JP2001063050A - インクジェットプリンタヘッド - Google Patents

インクジェットプリンタヘッド

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JP2001063050A
JP2001063050A JP24264099A JP24264099A JP2001063050A JP 2001063050 A JP2001063050 A JP 2001063050A JP 24264099 A JP24264099 A JP 24264099A JP 24264099 A JP24264099 A JP 24264099A JP 2001063050 A JP2001063050 A JP 2001063050A
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ink
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Shin Okubo
慎 大久保
Tetsuji Hayazaki
哲治 早崎
Takashi Tanaka
隆 田中
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ヘッドを構成する隔壁や駆動用電極の形成が比
較的容易であって、ヘッドの連続駆動において発熱が少
なく、しかも電力消費の少ない高速印字が可能なインク
ジェットプリンタヘッドを提供する。 【解決手段】底板11上に並設した複数の凸壁12上に、壁
部材13を接合して隔壁1と成し、各隔壁1間をインクの
流路2とした流路部材3と、前記流路2を形成する隔壁
1の側面及び底板11上に一体的に被着された駆動用電極
9と、前記隔壁1の頂面に接合され、各流路2を覆う天
板7とから成り、前記壁部材13を、チタン酸ジルコン酸
鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオ
ブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする分極処理した圧電
セラミックスにより形成し、前記凸壁12及び底板11
を、フォルステライト、ステアタイト、ジルコンのいず
れか一種を主成分とする絶縁性セラミックスにより形成
してインクジェットプリンタヘッドを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク吐出孔から
インク滴を吐出することにより、文字及び画像を印刷す
るするインクジェット方式のプリンタに搭載されるイン
クジェットプリンタヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、低ランニングコストでカラー化さ
れた画像や文字等の情報を印刷するプリンタとして、イ
ンクジェット方式のプリンタが広く使用されている。
【0003】このインクジェット方式のプリンタに搭載
されるインクジェットプリンタヘッド(以下、ヘッドと
言う。)のうち、特にインクの流路を構成する隔壁を圧
電セラミックスにより形成し、この圧電セラミックスの
剪断モード変形を利用して隔壁を変形させ、流路内のイ
ンクを加圧してインク吐出孔よりインク滴を吐出させる
ようにした剪断モード型のヘッドは、耐久性及び応答性
に優れるとともに、直接インクを加熱しないため、イン
クの種類が限定されないといった利点がある。図5に従
来の剪断モード型のインクジェットプリンタヘッドを示
すように、このヘッド50は、底板44上に複数の隔壁
41を並設し、これら隔壁41間をインクの流路42と
した、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電セラ
ミックスから成る流路部材43と、前記隔壁41の頂面
に接着剤にて接合され、各流路42へインクを導入する
ためのインク供給穴45を備えた天板46と、該天板4
6を備える流路部材42の一方端側に接着剤にて接合さ
れ、各流路42と連通するインク吐出孔47を備えたノ
ズル板48とから構成され、各隔壁41の両側面上半分
には、その長手方向に沿って駆動用電極49を被着した
ものがあった。なお、39は駆動用電極49と連通する
電極取出部である。
【0004】そして、圧電セラミックスから成る隔壁4
1は、矢印の方向に分極処理が施されており、不図示の
制御回路によって駆動用電極49に電圧を印加し、隔壁
41内の厚み方向に電界を発生させて隔壁41を形成す
る圧電セラミックスを剪断モード変形させると、隔壁4
1の上下端が拘束されていることから隔壁41が水平方
向に屈曲変位し、流路42内のインクを加圧してインク
吐出孔47からインク滴が吐出されるようになってい
た。
【0005】ところで、図5に示すヘッド50では、隔
壁41の側面に駆動用電極49を被着するために、流路
部材43の隔壁41頂面にマスキングを施したあと、一
つの隔壁41によって隣接する隔壁41の側面下半分が
遮蔽されるように流路部材43を傾けて設置し、その状
態でスパッタリング法、イオンプレーティング法、ある
いは蒸着法などの膜形成手段にて被着することにより、
隔壁41の側面上半分に駆動用電極49を形成する方法
がとられているが、かかる方法では、駆動用電極49の
幅や厚みがばらつき、寸法精度の高い駆動用電極49を
得ることが難しく、このようなヘッド50を駆動させる
と、各流路42内におけるインクの加圧特性が不均一と
なり、印刷文字や印刷画像の品質に影響を及ぼす恐れが
あった。そこで、このような問題を解消するため、図6
に示すヘッド60が提案されている。
【0006】このヘッド60は、流路部材53及び駆動
用電極59が異なる以外は基本的に図5のヘッド50と
同様の構造をしたもので、流路部材53は、底板61上
に複数の凸壁62を所定の間隔を隔てて一体的に備える
とともに、各凸壁62上に壁部材63を接着剤にて接合
して隔壁51と成し、これら隔壁51間をインクの流路
52としたもので、流路52を構成する隔壁51の側面
及び底板61の上面には駆動用電極59が被着され、底
板61及び凸壁62を、分極処理していないチタン酸ジ
ルコン酸鉛等を主成分とする圧電セラミックスより形成
するとともに、壁部材63を、矢印の方向に分極処理し
たチタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電セラミッ
