤、血管拡張剤、アンジオテンシン変換酵素
    阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、平滑筋細胞の
    増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、抗凝固剤、ケミ
    カルメデイエーターの遊離抑制剤、血管内皮細胞の増殖
    または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、メサンギウ
    ム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制
    剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤、メイラード反応抑制
    剤、アミロイドーシス阻害剤、NOS阻害剤、AGEs
    阻害剤あるいはラジカルスカベンチャーである請求項1
    ないし10のいずれかに記載のリポソーム。
  12. 【請求項12】前記治療および/または診断を目的とす
    る薬物が、核酸、ポリヌクレオチド、遺伝子およびその
    類縁体である請求項1ないし10のいずれかに記載のリ
    ポソーム。
  13. 【請求項13】前記治療および/または診断を目的とす
    る薬物が、グリコサミノグリカンおよびその誘導体であ
    る請求項1ないし10のいずれかに記載のリポソーム。
  14. 【請求項14】前記治療および/または診断を目的とす
    る薬物が、オリゴおよび/または多糖、およびそれらの
    誘導体である請求項1ないし10のいずれかに記載のリ
    ポソーム。
  15. 【請求項15】前記治療および/または診断を目的とす
    る薬物が、タンパク質またはペプチドである請求項1な
    いし10のいずれかに記載のリポソーム。
  16. 【請求項16】前記治療および/または診断を目的とす
    る薬物が、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断
    薬、核磁気共鳴診断用診断薬等の各種体内診断薬である
    請求項1ないし10のいずれかに記載のリポソーム。
  17. 【請求項17】治療および/または診断を目的とする薬
    物を内包するリポソーム膜構成成分に、pH6.5とp
    H7.4のリン酸緩衝液中におけるリポソームへのコン
    ドロイチン硫酸Cの吸着量比が、pH6.5における吸
    着量/pH7.4における吸着量≧1.5となるように
    塩基性化合物とリン酸モノエステル誘導体またはカ
    ルボキシル基またはその塩を有する化合物である酸性化
    合物とを添加して、リポソームの病巣部位への集積率を
    高める方法。
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