クスより形成したものがあった。なお、64は駆動用電
極59に連通する電極取出部である。
【0007】このヘッド60によれば、駆動用電極59
を、流路52を構成する隔壁51の側面から底板61の
上面にわたって形成することができるため、駆動用電極
59の形成時に流路部材53を傾ける必要がなく、寸法
ばらつきの少ない駆動用電極59を形成することができ
るといった利点があった。
【0008】また、図5や図6のヘッド50,60より
インク滴の吐出速度が速く、吐出量の調整幅の広いヘッ
ドとして、図7に示すヘッド80も提案されている。
【0009】このヘッド80は、図6のヘッド60と同
様の構造をしたもので、底板81及び凸壁82を、上方
に分極処理したチタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする
圧電セラミックスより形成するとともに、壁部材83
を、下方に分極処理したチタン酸ジルコン酸鉛等を主成
分とする圧電セラミックスより形成したものである。な
お、84は駆動用電極79と連通する電極取出部であ
る。
【0010】このヘッド80によれば、駆動用電極79
に通電することにより、隔壁71を構成する壁部材83
及び凸壁82をそれぞれ剪断モード変形させることがで
きるため、隔壁71の屈曲変位量を大きくすることがで
き、インクの加圧特性を高めることができる。その為、
インク吐出孔47から吐出されるインク滴の吐出速度を
高めることができるとともに、インクの加圧力を変化さ
せて吐出量を調整することができ、階調性を高めること
ができるといった利点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図6のヘッ
ド60では、流路部材53を構成する底板61、凸壁6
2及び壁部材63が圧電セラミックスにより形成され、
また駆動用電極59が、流路52を構成する隔壁51の
側面から底板61の上面にわたって被着されているた
め、底板61及び凸壁62での静電容量が図5のヘッド
50よりも増加し、駆動に寄与しない底板61及び凸壁
62での電力消費が大きく、壁部材63をなす圧電セラ
ミックスの剪断モード変形が小さくなるため、隔壁51
を所定の変位量でもって駆動させるためには、印加電圧
を高くしなければならず、ヘッド60駆動時の電力消費
が大きくなるといった課題があった。
【0012】しかも、隔壁51の連続駆動時間が長くな
ると、静電容量の増加に伴って発熱が大きくなり、流路
52内のインクの粘性が低下するため、インクが吐出さ
れ易くなり、所定量のインク滴を安定して吐出させるこ
とができなくなり、印刷品質が低下する恐れがあった。
【0013】また、圧電セラミックスは、アルミナセラ
ミックスなどと比較して誘電率が高いため、駆動に寄与
しない底板61及び凸壁62が圧電セラミックスにより
形成され、さらに駆動用電極59が、流路52を構成す
る隔壁51の側面から底板61の上面にわたって被着さ
れていると、駆動用電極59に電圧を印加しても、駆動
部を成す壁部材63に印加される電圧に遅れが生じ、そ
の結果、隔壁51の変形も遅くなるというように、瞬間
的な電圧変化に対して隔壁51を追従性良く屈曲変位さ
せることができないため、インク滴の吐出速度が遅くな
り、高速印刷に対応できないといった課題もあった。
【0014】一方、図7のヘッド80では、流路72の
底部をなす底板81が、分極処理された圧電セラミック
スからなるため、任意の流路72に連通するインク吐出
孔47からインク滴を吐出するため、任意の流路72を
構成する隔壁71の駆動用電極79に通電して隔壁71
を屈曲変位させると、前記駆動用電極79に通電された
電圧によって底板81が剪断モード変形を起こして隣接
する流路72を変形させ、この変形量が大きい場合に
は、吐出させるべきインク吐出孔47以外のインク吐出
孔47からインク滴が吐出されるといった誤動作が発生
する恐れがあり、信頼性の点で問題があった。
【0015】また、図7のヘッド80においても、駆動
に寄与しない底板81での電力消費が大きいため、隔壁
71を所定の変位量でもって駆動させるためには、印加
電圧を高くしなければならず、ヘッド80駆動時の電力
消費が激しく、また、隔壁71の連続駆動時間が長くな
ると、発熱によって流路72内のインクの粘性が低下し
てインクが吐出され易くなるといった恐れもあった。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、底板上に複数の凸壁を並設するとともに、該
凸壁上に壁部材を接合して隔壁と成し、該隔壁間をイン
クの流路とした流路部材と、前記流路を構成する隔壁の
側面及び平板の上面に一体的に被着された駆動用電極
と、前記隔壁の頂面に接合され、各流路を覆う天板とか
ら成り、前記隔壁を形成する壁部材を、チタン酸ジルコ
ン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウム
ニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする分極処理した
圧電セラミックスにより形成するとともに、前記隔壁を
構成する凸壁並びに底板を、フォルステライト、ステア
タイト、ジルコンのいずれか一種を主成分とする絶縁性
セラミックスにより形成してインクジェットプリンタヘ
ッドを構成したものである。また、本発明は、底板上に
複数の第1壁部材を所定の間隔を隔てて接合するととも
に、該第1壁部材上に第2壁部材を接合して隔壁と成
し、該隔壁間をインクの流路とした流路部材と、前記流
路を構成する隔壁の側面及び平板の上面に一体的に被着
された駆動用電極と、前記隔壁の頂面に接合され、各流
路を覆う天板とから成り、前記第1壁部材及び第2壁部
材を、それぞれ異なる方向に分極処理した、チタン酸ジ
ルコン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシ
ウムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする圧電セラ
ミックスにより形成するとともに、前記底板を、フォル
ステライト、ステアタイト、ジルコンのいずれか一種を
主成分とする絶縁性セラミックスにより形成してインク
ジェットプリンタヘッドを構成したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0018】図1は本発明に係る第1のインクジェット
プリンタヘッドを示す部分破断斜視図、図2は図1にお
けるヘッドの駆動原理を説明するための部分断面図であ
り、底板11上に複数の凸壁12を所定の間隔を隔てて
一体的に並設するとともに、各凸壁12上に壁部材13
を接着剤にて接合して隔壁1と成し、各隔壁1間をイン
クの流路2とした流路部材3と、前記隔壁1の頂面に接
着剤にて接合され、各流路2へインクを導入するための
インク供給穴5を備えた天板6と、天板6を備えた流路
部材3の一方端側に接着剤にて接合され、各流路2と連
通するインク吐出孔7を備えたノズル板8とから構成し
てあり、各流路2を形成する隔壁1の側面及び底板11
の上面には、その長手方向に沿って一体的に駆動用電極
9を被着してある。なお、14は駆動用電極9と連通す
る電極取出部であり、また、流路部材3の他方端側は閉
じられた構造となっている。
【0019】そして、このヘッド10では、隔壁1を構
成する壁部材13を、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタン
チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいず
れか一種を主成分とする圧電セラミックスにより形成す
るとともに、その長手方向にわたって矢印の方向に分極
処理を施しており、また隔壁1を構成する凸壁12及び
底板11を、フォルステライト、ステアタイト、ジルコ
ンのいずれか一種を主成分とする絶縁性セラミックスに
より形成したことを特徴とする。
【0020】このヘッド10により文字や画像を印刷す
るには、不図示の制御回路によって駆動用電極9に通電
し、隔壁1内の厚み方向に電界を発生させると、分極処
理された圧電セラミックスから成る壁部材13は剪断モ
ード変形する。この時、隔部材13の上下端は拘束され
ているため、図2のように隔壁1を水平方向に屈曲変位
させることができ、この隔壁1の変位によって流路2内
のインクを加圧することで、インク吐出孔7からインク
滴を吐出するようになっている。
【0021】そして、本発明によれば、隔壁1の駆動部
をなす壁部材13以外の底板11及び凸壁12は、壁部
材13を形成する圧電セラミックスよりも誘電率の小さ
な絶縁性セラミックスにより形成してあることから、隔
壁1の側面から底板11の上面にわたって駆動用電極9
が被着されていても電圧を印加すれば、壁部材13に遅
れを生じることなく電圧を印加し、瞬間的な電圧変化に
対して追従性良く直ちに壁部材13を剪断モード変形さ
せて隔壁1を屈曲変位させることができる。
【0022】また、底板11及び凸壁12における静電
容量を小さくすることができるため、駆動時の電力消費
を低減できるとともに、隔壁1の連続駆動時間が長くな
っても、底板11及び凸壁12での発熱を抑えることが
できるため、流路2内のインクに悪影響を及ぼすことが
なく、所定量のインク滴を安定して吐出させることがで
きる。 かくして、本発明のインクジェットプリンタヘ
ッド10を用いれば、信頼性が高く、高品質の文字や画
像を高速印刷することができる。
【0023】しかも、底板11及び凸壁12を構成す
る、フォルステライト、ステアタイト、ジルコンのいず
れか一種を主成分とする絶縁性セラミックスは、ビッカ
ース硬度が6〜9GPa程度と、壁部材13を構成する
チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸
鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分と
する圧電セラミックスのビッカース硬度(3〜6GP
a)に近似しており、また同程度の研削性を有すること
から、後述する流路部材3の製造過程において、隔壁1
に欠けや割れ等を発生させることなく、高精度の隔壁1
を形成することができる。
【0024】次に、図1に示すヘッド10の製造方法に
ついて説明する。
【0025】まず、流路部材3を形成するため、フォル
ステライト、ステアタイト、ジルコンのいずれか一種を
主成分とする絶縁性セラミック板と、チタン酸ジルコン
酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニ
オブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする厚み方向に分極
処理した圧電セラミック板とを用意し、両者を接着剤に
て接合したあと、ラップ加工等にて所定厚みに形成す
る。この時、圧電セラミック板の厚みは、隔壁1の駆動
部をなす壁部材13の厚みとなるようにする。
【0026】フォルステライト、ステアタイト、ジルコ
ンのいずれか一種を主成分とする絶縁性セラミック板を
製造するにあたっては、粉体原料として平均粒径が1μ
m以下まで微粉砕したフォルステライト粉末、ステアタ
イト粉末、ジルコン粉末を用いることが好ましい。そし
て、これらの粉体原料に対し、ポリビニルアルコール等
のバインダー及び溶媒を適宜添加して泥しょうを作製
し、スプレードライヤーによって乾燥造粒して顆粒を製
作したあと、一軸加圧成形法やロールコンパクション法
によってシート状に成形するか、前記粉体原料に対して
アクリルエマルジョン系等のバインダー及び溶媒を適宜
添加した泥しょうを作製し、ドクターブレード法等のテ
ープ成形法にてシート状に成形する。
【0027】そして、得られたシート状の成形体に機械
加工又は金型による打ち抜きによって所定寸法としたあ
と、約800℃で脱脂し、次いで1200℃前後の温度
で焼成すれば良い。
【0028】次に、絶縁性セラミック板と接合した圧電
セラミック板の上面に、所定のマスキングを施したあ
と、ワイヤーソー等の研削加工やブラスト加工によっ
て、深さが絶縁性セラミックスまで及ぶ溝を所定の間隔
で刻設し、その溝を流路2とし、溝を構成する壁を隔壁
1とした流路部材3を形成する。
【0029】この時、フォルステライト、ステアタイ
ト、ジルコンのいずれか一種を主成分とする絶縁性セラ
ミックスは、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンチタン酸
ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいずれか一種
を主成分とする圧電セラミックスと硬度が近似してお
り、また同程度の研削性を有することから、隔壁1に欠
けや割れ等を発生させることなく、厚み幅が40μm〜
120μmと薄肉の隔壁1を高精度に形成することがで
きる。なお、絶縁性セラミックスは気孔率が2%以下で
あるものが好ましい。
【0030】しかるのち、流路2を構成する隔壁1の側
面及び底板11の上面に、スパッタリング法やイオンプ
レーティング法などの乾式法、あるいは無電解メッキ法
などの湿式法を用い、例えば、白金、金、パラジウム、
ロジウム、ニッケル、アルミニウム等の金属あるいは白
金−金、パラジウム−銀、白金−パラジウム等を主体と
する合金を被着して駆動用電極9を形成するとともに、
電極取出部14を形成したあと、マスクを除去し、しか
るのち隔壁1の頂面に接着剤にてインク供給穴5を備え
た天板6を接合するとともに、天板6を備えた流路部材
3の開放端に、インク吐出孔7を備えたノズル板8を接
着剤にて接合することにより、本発明のヘッド10を製
造することができる。
【0031】次に、本発明の他の実施形態について説明
する。
【0032】図3は本発明に係る第2のインクジェット
プリンタヘッドを示す斜視図、図4は図3におけるヘッ
ドの駆動原理を説明するための部分断面図であり、複数
の微小凸壁を所定の間隔を隔てて一体的に並設した底板
31の前記各微小凸壁上に、第1壁部材32を接着剤に
て接合するとともに、各第1壁部材32上に第2壁部材
33を接着剤にて接合して隔壁21と成し、各隔壁21
間をインクの流路22とした流路部材23と、前記隔壁
21の頂面に接着剤にて接合され、各流路22へインク
を導入するためのインク供給穴5を備えた天板6と、天
板6を備えた流路部材23の一方端側に接着剤にて接合
され、各流路22と連通するインク吐出孔7を備えたノ
ズル板8とから構成してあり、各流路22を形成する隔
壁21の側面及び底板31の上面には、その長手方向に
沿って一体的に駆動用電極9を被着してある。なお、3
4は駆動用電極9と連通する電極取出部であり、また、
流路部材23の他方端側は閉じられた構造となってい
る。
【0033】そして、このヘッド30では、隔壁21を
構成する第2壁部材33を、チタン酸ジルコン酸鉛、ラ
ンタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛
のいずれか一種を主成分とする圧電セラミックスにより
形成し、その長手方向にわたって矢印の方向に分極処理
を施すとともに、隔壁21を構成する第1壁部材32
を、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン
酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分
とする圧電セラミックスにより形成し、その長手方向に
わたって矢印の方向に分極処理を施し、さらに底板31
を、フォルステライト、ステアタイト、ジルコンのいず
れか一種を主成分とする絶縁性セラミックスにより形成
したことを特徴とする。
【0034】このヘッド30により文字や画像を印刷す
るには、不図示の制御回路によって駆動用電極9に通電
し、隔壁21内の厚み方向に電界を発生させると、分極
処理された圧電セラミックスから成る第1壁部材32及
び第2壁部材33はそれぞれ剪断モード変形する。この
時、隔壁21の上下端は拘束されているため、隔壁21
が図4のように水平方向に屈曲変位し、この隔壁21の
変位によって流路22内のインクを加圧することができ
るため、インク吐出孔7からインク滴を吐出するように
なっている。
【0035】そして、このヘッド30によれば、隔壁2
1を形成する第1壁部材32及び第2壁部材33の両方
を剪断モード変形させることができるため、隔壁21の
変位量を図1のヘッド10より大きくできるため、イン
ク滴の吐出速度を高めることができるとともに、吐出量
の調整幅が大きくなるため、インク滴の吐出 量を調整
することで印刷文字や印刷画像の階調性を高めることが
でき、より一層鮮明なカラー印刷が可能である。
【0036】また、底板31を前記絶縁性セラミックス
により形成してあることから、任意の流路22に連通す
るインク吐出孔7からインク滴を吐出させるため、任意
の流路22を形成する隔壁21の側面及び底板31の上
面に被着された駆動用電極9に通電して隔壁21を屈曲
変位させても、前記駆動用電極9に通電された電圧によ
って底板31が変形するようなことはないため、隣接す
る流路22を変形させることがなく、吐出させるべきイ
ンク吐出孔7のみからインク滴を吐出させることができ
るため、従来のような誤動作を生じることはなく、信頼
性の高いヘッド30とすることができる。
【0037】さらに、底板31での静電容量を抑えるこ
とができるため、駆動時の電力消費を図7に示す従来の
ヘッド80よりも低減でき、小電力駆動を実現できると
ともに、隔壁21の連続駆動時間が長くなっても、底板
31での発熱を抑えることができるため、流路22内の
インクに悪影響を及ぼすことが少なく、所定量のインク
滴を安定して吐出させることができる。
【0038】さらに、底板11を構成する、フォルステ
ライト、ステアタイト、ジルコンのいずれか一種を主成
分とする絶縁性セラミックスは、前述したように、第1
壁部材32及び第2壁部材33を形成する、チタン酸ジ
ルコン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシ
ウムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする圧電セラ
ミックスと硬度が近似し、かつ同程度の研削性を有する
ことから、後述する流路部材23の製造過程において、
隔壁21に欠けや割れ等を発生させることなく、高精度
の隔壁21を形成することができる。
【0039】次に、このヘッド30の製造方法について
説明する。
【0040】まず、流路部材23を形成するため、フォ
ルステライト、ステアタイト、ジルコンのいずれか一種
を主成分とする絶縁性セラミック板上に、チタン酸ジル
コン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウ
ムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする厚み方向に
分極処理した圧電セラミック板を接着剤にて接合し、さ
らに前記圧電セラミック板上に、チタン酸ジルコン酸
鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオ
ブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする異なる方向に分極
処理した他の圧電セラミック板を接着剤にて接合し、ラ
ップ加工等にて所定厚みに形成する。この時、2つの圧
電セラミック板の厚みは、隔壁21の駆動部をなす第1
壁部材32及び第2壁部材33の厚みとなるようにして
おく。なお、絶縁性セラミックスは、図1のヘッド10
の製法で説明した方法にて焼成したものを用いれば良
い。
【0041】次に、最上層の圧電セラミック板の上面
に、所定のマスキングを施したあと、ワイヤーソー等の
研削加工やブラスト加工によって、深さが絶縁性セラミ
ックスまで及ぶ溝を所定の間隔で刻設し、その溝を流路
22とし、溝を構成する壁を隔壁21とした流路部材2
3を形成する。
【0042】しかるのち、流路22を構成する隔壁21
の側面及び底板31の上面に、スパッタリング法やイオ
ンプレーティング法などの乾式法、あるいは無電解メッ
キ法などの湿式法を用い、例えば、白金、金、パラジウ
ム、ロジウム、ニッケル、アルミニウム等の金属あるい
は白金−金、パラジウム−銀、白金−パラジウム等を主
体とする合金を被着して駆動用電極9を形成するととも
に、電極取部出34を形成したあと、マスクを除去し、
しかるのち、隔壁21の頂面に接着剤にてインク供給穴
5を備えた天板6を接合するとともに、天板6を備えた
流路部材23の開放端に、インク吐出孔7を備えたノズ
ル板8を接着剤にて接合することにより、本発明のヘッ
ド30を製造することができる。
【0043】なお、図3のヘッド30では、底板31に
微小凸壁を備えた例を示したが、底板31は平板状をし
たものであっても良く、この場合、第1壁部材32を所
定の間隔を隔てて底板31上に接合すれば良い。
【0044】また、本発明は図1や図3に示したヘッド
10,30だけに限定されるものではなく、本発明を逸
脱しない範囲で改良できることは言うまでもない。
【0045】
【実施例】(実施例1)図1に示す本発明のヘッド10
と、図5に示す従来のヘッド50及び図6に示す従来の
他のヘッド60とを用意し、駆動特性について調べる実
験を行った。
【0046】本実験にあたり、本発明のヘッド10は、
長さ40mm、幅20mm、厚み0.4mmのチタン酸
ジルコン酸鉛を主成分とする厚み方向に分極処理した圧
電セラミック板に、長さ40mm、幅20mm、厚み1
mmのフォルステライト質の絶縁性セラミック板をエポ
キシ接着剤にて貼り合わせ、ラップ加工によって各表面
を順次追い込み、圧電セラミック板の厚みを0.2m
m、絶縁性セラミック板の厚みを0.7mm、合計0.
9mmの板厚となるようにした。なお、フォルステライ
ト質の絶縁性セラミック板には、空孔率2%、3点曲げ
強度170MPa、ヤング率160GPaの特性を有す
るものを用いた。
【0047】次に、接合基板の表面全体に、レジスト液
をスピンコーターによって塗布したあと、圧電セラミッ
ク板の表面に、電極取出パターンをフォトリソグラフィ
技術によって形成し、レジスト膜を硬化させた。
【0048】次いで、厚みが75μmのダイヤモンドブ
レードを用い、圧電セラミック板側から141.1μm
のピッチで幅方向にダイシングを行い、幅75μm、深
さ400μm、長さ12mmの流路2を成す溝を260
本刻設し、溝を形成する壁を隔壁1とした流路部材3を
製作した。
【0049】なお、隔壁1は、底板11と一体的に形成
された絶縁性セラミックスから成る凸壁12と、圧電セ
ラミックスから成る壁部材13とから成り、壁部材13
の高さは200μmとなるようにした。
【0050】しかるのち、無電解ニッケルメッキ法によ
って、流路2を形成する隔壁1の側面及び底板11の上
面にニッケル膜から成る駆動用電極9を、電極取出パタ
ーン部にニッケル膜から成る電極取出部14をそれぞれ
形成したあと、レジスト膜を除去した。
【0051】そして、各隔壁1の頂面に、長さ40m
m、幅15mm、厚さ1mmのフォルステライト質セラ
ミック板にインク供給穴5を備えた天板6を、エポキシ
系接着剤にて接合するとともに、天板6を接合した流路
部材3の開放端面に、厚み50μmのポリイミド樹脂か
ら成るノズル板8をエポキシ系接着剤にて接合し、レー
ザにて各流路2と連通する260個のインク吐出孔7を
穿孔して製作した。
【0052】一方、図5に示す従来のヘッド50は、長
さ40mm、幅20mm、厚み1mmのチタン酸ジルコ
ン酸鉛を主成分とする分極処理した圧電セラミック板を
用意し、圧電セラミック板の表面全体に、レジスト液を
スピンコーターによって塗布したあと、圧電セラミック
板の表面に、電極取出パターンをフォトリソグラフィ技
術によって形成し、レジスト膜を硬化させた。
【0053】次に、厚みが75μmのダイヤモンドブレ
ードを用い、圧電セラミック板の表面に141.1μm
のピッチで幅方向にダイシングを行い、幅75μm、深
さ320μm、長さ12mmの流路42を成す溝を26
0本刻設し、溝を形成する壁を隔壁41とした流路部材
43を製作した。
【0054】次いで、得られた流路部材43を斜めに設
置し、隔壁41の側面上半分にニッケル膜から成る駆動
用電極49を、電極取出パターン部に電極取出部39を
それぞれ蒸着法にて形成した。
【0055】しかるのち、図1のヘッド10と同様に、
各隔壁41の頂面に、長さ40mm、幅15mm、厚さ
1mmのフォルステライト質セラミック板にインク供給
穴45を備えた天板46をエポキシ接着剤にて接合する
とともに、天板46を接合した流路部材43の開放端面
に、厚み50μmのポリイミド樹脂から成るノズル板4
8をエポキシ接着剤にて接合し、レーザにて各流路42
と連通する260個のインク吐出孔47を穿孔して製作
した。
【0056】また、図6に示すヘッド60は、長さ40
mm、幅20mm、厚み0.4mmのチタン酸ジルコン
酸鉛を主成分とする厚み方向に分極処理した圧電セラミ
ック板に、長さ40mm、幅20mm、厚み1mmのチ
タン酸ジルコン酸鉛を主成分とする分極処理していない
圧電セラミック板をエポキシ接着剤にて貼り合わせ、ラ
ップ加工によって各表面を順次追い込み、分極処理した
圧電セラミック板の厚みを0.2mm、分極処理してい
ない圧電セラミック板の厚みを0.7mm、合計0.9
mmの板厚となるようにした。
【0057】次に、接合基板の表面全体に、レジスト液
をスピンコーターによって塗布したあと、分極処理した
圧電セラミック板の表面に、電極取出パターンをフォト
リソグラフィ技術によって形成し、レジスト膜を硬化さ
せた。
【0058】次いで、厚みが75μmのダイヤモンドブ
レードを用い、分極処理した圧電セラミック板側から1
41.1μmのピッチで幅方向にダイシングを行い、幅
75μm、深さ400μm、長さ12mmの流路52を
成す溝を260本刻設し、溝を形成する壁を隔壁51と
した流路部材53を製作した。なお、隔壁51は、底板
61と一体的に形成された分極処理していない圧電セラ
ミックスから成る凸壁62と、分極処理した圧電セラミ
ックスから成る壁部材63とから成り、壁部材63の高
さは200μmとなるようにした。
【0059】以下、図1のヘッド10と同様に、無電解
ニッケルメッキ法によって、流路52を形成する隔壁5
1の側面及び底板61の上面にニッケル膜から成る駆動
用電極59を、電極取出パターン部にニッケル膜から成
る電極取出部64をそれぞれ形成したあと、レジスト膜
を除去し、しかるのち各隔壁51の頂面に、長さ40m
m、幅15mm、厚さ1mmのフォルステライト質セラ
ミック板にインク供給穴45を備えた天板46をエポキ
シ系接着剤にて接合するとともに、天板46を接合した
流路部材53の開放端面に、厚み50μmのポリイミド
樹脂から成るノズル板48をエポキシ系接着剤にて接合
し、レーザにて各流路52と連通する260個のインク
吐出孔47を穿孔して製作した。
【0060】そして、得られたヘッド10,50,60
をプリンタに組み込み、30Vのパルス電圧を印加して
ヘッド10,50,60を駆動させ、インクジェット専
用紙に180dpiの印刷を行い、専用紙に印刷された
インクの着弾直径を画像認識装置にて測定するととも
に、印加するパルス電圧の周波数を上げていった時にイ
ンク滴を吐出させることができなくなった時の周波数を
最大駆動周波数として求めた。
【0061】それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0062】
【表1】
【0063】この結果、本発明のヘッド10は、従来の
ヘッド60と近似した構造を有するものの、流路部材3
を形成する底板11及び凸壁12が絶縁性セラミックス
により形成され、静電容量が小さいため、瞬間的な電圧
の変化に対して隔壁1の追従性が良く、その結果、従来
のヘッド60と比較して最大駆動周波数が高く応答性に
優れており、また、従来のヘッド50と比較しても高い
応答性を有していた。その為、本発明のヘッド10は従
来のヘッド50,60と比較して高速印刷できることが
判る。
【0064】しかも、本発明のヘッド10は、瞬間的な
電圧変化に対する隔壁1の追従性が良いため、インク滴
のばらつきが小さく、従来のヘッド50より優れてお
り、また連続駆動においても吐出量が安定しており、従
来のヘッド60より優れていた。
【0065】さらに、各ヘッド10,50,60により
360dpiの印刷を行い、印字濃度の変化を確認した
ところ、従来のヘッド50,60では、インク滴の直径
のばらつきに起因する目視レベルでのムラが見られ、画
質低下があったのに対し、本発明のヘッド10では、印
字濃度の変化は見られず、ムラのない高画質の印刷が可
能であった。
【0066】(実施例2)次に、図3に示す本発明のヘ
ッド30と、図7に示す従来のヘッド80とを用意し、
駆動特性について調べる実験を行った。
【0067】本実験にあたり、本発明のヘッド10は、
長さ40mm、幅20mm、厚み0.3mmのチタン酸
ジルコン酸鉛を主成分とする厚み方向に分極処理した圧
電セラミック板に、長さ40mm、幅20mm、厚み
0.6mmのフォルステライト質の絶縁性セラミック板
をエポキシ接着剤にて貼り合わせ、ラップ加工によって
各表面を順次追い込み、圧電セラミック板の厚みを0.
2mm、絶縁性セラミック板の厚みを0.5mm、合計
0.7mmの板厚となるようにし、さらに圧電セラミッ
ク板側に、長さ40mm、幅20mm、厚み0.3mm
のチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする異なる厚み方向
に分極処理した圧電セラミック板を貼り合わせ、さらに
ラップ加工を施して圧電セラミック板の厚を0.2mm
まで追い込むことで、合計0.9mmの板厚となるよう
にした。
【0068】次に、接合基板の表面全体に、レジスト液
をスピンコーターによって塗布したあと、圧電セラミッ
ク板の表面に、電極取出パターンをフォトリソグラフィ
技術によって形成し、レジスト膜を硬化させた。
【0069】次いで、厚みが75μmのダイヤモンドブ
レードを用い、圧電セラミック板側から141.1μm
のピッチで幅方向にダイシングを行い、幅75μm、深
さ420μm、長さ12mmの流路22を成す溝を26
0本刻設し、溝を形成する壁を隔壁21とした流路部材
23を製作した。
【0070】なお、隔壁21は、圧電セラミックスから
成る第1部材32と、もう一方の圧電セラミックスから
成る第2部材33とから成り、第1部材32及び第2部
材133の高さはそれぞれ200μmとなるようにし
た。
【0071】しかるのち、無電解ニッケルメッキ法によ
って、流路22を形成する隔壁21の側面及び底板31
の上面にニッケル膜から成る駆動用電極9を、電極取出
パターン部にニッケル膜から成る電極取出部34をそれ
ぞれ形成したあと、レジスト膜を除去した。
【0072】そして、各隔壁21の頂面に、長さ40m
m、幅20mm、厚さ1.9mmのフォルステライト質
セラミック板にインク供給穴5を備えた天板6を、エポ
キシ系接着剤にて接合するとともに、天板6を接合した
流路部材23の開放端面に、厚み50μmのポリイミド
樹脂から成るノズル板8をエポキシ系接着剤にて接合
し、レーザにて各流路22と連通する260個のインク
吐出孔7を穿孔して製作した。
【0073】一方、図7に示す従来のヘッド80は、長
さ40mm、幅20mm、厚み0.3mmのチタン酸ジ
ルコン酸鉛を主成分とする厚み方向に分極処理した圧電
セラミック板に、長さ40mm、幅20mm、厚み0.
7mmのチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする異なる厚
み方向に分極処理した圧電セラミック板をエポキシ接着
剤にて貼り合わせ、ラップ加工によって各表面を順次追
い込み、接合基板の厚みが0.9mmとなるようにし
た。
【0074】次に、圧電セラミック板の表面全体に、レ
ジスト液をスピンコーターによって塗布したあと、圧電
セラミック板の表面に、電極取出パターンをフォトリソ
グラフィ技術によって形成し、レジスト膜を硬化させ
た。
【0075】次に、厚みが75μmのダイヤモンドブレ
ードを用い、圧電セラミック板の表面に141.1μm
のピッチで幅方向にダイシングを行い、幅75μm、深
さ400μm、長さ12mmの流路72を成す溝を26
0本刻設し、溝を形成する壁を隔壁71とした流路部材
73を製作した。
【0076】次いで、図3のヘッド30と同様に、無電
解ニッケルメッキ法によって、流路72を形成する隔壁
71の側面及び底板81の上面にニッケル膜から成る駆
動用電極79を、電極取出パターン部にニッケル膜から
成る電極取出部84をそれぞれ形成したあと、レジスト
膜を除去し、しかるのち各隔壁71の頂面に、長さ40
mm、幅15mm、厚さ1mmのフォルステライト質セ
ラミック板にインク供給穴45を備えた天板46をエポ
キシ接着剤にて接合するとともに、天板46を接合した
流路部材43の開放端面に、厚み50μmのポリイミド
樹脂から成るノズル板48をエポキシ接着剤にて接合
し、レーザにて各流路42と連通する260個のインク
吐出孔47を穿孔して製作した。
【0077】そして、得られたヘッド30,70をプリ
ンタに組み込み、30Vのパルス電圧を印加してヘッド
30,70を駆動させ、インクジェット専用紙に180
dpiの印刷を行い、専用紙に印刷されたインクの着弾
直径を画像認識装置にて測定した。
【0078】それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0079】
【表2】
【0080】この結果、本発明のヘッド30は、従来の
ヘッド80と比較してインク滴のばらつきが小さいもの
であった。
【0081】さらに、ヘッド30,80により360d
piの印刷を施し、印字濃度の変化を確認したところ、
従来のヘッド80では、インク滴の直径のばらつきに起
因する目視レベルでのムラや不要なインク滴の着弾など
の画質低下があったのに対し、本発明のヘッド30で
は、印字濃度の変化は見られず、ムラや不要なインク滴
の着弾がない高画質の印刷が可能であった。
【0082】(実施例3)次に、さまざまな絶縁性セラ
ミックスを用意し、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とす
る圧電セラミック板と接合して接合基板を製作し、研削
加工にて溝加工を施した時の加工性について調べる実験
を行った。
【0083】本実験にあたり、絶縁性セラミックスとし
て、フォルステライト、ステアタイト、ジルコン、アル
ミナ、ジルコニアを用いたところ、アルミナ及びジルコ
ニアからなる絶縁性セラミックスはビッカース硬度が1
1GPaと、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電
セラミックス(ビッカース硬度:5GPa)よりもかな
り高いため、研削条件をいずれか一方の材料に設定する
と、絶縁性セラミックスと圧電セラミックスとの接合部
で段差ができるとともに、他方の材料に欠けや割れが発
生した。
【0084】これに対し、フォルステライト、ステアタ
イト、ジルコンからなる絶縁性セラミックスは、ビッカ
ース硬度が6〜9GPa程度と、チタン酸ジルコン酸鉛
を主成分とする圧電セラミックス(ビッカース硬度:6
GPa)に近く、しかも研削性も近いため、絶縁性セラ
ミックスと圧電セラミックスとの接合部で段差ができる
ようなことはなく、また欠けや割れの発生もなかった。
【0085】この結果、絶縁性セラミックスとしてフォ
ルステライト、ステアタイト、ジルコンを用いれば、研
削性の点でも好適であることが判った。
【0086】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1のインクジ
ェットプリンタヘッドによれば、底板上に複数の凸壁を
並設するとともに、該凸壁上に壁部材を接合して隔壁と
成し、該隔壁間をインクの流路とした流路部材と、前記
流路を構成する隔壁の側面及び底板上に一体的に被着さ
れた駆動用電極と、前記隔壁の頂面に接合され、各流路
を覆う天板とから成り、前記隔壁を形成する壁部材を、
チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸
鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分と
する分極処理した圧電セラミックスにより形成するとと
もに、前記隔壁を形成する凸壁並びに底板を、フォルス
テライト、ステアタイト、ジルコンのいずれか一種を主
成分とする絶縁性セラミックスにより形成したことか
ら、流路部材における静電容量を従来のヘッドに比べて
抑えることができるため、駆動時の電力消費を低減でき
るとともに、隔壁の連続駆動時間が長くなっても、発熱
を抑えることができるため、流路内のインクに悪影響を
及ぼすことなく、所定量のインク滴を安定して吐出させ
ることができるとともに、瞬間的な電圧変化に対して追
従性良く隔壁を屈曲変位させてインク滴を吐出させるこ
とができる。その為、本発明のインクジェットプリンタ
ヘッドを用いれば、インク吐出孔からのインク滴の吐出
を安定させることができ、高品質の文字や画像を高速印
刷することができる。
【0087】また、異なる材質からなる流路部材を製造
するにあたり、隔壁を構成する圧電セラミックスと絶縁
性セラミックスとの硬度差が近似しており、かつ同程度
の研削性を有することから、研削加工やブラスト加工に
より隔壁を形成しても欠けや割れ等を発生させることが
なく、また、駆動用電極を隔壁の側面から底板の上面に
わたって一体的に形成できるため、精度良く形成するこ
とができ、ヘッドの製造歩留りを高めることができる。
【0088】また、本発明の第2のインクジェットプリ
ンタヘッドによれば、底板上に複数の第1壁部材を所定
の間隔を隔てて接合するとともに、該第1壁部材上に第
2壁部材を接合して隔壁と成し、該隔壁間をインクの流
路とした流路部材と、前記流路を構成する隔壁の側面及
び平板の上面に一体的に被着された駆動用電極と、前記
隔壁の頂面に接合され、各流路を覆う天板とから成り、
前記第1壁部材及び第2壁部材を、それぞれ異なる方向
に分極処理した、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンチタ
ン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいずれか
一種を主成分とする圧電セラミックスにより形成すると
ともに、前記底板を、フォルステライト、ステアタイ
ト、ジルコンのいずれか一種を主成分とする絶縁性セラ
ミックスにより形成したことから、任意の流路を構成す
る隔壁に備える駆動用電極に通電しても、隣接する流路
を変形させることがなく、所定のインク吐出孔以外のイ
ンク吐出孔からインク滴が吐出される誤動作を防止で
き、しかもインク吐出孔から吐出されるインク滴の吐出
速度を高めることができるとともに、吐出量を調整する
ことにより階調性を高めることができる。
【0089】また、このインクジェットプリンタヘッド
もまた流路部材を製造するにあたり、隔壁を構成する圧
電セラミックスと絶縁性セラミックスとの硬度差が近似
しており、かつ同程度の研削性を有することから、研削
加工やブラスト加工により隔壁を形成しても欠けや割れ
等を発生させることがなく、また、駆動用電極を隔壁の
側面から底板の上面にわたって一体的に形成できるた
め、精度良く形成することができ、ヘッドの製造歩留り
を高めることができる。
【0090】底板、凸壁及び壁部材が同程度の研削性を
有する材質からなるため、研削加工やブラスト加工によ
り隔壁を形成する際に欠けや割れ等を発生させることな
く、また、駆動用電極を隔壁の側面から底板の上面にわ
たって一体的に形成できるため、精度良く形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1のインクジェットプリンタヘ
ッドを示す部分破断斜視図である。
【図2】図1におけるインクジェットプリンタヘッドの
駆動原理を説明するための部分断面図である。
【図3】本発明に係る第2のインクジェットプリンタヘ
ッドを示す部分破断斜視図である。
【図4】図3におけるインクジェットプリンタヘッドの
駆動原理を説明するための部分断面図である。
【図5】従来のインクジェットプリンタヘッドの一例を
示す部分破断斜視図である。
【図6】従来のインクジェットプリンタヘッドの他の例
を示す部分破断斜視図である。
【図7】従来の他のインクジェットプリンタヘッドを示
す部分破断斜視図である。
【符号の説明】
1,21,41,51,71:隔壁 2,22,42,
52,72:流路 3,23,43,53,73:流路部材 5,45:イ
ンク供給穴 6,46:天板 7,47:インク吐出孔 8,48:
ノズル板 9,29,49,59,79:駆動用電極 10,30,50,60,80:インクジェットプリン
タヘッド 11,31,41,61,81:底板 12,62:凸
壁 13,63:壁部材 32,82:第1壁部材 33,83:第2壁部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF02 AF23 AF25 AF54 AF93 AG12 AG32 AG39 AG45 AP02 AP13 AP14 AP22 AP23 AP25 AP45 AP52 AP55 AP57 AQ10 BA03 BA14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】底板上に複数の凸壁を所定の間隔を隔てて
    備えるとともに、該凸壁上に壁部材を接合して隔壁と成
    し、該隔壁間をインクの流路とした流路部材と、前記流
    路を構成する隔壁の側面及び底板の上面に被着された駆
    動用電極と、前記隔壁の頂面に接合され、各流路を覆う
    天板とから成り、前記壁部材を、チタン酸ジルコン酸
    鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオ
    ブ酸鉛のいずれか一種を主成分とする分極処理した圧電
    セラミックスにより形成するとともに、前記凸壁を、フ
    ォルステライト、ステアタイト、ジルコンのいずれか一
    種を主成分とする絶縁性セラミックスにより形成したこ
    とを特徴とするインクジェットプリンタヘッド。
  2. 【請求項2】底板上に複数の第1壁部材を所定の間隔を
    隔てて接合するとともに、該第1壁部材上に第2壁部材
    を接合して隔壁と成し、該隔壁間をインクの流路とした
    流路部材と、前記流路を構成する隔壁の側面及び底板の
    上面に被着された駆動用電極と、前記隔壁の頂面に接合
    され、各流路を覆う天板とから成り、前記第1壁部材及
    び第2壁部材を、それぞれ異なる方向に分極処理した、
    チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンチタン酸ジルコン酸
    鉛、マグネシウムニオブ酸鉛のいずれか一種を主成分と
    する圧電セラミックスにより形成するとともに、前記底
    板を、フォルステライト、ステアタイト、ジルコンのい
    ずれか一種を主成分とする絶縁性セラミックスにより形
    成したことを特徴とするインクジェットプリンタヘッ
    ド。
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JP2009532237A (ja) * 2006-04-03 2009-09-10 ザール テクノロジー リミテッド 小滴付着装置

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